厚労省・新着情報

日時

令和6年3月1日(金) 10: 00~13:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム

議題

  1. 1 後発医薬品の信頼確保へのさらなる取り組みについて
  2. 2 後発医薬品産業における人材育成の課題について
  3. 3 医薬品の製造委受託における安定供給の確保について
  4. 4 後発医薬品産業の在るべき姿と対策の方向性(論点)について

議事要旨

議事内容
はじめに
○ 製造業支援の観点から、経済産業省がオブザーバーとして出席した。
○ 日本製薬団体連合会が参考人として出席した。(プレゼンテーション実施の後、退出)

議題1  後発医薬品の信頼確保へのさらなる取り組みについて
○ 資料1-1について事務局から説明があり、続けて、資料1-2について日本製薬団体連合会からプレゼンテーションが行われた。構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・自主点検をしても誤記、齟齬を一掃することは困難。なぜ誤記、齟齬が発生するのかという原因に踏み込んで、新しく文書を作成する際同じ轍を踏まないようにすることが必要。予防保全としての一斉点検の際、異常に対する検出力や感度が問題で、自社のドキュメントを見ているだけだと違和感に気づくことは難しく、各社横断的に薬事的な間違いを見つけることに特化した人間が監督して進めなければ検出力を強化することはできない。一方で、企業は製品標準書・製法の手順・記録を他社等に提示することには懸念を示す。こういった問題を解決していく必要があるのではないか。
・従業員ヒアリングについて、罰せられるかもしれないプレッシャーがあると本当の話がしにくい。従業員がいいやすい環境整備を経営者が継続的に行い、クオリティーカルチャーを醸成し、その上で人材育成や意識改革、能力改善など長期での企業の風土改善を継続的にやらないと問題をあぶり出せないのではないか。
・自主点検で問題の有無がきちんと報告されるよう、自主点検結果を受けた一変申請などの薬事手続は素早く対応するなど、報告することのインセンティブを考えるといいのではないか。
・外部の専門家の活用や派遣があれば、自主点検の垣根が下がるのではないか。
・例えば医療機関の医療安全については監査委員会における外部委員の監査や特定機能病院間のピアレビュー、第三者評価等がある。今回の自主点検も単発的な取組に終わるのではなく、企業内、企業間、業界としての取組、第三者による評価などの、持続的な改善・維持をどう図っていくか企業・業界において考えてもらうといいのではないか。
・4月から統一チェックリストによる点検に向けて点検項目の標準化など間に合うのか。
・完全に隠蔽、改ざんを見つけるのであればフォレンジックな調査手法を取るしかないが非常に時間がかかる。人手や期間が足りないのであれば何かしらのヘッジする手段が業界として必要なのではないか。
・外部専門家が短期間入っても隠蔽が即座に分かるわけではない。また、医療機器の方はISO13485の認証機関がQMS省令に従った調査をしてよいが、医薬品のGMPはそういった第三者認証機関がなく、どういった会社に依頼してよいか疑問。色々な薬事コンサルタントがいる中で、本当は何らか要件があったほうがいい。

議題2  後発医薬品産業における人材育成の課題について
○ 資料2について安本構成員から説明があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・日本では教育が個社に委ねられており、リソースが足りない会社は人材育成のプログラムが出来上がっていない。デュアルユースで治験薬を製造しつつトレーニングする試みもあるので、これを充実させ、実技・座学ができる仕組みを作るべきではないか。
・オペレーター層として高専や工業高校卒の方に正確なオペレーションと生命関連品としてのフィロソフィーを植えつけることが必要。定期的な評価をしつつ人材育成にもつなげていくという意味では、企業の風土改善はポイントになるのではないか。
・個社では限界があり、業界団体で、講座の開催や認証バッジ付与等、トレーニングの機会を提供するというのもあるのではないか。
・マネジメント側の教育について、品質でミスがないことや出荷ができるということを評価すると隠蔽につながる。評価指標として、アウトプットの結果だけでなく問題解決やプロセス面を評価項目の中に入れることで、マネジメント側の行動を変えていくこともトレーニングと併せて考えるべきではないか。
・先発品メーカーと後発品メーカーとで教育訓練に差があるのであれば、先発品メーカーに技術指導の面でサポートしてもらうような委受託の関係なども結ばれれば業界全体として向上していくのではないか。
・先発薬から後発薬への技術移転について、書面上の技術や仕様、トラブルシュート等は移転できてもそこに至る考え方は移転されない。先発薬同士の技術移転は教わる側が人を送り込んでトレーニングを受け、自分の工場に戻って横展開をする。後発薬メーカーと先発薬メーカーのギャップが大きく、開発一つとっても考え方が異なり、かみ合わない。
・人でやる限りデータの改ざんや隠蔽のリスクというのは出てくる。LMSシステムなどデータ改ざんができなくなるシステムもあると思うが、人の手以外のもので補完することはできないか。
・LMSという外部からの介入を全て記録に取るシステムもあり、生産もMESという生産管理システムで介入が記録されるものはあり、人が見たものを記入しない、自動でセンシングしてありのままを記録・保管するシステムでのサポートも大分進んではいる。ただどこかしらで人の介入や人が主観で書き込む記録は出てきてしまう。
・6、7割くらいの転職者が異業種の未経験参入となっている。大手の生産職は待遇がいいので転職する必要はないが、勤続年数が短い後発品メーカーは異業種からの転職の受け皿になっているのではないか。
・後発品メーカーで未経験の中途採用が多い背景として、経験者が処遇を落として転職する形の転職人材プールというのが少ない。また後発品メーカーの工場の多くが地方に多く産業が集積していないため経験者が生まれにくいことが考えられる。

議題3  医薬品の製造委受託における安定供給の確保について
○ 資料3について事務局から説明があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・必要な関連規制は揃っている一方で、業許可の取消しのような重い処分に踏み切れない状況。例えば、警察権を持っている米国FDAでは、重度の隠蔽・改ざんがあった場合は経営者がそのまま連行されるということも聞く。人命を扱うものに関しては、品質に関わる改ざん・隠蔽が割に合わないものになるよう、抑止力を持たせるのがいいのではないか。
・委受託の規制は困難だが、後発医薬品メーカーで先発品を受託し製造している場合、供給不足の場合に先発品の供給を止めれば後発品の生産に使えるのではないか。後発医薬品メーカーがどのくらいの先発品、長期収載品を製造しているかといった実態も把握できていない。
・先発メーカーは品質管理やスキルなどが不十分なところになぜ委託してしまったのか。委託元による品質管理や製造キャパのチェックは不十分ということか。どこから委託を受けて製造キャパが十分あるかの確認もできない中で、委託を過剰に受け品質がおろそかにされてしまうというおそれがあり、改善が難しそうな印象。
・過剰受注については、ラインの稼働計画や生産管理の資料をみて、GMP上求められる標準工数から、著しく工数が短いことなどを検出するアプローチがあるが、分析や品質管理の専門家が監査にいくと生産管理は詳しくなかったりするので、生産管理から品質管理まで幅広く見られる人が少ない。
・委受託の受託側として後発医薬品メーカーがどういった先発医薬品の受託を受けているかを見ると、信頼感やブランド力が増すという広告効果もあるのではないか。

議題4  後発医薬品産業の在るべき姿と対策の方向性(論点)について
○ 資料4について事務局から説明があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・本検討会の検討事項として「上市に当たって十分な製造能力等を求める仕組みの構築」を検討することになっているが、論点として具体的にどこに記載されているのか。事後的に供給実績を確認するだけでなく、事前にこの企業に薬価収載させて大丈夫かというチェックはどういうふうにされるのか。
・安定供給能力の確保について、後発品メーカーだけの問題ではなく先発企業を含めて全ての医薬品に求めることではないか。今は法令に基づく制度化はされていないが検討するべきではないか。
・令和6年度薬価制度改革により長期収載品に選定療養費が入ってくるので、長期収載品の市場が抑制的になってきたときに、先発メーカーが長期収載品からAGに切り替えて自分たちの市場を守る方向になると、現状以上にAG依存が広がるのではないか。中長期的な産業やイノベーションの評価を考えたときに先を見据えた記載をするべきではないか。
・「国際的に整合したリスクベースの変更管理」について、承認事項との齟齬があるときに品質にどこまでインパクトがある齟齬なのかしっかり考える必要がある。
・2005年の薬機法改正からGQP、製造販売制度というのが設けられたが、GQPが本当に機能しているのかも含めて製造販売制度の在り方は検討するべきではないか。
・本検討会の検討事項にも「安定供給の確保に向けた政府による基盤整備」とあるが、人材の教育、人材不足への対応や企業間の連携を含めて政府全体でどのような枠組みで支援していくか。
・「後発医薬品産業の在るべき姿」について、供給不安、品質への信頼性を失っている状況の中での守りのあるべき姿を書かれている。当面の問題も解決しなければいけない一方、もう少し先をみて輸出産業にできるような方策を取れないか。
・上市の段階で、薬価が0.4掛けであっても元々の市場が大きいので数%のシェアでよいのだという考えで参入してくる企業がある。結局安い薬価になり、保たないので撤退したいということになり、品目数が多くなって、品目統合の議論になっている。今すぐは難しくても、製造能力・生産能力があるのかしっかり確認した上で、ある程度の数に絞った上で薬価収載を認めるといったことが必要なのではないか。
・産業育成の観点で、ジェネリック・ロスについて後発品をつくってくれるような環境・規制の整備みたいな観点も入れるべきではないか。
・「集中的な改革期間」について、一つの提案として5年とすれば、医療費適正化計画や医療計画等他の施策のスパンに合わせて、例えば2029年を目標とすることが考えられる。
・後発品メーカーの将来ビジョンを明らかにしないと結集が難しい。業界団体がつくるのが筋だと思うが、後発品メーカーの産業ビジョンをつくる提案を報告書の中でしたらどうか。
・業界を語ることは必要だが、今大出血をしている中で将来のことを書いてもその場合じゃないというところもある。タイムラインとして、例えば直近は5年でこれを解決して、その前半では今の出血を止める。その間に並行して将来ビジョンを定めて、5年後を迎えた段階では新たな産業像に向かって進み出している状況をロードマップとして描いて生きつつ、産業ビジョンをつくっていくような話ができるといい。
・業界団体機能の強化について、将来に向けて業界が何をするべきか、どうなるべきか、それに必要なことを提言できるような業界団体を作って行くべき。業界団体の強化を入れてもいいのではないか。
・原薬が後発品の要になっており、原薬問題にフォーカスを当てることが必要。当面は安定供給確保医薬品のける原薬の状態等を検討し対策していくのとあわせて、後発医メーカーにおける委受託の考えを示していく必要があるのではないか。
・厚労省の医薬品産業ビジョンが直近2021年に取りまとめられているが、大きな枠組みの中にきちんと位置づけられていけるといいのではないか。あるべき姿について、スタート地点なのかゴールなのか、期間に沿った形で示していけるといいのではないか。
・2ページの業界再編、企業間の連携・協力の推進について、協業体制というのを入れてもいいのではないか。
・委受託の個所に記載の「企業間の連携・協力を推奨していく中においても」がキーポイント。人材不足の関係で、機能ごとにプレイヤーを分ける考え方が機能することもある。委受託について課題も記載しつつ、効率化などの可能性も掘り下げたほうがいいのではないか。
・作る側・使う側のエコシステムの中で、例えば医療現場や卸など後発品産業のプレイヤー以外のところで無理のない範囲でできることがないか検討する余地はあるのではないか。
・協業・コンソーシアム・企業結合について、メリット、デメリットは企業によって観点も違う。それらのメリットを整理して、後発品の産業構造を少しでも改善をする方法の一つとして十分に考えられるところを示せればいいのではないか。
・安定供給について、医療機関が卸に発注して納品される通常出荷の状態を確保することが一般的な考えである一方、例えば処方箋・患者数から見積もったニーズを満たす量を確保する考えもある。安定供給とはどういう状態かということを定めるのも大事ではないか。
・協業にあたり、委受託の観点でノウハウ・知識の移転が大切。移転元が移転先にちゃんとした情報を出すか、そして移転先がしっかり作れるまで移転元がしっかりフォローをしていくことも踏まえて、ガイドラインやあるべき姿を文書化するべきではないか。
・例えば注射製剤は特殊な技術がないとできず特定企業に委託が集中する。委受託についてもう少し明らかにしたうえで、育てていかなければいけない技術については国も支援しながら、輸出産業にできるぐらいのビジョンを持ってやっていくことが必要ではないか。
・原薬の問題は非常に深刻。中国、インドなどに集中している。バイイングパワーが弱く現地査察もなかなか認めてもらえない意見も聞く。産業としてはある程度大きくして、外に向けて出て行くぐらいの力を持たないと原薬も安定的に調達できないのではないか。産業構造の在り方というからには、その辺りも含めてしっかり書いたほうがいいのではないか。

おわりに
○ 事務局から、第11回は3月27日(水)を予定していることを案内し、散会となった。

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