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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年6月25日(火)11:00~11:25 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 まず、環境省幹部人事について御報告申し上げます。
 本日の閣議において、環境省幹部職員の任免が了承されましたので報告いたします。
 人事の発令日は7月1日になります。
 具体的には、和田篤也環境事務次官の勇退を認めるとともに、前佛和秀環境再生・資源循環局長を国土交通省大臣官房付に出向させます。
 環境事務次官の後任に鑓水洋総合環境政策統括官を充てます。
 総合環境政策統括官の後任に秦康之地球環境局長を、
 地球環境局長の後任に土居健太郎水・大気環境局長を、
 水・大気環境局長の後任に松本啓朗関東地方環境事務所長を、
 自然環境局長の後任に植田明浩大臣官房地域脱炭素推進審議官を、
 環境再生・資源循環局長の後任に白石隆夫自然環境局長を充てます。
 また、大臣官房地域脱炭素推進審議官に大森恵子大臣官房政策立案総括審議官を充てます。
 なお、勇退する和田環境事務次官は環境省顧問に就任させます。詳しくは配布資料を御覧ください。
 次に、日高山脈襟裳十勝国立公園の指定について御報告申し上げます。
 本日6月25日、国内で35か所目の国立公園として、日高山脈襟裳十勝国立公園が新たに指定されました。
 我が国最大の陸域面積を有する国立公園となります。大変うれしく思うとともに、まずは国立公園の指定に御協力いただいた関係13市町村の地域の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
 本地域は、内陸部から海まで延々と連なる山脈の雄大さと、我が国最大規模の手つかずの自然が存在する、我が国を代表するに足る傑出した自然の風景地でございます。
 新国立公園のすばらしい風景をしっかり保全し、その魅力を味わっていただけるよう、今後も地域の皆様と協働し、しっかり管理に取り組んでまいります。
 冒頭発言は以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社のNHK、林と申します。冒頭質問として、先週末に閉じた第213回通常国会が閉幕しましたけれども、その国会の振り返りをどのようなものか、お願いいたします。
(大臣)今通常国会では、環境省から提出した3つの法案でございますけれども、1つ目として「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案」、2つ目として「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」、3つ目として「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」の3つの法案を無事成立させることができました。ありがとうございます。
 この自然再興、循環経済、脱炭素の3つの分野において、しっかりとした成果を残し、環境政策を大きく前進させることができた国会であったと考えてございます。
 また、今通常国会では、令和6年能登半島地震への対応や水俣病問題への対応などについても集中的に審議いただきました。
 環境省としては、国会での審議も踏まえつつ、今般成立した3つの法律の円滑な施行に向けて準備を進めるとともに、令和6年能登半島地震や水俣病問題の対応などについても、引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 
(記者)朝日新聞の市野です。先ほどの関連なんですけれども、国会に関して、環境省も共管として出されていた、洋上風力発電を促進する再エネ海域利用法の法案が閣法の中で唯一継続審議になっているかと思います。これについて、どう受け止めておられるのかというのと、また、再エネの事業者に対する影響はどのようにあると考えているのかお答えいただければと思います。
(大臣)先の通常国会に提出した再エネ海域利用法改正法案は、衆議院においては、全会一致で可決していただきましたが、参議院では審議ができず継続審査となったところでございます。
 審議の進め方等については国会でお決めいただくことでありますけれども、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、我が国の排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電の展開を可能とし、また、国が海洋環境調査を行う規定を盛り込んだ、本法案の重要性・必要性は大いにあり、いささか変わるものではないというふうに考えております。
 風力発電のさらなる導入促進に資するため、法案が成立した際には可能な限り速やかに施行できるように、環境省としても努力をしてまいりたいと思います。
(記者)現状では影響というのは少ないというふうに見ておられるのか、その辺り改めて確認させていただいてよろしいでしょうか。
(大臣)審議の進め方については、国会が決めることであり、次の国会で成立することを期待しておりますけれども、影響がないように、大事な法案でありますので、進めていただけることを期待しております。
 
(記者)北海道新聞の大能と申します。冒頭御発言があった国立公園についてお伺いします。
 国立公園指定まで、一部の地権者との交渉が難航したり、名称をめぐって十勝を入れるか、入れないかということで意見が対立したり、なかなか大変な道のりだったのかなと思うんですけれども、これまでの指定までの道のりについて、まず大臣の受け止めをお伺いします。また、指定後、国立公園の管理には地域の人々の協力が欠かせないと思うのですけれども、地域の人に対する御期待というのをお聞かせ願いますでしょうか。
(大臣)この名称に当たっては、諸意見があったことを承知しております。ただ、結果を見るとマジョリティにおいて、今の名称がいいということになって、今回の名称に決定したということでございますので、それぞれの地域が今回の指定(の効果)を100%活用して、それぞれの地域が発展するとともに、その国立公園の持つ魅力というものが、国の内外にしっかり伝わっていくことが、地域の発展、そしてもちろん環境の保全、そして日本の魅力が日本の国外にも伝わるように、しっかり進めていくということが大事だと思います。そのためには、地域の皆さんとの協働というのは非常に重要だというふうに考えております。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。おはようございます。
 今般、一部報道で水道におけるPFASの調査について報道がありました。まずこの事実関係と、もし事実であればこういった取組の狙いとか、今後の展望などがありましたらお示しください。
(大臣)水道水におけるPFOS・PFOAの検出状況等を把握するため、5月29日に環境省と国土交通省の共同で全国の水道事業者等に対して、水質検査結果の報告等を依頼したところでございます。
 全国の水道水のPFOS・PFOAに関する検出状況については、これまでも水道統計を通じて、把握してきたところでございます。水道統計は給水人口5,000人超の水道事業者及び水道用水の供給事業者を対象としておりますけれども、今回の調査では、さらに、給水人口5,000人以下である小規模な水道事業者、いわゆる簡易水道や専用水道の設置者も含めて、調査対象として依頼をしているということでございます。
 本調査の結果を、水道水質に関する暫定目標値の取扱いの検討に当たって活用してまいりたいと考えております。
(記者)ありがとうございます。
 近く健康調査も始めることになると思いますけれども、それと併せて、各地で行われている井戸水、それから今回の水道水、今後の健康調査というのが、組み合わさることで、全貌把握に向けてどういったことを期待しているかありましたら教えてください。
(大臣)御案内のようにPFOS・PFOAに関しては、必ずしも世界的に見ても、知見が十分に集約されていないと思います。ですから知見を集約するためにも、これに関するいろいろなエビデンスというか、データを収集し、それを立体的に分析するということが重要だというふうに考えております。
 
(記者)今の質問に関連で質問させていただきます。東京新聞の松島です。今、水道の調査の把握の対象が小規模な事業者にも広がるという話だったと思うんですけれども、ピンポイントでお伺いしますけれども、自衛隊施設に関しては対象になりますか。
(大臣)自衛隊の中においても、水道法上の専用水道が設置されているならば、本調査の対象とはなります。
 なお、具体の施設の調査状況については、結果の公表の仕方を検討中のため、現時点ではお答えを差し控えたいと思います。
(記者)ありがとうございます。もう一点関連ですけど、自衛隊単体で使っている施設もありますけども、米軍と共同で使っている、例えば横田基地等があると思うんですけれども、そういった場所は調査対象になりますか。
(大臣)今の答えと繰り返しになりますけども、水道法上の専用水道が設置されているならば、本調査の対象とはなります。具体の施設の調査状況については、結果の公表の仕方を検討中のため現時点ではお答えを差し控えたいと思います。
(記者)分かりました。ありがとうございます。
 
(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。今の水道水の大規模調査でお伺いします。今回は小規模事業者まで規模を広げたことというのは大きな前進だと思うんですが、一方で回答は任意だと思います。小さな事業者ですと、なかなか調査自体に費用がかかるという問題もあるのではないかと思いますが、政府として支援の必要性などいかがお考えでしょうか。
(大臣)水道事業は、水質検査も含め原則、水道料金で運営するものでございまして、水質検査に対する補助はございません。水道事業者の皆様におかれましては水道を供給している地域の方々の安全・安心を確保するため、可能な限り調査に協力していただくことを期待しております。
 
(記者)共同通信の清と申します。まず人事について確認なんですけれども、地球環境審議官の松澤氏についてなんですが、これは留任ということでよかったのでしょうか。
(事務方)配付資料に書いていない人は留任です。
(大臣)お配りしている紙のとおりだと思います。
(記者)もう一点が水俣病の再懇談についてなんですが、今、調整中だとは思うんですけれども、改めて調整されていると思うので意気込みを教えていただければと。
(大臣)これも繰り返し、記者会見等でお話ししていますけれども、今度の再懇談について、十分な時間を取りたい、そして、まずは関係団体の皆様からしっかりと十分な時間を取ってお話を伺いたい。その上で、今までいろいろな御要望、御質問もありますので、それについて、あたう限り私のほうから答えを申し上げたいと思います。
 その上で意見交換ができればと思っております。
 
(記者)西日本新聞の岡部と申します。人事の関連でお伺いをしたいんですけれども、今回、和田事務次官が辞職という形で、人事に入っていたかと思うんですが、和田事務次官につきましては、水俣病のマイクの遮断問題のときに処分を受けていらっしゃったかと思うんですが、今回の人事に何かしら、ここのところは関係したのかというところをお聞かせいただきたい。あと、水俣病のタスクフォースですね、今回の人事を受けて、タスクフォースの方で何かしらその体制に変更ですとか、影響があるのか、その辺りについてもお聞かせいただけますでしょうか。
(大臣)和田事務次官の勇退については水俣病問題と関係ありません。定例的なものになると思います。
 それからタスクフォースの人事については、今回、環境省の人事がいろいろ動きますので、その上で7月以降に改めて調整したいというふうに考えております。
(記者)7月に再懇談も予定されているかと思うんですけれども、そのタスクフォースの調整をするとなりますと、その辺りの影響というのがちょっと懸念されるかと思うんですが、タスクフォースの調整をいつぐらいまでに、どういった形でされるかというところを、もう少し具体的にあればお聞かせいただけますでしょうか。
(大臣)水俣、あるいは新潟に行く日取りは100%は決まっておりませんけれども、できれば、そのときにある程度タスクフォースの新陣容が固まっているように努力したいと思います。ただ、人事ですので、本当にその日までに100%固まっているかどうか分かりません。いずれにしても、タスクフォースの力が弱まらないように、しっかりタスクフォースの人事も固めてまいりたいと思います。
 
(記者)エネルギージャーナル社、エネルギーと環境の清水です。1点、人事で聞きたいんですけれども、さっきも質問が出ましたけれども、鑓水統括官が事務次官になった理由というのは何かどういうことでしょうか。というのは、鑓水次官というのは、これまで自ら環境行政でやった実績というのは、そんなに目立つようなものはないと思うんですけど。
 2つ目の質問です。厚生省と財務省の人が環境省へ出向してから、事務次官の人事というのは大体3対1で厚生省系、財務省系という具合になってきて、言わばリレー的なことで、半ば自動的にやってきたと思うんですけど。やっぱりそれはちょっとおかしいんじゃないですか。もうそろそろそういうタスキ掛け人事というのはやめて、言わばその能力的、かつ大臣がこれぞと認めた人間とすることが必要なんじゃないか、そういう時期じゃないかと思うんです。もちろん内閣や人事院のこともあるんでしょうけども、その2点を伺いたい。
(大臣)鑓水さんは非常に能力のある方で、確かにプロパーではありませんけれども、今まで特に環境省の諸分野において、それなりの発言なり、御活躍をしてきたものだと思います。ですから、私は鑓水さんが今回、事務次官になるのは良い人事だというふうに考えています。それから、おっしゃられた全体のことについては、環境省が発足して53年で、環境省というのは、それまでいろいろな省庁がやってきたことを、「環境」ということでまとめてやっているということから、やはりやっていたときはそれぞれの違う省庁だったんですね。国土交通省であり厚生労働省でありましたので、ですからそれを一夜にして全部プロパーで埋めるというのは難しいと思いますけども、おっしゃられた御意見はよく分かっておりますので、今後の歴史といいますか、進め方の中で、そういう方向がさらに強化されることを私も期待しております。
(記者)もう1つ、岸田内閣の支持評価というのが20%台とか、報道もされていますけども、非常に歴史的に最下位的なところにあると。やはり岸田内閣の一員である環境大臣として、環境省も社会的課題がいくつかいろいろあるわけですから、きちんと解決策というか、政策的な展開を岸田政権中にやる必要があると思うんですけども、そういう積極的な環境政策の課題の克服というようなことでの政策提案というか、岸田内閣の今の支持率への評価。これは環境大臣として伺うというよりは政治家として伺うんですけども。
(大臣)私は内閣の一員でありますので、その評価についてはノーコメントとしたいと思います。それから前段で私が申し上げましたように、今回3つの法案が成立しましたけれども、これは今の環境省にとって、もっと言えば、世界が直面している環境問題にとってそれぞれ重要なことだと思います。それはやはり、地球温暖化対策であり、生物多様性の保全であり、それから汚染の問題。そういうことに今回の法案は全部直接関係しておりますので、日本が廃棄物という考え方から、循環資源という考え方に変わってくる、そして現実可能な選択肢の中でどうやって二酸化炭素の排出を減らしていくか、そして日本は(世界全体の温室効果ガス排出量の)約3%を排出しているわけでありますけれども、残りの約97%を排出している国々が、それぞれ減らせるように日本として先導的な役割を果たしていく。それはそれなりに私もCOP28やG7環境大臣会合でも発言したり、いろんな議論をリードしたりしてきましたけども、そういうこともやってきたと思うし、これからもっとやらなければならないと思う。
 それから生物多様性についても、生物多様性の減少というのは非常に深刻な問題でありまして、私たち人間も生物多様性の一部の存在ですから、生物多様性が失われれば私たち自身の持続可能性というものも、非常に危ぶまれるということで、私が自負するのはおかしいですけども環境行政というのは、今後の地球社会の持続可能性に非常に重要な政策を担っているということだと思いますし、私も環境大臣として、私の能力の限りにおいて、それをしっかり前進し、具体的な政策も含めて、未来につなげてまいりたいというふうに考えております。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=xMWtzKVQrqU
 

(以上)

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