外務省・新着情報

冒頭発言

上川大臣と駐日女性大使との意見交換

【上川外務大臣】私(上川大臣)から、1件ございます。
 私(上川大臣)は、様々なステークホルダーとのつながりを強化し、これを外交活動と連動させていくアウトリーチ型の外交に取り組んでおります。その一環として、昨日3月25日、メキシコ大使館を訪問し、19名の駐日女性大使の皆様と、女性平和安全保障、いわゆるWPSを含みますジェンダー政策に関する意見交換を行いました。
 冒頭、私(上川大臣)から、駐日大使に占める女性大使の数や、2023年4月の外務省入省者に占める女性の割合などを紹介しつつ、女性の社会進出の進展への期待を表明いたしました。
 また、外務大臣就任以来、主要外交政策の一環として推進しておりますWPSにつきまして、外務省内の組織横断的なタスクフォースの立ち上げや、「WPS+イノベーション」を含めたこれまでの取組につきまして説明をしました。
 WPSは、女性が一方的に保護を受けるだけでなく、女性が建設的な「行動者」として、持続可能な平和に参画することを強く呼びかけている点が画期的であります。
 ウクライナや中東、アフリカなど、世界各地において、特に、女性や子供たちを含め、脆弱な人々が悲惨な状況に直面している今こそ、強靭性と多様性のある社会の構築のために、WPSを力強く推進する必要がある旨述べたところ、各国の駐日女性大使からは、賛意をいただきました。
 また、WPSについて問題意識を共有する同志国各国の独自の視点を直接聞くことは、私(上川大臣)にとりましても、大変大きな刺激となりました。昨日の議論を受けまして、今後も、駐日女性大使の皆様とともに、更に議論を深めてまいりたいと考えております。
 意見交換で得られた知見や示唆を踏まえまして、WPSを外交の横串として、具体的な政策に落とし込んでいく取組を進めてまいります。
 私(上川大臣)からは、以上です。

ロシアにおけるテロ事件

【NHK 五十嵐記者】ロシアの首都モスクワ郊外で起きたテロ事件に関して伺います。これまでに139人が死亡し、ロシアの当局は、実行犯とされる4人を、テロに関与した罪で起訴しています。日本政府としての所感や、対応を伺います。また、ロシアのプーチン大統領は、25日、「イスラム過激派が実行した」とする一方で、「その背景に、ウクライナ側の関与が疑われる」と主張しましたが、こちらの発言の受け止めも伺います。

【上川外務大臣】現地時間の3月22日に、モスクワ郊外の商業施設におきましてテロ事件が発生し、多数の方々が死傷されました。我が国としては、このような一般市民に対するテロ攻撃を、断固として非難します。また、御遺族に対し、心からの哀悼の意を表し、負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、テロの犠牲となった方々への連帯を表明いたします。
 その上で、御指摘のプーチン大統領、及びゼレンスキー大統領の発言は承知しておりますが、政府として、逐一コメントすることにつきましては、差し控えさせていただきます。

北朝鮮の金与正副部長の談話

【共同通信 桂田記者】北朝鮮の談話についてお聞きします。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)氏は、岸田総理が「できるだけ早い時期に、金総書記と会談したいという意向を伝えてきた」という内容の談話を昨日発表しました。本件の大臣の受け止めと、今後の、外務省としての北朝鮮対応の方針を、改めてお聞かせください。

【上川外務大臣】昨日、金与正副部長が、再度談話を発出したことにつきましては、承知しております。
 岸田総理は、これまでも、北朝鮮との間の諸懸案の解決に向け、金正恩(キム・ジョンウン)委員長との間の首脳会談を実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていきたいと述べてきています。そのために、様々なルートを通じまして、働きかけを絶えず行ってきているところであります。

UNRWAの中間報告

【朝日新聞 松山記者】UNRWAに対する質問をさせていただきます。UNRWAの中立性について調査している独立調査団が、20日に、中間報告書をグテーレス事務総長に提出されました。大臣、これまで、「中間報告書なども踏まえて、スピード感を持って対応を前に進めていきたい」というようなことをおっしゃっておられましたけれども、今回、中間報告書が出されて、今後どういった具体的な条件が、資金拠出再開に向けて必要になるのか教えてください。
 また、今週、グテーレス事務総長とも面会されるご予定だと思いますが、資金拠出再開に向けた日程感もありましたら、こちらも併せてお願いします。

【上川外務大臣】まず、第三者検証グループの中間報告でありますが、公表はされておりませんが、この中間報告におきましては、UNRWAが中立性を確保するためのメカニズムや手続を、相当程度整備していると評価をしつつ、UNRWAが、更に取り組むべき重要な分野を特定したものと承知しております。
 我が国は、ドナー国であります。UNRWAのガバナンス強化と、また、その維持に向けまして、UNRWAが取るべき措置を含めまして、我が方の、拠出の再開のために必要な、あるべき取組につきましては、精力的に関係者との意思疎通を、この間続けてまいりました。
 その一環といたしまして、今週、訪日されますラザリーニUNRWA事務局長と会談を行う方向で調整中でございまして、今般の疑惑を受けたUNRWAのガバナンス強化の取組や、その方向性等につきまして、しっかりと説明を受けたいと考えております。
 その上で、スピード感を持って、対応の検討を進めてまいりたいと考えております。

ラマダン期間中の海外渡航・滞在に関する注意喚起

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 外務省海外邦人安全課は、日本人旅行者に対し、ラマダン期間中、特に金曜礼拝付近のモスクにおいて、アラブ及びイスラム諸国で発生する可能性のあるテロ攻撃に警戒するよう注意喚起を発出しました。
 該当する地域の一部の人々や観光業界は、このような警告や注意喚起が、イスラム諸国及び関係諸国の安全性に否定的な影響や見解を与え、実際多くの日本人が該当地域への渡航を止めているとし、懸念を表明しました。
 イスラム教とテロリズムを間接的に結びつけているこの方針を変更する変更する予定はありますか。

【上川外務大臣】ラマダン期間において、過去に「イラク・レバントのイスラム国(ISIL(アイシル))」等のイスラム過激派組織が、作戦強化の呼びかけを行うなどしており、テロの脅威が高まるおそれがあります。そのため、外務省は、例年、ラマダン期間前に、海外に渡航・滞在する邦人への注意喚起を行ってきており、本年2月29日に広域情報を発出しました。
 また、現地時間3月22日、モスクワ郊外の商業施設においてテロ事件が発生し、多数の死傷者が生じたところです。ISILが、犯行声明を発出しており、広域情報を通じて、改めて注意喚起を呼びかけたところです。
 これらの広域情報は、あくまで一部のイスラム過激派が、ラマダン期間に乗じて、活動を活発化させる可能性について注意を喚起し、適切な安全対策をとるよう促すものです。イスラム教とテロとを結びつけようとするものではありません。
 なお、ラマダンに限らず、クリスマス・年末年始、バカンスシーズン、また、大型イベント等の前には、人が多く集まる機会が増え、また、テロの標的等になる可能性が高まる傾向にあるため、同様に注意喚起を実施しています。
 以上の点について、正しく御理解いただければ幸いであります。

パンデミック条約とIHR改正

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】WHOの「パンデミック条約」及びIHR改正について質問します。上川大臣は、2月27日の衆議院予算委第三分科会で、WHOのパンデミック条約とIHR改正について、「逐一、国会の承認は求めない。我が国としては、これらを締結するという行為を取らずに、その拘束力を受け入れることになる」旨の答弁をなさいました。国会での審議・承認が行われないのであれば、国家の主権者である我々国民は、どうやって意思表明をすればいいのでしょうか。このような進め方は、主権者・国民をないがしろにしていないでしょうか。御見解をお聞かせください。

【上川外務大臣】今、私(上川大臣)の答弁を御指摘いただきましたけれども、これにつきましては、国際保健規則(IHR)の改正について述べたものです。1951年に、国会で承認されたWHO憲章は、疾病の国際的まん延を防止するためには、できる限り多くの加盟国が採択された規則を同時に実施することが望ましいとの考えの下、加盟国から構成される「保健総会」により採択された規則は、全加盟国に対して効力を有することとされています。IHR、先ほどの国際保健規則(IHR)でありますが、そのような規則の一つで、このような手続が採用されていることを含めて、WHO憲章の締結について、国会の御承認をいただいてきているとの趣旨を申し上げたものです。
 一方、「パンデミック条約」についてですが、協議は、今、継続しているところでありまして、内容、また、文書の具体的な形式を含めて確定していないことから、我が国として締結するかを含めて、現時点で予断を持ってお答えすることは、なかなか困難です。仮に締結する場合には、その内容や文書の具体的な形式に照らして、適切に対応してまいる所存です。
 「パンデミック条約」の作成及び国際保健規則(IHR)の改正については、様々な御意見があると承知をしています。私(上川大臣)自身、申し上げてきているとおりですが、国民の皆様の御理解と、そして、御支持があっての外交であると考えております。今後とも、可能な限り、丁寧に、正確な情報提供に努めてまいりたいと考えています。

自民党次期総裁にふさわしい政治家

【読売新聞 上村記者】外交の話題から離れますが、世論調査の関係でお伺いします。読売新聞が、先週末に行った世論調査で、次の自民党総裁にふさわしい政治家として、上川大臣を挙げる回答が、9%で3位となりました。同様の調査をするたびに、この回答は増えているわけですけれども、大臣は、これまで「外務大臣としての職務に一意専心する」と繰り返しおっしゃっていますが、こうした国民の期待をどう受け止めて、どう期待に応えていくか、お考えをお聞かせください。

【上川外務大臣】私(上川大臣)は、2000年の初当選ですが、それ以来、信念に基づいて、政治家としての職責を果たすことに専念してきました。そして、現在は、内閣の一員として、全力で岸田総理をお支えしている立場です。
 私(上川大臣)が、いま一心不乱に取り組んでいる外交ですが、この外交と内政面、この部分の今の状況、これは、実は表裏一体の関係にあります。日本の内政が安定していることが、外交的にも極めて重要な要素になると思っているところであります。
 豊かで明るい可能性に満ちた日本、また、世界から尊敬され必要とされる、また期待される日本を、次の世代に引き継ぐため、今の私(上川大臣)は、与えられた外務大臣の職責に「一意専心の思い」、これで取り組んでいる状況です。
 期待につきましては、大変ありがたく受け止めさせていただきます。期待される人になる、期待される仕事をする、それが一意専心の含意です。

政治資金問題

【毎日新聞 村尾記者】その内政の関係なのですけれども、二階元幹事長が、昨日、不記載の責任を取るという形で、次期衆院選不出馬を表明されました。次には、安倍派の元幹部の方への処分だったり、進退だったりに注目が、いま集まっていますけれども、こういった問題について、どういった対応が求められると、大臣はお考えでしょうか。

【上川外務大臣】二階俊博議員による御指摘の表明についてですが、これは、御自身の判断によるものと受け止めておりまして、政府としてコメントすることにつきましては、差し控えさせていただきたいと考えております。
 政治資金をめぐる問題については、岸田総理も述べておられるように、政治家が当然の責任を取る改革を進めなければならず、また国民の信頼を取り戻すため、自民党が変わらなければならないと考えています。
 内政も外交と分けて考えることはできません。国際情勢は、日々大きく動いており、日本のことを待ってくれるわけでもありません。国民の皆様に理解をされ、そして、支持される外交を展開する、その姿勢を、引き続き、スピード感を持って維持し、取り組んでまいりたいと考えております。

発信元サイトへ