農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年6月7日(金曜日)9時05分~9時18分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)令和5年度食育白書の閣議決定について
  • (大臣から)佐賀県における九州初となる野生いのししの豚熱感染について
  • 農福連携等推進ビジョンの改訂について
  • 太平洋クロマグロの漁獲枠の増枠について
  • 佐賀県での野生いのししの豚熱感染に対する今後の対応について
  • 米の需給及び消費動向について

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、報告がございます。
  本日の閣議において、令和5年度の食育白書が閤議決定されました。
  今回の食育白書では、特集として農林水産業に対する国民理解の醸成及び子供・若い世代を中心とした食育の推進を取り上げています。
  そのほか、昨今の食育推進施策をめぐる状況のほか、国民の意識や取組の事例等について記述しています。詳細は、この後、プレスリリースします。食育白書を通じ、食育について多くの国民の皆様に理解と関心を深めていただくことを期待しています。
  2点目は、昨日6月6日、佐賀県唐津市において、野生いのしし2頭の豚熱感染が確認されました。九州で野生いのししの豚熱の感染が確認されたのは、今回が初めてとなります。
  我が国の豚895万頭の約3分の1(280万頭)を占める九州において感染拡大のリスクが、かつてないほど高まっています。関係者の皆さん、地域の皆さんが危機感を共有し、豚熱の感染を拡大させない、ストップ豚熱が極めて重要です。ストップ豚熱のため、生産者の方々におかれてはワクチンだけに頼るのではなく、ウイルスを農場に持ち込ませないため、日頃の消毒や、野生動物との接触防止などの飼養衛生管理の徹底を改めてお願いします。
  また、九州各県では、野生いのしし対策が重要になります。これ以上、豚熱を広げないという強い決意を持って、猟友会や市町村との連携をこれまで以上に強化し、野生いのししのサーベイランスと捕獲の強化、万が一発生した場合に迅速に経口ワクチンの散布ができる体制の整備に取り組んでいただきたいと思います。
  本日、農水省では対策本部を開催します。今後とも、高い緊張感を持ち、都道府県等の関係機関と連携して、豚熱の発生予防と、まん延防止に努めてまいります。本日、私からは以上です。
  (「ストップ豚熱」のパネルを掲げて)豚生産の約3分の1が九州ですので、絶対に感染させないよう、しっかりと飼養衛生管理を徹底し、各県でも緊急対策会議を開催していただきたいと思います。

質疑応答

記者

  5日に農福連携等推進会議が開かれ、農福連携等推進ビジョンが改訂されましたが、目標の引上げなどを含むこの改訂と、このタイミングでの意義を聞かせてください。

大臣

  農福連携は、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。また、全ての人々が地域で暮らし、多様な形で社会に参画し、その生きる力や可能性を最大限に発揮できる地域共生社会の実現に資する取組です。
  6月5日に決定した農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)では、農福連携の取組の更なる促進に向けて、地域協議会の活動の拡大の後押し、障害者のみならず社会的に支援が必要な者の社会参画の促進、毎年11月29日をノウフクの日と定めた、国民的運動の展開などを盛り込み、関係省庁や関係団体との連携をより一層強化して、官民挙げた取組を推進していく原動力になると考えています。

記者

  7月に釧路で開かれるWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の国際会議において、太平洋クロマグロの資源管理について話し合われ、水産庁としては、漁獲枠の拡大を求めていく方針と聞いていますが、期待と今後の対応方針をお願いします。

大臣

  本年行われた太平洋(クロ)マグロの新たな資源評価では、WCPFCが回復目標として定めた初期資源量の20%を2021年に達成し、更なる増加傾向にあるとの結果が示されており、厳格な資源管理に取り組んできた結果として、資源は順調に回復しているところです。
  6月4日には国内関係者との意見交換会も開催されましたが、我が国漁業関係者の間には、増枠に対する強い要望があるものと承知しています。
  太平洋クロマグロの増枠を実現するためにはWCPFC等の関係の国際会議において関係国等との協議が必要であるため、現時点において交渉の見通しを申し上げることは困難ですが、我が国としては、最新の資源状況に基づき、増枠が実現するよう努力してまいります。

記者

  豚熱について、昨年の佐賀県の養豚場での発生に続いて、2年連続で養豚の一大産地である九州で発生したことに対する受け止めと、今後の経口ワクチン散布などの具体的な対応スケジュール感を教えてください。

大臣

  昨日6月6日、佐賀県唐津市において、九州で初となる野生いのししの豚熱の感染が確認されました。
  九州は、我が国の豚生産の約3分の1を占める養豚産地であり、飼養豚へのワクチン接種などにより、豚熱の発生防止に努めてきたところですが、今回の発生を受け、高い緊張感をもって、豚熱対策を進めていくことが必要であると考えています。 このため、本日、農林水産省豚熱・アフリカ豚熱対策本部を開催し、九州の野生いのししに関する今後の豚熱対策を決定します。具体的には、野生いのししのサーベイランスと捕獲の強化、一部地域における経口ワクチンの散布を決定し迅速に実施してまいります。
  なお、ワクチンについては、九州各県それぞれ、母豚・肥育豚にも接種しているところです。引き続き、地方自治体等の関係機関と連携して、高い緊張感をもち、豚熱の発生予防と、まん延防止に努めてまいります。
  今回、豚熱の感染が確認された野生いのししは、昨年8月に本病の発生が確認された農場付近において発見されたものと承知しています。昨年の発生を受け、佐賀県では、農場の周辺で188頭の野生いのししの検査を実施してきましたが、これまで感染は確認されていなかったとのことです。
  現在、農研機構動物衛生研究部門において、今般の事例で検出された豚熱ウイルスの詳細な遺伝子解析を試みているところであり、その結果が判明すれば、それをもとに、昨年の農場での発生事例を含め、他の発生事例との関係性などを精査してまいります。

記者

  農水省が毎月調査している米の販売事業者の販売動向について、昨年秋から前年同月比で100%を超える状況が続いています。そういった中で、先日開かれた集荷団体の会合において、農産局長から、米の消費の下げ止まりについてコメントがありましたが、改めて米の消費動向について見解を聞かせてください。

大臣

  主食用米の需要が、近年、毎年10万トン程度減少している中、農水省が毎月把握し、公表している年間取扱量が5万トン以上の卸売業者の販売量をみると、令和5年度は対前年比+104%となっており、前年を上回る販売量となっています。
  昨年も同様の傾向はみられましたが、今年は昨年と異なり民間在庫も減少しており、直近の消費の全体動向としては前年よりも増加傾向にあると認識しています。
  一方で、我が国の人口は、平成20年をピークに減少に転じており、今後も人口減による需要量の減少は確実に見込まれるところです。引き続き、需要動向を注視していくとともに、きめ細やかな情報提供を行いながら、需要に応じた生産を推し進めていく考えです。

記者

  人口が減少しているので、全体としては需要減が見込まれるが、一人一人の消費量については下げ止まりが見られるということでしょうか。

大臣

  先日の事務方の発言は、消費に下げ止まりの傾向が見られるということではなく、下げ止まりになっていると嬉しいという思いを込めての発言だということです。下げ止まりになっているということまでは認識していません。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

発信元サイトへ