外務省・新着情報

冒頭発言

(1)台湾に対するお見舞いと支援

【上川外務大臣】私(上川大臣)から2件ございます。
 3日朝、台湾東部で発生した地震によって、多くの被害が発生していることに、大変心を痛めております。改めて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族にお悔やみを申し上げます。また、負傷された方々の1日も早い回復と、今なお、行方不明の方々の一刻も早い捜索・救出がなされるようお祈り申し上げます。
 日本と台湾は、これまでも大切な友人として、コロナ禍も含め、困難に向き合うたびに、互いに支え合ってまいりました。本年年初の能登半島地震の際にも、台湾の皆様から、心温まる、多大なご支援をいただいており、心から感謝しております。
 このたびの台湾の地震に際し、少しでもお力になりたいとの思いで、今般、日本台湾交流協会を通じ、100万ドル規模の緊急無償資金協力による支援をお届けする考えであります。
 被害者の救援と被災地の1日も早い復旧・復興に向け、台湾側のニーズに、必要な支援を積極的に行ってまいります。

(2)外交資料館新展示室の開室式

【上川外務大臣】続きまして2件目であります。
 来週4月8日月曜日から、麻布台ヒルズにおいて、外交史料館の新しい展示室が一般公開されます。これに先立ち、本日16時から開室式を行います。
 私(上川大臣)は、就任以来、「国民に理解され、支持される外交」を掲げてまいりました。
 そのためには、我々の外交活動の記録をしっかりと残し、後世に引き継いでいくこと、また、より多くの国民の皆様が、そうした外交文書に触れる機会を提供していくこと、これが不可欠であります。
 新たな展示室が、皆様に、いつでもお立ち寄りいただき、我が国外交をより身近に感じていただけるよう、そうしたスポットになることを期待しております。
 また、外交文書の適切な管理と、国民の皆様に外交文書を利用いただける環境整備に取り組んでいくことを、この機会に改めて申し上げます。
 その一環として、今般、外務省における重要政策に関する行政文書については、原則として、外交史料館に移管するとの方針を定めました。令和5年度は、「G7広島サミット」「日・イスラエル、日・パレスチナ外交」「ウクライナ情勢」「日・ASEAN50周年」の4つの重要政策について、関連する文書をしっかりと保存し、外交史料館へ移管することとしています。
 今後とも、国民共有の知的資源であります重要な文章を後世に残し、それらの文章を、外交を始めとする様々な施策に、利活用できるようにしていきたいと考えております。
 私(上川大臣)からは以上です。

日中韓サミット

【毎日新聞 森口記者】日中韓首脳会議についてお伺いします。議長国の韓国で、5月に開催する方向で進めていることが判明しました。調整の進捗状況を伺います。また、開催は2019年末以来となりますが、会談の意義をあわせて教えてください。

【上川外務大臣】日中韓サミットの開催日程につきましては、何ら決まっておりませんが、昨年11月の日中韓外相会議におきまして、なるべく早期で、適切な時期のサミット開催に向け、作業を加速させることで一致しております。
 外交上のやり取りについて詳細を述べることは、差し控えさせていただきますが、我が国といたしましては、引き続き、議長国・韓国の取組を支持しつつ、サミットの早期開催に向け、3か国で調整を行ってまいります。
 また、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する日中韓の三首脳が一堂に会し、日中韓の協力の方向性や、具体的な協力の在り方、地域の諸課題等について議論するということは有意義だと考えております。

岸田総理の米国公式訪問

【日本経済新聞 三木記者】岸田総理の訪米についてお伺いします。本日、総理、8日から米国に訪問する、と発表しましたけれども、大臣は、同行される予定がありますでしょうか。また、大統領選の最中のこのタイミングでの総理の訪米が持つ意義について、どうお考えかをお聞かせください。

【上川外務大臣】国際社会が、いわば複雑で多様な課題を抱える中にありまして、日米の固い結束、及び日米同盟の重要性は、一層高まっていると認識しております。
 今の国際情勢の中で、日米関係の重要性については、経済面を含めまして、米国でも党派を超えて共通の認識が存在しており、その認識は、ますます強まっていると確信しております。
 今回の訪問を通じて、日米両国の緊密な連携を一層深めるとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するための日米同盟の重要性を内外に訴え、さらに日米の幅広い関係者間における両国関係を強化する機会としたいと考えております。
 私(上川大臣)の同行についてのご質問でございますが、諸般の事情が許せば、同行する予定でございます。岸田総理の米国への公式訪問を成功に導くべく、外務大臣として、引き続き尽力してまいりたいと考えております。

ウクライナ支援

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ情勢について質問します。日本は、過去2年間、ウクライナに総額約1兆7,000億円の支援をしてきましたが、さらに世界銀行を通じて1,492億円拠出すると報じられました。ロシアから見れば、これは敵国への支援です。ロシアと米との緊張が高まっており、ウクライナ対ロシアの戦争は、西側諸国対ロシアの構図へと拡大しかねません。日本は、お金を出しているだけだとはいえ、軍事的緊張が、最終段階にまで高まれば、日本も戦争に巻き込まれる恐れがあります。上川大臣は、繰り返し、ロシアへの制裁に言及されており、即時停戦を求めてはいらっしゃいませんが、最終的には、対ロシア戦争まで覚悟されてのご発言でしょうか、真意をお聞かせください。よろしくお願いします。

【上川外務大臣】2022年2月、ロシアは、平和的解決に向けた事前の各国からの働きかけを聞き入れず、ウクライナの「非軍事化」や、また「中立化」といった一方的なロシア側の要求を実現すべく、ウクライナへの侵攻に及んだところであります。これは、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると同時に、明白な国際法違反であり、改めて厳しく非難いたします。
 我が国といたしましては、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、このような力による一方的な現状変更の試みは、どこでも起こりうるとの認識のもと、国際社会全体の平和と安全のため、自らの問題として、この問題に取り組み、侵略開始以降、一貫して、対露制裁と、また、ウクライナ支援を強力に実施してまいりました。このような我が国の基本的立場と方針は変わりません。
 引き続き、G7や「グローバル・サウス」と呼ばれる諸国を含みます各国と連携しつつ、ウクライナに、公正かつ永続的な平和を実現するべく、リーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。

米・イスラエル首脳電話会談

【共同通信 桂田記者】中東情勢について伺います。米国のバイデン大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相との電話会談で、ガザ地区で民間人を保護する具体策を求めるとともに、即時停戦が不可欠だと訴えました。大臣の受け止めをお聞かせください。また、日本は、3月の安保理議長国として、ラマダン期間中の即時停戦を求める決議採択も主導しましたが、ガザの停戦について、どのような形が望ましいとお考えか、改めて教えてください。

【上川外務大臣】御指摘のバイデン大統領とネタニヤフ首相の電話会談を含めまして、人質の解放と戦闘の休止、現場の人道状況の改善等をめぐります米国の精力的な外交努力を高く評価しているところであります。
 我が国といたしましても、このような動きが実現するよう、関係国と緊密に連携しつつ、二国間での働きかけや、また、安保理やG7の一員としての外交努力等を通じまして、環境整備に取り組んできたところであります。
 我が国といたしましては、人道支援活動が可能な環境を確保し、また、人質の解放に繋がるような「人道的停戦」の速やかな実現、そして、人道持続可能な停戦の実現に向けて、当事者に対しまして、直ちに人道的な観点から行動することを当事者に求めてきております。4月3日でありますが、日・イスラエル外相電話会談におきましても、私(上川大臣)からカッツ・イスラエル外相に対しまして、この点を改めて求めるとともに、国際人道法を含む国際法の遵守が不可欠であると、こうした旨を伝えたところでございます。

在シリア・イラン大使館攻撃

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 パン・オリエント・ニュースのカルドン・アズハリです。
 4月1日、ダマスカスのイラン大使館がミサイル攻撃を受けました。イランとシリアはこの攻撃についてイスラエルを非難しましたが、イスラエルは沈黙を守りました。原則として、日本は、主権国家の大使館への、このようなミサイル攻撃は、イスラエルによる攻撃なので、非難されるべきではないとお考えですか。
 日本は、10月7日の攻撃以来、ハマスを何十回となく非難してきました。しかし、日本は、イスラエルによる占領や、乳児や子供を中心に約4万人を殺害したパレスチナ人に対するジェノサイドを非難することはありませんでした。
 また、北朝鮮のミサイルに対するように、衛星を持ち、ミサイルを容易に追跡できる日本の同盟国から、ミサイルの軌道に関する詳細な情報を受け取ったのでしょうか。

【上川外務大臣】本事案についてでありますが、我が国として、事実関係を十分に把握することが困難である中、確定的な評価をすることは、差し控えさせていただきたいと思います。一般に、国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は、許されるべきものではありません。我が国として、現地の状況について、重大な関心と懸念を持って注視しているところでございます。
 お尋ねのミサイルの軌道に関する情報の受け取りの有無も含めまして、外交上のやり取りの詳細について明らかにするということにつきましては、差し控えさせていただきたいと考えております。

政治資金問題

【NHK 五十嵐記者】派閥の政治資金パーティーをめぐる問題に関して伺います。自民党は、関係議員ら39人の処分を決定し、離党勧告を受けた安倍派の施行前参議院幹事長が離党しました。党内からは、処分への不満や岸田総理大臣の責任を問う声が出ていて、今後の党運営に影響が出ることも予想されます。国民の信頼回復に向けた取組について、大臣のお考えを伺います。

【上川外務大臣】外務大臣として、この自民党における処分についてコメントすることは差し控えさせていただきますが、一政治家として、国民の皆様からの信頼回復の必要性を大変重く受け止めているところでございます。
 内政も外交も、これを分けて考えることはできないと考えておりまして、従来から、就任以来、私(上川大臣)自身申し上げているところでありますが、国民の皆様に理解をされ、そして、支持される外交の展開をすると、こうした姿勢につきましては、これまでも、また、これからも、そうした姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

米下院議員の発言

【中国新聞 宮野記者】米下院の、共和党のウォルバーグ議員が、3月末に、パレスチナ自治区ガザに関し、「長崎や広島のようであるべきだ」と発言しています。これに関して、立憲民主党の泉代表が、本日の会見で、政府は、厳重に抗議すべきだと訴えています。この米下院議員の発言に対しての認識と、抗議の必要性についてお伺いします。また、大臣は、岸田首相の訪米に同行されて、米国に行かれるわけですが、このように、核兵器使用の惨禍が、必ずしも正確に伝わっておらず、使用を促すかのような発言が飛び出す米国内の現状について、現地で、どのように取り組まれていかれるか、お考えをお伺いします。

【上川外務大臣】御指摘いただきました発言につきましては、承知しているところでございまして、これがメディアを通じて拡散されていることを憂慮しているところでございます。
 同議員は、その後、3月31日付の声明におきまして、「冷戦時代に幼少時代を過ごした身として、核兵器の使用を訴えることは決してない。」と、などとして、自身の発言の意図を説明したとも承知しているところであります。
 いずれにいたしましても、我が国は、唯一の戦争被爆国であります。核兵器による広島・長崎の惨禍は、決して繰り返してはならないと、こうした信念のもと、引き続き、「核兵器のない世界」の実現に向けまして、米国とも協力をしながら、現実的かつ実践的な取組を積み重ねていくとともに、米国人を含む多くの人に広島・長崎を訪問していただき、そして、被爆の実相に触れていただくと、このことが重要であると考えております。
 こうしたことにつきましては、私(上川大臣)も、これからも、そうした視点で取り組んでまいりたいと思っております。

【中国新聞 宮野記者】関連でお願いします。「メディアの拡散に憂慮されている」というお話でしたが、この米下院議員の発言に対して憂慮されているのかどうかというところと、改めて抗議の必要性についてどのように考えているか、お伺いできますでしょうか。

【上川外務大臣】今、メディアの拡散ということでありますが、内容について、その後、3月31日付の声明におきまして、今、申し上げたような、ご自身の発言について、自らその意図を説明したと考えているところでございます。その意味で、今私(上川大臣)が申し上げたところが意図するところということでご理解いただきたいと思います。

大阪・関西万博(イスラエルの参加)

【毎日新聞 森口記者】万博についてお伺いいたします。パレスチナ自治区のガザで、軍事行動を続けているイスラエルが、大阪・関西万博への正式な参加を表明しています。自見万博担当大臣は、イスラエルの行動は、領内へのテロ攻撃を直接のきっかけとするもので、ロシアが、一方的にウクライナに侵攻している行動と同列に扱うことは適当でないとし、両国の行動を区別した上で、イスラエルの参加を容認する考えを示しました。イスラエルの軍事行動では、多くの民間人の犠牲が出ているのも事実ですが、命の大切さなどを扱う万博への参加は、妥当だとお考えでしょうか、大臣としての考えを理由とあわせて教えてください。

【上川外務大臣】まず、万博への参加についてでありますが、各国が、自らが判断するということが原則でございます。
 その上で、例えば、ロシアによるウクライナ侵略は、武力の行使を禁ずる国際法及び国連憲章の重大な違反であり、また、大阪・関西万博の、まさにテーマであります「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマと相容れないものと考えております。
 一方で、今般のガザ地区におきますイスラエルの行動でありますが、ハマス等によるイスラエル領内へのテロ攻撃、これを直接のきっかけとするものでありまして、ロシアが、一方的にウクライナに侵攻している行動と、同列に扱うということは適当ではないと考えております。

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