議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 前原誠司 君外三名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-06-11
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一三回
衆第二四号
   新しい国のかたちの創造的改革の推進に関する基本法案
目次
 前文
 第一章 総則(第一条-第六条)
 第二章 基本方針等
  第一節 各政策分野に係る施策の策定に当たっての基本方針(第七条-第十条)
  第二節 統治構造の改革の基本方針(第十一条・第十二条)
  第三節 財政の持続可能性への留意(第十三条)
 第三章 新しい国のかたちの創造的改革の推進体制の整備
  第一節 新しい国のかたちの創造的改革推進会議の設置等(第十四条-第二十二条)
  第二節 基本計画及び実施計画等(第二十三条-第二十五条)
 第四章 補則(第二十六条)
 附則
 我が国は、明治維新以降における近代化、先の大戦後における平和国家としての復興という明確な国家としての目標の下で、奇跡とも称される目覚ましい発展を遂げてきた。この発展の過程において、我が国においては、一貫して、自己の利益のみにとらわれることなく公共的な利益をも追求する精神が示されてきた。
 しかるに、平成の約三十年間においては、国の針路となる国家としての目標が示されず、また、公共的な利益を追求する精神もその影を潜めてしまった。その結果、我が国は、統治構造、社会構造、産業構造等のあらゆる面において、ことごとくその刷新に失敗し、我が国を取り巻く国際状況、社会経済情勢等の急激な変化に対応することができず、かつて世界に誇った経済大国日本は今や見る影もなくなり、地方も危機的状況に陥るなど、国力も民力も著しく低下した。国民もまた、旧来の価値観に縛られた社会の中で、個性を十分に発揮できなくなっている。
 こうした状況から脱却するため、我々は、近代立憲国家として歩んできた過程に改めて思いをいたしつつ、時代にふさわしい国家目標を明確に示すとともに、抜本的な統治構造の改革に直ちに着手しなければならない。
 我々は、新しい国家目標の設定及び統治構造の改革によって、自立、分散及び協調を基調とし、国内外の急激な変化に対応できる統治構造、社会構造、産業構造等の形成を図り、もって、新たな形で公共的な利益を追求する、強くしなやかな日本の実現を目指すことを宣言する。
 ここに、新しい国のかたちの創造的改革を総合的、計画的かつ集中的に推進するため、この法律を制定する。
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、自立、分散及び協調を基調とする我が国の新しい在り方を創造する上で必要となる国家運営の基本的な目標(以下「国家目標」という。)及びその実現を目指して行われる各政策分野における改革の推進に資する統治構造の改革に関する基本理念を定めるとともに、新しい国のかたちの創造的改革に関し、国等の責務を明らかにし、施策の基本となる方針及びその推進のために必要な体制の整備等について定めることにより、新しい国のかたちの創造的改革を総合的、計画的かつ集中的に推進することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「新しい国のかたちの創造的改革」とは、国家目標の実現を目指して行われる各政策分野における改革及びその推進に資する我が国の統治構造に関する改革をいう。
 (国家目標)
第三条 国家目標は、次に掲げる事項とする。
 一 自由、民主主義、法の支配等の普遍的価値を共有する諸外国との連携を図りつつ、防衛力を強化し、我が国の平和と独立を守り国の安全を自立的に確保することができる体制を整備するとともに、諸分野の安全保障について、関連する政策との密接な連携の確保を通じて総合的な安全保障体制の構築を図ることにより、国家存立の基盤を確立し、もって国民の安全で安心な暮らしの確保に万全を期すること。
 二 国内外の社会経済情勢の変動に対応した社会経済構造を構築し、中長期にわたる低迷の状態にある我が国の経済を持続的成長の軌道に乗せることにより、我が国がこれまで築き上げてきた国富の維持とその一層の拡大を図り、もって全ての国民が豊かさを実感できる経済を実現すること。
 三 健康で文化的かつ経済的に安定した生活の保障及びそのために必要な社会的基盤の維持及び整備、生涯を通じて高度な教育を受ける機会の確保等により、全ての国民が自立した個人としてその多様な個性と能力を十分に発揮することができる社会を形成し、もって国民生活をよりゆとりある豊かなものとすること。
 四 長い歴史の中で培われてきた我が国の文化芸術の後代の国民への継承及びその将来にわたっての発展並びに最先端の学術研究の振興を通じた我が国の学術研究の水準の更なる向上を図るとともに、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、多様な価値観を持つ人々が共生することができる豊かな社会を形成すること。
 (統治構造の改革に関する基本理念)
第四条 統治構造に関する新しい国のかたちの創造的改革は、国の行政機関及び地方公共団体に関し、次に掲げるところによりその組織の在り方等の見直しを行うことにより、国民がそれぞれの立場において主体的に国政及び地方行政の展開に関わることができる環境の構築を図り、もって国家目標の実現を目指して行われる各政策分野における改革の推進に資することを基本として行われるものとする。
 一 行政運営の戦略性(行政が、明確な目標の下で中長期的かつ大局的な視点に立って計画的に、かつ、国内外の諸情勢の変動等に応じる柔軟性と弾力性をも備えて、多様な政策手段を組み合わせて総合的に行われることをいう。第十一条第一項において同じ。)の向上を図るため、内閣をはじめとする行政運営における枢要な機関の機能を強化するとともに、あわせて、行政の運営及び組織の在り方が、高い開放性(行政の活動が多様な主体の参画を得て行われること、行政運営の過程及び結果並びにそれらに対する責任の所在が国民にとって明らかであることその他の開かれた行政の実現に資するものとして行政が備えるべき特性をいう。同条第二項において同じ。)を備えたものとなるようにすること。
 二 地方自治の本旨の充分な実現、住民生活の多様化への対応等の観点から、国との関係、他の地方公共団体との関係及び住民等との関係の在り方に関し見直しを行うことにより、地方公共団体が、自立的な統治の主体として、政策の企画立案において主体性を十分に発揮し、各地域の特性を生かした魅力ある多様な取組を活発に行うことができるようにすること。
 (国の責務)
第五条 国は、国家目標の実現を目指して、及び前条の基本理念(以下「統治構造の改革に関する基本理念」という。)にのっとり、新しい国のかたちの創造的改革に関する施策を総合的、計画的かつ集中的に策定し、及び実施する責務を有する。
 (地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、地方公共団体が国と対等な立場で統治を担う主体であるとの基本的認識の下、前条の規定の趣旨を踏まえ、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の特性に応じて、新しい国のかたちの創造的改革に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
   第二章 基本方針等
    第一節 各政策分野に係る施策の策定に当たっての基本方針
 (自立的かつ総合的な安全保障体制の構築)
第七条 自立的かつ総合的な安全保障体制の構築に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 我が国の防衛に必要な各種の能力を構築することにより、我が国を自立的に防衛するに足りる防衛力を整備すること。
 二 エネルギー、食料その他の国民生活の安定及び向上並びに国民経済の維持及び発展に不可欠な物資等の安定的な供給を確保するとともに、その基盤となる商工業、農林水産業等の発展を図ること。
 三 あらゆる災害の事態に対応することができる体制を整備すること。
 (経済の持続的な成長の実現)
第八条 経済の持続的な成長に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 継続的な就労の機会が保障されることを前提に、雇用の分野における規制の合理化による企業経営の柔軟性の確保に積極的に取り組むこと。
 二 産業活動における新陳代謝(産業活動において、技術革新等によって生ずる産業構造の変動等に対応して、新たな事業の開拓、事業再編による新たな事業の開始又は収益性の低い事業からの撤退、設備投資その他の生産性の向上又は需要の拡大のための事業活動が行われることをいう。)の活性化を図る観点から、産業政策、金融政策等の関連する諸政策の在り方を見直すこと。
 三 企業の中心的な形態である株式会社について、その事業を通じて持続的に価値を生み出すことができるよう競争力の向上を図ることに留意しつつ、その統治の在り方に係る制度を見直し、株式会社の事業に関わるあらゆる利害関係者の利害、国内外の諸情勢の変動等を考慮した経営が行われるようにすること。
 (自立した個人としての国民の豊かな生活の実現)
第九条 健康で文化的かつ経済的に安定した生活の保障等に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 全ての個人が、その経済的な状況を懸念することなく、自らの可能性の追求を積極的に行うことができる社会の構築等に資するため、国民一人一人の生活の経済的な安定に資する経済的支援の制度を整備するとともに、充実した医療等の提供体制、国土の保全等の多面的機能をも有する農林水産業、良好な自然環境、良質な社会資本その他の社会的基盤を維持し、及び整備すること。
 二 児童の養育等に係る給付が、その給付を受けようとする者の所得の額により制限されることなく行われる制度を整備すること。
 三 安定した年金制度その他の老後の生活の経済的な安定に資する制度を整備すること。
2 生涯を通じて高度な教育を受ける機会の確保に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 教育が我が国社会の未来への投資であることに鑑み、高等教育を含めたあらゆる学校教育を原則として無償とすることにより、誰もがその経済的な状況にかかわらず等しく教育を受ける機会を得られるようにすること。また、その他の教育に係る給付についても、その給付を受けようとする者の所得の額により制限されることなく行われる制度を整備すること。
 二 リカレント教育(職業生活を開始した後に、職務の遂行に必要な知識技能の向上、新たな就業先の確保等を目的として行われる一定の期間の教育又は職業訓練をいう。)を受ける機会を含め、あらゆる場面での生涯にわたる学習の機会の確保及び充実を図ること。
 (文化的で多様性のある豊かな共生社会の形成)
第十条 文化芸術の継承及び発展並びに学術研究の水準の向上に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 心豊かな国民生活の基礎となる文化芸術の継承及び発展を図り、その恵沢を将来にわたり国民が享受できるようにすることを目指して、文化芸術に関する活動を行う人材の育成を図ることその他の文化芸術に関する活動に対する積極的な支援を行うこと。
 二 学術研究の水準の一層の向上を目指して、先端的な研究に携わる研究者の確保及び育成を図ることその他の学術研究に対する積極的な支援を行うこと。
2 多様性のある共生社会の形成に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 何人も社会から排除されず、多様な社会的活動に参加する機会が確保されるようにするための取組を推進すること。
 二 婚姻及び家族の在り方に係る人々の価値観の変容に対応するための制度を構築すること。
    第二節 統治構造の改革の基本方針
 (行政の戦略性及び開放性の向上)
第十一条 行政運営の戦略性の向上を図るための統治構造に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 内閣が、中長期的かつ大局的な視点に立ちつつ、行政機能を最大限に発揮して国政上の課題に取り組むことができるよう、内閣の戦略的機能を強化するとともに、国政の運営に関し、国会と内閣の協働が図られるようにすること。
 二 政策の実施状況を随時把握し、それを迅速に政策に反映するための仕組みを構築すること。
 三 国の行政機関(その内部組織を含む。以下この号において同じ。)を内閣がその裁量で編成することができる範囲の拡大その他の内閣の統轄の下における国の行政機関を内外の社会経済情勢の変化並びに行政需要及び政策課題等の変化等に応じて機動的に編成できるようにするための仕組みを構築するとともに、あわせて、公務員に関する制度についても見直しを行うこと。
2 行政の開放性の向上を図るための統治構造に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 国民の知る権利の保障に資するため、行政機関の保有する情報等について一層の公開を図ること。
 二 情報通信技術を活用した行政の一層の推進を図ること。
 三 政策形成の過程への市民の参画の機会及び民間事業者による公共サービスの実施を拡充させること。
 (地方公共団体の多様性及び自立性の確保)
第十二条 地方公共団体についての統治構造に関する新しい国のかたちの創造的改革に係る施策の策定に当たっては、地方自治の本旨の充分な実現、住民生活の多様化への対応等の観点から、地方公共団体の在り方を見直すことにより、地方公共団体が、自立的な統治の主体として、政策の企画立案において主体性を十分に発揮し、各地域の特性を生かした魅力ある多様な取組を活発に行うことができるようにするため、次に掲げる事項が重点的に推進されるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
 一 国と地方公共団体との関係については、地域間の不均衡を是正する上で国が果たす役割の重要性に留意しつつ、国の事務を、国際社会における国家の存立に関する事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動に関する基本的な準則に関する事務その他の国が本来果たすべき役割に関する事務に重点化するとともに、地方公共団体への権限及び財源の移譲の徹底を図るほか、国の政策に地方公共団体及びその住民の意見を反映させるため、国と地方公共団体の間の協議のための仕組みの充実を図ること。
 二 都道府県と市町村との関係については、同種の事業を都道府県と市町村とが相互に重複して実施することに伴って弊害が生じている場合にはそれを除去するほか、都道府県と市町村の在り方について、現行の地方公共団体の区分の在り方を含め、抜本的な見直しを行うこと。
 三 地方公共団体とその住民等との関係については、人々と地域との関わり合いの態様が多様化しつつある現状に鑑み、地方公共団体の住民以外の者でその地域と一定の関係にあるものにその関係に応じた地位を与える制度を設けるなど、その者と当該地方公共団体との新たな関係に係る制度の構築を図ること。
    第三節 財政の持続可能性への留意
第十三条 新しい国のかたちの創造的改革に関する施策の策定に当たっては、その実施のため必要となる安定的な財源を確保するための方策も含めて検討するなど、国及び地方公共団体の財政の持続可能性に留意しなければならない。
   第三章 新しい国のかたちの創造的改革の推進体制の整備
    第一節 新しい国のかたちの創造的改革推進会議の設置等
 (設置)
第十四条 新しい国のかたちの創造的改革を総合的、計画的かつ集中的に推進するため、別に法律で定めるところにより、内閣に、新しい国のかたちの創造的改革推進会議(以下「会議」という。)を置くものとする。
2 会議は、次に掲げる事務をつかさどるものとする。
 一 第二十三条第一項に規定する基本計画及び同条第四項に規定する実施計画を策定するとともに、必要に応じて、内閣総理大臣に対し、新しい国のかたちの創造的改革に関する施策として迅速に実施すべき施策について勧告すること。
 二 新しい国のかたちの創造的改革に関する施策の円滑かつ迅速な実施を推進すること。
 三 前二号に掲げるもののほか、新しい国のかたちの創造的改革の推進に関する基本的事項について調査審議すること。
 (組織)
第十五条 会議は、委員三十人以内で組織するものとする。
 (委員)
第十六条 委員は、次の各号に掲げる者につき、当該各号に定める員数以内を内閣総理大臣が任命するものとする。
 一 学識経験を有する者 十人
 二 衆議院議員のうちから衆議院が指名する者 五人
 三 参議院議員のうちから参議院が指名する者 五人
 四 地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長 十人
2 前項の規定により同項第一号及び第四号に掲げる者のうちから委員を任命するに当たっては、委員の性別、同項第一号の学識経験に係る専門分野、同項第四号の地方公共団体、属する政党等に偏りが生じないように配慮しなければならないものとする。
 (会長)
第十七条 会議に、会長を置き、委員の互選によって定めるものとする。
 (統治構造の改革に関する特別部会)
第十八条 統治構造の改革に関する新しい国のかたちの創造的改革に関する具体的な施策についての調査審議を集中的に行うため、会議に、統治構造の改革に関する特別部会(次項において「特別部会」という。)を置くものとする。
2 特別部会において調査審議すべき事項が国家目標の実現を目指して行われる各政策分野における改革の推進に資するものであることに鑑み、特別部会は、その調査審議を特に迅速に行うものとする。
 (資料提出の要求等)
第十九条 会議は、その所掌する事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるものとする。
 (事務局)
第二十条 会議の事務を処理させるため、会議に、事務局を置くものとする。
 (設置期限)
第二十一条 会議は、その設置の日から起算して五年を経過する日まで置かれるものとする。
 (主任の大臣)
第二十二条 会議に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とするものとする。
    第二節 基本計画及び実施計画等
 (基本計画及び実施計画の策定等)
第二十三条 会議は、その設置後一年以内を目途に、国家目標に即し、及び統治構造の改革に関する基本理念にのっとり、かつ、前章の基本方針等に基づき、新しい国のかたちの創造的改革に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 新しい国のかたちの創造的改革に関する施策に関する基本的な事項
 二 前号に掲げるもののほか、新しい国のかたちの創造的改革に関する施策の推進に関する基本的な事項
3 会議は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを国会及び内閣総理大臣に報告するとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
4 会議は、その設置後二年以内を目途に、国家目標に即し、及び統治構造の改革に関する基本理念にのっとり、かつ、前章の基本方針等及び基本計画に基づき、新しい国のかたちの創造的改革に関して実施すべき施策の全体像について定める計画(以下「実施計画」という。)を策定しなければならない。
5 実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 新しい国のかたちの創造的改革に関して実施すべき施策
 二 新しい国のかたちの創造的改革に関して実施すべき施策に関する目標及び実施の時期
 三 前二号に掲げるもののほか、新しい国のかたちの創造的改革を総合的、計画的かつ集中的に推進するために必要な事項
6 第三項の規定は、実施計画について準用する。
 (個別勧告)
第二十四条 会議は、必要に応じて、基本計画又は実施計画の策定に先立って、内閣総理大臣に対し、新しい国のかたちの創造的改革に関して迅速に実施すべき個別の施策に関する勧告(以下「個別勧告」という。)を行うことができる。
2 会議は、個別勧告を行ったときは、遅滞なく、その内容を国会に報告するとともに、公表しなければならない。
 (施策の速やかな実施)
第二十五条 政府は、基本計画、実施計画、個別勧告その他会議における調査審議の結果を踏まえ、新しい国のかたちの創造的改革に関して実施する必要があると認められる施策について、その実施のための法制上の措置その他の必要な措置を速やかに講ずるよう努めるものとする。
   第四章 補則
 (国会の在り方に関する検討)
第二十六条 統治構造に関する新しい国のかたちの創造的改革と併せて行うべき国会の在り方の見直しについては、基本計画、実施計画、個別勧告その他会議における調査審議の結果及びこれらに基づく新しい国のかたちの創造的改革に関する施策の実施の状況等を勘案して、国会において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 自立、分散及び協調を基調とする我が国の新しい在り方を創造する上で必要となる国家目標及びその実現を目指して行われる各政策分野における改革の推進に資する統治構造の改革に関する基本理念を定めるとともに、新しい国のかたちの創造的改革に関し、国等の責務を明らかにし、施策の基本となる方針及びその推進のために必要な体制の整備等について定めることにより、新しい国のかたちの創造的改革を総合的、計画的かつ集中的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。