経産省・新着情報

2024年6月21日

【2024年6月24日 発表資料差し替え】関連資料のうち(概要)資料に一部誤りがありましたので差し替えました。
産業構造審議会産業技術環境分科会イノベーション小委員会では、継続的なイノベーションを創出するためには、新たな「技術・アイディア」を生み、その事業化による「新たな価値の創造」、「社会実装して市場創造・対価獲得」することによって実現したイノベーションの成功モデルが、次なるイノベーションを生むことが重要であるとの視点に立って議論を行い、提言として 「イノベーションの実現に向けた政策の方向性について」をとりまとめました。
提言では、(1)スタートアップ・大企業の強みを活かした研究開発投資の促進、(2)イノベーション資源(人材・技術・設備等)の流動化による事業化・付加価値創出の促進、(3)需要創造まで見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域の探索・重点支援などを今後の政策の方向性として示しました。

1.背景等

日本の研究開発の量・質はともに伸び悩んでいます。具体的には、2007年から2021年における各国の官民研究開発費総額で、米国・ドイツなどのEU諸国・韓国が1.5~2.5倍増加しているのに対し、日本国内の研究開発費は1.0倍でほぼ横ばいです。また、日本企業の研究開発効率(研究開発投資に対する5年後の付加価値)は諸外国と比べて大きく低下しています。

また、昨年度の民間設備投資額は1991年度以来約30年ぶりに100兆円を超えるなど、国内投資は拡大の兆しがありますが、この「潮目の変化」は、地政学的リスクの顕在化や人手不足等の要因により日本経済が需要に対して供給力が不足している状態に陥ったことを背景に生じている可能性もあり、今後、この局面を抜け出すこととなると既存事業分野での過剰供給力を生み、デフレ傾向や、それに伴う消費減速につながるおそれがあると考えています。

このため、新規分野における需要創出につながるようなイノベーションの創出を総合的に推進することが重要です。公表される資料は、本小委員会での議論、検討から得られた示唆とともに、具体的な政策の在り方および方向性をとりまとめたものです。

2.とりまとめの構成

本小委員会では、イノベーションの実現に向けた政策の方向性として、以下の3点に着目しました。

(1)スタートアップ・大企業の強みを活かした研究開発投資の促進

研究開発投資は、将来の成長の源泉であるにもかかわらず、その成果が得られるまでの期間が長く、収益性も不透明なものであるため、コストカットを重視する経営方針と相まって、積極的な研究開発投資の増加に向かいにくい場合もあると考えています。
このため、研究開発投資効率を評価できるような指標の策定や、経済産業省の研究開発予算の中でスタートアップを優先的に支援する「スタートアップ推進枠」の設定などを通じて、国内研究開発投資の総量を担う大企業が研究開発投資を増やしつつ、特に新規事業開拓にチャレンジしやすいスタートアップが新規分野で研究開発を行いやすい環境整備を行います。

(2)イノベーション資源(人材・技術・設備等)の流動化による事業化・付加価値創出の促進

既存事業の競争力向上を重視する大企業は、よりリスクの高い新規分野の研究開発投資や事業化の担い手となりにくい場合がある一方で、新規事業の開拓を担うスタートアップは、イノベーションの担い手として極めて重要ですが、初期段階で成功したとしても、事業拡大フェーズでは、人材・技術・設備等のイノベーション資源制約のため成長が制約されることがあります。
このため、所属企業の枠を超えた環境に身を置き新たな学びを得る「越境学習」のガイドライン・事例集の策定や、事業会社からのカーブアウト実践のガイダンス普及に向けた実証事業の実施等により、イノベーション資源の流動化を促進し、大企業とスタートアップのそれぞれの強みを活かすイノベーション・エコシステムの構築に取り組みます。

(3)需要創造まで見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域の探索・重点支援

将来的なポテンシャルが大きい一方で、技術開発や市場の不確実性といったリスクの高さ、巨額の研究開発設備投資の必要性などの理由で、国としては重点投資していきたいにもかかわらず、個社だけでは投資が進みにくい領域が存在すると考えています。
こうした領域の探索を行うためにNEDOや産総研等の国研や他府省庁、学会等の幅広いネットワークを活用して技術インテリジェンスの強化に取り組むとともに、まず取り組む領域として量子や核融合等を想定して、必要となる予算・税制・法律・標準化などの措置を含んだロードマップの作成を通じて、社会実装への道筋を描きます。  

その他、詳細は以下の資料からご確認ください。

関連資料

担当

産業技術環境局 総務課長 畑田
担当者:上原、佐藤
電話:03-3501-1511(内線 3351)
メール:bzl-contact-sangi-soumuka★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

発信元サイトへ