経産省・新着情報

2024年6月27日

本年6月24日(月曜日)付けで、ガスの適正な取引の確保を図る観点から、電力・ガス取引監視等委員会から経済産業大臣に対し、東邦瓦斯株式会社及び中部電力ミライズ株式会社に対して、ガス事業法(昭和29年法律第51号)に基づく業務改善命令を行うよう勧告が行われました。
この勧告を受け、当省としてガス事業法に基づく業務改善命令を行う必要があると判断し、本日、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項第2号の規定に基づき、業務改善命令に係る弁明の機会を付与し、同法第30条の規定に基づき、命令の対象となる各事業者に対し弁明がある場合は7月5日(金曜日)までに弁明書を提出するよう書面で通知を行いました。

1.予定している命令と当該命令の原因となる事実

(1)東邦瓦斯株式会社

ア 予定している命令

ガス事業法第20条第1項の規定に基づく命令

イ 当該命令の原因となる事実

電力・ガス取引監視等委員会(以下「委員会」という。)において、ガス事業法第189条第2項の規定により委任された同法第171条第1項の規定による権限に基づく報告徴収により東邦瓦斯株式会社(以下「東邦ガス」という。)及び中部電力ミライズ株式会社(以下「中電ミライズ」という。)に対して求めた報告により把握した内容によれば以下の事実が認められた。

(ガス事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)

  • 経済産業省は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)違反の成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会が中電ミライズ等に対して行った排除措置命令等において、中電ミライズ(2020年3月31日以前は中部電力株式会社。以下(1)東邦瓦斯株式会社のイにおいて同じ。)及び東邦ガスが不当な取引制限の行為者として認定されたこと自体、ガス事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものといえる。
  • 東邦ガスは、部長級の職員等が、中電ミライズとの間で情報交換等を長期にわたり頻繁に行い、その中で、両社の受注意向や応札価格水準等を確認し合ったり、受注予定者を決定したりする情報交換等を行っていた案件が複数確認された。
  • 旧一般ガス事業者(ガスの小売全面自由化前において一般ガス事業者であったガス小売事業者及びそのガス小売事業者の地位を承継した事業者をいう。以下同じ。)は、ガス自由化以前には許可制による実質的な地域独占制が認められており、ガスの小売全面自由化がなされた後も依然として各々のエリアにおいて高いシェアを有する者であることに加え、旧一般電気事業者(電力の小売全面自由化前において一般電気事業者であった小売電気事業者及びその小売電気事業者の地位を承継した事業者をいう。以下同じ。)は、都市ガスの原料であるLNGの主要な保有者であり、都市ガスの小売供給において旧一般ガス事業者に対抗しうる能力を持ちうる者であることに鑑みれば、旧一般ガス事業者と旧一般電気事業者が、長期にわたり頻繁に情報交換等を行い、その中で、両社の受注意向や応札価格水準等を確認し合ったり、受注予定者を決定したりする情報交換等を行ってきたことは、個別の案件について独占禁止法違反に該当するか否かに関わらず、ガス小売事業に係る適正な競争に対する信頼を著しく害し、ガス事業の健全な発達に極めて大きな支障を及ぼしたと認められる。
  • 東邦ガスは、中電ミライズとの間で現に受注予定者を決定したりするなどの行為を行っていたことも確認されていることから、ガス料金の高止まりを発生させることによって、需要家の利益に直接的な被害を生じさせた可能性が高い。

(行為の不健全性・故意性・過失の程度、組織性・計画性の有無)

  • 東邦ガスと中電ミライズとの間において、長期にわたり頻繁に情報交換等が行われていたところ、東邦ガスにおいては、その多くが部長等によって行われていたことが確認されており、かつ、そうした情報交換等は、偶発的なものではなく事前に打合せの機会を調整するなどの準備がなされているものも多い。
  • 必ずしも全てではないが、情報交換等の結果や対応方針等について、メールや議事録等といった形で執行役員を含む社内での情報共有が図られている場合があったことも確認された。
  • こうした事実を踏まえれば、行為の不健全性や計画性が高く、かつ、組織的な対応が行われていたものと認められる。

(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス、リスク管理に係る社内体制)

  • 本件は、長期にわたり不適切な行為が継続して行われていたものであり、その間に社内において監査や内部通報等により是正されたことは確認できないことや、本件について公正取引委員会の調査開始前に課徴金減免申請を行ったのが、家庭用の都市ガス料金等及び卒FIT価格に関する事案につき公正取引委員会から立入検査を受けた後であることを踏まえれば、不適切な行為を発見して統制する社内の自浄作用が発揮されていたとは評価できない。
  • 東邦ガスは、本件の発覚前から、役職員向けに独占禁止法に関する研修等を実施してきていたところであるが、そうした取組の効果は十分でなかったと言わざるを得ず、長期にわたる不適切な行為を発見・統制できなかった点に鑑みれば、法令等遵守や内部監査、コンプライアンス、リスク管理に係る社内体制が不十分であったものと認められる。

(経営者の法令等遵守に関する認識)

  • 本件では、中電ミライズとの間の情報交換等の結果や対応方針等について、メールや議事録等といった形で執行役員を含む社内での情報共有が図られている場合があったことも確認されていることなどからすれば、当時の東邦ガスにおける経営層の法令等遵守に関する意識は極めて低かったものと認められる。

(2)中部電力ミライズ株式会社

ア 予定している命令

ガス事業法第20条第1項の規定に基づく命令

イ 当該命令の原因となる事実

委員会において、ガス事業法第189条第2項の規定により委任された同法第171条第1項の規定による権限に基づく報告徴収により東邦ガス及び中電ミライズに対して求めた報告により把握した内容によれば以下の事実が認められた。

(ガス事業の健全な発達への支障、需要家等の利益の被害の程度)

  • 経済産業省は独占禁止法違反の成否について何らかの認定を行うものではないが、公正取引委員会により中電ミライズ(2020年3月31日以前は中部電力株式会社。以下同じ。)に対して排除措置命令等が行われたこと自体、ガス事業の健全な発達に対する信頼を著しく損なうものといえる。
  • 中電ミライズは、部長級の職員等が、東邦ガスとの間で情報交換等を長期にわたり頻繁に行い、その中で、両社の受注意向や応札価格水準等を確認し合ったり、受注予定者を決定したりする情報交換等を行っていた案件が複数確認された。
  • 旧一般ガス事業者は、ガス自由化以前には許可制による実質的な地域独占制が認められており、ガスの小売全面自由化がなされた後も依然として各々のエリアにおいて高いシェアを有する者であることに加え、旧一般電気事業者は、都市ガスの原料であるLNGの主要な保有者であり、都市ガスの小売供給において旧一般ガス事業者に対抗しうる能力を持ちうる者であることに鑑みれば、旧一般ガス事業者と旧一般電気事業者が、長期にわたり頻繁に情報交換等を行い、その中で、両社の受注意向や応札価格水準等を確認し合ったり、受注予定者を決定したりする情報交換等を行ってきたことは、個別の案件について独占禁止法違反に該当するか否かに関わらず、ガス小売事業に係る適正な競争に対する信頼を著しく害し、ガス事業の健全な発達に極めて大きな支障を及ぼしたと認められる。
  • 中電ミライズは、東邦ガスとの間で現に受注予定者を決定したりするなどの行為を行っていたことも確認されていることから、ガス料金の高止まりを発生させることによって、需要家の利益に直接的な被害を生じさせた可能性が高い。

(行為の不健全性・故意性・過失の程度、組織性・計画性の有無)

  • 中電ミライズと東邦ガスとの間において、長期にわたり頻繁に情報交換等が行われていたところ、中電ミライズにおいても、その多くが部長等によって行われていたことが確認されており、かつ、そうした情報交換等は、偶発的なものではなく事前に打合せの機会を調整するなどの準備がなされているものも多い。
  • 必ずしも全てではないが、情報交換等の結果や対応方針等について、メールや議事録等といった形で社内での情報共有が図られていたり、情報交換等の場に取締役が同席することなどがあったことも確認された。
  • こうした事実を踏まえれば、行為の不健全性や計画性が高く、かつ、組織的な対応が行われていたものと認められる。

(法令等遵守、内部監査、コンプライアンス、リスク管理に係る社内体制)

  • 本件は、長期にわたり不適切な行為が継続して行われていたものであり、その間に社内において監査や内部通報等により是正されたことは確認できないことや、本件について課徴金減免申請を行ったのは公正取引委員会による調査が開始された後であることを踏まえれば、不適切な行為を発見して統制する社内の自浄作用が発揮されていたとは評価できない。
  • 中電ミライズも、本件の発覚前から、役職員向けに独占禁止法に関する研修等を実施してきていたところであるが、そうした取組の効果は十分でなかったと言わざるを得ず、長期にわたる不適切な行為を発見・統制できなかった点に鑑みれば、法令等遵守や内部監査、コンプライアンス、リスク管理に係る社内体制が不十分であったものと認められる。

(経営者の法令等遵守に関する認識)

  • 本件では、東邦ガスとの間の情報交換等の結果や対応方針等について、メールや議事録等といった形で社内での情報共有が図られている場合があったり、情報交換等の場に取締役が同席することがあったことも確認されていることなどからすれば、当時の中電ミライズにおける経営層の法令等遵守に関する意識は極めて低かったものと認められる。

2.関連条文

ガス事業法

(業務改善命令)
第二十条 経済産業大臣は、ガス小売事業の運営が適切でないため、ガスの使用者の利益の保護又はガス事業の健全な発達に支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、ガス小売事業者に対し、ガスの使用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、そのガス小売事業の運営の改善に必要な措置をとることを命ずることができる。

2・3 (略)

行政手続法

(不利益処分をしようとする場合の手続)

第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。

一 次のいずれかに該当するとき 聴聞

イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不 利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。

二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与

2 (略)

(弁明の機会の付与の通知の方式)
第三十条 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

担当

  • 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 ガス市場整備室長 福田
    担当者:松崎、河西
    電話:03-3501-1511(内線 4751)

  • 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 政策課長 曳野
    担当者:山下、武智
    電話:03-3501-1511(内線 4731)
    メール:bzl-koho-dengabu-seisakuka★meti.go.jp
    ※[★]を[@]に置き換えてください。

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