外務省・新着情報

令和6年3月22日
挨拶を行う髙木外務大臣政務官と登壇した若者の様子

 TICADは1993年の第1回会合開催以来、アフリカの開発ニーズや国際潮流に合わせてテーマを選択し、またTICAD自体の在り方を進化させながら取り組んできました。
 2023年にはTICAD30周年を記念し、東京で記念イベントを開催し、アフリカ各国、民間企業、国会議員、市民社会、学術界、地方公共団体、TICAD共催者等と意見交換を行い、TICADの重要性を改めて確認しました。

 今後、2025年8月20-22日に横浜で開催予定のTICAD9に向けて、本年の閣僚会合を始めとして、取組が本格化していきます。この機会に、これまで一歩一歩築かれてきたTICADの重要テーマを、日本が打ち出してきた取組とともに振り返りたいと思います。

TICAD I(1993年) 国際社会のアフリカへの関心を呼び戻すきっかけを創出

TICAD Iの様子

 初めてのTICADは、冷戦が終結し、国際社会のアフリカに対する関心が薄れつつあった時期に開催され、アフリカへの関心を呼び戻すきっかけとなりました。
 会議では「アフリカの自助努力(民主化、「良い統治」等)」の必要性や、南南協力(「アジアの経験をアフリカへ」)の推進などについて議論されました。

TICAD II(1998年) アフリカの貧困削減と世界経済への統合

 TICADIIでは、今日までTICADの基本原則となっているアフリカの「オーナーシップ」と国際社会の「パートナーシップ」の重要性が提唱されました。
 「社会開発」、「経済開発」、「開発の基盤」という3分野での具体的な優先的政策・行動が明記されたのも、このTICADIIにおいてでした。

TICAD III(2003年) アフリカ開発に向けた新たな挑戦

TICAD IIIの様子
井戸 写真提供:今村健志朗/JICA

 TICADIIIでは、アフリカ連合(AU)が立ち上げた「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」に対する支援の結集についてコンセンサスが形成されました。
 また、我が国が推進する「人間の安全保障」の考え方がTICAD10周年宣言に明示的に盛り込まれ、その考え方の重要性が確認されました。

TICAD IV(2008年) 元気なアフリカを目指して 希望と機会の大陸

水の入った容器の周りに集まった人々 写真提供:今村健志朗/JICA
第1回授賞式の様子、スクリーンに映し出されたアフリカと野口英世

 初の横浜開催となったTICADIVでは、経済成長の加速化、人間の安全保障の確立及び環境・気候変動問題への対処を重点事項として議論が行われました。
 同会合で採択された横浜宣言は、アフリカで見られる政治・経済の両面での前向きな兆しに着目しつつ、国際社会での取組の強化を呼びかけました。

 アフリカのための医学研究・医療活動それぞれの分野において顕著な功績を挙げた方々を顕彰するため、野口英世アフリカ賞が創設され、TICADIVの機会を捉えて第1回授賞式が開催されました。

TICAD V(2013年) 躍動するアフリカと手を携えて

TICAD Vの様子
アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(通称ABEイニ)

 TICADVでは、「援助から民間投資へ」という考えの下、民間セクター主導による成長の重要性を反映し、アフリカ首脳と日本の民間企業の代表が直接対話を行うセッションが初めて実施されたほか、「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(通称ABEイニ)」の立ち上げが発表されました。

 TICADVは、2015年までにアフリカにおいて2015年開発目標(MDGs)達成に向けた取組を加速させることを呼びかけるとともに、アフリカの声をSDGsに反映させる場としても重要な役割を果たしました。

TICAD VI(2016年)アフリカの持続可能な開発アジェンダ促進 繁栄のためのTICADパートナーシップ

TICAD VIの様子
医療 写真提供:渋谷敦志/JICA

 初のアフリカ開催としてケニアで開かれたTICADVIでは、国際資源価格の下落、エボラ出血熱の流行、暴力的過激主義の台頭といったアフリカが直面する新たな課題への対応について議論が行われました。
 我が国が初めて「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の考え方を提唱したのもこの会合においてでした。

 TICADVIにおいて、我が国は、日本の強みである質の高さ(クオリティ)を活かした約1,000万人への人材育成(エンパワーメント)を始め、質の高いインフラ整備や強靱な保健システム促進、平和と安定の基盤作り等、アフリカの未来への投資を行うことを発表しました。

TICAD 7(2019年) アフリカに躍進を!ひと、技術、イノベションで。

TICAD 7の様子
農業 写真提供:篠田有史/JICA

 TICAD7では、「ビジネスをTICADの中心に」という考えの下、TICAD史上初めて民間企業を公式なパートナーと位置づけ、日アフリカ官民の直接対話が実施されました。また、アフリカビジネス協議会の設置、二国間ビジネス環境改善委員会の立ち上げなど、投資促進のための取組が多く発表されました。

 TICAD7三本柱のうち、「社会」の取組として、日本が推進するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の拡大やアフリカ健康構想が表明され、また「平和と安定」の取組として、アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)が表明されました。

TICAD 8(2022年) 共に成長するパートナー

TICAD 8の様子
スタートアップ支援

 コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略により引き起こされた複合的危機の中、チュニジアで開催されたTICAD8で、我が国は、多くの困難の中でもダイナミックな成長が期待されるアフリカと「共に成長するパートナー」となり、アフリカ自身が目指す強靱なアフリカを実現していく考えを表明しました。

 我が国は、TICADプロセスにおいて、「人」に注目した日本らしいアプローチの下、「人への投資」、「成長の質」を重視すると述べ、スタートアップ支援を含む「経済」、UHC達成に向けた取組を含む「社会」、法の支配の推進を含む「平和と安定」の3分野において、それぞれ取組を表明しました。


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