外務省・新着情報

令和6年3月21日

 3月21日(現地時間同日)、マーシャル諸島共和国の首都マジュロにおいて、田中一成駐マーシャル諸島共和国日本国特命全権大使とカラニ・ラドフォード・カネコ・マーシャル諸島共和国外務・貿易大臣(Hon. Kalani Radford Kaneko, Minister of Foreign Affairs and Trade of the Republic of the Marshall Islands)との間で、以下2件の無償資金協力(供与額計3億円)に関する書簡の署名・交換が行われました。

  1. 対象案件の概要は、それぞれ以下のとおりです。
    1. 「海上保安訓練・司令センターへのアクセス道路改善計画」(供与額:2億円)
       マーシャル諸島共和国は、広大な排他的経済水域(EEZ)を有し、漁業が主要産業となっています。しかしながら、同国海域の適切な管理や捜索救助等の海洋安全確保が十分ではないため、EEZ内での違法・無報告・無規制(IUU)漁業や麻薬密輸等の事案が頻発しており、海上保安能力の強化が長年の課題となっています。この協力では、マーシャル政府に対して、我が国無償資金協力により建設中の海上保安訓練・司令センターへのアクセス道路等の改修、及び船舶の燃料を運搬する車両を供与することにより、海上保安能力の強化を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。
    2. 「経済社会開発計画(基礎インフラ整備機材供与)」(供与額:6億円)(当初の供与限度額5億円+追加贈与額1億円)
       マーシャル諸島共和国は、国土が広大な地域にまたがっており、国内市場が小さく、国際市場から地理的に遠いなど、太平洋島嶼国に共通する開発上の困難を抱えています。漁業とコプラ(乾燥ココナツ)の輸出以外の主だった産業がなく輸入に依存しており、首都から定期的に貨物船及び小型機で離島に、水、食糧、物資等を輸送していますが、離島における経済活動や生活に欠かせない基礎インフラが、不十分な状態になっています。この協力では、マーシャル政府に対して、基礎インフラ整備機材を供与することにより、経済成長基盤の強化が期待されるものです。
       この協力については、令和3年3月に、供与額5億円の無償資金の供与について署名したものの、昨今の物価高騰等の影響による資金不足を受け、今般1億円の追加贈与を行うこととしたものです。
  2. 我が国は、2021年7月に開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、「法の支配に基づく持続可能な海洋」及び「持続可能で強靱な経済発展の基盤強化」を含む支援の重点分野を表明しており、今般の協力は同表明を具現化するものでもあります。
(参考1)マーシャル諸島共和国基礎データ

 マーシャル諸島共和国は、面積180平方キロメートル(霞ヶ浦とほぼ同じ)、人口約4.2万人(2022年、世界銀行)、人口1人当たり国民総所得(GNI)は7,270米ドル(2022年、世界銀行)。

(参考2)第9回太平洋・島サミット

 2021年7月2日、菅義偉総理大臣(当時)とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの19か国・地域の首脳等が参加した。
 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナウイルスへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。


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