議案審議経過情報

(注)下記の表で内容がない箇所は、現時点で情報が未定のもの、もしくは情報がないことが確定したものです。

項目 内容
議案提出者 近藤和也 君外十二名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-06-14
公布年月日

要項または提出時法律案

第二一三回
衆第三〇号
   令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物の除却の円滑化に関する暫定措置法案
 (目的)
第一条 この法律は、令和六年能登半島地震災害(令和六年一月一日に発生した令和六年能登半島地震による災害をいう。以下この条及び次条第一項において同じ。)により被害を受けた建物について、所在等不明共有者があることによりその除却を行うことが困難になっているものがあることに鑑み、当分の間の措置として、裁判により建物の共有者が所在等不明共有者の同意を得ることなくその建物の除却を行うことができるようにすることにより、令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物の除却を円滑にし、もって令和六年能登半島地震災害の被災地の健全な復興に寄与することを目的とする。
 (大規模滅失建物の除却に係る裁判)
第二条 数人の共有に属する建物(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第一条の規定に該当する建物を除く。)であって、令和六年能登半島地震災害によりその価格の二分の一以上に相当する部分が滅失したもの(以下「大規模滅失建物」という。)の共有者が他の共有者を知ることができず又はその所在を知ることができない場合において、当該大規模滅失建物の除却を行うことにつき当該他の共有者(以下「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員の同意があるときは、裁判所は、大規模滅失建物の共有者の請求により、当該共有者が当該大規模滅失建物の除却を行うに当たり、所在等不明共有者の同意を得ることを要しない旨の裁判をすることができる。
2 前項の規定による裁判があった場合において、所在等不明共有者は、同項の請求を行った者に対し、所在等不明共有者の持分の時価相当額の支払を請求することができる。
 (大規模滅失建物の除却に係る裁判手続)
第三条 前条第一項の規定による大規模滅失建物の除却に係る裁判(以下単に「大規模滅失建物の除却に係る裁判」という。)に係る事件は、当該大規模滅失建物の除却に係る裁判に係る大規模滅失建物の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、大規模滅失建物の除却に係る裁判をすることができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。
 一 大規模滅失建物の除却に係る裁判の申立てがあったこと。
 二 大規模滅失建物の除却に係る裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。
 三 前号の届出がないときは、大規模滅失建物の除却に係る裁判がされること。
3 裁判所は、大規模滅失建物の除却に係る裁判をするに当たり、必要と認める場合には、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じることができる。
4 裁判所は、前項の規定による決定をした後大規模滅失建物の除却に係る裁判をするまでの間に、事情の変更により当該決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。
5 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6 裁判所は、申立人が第三項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。
7 大規模滅失建物の除却に係る裁判は、確定しなければその効力を生じない。
8 大規模滅失建物の除却に係る裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。
9 大規模滅失建物の除却に係る裁判の効力が生じた後一年以内にその裁判に基づいて大規模滅失建物の除却に着手しないときは、その裁判は、その効力を失う。ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。
 (非訟事件手続法の適用関係)
第四条 大規模滅失建物の除却に係る裁判に係る手続については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十条の規定は、適用しない。
 (最高裁判所規則)
第五条 この法律に定めるもののほか、大規模滅失建物の除却に係る裁判に係る手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
 (この法律の廃止)
2 この法律は、令和十年三月三十一日までに廃止するものとする。
 (検討)
3 政府は、この法律の施行後三年を目途として、自然災害により被災した建物に所在等不明共有者がある場合の当該建物の除却を容易にするための措置その他の被災地の土地又は建物に所在等不明共有者があることにより被災地の健全な復興に支障が生じることを回避するために必要な措置の在り方について、この法律の施行の状況を勘案して検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置その他所要の措置を講ずるものとする。
4 政府は、この法律の施行後三年を目途として、自然災害により被災した建物の共有者が除却について同意しない場合又は賛否を明らかにしないこと等により共有者の所在が知れているにもかかわらず同意の確認が困難である場合であっても、その除却が被災地の健全な復興の観点から必要と認められるときは、当該共有者の財産権の保障に配慮しつつ、当該共有者の同意を得ることなく当該建物の除却をできるようにするための制度の在り方について、この法律の施行の状況を勘案して検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置その他所要の措置を講ずるものとする。

     理 由
 令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物について、所在等不明共有者があることによりその除却を行うことが困難になっているものがあることに鑑み、当分の間の措置として、裁判により当該建物の共有者が所在等不明共有者の同意を得ることなくその建物の除却を行うことができるようにする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。