議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 川田龍平 君外三名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-06-06
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一三回
参第一三号
   地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する法律案
 (目的)
第一条 この法律は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等が、農産物の生産のために栽培される植物(次条第一項において「農業用植物」という。)の品種の多様性の確保及び地域における農業の振興を図る上で重要であることに鑑み、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関し、基本理念、基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって農業の持続的かつ健全な発展及び農村その他の地域の活性化に資するとともに、食料の安定供給の確保及び国民の豊かな食生活の実現に寄与することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「地域在来品種等」とは、地域において長期にわたり栽培されてきた農業用植物の品種その他農業用植物の品種の多様性の確保及び地域における農業の振興を図る上で重要であると認められる農業用植物の品種(遺伝子組換え技術又はゲノム編集技術を用いて育成されたものを除く。)をいう。
2 この法律において「地域在来農産物等」とは、地域在来品種等の種苗を用いることにより得られる収穫物をいう。
3 この法律において「地域在来品種等の種苗の保存及び利用等」とは、地域在来品種等の種苗の保存(保存のために行われる収集を含む。第十条第一項及び第十一条において同じ。)及び利用並びに地域在来農産物等及びその加工品の利用をいう。
 (基本理念)
第三条 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等については、経済性その他の事情から民間のみでは十分に行われないおそれがあることに鑑み、国及び地方公共団体が積極的な役割を果たすことを旨として、その促進が図られなければならない。
2 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等については、地方公共団体が、その区域の自然的経済的社会的諸条件に応じ、創意工夫を生かしつつ主体的に取り組むようにするとともに、当該地方公共団体に対して国が積極的に支援を行うことを旨として、その促進が図られなければならない。
3 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に当たっては、農業者が重要な役割を果たしていることに鑑み、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等に係る取組を行う農業者の権利利益が保護されるよう配慮されなければならない。
 (基本方針)
第四条 農林水産大臣は、前条の基本理念にのっとり、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する基本方針(以下この条及び次条において「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進の意義に関する事項
 二 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する施策に関する基本的な事項
 三 その他地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関し必要な事項
3 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
 (都道府県計画等)
第五条 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県における地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する計画(次項及び次条において「都道府県計画」という。)を定めることができる。
2 市町村は、基本方針(都道府県計画が定められているときは、基本方針及び都道府県計画)を勘案して、当該市町村における地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する計画(次条において「市町村計画」という。)を定めることができる。
 (都道府県及び市町村に対する国の支援)
第六条 国は、都道府県及び市町村に対し、都道府県計画又は市町村計画の作成及びこれらの円滑かつ確実な実施を支援するため、情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
 (地域在来品種等の種苗の収集及び保存並びに提供等)
第七条 国は、地域在来品種等の種苗の収集及び体系的な保存のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、農業に関する試験研究等の用に供するため、地域在来品種等に係る情報の提供、地域在来品種等の種苗の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 地方公共団体は、その地域における地域在来品種等の種苗の収集及び保存のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、地域在来品種等の種苗又は地域在来農産物等の生産等の用に供するため、地域在来品種等の種苗の提供、地域在来品種等に係る情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 国及び地方公共団体は、国の講ずる第一項の措置と地方公共団体の講ずる前項の措置が円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し、及び協力するよう努めるものとする。
 (技術の開発及び普及)
第八条 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用の促進を図るため、地域在来品種等の種苗の長期的かつ安定的な保存に資する技術及び地域在来品種等の種苗の生産に係る技術の開発及び普及のために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 (人材の育成及び確保)
第九条 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等に関し専門的な知識又は技術を有する者その他の地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に寄与する人材の育成及び確保を図るため、研修の実施、知識及び技術の継承の支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 (連携の強化)
第十条 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用の促進を図るため、地方公共団体の試験研究機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)であって試験研究に関する業務を行うもの、大学、農業者の組織する団体その他の関係者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 地方公共団体は、地域在来農産物等及びその加工品の利用の促進を図るため、関係機関、地域在来農産物等の生産を行う農業者及び農業者の組織する団体、地域在来農産物等又はその加工品を利用する事業者その他の関係者により構成される協議会の設置その他のこれらの者の間の連携体制の整備に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進を図るため、他の地方公共団体との連携を図るよう努めるものとする。
 (農業者等に対する支援)
第十一条 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存又は地域在来品種等の種苗若しくは地域在来農産物等の生産を行う農業者及び農業者の組織する団体、地域在来農産物等又はその加工品を利用する事業者等を支援するため、情報の提供、助言、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 (国民の理解と関心の増進)
第十二条 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の重要性に関する国民の理解と関心を深めるため、地域在来品種等の種苗及び地域在来農産物等の生産の体験活動の促進、学校給食等における地域在来農産物等及びその加工品の利用の促進、地域在来農産物等及びその加工品を用いた地域の特色ある食文化に関する広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、民間の団体等が行う地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の重要性に関する国民の理解と関心を深めるための活動を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 (農業者の意見の反映)
第十三条 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する施策の策定に当たっては、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等に係る取組を行う農業者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等が、農産物の生産のために栽培される植物の品種の多様性の確保及び地域における農業の振興を図る上で重要であることに鑑み、農業の持続的かつ健全な発展及び農村その他の地域の活性化に資するとともに、食料の安定供給の確保及び国民の豊かな食生活の実現に寄与するため、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関し、基本理念、基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。