厚労省・新着情報

健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和6年4月26日(金)13:00~15:00

場所

オンライン開催

議題

(1)座長の選出について
(2)がんの緩和ケアに係る部会からの報告
(3)令和5年度患者体験調査結果の報告
(4)アピアランスケアについて
(5)厚生労働科学研究班からの報告(アピアランスケア)
(6)その他

議事

議事内容
○がん対策推進官 事務局でございます。

 それでは、定刻を少し過ぎてしまいましたが、準備が整いましたので、ただいまより「第8回がんとの共生のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
 ウェブで御参加の先生方、画面をオンでお願いいたします。
 まず、構成員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます健康・生活衛生局がん・疾病対策課の原澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本検討会はYouTubeにて配信しておりますので、その点、御承知おきいただければと思います。
 構成員の皆様の出席状況でございますが、岸田構成員から途中退席の旨の御連絡をいただいております。また、塩川構成員から御欠席との御連絡を頂戴してございます。出席状況については以上となります。
 続きまして、構成員に交代がございましたので、その点も御報告させていただきます。私から皆様のお名前を御案内の後に、順に自己紹介の御案内をさせていただきたいと思います。
 まず、和田構成員に代わりまして、愛媛県保健福祉部医療政策監の河野英明構成員に御参画いただいております。
 続きまして、前田構成員に代わりまして、国立がん研究センター東病院サポーティブケアセンター副サポーティブケアセンター長、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会理事の坂本はと恵構成員に御参画いただいております。
 続きまして、高山構成員に代わりまして、帝京大学医学部内科学講座教授の渡邊清高構成員に御参画いただいております。
 それでは、河野構成員、坂本構成員、渡邊構成員の順に一言ずつ自己紹介をお願いできればと思います。まずは河野構成員、お願いできますでしょうか。
○河野構成員 河野でございます。愛媛県保健福祉部医療政策監の河野英明と申します。宮崎県の和田委員の後任といたしまして、全国衛生部長会から御指名をいただきまして今回から参加させていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 愛媛県でもこの3月に愛媛県がん対策推進計画の第4期計画を策定したところでございますが、その計画の中で、がんになってもお互い支え合い、安心して暮らせる地域社会の実現を目指しまして、がんとの共生について取り組むこととしているところでございまして、愛媛県の計画では、がん患者の就労支援に向けた支援の充実というのを特に今後力を入れていく対策ということで位置づけをしております。今回からのこの検討会に入れていただくことになりましたので、勉強させてもらいながら委員を務めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 続きまして、坂本構成員からお願いできますでしょうか。
○坂本構成員
 ありがとうございます。坂本です。
 このたび、前田構成員に代わりまして、日本医療ソーシャルワーカー協会から指名を受けまして参加させていただくことになりました。職場ではサポーティブケアセンターということで組織名を明記しておりますが、臨床上の立場としてはがん相談支援センターのがん専門相談員という立場で業務を行っております。また、医療ソーシャルワーカーですので、社会福祉の観点からというところで、常々本会の議題の中心でもあると思いますが、患者さんが暮らしていくということに関する事柄についても日々患者さんや御家族の声を聞き、どう支援していくかということについて他職種と検討しているという立場になります。皆さんの議論に参加させていただきながら少しでも貢献できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 続きまして、渡邊構成員からお願いできますでしょうか。
○渡邊構成員 帝京大学医学部内科学講座の渡邊清高と申します。高山構成員の後任ということで御指名いただきました。私は現在、板橋区で、東京都の西北医療圏のがん診療連携拠点病院で主にがんの薬物療法の診療に携わっております。一方で、がんの相談支援とかがんゲノム、がん登録にも関わっておりまして、大学ということもございまして、卒前・卒後教育研修、多職種連携教育なども取り組んでいるということであります。
 研究プロジェクトという枠組みになりますけれども、がんになっても安心して暮らせる社会づくり、そして今回の基本計画では「誰一人取り残さないがん対策」ということで、全国の地域での在宅療養や緩和ケアについての情報発信、連携モデルの研修にも携わらせていただいております。この「がんとの共生」というのは非常に重要なテーマでございますので、私も多くのことを学ばせていただきまして、貢献できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 事務局側の画面の不具合がありまして私どもの顔が映っておりませんが、そのまま進めさせていただきます。
 構成員の皆様からは今、自己紹介を頂戴いたしました。
 それでは、本日、よろしくお願いいたします。
 また、本日は参考人といたしましてお二方にお越しいただいてございます。まず、国立がん研究センターがん対策研究所がん政策評価研究部指標モニタリング評価研究室長の中澤葉宇子参考人に御参加いただいております。
 もう一方です。国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターセンター長の藤間勝子参考人に御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しておりますので、適宜御覧いただければと思います。議事次第と資料1から資料4まで、参考資料1から参考資料4までとなっておりますので、御確認いただければと思います。
 もし不備等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 それでは、早速議題に入らせていただきたいと思います。議題1「座長の選出について」に移らせていただきます。参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1は本検討会の開催要綱となってございますが、3.その他(2)において、「構成員の互選により座長をおき、検討会を総括する」とされてございます。
 座長についてでございますが、事前に木澤構成員から座長として西田俊朗構成員にお願いしてはどうかという御推薦を頂戴してございます。その点につき、構成員の皆様方から御意見をお伺いしたところ、ぜひ西田構成員にお願いしたいという意見でございましたので、西田構成員に座長をお願いするということで進めたいと思いますが、何か御意見等ございますでしょうか。
 御了解いただけたということで、それでは、西田座長にこの後の進行についてお願いしたいと思います。
 まず冒頭、西田座長から一言御挨拶をいただきまして、その上で進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○西田座長 皆様、こんにちは。西田俊朗と申します。
 前回まで一緒にやっていただいた構成員の皆様方、また今回新しく加わっていただいた構成員の皆様方、これからよろしくお願いします。
 この共生の会というのは、患者さんが非常に注目しているところでございます。患者さんのQOLとか心のケアとか、結構大事なところをディスカッションしてまいります。と言いながら、エビデンスがそれほど高いというわけではないので、いかにそれを実地臨床の中へ落としていくかというのが非常に重要かなと考えております。
 本日は主に報告なのですけれども、緩和ケア部会からの報告、患者体験調査の結果の報告、アピアランスに関して報告と少しディスカッションできるようであれば、その辺に関して議論してまいりたいと思います。
 早速第2の議題「がんの緩和ケアに係る部会からの報告」に入っていきたいのですが、この会がちょっと久しぶりなので、私もついつい忘れてしまいそうなので、おおむねの方向性とか、第4期のがん対策推進基本計画が昨年4月から始まりましたけれども、その方向性、厚労省としては課題感、その辺を事務局のほうから話していただいて、今後こういうスケジュールで進めたいということの概略をまず把握しておいたほうがディスカッションしやすいかなと思いますので、事務局、原澤推進官、よろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、冒頭、参考資料2の御説明を簡単にさせていただいた後に、資料1の説明に引き続き移らせていただきたいと思います。
 まず、参考資料2を御覧いただけますでしょうか。参考資料2の「第4期がん対策推進基本計画」という資料がございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。共生の検討会の先生方からも御議論の取りまとめ等を頂戴して、がん対策推進協議会のほうで令和4年度中に議論を進めさせていただき、令和5年3月28日の閣議決定として第4期がん対策推進基本計画が定められてございます。こちらの中では基本的には第3期がん対策推進基本計画の構造を踏襲する形で整理をしておりますが、「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」という3つの柱の構造は基本的に維持しつつ、少し内容の組替え等を行った上で、それを支える基盤として研究や人材育成等に加え、「患者市民参画の推進」といった項目等を追加するなどの見直しを行っているものでございます。
 先生方に主に御議論いただいている「がんとの共生」という分野においては、一番右側の3ポツの柱立ての中の項目を中心として御議論いただき、今後の対策の方向性とか、また、ちょっと気が早いですが、第5期のがん対策推進基本計画に向けた必要な課題の整理等も進めていただくということと認識してございます。
 1枚お進みいただきまして、「3.がんとの共生」というところで、こちらは項目が多うございますので全て読み上げることはいたしませんが、記載してありますとおり、「相談支援及び情報提供」という項目と、「社会連携に基づく緩和ケア等のがん対策・患者支援」「がん患者等の社会的な問題への対策(サバイバーシップ支援)」という項目を設けてございます。本日御報告させていただく内容は、主に左下(2)の緩和ケア等のがん対策・患者支援というところと右上の(3)のサバイバーシップ支援というところに関連してくるということで、位置づけについて御理解いただけたらと思います。
 スケジュール感についてですが、4ページ目でございます。第4期がん対策推進基本計画のスケジュールということでお示ししてございますが、現在令和6年度に入ったところでございますけれども、まずは第4期がん対策推進基本計画に沿って私どものほうで例えば予算事業の設定とか、研究班による研究活動の実施等を進めているところでございます。
 第4期がん対策推進基本計画の中で特に新しいものとしては、矢印の一番上のところに書いてありますが、ロジックモデルや指標というものを今回明確に整理するという試みをしていただいているところでございます。どうしても共生の分野においてはなかなか明確な指標の設定も、先ほど西田先生からもお話があったとおり、エビデンスとの関係もあって難しい部分もありますが、必要な指標の設定やロジックモデルの見直しといったことも今後想定されるところでございます。
 まずは一旦定めた指標・ロジックモデルに沿って、令和7年度から令和8年度にかけてぐらいの時点を想定していますが、中間評価の議論等を実施していただき、中間評価を令和8年度をめどに行って、それを踏まえて引き続きの取組を進め、令和10年度には次のがん対策推進基本計画の設定というスケジュールが基本的には想定されておりますので、こういった形で事務局のほうで課題の整理や御議論に資するような情報の整理等をしていきたいと思っているところでございます。
 まず、冒頭の第4期がん対策推進基本計画に関する概要については以上でございます。
 それでは、引き続きまして資料1の御説明をさせていただきたいと思います。資料1「がんの緩和ケアに係る部会からの報告」ということで、主として緩和ケア研修会の見直しについて御議論いただいたところでございますので、その内容の御報告をさせていただきたいと思います。
 2ページ目にお進みいただければと思います。がんの緩和ケアに係る部会ということで、先生方はよく御存じかと思いますが、緩和ケアに関する議論を特に実施するために、共生の検討会の下、より踏み込んだ、領域を限定した議論をしていただくという立てつけでがんの緩和ケアに係る部会というものを設置しているところでございます。今回は第7回として昨年の9月末、がんの緩和ケアに係る部会を開催させていただいており、その中で緩和ケア研修会について特に御議論をいただいたところでございます。
 3ページ目を御覧いただければと思います。その際御議論いただいた内容として、まずがん等における新たな緩和ケア研修等事業ということでございますが、こちらについては予算事業として従前より実施しているものでございまして、緩和ケアの研修を実施するということで、事業の概要の2ポツ目のところで、「e-learning」と「集合研修」の双方により構成された緩和ケア研修会を開催し、がん等の緩和ケアの底上げ・充実を図るとともに、がんの緩和ケアに関する普及啓発を行うということで、全ての医療従事者が身につけるべき基本的な緩和ケア研修の開催ということを軸にして、これまで事業を実施してきたところでございます。
 すみません。ページ番号と私が申し上げたページがずれていましたが、次のページ、3ページ目を御覧いただければと思います。「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会」の概要ということで、こちらが先ほど申し上げた研修会の部分の概要となっております。内容については御覧いただければと思います。
 4ページ目でございます。基本的な研修会の流れでございますが、e-learningを主体とした形になっていまして、まずe-learningにおいて必修科目と選択科目を受講していただくこととなります。その修了後2年以内に集合研修を実施して、そこで受講していただいたところで修了証を発行するという流れになっており、二段構えになっているということを御承知おきいただければと思います。
 内容については右側に書いてあるとおりでございます。
 続きまして、5ページ目を御覧いただければと思います。ここまでがまず緩和ケア研修会の前提の説明でしたが、第4期がん対策推進基本計画における記載はどうなっているかということで御紹介をさせていただきますと、現状・課題のところで、がん医療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを正しく理解し、知識、技術、態度を習得するということで、緩和ケアが診断時から適切に提供されることを目指し取り組んでいるという状況でございます。
 取り組むべき施策のほうでございますが、引き続きさらなる推進に務めるということを記載していただいているとともに、関係団体等と連携し、医療用麻薬の適正使用や、専門的な緩和ケアへのつなぎ方等の観点も踏まえ、緩和ケア研修会の学習内容や、フォローアップ研修等について検討し、必要な見直しを行うということで、御議論をいただいているところでございました。
 次の6ページ目を御覧いただければと思います。冒頭参考資料2の説明の中で御説明いたしましたが、一部ロジックモデルと指標という設定の中にも「患者本位で持続可能ながん医療の提供」というパートや、「これらを支える基盤の整備」といったところで、緩和ケア研修の修了者数についての指標を組み見込んでいます。先ほど説明が漏れていましたが、共生の柱立てと別にがん医療というパートにも緩和ケアについて触れている部分がございます。今回、緩和ケアというのは診断時から医療の提供と一体となって行われるものだということで、医療のパートに一部位置づけるという形の項目の整理も行っていますので、指標の置き方、位置づけにつきましては2ポツの柱の中に入っているということで、ちょっと複雑でございますが、一旦御理解いただければと思います。
 7ページ目でございます。緩和ケア研修会の内容見直しについて、緩和ケアに係る部会における主な議論の内容を御紹介させていただきたいと思います。全て読み上げることはいたしませんが、例えばマル1の「既存の研修内容の見直しに対するご意見」ということで、例えば職種ごとにコンテンツを少し整理していく必要があるのではないかといったことや、2ポツ目のところで選択科目の5つのうち2つという選択になっているが、医師や歯科医師についてはそれを全て履修するという形にしたほうがよいのではないかといった御意見等が出ているというところでございます。
 また、マル2の「新規研修内容の追加に対するご意見」ということで、がんの緩和ケアに係る部会において、いわゆる3点セットと言っている「診断時の緩和ケア」等の資材がございますが、こちらについて活用していくこととしてはどうかといった御意見や、それ以降のポツについて、ライフステージに応じた緩和ケアや、社会保障制度、地域包括ケアシステム等の制度・仕組みの理解などといったコンテンツを追加してはどうかという御意見を頂戴してございます。
 その他の御意見として、一番下の箱の中でございますが、第4期がん対策推進基本計画のロジックモデルの中には、最終アウトカムの指標例のところで、「現在自分らしい日常生活を送れていると考えるがん患者の割合」というものが記載されていますが、そこががんと診断されたときからの緩和ケアの推進というところの結果を反映しているものなので、その視点を忘れずにやっていくことが必要だという御意見とか、あとは当面の見直しとは別に、医学教育の内容や学びの環境が変化しているといった現状を踏まえて、緩和ケア研修会の全体を見直す方向性の議論も必要ではないかといった御意見も頂戴してございます。
 8ページ目を御覧いただければと思います。先ほど御紹介したような御意見等を踏まえまして、一旦当面の見直しの内容としては以下のように御提案をさせていただきたいということで、お示しさせていただきます。
 見直しの基本的な考え方として、本研修会の趣旨としては、全ての医療従事者が基本的な緩和ケアについて正しく理解するというのが念頭でございますので、研修内容については基本的な緩和ケアに関する事項を中心に取り扱うという基本軸は一旦ずらさずにやってはどうかと思っています。その上で、本研修会の内容が当初医師や歯科医師を想定とした内容で構成されているということを踏まえて、医師や歯科医師については全ての内容を受講するというふうに整理してはどうかということでございます。
 具体的な見直し内容としては、「見直し内容」という箱の中の1ポツ目でございますが、緩和的放射線治療等の専門的な疼痛管理に関する事項ですとか、がん以外に対する緩和ケアについては、医師・歯科医師がその医学的な知識の習得と、患者さんへの適応について適切、迅速に判断できるということが望ましいので、これらを含む現在の選択科目について医師・歯科医師は全て必修という形で要件を見直すことにしてはどうかという形で考えてございます。
 医師・歯科医師以外の医療従事者についても同様に専門的な緩和ケアへのつなぎ方といったことは理解、習得しておくことが望ましいということですので、「苦痛のスクリーニングと、その結果に応じた症状緩和及び専門的な緩和ケアへのつなぎ方」の項目で「緩和的放射線治療や神経ブロック等」について内容の充実を図ることとか、あとは多職種での研修ということの利点を活用するという観点で、集合研修においては多職種によるグループが編成されるように配慮するといったような運用上の工夫、そういったこともしてはどうかということで考えてございます。
 その他の内容については、先ほど御紹介した緩和ケアの部会で作成いただいた資料の集合研修等における紹介とか、基本的な緩和ケアについての知識の確認・更新を目的として、緩和ケア研修会を修了した後もe-learningによる研修は再受講が可能であることを周知して、繰り返し学習にも活用していただけるようにアナウンスするといったようなことを考えております。
 あとは事務的なところでございますが、修了証発行とか研修会の開催手続等は一部アナログな部分がまだございますので、そういったものをオンライン化していって現場の御負担の軽減等についても考えていきたいと思っております。
 方向性としては今のようなイメージで、9ページ目以降は、今のような方向性で進めるとすれば、例えばこのような修正になるということで、現時点で改正前後が分かるように、事務局のほうで開催指針を整理したものでございます。左側が改正前の指針で、右側が改正後の指針となってございます。細かい文言等は修正する可能性がございますが、基本的にはこのような項目の修正で現状は考えてございますということで、御紹介でございました。
 長くなりましたが、事務局からの資料の御説明は以上でございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 緩和ケアのところは、先ほど御紹介がありましたように、以前は共生の会で議論していたのですけれども、今は医療を全部通してという形なので、医療の提供のところでも十分関わります。ただ、今回の部会からの報告はここで少し議論したいと思います。
 私も10年ちょっと前、ファシリテーターをやっていたので、大分古くなるのですけれども、リラーニングも必要だなと思いながら今、聞いていました。構成員の皆様方からもし御質問あるいは追加の御意見があれば、挙手ボタンを押していただいて、遠慮なく御意見を賜れればありがたいです。いかがでしょうか。
 意見が出るまでに木澤構成員とか坂本構成員、あるいは岸田構成員等が部会に入られていたのですけれども、追加の意見、これをちょっと言っておきたいということがあれば、ぜひどうぞ。岸田構成員、よろしくお願いします。
○岸田構成員 ありがとうございます。
 まず、部会でのといったところを出させていただきまして、ちょっと重複してしまうかもしれないのですけれども、木澤構成員に3つ質問がございます。まず、アップデートの再受講についてなのですが、参考資料の、下山先生の部会で最新の知識を身につけていただきたいので、ガイドラインを改定する際にはアップデートをしながら、またつくっていくよということや、ただ、研修医の方々が年々多くなってきていて、ディスカッションが薄くなりやすいという意見などあったかと思います。
 再受講可能みたいな形で今回入れていただいているかと思うのですけれども、再受講可能で任意で再受講してくださる方は、医療者としてすごく前向きに患者さんと接してくださっている方なので心配ないと思っているのですが、それ以外の、もう5年以上たっているとか、年配の医療者が患者さんにとってコミュニケーションが難しかったり、知識がアップデートされていなかった厳しい人たちが多いのではないかなと思っていて、強制的にでも受講、受けてもらうような施策等が必要だと思いますが、どうでしょうかといったところ。
 当事者の声についてですが、今回サバイバーシップといったところも言及があったかと思います。そんなときに緩和ケア研修会に当事者の声をもっともっと入れていく必要があるのではないかと思っておりまして、私も行ってお話をさせていただくことなどあるのですけれども、まだまだ少ないのではないか。そこに対しての当事者の声といったところをどうお考えかというところが2点目。
 3つ目は、アウトカムについて、今回も修了者数といったところがずっと量的に分かりやすいといったところで入っているかと思うのですが、何回も議論させていただいているように、最終的には患者さんの痛みが実際に取れたかどうかというところが本当に大事だと思いますので、ただ、現場では患者さんが求めても、あなたには緩和ケアが必要ないねという言葉もまだ聞かれたり、何年たってもあるといったところが現状です。アウトカムの部分に対して、木澤構成員としてこれで問題ないかどうかというところもちょっとお話しいただければうれしいなと思います。
 以上です。
○西田座長 木澤構成員、もしコメントがあればお願いします。
○木澤構成員 3点御質問いただきました。ありがとうございます。
 1つ目、強制したらどうかという御意見ですけれども、私、学習に対しては強制するのは現実に反対です。やはり自由意思で研修をしていかないと。これは集合研修をしているものなので、モチベーションが低い方が参加されると全体の学習効果にも影響するということがありますので、そこのところは追加受講は自由意思で学習していくべきものではないかと思っています。
 現場の質の低さについては、例えばスクリーニングをすることで患者さんのつらさというのをピックアップして、そこに専門家をはじめ、多職種で対応していくという体制を取るのがより現実的で、現場におけるコンサルテーションで知識のアップデートを図っていっていただくというのがいいのではないかと思っています。
 2つ目の当事者が研修会に参加していただくことというのは本当に重要だと思っていますので、もっとそこが現場でしっかり行われるように指導していきたいと思いますし、呼びかけもしていきたいなと思っています。
 3つ目のアウトカムですけれども、これは大変難しくて、教育の成果をアウトカムとして患者さんの苦痛ではかるというのはなかなか難しいことではありますが、これについてもできる限り努力していきたいと思うことと、あと、緩和ケアチームに関しては、介入時や介入した後の症状、PROをモニタリングして、痛みや苦痛の状況をしっかり把握していくということを通じてはかっていこうという努力をしていこうと思いますので、ダイレクトな答えにはならないですけれども、努力を続けていこうと思っています。
 ありがとうございます。
○岸田構成員
 ありがとうございます。
○西田座長 木澤構成員、ありがとうございます。
 大人のラーニングを入れていかないと身につかないと思いますので、いわゆる子供のラーニングで強制してもなかなか難しいところはあると思います。
 では、黒瀨委員が手を挙げられていますので、よろしくお願いします。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。日本医師会の黒瀨でございます。
 まず、お示しいただいた見直し内容の方向性に関して、私どもは全般的に賛成しております。特に今回緩和的放射線治療の重要性について明記していただいておりますし、この点に関しては、私どもは非常に重要なポイントだと思ってはいるのですが、残念ながら現実的に医師側あるいは医療従事者側、そして患者さん・患者様家族、皆さんの認知度がまだ低いというところが問題で、そういった意味で、この見直し内容にはっきりと明記いただいたところは非常に重要なことであろうなと感じております。
 その中で、医師から言われるというよりも、看護師さんとか、あるいは多職種の方々からサポートされる中で患者さんの御理解を得ていくというプロセスが非常に重要だと思いますし、そのためには、例えば地域包括ケアの中でどういう緩和的な放射線治療等を組み込んでいくのか、そういったことも含めて今後検討いただければと思っております。質問ではなくて意見でございます。
 ありがとうございました。
○西田座長 ありがとうございます。黒瀨先生、これは結構大事で、働き方改革が求められているので、やはり医療はチームでやらないといけないかなと私も思います。
 その次は森内構成員、お願いします。
○森内構成員 ありがとうございます。日本看護協会常任理事の森内でございます。
 私どものほうも資料1のスライド8、緩和ケア研修会の見直し内容ということにつきましては賛成でございます。
 参考資料3のスライド4を見てみますと、緩和ケア研修会の修了証書の交付枚数の推移が出ております。緩和ケア研修修了者数は年々増えているということが分かるわけですけれども、この人数ががん患者さんたちに対して十分な人数であるのか、足りているのかということについては、これまで評価をしてきていなかったと思っております。意見でございますが、今後このような視点を含めた対応についてもぜひ検討していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 引き続き牧野構成員、よろしくお願いします。
○牧野構成員 ありがとうございます。日本介護支援専門員協会常任理事の牧野和子と申します。
 私も今回の8ページ、9ページの見直しについての意見のところでお伝えしたいことがあり、意見を申し上げたいと思います。まず、1点目、8ページ、「社会保障制度、地域包括ケアシステム等の制度・仕組みの理解」に関しましては、これを入れていただきますと、病院から帰ってこられて地域で暮らす方々の様子というところをしっかりと御理解いただいた上で、皆様に支えていただける仕組みができるのではないかと期待いたします。
 就労支援とピアサポートについては1つお願いがございます。就労支援とピアサポートは、年代ごとやニーズごとにかなり異なる部分があると思いますので、どこに焦点を当てて運営していくのか御検討願えたらありがたいと思いました。有効なところが多分あると思いますので、注力するところに焦点を当てていただくということが必要かと思われます。
 9ページの集合研修の部分です。多職種で学べる機会を持っていただくというのは有効で、ケアチームとして地域で働いていくときにとても重要な視点だと思いますので、これを入れていただいたことに感謝したいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 確かに相談支援センターは大分認知されてきたのですけれども、ピアサポートのほうはあまり認知されていないので、上手に仕事を仕分けしながら認知していただくように持っていかないといけないかなと思います。
 では、坂本構成員、お願いします。
○坂本構成員 ありがとうございます。
 私も緩和ケア部会の構成員を務めさせていただいているところではあるのですが、昨年の会議の際に発言できていなかった部分について、提案としてここで申し上げておきたいと思います。今回の見直しで医師・歯科医師以外の医療従事者もというところで、研修の対象者を広く捉えていただいたことは感謝申し上げます。一方で、私どものようながん相談支援センターの相談員というのが、特に福祉職だったりすると、この研修会をやるので参加しませんかという声が施設自体からかかるかというと、そこは現状としてまだ施設格差があるのかなと認識しております。一方で、第4期がん対策推進基本計画などにも盛り込まれましたが、近い将来、がんの診断初期から初回の治療までに必ずがん相談支援センターに全ての患者さんが立ち寄るということがつくられていく中で、相談員自身が患者さんに会ったときに、患者さん自身が言語化できていなかったとしても、対話を繰り返しながら潜在的なニーズも含めて包括的に患者さんのつらさや、前もって備えておいたほうがいいことなどを見据えて支援をしていくということも、その力量が非常に問われる時代になってきますので、少なくともがん相談支援センターのがん専門相談員に関してはこの研修を受ける環境が整うように、例えば「見直し内容」のところなどに例として「がん専門相談員」という名前を入れていただくとかということで少し後押しといいますか、参加をしたいと願っている相談員が参加しやすい環境になるかもしれないなと思うので、ちょっと御検討いただけるとありがたいなと思って発言させていただきました。
 以上になります。
○西田座長 ありがとうございます。
 患者動線に関わる人がいつでも参加できるようにしてほしいということだと思います。正しいと思います。
 渡邊先生のほうからも手が挙がっています。よろしくお願いします。
○渡邊構成員 帝京大学の渡邊でございます。
 今の坂本構成員の御意見に関連する内容でもございますけれども、大学病院ですと、がんを抱える患者さんは多くいらっしゃいます。そうした意味で、拠点病院の中だけではなくて、拠点病院外の例えば在宅医療に関わる方とか、あるいは地域で相談支援に関わる方、福祉職も含めて幅広く研修の対象という形で何かしら、義務というのは難しいでしょう、恐らく推奨という形になると思いますし、拠点病院では非がん領域も含めてこういった研修というのはかなり積極的に実施しているようなところもあると思いますので、ぜひ併存疾患を有している患者さんにも対応できるように、院外での研修を合同に行う、推進する、推奨するという枠組みができるとよいと考え御意見をさせていただきました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 木澤構成員からもう一度手が挙がっているので、追加で御意見があると思います。よろしくお願いします。
○木澤構成員 最後に一言だけ。皆さんからこういう内容でたくさんの人に参加していただきたいという声が届いてくるのですけれども、そうすればするほど研修内容が幅広いものになって、何をやっているのか分からなくなるという問題も反面あります。この研修会はあくまでも医師・歯科医師を対象に教材をつくっているということをお分かりいただきたいと思いますし、そこをフォーカスとして底上げをするということが第一の目的なので、それを理解していただきたい。それを理解した上で、ほかの職種の方に参加していただかないと分からない部分も多々出る。そこだけは御理解いただいた上で御発言いただければと思います。
 ありがとうございます。
○西田座長 木澤先生、ありがとうございます。
 でも、そうは言いながら、ここで「がん等」と書いてあるのは非常に重要ではないかなと思っていまして、我々の病院でも循環器の先生に受けろと言ったら、なかなか抵抗感が高いのです。でも、今、緩和ケアというのは心不全でも関係して来ます。ですから、そのほかの分野の人も多少は手挙げで入れるような形ですることが大切です。先ほども言いましたが、熱のある人が参加すればするほどいい緩和ケアが提供できるかなと思いますので、どこまでキャパがあるかというのをちょっと考えながら広げていくのが現実的かなというふうに皆さん方の御意見を伺いながら思いました。
 最初から非常に熱い議論をいただきましてありがとうございます。なかなか尽きないところですけれども、次の議題に進みたいと思います。次の課題は結構重要です。令和5年度の患者体験調査結果を御報告いただこうと思います。私ががん研究センターに所属している時は、これを結構気にして物を考えていましたので、特に患者さん方の意見も含めて、報告があった後、御意見を伺いたいと思います。
 岸田さんから先に手が挙がってしまったので、一言だけ。
○岸田構成員 すみません。一言だけ。先ほど緩和ケアのところで最後フォーカスしてといったところで、事務局に対して2つだけ質問させてください。前後して申し訳ございません。緩和ケア、今回に関しては研修会のアップデートというところは重々理解しているのですけれども、研修会だけで患者さんの緩和が軽減されるかといったら、部会の話の中で地域の連携とかそういったところもお話があったかと思います。今後の緩和ケアに対して、共生の中で今回だけなのか、まだまだ、今回の会議の形式も大分久しぶりなので、まだあるのかといったところや、あと、介護保険の地域格差、AYAに対するところもあるかと思いますので、今、介護保険が知られていないことで、申請してもがんに関することでははねられるようなケースといったところも伺っています。局は違うのですが、そういったところを皆さんのところでもどのようにお考えかといったところ。次に行く前にこの2点だけお伺いさせてください。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただきありがとうございます。
 2点いただきました。基本的には今後の議論の進め方という御質問だと思います。これ限りというわけではございません。現時点でいつ何をやるということをお示しできる状態ではないのですが、これで緩和ケアに関するお話は例えば次に向けた数年間でおしまいということはないと思っておりますので、がんの緩和ケアにおける部会の内容等も踏まえて、引き続き適宜、御報告させていただいたり、こちらでも御議論いただくということはあり得ると思っています。
 2点目の個別施策の状況について、つぶさにお答えすることは難しいですが、そういった課題意識があるということは従前より私どもも承知しておりますので、我々のほうとしても何ができるかということはしっかり検討して、必要に応じて部会や共生の検討会においても御議論いただくということかと思っております。
 一旦以上でございます。
○岸田構成員 よろしくお願いします。
○西田座長 では、元に戻ります。
 緩和ケアは皆さんが非常に関心の高いところなので、議論しだしたら尽きないだろうなと私自身は思っています。ロジックモデルというのは数量を計るのが目的でなくて、PDCAを回すのが目的で、何が問題かというのを見つける話なので、これで評価しようとかそういう意味ではないと思いますので、1つのマーカーとして考えればいいかなと思っています。
 議題3に行きます。中澤参考人から令和5年度の患者体験調査結果を御報告いただきたいと思います。そちらのほうからデータを映して、お願いできますでしょうか。
○中澤参考人 ありがとうございます。まず、共有させていただきます。
 国立がん研究センターがん対策研究所の中澤と申します。
 患者体験調査は、前任の東先生が3月末で異動された関係で引き継ぎをいたしまして、この調査自体が3月末までやっていたもので、今回は速報値として御報告させていただくことをまず御了承いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日お話しする内容は、まず患者体験調査の意義ということと、患者体験調査の方法と概要と結果の概要について御説明します。
 まず、意義です。
 患者体験調査は、がん対策の評価を主に目的として、がん患者さんとその家族の療養上の体験を直接お伺いする調査になっています。
 先ほど推進官からもお示しされたように、第4期の基本計画でも総合的に計画を推進するために必要な事項として「目標達成状況の把握」ということが挙げられまして、総合的な評価を行って施策に反映することがうたわれています。
 これまで患者体験調査は2回やってきておりまして、第2期の基本計画のときに中間評価で第1回患者体験調査、そして第3期の基本計画のときに第2回の患者体験調査、そして今回が第4期の中間評価に向けて第3回目の患者体験調査を行っているような状況です。
 先ほどから出ていますロジックモデルが導入されたことによって、患者体験調査もこの中で小児も含めると65の指標についてデータベースとして採用されているような状況です。
 調査の概要を簡単に説明いたします。
 調査の特徴は、がん対策の先ほどのロジックモデルであるように、目標にできるだけ近い事柄を直接患者さんから伺う質問で構成しています。そして、可能な限り全国の状況を把握できるように無作為抽出して工夫しているような状況です。
 具体的な抽出方法は層化二段無作為抽出方法ということで、母集団を院内がん登録に登録された患者さんといたしまして、まず1段目が院内がん登録施設を抽出して、その次にその施設からさらに患者さんを層別に抽出しているような状況です。
 今回は、拠点病院は全施設を対象とさせていただきまして、拠点病院以外の院内がん登録施設からも無作為に対象施設を抽出しています。2段目は、さらに各施設を幾つか層に分けまして抽出しているような状況です。診断年が2021年で、治療を開始された方が対象になっています。
 具体的な施設の内訳ですが、今回、拠点病院は全数、拠点病院以外で院内がん登録施設に参加している施設100施設を無作為抽出しました。これは全体のがん患者さんのどれぐらいのカバーかというところですが、全国がん登録を母数にすると、院内がん登録では拠点病院は5割程度カバーされていると言われていまして、プラスして拠点以外の院内がん登録施設まで含めると全体の7割がカバーされているというふうに報告されています。
 2段目の各施設がどのようなグループ分けで抽出したかというと、5つのグループに分けて抽出しています。1つ目がAYA世代と言われている18歳から40歳未満のがん患者さん。2つ目のグループが40歳以上のがん患者さん。C、D、Eは比較として参考に取らせていただいていて、今回調査票を少し改変しているようなところがありまして、厳密な比較を行うために前回の調査と同じ調査票をお送りしているグループをつくっています。あと、少しセンシティブな調査項目を加えた調査票で、Dグループ。あとは、がん患者さん以外の比較ということで、Eグループを設定しています。今日は速報値でして、まだA、Bグループの集計しか終わっていない状況ですので、その部分を報告させていただければと思います。
 質問項目例はこのように挙げさせていただきました。順に説明していきますので、ざっと見ていただければと思います。
 集計方法は、層別に抽出をしている関係で母集団の全体のバランスが崩れていますので、それを元に戻すような補正をしています。具体的にウエイト、係数を算出しまして母集団構成に戻した補正値を算出しています。今回、実査中に能登半島地震が起きましたので、該当地域の方々は母集団から除いて調査をしているような状況です。
 先ほどから何度も言っているように、今回速報値で、母数に無回答も含めた回答分布をお示しします。第2回までの調査では実際には無回答を除いた割合で指標の抽出とかを行っていましたので、今後解析を進めて、最終評価では母集団から無回答を除いた分布、前回の比較も含めて報告したいと思っています。
 集計方法。本日報告するのはA、Bグループの全体値と、さらにA、Bグループを3層にグループ分けした結果をお示しします。具体的に言いますと、A、Bグループから希少がんに分類されている方を抽出したグループ。残りをもともとの若年がんと一般がんということで、3グループに分けています。
 結果です。
 対象施設。調査に参加いただけた施設が367施設で、発送数が3万2000名、回収数が1万4000名になっています。今回A、Bグループの報告ですので、1万1000名の方の報告になります。
 まず、病院探しの困難です。全体的にそんなに高い値ではないと思っているのですが、層別に見ると、一般がんに比べると、希少がん、若年がんで少し病院探しが困難だったかなと感じますが、数値自体はそんなに大きな数値ではないと考えています。
 こちらは医療者とのコミュニケーションです。つらい症状に速やかに対応してくれたか、もしくは耳を傾けてくれたかというところで、「ある程度対応してくれた」もしくは「十分に対応してくれた」を足すと大体85%に行くので、コミュニケーションについてはおおむねよい評価を得ているのではないかと考えています。
 こちらは医療者間の情報共有です。医療者間で連携がきちんと取れていたか。こちらも「ある程度共有されていた」もしくは「十分共有されていた」を足すと75%ぐらいになるかと思います。
 こちらは体のつらさがあるときに、すぐに医療スタッフに相談できたか。アクセスのしやすさについて聞いています。「そう思う」「ややそう思う」を足すと大体63%ぐらい。心のつらさになるともう少し下がりまして、45%ぐらいになるような状況です。
 こちらはがん相談支援センター、サポートセンターの認知度です。相談支援センターを知っている方が53.6%、ピアサポートは少し下がってしまって、14.6%という結果になっています。
 実際に相談しやすかったかどうかです。医師は相談しやすかったかと聞いたところ、「ある程度相談しやすかった」もしくは「とても相談しやすかった」、84%近くの方が相談しやすかったと答えています。医師以外ではどうでしたかと聞くと、50%台に下がってしまうのですけれども、外来診療などの状況にある方も含まれるので、そういうことが影響している可能性もあるかなと考えています。
 実際に療養生活に関して誰かに相談することができたかという質問で、相談できた方は58%。職場の関係者にがんのことを相談できたかということも、79%の方ができたと答えています。
 こちらは就労に関して。実際に就労していた方に対して、診断されたときに、退職、廃業したかと伺うと、大体2割ぐらいの方が診断とともにお仕事を辞めているような状況が出ているかなと思います。
 治療を始める前に就労継続に関して医療スタッフから説明があったかどうかという質問に対しては、38%が説明を受けたという方になっています。
 経済的負担です。金銭的な負担が原因でがん治療を断念したことがありますかという方は1~2%で、そんなに多くない値かなと思っています。
 具体的に日常生活で何か金銭的な負担があったかということを幾つか挙げて聞いていますけれども、目立ってやや高いなと思ったのが若年がんの方で、貯金を切り崩したことがあったということが26%で報告されているような状況です。
 妊孕性に関する説明。40歳未満の方の回答で割合を出しています。治療が開始される前に、医師から妊孕性への影響について説明があったかどうかということで、56%の値でした。
 アピアランス。こちらも外見の変化に関する悩みを相談できたか。相談できた方が24.3%だったという状況です。
 社会とのつながりです。こちらは家族に迷惑をかけていると感じるかということを伺っています。こちらも55%ぐらいが「ときどき感じる」もしくは「よく感じる」と言っています。
 こちらは社会。周囲からの偏見に関すること。周囲から偏見を感じるか。「ときどき感じる」「よく感じる」が7%程度いらっしゃるような状況。
 これががん対策の最終目標にもなっている日常生活を送れていると思うかという質問に対しては、「ややそう思う」「そう思う」を合わせると、77%ぐらいの方がそう思うと感じていらっしゃるということでした。
 ちょっと駆け足で説明してしまいましたが、まとめますと、医療者とのコミュニケーションについて、体のつらさがあるときにすぐ相談できると思うかというのは63%程度。
 あとは、相談支援についての認知度がちょっと低いような様子がある。ピアサポートですね。
 あと、就労支援です。治療開始前にスタッフから就労継続について説明があった方が38%という状況。
 妊孕性についても56%。
 アピアランスケアについては少し下がってしまって、24%。という状況になっているということを御報告させていただきます。
 最後に、協力いただいた皆様に感謝申し上げたいと思います。
 今回の報告書の内容は国立がん研究センターのホームページに掲載しておりますので、詳しくはそちらを御参考いただければと思います。
 ありがとうございます。
○西田座長 中澤先生、ありがとうございます。
 大変貴重な調査だと思います。前回、東先生がやられているのを横で見ていたのですけれども、これを参考にしながら今後少しでも改善していけるようにしたいと思います。
 構成員の皆様方、御質問・御意見ございますでしょうか。岸田構成員、どうぞ。
○岸田構成員 何度もすみません。岸田です。
 中澤先生に質問ですけれども、前回のものと単純比較はできないかもしれないのですが、がん相談支援センターを知っている人が前回は66.4%だったのが、今回は55.1%。ピアサポートを知っている人も前回は27.3%だったのが、15.4%になっていて、あと、不必要に気を遣われていると感じるというのも12.3%から、「ときどき」と「よく感じる」を全部入れたら23.7%で、全部が全部しっかりあれかもしれないですけれども、基本的にちょっと悪化傾向なのかなと個人的には思っておりまして、これは先ほど言った無回答とかも入れたからこんな感じになって、当たり前なのか、どうなのでしょうか。
○中澤参考人 無回答というのは2~3%なので、そんなに影響はないかなと思っています。ただ、今回2021年の患者さんで、コロナの状況下にあった方で、行動制限などがある関係で相談支援センターとかピアサポートなどが積極的に活用されなかったのではないかと個人的に考えています。ただ、単純に比べると少し下がっているような状況なので、認知度なのか分からないですけれども、使えない状況もあったのではないかと考えています。
○岸田構成員 もしかしたら時期的な要素も加味する必要があるかもしれないということで。
○中澤参考人 かもしれないということです。
○岸田構成員 理解しました。ありがとうございます。
○西田座長 非常に大切なことだと思います。
 渡邊先生、どうぞ。
○渡邊構成員 帝京大学の渡邊でございます。
 この調査、2018年と2019年の小児と今回、当院は3回調査に参加させていただいていて、スタッフの者もこういう調査に意義があるということについて情報が共有できたというのは、非常に大きな成果だと私自身感じておりました。
 そうしたことで、今、全体的に数値が悪化しているように見えるということに関して、対象の施設が、例えば都道府県がん診療連携拠点病院と幾つかの地域がん診療連携拠点病院という形で前回の調査は抽出されていたのが、今回は地域がん診療連携拠点病院の割合が相対的に増えたのではないか。そういったところも背景としてあるのではないかと思ったのですが、そちらに関してはいかがでしょうか。
○中澤参考人 前回は抽出施設でしたが、今回は全数対象にしているので、そういう影響はなくはないと思います。ただ、全部の施設が参加していただいたかというと、実際はそうではなかったような状況で、計算すると75%の拠点病院が参加していただいたような状況で、残りの25%が落ちているような状況ですけれども、多少は前回とサンプリングの方法を変えている影響も御指摘のとおりあると思います。ありがとうございます。
○渡邊構成員 ありがとうございます。
 もう一言だけ。これに関しては、恐らく調査を繰り返していったり、同じような調査ができることでまた拠点病院側の意識も十分変わってくると思いますので、こういったことを継続していくことは非常に重要と思いました。
 以上です。
○中澤参考人 ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 そうですね。対象が微妙に違っていますね。
 牧野構成員、どうぞ。
○牧野構成員 日本介護支援専門員協会常任理事の牧野と申します。ありがとうございます。
 仕事と治療の両立支援についてお尋ねしたいと思います。病院の医療スタッフからお話があった方が約40%になるのですが、これは前回調査と比較してみますと、どのような推移になっているのかというところをお尋ねしたいと思いました。
○中澤参考人 ごめんなさい。どちらでしたか。
○牧野構成員 仕事と治療の両立支援で、病院の医療スタッフから話があった方という項目になります。
○中澤参考人 まだ完全な比較はできない数値なのですけれども、前回が39.5で、今回は38.6なので、多分誤差範囲なのではないかとは思っていますが、今の段階では厳密なことは言えない状況です。ただ、大きく下がっているという印象はないかなとは感じています。
 ありがとうございます。
○牧野構成員 ありがとうございます。様子が分かりました。
○西田座長 ありがとうございます。
 例えば鈴木構成員、本当は受ける立場なのかもしれないのだけれども、何か御意見ございませんでしょうか。
○鈴木構成員 ありがとうございます。マギーズ東京の鈴木と申します。
 私がちょっと気になったのは、心のつらさがあるときに相談できたのが45%と半数を切っていたと思うのですが、これは前回調査と比べていかがでしょうか。また、心のつらさがあるときになかなか相談できないというのはどういったところに原因があるのか。つなげるところがないのか、主治医に相談しづらいのか、どういったところにあるのかというところが何か分かっていれば。
○中澤参考人 ありがとうございます。
 先ほどから言っているように、厳密な比較はできないのですが、前回は32.8なので、少し上がっているかなと思っています。ただ、これも印象なので、明確はなことは言えません。
 心のつらさがどうして低いかという理由ですけれども、心の専門家の配置が十分行き届かないというところも一因としてあるのではないか。身体の症状を緩和する先生よりも精神科医の配置は少し難しい状況にあるのではないかという背景が影響しているのではないかと考えています。
 ありがとうございます。
○鈴木構成員 ありがとうございます。
 ということは、ここにつなげはいいよというつなぐ場所、相談できる場がないということなのですね。
○中澤参考人 そうですね。それか、見つけにくい状況にあるということはあるのかもしれないと思っています。
○鈴木構成員 ありがとうございます。
 がん治療において、もちろん体の治療は大事なのですけれども、心のつらさを取るというのも大切な緩和ケアの一つだと思うので、ここは何とかしたいなと思いました。ありがとうございます。
○中澤参考人 あとは、必ずしもみんなが心のつらさがあるとも限らない。上のよりはもしかしたら絶対的な数が少ない可能性があるので、そういうのも少しは影響しているのかもしれません。
○鈴木構成員 ありがとうございます。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 その辺り、心のところなどというのは、相談支援センターとかピアがどう活躍して把握していただくか。それこそマギーズなどでどうやるかというところもあると思いますので、これからしっかり議論していきたいと思います。
 黒瀨構成員、お願いします。
○黒瀨構成員 大変貴重な興味深い調査結果をありがとうございました。
 私のほうからは質問というよりはお願いですが、26ページ、相談支援に関してですが、今回のがんの基本計画というのが「誰一人取り残さない」ということが重要なテーマでございますので、その中で例えば「診断されてから、病気のことや療養生活に関して誰かに相談することができましたか」というところで、必要なのに結局、相談できなかった方というのが6.6%ではなくて、P25で「相談しやすくなかった」との回答数が一定数あることも考慮すれば1割ぐらいは相談できなかった方がいらっしゃるかなと。また、職場や仕事上の関係者に関してお話をされていない方、話さなかったという方が1割ぐらいいらっしゃるということで、これは結構大きな数字なのではないかなと思います。
 今後クロス解析とかいろいろ解析される中で、例えば事業所の規模に応じて、非常に小さい事業所であるとなかなか話しづらかったり、あるいは常勤産業医がいるところだと話しやすかったりとか、そういったことも中にはあるのかなと想像しているのですけれども、そういったところが今後の解析で分かりましたら、ぜひ教えていただきたいなと思っております。
 あと、年代層によっても違いがあるかなということもありますので、その点を含めて今後また御教授いただければ幸いと思います。
○中澤参考人 ありがとうございます。
 残念ながら事業所の規模については今、データとしては格納されていないので、そこのひもづけは難しいかなと思っていますが、後者の年齢別の集計については、報告書のほうにも少し若年者と一般の違いで載せていますので、今回丸めたものを報告してしまっていますけれども、そちらを御参照いただければと思います。
 ありがとうございます。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 近藤構成員、よろしくお願いします。
○近藤構成員 社会保険労務士の近藤と申します。
 医療機関でがん患者さんや御家族の相談支援を行ったり、患者支援団体でも理事を務めておりまして、このような立場からお伝えしたいことがございます。よろしくお願いします。
 こちらの調査結果、大変有意義なものだなと感じておりまして、就労に関する調査部分でご質問があります。問41で7割、8割ぐらいの方に影響が出ていたり、また、経済的なところで、問22の経済的負担で「上記のようなことは無かった」という方が5~6割いらっしゃいますけれども、それ以外の方は影響があったと理解しております。就労や経済的な部分に影響が出た方が相談できたという結果につながっているのかどうかというのは、今後クロス集計する中で数字上あがってくれば、そういった数字も参考になるのかなと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
 以上になります。
○中澤参考人 クロス集計ですね。ごめんなさい。もう一度お願いします。
○近藤構成員 就労とか経済的な部分に影響が出た方が、問28のところで、必要に応じてきちんと相談できているかどうかというのは分からないところでしょうか。
○中澤参考人 そうですね。この部分はつなげるのは難しいかもしれないですね。
○近藤構成員 そうですね。今後相談ができていたりとか、退職・廃業された方に関して、いわゆる退職の際の支援・相談というのも退職時の不安を軽減するために活用できる制度という意味では重要なポイントになっていると日常的には感じております。
 ありがとうございます。以上になります。
○中澤参考人 ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 ちょっと遅れているのですけれども、就労支援のことが出たので、坂本構成員、何かコメントがあれば遠慮なくどうぞ。
○坂本構成員 ありがとうございます。
 厚生労働省の就労支援の研究も担当させていただいて、その一員でもある立場から少しコメントをさせていただくと、今、近藤構成員からもお話がありましたように、辞めること自体がすごく否定的な見方というわけではなくて、納得をしながら、自分の生き方として辞めるという方も中にはいらっしゃったり、今回のこの集計そのものはこれで賛同いたしますけれども、就労ということをいろいろ議論していくときには、きちんと仕事じまいをしていくとか、そういう支援の在り方ということも細かい文脈を見ながら今後は議論していく必要があるのかなと思っていることが1点。
 今の既存の制度というところでは、テレワークとか柔軟な働き方ということに関してまだ十分に議論し尽くされていないかなというところがありますので、新しい働き方の創造みたいなところもまたどこかの機会で議論させていただくと、働きたいと希望する患者さんが働き続けられる機会につながっていくのではないかなと思いながら拝見していました。
 以上になります。
○西田座長 ありがとうございます。
 データがまだ出たところなので、コントロール群などもちゃんと取っておられますし、範囲を広げられているので、これから縦に切ったり横に切ったりしながらもう少し精緻なデータをいただき、もう一回ディスカッションできればいいなと思いました。
 いろいろと御意見ありがとうございます。
 それでは、先ほど出ていました4分の1しかアピアランスがない、受けられていないということですけれども、そのアピアランスのことに関してこれから御報告をいただきながらディスカッションしていきたいと思います。
 2つ設定されていますけれども、事務局からアピアランスケアについて説明があって、そのまま議論なしで、藤間先生のほうからアピアランスケアについての研究班の報告をしていただこうかなと思います。
 まず、事務局のほうからお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料3の御説明を少しコンパクトにさせていただこうかと思います。資料3「アピアランスケアについて」という資料を御覧いただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして、ページ番号の1ページ目を御覧いただければと思います。まず、アピアランスケアに関連して、過去の共生の検討会での御議論の資料等を掲載しております。外見変化に対する患者の苦痛と社会生活への影響ということで、まとめとしては、近年のがん治療の変化は、外見に現れる副作用症状を多様化させたということもあり、治療環境の改善に伴って、治療中も患者と社会との接点を増やすという効果があって、外見変化に伴う患者の苦痛を強化させ、日常生活に大きな影響を与えているということで、下に図示しているように、外見に現れる身体症状といったものの苦痛度や、外見の変化が社会生活に影響するということが示されています。
 2ページ目を御覧いただければと思います。医療者による外見関連情報の提供に対する期待ということで、外見変化を体験した方々が実際に利用した情報源というのは圧倒的に医療者であるということで、医療従事者からの情報提供というのは極めて期待度が高いと。また、患者さんの情報リテラシーを今後高めていく必要性があるといったこともこれまで示されているところでございます。
 3ページ目は、外見変化を体験した方が必要だったが十分に得られなかった情報というのが左下の資料5のところに示されておりますが、一定程度必要としていたが、その情報にうまくリーチできなかったといったような方々が一定数いらっしゃるということが示唆される情報がございます。
 こういった背景を踏まえまして、4ページ目でございます。一旦アピアランスケアというものを整理して取り組んでいくということで、定義として、医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアのことを、がん対策の中では少なくとも「アピアランスケア」というふうに定めた上で、その必要性について、治療に伴う外見変化に対する医療現場におけるサポートの重要性というものが一定認識されているというような領域であるということを整理しているところでございます。これまでも検討会等においてこの資料をお示ししているかと思います。
 がん治療による外見変化を相談できたかということで、5ページ目のところの患者体験調査、先ほど御報告いただいたものでございますが、がん治療による外見の変化について、「相談できた」と回答した方の割合は全体の25.8%、「相談したかったが、できなかった」と回答された方が2.9%おられるということでございます。一方で、「相談を必要としなかった」という方の割合も一定数あるというところでございます。こちらは繰り返しですが、あくまで速報値ということで、今後精査の余地があるということは、先ほどの御議論の中でもお示しいただいたところかと思います。
 6ページ目を御覧いただければと思います。これまでアピアランスケアによるがん患者の生活の質向上に向けた取組についてということで、議論の整理の中でアピアランスケアの提供体制と教育・研修ということで、体制の整備をしっかりしていくということと、教育・研修やきちんと情報提供していくということが重要である、大事ですねということは、これまでも御議論いただいているところでございます。
 7ページ目を御覧いただきますと、今回の第4期がん対策推進基本計画の中ですが、柱立ての中の小項目として、特出しで「アピアランスケアについて」ということを位置づけた上で、8ページ目にもございますが、取り組むべき施策としても「拠点病院等を中心としたアピアランスケアに係る相談支援・情報提供体制の構築」というものを目出ししているという状態になっています。
 具体的に9ページ目のところで関連する記載についてお示ししておりますので、上の箱、第4期がん対策推進基本計画の中で、相談支援及び情報提供の在り方について検討することですとか、先ほど申し上げた拠点病院等を中心とした相談支援・情報提供体制の構築ということが書き込まれています。
 加えて、下の箱は令和4年8月に見直しておりますがん診療連携拠点病院等の整備に係る指針についてでございますが、その中でもがん治療に伴う外見の変化についての情報提供や相談に応じられる体制を整備していること等の要件が定められているところでございます。
 10ページ目でございます。これまでに取り組んでいる情報提供等の参考になるものといたしまして、例えばがん患者さん向けのリーフレットの作成等とか、がん診療に携わる医療者向けのアピアランスケアガイドラインという形で作成する等をこれまで関係団体、学会の先生方とも御協力させていただきながら作成し、これらの普及にも努めているという状況でございます。
 11ページ目は、第4期がん対策推進基本計画の計画期間内に進めていることという形でございますが、令和5年度からアピアランス支援モデル事業というものを実施してございます。こちらの目的としては、「事業の目的」の2ポツ目のところでございますが、がん治療に伴う外見の変化を克服し、がん患者が社会生活を送りやすくするため、医療現場における適切なアピアランスケア体制を構築し、効果的な支援体制について検証することを目的として実施しているものでございます。
 こちらと関連して連携する研究班にも活動いただいておりますので、後ほど藤間先生からその内容について御報告いただけたらと思っております。
 参考でございますが、12ページ目には令和5年度にモデル事業を実施していただいた医療機関の一覧をお示ししてございます。
 次の13ページ目は、今年度採択し、実施していただく医療機関のリストをお示ししておりますので、御参考としていただければと思います。
 14ページ目でございます。モデル事業の中で得られてきた情報、現状の情報等も吸い上げをしているところでございますが、モデル事業終了時点でアピアランスケアに携わっている職種という形で伺ったところ、看護師、医師、薬剤師、社会福祉士・精神保健福祉士の順に多かったという結果が得られているところでございます。
 15ページ目を御覧いただきますと、アピアランスケアの提供体制に係る課題とモデル事業の中での取組の例という形で少し整理をさせていただいています。左側はアピアランスケアに関する患者への情報提供ということで、医療従事者の中でも知識や情報量の格差があることですとか、部署ごとに提供しているケアが異なっているということで、それは院内向けの研修等で対応しているといったような形で、課題の整理と今後の取組というものをこのモデル事業の中でも整理し、対策として打ち出していけるように考えているというところでございます。
 16ページ目を御覧いただきますと、アピアランスケアや情報提供を行うフローということで、モデル事業開始時点では、そのフローが決まっているところが全体の30%という形になっていましたが、モデル事業の実施後にある程整理をしていただいているという形が見てとれて、参加していただいている医療機関の体制そのものを少し整備していくという意味でも重要なモデル事業であると考えています。
 そのモデル事業の中で整理していただいたフローの例というものを17ページ目にお示ししておりますので、御参考にしていただければと思います。
 少し飛んで19ページ目までお進みいただければと思います。地域の医療機関からの相談への対応ということで、地域の医療機関からのアピアランスケアに関する相談対応等を行っていた医療機関は、モデル事業開始時点で一定程度、もともと体制整備をやってくださっていた医療機関が参加していただいていたのだと思いますが、8割の施設で既に他の医療機関からの相談対応もやっていますということだったと思いますが、モデル事業実施後にも対応しているところが1施設増えて、対応の準備に入れたというところも1施設あったということで、他の医療機関からの御相談の対応というものも進めていただいているところでございます。
 20ページ目でございます。がん診療連携拠点病院等の類型別のアピアランスケア研修の受講状況ということで、国立がん研究センターが実施するアピアランスケアの研修修了者がいるかどうかということで調査をしたところ、都道府県がん診療連携拠点病院では86.3%がいらっしゃるということですが、地域がん診療連携拠点病院では54.5%、地域がん診療病院では17.0%といった形で、このような傾向になっていますということの御報告でございます。
 最後の21ページ目でございます。本日の論点といたしまして、現状についてはお示しのとおりでございます。先ほど来御説明したような内容でございます。
 対応の方向性として、アピアランスケアの正しい知識の普及、医療機関におけるアピアランスケアの提供体制の整備や質の担保について、以下のような方向性で進めていくこととしてはどうかと考えておりますので、後ほど御意見、御議論いただければと思います。
 1つ目は、アピアランスケアの正しい知識の普及と質の担保を目的として、エビデンス等に基づいたアピアランスケアに関する研修を受講した医療従事者が、医療機関内で主となってアピアランスケアに係る相談支援・情報提供の体制を構築していくということではどうかということ。その際に、患者・家族や院内の医療従事者がアピアランスケアについて相談できる場や体制が明確になるようにする必要があるため、患者・家族への周知や院内での対応のフローの整備等も必要ではないかということでございます。
 また、主となってアピアランスケアに係る相談支援・情報提供を行う医療従事者は、現状やアピアランスケアの内容を踏まえて、医師、薬剤師、看護師、社会福祉士・精神保健福祉士等を中心として想定するという形で整理を少し進めていってはどうかと考えているところでございます。
 駆け足でございましたが、事務局から資料の御案内は以上でございます。
○西田座長 事務局からありがとうございました。
 最後のところの課題、それに向けた対応案を頭の隅に置きながら、藤間先生から「アピアランスケア実装に向けた現状と課題」ということで、一番よく御存じの先生から今のアピアランスケアの課題をお話しいただこうかなと思います。藤間先生、よろしくお願いします。
○藤間参考人 よろしくお願いいたします。では、資料を共有いたします。
 医療機関におけるアピアランスケア実装に向けた実情と課題について御報告させていただきます。国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センターの藤間勝子と申します。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、アピアランスケアの定義について簡単に触れてまいります。私たちは、アピアランスケアについて、「医療的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」と定義をしております。以前は「外見を補完」という文言を入れておりましたが、最近は補完しなくても苦痛の軽減が可能であるということを臨床実践の中からつかめてきましたので、今、この言葉は削除しています。アピアランスケアではがん治療に伴う外見の問題を扱っているのですけれども、それは美しくなるためのものではなくて、外見が変化しても自分らしく社会生活をしやすくすることを目指しています。そのために、外見そのものへの介入だけではなくて、心理社会的な介入も含めて、総合的に患者さんのQOLの改善ということを行っています。
 このアピアランスケアに関しましては、第4期のがん対策推進基本計画に取り上げられたこと、また、がん診療連携拠点病院の指定要件にアピアランスケアに関する相談支援体制の整備が求められたことから、昨年より各施設でアピアランスケアについての取組が進められています。しかし、中にはウィッグ等のパンフレットを単に渡すだけなど医療者の行うアピアランスケアとしては不適切な例も見られ、アピアランスケアの実装に向けては、何を行うべきかというケアの整理と、誰がどのように行うかという体制の整備が必要になっていると私たちは考えています。
 ケアの整理と体制の整備は、アピアランスケアを実装していく上での重要なポイントです。私どもの研究班では今、アピアランスケアの実装の阻害・促進要因を分析して、そこからどのような活動をしていくかという行動目標をまとめているのですが、医療機関の中でアピアランスケアを行っていくためには、幹部も含めて病院全体でケアの必要性を理解してもらうこと。そして組織的に取り組むことが重要になってきます。また、方法や役割を明確化して、多職種・多部門で連携しながらケアを提供していくことが必要になります。
 余談になりますけれども、このようなケアの提供体制を整えるためには、やはり法律関係であるとか制度であるとか、あるいは体制を整えたことに対する報酬であるとか、こういった外的なインセンティブももちろん必要になってきます。
 さて、話を元に戻して、アピアランスケアの実装に向けた体制の構築なのですけれども、スライドは令和5年度のアピアランス支援モデル事業採択施設で行われていた実践例です。こちらの施設でもやはり体制整備というのは重点的に行われています。施設によってアピアランスの専門の部門や窓口を設置するか設置しないかという差はあったのですが、いずれの場合でも、まずは診療部門できちんとした基本の情報提供を行った上で、困難な事例とか複雑な事例については専門の部署、あるいはそれを担当する人たちが別途対応するという体制を整えたところがほとんどでした。
 その上で、外見が変化する患者さんへのケアの提供に取りこぼしがないように、クリニカルパスに組み込むという取組であるとか、あるいは苦痛度や困難度の高い患者さんを抽出する苦痛スクリーニングの活用といったものに関心が寄せられていました。ケアを提供する患者さんを医療者の負担なく抽出をしていって、適切な相談につなげていくということが医療機関の中で求められていると私たちは考えています。
 さて、医療機関の中で体制を整えてケアを提供していくに当たっては、先ほどの話にもありましたけれども、十分な知識やスキルを持ったスタッフが必要となってきます。その研修としてアピアランスケアのe-learningが活用されています。
 このアピアランスケアのe-learningにつきましては、厚労科研費で開発されて、22年までにその効果の検証も済んでいます。今回モデル事業の実施施設に先行公開して、411名の方が修了なさっています。受講された施設の方からは、アピアランスケアの基本的な考え方が共有できたとか、医療者として行うアピアランスケアが明確になったという話のほか、患者さんへの説明の仕方が非常に具体的で分かりやすく、職種を問わずすぐに臨床に活用できたなどの声をいただいております。
 2023年の下期からは一般への公開も開始しまして、3月末までに462名の方が修了されています。私どもが今までアピアランスケアの研修会を過去9年間行ってきて、対面式で行った中では1,100名程度にしか提供できてこなかったのですけれども、e-learningにしたことで定員が増えたこと、受講資格が拡大したこと、アクセスしやすくなったこともあって受講修了者が大幅に増えています。
 また、モデル事業の採択機関に向けては1泊2日の実地研修も行っています。アピアランスケアの実装に向けた検討を行っているのですが、患者さんとしてのアピアランスケアの講義や他施設との情報交換が非常に役立ったとの声をいただいており、令和6年度のモデル事業に対しても継続して研修を提供していく予定です。
 さて、これらの昨年までの取組や研究を踏まえて、今、私どもの研究班ではアピアランスケアの実装に向けたモデルプランの作成ということに取りかかっております。モデルプランにつきましては、令和6年の採択機関とも協力しながら内容を精査し、体制の構築へ向けた提案へまとめていく予定です。
 また、研究班ではこのモデルプランを利用した効果検証のパイロット研究も準備しておりまして、例えば医療者の効果としては、アピアランスケアの必要性の理解、知識・技術の向上、院内体制への理解、ケアの自信といったことを効果測定したり、患者さんに対しては、相談先の認知、必要なときに相談できたか、あるいは外見の不安は軽減できたかなどを測る予定にしております。
 このモデルプランは5つのステップから構成されています。基本は病院の組織としてチームを立ち上げ、そして今まで行ってきたケアや手順を見直すというステップが入っています。見直していき、それを周知し、ルールに従い取り組んでいくという流れです。多くの病院ではアピアランスケアは既に有害事象対策として行われているのです。ですから、それを見直して整えていくことによって、必要な患者さんに確実にケアや情報を届ける、誰一人取り残さないケアの提供体制を目指しています。
 今後につきましては、令和5年・6年度のアピアランスケアモデル事業の実施施設での取組を検証し、全国の医療機関で実装できるモデルプランの構築を目指していくこと。併せて、理美容などの関連業種との地域連携に向けての基礎調査も行っていきます。また、医療者向けの研修もさらに充実させていくことも計画しております。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
○西田座長 藤間先生、ありがとうございました。
 アピアランスケア、がん研究センターに所属していたとき、アピアランスケアを患者さんに届けることは大事だなと思っていたのですけれども、実際に身内がそういう状況に陥ると、もっと大事だなということを身をもって体験しました。藤間先生に救っていただきましてありがとうございます。個人的な話をここでして申し訳ないです。でも、それはその場になってみないと分からないのですね。今、我々はそういう状況ではないのでなかなか議論しにくいのですけれども、でも、非常に大事なことではないかなと思っています。外見をケアすることよりも心をケアするほうが大事なのかなと思いながらやっています。
 さて、アピアランス、2つ御説明、御報告いただきました。特にアピアランスの正しい知識、業者さんが入ってきやすい領域だけなので、きちんとやらないといけないかなと思っているので、普及の仕方とかその辺に関して御質問、御意見を構成員の皆さん方からどうぞ遠慮なく。もしよかったら手を挙げてやっていただければ幸いです。鈴木構成員。
○鈴木構成員 ありがとうございます。マギーズ東京の鈴木です。
 藤間先生の御説明で最近のアピアランスケアの考え方が変わってきているということで、とてもためになりました。勉強になりました。とても共感しました。ありがとうございました。
 厚労省の資料3の21ページの対応策についてですけれども、総論として賛成です。私たちマギーズ東京では病院の外でがん患者さんや御家族の相談に乗っていますが、本当に外見の変化について、どのウィッグがよいかなど、よく相談を受けます。アピアランスケアや外見の変化について病院に相談していいのか、相談するにしてもどこに相談したらいいのか分からない患者さんが多いように感じています。
 そんな中で、質のよいアピアランスケアがしっかりできる体制づくりとともに、院内でアピアランスケアや情報提供を行うフローの作成と周知はとても大切だと思っています。がんの診断時だけでなく、治療の影響が出てきたときなど、折に触れてアピアランスケアや外見の変化について、ここに相談していいのですよとか、相談するならここですよということを医師だけでなく、看護師など、患者さんに接する機会のある医療従事者の方々が広く伝えていけるように、それぞれの病院が取り組んでいくことが大切だと思っています。
 以上です。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 そうですね。全員が必要とするわけではないのですけれども、本当に必要とする人にちゃんと情報が行き届くことが非常に重要かなと思います。
 森内構成員から手が挙がっています。よろしくお願いします。
○森内構成員 日本看護協会、森内です。
 藤間先生、アピアランスケアの実装に向けた現状と課題、大変興味深く聞かせていただきました。参考になりました。ありがとうございます。
 資料3のスライド21の対応(案)についても賛成をしているところです。
 対応(案)のところにありますように、医療機関におけるアピアランスケアの提供体制の整備や質の担保を進めていくためには、アピアランスケアに係る相談支援・情報提供など、医療従事者の教育が何と言っても欠かせないと思っています。しかしながら、資料3のところにありますように、スライド20、アピアランスケア研修の受講状況におきましても、都道府県がん診療連携拠点病院では86%、地域がん診療連携拠点病院では54%、地域がん診療病院においては17%ということで、まだまだ十分な受講ができているとは考えにくいと考えています。アピアランスケアの正しい知識や情報を持った医療従事者が増えるように、多忙な業務の中でアピアランスケアについて学びやすい職場環境づくりが必要だと捉えて、理解しておりますので、そのことについても発信をしていく必要があると思っています。
 また、今年度も10病院でアピアランスケアの支援モデル事業を実施するということになっておりますが、アピアランスケアに関する取組の結果、アピアランスケアを求める患者さんが相談しやすくなったのか、ケアを受けやすくなったのかなどの患者さん目線の成果についても検証が必要だと考えております。
 以上でございます。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 確かに拠点病院の県がん拠点はしっかりやっているのですけれども、それ以外になるとちょっと低いということと、さらに拠点病院を除くとなかなか関心も低いというのは1つ問題で、情報の提供も考えていかないといけないかなと思います。
 近藤構成員、どうぞ。
○近藤構成員 どうもありがとうございます。
 藤間先生の御説明を伺って、就労相談の中でかなり御相談にも多い点なので大変共感いたしました。
 就労相談において、職場での人間関係はもとより、アピアランスを要因として、働きづらさを感じていらっしゃる患者さんは少なからずいらっしゃって、就労への影響というのがとても大きいと感じております。一方で、職場が行う業務配慮というのは、主に健康・安全配慮の範疇であるため、職場でのコミュニケーションに苦慮されている現状があるかと感じています。職場でのコミュニケーション方法など心理社会的支援というのはニーズがとても高いけれども、今までは私たち社労士も勉強不足のところがあって、理解がまだまだ追いついていないというのもあるのですが、利用者によるアピアランスケアにつながるよう支援の場で取り組んでいきたいと考えております。
 1点ございまして、社会・企業への周知、理解促進もぜひ進めていただきたいなと思っています。「アピアランスケア」という言葉を知らない、知っていてもどのようなケアなのか分からない企業担当者、経営者の方も多くいらっしゃいます。職場で適切な配慮ができるよう。この「適切な」というのは、過剰な配慮をし過ぎないということもあるかと思います。そういったことも含めて周知、情報提供による理解促進が必要と考えています。
 逆に人事労務担当者や産業保健スタッフさんから患者である従業員さんへ医療機関で相談できるよということを伝えていただくという効果もあると思っています。
 私が申し上げていることが本日の論点とずれているところもあるかもしれないのですけれども、現状の治療と仕事の両立支援ガイドラインにおいては触れていない点というところがちょっと気になっておりまして、今後ということにはなると思いますし、管轄が異なりますが、労働基準局との連携も想定して進めていただければありがたいなと思っております。
 以上になります。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 仕事とも関係しますね。ある意味アブセンティーズムになってしまう可能性があるので、そういうことも含めて適正なときに適正な情報を提供できるといいと思います。
 牧野構成員、手が挙がっています。よろしくお願いします。
○牧野構成員 ありがとうございます。
 藤間先生、分かりやすいお話をありがとうございました。
 1点御質問させていただきます。今回アピアランスにつきましては、何をするというところで、ケアの整理を行って、また、誰がするというところでは、体制整備というのがとても重要だというところに共感いたしております。
 そこを踏まえた上で、各部門で連携をしながらケアを提供していくということが重要になってくると思うのですが、具体にもう少し詳しく各部門の連携やケアを提供するところの工夫などがあるようでしたら、お聞かせ願えたらありがたいのですが、いかがでしょうか。
○西田座長 どうぞ。
○藤間参考人 モデル事業の実践状況を見ていますと、今、どこの施設もチームをおつくりになるところが多いです。各部門からアピアランスの代表的な人に出てきてもらってチームをつくって、そのチームを中心に院内の体制を整えて、プラスそれぞれがん治療に関わる人たちにベーシックな教育をしていく。ベーシックな教育というのはすごく簡単で、病院は相談できるのだよ、相談したいときにはここに言えばいいのだよということをまずみんな覚えてください。それを患者さんに伝えていって、伝えられたところで、聞いた患者さんが、では、ここに行ったらといったところ、窓口の人はそこからさらに詳しい人につないでいくという体制を整えるというのをしているのです。
 そんな本当に単純なことかもしれないのですけれども、役割を分担して、どこに誰が言うかというのをまとめるだけでも患者さんとしてはかなりアクセスしやすくなっているし、満足度が上がっているというのが、モデル事業での実践で私たちも感じているものです。
○牧野構成員 ありがとうございました。様子が見えてまいりました。
 これらの活動や実践例を広報していくというところも重要かと思うのですが、もしお時間がありましたら、広報の工夫なども教えていただけたらありがたく思います。
○藤間参考人 広報ですけれども、まず私たちはそういった実践を踏まえまして、アピアランスケアを医療機関で実装していくため、先ほどのプランをつくって、アピアランスをやりたいよとか、やらなければいけないと考えているところは、まずこれを参考にしていただければというのをつくっていこうと思うのです。その中には体制のつくり方であるとかケアの整理の仕方もあるので、皆さん、それを基に自分たちで自分たちの地域や患者さんに合った方法を選んでいけるようにというのを考えております。
○牧野構成員 ありがとうございます。
 日本介護支援専門員協会でも国民へのメッセージということで、人生の最終段階まで伴走する者としての心がけを掲げておりまして、本日先生のお話、大変参考になりました。ありがとうございます。
○西田座長 渡邊先生、手が挙がっていますので、どうぞ。
○渡邊構成員 ありがとうございます。帝京大学の渡邊です。
 今日の御報告とか、アピアランスケアと言うと、どうしてもウィッグとか皮膚のケアとか、外見的なところが注目されがちではあるのですが、さらには心のケアとか、がんについての相互理解というところも本質的に重要だというところは、本当に感銘を受けました。モデル病院の取組についても幾つかお伺いをさせていただきまして、そういったプランということについては、一律というものではなくて、地域の特性とか連携の在り方によっていろんなパターンが恐らく出てくると思いますので、ぜひ拠点病院がコアになって院内・院外のチームを構成していく、その旗振り役になるというのが非常に重要と思っております。
 そういった意味では、アピアランスケアの専門家を養成するという方向性と、あとはがんに関わる医療とかケアに関わる方に裾野を広げるという形で知識の普及を進めていくというのは重要と思います。当院は地域がん診療連携拠点病院ですけれども、研修の機会があるといいなと思いつつも、定員の枠や、集合型研修となると研修の機会が得られないということもございますので、そういったところもぜひ今後検討いただけるといいと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○西田座長 ありがとうございます。
 モデル事業でも都道府県の温度差がすごくあったように思います。もちろん、病院ごとの温度差もありましたけれども。行政的にも結構重要なので、御意見がなければいいのですが、河野構成員、行政のほうから参加されていますので、もし御意見がございましたら遠慮なくどうぞ。
○河野構成員 愛媛県の河野です。
 先ほど藤間先生の話を伺って、アピアランスケアとは何なのかというところとか、今、何が課題になっているのかというのが非常によく分かりました。ありがとうございました。
 愛媛県にあります四国がんセンターが昨年度のモデル事業を受けていただいて、愛媛県も共催という形で医療機関を対象にしたセミナーを一緒にやらせていただいたのですが、その中で、県の拠点病院である四国がんセンター以外の病院がまだまだアピアランスケアに関する意識とか取組が進んでいないというのは非常に課題だなと思っておりまして、これに対して都道府県の行政は何ができるのかなということを考えているわけです。
 1つは、病院の体制整備については、こういう活動を研修会の共催とかいう形でバックアップしていって、大事なのだよ、一緒にこういうことをやるべきだよということをいっていくのが行政の責任なのかなと感じております。
 それと、直接病院の体制整備とは関係ないのですが、アピアランスケアというのはまだまだ知られていなくて、行政におる私でも、あ、こういうことだったのかなということで、改めて認識するようなレベルですので、特に先ほど近藤委員さんがいわれたように、職場のことでありますとか、あるいは地域で患者さんと関わる保健師等の職員、そういった人たちへの知識の普及とか理解を進めていく必要があるのかなと。その辺が行政がやれることなのかなと考えております。
 1点御紹介ですが、今回の第4期計画で愛媛県は就労継続支援に少し力を入れていこうということで、事業所にアンケートを取って、がん患者さんの就労の実態の把握とか課題を調べて、それをベースに就労支援ガイドブックのようなものをつくっていこうということを考えております。その中にアピアランスケアというものを含めていけたらいいなと今、話を聞いていて感じました。
 私からは以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 そのほか御意見ございませんでしょうか。
 先ほど申し上げましたように、アピアランスに関しては都道府県の温度差あるいは医療機関による温度差が結構あるかなと思います。
 ちょっと物語的な話をして申し訳ないのですけれども、先ほど身内の話をしましたが、その身内の友達の妹さんがエンドステージで、化学療法を受けていて非常に困っている。藤間先生がつくってくれたパンフレットを上げただけですごい感謝していただきました。病院に行けないと言っていたのが病院に行けるようになった。こういうことはすごい大事なのではないかなと思うので、拠点病院だけでなくて、拠点病院にがん患者が全て行くわけではないので、必要とする患者さんに情報が届くようなシステムを構築すること。
 それから、先ほどからありましたように、その知識というのは、医療者を中心に正しい知識を広げていくことが大事なので、今日もウェブでほとんどやっていますけれども、ウェブを使った効率的な情報伝達というのを今後考えていかなければいけないのかなと思いました。
 藤間先生、追加で一言言いたそうな顔をされているので、遠慮なくどうぞ。
○藤間参考人 おっしゃるとおりで、私たちは今、特に教育・研修のほうでは、私たちのe-learningは医療者向けのものを有料で公開しているのですが、無料版の短いものでがん治療に関わるいろんな方が御覧になれるようなものをつくっていきたいと思っていますし、また、そういった情報をできるだけデジタルで、遠いところの方、おうちから出にくい方でも見られるようなシステムを考えていきたいと本当に考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○西田座長 ありがとうございました。
 コロナで日本人の平均寿命がちょっと短くなりましたけれども、コロナでウェブ会議が自由にできるようになって、配信も非常によくなったので、それを逆手に取って、ぜひそういうのを使っていただいて患者さんの予後あるいは気持ちを改善していければいいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
 最後、何かよく分からないような話をしてしまいましたが、何となく共生の会というのはそういう部分もあるということを御理解いただきながら、でも、共生の会議ではそこも大事なのです。エビデンスベースドが全てではないと思います。先ほどの患者体験調査もそうです。あれは何かというと、あれは患者さんの主観を調査しているのです。アウトカムと言っても主観なのです。でも、それが非常に重要なのです。そこを考え違いしないように。ナトリウムが何ぼになったということでなくて、患者さんがどう考えるようになったかというのが一番大切なのだと思います。
 そこを押さえながら、今後も共生の会で皆さんから御意見をいただいて、よりよいがん医療を提供できるようになればいいなということで、今日の論点をおおむねまとめたつもりなのです。そして、事務局に戻したいと思います。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。
 事務局から最後に連絡事項でございますが、次回の日程等につきましては、また事務局より改めて御連絡をさせていただきたいと思いますので、御連絡を差し上げた際には、お手数ですが、日程調整等の御協力、よろしくお願いできればと思います。
 それでは、皆様から特段ございませんでしたら、本日の会議はここまでとさせていただきたいと思います。構成員の皆様、また参考人の先生方も長時間にわたり御参加いただき、誠にありがとうございました。
 それでは、失礼いたします。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線4608)

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