厚労省・新着情報

日時

令和6年3月27日(水) 16: 00~19:00

場所

AP虎ノ門 Bルーム

議題

  1. 1.後発医薬品産業の在るべき姿と対策の方向性について

議事要旨

議事内容
はじめに
○ 製造業支援の観点から、経済産業省がオブザーバーとして出席した。
○ 日本ジェネリック製薬協会が参考人として出席した。(プレゼンテーション実施の後、退出)

議題1  後発医薬品産業の在るべき姿と対策の方向性について
○ 資料1-1について日本ジェネリック製薬協会からプレゼンテーションが行われた。構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・業界団体としてどのような体制を構築するか。ロードマップをどうするか。業界団体の組織体制の見直しなどは考えているか。
 
・新薬系メーカーと比較して、後発品の業界団体や後発品メーカーの強みはどこにあると考えているか。
 
・日本ジェネリック製薬協会以外でも後発医薬品を製造している企業が多くある中で、アライアンスを検討するうえで、信頼できる相手をどのように探していくのか。
 
・品質問題で出荷差し止めになった場合、先発品メーカーでも自社だけで解決できないと世界中からコンサルを呼んで早期に問題を解決するための計画を作り実行していくのがスタンダード。各社で製造技術力を高めて問題を解決させるというスタンスは製薬業界の常識とギャップがある。
 
・GMPを適切に運用するというのは一定のコストがかかる。出荷額に対して固定費となるGMPのオペレーションコストが過大な企業は危険水準。そういう企業についても自助を求めるスタンスか。
 
・長期収載品や投与実績で安定性が実証されているものについて厳しいGMP基準を維持しなければいけないかはひとつのアカデミックなテーマではある。後発品には後発品の適正な品質管理水準があるという考えもあると思う。薬事の手続論等で出荷停止等にしていのが7~8割くらい。長期安定性試験をとり直さなければいけない、BEをやり直さなければいけない、1個1億円かかる。当局に持っていくと、原則全てが再審査と同じステップで簡易な変更が認められない。供給の再開に向けての大きな薬事上のハードルになっている。大きな会社だと40、 50製品供給停止となっていて、月に2個までしか変更できない。供給再開まで少なくとも3年かかる。
 
・4月から3回目の自己点検を実施するにあたり、これで最後だと思ってしっかり対応する必要がある。
 
・「自社で開発・製造できないものは、他社へ委託」「営業力を活かした販売に特化(ファブレス化)」とあるが、あまりにも安易に製造委託することで問題が生じる部分もあるのではないか。入り口のところで自社製造できないものを他社に委託して販売していくことについても制限があっていいのではないか。
 
・「役割の明確化」について、進んできているのか、仮に進んでないとすれば何が障壁になっているのか。
 
・共同投資やシェアードサービスで業界全体の効率性を高める、包装規格の集約化といったものはどのメーカーもぶつからず業界全体として望ましいと思うが、協会としてこういうふうに進めていこうという議論はあるか。
 
・各社の役割を明確化してそれぞれの機能を強化していくという話は、企業の基本的な考え方に沿った発想になると考えており、これを進めていくに当たっては、マインドの変更やパワーが必要。今後も継続して発信することで進むきっかけにはなっていくのではないか。
 
 
○ 資料1-2について柳本構成員から説明があり、続けて、資料1-3について事務局から説明が行われた。構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・「●年程度の集中改革期間を設定して早期に実現」に対応するロードマップの作成、あるいはそのフォローアップが必要ではないか。
 
・「対策の方向性」の柱について、順番として2番(安定供給能力の確保)と3番(持続可能な産業構造)が逆ではないか。
 
・「業界再編や企業間の連携・協力の推進を業界自らのイニシアティブで進めていくべき」とあるが、実際これはできるのか。
 
・無通告査察の推進により緊張感のある記録の整備には一定の効果があるが、検出能力という部分ではまだ打ち手がある。薬事監視における査察の指摘事項は、日本では非公開であるが海外では開示されており、公開したほうがいい。他社での指摘事項を参考に自己点検で確認するなどにより業界の対応レベルの向上になる。
 
・都道府県において2~3年の人事ローテーションの中で査察のスキルをどう磨くかは大きなテーマ。無通告査察のタイミングも定期みたいになっており、都道府県への教育訓練も担当者の人事異動で蓄積されない。PMDAのほうもリソースが限られ、大幅に査察官を増やせる状況でもない。どこかのタイミングで大きなメスを入れていかないといけない。
 
・後発医薬品の特性に合わせたGMP等の薬事制度について議論があってもいいのではないか。新薬が培ってきた実績がある中で全く同じプロセスや規制は必要ないはず。
 
・個別の不適合事例を見ると、届出上の問題や規格値について、例えば含量の幅をプラスマイナス5%としている中で、機械で製造すると下限を下回って長期の安定性試験をすると不合格になってしまう場合がある。しかし、その含量の多寡は欠品を起こしてでも守らなければいけないか。薬によって許容できる幅をもう少し広く見たほうが結局は患者の利益になるのではないか。
 
・人事評価の項目の中で、個々の従業員やマネジメントにおける品質管理が割合としてあまり重視されていなかったり、多く生産・販売した人が昇進し、真面目に品質管理した人があまり評価されていないのではないか。
 
・点検管理の更なる徹底がこれまでの自主点検と何が違うか見えにくい。JGA会員企業以外も入ることや、自主点検項目の厳格化なども記載すべき。点検結果の公表についても記載すべき。
 
・誤記、齟齬等の薬事の違反事項について多くの企業で同じミスが重なっている。集中的に見るべきチェックポイントの例やプロシージャーのガイダンス、モデル例等を行政から発出してはどうか。自己点検の方法に規制がないので、何となく報告書をまとめる会社、方法論から検討する会社がある。本来は第三者が点検し、結果を集計すれば、行政としても薬事の申請・認可の手続で活用できる貴重なデータになる。
 
・全規格揃えに関して、生産キャパシティの確保の観点で生産切り替え時のダウンタイムを減らすことを考えたときに、先発メーカーの嫌がらせ的な非汎用規格もあったりする中で、本当に全規格揃えを収載時から求めるのか。全規格揃えをなくすとさらに参入のハードルが下がって参入数も増えるということはありつつ、当初から数量の少ない規格に関しては、先発品に委ねる判断があってもいい。
 
・薬価基準に同時に収載するものが7つを超えたら一切収載させないというならともかく、薬価を0.4掛けにするということであれば、7品目というのは若干数が多い。中長期で見たときに見直しの可能性があったほうがいい。
 
・特許期間がある新薬と、その後何十年と供給する後発品とで、同じように薬価改定するというのは無理な話。持続的な産業構造にも大きな影響を与えている。薬価改定の構造自体が後発品に求める使命に合っていない。本当に変えられるかはともかく問題提起はしてもいいのではないか。
 
・責任ある企業が最初から入ってしっかりと安定供給してくれるのが理想的。不安定な企業や責任感のない企業が安易に参入できないよう、ペナルティ的な要素、例えば新規の薬価収載については厳しく対応することも必要ではないか。
 
・特許切れの3~4年前から、共同開発の幹事社が各社に声をかけるので、その時点で7社超えるかどうかは開発時にわかる。上市後は、幹事社は売上の何%取るという事業構造になり、幹事社がシェアを一番とるなら、他の企業は足りない分を細々と作る、工場のラインが空いているときに空いた分だけ作って供給する。今後承認する際には少なくとも10%以上のシェアを5年間維持できますかという宣誓を厳格に見るようにすると、クリームスキミングするような企業が二の足を踏むようにはできる。
 
・独禁法については、企業結合はセーフハーバーを見て普通にやっていけばそれで足りるが、その前段階の業務提携や企業提携、コンソーシアムといった提携関係の部分は、結合してその企業がなくなるわけではないので、あくまで契約等に従ってお互いにやりとりをしていくので、似ていて少し違う部分がある。また、業務提携は情報の共有などを図っていくため、カルテルにつながりやすい。情報共有そのものは違法ではないので誤解を招きやすいが、カルテルの判断の際に、意思の合致・疎通があったという事後的な認定の際の事実になるので、情報共有しないようにしましょうという話がある。2つの側面を分けて公取に整理してもらった方がいい。
 
・情報交換などが不当な取引制限と呼ばれる結果につながるかどうかは、情報遮断措置を講じるなどのプラクティスがあるので、そういったものも含めて事例集や典型例で提示していくなどにより一歩踏み出しやすい環境になるのではないか。
 
・公正取引委員会の説明で、情報交換して増産に向けて対応できる事例があったが、緊急事態であることが留保されていた。今回想定しているものが違法ではないというスコープに入るか必ずしもよく分からない。コンソーシアムは情報交換をしたり長期にわたるデューデリジェンスのようなもの。競争法の観点からはリスクがあるが、できること、できないことを改めて整理するべきではないか。
 
・企業結合がない中で品目整理を図ろうとすると、同成分の品目があるか、シェア、納入価や原価の情報共有もする可能性があり、そういう情報共有も競争法の観点から疑義が呈される可能性がある。現在のような安定供給上の緊急事態の間は何らかの措置があれば大目に見られるという公取としての整理を公表してほしい。
 
・市場にとっても良い形で品目統合する場合は、赤字だとか仕入れ値だとかにも踏み込まないと、非効率な物を作ると消費者に対してマイナスになる。例えばM&Aのデューデリジェンスの際はクリーンチームみたいな形でしっかりと価格・数字を全部見てやったりもするので、第三者的な組織、社内で独立した特殊な職種によって情報交換することもあるのではないか。
 
・新薬だと競合がなくなかなか改良されない一方、後発品はメーカーが医療安全や使いやすさの面で工夫し差別化が図られる。多くの技術を持ち色々な製剤をつくれるのは後発品メーカーの強みであり、将来の産業の発展につながるような技術への投資などは支えていくのではないか。
 
・薬価の三価格帯集約で企業努力が適正に認められるか分からない中で、製剤の工夫にコストをかけない後発品メーカーもいる。後発品メーカーの努力が適切に認められるような薬価について引き続き議論を要するのではないか。
 
・価格について、製剤の付加価値で勝負するのか、値引きで少しでも多くの医療機関に納めようというところで頑張るのか、企業努力の方向性もあるのではないか。
 
・この産業を育成していくというところも重要な視点であり、できれば日本から海外に輸出できるくらいに育ってほしいところもある。産業構造の在り方として、日本発の後発品が出ていくような支援も書いたほうがいいのではないか。
 
・集中改革期間について、ある程度業界再編のできる期間なのか、足元のことを解決する期間なのか、整理したほうがいい。

おわりに
○ 事務局から、第12回は4月24日(水)を予定していることを案内し、散会となった。

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