環境省・新着情報

2024年05月30日

第10回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果

1. 環境省とアジア開発銀行(ADB)は、2024年5月28日に第10回環境政策対話を実施しました。
 
2. 政策対話には、松澤裕環境省地球環境審議官及びファティマ・ヤスミンADB副総裁が出席し、気候変動、生物多様性、循環経済、大気汚染等について意見交換を行いました。
 
3. 議論の結果、世界全体で2025年までの排出量のピークアウト、2050年までの世界全体のネット・ゼロ実現等に向けて、両者は、全経済分野・全ての温室効果ガスの削減に貢献するよう二国間クレジット制度(JCM)の案件形成の強化を通じた気候ファイナンスを加速することとなりました。また、生物多様性の保全や循環経済の実現等の環境危機の同時解決を図るシナジーの強化、島嶼国や中央アジアにおける脱炭素化、本年11月のCOP29の成功に向けて、両者で協力していくことになりました。

■ 背景

    環境省とアジア開発銀行(ADB)は、2014年6月に環境協力に関する覚書(LOI)を締結して以降、毎年、環境政策対話を実施しています。今回、同覚書に基づく10度目の環境政策対話を開催しました。

■ 開催日時

2024年5月28日 10:00~12:30(日本時間)

■ 場所

ADB(フィリピン共和国マニラ市)

■ 主な出席者

(ADB)
 ヤスミン  セクター・テーマ担当副総裁
 カラスコ  持続可能な開発・気候変動局長 ほか
 
(環境省)
   松澤地球環境審議官
   須賀インフラ推進官 ほか

■ 主な議論

 今回の政策対話では、昨年合意した「日本国環境省とアジア開発銀行(ADB)の間の環境協力における行動計画2023-2025」の12分野について、協力の進捗の確認や両者の施策の動向を共有しました。その中でも特に、昨年のCOP28や本年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合の結果を踏まえ、世界全体で2025年までの排出量のピークアウト、2050年までの世界全体のネット・ゼロ実現等に向けた取組について意見交換を行いました。
 議論の結果、環境省とアジア・太平洋地域の『気候バンク』として取組を進めるアジア開発銀行(ADB)は、エネルギー起源のCO2のみならず、全経済分野・全ての温室効果ガスの削減に貢献するよう二国間クレジット制度(JCM)の案件形成強化を通じた気候ファイナンスを加速することとなりました。また、生物多様性の保全や循環経済の実現、大気汚染対策等の環境危機の同時解決を図るシナジーの強化、島嶼国や中央アジアにおける脱炭素化、2024年11月に予定されているCOP29の成功に向けて協力していくことになりました。

   そのほかの議論の概要は下記のとおりです。
(ⅰ) 気候変動
 (JCM日本基金(JFJCM))
  ・  JFJCMの対象ガスについて、CO2やメタンのみならず、フロンなどのその他の温室効果ガスに拡大し、環境省とADBは、HFCなどの排出削減に向けたプロジェクト組成に向けた検討を進める。
  ・ 環境省とADBは、気候変動以外の環境課題の解決にも資するシナジー効果の高い案件の組成について協議をする。
 
 (国際炭素市場)
  ・ 環境省とADBは、パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センターが途上国を対象とした実践的な能力構築に関する研修において、連携する。  

(ⅱ)  生物多様性
  ・  環境省とADBは、本年10月にコロンビアで開催される生物多様性条約(CBD)第16回締約国会議(COP16)において、昆明・モントリオール生物多様性枠組に基づく取組を進めるためのサイドイベント等で連携・協力する。
  ・  環境省は、ADBが進める自然に基づく解決策の取組であるネイチャー・ソリューションズ・ファイナンス・ハブ(Nature-based Solutions  Finance Hub)を通じた協力を模索する。  

(ⅲ)  大気質管理
  ・ 環境省とADBは、JFJCMを活用して、温室効果ガスの削減と大気質の改善に資するシナジー効果のある案件の形成を進める。  

(ⅳ)  循環経済
 (循環経済及び廃棄物管理)
  ・ 環境省とADBは、廃棄物発電ハンドブック(PPPツールキット)について引き続き協議する。
  ・ 環境省とADBは、今後、特に小島嶼開発途上国(SIDS)を対象とした循環経済分野における協力、特にE-wasteにおける協力の可能性について検討する。  

 (プラスチック汚染)
  ・ 環境省とADBは、2024年11月に開催予定のプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第5回政府間交渉委員会(INC5)において、共同サイドイベントの開催に向けて協力する。
  ・ 環境省は、海洋表層に漂流するマイクロプラスチックの分布等の2次元地図を併せて提供するオープンデータベース「Atlas of Ocean Microplastic(通称:AOMI)」を公表したこと共有し、今後モニタリングの実施支援におけるADBとの協力可能性を模索していく。

■ その他

 本政策対話とあわせて、フィリピン気候変動委員会のロバート・E・A・ボルへ副委員長兼事務局長やフィリピン証券取引委員会を訪問し、現在進めている気候変動協力について意見交換を行いました。

■ 関連記事

・ 第9回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(令和5年6月19日付け報道発表)
  https://www.env.go.jp/press/press_01759.html
・ 第8回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(令和4年7月21日付け報道発表)
  https://www.env.go.jp/press/press_00311.html
・ 第7回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(令和3年6月4日付け報道発表)
  https://www.env.go.jp/press/109647.html
・ 第6回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(令和2年5月22日付け報道発表)
  https://www.env.go.jp/press/108045.html
・ 第5回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(平成31年2月8日付け報道発表)
  https://www.env.go.jp/press/106444.html
・ 第4回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(平成30年3月20日付け報道発表)
  https://www.env.go.jp/press/105289.html
・ 第3回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(平成29年3月9日付け報道発表) 
  http://www.env.go.jp/press/103676.html
・ 第2回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(お知らせ)(平成28年1月26日付け報道発表)
  http://www.env.go.jp/press/101987.html
・ 第1回日本国環境省・アジア開発銀行環境政策対話の結果について(お知らせ)(平成27年2月6日付け報道発表) 
  http://www.env.go.jp/press/100286.html
・ アジア開発銀行における二国間クレジット制度日本基金の設置と環境協力覚書の署名について(お知らせ)(平成26年6月25日付け報道発表)
  http://www.env.go.jp/press/18313.html
 

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8248
参事官
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推進官
須賀 義徳
参事官補佐
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担当
小池 瑛子

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