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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年4月26日(金)10:15~10:35 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 まず、G7気候・エネルギー・環境大臣会合への出席について御説明申し上げます。
G7気候・エネルギー・環境大臣会合に出席するため、今晩からイタリアのトリノに出張いたします。
 昨年のG7札幌会合では、我が国が議長国として議論を主導しました。脱炭素、循環経済、ネイチャーポジティブ経済の統合的推進や、これらの対策のシナジーの追求により、気候変動、生物多様性の損失、汚染の3つの世界的危機に対処することなどに合意しました。
 今回のトリノ会合では、昨年の成果をさらに発展させ、G7として世界全体の行動を加速する成果が得られるよう、我が国としても議論に積極的に貢献してまいります。
 5月1日水曜日、イタリアからの帰国後すぐになりますが、熊本県水俣市において開催される水俣病犠牲者慰霊式に参列いたします。水俣病によって亡くなられた方々の御冥福を、心を込めてお祈りしたいと思います。
 また、慰霊式への参列に併せて、語り部の皆様や関係団体の方々とも懇談し、地域の声を拝聴させていただく予定でもございます。
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社の毎日新聞の山口です。
 G7について、お尋ねします。G7気候・エネルギー・環境大臣の交渉で、日本として特に訴えたい部分というのは、どのような部分でしょうか。また、次期NDCの提出期限が近づいている中で、G7としてどのようなメッセージを今回発していくべきだと考えていますでしょうか。お願いします。
(大臣)今回の大臣会合は、COP28においてグローバル・ストックテイクに合意して間もないタイミングで開催されるということでございます。G7としての気候変動や環境に関する決意を、スピード感を持って世界に示すことが重要だというふうに考えております。
 世界全体で取組を推進するため、G7での連携がますます重要だと思いますし、G7の一員として、そのリーダーシップを世界に示すべく、議論に積極的に貢献したいというふうに考えております。
 交渉中につき詳細は差し控えますけれども、次期NDC、これについては、G7はもとより、主要経済国を含む全ての国が1.5度目標の達成に向けた取組、これを最大限に進めるべく前向きなメッセージを打ち出せるように、我が国としても尽力してまいりたいと、そのように考えております。
 
(記者)熊本日日新聞の髙宗です。
 冒頭、大臣からも御説明がありましたけども、5月1日の水俣病犠牲者慰霊式の参列の件でお尋ねしたいと思います。水俣病問題が解決しない中で、今回、大臣として初めて現地に行かれるわけですが、現地に足を運ぶ意義、慰霊式にどういう気持ちで臨まれるか改めてお願いします。
(大臣)水俣病は環境が破壊され、多くの方が健康被害で苦しまれてきた我が国の環境問題の原点だと思います。
 今回、政府を代表して水俣病によって亡くなられた方々の御冥福を、心を込めてお祈りしたいと存じます。
 そして、また語り部の皆様や関係団体の方々を含めて地域の声をしっかり拝聴してまいりたいと、そのような気持ちでおります。
(記者)過去の閣議後会見だったと思いますが、大臣、被害者の方とお会いしたいというような発言もあったと思います。今回、語り部の方、または患者団体と懇談の場が設けられますが、具体的にどういったお話をされたいというふうにお考えでしょうか。
(大臣)まずは、皆さんのお話をお伺いすることが一番大事だろうと思います。その上で、現行法律の下で、政府としてできる限りのことをしたいということをお話ししようと思っておりますけども、まずはお聞きすることが重要だと考えております。
(記者)ありがとうございます。
 最後にお尋ねしたいんですけども、先日新潟地裁で、全国で提訴中の集団訴訟の判決が出て、昨年6月から、地裁レベルではありますけど、判決が3つ続いています。
 水俣病問題、司法の場でまだ争いは続いているんですけども、なぜその水俣病問題は解決しない、終わらないんだろうと、大臣はどういうふうなところに原因があるとお考えでしょうか。
(大臣)私、原因は必ずしも1つではないと思いますけれども、これは環境省が生まれた一番の理由のことでもありますし、初めに閣法がありましたけど、その後二度にわたり、議員立法での法律を含め救済が行われたわけでございますけれども、理由が1つではないと思うので、ちょっと即答するのは答えられないと思いますけども、とにかく我々は今行政側にいますから、行政側としては現行の法律に応じて最大の努力をしてきたところでございますけれども、そこも含めていろいろな世の中の御意見、また状況があって、今日があるというふうに思っております。
 
(記者)環境新聞、小峰です。
 G7の環境大臣会合についてお尋ねします。先日、首相官邸で開かれた経済財政諮問会議で、臨時委員として出席された伊藤環境大臣は、次のように発言、主張しています。
 脱炭素のネットゼロ、それから循環経済のサーキュラーエコノミー、そしてネイチャーポジティブの統合的実現を主張していましたけれども、今回のG7気候・エネルギー環境大臣会合でも、この辺は主張されるんでしょうか。
(大臣)発言もすると思いますし、今回も二か国会談も幾つか行う予定でありますので、閣僚級会合、あるいは全体セッション、また二か国会談を通じて、言えるタイミングと言えないタイミングがありますけども、言えるタイミングについては、そのようなことをしっかりと主張してまいりたいと、そのように思います。
(記者)それに関連して、伊藤大臣は、英語、フランス語、イタリア語、中国語、ペラペラの堪能だと聞いていますけれども、今回のトリノのバイ会談等では、その辺の、イタリア語などを使って非常に活躍されるんじゃないかとも思うんですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。
(大臣)今回の会合は、イタリアで開かれますけれども、基本的には英語でやるとお聞きしております。
 ただ、イタリアの環境大臣と会う際には、全部というわけにはいきませんけれども、一部イタリア語で話すこともあるだろうと考えております。
 
(記者)エネルギージャーナル、清水です。
 熱中症対策で伺いたいんです。もう既に熱中症として命名されて、亡くなっている人が年間1,300人以上、やっぱりこれ、環境問題として、きっちり位置づけるべきだと思うんですよ。恐らく現行の環境省の法体系でも、きちっとこの熱中症対策は位置づけられていないと思う。
 ですから、短くしますけども、やっぱり対症療法的な暑さ指数とか、そういう話だけじゃなくて、根本的な、構造的な対策をやるべきだと思うんですよ。例えば、透水性舗装とか、都市づくりとか、それから、神宮じゃないけど、緑を切ったら、それできっちりその対応をさせるとか、そういう構造的な対策を、暑さ指数もいいけども、それはあくまで予報であって、クーリングシェルターもいいけれども、対症療法じゃないですか。その辺どうですか。
(大臣)まさに御指摘のとおり、そのためにも、今提出中の地球温暖化対策推進法案もあるわけでございますけれども、熱中症対策、地球が暑くなったことによって起きているわけですから、そのためにも2050年の二酸化炭素・温室効果ガス、ネットゼロについて、しっかり進めなきゃならないと思うし、一番の根本的なのは、地球を暑くしないことだと思います。それは日本一カ国だけでできることじゃない。
 その次に、そうはいっても暑くなるわけですから、今回2段階の熱中症のアラートを出すようにしました。それから、今ちょっと触れられたようにクーリングシェルターですね、指定暑熱避難施設の開設、これもなるだけ幅広く日本全国の必要なところに設置するということだろうと思います。
 でも一番は、何といっても地球を暑くしないことです。そのためには、やっぱり二酸化炭素の排出を減らすと、全世界で減らすということが一番の根本の対策だろうと考えております。
(記者)それで、さっきの小峰さんの話じゃないけど、G7に行かれるならば、ぜひ熱中症対策の根本的なところを、やっぱり、議論してほしいなと私は思うんですよ。というのは、例えば日本なんかは、もういろんな暑さ対策をやるならば、なぜ夏休みの2週間とか3週間ぐらい夏休みの熱中症期間として、制度的に取るようにするとか、働き方改革をやるとか、そういうことを、海外なんかもやっているところがあるみたいですけど、もっと根本的な対応というか、そういうのが必要だと思うんですけれども、ぜひ伊藤大臣に、得意の語学で、そういうところをきっちり吸収していただきたいな、そして、かつ、日本で実現してほしいなと思うんですけど、どうですか。
(大臣)御指摘を踏まえて、私の能力、環境省の、できる限りの努力をしたいと思います。
 気候変動に対して、もちろん緩和もありますし、適応というものもあります。どうしても暑くなる分、どうしていくか。クーリングシェルターもその1つでありますけれども、国によっては、暑くなったことによって氷が溶けて、海水の高さが上がって、もう沈んでしまうかもしれないと言われている国もあります。そこも含めて、G7でもCOP28でも議論は続けております。
 それから、ホリデーというか、暑さに応じて夏休みをどうするかという問題、これは環境省一省で決めることではありませんけども、その点についても議論について、主導できればというふうに思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 全く別件なんですけど、いわゆる気候工学、ジオエンジニアリングというものについてお願いしたくて、いわゆる大気中に微粒子などをまいて気温を下げるなどの技術なんですけども、3月にあったUNEAで、この気候工学の議論を求める提案があったわけですけども、一方で、アメリカのスタートアップ企業なんかも実際にやり始めているところもあるということで、日本として、このジオエンジニアリングの是非であったりとか、ルールづくりについて、どのように考えているのか、あるいは、国内の活動の状況などについてどのように把握されているのかということについて聞かせください。
(大臣)お答え申し上げます。このジオエンジニアリング、最近ある意味で注目されておりますけども、その中で特に太陽放射の反射を高めて、気候システムを意図的に改変する、いわゆる太陽放射改変については、国際的に、まさに様々な議論があります。例えば、本年2月に開催された第6回国連環境総会(UNEA)においては、太陽放射改変のリスクに関する決議案がスイスなどから出されまして、最終的には、この提案は取り下げられました。
 また、昨年3月に公表されたIPCC、この第6次評価報告書の統合報告書でも、この太陽放射改変については、人々や生態系に広範な新たなリスクがもたらされることにもなるが、そのリスクについて十分理解されていないという言及がありました。
 このため、太陽放射改変については、科学的、技術的な課題に加えて、環境や社会経済への影響という観点からも慎重な評価が必要である。まだその慎重な評価をどういうふうにするかという段階にあるというふうに認識しております。
 国内の研究機関や企業が行う太陽放射改変の研究開発などの状況は、まだ環境省として、必ずしも網羅的に把握しておりませんけれども、国際的な議論も含め、今後の動きをしっかり注視してまいりたい、そういうふうに考えています。
 
(記者)産経新聞の織田でございます。よろしくお願いします。
 今日は、太陽光パネルの廃棄のことでちょっと伺いたい、廃棄リサイクルのことで伺いたいんですが、先般、いろいろ火事が起きて、その扱いづらさというのが改めて注目されていると。さらに、安価で輸入したものについては、ヒ素とか、そんなものも入っていて、なかなかその分別も大変だったりすると。
 1月に検討会で中間報告というのがありましたけれども、現時点での大臣のこの問題についての問題意識と対応といったところをお伺いしたいと思います。
(大臣)この問題はもう、私は随分前から非常に注目しているというか、危機意識を持って関心を持っていることでございます。
 2030年代の中頃になるのかな、今設置されている太陽光パネルの大量廃棄というか、寿命が来るという時期があります。こういうものが、やっぱり安全に廃棄されることが非常に重要であります。太陽光パネルは大きく言えば、ガラスの部分と金属と、中にあるセレンとか鉛の部分があります。一番問題なのは、中にあるセレンだと思いますけれども、これがしっかり無毒化される、土に流れないということが大事でありますので、実は、技術開発も進まれておりますけれども、その大量廃棄が起きる前に、それをしっかり、技術を確立したいと思っていまして、そのためにも、今提案中の法案でも、リサイクルの高度化というものをうたっています。そして、リサイクルを高度化することに対する助成措置というものもあるわけです。
 まだ完全に完成した技術ではありませんけれども、熱分解によってガラスの部分と間に挟まってるセレンとの部分をうまく分離できるという技術も今、進みつつありますので、そうすると、逆にその部分を、今度は資源として利用できるということに進めるわけでございまして、そのために今提案中の法案というものは非常に重要だと、そういうふうに考えております。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/Bi-QZ0l-0dc?si=l5Mrfc0NOGtQZU-E
 
 

(以上)

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