厚労省・新着情報

(令和6年5月28日(火)9:41~9:50 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの取組については、4月の世界銀行春会合に際し、鈴木財務大臣と私から「『UHCナレッジハブ』の日本での設立」を表明したところですが、その後さらに調整を進め、ハブの設置場所は東京エリアとすること、ハブは低・中所得国の保健財政を強化すること等を目的として、WHOと世界銀行が連携し各国の保健省と財務省の政策立案者に対する能力開発を支援すること、関係機関の代表を集めた「UHCハイレベルフォーラム」を開催していくこと等としております。現在、スイス連邦のジュネーブで開催されている第77回世界保健総会において、塩崎厚生労働大臣政務官が本日、政府代表演説を行う予定であり、その中でこうしたUHCへの取組を発表します。また、日本が『気候変動と健康に関する変革的行動のための同盟』に、正式に参加したことも表明する予定です。引き続き保健医療課題への対応に向けた国際的な連携のために、日本として貢献してまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
WHO総会に関連しパンデミック条約について伺います。2年間かけて交渉してきた訳ですが合意に至りませんでした。主に病原体の情報共有やワクチンの分配などについて意見の相違があったとされています。あらためて厚生労働省としてこの条約に対するスタンスとこれからの対応についてお聞かせください。
大臣:
いわゆる「パンデミック条約」については、各国間で意見の隔たりがかなりあり、論点が多く残されたため、現在ジュネーブにて開催されている第77回世界保健総会前の交渉妥結には至らなかったと承知しています。厚生労働省としては、新型コロナウイルス感染症のような甚大な影響を及ぼす感染症に関しては国際社会が一致して対応する必要があり、パンデミックの予防、備え及び対応の強化のため、国際的な規範の強化は重要であると考えています。この観点から、国際的な感染症対策の強化のため、関連の取組に引き続き建設的に日本として貢献していきたいと考えています。
記者:
日本移植学会が、東京大など3大学病院で脳死ドナーから提供された臓器の受け入れ斡旋を断念したケースが昨年62件あったと取りまとめました。大臣の受け止めと、あわせて全国の移植施設への実態調査等、国として現段階で考えている対策などあれば教えてください。
大臣:
臓器提供数の増加を踏まえて対応する必要がある、このことは重要であると認識しています。厚生労働省としては令和4年度に、各大学の臓器移植の状況や臓器提供者数の増加を見据えた体制について実態調査を行ったところです。この調査を踏まえ、日本移植学会において移植施設間の連携や臓器搬送時の負担軽減等の取組を進めており、移植実施施設が臓器受入れを辞退した場合の対応についても検討を進めていると承知しています。厚生労働省としては、臓器提供体制の構築に向けて、臓器提供事例発生時に、臓器提供の経験豊富な医療機関から人材派遣等を行う事業などを通じて、引き続き移植医療の円滑な実施に向け、関係学会と協力しながら、この課題に対応していきたいと考えています。
記者:
今月23日の経済財政諮問会議で民間議員の方から、65歳以上とされる高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべきだという指摘がありました。年齢を引き上げると年金や介護保険などの制度に影響があると考えられますが、大臣の受け止めとお考えをお聞かせください。
大臣:
民間議員の方からの提言は承知していますが、現在の年金制度は、将来世代の負担を加重にしないよう、2004年改正において保険料の上限を固定した上で、その範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを既に導入しており、65歳の支給開始年齢を堅持した上で年金財政の長期的なバランスがとれる仕組みとなっています。  このため高齢者の定義にかかわらず、年金の支給開始年齢の引上げを行うことは考えていません。また介護保険制度については、制度創設以来、40歳から64歳までの第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者を制度の対象としているところ、その被保険者範囲等については、2022年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見書において、将来的には介護保険の被保険者範囲を引き下げて介護の普遍化を図るべき、高齢者の就業率の上昇や健康寿命の延伸、要介護認定率の状況等も踏まえながら第1号被保険者の対象年齢を引き上げる議論も必要など、様々な意見を踏まえ引き続き検討を行うことが適当であるとされているところです。直ちにその範囲を見直すことは考えていません。
記者:
冒頭発言について関連してお伺いします。UHCナレッジハブについて、設置エリアを東京エリアとした目的について教えてください。またナレッジハブの設立に日本が関わることの狙い、今後設立の2025年に向けて世界銀行やWHOとどのような点についてさらに協議していくのか、あわせてお聞かせください。
大臣:
設置エリアについては、WHOと世銀の両者が連携しやすい場所であることが必要です。そして関係者のご意向なども踏まえて選定しており、現在、調整を進めているところです。日本は、長年、世界全体のユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて国際的な議論をリードするとともに、高齢化の中で医療や介護等に関する知見も豊富であることから、ハブの設立等を通じて、さらに世界でのUHC達成に向けて取り組んでまいりたいと思います。世界銀行・WHOと協議中であり、その詳細は現時点ではまだお答えできませんが、2025年の設置に向けて、ハブの具体的な業務内容等についてさらに協議していくことになっています。
記者:
年金の制度改革について伺います。フリーランスなど働き方が多様化する中、厚生年金加入者の拡大の必要性や課題を教えてください。また被用者保険の適用拡大を今後どのように検討を進めるか教えてください。
大臣:
被用者保険の適用範囲をさらに拡大することは、被用者にふさわしい保障の実現や、働き方や雇用の選択をゆがめない制度の構築といった意義があり、次期制度改正においても重要な検討課題の1つです。被用者保険の適用に関しては、短時間労働者の企業規模要件の撤廃や個人事業所の非適用業種の解消のほか、フリーランス・ギグワーカーなど多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方も論点の1つです。これらの必要性や課題を議論していくため、関連分野の有識者や労働者・使用者団体といった方々からなる「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」を開催しています。まさに、本日も多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方などについてご議論いただくものと承知しており、引き続き、本懇談会や社会保障審議会年金部会等で議論を重ねていきたいと考えています。

(了)

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