厚労省・新着情報

(令和6年6月11日(火)9:37~9:49 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭は特にございません。 

質疑

記者:
引き取り手のない遺体や遺骨の問題についてお伺いします。厚生労働省は、引き取り手のない遺体や遺骨に関する自治体の対応について今年度中に実態調査し、事例集を作成する方針を示しています。現時点で想定している実態調査の方法や事例集の中身などについて詳しく教えてください。また、引き取り手のない遺体や遺骨をめぐっては、遺体を長期間火葬しなかったり、火葬、納骨後に親族がいることが判明したりなどトラブルも発生しています。自治体からは統一的な基準を求める声もありますが、厚労省として今後、指針などを策定する考えはあるか教えてください。 
大臣:
ご遺体の引き取り手がない場合については、市町村等において、ご遺体の身元や親族等の有無について確認が行われているものと承知しています。厚生労働省としては、火葬等の前後におけるこうした確認の実施や、その間におけるご遺体の取扱いについてまさに実態を把握するため、令和6年度、関係法令に基づく火葬等関連事務を行った場合等のご遺体の取扱いの実態や課題に関する調査研究事業を実施することとしています。引き取り手がないご遺体が安らかに弔われるような環境づくりが行われることは重要と考えており、今年度実施する実態調査の結果などを踏まえ、どのような対応が可能か引き続き検討を進めていきたいと考えています。 
記者:
脳死下の臓器提供について伺います。本紙のインタビューで韓国の臓器あっせん機関 「KODA(コーダ)」のトップが、脳死の可能性がある患者の情報をあっせん機関に通報することを法で義務化することなどが提供者の増加につながったと答えました。日本でもこうした通報制度の導入や、あっせん機関の体制強化を図るお考えはあるのか、大臣のお考えをお聞かせください。 
大臣:
その記事は私も読みました。移植医療を円滑に行うためには、臓器提供施設、臓器あっせん機関、移植実施施設が、確実に対応していくことが重要です。臓器提供施設については、脳死の可能性がある患者が発生した場合、臓器提供の経験豊富な医療施設が経験の少ない医療施設を支援することを目的とした「臓器提供施設連携体制構築事業」を実施しております。その事業の中で令和6年度から、脳死が強く疑われ、臓器提供の可能性がある患者に関する情報を臓器提供の経験豊富な医療機関にいち早く共有する「ドナー候補情報共有制度」を行っているところです。また臓器あっせん機関については、臓器移植の推進に伴う提供数の増加に対応出来るよう、あっせん業務を行う指定法人である「日本臓器移植ネットワーク」に対する補助金について、臓器移植コーディネーターの増員等を行い、臓器移植の選択肢提示やあっせんに係る体制の強化を図るため、令和6年度には増額したところです。さらに移植実施施設については、臓器提供数が確実に増えてきている中で、その増加に対応できていないという極めて残念な現実があると認識しており、厚生労働省としては、日本臓器移植ネットワークから全ての移植実施施設について、脳死下臓器移植の実施を辞退した件数やその原因について報告させることとしています。引き続き、事業の成果や報告の内容を踏まえ、さらに移植医療の推進に取り組んでいきたいと思います。 
記者:
東京商工リサーチが公表した全国の介護事業者の倒産件数が、今年1月から5月で72件に上り、これまでの上半期の過去最多を上回りました。人手不足や物価高騰が要因と考えられますが、大臣の受け止めと今後の対応についてお考えをお聞かせください。 
大臣:
ご指摘の調査結果については承知しています。個別の民間調査の結果について私からコメントすることは差し控えますが、介護サービス事業所の経営については非常に注視していく必要があると考えています。今後、今般の介護報酬改定の影響等について、介護事業経営実態調査をはじめ各種調査等を通じて利用者や事業者の状況の把握を行うこととしています。例えば、訪問介護事業所の廃止の理由について調べてみると、人員不足や従業員自身の高齢化、経営戦略上の事業所統廃合等、利用者不足・経営不振等といった様々な理由が多くあるものと認識しています。厚生労働省としては、最も課題となっている介護人材の確保・定着に向けて処遇改善加算の取得促進に全力をつくすとともに、各種調査等の結果も踏まえて、加算取得に向けた更なる工夫や、魅力発信等について必要な取組を進め、地域で必要な介護サービスが安心して受けられる体制をつくっていきたいと思います。 
記者:
マイナ保険証の利用促進に関連して、薬局での窓口対応についてお伺いします。一部の薬局で、現行保険証を資格確認に用いない運用があることが取材でわかりました。これにより、患者が「マイナ保険証しか使えない」と誤解してトラブルに発展しています。このような薬局側の対応は適切でしょうか。また健康保険証を受け取らない薬局で、厚労省の示したマイナ保険証の利用促進の声かけが行われることで、より誤解を招きやすい状況となっています。これに問題はないでしょうか。 
大臣:
一部の薬局で健康保険証を資格確認に用いない運用をしていた事案について、現時点で個別具体的に把握はしていませんが、一方で、マイナンバー総合フリーダイヤルでは、保険医療機関・薬局において、マイナ保険証を使わせてもらえず、健康保険証の提示を求められたといった相談もいただいています。いずれにしても、医療現場においては患者に対して無理強いをするのではなく、丁寧に説明を行い、省令上、薬局は、処方箋、マイナ保険証、健康保険証のいずれかの方法によって患者の資格確認を行うこととされていることも踏まえ、適切に運用していただくことが重要であると考えています。一方で、国民の約4割がマイナンバーカードを常に携帯しておられます。マイナ保険証の利用経験者の約4人に3人がマイナ保険証を今後も利用したいと考えているとの調査結果も踏まえれば、やはりより多くの国民の皆様にマイナ保険証の利用体験を持っていただくことがとても重要です。メリットを含め、これからデジタル化に向けて我が国の医療の提供体制というものをより質の高い、より国民の皆様の健康を守れるシステムに高度化しなければなりません。そのためのまさにパスポートがこのマイナ保険証なので、今後とも、このマイナ保険証を利用していただけるよう丁寧に、国民の皆様にお願いしようと思います。 
記者:
在留外国人の年金加入について伺います。10月をめどに、新たに日本に移り住む外国人の年金加入を徹底するという報道がありました。事実関係と狙いについてお聞かせください。 
大臣:
ご質問については外国人に限らず、日本人も含め、海外からの転入等により新たにマイナンバーを取得した方の情報をJ-LISから毎月提供いただき、その方が公的年金未加入者であることを確認した場合は、日本年金機構から国民年金の加入手続の勧奨状を送付します。一定期間経過しても加入手続が行われない場合には、日本年金機構が国民年金の加入手続を行うこととする仕組みを、システム改修を経て今年度中に導入することを予定しています。日本年金機構としては、これまでも日本人・外国人問わず節目の年齢に到達した方々に対し、同様に国民年金の加入状況を確認の上、加入勧奨等を実施してきたところであり、今般の新たな取組も踏まえて、引き続き公的年金制度の適正な運営に取り組んでいきたいと思います。 
記者:
劇症型の溶連菌感染症の感染者数が、過去最多だった去年を大きく上回るペースで報告されています。厚労省として増加の背景をどのようにみているのでしょうか。また、感染を防ぐための注意喚起などがあればお願いします。 
大臣:
我が国における本年の「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者の報告数は、5月26日までに速報値で935人となっています。過去最高の941人、これは暫定値ですが、そうなった昨年を大きく上回るペースで推移しています。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、様々な呼吸器系の感染症の患者数が増加傾向にあります。呼吸器系感染症の原因の1つとなる、いわゆる溶連菌に感染した患者において稀に引き起こされる劇症型溶血性レンサ球菌感染症についても、我が国だけでなく諸外国においても実は増加傾向にあります。厚生労働省としてはこれまでも、我が国と諸外国の傾向や我が国における感染状況を説明してきましたが、引き続きこうした感染動向を注視していく必要性があると思っています。国民の皆様におかれましても、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置といった基本的な感染防止対策をぜひ実施していただくよう改めてお願いしたいと思います。 

(了)

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