外務省・新着情報

令和6年3月22日
ファミリーフォト(IAEA事務局撮影) (IAEA事務局撮影)

 3月21日、ベルギー王国のブリュッセルにおいて、第1回原子力エネルギー・サミット(First Nuclear Energy Summit)が開催され、高村正大外務大臣政務官が出席しました。
 今回の会議は、ドゥ=クロー・ベルギー首相及びグロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長による共催で開催され、各国から出席した首脳や閣僚級によるステートメントが行われました。

1 高村政務官による岸田総理大臣のメッセージの代読

高村政務官による総理メッセージ代読
会場の様子

 高村政務官は、岸田文雄内閣総理大臣のメッセージを代読しました。
 この中で、高村政務官は、昨年、日本が議長国を務めたG7広島サミットで確認されたとおり、多様な道筋の下でネット・ゼロという共通の目標を目指す時である旨述べ、そのためにクリーンエネルギーの最大限の導入が必要であり、原子力は再エネ等とともに不可欠である旨述べました。
 また、いかなる事情より安全性を優先して原子力を活用する考えを示した上で、原子力発電所の再稼働、運転期間の延長、次世代革新炉の開発・建設に取り組み、研究開発や強靱なサプライチェーンの構築を進めていく旨述べ、原子力の平和的利用を推進するIAEAの役割に鑑み、総額1850万ユーロの拠出を決定した旨説明しました。
 最後に、原子力の安全で持続可能かつ核不拡散が確保された形での利用を実現し、次世代に誇れる環境や社会を実現するため、今回のサミットが、強固な一歩となることを期待する旨述べました。
 なお、会議の成果文書として宣言が採択されました。

2 各国政府・国際機関の要人との会談等

高村政務官と各国政府・国際機関の要人との会談の様子

 高村政務官は、会議の期間中に以下の各国政府・国際機関の要人との会談等を行いました。概要は以下のとおりです。

(1)英国:アンドリュー・ボーウィ・エネルギー安全保障・ネットゼロ省政務次官(原子力・再生可能エネルギー担当)(Andrew Bowie MP, Parliamentary Under Secretary of State at the Department for Energy Security and Net Zero (Minister for Nuclear and Renewables))

 高村政務官から「日英広島アコード」を踏まえ、日英間で原子力分野において具体的な協力が進展していることは喜ばしい旨述べた上で、長きにわたって継続する日英原子力年次対話は、日英が、原子力分野で様々な知見を共有できる、良きパートナーであることを示している旨述べ、引き続き英国と緊密に連携したい旨述べました。
 これに対し、ボーウィ政務次官は、原子力発電の推進は、脱炭素の側面のみならずエネルギー安全保障の観点からも非常に重要であり、「日英広島アコード」に表れているとおり、原子力分野での両国の協力を一層進めていきたい旨述べました。さらに、本分野で極めて重要な役割を果たすIAEAへの日本からの支援を高く評価している旨述べました。
 両者は、エネルギー安全保障とネット・ゼロ排出は、日英が共有する重要課題であり、多様な道筋の下でネット・ゼロという共通の目標を目指すことが重要であるとの認識で一致しました。

高村政務官とヴェストレン副大臣の会談の様子

(2)スウェーデン王国:ダニエル・ヴェストレン気候・環境副大臣(Mr. Daniel Westlén, State Secretary to Minister for Climate and the Environment

 高村政務官から、スウェーデンは価値や原則を共有する重要なパートナーであり、「北欧外交イニシアティブ」の下、日本は北欧諸国と様々な分野で協力を深化させていきたいと考えており、特に、グリーン・エネルギーは重点的に関係を強化したい分野のひとつである旨述べました。
 これに対し、ヴェストレン副大臣は、原子物理学者である自分の目から見ても、日本はALPS処理水への対応をしかるべく行っており、その海洋放出の安全性については、全く問題がないと考えている、スウェーデンは、政権交代を機にエネルギー政策は大きく転換したところであり、グリーン・エネルギーである原子力エネルギーを積極的に導入しようとしているところである旨述べるとともに、日本の原発輸出の促進に期待を示しました。
 両者は、原子力分野の研究や気候変動に対処するための原子力エネルギーの利用可能性等に関し、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

グロッシー事務局長と握手しながら記念撮影をする高村政務官

(3)IAEA:ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長(H.E. Mr. Rafael Mariano Grossi, Director General of the International Atomic Energy Agency

 高村政務官から、先週の事務局長の訪日で、日本とIAEAの連携は更に緊密なものになったと述べつつ、引き続き事務局長訪日の成果をフォローしつつ、ALPS処理水を含め、幅広い分野においてIAEAと協力していきたい旨述べました。
 これに対し、グロッシー事務局長は、先般の訪日は非常に重要なものとなった、今後も従来からの協力関係を更に発展させていきたい旨述べ、両者は引き続き原子力の平和的利用等の分野で緊密に連携していくことで一致しました。

ドゥ=クロー・ベルギー首相との立ち話
ポデスタ上級補佐官との立ち話

(4)その他

 高村政務官は、ベルギーのアレクサンダー・ドゥ=クロー首相(H.E. Mr. Alexander De Croo, Prime Minister of Belgium)と短時間立ち話し、今回の会議をIAEAと共に共催したベルギーのイニシアティブを賞賛しました。 これに対し、ドゥ=クロー首相からサミット参加への感謝が述べられました。
 また、高村政務官は、米国のジョン・ポデスタ大統領上級補佐官との間で立ち話を行ったほか、バングラデシュのヤフィス・オスマン科学技術大臣、南アフリカのトコジレ・キササ駐ブリュッセル特命全権大使、エジプトのバドル・アブドゥルアッティ駐ブリュッセル特命全権大使、カナダのキャサリン・スチュワート気候変動大使、ビロル国際エネルギー機関(IEA)事務局長と懇談しました。

(参考)別添PDF

 岸田総理大臣のメッセージ(日本語(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く


発信元サイトへ