環境省・新着情報

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年6月14日(金)10:15~10:35 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

なし

2.質疑応答

(記者)幹事社のNHK、林と申します。よろしくお願いします。
 有機フッ素化合物、PFASについて伺いたいんですけれども、過去の研究や取材で、産業廃棄物処分場が排出源の1つとして指摘されているという現状があると思います。
 専門家からは、汚染防止のためにそのコスト負担をどのように考えるかなど、社会的議論が必要なものだというような指摘もありますが、環境省として、この問題について現状認識と対策等を、今、考えているものはあるんでしょうか。
(大臣)最終処分場の排水からPFASが検出された例があることは承知してございます。
環境省では、昨年7月に専門家会議において取りまとめた対応の方向性を踏まえ、産業廃棄物の最終処分場の排水中に含まれるPFASについても、実態の把握や排水中のPFASの処理技術等に関する調査を進め、知見を収集しております。これらの調査を進めていく中で、最終処分場の排水中に含まれるPFASの削減に必要な技術内容や、コストに関する知見についても、整理されるものと考えております。
環境省としては、地方公共団体や国立環境研究所などの専門家とも連携して、最終処分場に関する技術的な指針を示すことができるよう、引き続き知見の収集に取り組んでまいりたいと考えております。
 
(記者)共同通信、矢野です。よろしくお願いします。
 PFAS関係でお伺いします。環境省はPFASの汚染地域での血中濃度検査や血液検査には、慎重姿勢を示していると思うんですけれど、今回、吉備中央町が全国で初めて公費の調査に乗り出すんですけれども、公費での汚染地域での血液検査を検討する余地というのはないのか。環境大臣としてのお考えを改めてお伺いしたい。
(大臣)現時点で、国際的にはPFASの血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見というのは、十分には得られておりません。また、吉備中央町が設置した外部有識者による委員会の報告書においても、血液検査は健康影響対策に資するとは言えないと記載されていると承知しております。加えて、同報告書では、血液検査についてはかえって不安が増す可能性がある、血液検査を受けた人の精神的な面を含めたフォローの手法が確立されていないなど、多くの懸念点が示されております。血液検査を実施する場合には、これらの懸念点を踏まえた慎重な対応が求められると考えております。
 環境省としては、PFASに係る国の内外の最新の科学的知見に基づき、自治体に対する技術的助言に努めてまいりたいと考えております。
(記者)ありがとうございます。
 あともう一点(この)関係で、先ほどおっしゃっていたように、7月で、環境省が今後の対応の方向性を出して1年になると思うんですね。この間、先日の広島の陳情もそうですけれども、多くの自治体が対応に今、苦慮していて、健康影響とか汚染時の除去技術の知見について、環境省に一定の方向性を示してほしいという陳情が来ていると思います。これに対して、もちろん環境省は個別には対応していると思うのですが、環境省として公の場で次の一手というのがなかなか見えてこないまま1年がたとうとしているなというのが、今、感じているところでして、大臣はもともと危機感を持って対応するとおっしゃっていたんですが、環境省としてのこの現状の動きの受け止めであったりとか、早期の対応の重要性について改めてお伺いできればと。
(大臣)御指摘のように多くの自治体がPFASに関していろいろな懸念や状況があることはよく承知しております。環境省としては、先ほどの回答と少し重なりますけれども、まず現在においては、PFASと健康影響というのは十分な知見が得られておりませんので、知見の収集も含め、そしてまた、PFASに関する必要な調査も行ってまいりたいと思います。
 具体的には、本年1月から2月にかけて、PFASによる地下水汚染の拡大防止に関する活性炭を用いた水処理技術について、その処理性能や安定性等の実証実験を行ったところでございます。本実証実験の結果については、現在専門家による評価を行っていただいており、今後、その成果を取りまとめる予定でございます。
 環境省としては、本実証実験の結果を含め、PFAS対策の技術等に関する国内外の科学的知見を継続的に収集し、必要な情報を関係自治体の皆さんに提供してまいりたいと考えております。
 
(記者)東京新聞の松島です。引き続き、PFASの関連で質問させていただきます。
 本紙の取材によると、米軍横田基地のほうで、PFASの米EPAの新規制値を受けて、飲用井戸の運用を停止したりだったりとか、地元自治体からの水道水の購入量を増やすだったりとかして、新規制値をクリアしようというふうに検討しているという案を本紙の取材で分かったんですけれども、これをすることによって汚染につながるのではないかなという指摘もあるとは思うんですけれども、現状として、日本政府としてどういう御認識でいるのか。あとは横田基地の今後の対応方針について、何かしらの聞き取りを行っているのかどうか等の点をお願いします。
(大臣)御指摘の米軍の横田基地における検討状況については、環境省としては承知しておりません。また、横田基地の今後の対応方針への聞き取りなどは、アメリカとの協議の内容についてはお答えできないということは御理解いただきたいと思います。いずれにいたしましても、環境省としては、環境対策が実効的なものとなるように引き続き関係省庁と連携して対応してまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。もう一点、今の環境汚染の改善という点なんですけれども、ちょっと遅れて申し訳ないんですけれども、5月上旬に沖縄の地元紙のほうで立入調査の一部拒否の理由が、米側が過去の汚染の調査に対する日米間の取決めがないということを理由に、過去の漏出事故に対しての立入調査を拒否しているということが報じられたと思うんですけれども、まず、この立入調査を含めた環境改善を行うための取決めが日米間で存在しないというこの指摘自体が、環境省の御認識として正しいのか。
 もう一点、今後日米間において環境汚染が起こってしまった場所の改善に関する取決めや合意等は、交渉等として行っていくのかという点をお伺いできればと思います。
(大臣)まず第一点目ですけれども、在日米軍施設・区域における環境管理については、日米間において環境補足協定など様々な取決めがあるということを承知しております。日本政府としては、地元自治体からの立入要請について、様々な機会を捉えて米側に伝達しているところでございますが、日米間の協議の詳細については、お答えを差し控えさせていただきます。
 環境省としては、環境対策が実効的なものとなるよう引き続き関係省庁と連携し、対応していきたいと考えております。
 
(記者)読売新聞の田中と申します。
 先日、一部報道で、太陽光パネルの再利用について義務づける方向で法案を検討中という報道が出ましたけれども、既にオープンな場で、エネ庁と太陽光パネルの廃棄とか再利用については検討が行われていると思うんですが、現段階で環境省として一定の方向性で再利用に向けて何か施策、法案等を検討されているかということについて教えてください。
(大臣)使用済みの太陽光パネルは、2030年代後半に、年間50万トンから80万トンの排出量のピークを迎えることが予想されておりまして、排出量の増加に対して計画的に対応していくことが極めて重要だと考えております。
 そこで、昨年4月から経済産業省と共同で設置した有識者検討会において、使用済み太陽光パネル等の廃棄やリサイクルの在り方について検討を進めており、本年1月に、中間取りまとめを公表したところでございます。この中間取りまとめを踏まえて、現在使用済み太陽光パネルの引渡し及び引取りが確実に実施されるための新たな仕組みの構築に向けて検討を進めているところでございます。
 法制化については、今後構築される新たな仕組みとしての選択肢の1つと考えておりますけれども、引き続き具体的な検討を深めてまいりたいと考えています。
 
(記者)熊日の髙宗です。
 昨日、立憲民主党が水俣病問題の解決に向けて新法案を提出するということで発表されました。中身としては、水俣病特措法の救済策の再開と住民健康調査を2年以内に行うことというのが柱になっているんですが、大臣はかつて衆議院の委員会で、患者被害者を救うものであれば賛同したいという御発言もありましたけれども、今回の立憲民主党の案についてどのように評価されているか、まず教えてください。
(大臣)立憲民主党がどのような法案を考えたのか、現時点で私は承知しておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。
(記者)法案の中身には、住民健康調査2年以内という、具体的な年限が入っているんですけれども、やはり地元としては、特措法の施行から15年たっていて、いつまでにやるというのを明言してもらえないとなかなか納得できないところがあるのですが、大臣としてはいつまでにやりたいというお考えはございますでしょうか。
(大臣)現時点では、その件についてもコメントは差し控えたいと思います。
 
(記者)エネルギージャーナル「エネルギーと環境」の清水です。
 さっき(太陽光)パネルの話が出ましたけれども、知床の国立公園及び世界自然遺産で、太陽光パネル設置問題が地元でも大きな課題になっていると。私は5月の下旬に釧路湿原なんかも行ったんですけれども、知床だけじゃなくて、釧路湿原。環境省も非常に重要視している。そこでもパネルの設置があちこちで散在していて、非常に景観や何かで問題になっているということの実情があります。
 伺いたいのは、何で太陽光パネルでなきゃいかんかというところをもう少し考える必要があると思う。別に外部電源であっても、電柱2、3本立てるだけであるならば、地下の工事や何かあるかもしれんけど、であるならば無理して何も太陽光パネルをやる必要、しかも国立公園区域、世界自然遺産区域。ゼロにしろとは言わないけども、しかしそこは、やっぱり環境省は、大局的な再エネだけに前のめりになるんじゃなくて、やっぱり世界共通の、日本共通の資産であるならば、それはそれでやっぱり、大臣としてというか、別なそれなりの対応というのを考える必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺の現状認識を伺いたい。
(大臣)非常に大きな質問ですので、まず大きいところから回答申し上げたいと思うんですけれども、日本の置かれた現状、そして日本が必要とするエネルギー、そしてまた環境省の大事な政策目標である気候変動を止める、そのためには、二酸化炭素の排出量を減らさなければなりません。それを総合的に考えますと、やはり今考えているベストミックスの中で、そして環境省の立場としては、地域共生型、環境に配慮した形で、太陽光を含む再生可能エネルギーを増やしていくということが必要だと思います。
 しかし、環境省の立場としては、あくまで環境負荷をなるだけ減らす、そしてまた地域と共生する形の再生可能エネルギーでなくてはならないというふうに考えております。そういった観点から、太陽光の場合は規模にもよりますけれども、規模の大きなものについては、環境大臣意見というものを出して、その結果、計画変更、あるいは計画がなくなったものもあると思います。それぞれ個別の案件がありますけれども、環境省としてはそういう基本的な考え方に基づき、再生可能エネルギーを何とか増やしたい。ただ、それは大前提として、環境省ですから、環境を守るという観点をちゃんと打ち出して、その上で必要なものを認めるという立場でございます。
(記者)その個別的な計画の妥当性の判断では、太陽光パネルでなきゃいかんという絶対的な理由があるんですか。それとも、羅臼町と斜里町からの要望があるから、これを環境省は、自然公園法の立場も踏まえて容認するということですか。
(大臣)(知床での)太陽光パネルを設置するというのは、環境省が主導しているわけではありません。今般、御意見を変えられましたけれども、もともと斜里町と羅臼町からの要望があり、そして、また地域協議会があって、そこから是非、漁業者の安全のためにも、地域のためにも、携帯電話基地局が必要であると。そして、あの地域は側に電源がありません。相当長い距離に渡って電源を持ってくると、それは、ものすごく負荷もかかるし、その工事による環境影響も無視できないものだと思います。また、あそこに風力発電施設を造るわけにもいきませんので、選択肢として太陽光パネルということを協議会が出してきて、それを環境省としては、所定の手続を経て、環境影響への負荷が環境省が考える範囲以下に収まっていると。実は、少し規模も縮小させたんです。
 それから、面積は確かに7,000平方メートルですけど、実際に上から見た太陽光パネルの大きさというのは、私の記憶が確かだと、386平方メートルなんです。ですから、上から見れば、7,000平方メートルじゃないんです。そこも含めてやむを得なく許可したわけでございますけれども、当初、要望していた斜里町がお考えを変えたものでございますから、それは斜里町と羅臼町でお話していただいて、その上でどうするか。それから、もちろん科学委員会からの御指摘がありましたので、その御指摘に沿って調査をしているところでございます。
(記者)私が言いたいのは、プラス釧路湿原なんかへ、虫食い的にパネルも立っているわけですよ。結構計画自体は、かなり全部合わせると大きなもの。釧路湿原も非常に貴重なものという位置づけで環境省はやっていると思うんですが、やっぱりそういう貴重なところに再エネ、パネルや何かを設置、導入するのは本当にいいのかどうかというね。どこで折り合いをつけるのかという、そこはやっぱりきちんと総合的に検討して、場合によってはやっぱり岸田首相の判断をきちんと仰ぐとか、だって世界遺産であって、国立公園の話なんだからね。どうですか。そこの釧路湿原なんかへの広がりというか、そこの問題意識は持っておられるんですか。
(大臣)釧路湿原に限らず、やはり環境を特に大事にしなければならないところでは、国立公園、国定公園等もあると思うんですけども、やっぱり慎重な対応が必要だと思います。そういう意味において、環境省としてもそういうところについては、慎重な対応で、その結果、やむを得なく許可を出すときもありますし、強い環境大臣意見を言って、計画変更、あるいは計画中止にしていただく場合もあると思います。
 ただ、事業主体は環境省ではありませんので、あくまで事業主体から要請があったものに対して環境省として判断すると。それから、規模によって環境大臣が言える規模と言えない規模がありますから、その言えない規模については、自治体の判断になるだろうと考えております。
 

会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/MnhuTX1Inyw?si=Jo0HWFEEAh2cXIMx
 

(以上)

発信元サイトへ