環境省・新着情報

2024年06月17日

第55回ガンカモ類の生息調査(全国一斉調査)結果(速報)

1.ガンカモ類の冬期の生息状況把握のため、各都道府県の協力の下、1970年から毎年調査を実施しています。
2. 今回(2024年1月)の観察数(速報値)は、ハクチョウ類約7万3千羽、ガン類約26万羽、カモ類約159万4千羽でした。

■第55回調査の概要

・目的:国や自治体における野生動物保護管理行政(鳥獣の保護管理、希少種の保全、外来種・鳥インフルエンザ対策等)に効果的に活用されるよう、我が国のガンカモ類の冬期の生息状況を把握する。

・調査日:原則として2024年1月14日を基準日とした前後1週間に実施。

・調査地:ガンカモ類の生息地となっている全国約8,600地点の湖沼等
(ハクチョウ類及びガン類については、原則として全生息地を対象、カモ類については、可能な限り多くの生息地を対象とした。)

・調査方法:上記調査期間中に、各都道府県において各調査地点に調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウント。

・調査者数:ボランティアの調査員など約3,500人の協力を得て実施。

・集計:各都道府県が実施した調査の結果を環境省が集計。

■第55回調査結果の概要

 全地点のうち約6,400地点でガンカモ類が観察され、そのうちハクチョウ類は約620地点、ガン類は約150地点、カモ類は約6,300地点で観察されました。全国での観察数は、ハクチョウ類(4種)約7万2,600羽、ガン類(8種)約26万200羽、カモ類(32種)約159万4,400羽であり、これらの総数は約192万7,400羽でした(資料2表1)。

(1) ハクチョウ類について
 ハクチョウ類の観察数約7万2,600羽を10年前(2014年)と比較すると、約3%(約1,900羽)増加していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2005年の約8万900羽から2006年には約8万1,500羽まで増加し、その後2012年には約5万8,600羽まで減少したものの、以降は概ね7万羽前後で推移しています(資料2図1)。また、都道府県別に見ると、今期の調査では新潟県が約2万2,900羽、宮城県で約1万4,500羽、山形県で約9,200羽と観察数が多く、この3県で、全国の観察数の約64%を占めていました(資料1)。
 
(2) ガン類について
 ガン類の観察数約26万200羽を10年前と比較すると、約40%(約7万4,500羽)増加していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2020年までは増加傾向にありましたが、2021年は大きく減少し、2022年には増加に転じ、2023年には20年間で最大の観察数まで増加し、2024年はまた減少に転じました。2021年の観察数の減少は、2020年末からの寒波により、ガン類の主要な渡来地である東北地方の湖沼の凍結や、積雪量の増加などにより、ガン類が分散して飛来し、過年度と比較して観察個体数が減少した可能性が考えられます(資料2図2)。ガン類のうち、観察数の多い2種の個体数を前年と比較すると、ガン類の約94%を占めるマガンが約17%(約5万1,700羽)減少、約4%を占めるヒシクイが約41%(約3,100羽)増加していました。また、国際的な保護増殖活動が実施されているシジュウカラガンがガン類の約1%を占め、前年と比較すると約74%(約3,700羽)減少していました。なお、特定外来生物に指定されているカナダガン(平成27年に国内根絶と報告)は、いずれの地域でも確認されませんでした。

(3) カモ類について
 カモ類の観察数約159万4,400羽を10年前と比較すると、約2%(約3万2,400羽)減少していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2009年から減少傾向が見られた後、2014~2020年は160万羽程度が維持されていましたが、2021年は150万羽を下回り、2022年~2024年は増加に転じ160万羽程度となりました(資料2図3)。また、観察数が10万羽を超えた県は、茨城県(約14万5,200羽)、千葉県(約14万1,500羽)、滋賀県(約11万3,800羽)、島根県(約12万4,200羽)でした(資料1)。カモ類のうち観察数の多い上位6種の個体数を前年と比較すると、マガモが約8%、カルガモが約5%、コガモが約10%、オナガガモが約6%、ヒドリガモが約3%、スズガモが約9%減少していました(資料2表2及び図4)。

(4) 飼養品種(任意報告項目)について
 調査中に観察された飼養品種については、アヒルが千葉県・京都府で計70羽、アイガモが長野県で計3羽、バリケンが神奈川県で1羽の計3種が報告されました。

■その他

・今回の集計結果は速報値であり、現在行っているデータ精査の結果を踏まえて8月頃を目途に確定値を取りまとめる予定です。本結果を利用される場合には、その点を御留意願います。
・令和5年度ガンカモ類の生息調査(令和6(2024)年1月調査実施)の速報値は、次のURLから御覧いただけます。平成29(2017)年度に作成した「ガンカモ類の生息調査の対象種識別ガイド」も同様に御覧いただけます。
・令和6年能登半島地震の影響により、石川県の調査結果は集計中のため速報値には含まれていません。
<環境省生物多様性センター ガンカモ類の生息調査 調査成果物>
https://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top.html

連絡先

環境省自然環境局
代表
0555-72-6031
直通
0555-42-6033
センター長
高橋 啓介
保全科長
雨宮 俊

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