農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年6月21日(金曜日)10時20分~10時38分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)食品ロス量(令和4年度推計値)の公表について
  • (大臣から)農水省による廃食用油の循環利用に向けた取り組みについて
  • 農林中央金庫の経営状況等について
  • 堂島取引所のコメの先物取引の本上場申請を認可することについて
  • 熊本県への半導体関連産業の進出に伴う農地の貸しはがし等への対応について
  • フィリピン産バナナの輸入関税の撤廃に関する申し入れについて

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、報告がございます。一つ目は食品ロスについてです。2022年度における食品ロス量は472万トンであり、このうち食品産業からの発生量は236万トンでした。
  食品リサイクル法の基本方針に基づき、事業系食品ロスを、2019年から2030年度までに、2000年度比で半減することを目標に、農水省として食品事業者への支援や働きかけを行い、削減に取り組んでまいりました。その結果、2022年度で目標を達成しました。
  今般の目標達成は、新型コロナの影響による、市場の縮小等の影響があるものの、納品期限、いわゆる「3分の1ルール」の緩和や、賞味期限の延長等の商習慣の見直しや、「てまえどり」の促進など食品事業者の努力によるところが大きいと承知しており、関係者や消費者の不断の取組に対し、改めて敬意と感謝を表したいと思います。
  農水省としては、引き続き、関係省庁と連携し、消費者の理解を得ながら、食品事業者とともに事業系食品ロス削減に向けた取組を推進してまいりたいと考えています。詳細については、後ほどプレスリリースを行います。
  2点目は、農水省において、職員の家庭で発生した廃食用油を回収し、資源として循環利用する取組、「廃食用油×MAFFチャレンジ」を7月1日より開始します。
  廃食用油は我が国の貴重な循環資源であり、現在、飲食店等の事業者から出される廃食用油については9割以上が回収され、家畜の配合飼料原料のほか、石けんや塗料、バイオディーゼル燃料や、持続可能な航空燃料であるSAFの原料などとして再利用されています。
  一方で、一般家庭から出される廃食用油については、回収が進んでいない状況であるため、循環利用に向けた機運を高めていく必要があると考えています。
  そこでこの夏、農水省では、ご家庭で出される廃食用油について、再生資源として活用されるよう回収に向けた取組を呼びかけるとともに、農水省においても、本省に勤務する職員の家庭から出た廃食用油の回収に取り組みます。回収した廃食用油は石けんにリサイクルし、省内のトイレで利用することにします。
  この取組により、廃食用油の循環利用に向けた全国的な機運を盛り上げ、行動変容のきっかけになることを期待しています。詳細は、この後プレスリリースさせていただきます。本日、私からは以上です。

質疑応答

記者

  農林中金について、一部報道とインタビューによると、リーマンショック時を超える赤字の可能性が出てきましたが、受け止めと経営責任、出資者である生産者への影響について教えてください。
  また、堂島取引所が申請していたコメ指数先物の上場について、一部報道では認可するとの報道がありましたが、こちらの事実確認と今後への期待など、考えを聞かせてください。

大臣

  農林中金に関して、報道については承知していますが、個別の民間金融機関の経営状況について、農水省としてお答えすることは差し控えます。
  その上で、農林中央金庫の令和5年度の決算では、規制水準を超える十分な自己資本を有しており、財務の健全性は確保されているものと承知しています。また、現在系統内で協議をしている資本調達の額が増加することはないと聞いており、農家への影響は想定していません。
  農林中央金庫は農協等から預かった資金の運用収益を還元し、系統金融機関の経営基盤を強化する役割を担っており、農水省としては、引き続き金融庁とも連携し、金融市場の動向を踏まえつつ、農林中央金庫の経営について、十分注視してまいります。
  経営責任については、個別の民間金融機関の経営責任のあり方ですので、農水省としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
  堂島取引所のコメの先物取引の本上場申請については、認可基準に適合しており、認可することが適当であると考えており、本日申請者に伝達することを予定しています。
  今回の先物取引が活用されることで、将来の価格変動に対しリスク抑制を行う場合の選択肢が広がること、また、米の将来価格の動向を把握できるようになることで、需要に応じた生産の推進や、事前契約の拡大を通じて、米の需給と価格の安定に寄与することを期待しています。
  今日、皆さんに取材していただきましたが、自民党からも申入書をいただきました。しっかり注視してまいりたいと思います。

記者

  農林中金について、総代会が開かれ、(農協への)配当がゼロになる見込みのようですが、農協への影響はないでしょうか。それなりにあるような気もしますが、どのようにお考えでしょうか。

大臣

  先ほどお答えしましたが、(農林中金は)農協から預かった資金の運用収益を還元し、系統金融機関の経営基盤を強化する役割を担っています。農水省としては、金融庁とも連携し、金融市場の動向を踏まえつつ、農林中金の経営について、十分注視してまいりたいと思いますが、(個別の)農協の資金運用、農業金融に関しては聞いておりません。


記者

  2021年にはコメ先物を不認可としていたと思いますが、今回とその際との違いはどういうところにあるのか、具体的にお願いします。

大臣

  今回申請された先物取引は特定の産地品種銘柄ではなく、主食用米の平均的な価格を対象とするものです。また、先物取引を通じて、主食用米の将来の価格動向についても、情報提供がなされるものとなっています。このため、特定の産地品種銘柄に限られることなく、多くの産地品種銘柄での活用が可能であり、十分な取引量と幅広い生産者・流通業者の利用が見込まれることから、認可が適当と考えています。

 

記者

  TSMCなど半導体業界をずっと取材してきたのですが、大臣の地元である大津町は、かなり大規模な農家が多く、どこの農家も、借りて耕作していた農地を返してくれと地主から言われる、貸しはがしにあっているケースがよくあると。
  また、大規模な雇用型農業をやっているところは、採用が難しくなっており、農業高校を出たような人でも半導体産業に人材が取られ、自分たちが採用するには賃金が高くて困っているという話を耳にすることが増えました。
  営農意欲がある農家でも、農地の貸しはがしにあったり、雇用が難しくなっている中、どのように対応していく考えでしょうか。また、大臣の地元で、経済安保と食料安保の2つの安保のせめぎ合いみたいなことが起きていると思いますが、その両立をどのように考えていますか。

大臣

  熊本県への半導体関連産業の進出に伴い、借りていた農地の返還を求められる、貸しはがしが起きているという声は承知しています。
  また、こうした状況に対応するため熊本県では、地元の意見や情報を収集し、共有する「営農継続 県・市町村連絡会議」が設置され、関係者間で連携しながら農家と農地のマッチング作業を進めているところです。県内の農業関係団体を中心に研究会が立ち上げられ、農業と半導体産業等の共存共栄が可能な地域づくりについての研究が進められたりしていると承知しています。
  農水省としては、熊本県等と連携し、農家の方々が営農継続できるよう、遊休農地の整備など必要な支援を行ってまいります。
  (農地の)貸しはがし等はたしかに起きています。特に、とうもろこし畑などは法人経営もあり、数10ヘクタール削られたということがありますが、地元市町村と県で、少し範囲を広げて代替農地を探しているところですので、農業に支障が生じないよう、経済安保と食料安保を両立できるようにしたい(と思います)。
  もともと、本田技研が進出してきた時も、そういう状況であったと聞いており、そんな中でも農業との併存をやってまいりましたので、その経験も活かしながら、経済安保と食料安保を両立させる道をしっかり求めていきたいと思います。
  雇用の問題については、(例えば)TSMCの食堂だと時給が(いくらだとか)必要以上に大きく喧伝されることで、なかなか人員が確保できない、あるいは、雇用を待っている人も浮き足立っているところがありますので、確実な雇用にしていくための情報発信を、県、市町村でやっていかなければいけないと思っています。噂が先行しがちですので、しっかり地に足がついたものにしていかなければいけないと思っています。


 

記者

  フィリピン産バナナの輸入関税の撤廃を求めて、日本とフィリピンの輸出入に関する組合が、18日、自民党に申し入れを行いました。フィリピン側は、バナナの安定供給を確保することは、日本の食料安保にも資するものだと主張していますが、受け止めとバナナの輸入の現状について教えてください。

大臣

  フィリピン産バナナについて、フィリピンの生産・輸出関係者と日本の輸入関係者が、自民党に輸入関税の撤廃を申し入れたことは承知しています。
  フィリピン産バナナの関税は、EPA協定により、一部の品種は無税、それ以外は季節に応じて18%、8%となっていますが、現在、日本が輸入する生鮮バナナ年間103万トンのうち、フィリピン産は約80%、82万トンと圧倒的なシェアを有しています。
  これまでも、フィリピンの政府ほか関係者から、生鮮バナナの関税撤廃が求められてきたところではありますが、現在のところ、日本政府として、この交渉に応じる状況になく、この点はフィリピン政府関係者に説明してきているところです。


 

記者

  農林中金について、今回、運用の失敗で巨額の赤字を計上するということで、リスク管理体制などの問題もあると思うのですが、監督官庁として、調査など何か対応していく考えはありますか。

大臣

 農水省としては、金融庁と連携しながら、金融市場の動向を踏まえつつ、農林中金の経営状況について十分注視していくと。今すぐにどうこうというものではありません。

 

記者

  堂島取引所のコメ先物の本上場認可関係で、本日、申請者に伝達することを予定しているという話がありましたが、本日中に農水省と経産省として認可するものと受け止めてよろしいですか。また、伝達するタイミングがわかるようであれば教えてください。加えて、堂島取引所は社長交代の人事を発表していますが、所見等あればお願いします。

大臣

  認可することについては、そういう決定をしており、今日の午後、先方に伝達したいと思っています。株式会社堂島取引所が代表取締役社長の交代を内定したことについては、承知しています。個別の民間企業の人事について言及することは差し控えますが、新たに社長に就任される有我氏におかれては、農業界と金融界の橋渡しをしていただいて、円滑な市場の運営に尽力されるよう期待しているところです。

 

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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