外務省・新着情報

令和6年3月26日

 3月26日(現地時間同日)、フィリピンの首都マニラにおいて、松田賢一在フィリピン共和国日本国大使館公使と、エンリケ・マナロ・フィリピン共和国外務大臣(Hon. Enrique A. Manalo, Secretary for Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)との間で、総額2,500億円を限度とする円借款(注1)2件に関する書簡の署名・交換が行われました。
(注1)円借款: 開発途上国に対してインフラ等の建設資金として必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展に繋がることが期待される。

 本件には本邦技術活用条件(STEP)(注2)が適用され、トンネル区間を含む高速道路及び地下鉄の建設に日本の技術が活用される予定です。
(注2)STEP:本邦技術活用条件(STEP)は、我が国の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じて我が国の「顔が見える援助」を促進するため、平成14年(2002年)7月に導入されたもの。

1 対象案件の概要

  1. ダルトンパス東代替道路建設計画(第一期)(供与限度額:1,000億円)
     ルソン島中・北部に位置するダルトンパスと呼ばれる区間は、ルソン島北部のカガヤン渓谷とマニラ首都圏を直接結ぶ唯一の幹線道路であり、マニラ首都圏への交通・物流の要です。一方で、ダルトンパスは断層上に位置し、急峻な山岳地帯を通ることから、自然災害に脆弱であり、台風等により度々斜面崩壊や通行止めが発生しています。さらに、ダルトンパスは、急勾配及び急カーブにより、車両が十分な走行速度を確保できない状況にあります。本計画では、ダルトンパス現道の東側にバイパスの高速道路を整備し、道路の走行性の改善を図り、もって同地域の連結性強化及び経済活性化に寄与します。
  2. マニラ首都圏地下鉄計画(フェーズ1)(第三期)(供与限度額:1,500億円)
     フィリピン政府が、フィリピン初の地下鉄をマニラ首都圏において整備するために同政府に融資するもので、増加する輸送需要に対応して、マニラ首都圏の深刻な交通渋滞を緩和するとともに、大気汚染物質や温室効果ガスの排出削減を図るものです。本計画で結ばれる区間(イーストバレンズエラ駅からニノイ・アキノ国際空港駅まで)の移動には、自動車で約2時間を要していましたが、地下鉄利用により、約40分に短縮されることが見込まれています。  これまで、地下鉄整備支援のために第一期(供与限度額1,045.30億円)及び第二期(供与限度額2,533.07億円)の円借款を供与しており、今回はそれに続く第三期の融資となります。本計画の実施により、マニラ首都圏全体における運輸・交通網の整備が進展することが期待されます。

2 供与条件

  • 金 利:年0.3%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.2%)
  • 償還期間:40年(10年の据置期間を含む。) 
  • 調達条件:日本タイド
(参考)フィリピン共和国データ

 フィリピン共和国は、面積約30万平方キロメートル(日本の約8割)、人口約1億1,556万人(2022年、世界銀行)、人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,950米ドル(2022年、世界銀行)。


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