議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 馬場伸幸 君外四名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-06-13
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一三回
衆第二六号
   全世代にわたる教育無償化等の推進に関する法律案
 (趣旨)
第一条 この法律は、教育を取り巻く環境の変化に伴い、家庭の経済的な状況による教育における格差の是正、少子化の進展への対処、労働生産性の向上及び国際競争力の強化が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、教育を通じてこれらの課題に対処して我が国の未来を切り拓(ひら)くための全世代にわたる教育無償化等(教育の無償化並びに多様化及び質の向上をいう。以下同じ。)に関する施策を推進するために必要な事項を定めるものとする。
 (基本理念)
第二条 全世代にわたる教育無償化等に関する施策は、教育が我が国社会の未来への投資であるとの認識の下に、全ての世代の者について、その経済的な状況にかかわらず、個人の進路選択に関する意思が尊重されるとともに、原則として経済的な負担なく、その適性に応じた多様で質の高い教育を受ける機会が十分に確保されることを基本として行わなければならない。
 (国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、全世代にわたる教育無償化等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第四条 政府は、全世代にわたる教育無償化等に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。
2 前項の法制上の措置は、この法律の施行後二年以内を目途として講ぜられるものとする。
 (小学校就学前の子どもの教育に関する教育無償化等に係る基本方針)
第五条 全世代にわたる教育無償化等に関する施策のうち小学校就学前の子どもの教育(保育を含む。以下この条(第五号を除く。)において同じ。)に関するものは、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。
 一 全ての小学校就学前の子どもが、教育を行う一定の基準を満たす施設等を原則として無償で利用できるよう、その利用に係る費用に充てることができる給付を行うために必要な措置を講ずること。
 二 幼稚園(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する幼稚園をいう。)、保育所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する保育所をいう。)、認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第六項に規定する認定こども園をいう。)その他の小学校就学前の子どもが利用する施設等について、保健、安全、設備、運営その他当該施設等に関する制度の統合を推進すること。
 三 小学校就学前の子どもの療育、発達障害の早期発見その他これらに関連する支援その他きめ細かな教育を推進すること。
 四 特色を生かした質の高い教育を小学校就学前の子どもに対して行う事業者の参入を促進するとともに、その経営が困難な場合における事業からの撤退等のための環境の整備を図ること。
 五 小学校(義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部を含む。)における教育との円滑な接続を図ること。
 (義務教育の段階における教育に関する教育無償化等に係る基本方針)
第六条 全世代にわたる教育無償化等に関する施策のうち義務教育の段階における教育に関するものは、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。
 一 学校(学校教育法第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。以下この条において同じ。)以外の場において行う一定の基準を満たす学習活動に係る費用に充てることができる給付を行うために必要な措置を講ずること。
 二 学びの多様化学校(相当の期間学校を欠席する児童生徒(学校教育法第十八条に規定する学齢児童又は学齢生徒をいう。)に対し特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校をいう。)の設置の促進その他の義務教育の段階における多様な教育の機会の確保のために必要な措置を講ずること。
 三 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)の抜本的な見直しを行うとともに、公立の学校の教育職員の給与その他の勤務条件の改善をはじめとする勤務環境の抜本的な改革等を行うために必要な措置を講ずること。
 (高等学校等における教育に関する教育無償化等に係る基本方針)
第七条 全世代にわたる教育無償化等に関する施策のうち高等学校等(高等学校(専攻科及び別科を除く。以下この条において同じ。)、中等教育学校の後期課程(専攻科及び別科を除く。)、特別支援学校の高等部、高等専門学校(第一学年から第三学年までに限る。)並びに専修学校及び各種学校(これらのうち高等学校の課程に類する課程を置くものに限り、学校教育法第一条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるものであって、高等学校の課程に類する課程を置くものを含む。)をいう。)における教育に関するものは、高等学校等に係る教育無償化等の推進に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)に基づき、推進されるものとする。
 (大学教育その他の高等教育に関する教育無償化等に係る基本方針)
第八条 全世代にわたる教育無償化等に関する施策のうち大学教育その他の高等教育に関するものは、高等教育における職業教育と学術研究との役割の明確化、教育内容の一層の充実、入学者の選抜に係る制度の改善、学習の成果に係る評価の客観性及び厳格性の一層の確保、大学の数の適正化その他高等教育を行う機関の改革を実施した後に、若年の学生等がその修学に必要な標準的な期間授業料等に充てることができる給付を行うために必要な措置を講ずること等により、推進されるものとする。
 (工程表の策定等)
第九条 政府は、全世代にわたる教育無償化等に関する施策を推進するために必要な措置を確実に実施するため、全世代にわたる教育無償化等の工程表(以下この条において単に「工程表」という。)を策定するものとする。
2 工程表においては、第五条から前条までに規定する基本方針に基づき講ずべき具体的な施策の内容及びその講ずる時期その他必要な事項を定めるものとする。
3 政府は、工程表を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも同様とする。
4 政府は、毎年、国会に、工程表に基づいて講じた施策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
 (検討)
2 政府は、リカレント教育(職業生活を開始した後に、職務の遂行に必要な知識技能の向上、新たな就業先の確保等を目的として行われる一定の期間の教育又は職業訓練をいう。)を受ける機会を含む生涯にわたるあらゆる学習の機会における費用の負担の軽減を図るための制度及び世代間の公平性の確保に留意しつつ学資として貸与された資金の返還に係る費用の負担の軽減を図るための制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

     理 由
 教育を取り巻く環境の変化に伴い、家庭の経済的な状況による教育における格差の是正、少子化の進展への対処、労働生産性の向上及び国際競争力の強化が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、教育を通じてこれらの課題に対処して我が国の未来を切り拓くための全世代にわたる教育無償化等に関する施策を推進するために必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。