議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 国土交通委員長
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党・無所属の会; 立憲民主党・無所属; 日本維新の会・教育無償化を実現する会; 公明党; 日本共産党; 国民民主党・無所属クラブ; 有志の会; れいわ新選組
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-05-22
公布年月日 2024-06-19

要項または提出時法律案

第一 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部改正
 一 基本理念規定の改正                             (第三条関係)
  1 公共工事の品質は、公共工事等に関する技術の研究開発並びにその成果の普及及び実用化が適切に推進され、その技術が新たな技術として活用されることにより、将来にわたり確保されなければならないものとすること。
  2 公共工事の品質は、公共工事等に従事する者の休日その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の適正な整備について配慮がなされることにより、確保されなければならないものとすること。
  3 公共工事の品質確保に当たっては、新たな技術を活用した資材、機械、工法等の採用が公共工事の品質の向上に及ぼす効果が適切に評価されること等により、新たな技術の活用が価格のみを理由として妨げられることのないように配慮されなければならないものとすること。
  4 公共工事の品質確保に当たっては、調査等、施工及び維持管理の各段階における情報通信技術の活用(当該各段階におけるデータの適切な引継ぎ及び多様かつ大量のデータの適正かつ効果的な活用を含む。以下同じ。)等を通じて、その生産性の向上が図られるように配慮されなければならないものとすること。
  5 公共工事の品質確保に当たっては、脱炭素化(脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化を行うことをいう。以下同じ。)に向けた技術又は工夫が活用されるように配慮されなければならないものとすること。
 二 発注者等の責務規定の改正                          (第七条関係)
  1 発注者は、発注関係事務を、次に定めるところによる等適切に実施しなければならないものとすること。
   (1) 災害応急対策又は災害復旧に関する工事等(以下「災害応急対策工事等」という。)の実施に関する協定(以下単に「協定」という。)に基づき発注者がその実施を要請する災害応急対策工事等に係る三3の保険契約の保険料等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること。
   (2) 価格に加え、工期、安全性、生産性、脱炭素化に対する寄与の程度その他の要素を考慮して総合的に価値の最も高い資材、機械、工法等(新たな技術を活用した資材、機械、工法等を含む。以下「総合的に価値の最も高い資材等」という。)を採用するに当たっては、これに必要な費用を適切に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めるとともに、公共工事等の発注に関し、経済性に配慮しつつ、総合的に価値の最も高い資材等を採用するよう努めること。
   (3) 地域における公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるよう、地域の実情を踏まえ、競争に参加する者に必要な資格、発注しようとする公共工事等の規模その他の入札に関する事項を適切に定めること。
   (4) 地域における公共工事の品質確保の担い手がその地域で十分に普及していない技術を円滑に習得することができるよう、発注又は契約の相手方の選定に関し、必要に応じて、当該技術を有する民間事業者と当該地域の民間事業者との連携及び技術的な協力のために必要な措置を講ずること。
   (5) 災害からの迅速な復旧復興に資するよう、発注又は契約の相手方の選定に関し、必要に応じて、災害からの迅速な復旧復興に資する事業のために必要な能力を有する民間事業者と地域の民間事業者との連携及び協力のために必要な措置を講ずること。
   (6) 公共工事の契約において市場における労務及び資材等の取引価格の変動に基づく請負代金の額の変更及びその適切な算定方法に関する定めを設け、当該定めの適用に関する基準を策定するとともに、当該契約の締結後に当該変動が生じたときは、当該契約及び当該基準に基づき適切に請負代金の額の変更を行うこと。
  2 発注者は、発注者及び受注者の負担の軽減に資するよう、発注関係事務の実施に関し、情報通信技術の活用等に努めなければならないものとすること。
  3 発注者は、災害応急対策工事等の迅速かつ円滑な実施に資するため、公共工事の目的物の被害状況の把握に関し、当該目的物の整備及び維持管理について必要な知識及び経験を有する者を活用するよう努めなければならないものとすること。
  4 国、特殊法人等及び地方公共団体は、公共工事の目的物の維持管理を行うに際しては、当該目的物の備えるべき品質が将来にわたり確保されるよう、生産性の向上に配慮しつつ、情報通信技術の活用等により、当該目的物について、適切に点検、診断、維持、修繕等を実施するよう努めなければならないものとすること。この場合において、当該目的物の維持管理を広域的又は包括的に行うときは、必要な連携体制の構築に努めなければならないものとすること。
 三 受注者等の責務規定の改正                          (第八条関係)
  1 公共工事等を実施する者(公共工事等を実施する者となろうとする者を含む。以下同じ。)は、契約された又は将来実施することとなる公共工事等の適正な実施のために必要な技術的能力(新たな技術を活用した資材、機械、工法等を効果的に活用する能力を含む。)の向上及び技術者、技能労働者等に係る休日その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めなければならないものとすること。
  2 公共工事等を実施する者は、その使用する者の有する能力に応じた適切な処遇を確保するとともに、外国人等を含む多様な人材がその有する能力を有効に発揮できるよう、その従事する職業に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理の改善に努めなければならないものとすること。
  3 協定に基づき災害応急対策工事等を実施する受注者は、当該災害応急対策工事等に従事する者の業務上の負傷等に対する補償及び当該災害応急対策工事等の実施について第三者に加えた損害の賠償に必要な金額を担保するため、当該災害応急対策工事等の実施に当たり、適切な保険契約を締結するよう努めなければならないものとすること。
 四 競争が存在しないことの確認による方式                 (新第二十一条関係)
   発注者は、その発注に係る公共工事等に必要な技術、設備又は体制等からみて、その地域において受注者となろうとする者が極めて限られており、当該地域において競争が存在しない状況が継続すると見込まれる公共工事等の契約について、当該技術、設備又は体制等及び受注者となることが見込まれる者が存在することを明示した上で公募を行い、競争が存在しないことを確認したときは、随意契約によることができるものとすること。
 五 発注関係事務の実施に関する支援等        (新第二十二条第五項及び新第二十三条関係)
  1 国及び都道府県は、発注者が発注関係事務の適切な実施に必要な知識又は技術を有する職員を育成することを支援するため、講習会の開催、自らが実施する研修への発注者の職員の受入れ、民間団体による研修の活用の促進その他必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
  2 国は、発注者の発注関係事務の実施の実態を調査し、及びその結果を公表するよう努めるとともに、その結果を踏まえ、発注者が発注関係事務を適切に実施することができるよう、必要な助言を行わなければならないものとすること。
 六 公共工事の品質確保のための基盤の整備等
  1 職業訓練実施者に対する支援等                    (新第二十六条関係)
    国及び地方公共団体は、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保のため、工事等に関する専門的な知識又は技術を有する人材を育成するための職業訓練を実施する者に対する支援等、工事等に関する基礎的な知識及び技能を習得させるための教育を行う高等学校等と民間事業者及び建設業者団体等との間の連携の促進並びに外国人等を含む多様な人材の確保等に必要な環境の整備の促進について必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
  2 労務費等に関する実態調査等                     (新第二十七条関係)
   (1) 国は、下請負人その他の公共工事を実施する者(以下「下請負人等」という。)に対して市場における労務の取引価格、保険料等を的確に反映した適正な額の請負代金が支払われるとともに、下請負人等により公共工事に従事する者に対して適正な額の賃金が支払われるよう、公共工事の請負契約の締結の状況及び下請負人等が講じた公共工事に従事する者の能力等に即した評価に基づく賃金の支払その他の公共工事に従事する者の適切な処遇を確保するための措置に関する実態の調査を行うよう努めなければならないものとすること。
   (2) 国は、下請負人等に使用される公共工事に従事する者に対して適切に休日が与えられるよう、その休日の付与の実態の調査を行うよう努めなければならないものとすること。
   (3) 国は、(1)及び(2)による調査の結果を公表するとともに、その結果を踏まえ、公共工事に従事する者の適正な労働条件の確保のために必要な施策の策定及び実施に努めなければならないものとすること。
  3 民間事業者等による研究開発の促進等
   (1) 民間事業者等による研究開発の促進                 (新第二十八条関係)
    ① 国は、公共工事等に必要な高度な技術の研究開発に資するため、技術提案の審査及び価格等の交渉による方式の活用を通じた設計に携わる民間事業者と施工に携わる民間事業者との連携その他の民間事業者等相互間の連携を促進するよう努めなければならないものとすること。
    ② 国は、公共工事等に必要な高度な技術の研究開発を民間事業者等に委託し又は請け負わせる場合には、当該民間事業者等がその成果を有効に活用することができるようにするため、当該成果に係る知的財産権の取扱いについて適切に配慮するよう努めなければならないものとすること。
   (2) 研究開発の安定的な推進                      (新第二十九条関係)
     国は、公共工事等に関する技術に係る研究機関の機能の強化並びに当該技術の研究開発並びにその成果の普及及び実用化を中長期にわたって安定的に推進するため、必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
  4 地方公共団体の関係部局の連携                     (新第三十条関係)
    地方公共団体は、公共工事等の実施の時期の平準化を図るための措置に関する施策その他の公共工事の品質確保の促進に関する施策の実施に当たっては、公共工事等の入札及び契約に関する業務を担当する部局、公共工事等の実施に関する業務を担当する部局、財政に関する業務を担当する部局その他の関係部局の相互の緊密な連携を確保するよう努めなければならないものとすること。
  5 国民の関心及び理解の増進                      (新第三十一条関係)
    国及び地方公共団体は、建設業者団体等と連携しつつ、公共工事の品質確保及びその担い手の活動(災害時における活動を含む。)の重要性に関する国民の関心と理解を深めるため、それらに関する広報活動及び啓発活動の充実その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならないものとすること。
  6 公共工事に関する調査等に係る資格等に関する検討規定の改正      (新第三十二条関係)
    国は、公共工事に関する調査等の担い手の中長期的な育成及び確保に留意して、公共工事に関する調査等に係る資格等の評価及び資格等に係る制度の運用の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
第二 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正
 一 適正化指針に定める事項の追加                    (第十七条第二項関係)
   適正化指針には、各省各庁の長等による公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する事務を適切に行うために必要な体制の整備に関することをも定めるものとすること。
 二 勧告等                        (第二十条新第三項及び新第四項関係)
  1 第二十条第一項の規定による要請をした場合において、国土交通大臣及び財務大臣は、第十九条第一項の規定による報告を踏まえ、適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置の的確な実施のために必要があると認めるときは、各省各庁の長又は特殊法人等を所管する大臣に対し、必要な勧告をすることができるものとすること。
  2 第二十条第二項の規定による要請をした場合において、国土交通大臣及び総務大臣は、第十九条第二項の規定による報告を踏まえ、適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置の的確な実施のために必要があると認めるときは、地方公共団体に対し、必要な勧告、助言又は援助をすることができるものとすること。
第三 測量法の一部改正
 一 測量成果の公開規定の改正等          (第二十八条第一項及び第四十二条第二項関係)
  1 何人も、国土地理院の長に対し、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる請求をすることができるものとすること。
   (1) 次に掲げる書面の交付の請求
    ① 基本測量の測量成果又は測量記録が書面をもって作成されているときは、当該書面の謄本又は抄本
    ② 基本測量の測量成果又は測量記録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面
   (2) 次に掲げる電磁的記録を電磁的方法により提供することの請求
    ① 基本測量の測量成果又は測量記録が書面をもって作成されているときは、当該書面に記載された事項を記録した電磁的記録
    ② 基本測量の測量成果又は測量記録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を記録した電磁的記録
  2 1は、第四十二条第一項に規定する測量成果の写し及び測量記録の写しについての書面の交付の請求又は電磁的記録の提供の請求について準用するものとすること。
 二 測量士及び測量士補となる資格の追加             (第五十条及び第五十一条関係)
  1 国土交通大臣が第五十条第一号から第五号までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するものと認定した者は、測量士となる資格を有するものとすること。
  2 国土交通大臣が第五十一条第一号から第四号までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するものと認定した者は、測量士補となる資格を有するものとすること。
 三 測量に関する専門の養成施設の登録要件の柔軟化        (第五十一条の四及び別表関係)
   測量に関する専門の養成施設の登録要件について、次の事項を国土交通省令に委任するものとすること。
  1 講義及び実習を行うべき測量に関する科目
  2 測量士及び測量士補の業務において使用される機器であって実習のために用いるべきものの種類及び保有すべき数量
  3 専任教員及び専任教員のうち専門分野を教授することができる者等の資格及び人数
 四 測量士及び測量士補となる資格の在り方の検討規定の追加        (第五十四条の二関係)
   政府は、測量に関する業務において、測量士及び測量士補の能力が適切に評価され、並びに測量士及び測量士補が十分に活用されるようにするため、測量士及び測量士補の中長期的な育成及び確保に留意して、公共工事の品質確保の促進に関する法律第三十二条の規定による検討とともに、測量士及び測量士補となる資格の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 五 測量業者としての登録拒否事由の追加              (第五十五条の六第一項関係)
   国土交通大臣は、測量業者としての登録を受けようとする者が、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)又は暴力団員等がその事業活動を支配する者であるときは、その登録を拒否しなければならないものとすること。
第四 その他
 一 この法律は、公布の日から施行するものとすること。ただし、第三(四を除く。)は、令和七年四月一日から施行するものとすること。                   (改正法附則第一条関係)
 二 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。                              (改正法附則第二条関係)
 三 その他所要の規定を整備するものとすること。