経産省・新着情報

2024年5月21日(火曜日)
10時33分~10時44分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

なし

質疑応答

半導体産業の人材確保・育成

Q:1点なんですけれども、先週末のラピダスの視察に関連してなんですが、半導体産業の方では今、研究者を含めた人材育成の必要性が叫ばれております。九州の方では、産官学による取組も進んでいるようなんですけれども、今後、ラピダスの立地する北海道ですとか、そのほかの地域での人材の育成についてのお考えをお聞かせください。

A:おはようございます。重要な御指摘だと思います。ラピダスプロジェクトを始め、半導体に関する産業政策の成果を、我が国の産業基盤としてしっかり根付かせていくためには、人材の確保・育成にしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。
経済産業省では教育機関と半導体関連企業の連携を通じて、半導体人材に関する地域のニーズを把握しながら、具体的な人材育成を進めていく「地域人材育成コンソーシアム」を全国6地域で立ち上げています。
北海道においても、昨年6月に「北海道半導体人材育成等推進協議会」を設立しました。北海道大学や高専、ラピダスやその他の半導体関連企業も参加し、企業による講師派遣を通じた実際の生産現場に即した実践的カリキュラムによる人材育成などの取組が、既に始まっていると認識しています。
こうした地域単位での取組に加え、日本の将来をリードする半導体の高度人材の育成を進める主体として、LSTCを発足させており、今後、海外の研究機関等との人材交流などを通じたトップ人材の育成についても進めていく方針です。
また、週末の視察では、私自身、ラピダスの若手社員の方々とも直接意見交換をさせていただき、半導体復活に賭ける若い人たちの情熱や誇りは、私が想像していた以上のものがありまして、大変頼もしく感じました。
また、彼らの大学の仲間が、このラピダスプロジェクトに大変関心を持っているという話も伺いまして、高専卒業の方から博士課程修了の方まで、専門性を持った若者達が、半導体産業に高い関心を持っていることを実感しました。
今後、日本の半導体産業が世界最先端を目指していく中で、国内外の優秀な人材が、更に日本の半導体産業に集まってくる面もあると思っています。引き続き、関係機関とも連携しながら、半導体の人材育成に関する取組を拡大しつつ、我が国の半導体産業の国際競争力強化に向けて全力で取り組んでいきたいと思っています。

中国の日本水産物製造施設登録削除

Q:中国が日本の水産業者へ認めていた加工施設などの登録の効力を、5月になって停止しました。この措置は処理水の海洋放出に起因しているという見方もできると思うんですけれども、大臣の受け止めを伺えればと思います。

A:中国政府において、食品輸入を管轄する海関総署のウェブサイトから、我が国から水産物輸出が可能な登録水産物製造施設の情報が全て削除されているということが確認されたと承知しています。この件について、日本政府から中国側に説明を求めていますが、現在まで回答はないと報告を受けており、どのような意図や効果があるのかは正直不明であります。
いずれにしても、昨年8月以降、中国が日本産の食用水産物の輸入を全面的に一時停止したことは全く科学的根拠に基づかない措置で、大変遺憾です。引き続き、関係省庁と連携し、規制の即時撤廃を求めていく所存です。

ディスプレイ産業支援の振り返り

Q:ディスプレイのことをちょっと伺いたいんですけれども、我が国のディスプレイが、シャープが先日、テレビの生産をやめるとか、それからジャパンディスプレイ、こちらも11年連続の赤字の見通しというようなことで、特にジャパンディスプレイなんかはもともと産業革新機構の主導だったわけで、日の丸液晶として国を挙げて支援していたのがうまくいかなかったということがあるわけです。これについての今の時点での受け止めと、今後ラピダスとか、やはり国が旗を振って産業振興していく上での何か知見というか、というところがあったら伺いたいというふうに思います。

A:まず、ディスプレイ各社に対する政府からの支援について、期待された成果が必ずしも上がっていないというのは事実で、私は極めて残念に思っています。
一方、各社足元においても事業再建や新たな事業展開を検討しているところです。そうした状況を注視しながら、各社とは引き続きしっかりコミュニケーションをしていきたいと思っています。
その上で、ディスプレイ産業に対する政策支援の結果をしっかりと検証し、半導体政策も含めて他の政策に活かしていくことは重要です。
ディスプレイ支援に関して申し上げれば、政策当局としても世界の技術・ビジネスモデルの動向に関する考察が甘かったのではないかと考えます。例えば、国内企業の合従連衡に注力したことによって、グローバルな技術・ビジネス動向から後れを取ったという点は否定できないと思います。
また、ディスプレイ産業は装置産業であり、需要動向も踏まえながら、適切な投資判断を行っていくことが極めて重要であるにもかかわらず、細切れで単発的な投資支援にとどまり、激化するグローバル競争の中で十分な投資支援策を講じることができなかったといった面もあると私は思っています。
このため、今回の半導体ラビダス支援については、こうした反省も踏まえ、技術面・ビジネス面でグローバルトップを目指すことを強く意識しています。具体的には、米国IBMやベルギーIMECとも連携することで、世界最先端の技術開発を追求するということ、また、投資規模についても、国として従来よりも一歩前に出る形で資金面の支援を継続しているといった点に活かされていると思います。
これまで、ラビダスの技術開発は順調に進んでいると認識しています。今後は、量産に向けた事業戦略の検討が、本格化してきます。
また、民間からの資金調達も拡大が必要であるなど、今年はラピダスにとって極めて重要な1年になると思っています。経済産業省としてもディスプレイ政策から得られた知見も踏まえながら、ラピダスプロジェクトの成功に向けて全力を尽くしていきたいと思っています。

次世代型太陽電池

Q:今日、一部報道でですね、ペロブスカイトの太陽光電池について、経済産業省さんを含めたおよそ150の団体で協議会を設置するというような内容の報道が出ております。これについて、現段階で経産省さんもその団体のメンバーに加わるというような書きぶりなんですけれども、コメントできることがあればお願いしたいのと、あと一般論として、旧来型の太陽光電池は中国勢にですね、シェアを奪われているという状況があると思います。ペロブスカイトの方は、原材料のヨウ素が日本で30%を占めているかと思うんですけれども、こういった生産体制の強化に向けた動きについてどのように考えているのかお聞かせください。

A:まず、次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力の強化を図るための総合的な戦略を策定するため、今月下旬から官民協議会を開催したいと思っています。官民協議会には有識者、メーカー、空港・鉄道、原材料、建設・不動産などの関係業界団体、あるいは再エネ導入に積極的に取り組む自治体など、幅広い官民の関係者に御参画いただければと思っています。
その上で、導入目標や価格目標の策定、あるいは国内サプライチェーンの構築、需要の創出や、国際標準の策定など、海外市場の獲得に向けた対応などを検討していきます。
御指摘の点については、ここで検討をしっかりさせていただきたいと思っています。官民連携の下で、世界に引けを取らない規模とスピードの両面で投資を実現し、次世代太陽電池の分野で世界をリードしていきたいと考えています。

以上

最終更新日:2024年5月21日

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