環境省・新着情報

2024年06月28日

環境省ナッジ事業の結果について ~北海道における本格的な実証実験へ~

1.環境省では、2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向け、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動、「デコ活」を推進しています。

2.また、環境省では、2017年4月よりナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)を始めとする行動科学の知見を活用してライフスタイルの自発的な変革を創出する新たな政策手法を検証するとともに、産学政官民連携・関係府省等連携のオールジャパンの体制による日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)の事務局を務めています。

3.この度、令和4年度から実施している「ナッジ×デジタルによる脱炭素型ライフスタイル転換促進事業」で採択された事業者のうち、株式会社サイバー創研が令和5年度に実施した、北海道における電気・ガス・灯油の使用量や料金の削減を通じてCO2排出量の削減を促すための予備的な実証実験の結果についてお知らせします。

4.予備的な実証実験の結果、料金の目標を設定したり、室温センサーを設置したりすることにより、エネルギー料金の合計が統計的有意に減少すること等が実証されました。今後、結果を踏まえて介入内容を見直し、複数の季節・年度にわたる効果の持続性の検証等の本格的な実証実験を実施する予定です。

■ 予備実証実施期間

令和5年12月から令和6年2月

■ 実証実験参加世帯及び介入内容

北海道在住の調査会社のモニタ900人を無作為に以下の3つのグループのいずれか(300人ずつ)に割当てました。

  •  比較対象としてナッジを提供せず、電気・ガス・灯油の使用量及び料金を記録するグループ(対照群)
  •  対照群の内容に加え、電気やガスの料金の目標を設定するとともに、目標を達成した場合に抽選で金銭価値のあるポイントを付与するグループ(介入群1)
  •  対照群の内容に加え、暖房のある部屋に室温センサーを設置し、市販のスマートフォンのアプリを通じて室温とその推移を表示するとともに、設定した室温以上となった場合に通知が送られるグループ(介入群2)

■ 用いた市販のスマートフォンのアプリの概要(図1)

図1.スマートフォンのアプリの画面のイメージ[File 44KB]

  •  室温センサーと連動し、部屋の温度や湿度、それらの推移を可視化する。
  •  目標とする室温を設定でき、その室温以上となった場合には通知メッセージが表示される。

■ 結果

対照群と介入群1の間及び対照群と介入群2の比較において、ナッジにより電気・ガス・灯油の使用量が減少する傾向が確認されるとともに、電気・ガス・灯油の料金の合計が統計的有意に減少しました。一方で、介入群の間では統計的有意差は検出されませんでした。

■ 今後について

令和6年度においては、令和5年度の予備的な実証実験の結果を踏まえて実証実験の参加世帯数や介入内容の見直し(複数のナッジ要素の組合せ等)を行うとともに、複数の季節・年度にわたってナッジの効果を持続させるための本格的な実証実験を実施する予定です。

■ (参考)日本版ナッジ・ユニットBESTについて

https://www.env.go.jp/earth/best.html

日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)は、関係府省庁や地方公共団体、産業界や有識者等から成る産学政官民連携のオールジャパンの取組です(事務局:環境省)。ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)を始めとする行動科学の知見(行動インサイト)に基づく取組が政策として、また、民間に早期に社会実装され、自立的に普及することを目的に、環境省のイニシアチブの下、2017年4月に発足しました。その後、同年10月のノーベル経済学賞の受賞分野が行動経済学であったことの後押しもあり、取組が深化し、連携体制が次第に強化されています。どのような取組も、地域に根付くものとするためには、関係するあらゆるステークホルダーを巻き込んでいくことが必要不可欠です。このため、行政内に限った取組ではなく、参加者が同じ立場で自由に議論のできるオールジャパンの実施体制としています。

○ 日本版ナッジ・ユニットBEST のウェブサイト(会議資料、報道発表等)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge.html
 
○ 平成29・30年度年次報告書(日本版ナッジ・ユニットBEST活動報告書)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/report1.pdf
 
○ 報告書「ナッジとEBPM~環境省ナッジ事業を題材とした実践から好循環へ~
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/EBPM.pdf
 
○ ナッジ等の行動インサイトの活用に関わる倫理チェックリスト ①調査・研究編
      https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/checklist_study.pdf
 
○ ナッジ等の行動インサイトの活用に関わる倫理チェックリスト ②社会実装編
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/checklist_deploy.pdf
 
○ 我が国におけるナッジ・ブースト等の行動インサイトの活用の広がりについて
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/hirogari.pdf
 

連絡先

環境省地球環境局地球温暖化対策課デコ活応援隊(脱炭素ライフスタイル推進室)
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8341
隊長
島田 智寛
隊長補佐
池本 忠弘
担当
池本 忠弘

発信元サイトへ