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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和6年4月19日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和6年4月19日(金)14:26~15:57
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.議題

  • 財政投融資の現状と課題について

質疑・応答

  • 3.報告事項

  • 今後の進め方(案)
  • 4.閉会

配付資料

資料1

財政投融資の現状と課題について

意見書

渡辺努委員

資料2

今後の進め方(案)

出席者

分科会長

百合

奥理財局長

湯下理財局次長

藤﨑総務課長

大江財政投融資総括課長

田原資金企画室長

原山財政投融資企画官

大島管理課長

小多計画官

大江計画官

土居丈朗

野村浩子

丸田健太郎

家森信善

臨時委員

有吉尚哉

岡田章裕

工藤禎子

冨田俊基

山内利夫


14時26分開会

〔翁分科会長〕予定の時間より少し早いのですが、全員お揃いでございますので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。本日は、まず初めに財政投融資の現状と課題についてご議論をいただきます。その後、事務局より今後の進め方について、報告をさせていただきます。全体で1時間半という時間でございますので、ご質問、ご意見など、できるだけ簡潔にお願いできればと思っております。

また、議事に先立ちまして、先般書面によりご審議いただきました令和5年度財政融資資金運用計画の一部変更につきましては、3月25日付で、原案のとおり了承となりましたので、ご報告申し上げます。

それでは、財政投融資の現状と課題について、大江財政投融資総括課長よりご説明をお願いいたします。

なお、本日欠席されております渡辺委員より、本議題に係る意見書を頂戴しておりますので、併せてご紹介をお願いいたします。

〔大江財政投融資総括課長〕ありがとうございます。

委員の皆様、本日もお集まりいただきまして、ありがとうございます。

早速ではございますが、説明に入らせていただきます。お手元の「財政投融資の現状と課題について」という資料でございます。

まず、冒頭、簡単に経緯を申し上げますと、財政投融資改革から約四半世紀が経過いたしました。これまでの間、本分科会におきましても、随時、財投改革のフォローアップや、その時々の経済・財政状況を踏まえた財政投融資の在り方などについてご議論をいただいてまいりました。平成26年度の「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」という取りまとめから約10年、また令和元年度の「今後の産業投資について」の取りまとめからも5年が経過しております。

今回、お時間をいただきまして、財投改革以降の歩みを振り返りながら、今後の財政投融資の在り方についてご意見を賜ればと思います。

資料を開いていただきまして、1ページ、目次のところですが、まず初めに、これまでの財政投融資の振り返りとしまして、財投改革以降の取組を簡単にご説明させていただきます。

続きまして、財政投融資を取り巻く経済社会情勢をご紹介させていただきます。

最後に論点としてお示ししておりますが、こういったことを踏まえて今後の財政投融資が担うべき役割やその在り方についてご議論いただければと考えております。

それでは、資料の3ページをご覧ください。

まず、財政投融資改革についての振り返りでございます。平成13年に実施されました財投改革、ポイントとしましては、右下にございますような、郵便貯金・年金積立金の全額預託義務の廃止、また、財投債を市場で発行することによる資金調達の能動化といったようなことを実施いたしました。ご案内のとおり、財投改革以前は、郵貯また年金等の預託金が多額に積み上がっておりまして、それが財投規模の肥大化につながっているのではといった指摘がなされておりました。こうした点に対応すべく、財投改革によって能動的な資金調達をする。それにより真に必要なところに、必要な額を措置するという仕組みを整えたところでございます。

なお、財政投融資改革と表現しておりますが、実はこのときは当時の資金運用部資金を財政融資資金に変えるという、財政投融資のうち財政融資の仕組みについては大きく変更されたものですが、産業投資につきましては仕組みの変更は特に行われておりませんで、従前どおり、原則的には政府が保有するNTT、JT株からの配当金ですとか、JBIC、DBJ等の産投機関からの納付金等の範囲内で投資を行うという仕組みが今に至るまで維持されております。

資料4ページ目をご覧ください。

財投改革以降、平成13年以降の財政投融資の規模について、フローとストックの推移をお示ししております。左側のフローをご覧いただきますと、これは毎年の財投計画の規模でございますが、平成13年度の時点では30兆円を超えた規模でございましたが、これが今では10兆円台半ば程度、半分以下に縮小してきております。

他方で、一時的に規模を拡大している年度がございます。リーマンショックですとか東日本大震災、新型コロナへの対応といったときには、機動的に規模を拡大して対応してきたところでございます。

右側のストックでございます。こちらも、フローで見ていただいたような財投事業の重点化、効率化ということを進めた結果としまして、ストックベースでも、平成13年度の時点では400兆円を超えた規模でありましたが、現在では150兆円程度のところまで縮小してきておるところでございます。

次に、資料の5ページ目をご覧ください。

こちらは財投改革直後の平成13年度と直近の令和6年度の財投計画について、使途を比較してお示ししております。こちらは百分率、パーセンテージで示しておりますが、左側にございますとおり規模としましては、先ほども申しましたが、半分以下の規模になっております。

中身ですが、財投改革直後の時点では、住宅ですとか、これは住宅金融公庫がもともとございました、あとは日本道路公団などの社会資本の割合が高くなっておりましたが、そういった分野が近年ではかなり縮小してきております。代わりに海外投融資等ですとか、中小零細企業、産業・イノベーションといった分野が割合としては高くなってきているというふうに、対象分野が大きく変化してきたということをご理解いただけるかと思います。

次に、6ページ目をご覧ください。

冒頭申し上げました財投改革以降の本分科会におけるご議論、特に報告書を取りまとめていただいたものを整理しております。平成16、17年度は、主に財投改革のフォローアップ、総点検といった形で議論を行っていただきまして、平成20年以降は、おおむね5年程度のスパンで在り方の議論をしていただいてきておるところでございます。

これも冒頭申しましたが、財投全体は平成26年の報告書、産業投資については令和元年、5年前の報告書で取りまとめていただいた内容でございます。今に至るまで、こうした取りまとめに沿った形で財投の運営をしてきておりますが、そこからコロナもございましたし、地政学上のリスクといったものも変化してきております。そういったことも踏まえたご議論をお願いできればということを考えております。

資料7ページ目をご覧ください。

10年前の「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」という取りまとめのポイントでございます。上段緑の部分にございますが、我が国の成長にとって官民の適切な役割分担の下、中長期のリスクマネーや成長資金の供給拡大が必要といった認識に立った上で、財政投融資の役割につきましては、自助努力の促進による事業の効率的な実施や受益者負担の実現を通じて租税負担の抑制を図るという特徴を発揮しつつ、中長期的な観点から、かつ民間金融を補完しながら、資金面からの成長制約を解消する役割を果たすといった整理をいただいております。

その上で、本報告書において、官民の役割分担、対象分野、産業投資の在り方といった投融資活動の在り方ですとか、それらを確保するためのガバナンス、資金調達等について整理をいただいたところでございます。

8ページ目をご覧ください。

これも10年前の報告書の中で、参考資料で入っておりましたものですが、主な財投機関の役割を、対象分野ですとかリスクの違いによって分類したものでございます。

3つ赤枠がございます。この中で「民間資金の誘発効果」が下の部分にございます。これは成長産業、海外展開や資源、インフラといった分野に資本性ファイナンスを供給するグループでございます。JBICやDBJ、JIC等の官民ファンドが担っているものです。この表では、融資と出資が同じような規模の大きさに見えますが、ご案内のとおり、実際には融資の規模のほうが圧倒的に大きくなっており、近年では、資本性ファイナンスを担う産業投資の役割が高まってきているという状況がございます。

資料9ページ目をご覧ください。

10年前の報告書のあたりからの財政投融資における主な取組を整理したものでございます。

まず、左の緑の部分、平成25年度あたりからですが、官民ファンドの設立やDBJの特定投資業務の開始といったこと、これらは主に産業投資を活用し、民間投資の喚起に重点を置いた取組ということで行ってまいりました。

その後、日銀のマイナス金利政策が導入されたことに伴いまして、赤い部分ですが、低金利環境を生かした財政政策の一環として、主に大規模なインフラ整備、リニア、新幹線、高速道路等の整備を加速化するといった取組を行ってまいりました。

令和に入りますと、新型コロナへの対応や大学ファンドといった対応を行ってきているところでございます。

後ろに、申し上げました新型コロナと大学ファンドについての資料がついております。

まず、資料10ページ、新型コロナウイルス感染症への対応でございます。新型コロナの感染拡大の影響を受けた事業者を支援するために、財政投融資としまして、当初計画や改定後の計画として、過去最大の規模を計上しました。令和2年度が補正後で過去最大、令和3年度は当初で過去最大といった規模になりました。

日本公庫を中心とした各政策金融機関等を通じて、適時適切な事業者支援に努めてきたところです。右側に支援メニューの例がございますが、時間の関係で省略いたします。

次に、大学ファンドに対する財政融資でございます。資料の11ページ目をご覧ください。こちらは令和3年度と4年度の財投計画の中で計上された財政融資でございます。

目的としまして、世界と伍する研究大学を実現するために10兆円規模の大学ファンドを創設し、その運用益を活用して大学の将来の研究基盤へ投資をするというスキームでございますが、そこに財政融資を令和3年度と4年度、合計で9兆円程度の措置となっております。

資料の右側でございます。本件につきましては、分科会で大変厳しいご指摘をいただいたところでございます。令和3年12月の分科会の議論の整理となっております。理財局としましても、こちらのご指摘を肝に銘じまして、引き続き特段の注意を払って本事業に関与してまいりたいと考えております。

次に、資料12ページ、産業投資の活用状況でございます。産業投資は、先ほど申し上げたとおり、リスクマネー、成長資金に対するニーズに対応してきたということで、左側のグラフですが、近年増加傾向となっております。令和6年度では、当初計画ベースで過去最大の規模、4,747億円となったところでございます。

右側は、これまでの過去10年ほどの累計額を機関別にまとめたものでございます。DBJ、JBICといったところが主な機関になりますが、その他の機関も含め、スタートアップ支援や日本企業の海外展開、競争力強化といった分野にリスクマネーを供給してきております。

13ページ目をご覧ください。

こちらは去年の12月の分科会でもお示ししました令和6年度の財投計画、こちらは案が取れて計画として確定しましたが、こちらを改めてつけさせていただいております。財投計画の推移、産投の計画の令和6年度の出資先といったものを書かせていただいております。

次の14ページ目は、令和6年度計画における主な機関、主な施策の概要ですが、時間の関係で省略をいたします。

次に、財政投融資を取り巻く経済社会情勢の変化でございます。

資料16ページ目をご覧ください。

我が国の潜在成長率とその内訳の推移をお示ししております。黒の折れ線グラフが潜在成長率になりますが、2000年代に入ってからは1%以下の水準で低位に推移しております。人口減少・少子高齢化が進む中で、持続的な経済成長を実現していくためには、生産性の向上・供給力強化を通じた潜在成長率の引上げが必要であると考えております。とりわけオレンジの部分、全要素生産性、それから灰色の資本投入量といったものの引上げが重要ではないかと考えております。

17ページ目をご覧ください。

成長力強化に向けた資金ニーズということで、代表例としてGXとスタートアップを挙げております。こうした分野は、先ほどご覧いただきました令和6年度の計画の中でも、重点化をしていくということでやらせていただきましたが、今後もしばらくはこういった分野は重要になってこようかと考えております。

まず、GXですが、国際的な投資競争が激化しております。我が国としても、国際公約の達成、また、産業競争力の強化といった観点で、官民連携の下、長期かつ大規模な投資を行っていく必要がある。財投機関についても一定の貢献が期待をされておるところでございます。

スタートアップにつきましては、日本のスタートアップ・エコシステムには資金調達をはじめとした課題がございます。公的資本による支援も含めて、スタートアップが成長ステージに応じた資金調達を行える環境を整備していくことが必要と考えられます。

次に、18ページをご覧ください。

国際秩序の不確実性が増大する中、我が国の経済・産業にとって重要な物資に係るサプライチェーンの強靱化を戦略的に進めていくことが求められているところでございます。

上段右にございますが、経済安全保障推進法におきまして、半導体、蓄電池、天然ガス、重要鉱物等12物資を特定重要物資に指定しまして、安定供給確保に向けた取組を進めているところです。

また、特に半導体につきましては、左下にございますとおり、令和3年度補正から令和5年度補正で合計4兆円弱の予算、これは補助金ですが、措置されているところです。

一方で、米国におきましては、右下に書いておりますが、5年間で527億ドルといった多額の支援が行われているところです。ただ、米国の場合は補助金に加えまして、融資や債務保証との組合せによる資金援助、また、税制等による支援も行われているところと承知しております。

資料19ページ目をご覧ください。

我が国の財政状況についてでございます。こちらは釈迦に説法でございますが、令和2年度以降、縮小傾向にはございますが、補正予算による大幅な予算の追加が続いている状況でございます。また、一般会計の税収額は伸びが見られるものの、税収を大きく上回る歳出が続いている状況でございます。厳しい財政事情が引き続き課題となっております。

プライマリーバランスの黒字化に向けまして、歳出構造の平時化や、歳出改革に向けた取組を続けていく必要があると認識しております。

資料20ページをご覧ください。

こちらは今回の議論の素材といたしまして、我が国の経済において財政投融資が果たすべき役割について、イメージの形でお示しをさせていただいております。これはあくまでもイメージでございますし、議論のたたき台ということでご理解いただければと思います。

経済活動については、言うまでもなく企業・家計から成る民間部門と政府が担う公共部門に大きく分けられるわけでございますが、経済活動の中心は基本的に民間部門で、公共部門はそれを補完する役割を担うというのが基本的な関係であると理解しております。

その上で、我が国においては、政府による財政政策のツールとして国費(補助金等)とは別に財政投融資があるわけですが、その関係につきましては、一定の収益性が期待できる分野については民間の自助努力を促すという観点や、受益者負担による事業の効率的実施という観点から、財政投融資、有償資金により対応することが望ましい。一方で、収益性が期待できないものの国民にとって真に必要な事業もございます。こういったものは国民負担を前提として、国費により対応するというのが基本的な姿ではないかと考えております。

今、いろいろご説明をさせていただきました我が国を取り巻く最近の経済社会情勢を踏まえ、こういったイメージ図も念頭に置いていただきながら、現在の財政投融資はどういった役割を果たしていくことがあるべき姿であるかというところをお考えいただきたいということで、議論の参考として作ったものでございます。

資料21ページ目をご覧ください。20ページのものと重複する内容もございますが、財政融資・産業投資と国費につきまして、特徴と役割を整理したものになります。

財政融資は、民間では資金供給し難い長期・固定・低利という特徴を有するデット・ファイナンスであります。法律で、個々の案件で償還確実性が求められております。契約に基づく債権管理を通じ、償還が終わるまでの間、ガバナンス機能を発揮していくという関わり方になっております。

一方で、産業投資は、リスクが高い事業を対象としまして、いわゆるペイシェント・キャピタルとしてリスクマネーを供給するものでございます。個々の案件で利益を確保する必要はございませんが、ポートフォリオ全体で毀損を回避すべく運用しております。出資者の立場から、毀損を回避するため経営への関与も含めたガバナンス機能を発揮する必要がございます。

補助金等の国費は、収益性がない、租税や国債等を財源として資金供給を行うものということで、渡し切りで金銭的リターンはないものと考えております。

次に、資料22ページ目でございます。こちらは論点でございますが、2つ、簡単に整理をさせていただきました。この点を中心にしてご議論、ご意見を賜れたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

また、冒頭会長からございました渡辺委員からの意見書を読み上げさせていただきます。

今後の財投の在り方を考える上でEBPMの発想を取り入れることが重要である。具体的には以下の2点を提案したい。

第1は、Principles(「原理」、「基準」)を定めることである。これまで大きな案件(例えば、大学ファンドなど)が出てくると、論点を洗い出し議論するということを行ってきた。そのようにアドホックに議論するのではなく、あらかじめPrinciplesを決めておき、目の前の案件が基準の1つ1つに照らして適格なのか否かを判断するというように変更してはどうか。

Principlesは言わばチェックリストであり、そのリストの1つ1つを点検することで、全体として適格か否かを判定できる。

Principlesは、例えば以下のようなものである(これは例示にすぎない)とございます。

以下箇条書ですが、民間の業務の邪魔をしていない。民間ではその案件を実現できない。正当な政策目的がある。案件を実行するためのコストがベネフィットに比べて小さい。一時的なコストですむ。

次ですが、今までもこれらは論点として議論されてきた。したがって、Principlesと言っても真っさらな視点を出すということではなく、これまで何度となく出てきた論点をリスト化するだけのことである。しかし、リスト化することによって、議論を効率化することができる。また、そのリストを関係者(担当官庁や財投機関など)に事前に知らせておくことで、新たな案件が出てきたときに、そのリストに照らして正当性を説明してもらうという使い方もできる。

第2は、Numericalな評価(数値化、定量化)を広範に導入することである。案件の属性を定量的に評価するための軸として複数の指標をKPIとしてあらかじめ決めておく(例えば、案件のベネフィットの大きさを測る指標やコストの大きさを測る指標、収益性を測る指標など)。新たな案件が出てきたときに、KPIの値に応じて、ある程度、機械的に判定ができるようになる。

PrinciplesとNumericalな評価の導入により、案件の適否の判定に透明性を付与することができる。これが目的である。ただし、何もかも機械的に杓子定規に行うという意味ではない。当然のことながら、案件の適否を議論する中で裁量的に判断する部分も残すべきだし、PrinciplesやKPIも状況の変化に応じて適宜見直すということがあってもよい。

以上でございます。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問などをお願いしたいと思います。会場にいらっしゃる皆様については、名札を立てていただきたいと思います。オンラインでご出席の皆様はチャット欄または挙手ボタンでお示しいただければと思います。チャット欄等を確認しながらご指名させていただきますので、そのままお待ちいただければと思います。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃっていただくようお願いいたします。

それでは、土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕ご説明、どうもありがとうございました。これまでの財投改革以降の財政投融資についてご説明があって、これまでも今後どのように役割を時代に応じて変えていくかということの議論があって、資料の6ページにもありますように、これまでにも、意図的に定期的にというわけではないにしても、比較的定期的な感じで議論があって、特に直近ということでいうと平成26年の「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」とか、それから令和元年の「今後の産業投資について」は、内容として今後も引き続き妥当なところが多分にあると思います。

ただ、先ほど大江課長からご説明あったように、さらに加えて、コロナ後の時代の変化というのがあるがゆえに、それにどう対応していくかということは、追加的に考えていかなければいけないのではないかと思いました。

特に、物価が上がり始めて、金利がゼロでなくなってきているというのは大きな変化だと思いますし、特にデフレ下ではなかなか民間では取れないリスクを政府が担ってもらいたいということで、財政投融資がそこの部分でリスクを取りながら貢献するというものも中にはあったと思いますが、今後は民間もそれなりにリスクを取っていただかなければならない部分は、それはそれとしてありつつも、また、引き続き政府がしっかり政策的に関与して支援していくという部分も、今後も、別の形になるかもしれませんが、出てくるだろうと思います。

特に、20ページにあります財政投融資の役割ですが、ベストは、やはり民間で取れるリスクは民間資金で取っていただくということ、これは大前提であり、ベストはそこだと思うのですが、必ずしもそうでないものが、財政投融資なり国費で行われる。

政府の政策は、税金を使って行う、補助金等で支援するということばかりではなくて、我が国には立派な財政投融資の仕組みがあって、融資や出資という形で政策手段として使えるというバラエティーがあるわけなので、それぞれの役割を適切に果たしていくことが引き続き重要だと思います。

特に、ここであえて私が20ページに1つ付け加えるとすると、公共財の性質で非排除性という性質がある。つまり、対価を払わなくてもその便益を享受できるという性質があるということであるがゆえに、強制的にその対価を払ってもらうということでもしない限りは、本当は便益を受けているのだけれども、対価を払ってもらえないということがあって、かといって強制的に対価を払ってもらうわけにはいかないので、そこの部分は低利融資という形で、応益的に費用回収する分は費用回収するのですが、非排除性があるがゆえに不完全にしか費用が回収できない場合には、それは金利を低くするということでもって、回収できない部分をカバーして、それが結果的に、しっかり公共財を供給できるようにするという側面もあると思います。そういう部分は、これはコロナ後であっても変わらない性質として重要な部分で、財政融資資金が果たす役割としては、引き続き残り続けるものなのだろうと思います。

もう一つは出資というものがあって、これはこれまでも政府が、民間では担えないとされていた部分でのリスクテイクを支援するということで出資をしてきていて、産業投資にその役割があって、これも形は少し変わることになるかもしれませんが、これからもますます大事な政策手段の1つだと思います。

ただ、今後ということを考えるときに、この資料にあるようなサプライチェーンの強靭化とか、そういう対応ももちろんあるのですが、私がよりそこに専門があるがゆえにどうしてもそっちに目が移ってしまうのですが、19ページにありますように、我が国の財政状況は非常に厳しい状況で、一般会計の歳出が膨らんでいる中で、今後、プライマリーバランスの黒字化を実現していかなければいけないし、さらには黒字に1年だけなっただけでは駄目で、今後数十年にわたりプライマリーバランスの黒字を維持していかなければいけないということが、今後の日本の財政運営に置かれている位置なのだと思います。そういたしますと、これまでは補助金で一般会計から出してきたということで、今までは許されていたのかもしれないけれども、先ほど大江課長のご説明の中でも21ページにありましたように、渡し切りで金銭的リターンがない形で一般会計から国費で出すということを引き続きし続けるということで、経済、産業、それから一般会計の財政状況にとっても、皆問題なく両立できるのか、鼎立できるのかというと、なかなかそう簡単ではない。やっぱり一般会計の歳出も効率化していかなければいけない中で、それでいて産業に対して支援というのも必要になってくることになれば、もし経済成長が期待できるような分野に対しては、渡し切りの補助金ではなくて、融資ということもあるかもしれませんし、ないしは出資という形で成功報酬を国も受け取るような形のファイナンスの仕方も、一般会計が担えない部分を補う形で産業投資が役割を果たしていくということが、今後、今までにない形で範囲を広げていかないといけないのではないか。そうすることを通じて一般会計の収支も改善するし、産業支援も産業投資を通じて引き続きできるという道が、今後は残されているのではないかと思っています。

もう少し、私の気持ちを込めた形で言うと、特にコロナ禍で、もっと産業投資にお金があればもっと産業投資で担っていただいて、一般会計はもう少し引っ込んでおいたほうがよかったのではないかというタイプの産業支援というのも、散見されたかなというのは私個人の感想めいたものですが、そういうところがある。

もちろん、財政投融資は規律ある運営が求められるわけなので、やみくもに何でもかんでも出せばいいわけでは全然ないことは言うまでもありませんが、少なくともそういうところはあるだろう。しかも、元手は何だということで考えると、財政融資資金は財投債で、一般会計の歳出は税ではあるのですが、かなり公債依存度が高いという現状に鑑みますと、実質的には国債で賄って補助金を出している部分が多分に今の一般会計にはあるということは、結局のところは同一券面で発行されている国債がどちらも元手で、片や、財政投融資は応益負担、受益者負担で、実際にファイナンスを受けた人が利子をつけて返すという形で負担をしていただける。返済財源には税は使わないということが基本です。他方、建設国債とか赤字国債というのは、基本的には受益者負担をダイレクトには求めない。それでいて国民全体で税で負担する、そういう形になっていることを考えると、もう少し受益者負担の性質を強めることも、今後の財政投融資と一般会計、両方をにらみ合わせたところで考える。政策手段の在り方としては、そういった側面ももっと強めていく必要もあるのではないかと思います。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕貴重なご意見をありがとうございました。

それでは、工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。工藤でございます。すみません、ウェブで参加させていただいております。

財政融資資金法に基づいて、確実かつ有利な運用となる融資を行うことが求められる財政融資については、これまで個々の案件において償還確実性が重視されてきたことは適切だったと考えています。しかし、実際のところ、特に危機時においては、我が国の社会経済基盤を維持して、早期の回復を支えるために柔軟な運営がなされてきたと考えています。

そのこと自体は評価すべきことだと考えているのですが、徐々に平時に回帰する中で、改めて、我が国の経済社会、循環の変化を踏まえた中長期的な財政融資及び産業投資のあるべき姿を議論するべきだと考えています。

そもそも財政融資は長期・固定・低利という特徴を持ち、長期的に安定的なキャッシュフローが見込めるインフラ整備などに資するデット性の資金の原資として適していたものだと思います。そのため、社会資本整備の要請が今よりも強かった1980年代までは特に大きな効果を発揮してきたわけです。

足元では規模を大きく縮小し、主たる用途はサプライチェーンの強靱化など、時代に合わせた内容に変化してきたものと理解しております。

一方で、産業投資については、社会変化の速度が増し、より深いリスクテイクが必要な領域が拡大してきたことを背景に、活用場面が大きく増大し、エクイティやメザニンの提供が行われてきたものと理解しております。その拡大過程では、一部の官民ファンドなどにおいて失敗例があったことは確かにありますが、足元では、GXやスタートアップ支援といった取組にも産業投資が振り向けられ、我が国の成長力強化、基盤づくりに大いに貢献していると評価しております。

民間だけではリスクが取れない分野において、財投機関がファイナンスの先行事例をつくること、また、適切なリスクシェアリングに参加することは極めて重要でありまして、分野を見極めながら、産業投資の規模や対象分野を拡大することは肯定されるべきではないかと思います。

一方で、各財投機関のガバナンス能力の向上というのはより一層図られるべきだと思っております。そのためには、必要に応じて財投機関の集約・連携強化によるノウハウやリソースの共通化を行うことも、選択肢の1つだと考えられます。体制の高度化が不断に行われながら、リスクテイクの手法が洗練され、財政投融資が民間のリスクマネーの呼び水として役割を一層果たしていくことを期待したいと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、オンラインで家森委員、山内委員、冨田委員の順でお願いいたします。

〔家森委員〕神戸大学の家森です。ありがとうございます。

まず、改めて財政投融資の在り方を考えてみるという機会を与えていただきまして、非常にいいことだと思っております。

事前説明の後、2014年の財政投融資分科会の報告書を読ませていただきました。ここでは7ページにまとめてありますが、基本的な論点はそのときに尽くされていると感じております。その後、例えば官民ファンドに対して、この分科会で是正の働きかけなどを行うなど、出資者として、あるいは貸し手として一定の役割を果たしてきたものと考えています。また、公庫を代表例にいたしますが、民間補完の取組なども着実に成果が上がっているように感じておるところです。

一方で、報告書にありました個々の論点について、この10年ほどの環境変化を踏まえると、追加して議論すべき点は残っていると感じております。特に感じる点を3点述べたいと思います。

9ページに財政投融資の近年の主な取組をまとめていただいておりますが、量的な意味でインパクトが大きかったのが、新型コロナウイルス感染症への対応と、大学ファンドへの対応ということだと思います。百年に一度の危機と言われながら、実際には十年に一度以上の頻度で様々な危機が発生しているわけですが、今後、我が国では巨大地震災害なども心配されているわけですから、危機対応について備えが万全であるかということも点検しておく必要があると思います。これまではコロナ等についても危機対応を行われてきたわけでありますが、巨大地震というようなことがあると、復興に当たって巨額の資金が必要になります。そのときに財投が円滑に機能するために、潜在的な損失の推計などを含めたリスクマネジメントとか、いざとなったときの資金調達の在り方なども含めて、財投システム全体として何らかの準備をしておく、民間でいうBCPに相当するようなものがシステム全体として必要ではないかという点であります。これが1つ目です。

2つ目は大学ファンドに関してです。大学ファンドは金額ももちろんですが、非常に特殊な財投運用先であると感じております。この新しいタイプの財投運用先である大学ファンドに対するチェック機能の発揮の仕方については、他の財投機関と同様でよいのか、それとも別の対応が必要なのかなどの議論をする余地は残っているのではないかと感じています。

それから3つ目は、地方公共団体向けの融資者として財務省や財務局がコンサルティング的な機能を近年果たそうとされている点が、この分科会でも何度も報告されていますが、この点についてであります。民間金融機関でもそうなのですが、お金を貸すだけでは十分ではなく、特に情報の乏しい小さな地方公共団体には、財務省や財務局を通じたコンサルティング機能というのは非常に有益だと感じております。そのためには、財政投融資に関わる人材の育成と教育を強化し、変化する市場案件、市場条件に対応できるような専門性を持っていただくような人材確保の面も考える必要があるのではないかと感じております。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、山内委員、お願いします。

〔山内委員〕ありがとうございます。私からは2つほどコメントをさせていただきたいと思います。

まず1つは、過去の振り返りです。私が委員に就任させていただいたのは去年からですので、そこで見えている範囲に限られますが、今回のコロナの件、あるいは能登の地震の件など社会的な要請に対して、大きく構えて小さく収める、やめるときには速やかにやめるという、機動性が発揮されていたと私は認識しております。また、その中で官民ファンドに関しては改革工程表の実践などを通じて、ディシプリンを維持するということにも動かれていたと思います。

機動的に動く、それから規律性を大切にするという点については、財政投融資の運営で非常に大切なところかと考えておりまして、評価されるべき点だと考えております。

2つ目は、これからについての考え方です。最近パーパス、ミッション、あるいはビジョン、バリューという言葉を企業さんではよく聞きますが、その考え方に当てはめて、今後を見通してみるとどうかということをコメントさせていただきます。

先ほど、家森委員からお話がございました前回の報告に関して、財政投融資が果たすべき大きな役割というのは大体決まってきているのかとは考えております。パーパスやミッションは、期限がないもので、そもそもこの組織、この制度はどうあるべきなのかという、非常に長い目線で物を考えることになるのですが、財政投融資のパーパスやミッションは、ある程度これまでも維持されてきたことですし、今後も維持されるかと思います。

もちろん説明の仕方は変わってくると思っています。先ほど工藤委員からお話がありました社会資本の整備という点で申せば、過去においては財政投融資はハードインフラの整備において非常に大きな意味を持ったと思いますが、現在では、例えばスタートアップ支援に関して言いますと、官民ファンド、そのほかの融資機関を中心にしたスタートアップ支援によって、結果的に新しい産業がどんどん出てきている。少なくとも外形的には、ベンチャーキャピタルが成長してきて、また、企業さんもコーポレートベンチャーキャピタルをつくられるようになった。これは明らかに過去20年間の動きの中では新しいものだと思います。これもある意味、社会的な資本の整備の1つだと思います。その意味では、財政投融資のパーパス、ミッションは、ある程度質を変える部分はあると思いますし、支援対象がハードウェアかソフトウェアかという違いはあるかもしれませんが、社会のインフラを整える点では基本的には同じなのではないかと考えています。

どちらかといえば、今後検討が必要と考えていますのが、ビジョンとバリューに相当する部分です。ビジョンは、パーパス、ミッションの下で、大体10年ぐらい先を見越して、私たちはどういうことをやっていきたいのかを述べていくものになります。その点で考えますと、例えば、先ほど土居委員がおっしゃったお話、あるいは家森委員がおっしゃったお話の中でも、「民間でできるものは民間で」という考え方は大切であると思いますし、また、リスクマネジメントの在り方、大学ファンド、地公体のコンサルティング機能についてのご指摘もあり、この先10年間の財政投融資の在り方を改めて考える時期に来ているのではないかと考えております。財政投融資の新ビジョンは、10年前のビジョンとは必ずしも連続している必要はなく、財政投融資のパーパスとミッションに従っている限りにおいて、新しいことを要素として入れていくというのも1つの考え方だと思います。

もう1つの点のバリューは、行動規範とも言われますが、財政投融資を運営する人、関わる人、利用する人がどういった意識を持って関わっていくか、この点には、渡辺委員からコメントがございましたPrinciplesとつながる部分かと思います。個人的には、財政投融資の中での大切なバリューというのは3つあると考えています。1つは、冒頭の振り返りで申し上げました「機動性」です。財政投融資の、使う側、民間企業側のメリットを考えると、私はこれも3つあると思うのですが、1つは規模感です。官民ファンドから支援を受けたベンチャーキャピタルやベンチャーの方々から、ある程度規模感を持った資金を提供してくれたのは大きかったと聞いております。また、これは説明の仕方に留意が必要ですが、資本コストが相対的に低い。加えて政府が支援してくれているという信頼性や安心感がある中で、機動的に資金を動かして頂けることは民間側にはありがたいことです。一方、必要がなくなったらやめるというのは財政規律として大切な点と考えております。機動性というのはバリューの1つです。

2つ目は「公正性」です。先ほどの民間資金、財政投融資、補助金の3つの階段のイメージで申し上げますと、なぜこの手段を使って支援をしているのかという説明がはっきりステークホルダーに伝わっているかどうかです。例えば半導体に関しての支援は非常に大切なことだと考えております。これを国民の側から見て、なぜ政策金融ではなく補助金を使っているのか、あるいは、なぜ補助金ではなく政策金融を使っているのかを、分かりやすく伝えていくということは必要と思っています。一部の官民ファンドでは、政策的な目標を理由にして無理に投資をしている事例もあるのではないかと個人的には見ています。要は、なぜこの会社に投資をしたのかの説明が、政策目標を以てしてもクリアに、分かりやすく説明されないことも現状では行われていると考えます。主管省庁及び、財務省の皆様の中でだけではなく、財政投融資機関も含めて、なぜ、この手段でこの会社、この組織、この社会を支援するのかをより考えていただきたいというのが2つ目の公正性です。

3つ目が、「民間的な意識」です。資料21ページにございますとおり、「民間でできることは民間で」というのは、日本に限らずほかの国でも基本的な考え方と思っております。民間資金でできないところを財政投融資、国費で賄うという点を、財政投融資を運用している機関の方々にも改めて持っていただきたいと考えています。財政投融資の受け手となる民間企業が、なるべく自己資金でやっていくが、急ぐ場合、特に研究開発では補助金も必要と考えるのは妥当なことと思います。同様に、財政投融資機関も、民間からのお金を動かしていく意識、例えば、民間金融機関と協調して動く一方、機関債発行で自己資金を得る意識、最終的に機関債を使わなくとも「機関債発行時には民間資金に買ってもらえるような機関」となる意識を、財政投融資の枠組みの中で持っていただきたい。それが3つ目の民間的な意識です。

雑駁ではございますが、いただいたお話も踏まえて、考えさせていただいたことでございます。また、今後も議論させていただければと存じます。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、次に冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。私から3点、申し上げたいと思います。

第1は、財投改革以降、財投規模が縮減してきたわけですが、これは3ページで示された資金調達の改革だけによるものというよりも、むしろ民業補完と償還確実性という改革の理念、先ほどの渡辺委員の意見書の用語を使いますとPrinciplesを高く掲げて、各財投機関の個々の事業を見直し続けたことにあると思います。これに民間金融機関が呼応して対応してきたので、企業の設備資金、家計の住宅ローンなどが充足されてきました。この点は日本銀行の資金循環勘定で確認することができます。例えば地方公共団体向けの貸出残高は、交付税特会を含めまして、21世紀になってからの20年間で財投、公的金融は50兆円減少、一方、民間金融機関で41兆円増加しております。

言い換えますと、財投改革によって、財投特会のアセットが、民間金融機関のアセットに移動した、移り替えたと言うことができると思います。これによって、どの程度受益者負担が増えたのか。また、財投機関による直接融資と民間金融機関による信用保証付きの融資とのコストの比較や、住宅金融支援機構によります真正譲渡ではないところの証券化のコストなどがまだ明らかにはなっておらず、課題として残されていると思います。

第2は、今後の財政投融資が果たすべき担うべき役割、その在り方についてです。ご説明でありましたように、産業競争力強化、地政学リスクの高まりに対するサプライチェーンの強靱化、脱炭素経済構造への移行などについて、国による産業支援の必要性が高まってきております。これらの案件は、先般のJICによりますJSRのTOBが示しますように、1件のロットが極めて巨額となることが予想されます。7ページの10年前の報告では、産投のリスク管理の方法としまして、ポートフォリオマネジメントの必要性を指摘しましたが、大型投資案件は分散投資によるリスク管理の範囲を超えておりまして、財投機関の経営・財務にとどまりませず、出資者である財投特会に大きな影響を与えかねない。したがって、プロジェクトの選定・管理、EXITの体制はいかにあるべきか。財投分科会は、出資者として、どのようなガバナンスを確保すべきかを検討する必要があると思います。

第3は、「財投の果たす役割」と題して、財政の特徴を、先ほど課長はイメージとしてとおっしゃいましたが、財投の特徴を示そうとされました20ページの図に関連する問題です。この種の資料の作成には、十分な注意をもって対応する必要があると思います。

かつて、財投の特徴を示す言葉として「初めに資金ありき」という表現がありました。それは「出ずるを量り入るを制す」という予算、財政で原則とされていた標語との対比で使われてきた標語ですが、財投も財政も、資金ありきではなしに、初めに政策ありきでなくてはなりません。これは今後の産投出資を考える上で極めて重要であります。

もう1つ、標語で使われてきたのが、財投は、頭は財政、体が金融という半人半馬のケンタウロスに例えられる記述が大きな影響力を持ってきたように私は思います。

この2つの標語というか考え方は、財投改革前の財投と特殊法人の膨張をもたらしてきたと見ることができます。財政、つまり、一般会計で国債が発行できないとして、景気対策で財投が大きく規模が拡大いたしました。これは財投回し、あるいは担当部局が建物の3階にあるので、3階回しと呼ばれてきました。その一方、株式市場では、景気対策に関係する企業は財投銘柄と呼ばれてもてはやされました。

財投は、頭が財政と言われるのは、財政と同様に政府の活動であるので、政治によって予算統制されねばならないからと解釈できます。財投実施後にあらわれる国民負担を事前に推計する政策コスト分析が必要なのは、この頭、つまり、政治の決定によるためであります。

一方、体と呼ばれる部門は、財政とは全く異なり、金融の手法を用いる政策手段であるので、市場原理が貫徹されねばなりません。つまり、頭と体で、原理、資源配分のメカニズムは全く異なります。しかし、頭の部分を財政優先、あるいは財政健全化優先と勘違いしたためか、財政投融資改革後も地方債がノーペナルティーで繰上償還が行われたり、財投貸付金の証券化を行ったり、あるいは財投債と同様に、政府のクレジットで発行する政府保証債の発行によって政府の負債を小さく見せようとしたりするなど、金融の原理つまりマーケットメカニズムを無視、軽視することが続いております。歳出を抑制するために財投を増やすべきだとする考え方も、財投が金融であり、受益者負担により投資、融資を確実に回収することを無視、軽視することにつながりはしないでしょうか。

20ページの図に戻りますと、横軸を受益者負担という観点で見れば、金融的手法を用います民間金融と財投は受益者が特定できる受益者負担の事業を対象とし、国債はフリーライドの公共財が対象です。自助努力という観点で見ますと、民間金融は自助努力、財投は自助努力と自助努力の支援及びその促進、国債はモラルハザードとなります。

このようにブレインストーミングとしては活用できるかもしれません。しかし、図中に記述されている財投が租税負担の軽減とどう関係するのかが分かりません。国債が対象とする事業とは特性が異なるからです。金融商品であっても、国債は租税で償還されるということを認識する必要があります。財投債も国債と同じ金融商品としてマーケットで発行されるわけですので、それが民間企業に比べて低い金利で資金を調達できることを意味しているので、財投は国債による資金調達であるのだから、国内では最も低利と書くべきでありましょう。これは21ページに示されております。

そして、とりわけ20ページの図の縦軸の意味がよく分かりませんので、やはり21ページにあるような表記の仕方のほうが誤解を与えなくて済むと私は思います。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、野村委員、お願いいたします。

〔野村委員〕私は、ここ10年を振り返るとということで考えてみたいと思います。基本となる考え方は平成26年にまとめられた財政投融資の在り方、また令和元年にまとめられた産投の考え方に沿って進められてきておりまして、緊急時、コロナの感染症対策とか、地政学的リスク、震災対応などでは課題はあるとはいえ、一定の役割を果たせたと言えると思います。

その中で、いろいろ不確実性が高まる中で、財政投融資の役割、重要性はより増してきていると言えるのではないかと思います。

そこで、振り返って2点申し上げたいと思います。そういう危機対応に対しての効果的な取組、どうあるべきかを、その都度、分析をされていますが、いま一度その結果分析を踏まえて取りまとめを、ここ10年まとめておいたほうがよいのではないかというのが1点です。それからもう一つは、平成26年の考え方をベースに進められてきたと申し上げましたが、1つ例外となるのが大学ファンドだと思っていまして、枠から明らかに外れるものであったと言えると思います。そこで、今もそれから今後も、報告を求めて、この分科会としては、モニタリングしていく必要性があると考えています。

それから、今後に関してですが、先ほど、財政投融資の役割はより重要性を増していると申し上げましたが、だからといっていたずらに量の拡大をするということにはもちろんなりませんので、質の向上を追求していかなければいけないと思います。

そのためには、より重要性が増している経済安全保障ということを踏まえての戦略的な成長分野への投資ということが求められていると思います。そこで、規模的に量としてはデットというものがベースとして必要だということは理解していますが、より一層、エクイティファイナンスに対してめり張りをつけて、より精度を上げていくことが必要になるかと思います。ここまでの取組を見ていますと、特にここ10年ぐらいエクイティファイナンスに関しては運営に濃淡がかなりあると思います。きちんと運営されている組織、ファンドがある一方で、まだ課題が多いところも見受けられます。

ではどうするかといいますと、ここの場でも何回も申し上げてきたのですが、人材のマネジメント含めてのノウハウの横展開、それからノウハウを共有するようなプラットフォームというものの機能をより強化して、効率、精度を上げていくことが必要だと思います。それから、組織、ファンドの統廃合ということも聖域を設けずに考えていく必要があるのではないかと考えております。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、岡田委員、お願いします。

〔岡田委員〕ありがとうございます。財投改革からの振り返りのようなことで、国の財政全体のようなことの観点でも、思ったことをと思いまして。昔有名な言葉で、「母屋でおかゆ、離れですき焼き」という有名な言葉もありましたが、一般会計できちんとした規律づけをやって、財投のほうで野放図というのは困るということで、財投改革が進んで、25ページにもあるように、数字の上でも着実に改革が進んできたものかと理解しています。

コロナ禍後に起きたことということで、どうしても政治的に増税というのが非常に難しい中で、一方で、国の社会保障給付がどんどん増える中で、ほかのところが皺寄せでなかなか歳出が出せないけれども、特に経済安全保障とか脱炭素とか子育てとかいろいろ広範な、必要な部分がある中で、いろいろ複雑な枠組みで何とか対処しようということになっているのかと思います。それはメディアなどからも随時批判がいろいろあるところかと思います。例えば、ここの場所での議論をするテーマではありませんが、事業としては重なるGX移行債なども、本当にカーボンプライシングでファイナンスできるのか、あるいは負担のラグが随分あるので負担の先送りになっているという批判が、これは有識者から結構あることだと思います。例えば子育て支援金もつなぎ国債で、防衛の財源も、どこまでファイナンスがはっきりしているのか判然としない面も結構ある。

そうした全般的な、そうは言っても出さなければならないところということで、国民の方々への負担をどこまで求めるかの形で、いろいろ苦労しながらやっていって、それに批判もある中で、大学ファンドもその中の1つなのかとは思いました。

そうした中で財投も、時代認識で役割の拡充が求められるという、基本認識はそうかと思うのですが、では、いろいろなほかのスキームで、かなり苦心してやっているところに、併せてこちらの財投のスキームも、ある種いろいろな、少し無理やりの工夫をいろいろやる必要がどこまであるのかどうか。

例えば、そうしたいろいろな拡充をいろいろ考えた場合に、その仕上がりとして25ページにあるような数字が大きく増えていくようなことまでイメージして、何かこの節目で考えていく必要があるのか、あるいは、それほど、財投改革の今までの歴史や、財投の規律で考えてきた延長上で拡充できる点は幾らかあるのではないかという比較的モデレートな形で拡充を考えていくということなのか。その辺りがどれぐらいの構えでやっていくべきなのかというのは、国の全体的な、財政とか税財政の議論などの観点からも、難しいテーマではあるかとは思いました。ベクトルとしては、拡充すべきという状況認識はそのとおりかと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、有吉委員、お願いいたします。

〔有吉委員〕ありがとうございます。私からは少し振り返りのようなことをした上で、将来に向けてのコメントをまとめてさせていただきたいと思います。

まず、振り返りとして、私がこの分科会の委員になりましてまだ1年でございますが、10年前に平成26年の報告書が出てからということを少し慮ってみたとしても、この報告書にございますとおり官民の適切な役割分担の下、リスクマネーを供給する、特に成長資金の供給とか、国際的な環境の変化に伴って必要となる資金を供給するといった視点は、この10年で考えてみても、ますます重要になっていると理解しております。そのため、やり方を変えていかなければいけないということはあると思いますが、財政投融資の役割の重要性はますます高まっていると評価してよいのではないかと思っております。

加えて、既に各委員のご指摘のとおり、直近ではコロナ禍のような危機時において、柔軟かつ機動的に資金供給が可能であるという点も、財政投融資の役割が非常に重要であると評価できるものだと考えます。

その上で特に危機時における資金供給という点については、これまでの分科会でも個別の論点として度々コメントさせていただいておるところでございますが、次の危機に備えて勉強、研究をしておくべきだと思います。つまり、回収を前提とするような財政投融資による支援という方法が、有効かつ効率的なものであったのかどうかについて、ポジティブなのかネガティブなのか両方の可能性を含めて、今後こういった形での資金供給を拡大すべきなのか縮小すべきなのか、両方向を見据えて、しっかりと検証をし、その検証結果を踏まえて次の危機があったときに、財政投融資と国費の負担のバランスであるとか、どこまでの規模の財政投融資を危機に対する資金供給に充てるのかということの準備をしておくことが非常に重要なのではないかと思います。

次に、将来の話として、特に先ほども申し上げましたとおり、産業投資的な財政投融資の意義、役割の重要性は、資金供給という点でも、それから既に何人かの委員がご指摘されたような呼び水的な効果という面から見ても、ますます重要性は高まっていくと思います。したがって、規模の拡大ということもありますし、領域というか対象とする分野とか考え方とか、そういったことも一層広がっていくのだろうと思います。

一方で、規模とか領域が広がっていくということを踏まえますと、これも既に何人かの委員の方がご指摘されているとおり、本当に官が資金供給に取り組むことが必要なのか、その意義について今まで以上にしっかり精査して、政策的な意義があるかどうか、また、民間に任せるのでは駄目なのかということについて、しっかりチェックをした上でお金を出す出さないを決めていくことがとても重要になっていくように思います。

その意味では渡辺委員がご指摘のとおり、Principlesを定めておいて、これはお金を出す出さないについて、ルールベース的に何かの基準で画一的に決めてしまうと、恐らくうまくいかないと思いますが、原則なり基準なりを定めておいて、ある程度ぶれないで対応できるようにする。特に断るときは断ることができるようにしておくということが、必要なのではないかと感じます。

そして、そういった、特に産業投資的な、リスクマネー供給的な意味合いでは、資金の性質としてやはりエクイティ性の資金の供給の重要性が高まっていくのだろうと思います。

そういった中では、今度はリスクの管理という点も併せて重要になってくるわけでございますが、エクイティ性の資金供給が増えることに応じて、個別の勝ち負けで判断するよりはポートフォリオ的な管理で損失リスクを管理していくことの重要性が高まると思います。この点は、平成26年度の報告書にも既にご指摘されていたことだと思いますが、今より重要になると思います。同時に、冨田委員からのご指摘があったとおり、今後1つの案件で非常に巨額な投資を行うことが出てきやすくなると思いますので、そういった案件については、財投からすれば間接的な投資先という位置づけになると思いますが、個別的な管理も必要になると思います。そこはうまくすみ分けをして、ポートフォリオ的な管理と個別管理の両面での管理が一層重要になるのではないかと思います。

また、財投の規模を拡大していく方向性があるにしても、当然ながら原資は限られているわけでございまして、何でもお金を出すということにはならないわけでございます。そのため、必要性なり、重要性が高いものにしっかりお金を効率的に出すことができるようにするという、効率性の観点もますます重要になっていくのではないかと思います。

そういった中では財投機関のそれぞれにそれぞれの役割があるということは、この1年でのご説明で十分承知はしているのですが、一方で近接分野に投融資をしているような幾つかの機関について、協調的な行動をより促して、無駄を省く、重複を省くことを促すことも必要かと思いますし、何人かの委員がおっしゃられたとおり、場合によっては機関の統合ということも考えてもよいのではないかと感じた次第です。

いずれにしても効率性ということも十分に考えていかないと、限られている資金を有効に重要な分野に振り分けることができず、重要な分野が増えているということもございますので、しっかりとした運営ができなくなっていくリスクがより高まっているということだと考えております。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、丸田委員、お願いいたします。

〔丸田委員〕丸田でございます。ご説明いただきまして、ありがとうございました。ほかの委員の方から様々な意見が出ておりまして、重複する部分もございますが、私個人の意見として述べさせていただきます。

私も新任の委員でございますので、過去の経緯等を十分に理解しているわけではございませんが、まず、21ページ目の分類でございますが、財政融資につきましては、確かに大学ファンドというのは非常に特殊な事案だったと思います。これは今後も個別に留意が必要だと思いますが、それ以外については、過去からコロナなどの緊急事態の備えとして非常に大きな役割を担ってきたのだろうということを理解できますし、今後も、感染症などによる危機が起きる確率とか頻度が高まっていると思いますので、引き続き非常に重要な役割と感じております。

ただ、一方で、工藤委員からもご指摘があったかと思いますが、いわゆる平時の融資といったものについては、かなり民間からの様々な資金供給であるとか、そういったところもかなり充実してきておりますので、その意味では期待される役割としては少し落ちてきているのかと思います。そういう意味ではセーフティーネット的なものであるとか、弱者救済のようなものについては、必要にはなると思いますが、基本的には民業を圧迫しない形でしっかり進めていくということなのかと思います。その意味では、財政融資につきましては、やはり今後急に何かが起きることもありますので、緊急対応を効率的に回していく体制が重要と思います。今も多分コロナ融資の回収等で相当現場に負担がかかっていると思いますが、テクノロジーの活用などによる効率化が重要と感じます。人材リソースも限られている状況と思いますので、そういう意味では効率性がより重視されるものと考えております。

一方で、皆様ご指摘のとおり、やはり産業投資、あとは産業投資に関連する財政融資、ここは非常に重要になってくると思います。私もまだ完全に理解できていないところもありますが、過去、議論としては、財源別に財政融資、産業投資という形で議論が過去からされておりますが、今後、先ほどのコロナとかそういったものも含めてですが、やはり財源別だけではなく、分野別の資金の色、例えば、GX分野で財政融資と産業投資を合わせてどういった規模の取り組みがされて、どういった効果があるのかというところを、メリハリをつけて、外部にも説明していったほうが良いのではないかと個人的には感じております。

その中で、先ほどの地政学、GX、スタートアップといったテーマは、今後も恐らく分野としては、かなり短い期間で新しい分野が生じて移り変わる可能性も十分あると思います。こういったところに戦略的に、タイムリーに民間が負えないリスクを負っていくというところは非常に重要性が高まっていると思いますし、国の財政に限りがある中で、特に今、日本の上場企業はバランスシートに多額の現金を抱えております。財投による投融資を呼び水として、日本企業の投資を引き出し。産業構造の変化に資することによって経済成長を実現するためにも、このエリアの取組というのは非常に重要と思います。17ページにあるように、官民のGX関連で150兆円の投資とか、そのための移行債や補助金の議論が出ています。こういった当初採算が取れない新規分野に投資するためには、まず補助金がないと、そもそもお金が回らないので始まらないところもあるのですが、ファイナンスの部分も併せて非常に重要と思います。今後このようなプロジェクトが組成されて進展されていくために、財投からの投融資の規模がどうあるべきなのかは財源との関係もあって、重要な論点になってくるのかと思います。規模としては、17ページで記載されている150兆円とか10兆円といったところを考えると、そこから想定される1件当たりの投融資金額であるとか、そこに対する財投の役割としては、もしかしたら今考えられているものより大きい可能性は十分あると思います。ただ、それができる財源や体制がそもそもあるのかどうかといったところは非常に大きな課題だと思いますので、政策分野ごとに必要とされる財投の投融資の可能性であるとか、求められている領域、金額を一旦、ざっくりでも大きな観点で分析をした上で、それが本当にどういった時間軸で、これも今すぐに投資というわけではなく、時間をかけてやるものでございますので、時間軸を含めた検討が必要ではないかと思います。その前提として、人材の育成であるとか、モニタリング、全体としてポートフォリオが毀損しないようにといったところも含めて、これをしっかり強化して進めるのが前提となりますので、これらの前提と共に規模をどのように考えるのかは、議論が必要なのではないかと考えております。

総括しますと、この分野については、どのような取組をやっていくのか、規模であるとか、あと体制といったところの議論を深めていく必要があると考えております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

皆様、全員にご発言いただきましたが、追加的にご発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

事務局からコメントがございましたらお願いしたいのですが。

〔大江財政投融資総括課長〕では、よろしければ私から。

まず、委員の皆様、大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。

様々なご意見をいただきましたので、全てを包括的に取りまとめることはなかなか難しいのですが、前回の財投全体の見直しから10年経って、その間コロナ等々あったので見直すいい時期であるということ、また、特にGX、スタートアップといったようなものですとか、国際的な情勢の変化によって、10年前の取りまとめをベースとしつつも、新しい追加的なアップデートといいますか、新しい状況を踏まえた検討をすることは意味があるという点は、おおむねご理解いただいたかと思います。また、財政投融資の果たすべき役割について、特にコロナ対応等で見られましたような緊急対応といったところの意義もかなりご評価をいただけるというご意見が多かったかと思います。

また、特に産業投資につきましては、今後もリスクマネー供給という役割は高まっている一方で、財源にも限りがある中で、できれば一般会計でやっているようなことも、財政事情も厳しいので、財政投融資で果たすべき役割があれば、そういうところはリスクマネーの供給として、今後も重要になってくる。ただ、一方でそこはガバナンスをしっかり効かせる、また、ポートフォリオの管理もしっかりやらなければいけないといったような形で、無駄を省いていかなければいけない、特に今足元での官民ファンドに見られるような部分、無駄を省く努力、また、情報の共有等々を進めなければいけないという、おおむねそういったご意見をいただいたものと承知をしております。誠にありがとうございました。

冨田委員のご質問がございました20ページの表でございますが、縦軸の意味は何なのかというご質問がございましたが、これはXY軸で表としてお示ししたというものではなくて、あくまでもイメージとして、経済活動一般については、こういう形のイメージの下で考えられるのではないかということで、何人かの委員からもご指摘いただきましたように、基本的には民間での活動に委ねることがベストであると。ただ、公共部門が介入する必要がある場合には、まずは財政投融資の活用が考えられるのではないか。これはあくまでも収益性のある分野についてということでございます。その上で受益者負担が求められるもの、自助努力を支援するといったような部分については、財投の活用が有効ではないかということで、国費の渡し切りという、国費は即座に国民負担に直結するものでございますので、そういったものを考える前に財政投融資の活用も考えるべきではないかといった趣旨でございました。

もちろん国費、補助金的なものと有償資金の活用というのは性質が全く異なるものでございますので、本質的に財投を活用するのになじまないようなものは当然あると思います。冨田委員からご指摘いただきました、かつて3階回し、財投回しと呼ばれていたようなものは、これもケース・バイ・ケースだとは思いますが、例えば、本来国費でやるべきものを、負担は後で考えればいいということで3階に回すということであっては、規律としては問題があるのではないかと考えておりますし、決してそのようなことをやるべきだと主張しているものではございません。ただ、いただいた貴重なご指摘を踏まえまして、この表は今回あくまで議論のたたき台として提示させていただきましたが、これが絶対正しい姿だと申し上げるつもりももちろんございませんので、今回いただいたご指摘を踏まえながら、また、今後の議論に向けて、どういったプレゼンの仕方が適切かというのは考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

お願いいたします。

〔湯下理財局次長〕あと、今回の議論の対象の規模感というご質問もありました。私どもの資料のしつらえが財投改革以来ということでお示ししていますので、昔の300兆円、400兆円ストックがあった時代からの表の延長になっていますが、こういう昔に戻したいということは一切考えておりません。むしろ、そういうことよりも、最初、産投の場合は使える財源がそもそも所与であるというものを、どう使うかという発想になっているので、ここはややもすると、先ほど冨田先生からご指摘あったように、財投改革の前の郵便貯金が幾らだからこれをどうするかという財源の額がまずありきの思考に戻っては絶対いけないと思っています。むしろ先ほどの表の中に出てきているように、本当だったら収益が期待できて、回収が期待できるようなところにも、特に基金とかを使った形で国費が補助金で入っているのではないか、本当はこういったところも財投で何かできるのではないかということを考え直したいという問題認識でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕意見、コメントはございますでしょうか。よろしいですか。

やはり、皆様、大江課長も整理されましたが、重要性とか、役割への期待というのは高まっているという認識は皆さんお持ちですが、一方で、本当にふさわしい政策に対して財投がしっかり対応でき、財投という手段がうまく組み合わせてできているかということとか、あとやっぱり体制とガバナンスですよね。特に産投の議論をするときには、そこがすごく大きな課題だと思いますし、冨田先生もおっしゃいましたが、非常に規模が大きくなっている中でのリスク管理の在り方、それから効率性、これは体制にも関わる部分ですが、非常に重要なことだと思っておりまして、そういうことも含めて、さらに議論を深める必要があると私も思いました。ありがとうございます。

続きまして、報告事項ということで、大江課長よりご説明をお願いできればと思います。

〔大江財政投融資総括課長〕再び私から恐縮です。今後の進め方といたしまして、今、投影されております資料をご覧ください。

今回、「財政投融資の現状と課題」をご議論いただきました。

次回5月は、今日も議論の中で出てきたと思いますが、特にリスクマネーの供給主体ということで、産業投資についてフォーカスを当ててご議論させていただければと思います。去年の秋にも、出資者としてのガバナンスといったようなこともございました。そういった観点も含めて、また論点を提示させていただければと考えております。その上で、6月に、我々の事務年度との関係もございますが、一旦の論点整理をさせていただいて、今後に向けてどうするかというのも、今後の議論を踏まえながら、検討させていただけると思いますが、一旦6月で何らかの整理を行いたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。これは論点整理をする前に、事前に委員にご相談いただけるのですね。

〔大江財政投融資総括課長〕もちろんでございます。

〔翁分科会長〕いろいろな意見を反映させていただいて、それでもう1回最後に、6月で議論するということですか。

〔大江財政投融資総括課長〕はい。

〔翁分科会長〕分かりました。

今の点につきまして、何かご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、予定の時間となりましたので、本日の議事はここまでといたします。ご議論いただいた内容のほか、もし追加のご意見やご質問などがございましたら、事務局までお寄せください。

また、本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

次回は5月24日金曜日14時半より開催いたします。議題は今ご説明いただいたとおりでございます。3月に海外出張に行かれました山内委員よりもご報告いただけると伺っております。

それでは、本日は、ご多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。

15時57分閉会

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