農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年6月14日(金曜日)9時41分~9時55分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)農産物の環境負荷低減の「見える化」ラベルの愛称について
  • 農産物・食品の合理的な価格形成の法制化について
  • 食料・農業・農村基本計画の策定に向けた今後の進め方について
  • みどりの食料システム法に基づく生産者の認定について
  • 担い手への農地集積率の現状と今後の対応方針について
  • 食料供給困難事態対策法案の国会審議について
  • コメの需給及び消費動向について
  • 商業捕鯨の捕獲対象鯨種にナガスクジラを追加することについて

冒頭発言

大臣

  私から1点、報告がございます。このたび、農産物の環境負荷低減の取組の見える化をより一層推進していくため、3月1日公表したラベルの愛称を「みえるらべる」に決定したので紹介します。
  この愛称は、省内の若手職員による選考により定めたものですが、農産物の環境負荷低減の取組を見える化するラベルという意味と、消費者の皆様がこのラベルを「見て」、環境負荷低減に資する農産物を「選べる」ようにという双方の意味が込められており、文字を入れ替えると「みる」、「えらべる」になっています。
  先日の公表からこれまでに350箇所以上のスーパー、小売店、外食店等で、新たなラベルを表示した商品が販売されています。5月末にはみどりの食料システム法に基づく生産者の認定も1万5千名を超えたところであり、こうした生産者の取組を広げるためにも、皆様にはぜひ、「みえるらべる」を覚えていただき、「みえるらべる」が表示されている商品を進んでお手に取っていただければと思います。詳細については、この後プレスリリースを行います。
  (パネルを見せながら) これでございます。「みえるらべる」、「みる」と「えらべる」の合体語です。

質疑応答

記者

  水曜日の基盤強化本部で、適正な価格形成について来年の国会提出を目指して法制化を進めるとの総理指示がありました。足元では、協議会や各ワーキンググループでコスト指標のあり方や取引慣行について議論がありましたが、法制化に向けて今後の議論の進め方を教えてください。

大臣

  農産物・食品の価格形成については、生産、加工、流通、小売、消費等の幅広い関係者が一堂に会する協議会において、合理的な費用が考慮される仕組みづくりについて法制化も視野に検討することについて、共通認識が得られたところです。
  このため、今後は、関係者の協力を得ながら、コスト等の実態調査を速やかに進めると同時に、関係省庁との調整など、政府内での仕組みの検討を進め、その上で、改めて協議会で議論いただけるよう取り組んでまいります。
  こうした協議会における議論を通じて、丁寧に関係者と合意形成を図り、令和7年中の国会提出を視野に取り組んでまいります。

記者

  改正食料・農業・農村基本法の関連法(案)が、今日の参議院本会議で可決、成立する見通しです。施策の具体化に向けて、今後基本計画の策定を進めていくことになると思いますが、今後の具体的な検討スケジュールなどについて説明をお願いします。

大臣

  食料・農業・農村基本法については、既に6月5日に改正法が公布・施行され、6月12日に開催された食料安定供給・農林水産業基盤強化本部では、岸田総理から、今年度中の食料・農業・農村基本計画の策定に向け、今夏から議論を開始するよう指示があったところです。
  今国会の審議を通じて改めて感じたところではありますが、食料の持続的な供給を図っていくためには、生産・加工・流通に関わる関係の皆様、消費者の皆様など、幅広い関係の皆様の御理解と御支持があって、初めて成り立つものであり、基本計画の策定に向けても、まずは、こうした幅広い関係の皆様に御関心をもっていただけるよう、今後の農政の方向性や制度の内容などについて、丁寧に説明していくところから始めていきたいと考えています。
  具体的には、基本法関連3法案が成立した暁には、農林水産本省での説明会のほか、全国11ブロックに本省幹部を派遣し、基本法及び関連法の説明会を実施する地方キャラバンの展開を予定しています。その後も地方農政局や県拠点等を通じ、幅広い関係の皆様に丁寧に説明を行ってまいります。
  また、私の基本法改正に対する思い、今後の農政への決意を、現場の皆様にお伝えするため、談話という形で発表したいと思っています。


記者

  冒頭発言にあった、5月末時点でみどりの食料システム法に基づく生産者の認定が1万5千名を超えたということについて、認定数が増えた理由や地域的な傾向など、わかることがあれば聞かせてください。

大臣

  令和4年7月に施行されたみどりの食料システム法に基づき、令和5年3月までに全都道府県で基本計画が作成され、生産者の計画認定が本格的にスタートしました。
  それから1年あまりの間に、46道府県で1万5千名以上が認定されたことは、みどりの食料システム戦略の実現に向けた大きな進展であると考えています。
  特に、福井県のように、グループによる認定が広がってきたことは、他の地域の参考になる優良事例だと考えています。
  環境負荷低減を基本理念に位置付けた改正食料・農業・農村基本法の成立を踏まえ、更なる認定の拡大を図ってまいります。

記者

  担い手への農地集積率を2023年度までの10年間で8割に高める政府目標が未達となりましたが、受け止めと目標の妥当性、次期基本計画での目標設定のあり方について、考えを聞かせてください。

大臣

  農業を成長産業化するため、農地集積率8割という意欲的な目標を掲げ取り組んでまいりました。
  集積は一定程度進んだと評価していますが、担い手が利用する農地が分散していることや、中山間地など地形によって集積に差があるなどの課題も浮き彫りとなりました。
  今後の目標の取扱いについては、次期基本計画の議論と併せて検討してまいります。

記者

  食料供給困難事態対策法案について、昨日の(参議院農林水産)委員会でも罰則のことに質問が集中して、野党が反対していました。また一昨日、高知県のゆず農家からも2万人のオンライン署名などがあり、農家にも不安があるのかなという中、昨日(採決された)附帯決議では、計画届出の指示を出す規模等の考え方を明確にすることや、正当な理由で具体的な事例を挙げながら関係者にわかりやすく示すことなどが盛り込まれました。この辺は先ほどおっしゃった地方キャラバンで重点的に説明していく方針でしょうか。

大臣

  罰則が少し前に出過ぎているところがありますが、必要最低限度の届出を出してくださいということに対する(届出を指示する規定がされている他法令と)横並びの罰則規定ですので、生産者の皆様に、しっかりとこれから丁寧に説明してまいります。11ブロックの地方キャラバンでも説明をして、理解を得たいと思っています。

記者

  コメのスポット価格が一時かなり上がるなど、一部では足りないと。実際の需給はどんな感じでしょうか。

大臣

  最近、米価高騰や米不足について新聞、テレビなどで様々なメディアで報道がなされていることは承知していますが、一般的な小売価格は、総務省の小売物価統計等を見る限り、一部で報道されているほど上昇していないと受け止めています。
  また、一部の店舗で特定の銘柄の仕入れに苦労されたり、欠品がありますが、多くの販売店では主要銘柄について欠品を起こしている状況ではないと認識しています。
  先日の会見でも申し上げましたが、5年産米の全体需給については、農水省において毎月把握し、公表している相対取引価格の動向や民間の流通在庫の状況をみると、現時点で主食用米の需給が「ひっ迫」している状況ではありません。消費者の皆様方におかれましても、安心していただき、普段どおりにお買い求めいただきたいと思います。


記者

  商業捕鯨について、11日の水産政策審議会の分科会で、ナガスクジラの追加及び捕獲枠を59頭という答申がありましたが、これの意義と所感について伺います。

大臣

  農水省においては、資源調査の結果から、北太平洋においてナガスクジラの資源量が豊富であることが確認されたことを踏まえ、6月11日に開催された水産政策審議会において、商業捕鯨における捕獲対象鯨種にナガスクジラを追加し、令和6年の漁獲可能量(TAC)を59頭とするとの諮問を行い、審議の結果、これを適当と認める旨の答申を受けました。これを受けて、今後、ナガスクジラのTACの設定に向けた所要の手続きを進めていくこととしています。
  捕鯨については、鯨類は重要な食料資源であり、他の海洋生物資源と同様に科学的根拠に基づき持続的に利用を確保することが基本原則であり、今回のナガスクジラのTACの設定は、捕鯨業の円滑な実施に資するものと考えています。そして、水産関係者も経営上の選択肢が広がっていくものと考えています。

 

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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