厚労省・新着情報

1.概要

  • 期間:2024(令和6)年5月27日(月)~6月1日(土)
  • 対面会議
  • 日本政府代表団:塩崎彰久厚生労働大臣政務官、迫井正深医務技監、井上肇国際保健福祉交渉官他
  • 本会議では、6日間にわたり、全29議題について協議。17の決議と20の決定が採択。主に管理議題の議論の場であるB委員会の副議長を、迫井正深医務技監が務めた。

※WHO総会は、全加盟国代表で構成される最高意思決定機関。毎年5月に開催され、保健医療に関する重要な政策決定を行う。

2.政府代表演説

WHO総会では、塩崎彰久厚生労働大臣政務官から政府代表演説を行い、

  • 世界中の全ての人の健康のために取組むWHOの献身的な働きに敬意を表し、心より感謝。
  • 今もなお続くロシアによるウクライナ侵略を強く非難。我が国は、公衆衛生の脅威から国民の健康を守るための努力を続けるウクライナ政府を引き続き支援する。ラファハを含むガザ地区の危機的な人道状況を深刻に懸念しており、人道支援活動が可能な環境が持続的に確保され、また人質の解放が実現するよう、即時の停戦を求める。
  • 我が国は、世銀・WHOと連携し、「UHC(※1)ナレッジハブ」を2025年に東京エリアに設立し、ヘルスケアシステムに効果的な投資を行い、保健財政を強化するため、特に低・中所得国における、保健省と財務省の政策立案者に対する研修を含む能力開発を行う。
  • 日本は、気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH)(※2)に正式に参加した。「気候と健康」がさらに重要になっていることを認識し、この難しい問題を乗り越えるための各国の連携した取組にさらに貢献していくことを約束する。
  • 我が国は、薬剤耐性対策、非感染性疾患、気候変動、健康危機、そしてパンデミックへの予防・備え及び対応等、我々が連携して取り組むべき多くの重大な健康課題への取組を進めるためのWHOによる多大な尽力とリーダーシップを称賛し、変わらず支援及び貢献をしていくこと等を述べた。

※1 UHC((Universal Health Coverage)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)
全ての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる状態を指す。UHCナレッジハブは、主に低・中所得国の保健財政を強化することを目的として設置するもので、WHOと世界銀行が連携し、各国の保健省と財務省の政策立案者に対する能力開発を支援するもの。

※2 ATACH:Alliance for Transformative Action on Climate and Health
参加各国が気候変動と健康に関する知見とベストプラクティスを共有するとともに、各国のネットワークを強化することにより、気候変動に強靱かつ低炭素で持続可能な保健医療システムの構築を目指している。

※発言内容(日本語リンク[122KB]英語リンク[66KB])はこちらでご確認頂けます。

3.UHCナレッジハブ

WHO、パートナー機関、市民社会が一同に会して話し合う戦略的円卓会議のうち、「すべての人の健康とウェルビーイングのための経済と財政」に迫井正深医務技監が登壇。
 

  • 2025年に「UHCナレッジハブ」を東京エリアに設置すること、「UHCナレッジハブ」は、特に低・中所得国における保健財政を強化すること等を目的とし、WHOと世界銀行が連携し、各国の保健省と財務省の政策立案者に対する能力開発を支援するほか、関係機関の代表を集めて「UHCハイレベルフォーラム」を開催する予定であることを表明。

4.主な議題

(1)国際保健規則(IHR)※(2005年)改正に関するWHO加盟国作業部会
 2022年11月以降、IHR改正に関するWHO加盟国作業部会でIHR改正案が議論されていたが、総会までには意見の一致が得られなかった。これを踏まえ、全WHO加盟国は、総会期間中にIHR改正案を採択することを目標に起草グループを設置し、IHR改正案の交渉を継続し、総会最終日にIHR改正案一式がコンセンサスで採択された。IHR改正には、「パンデミック緊急事態」の定義が新たに規定されたほか、原因不明なものも含むリスクの高い事象について国と国との間又は国とWHOとの間で情報共有を強化することや、国際クルーズ船をはじめとした輸送機関におけるより効果的な保健上の措置を実施すること、IHRの実施体制を整備する内容等が含まれている。また、公平性がIHRの原則に新たに加わり、緊急時の医薬品等へのアクセスを促進するための協力を強化する内容が新たに盛り込まれた。

※IHR (International Health Regulations):人や物の国際的な移動や貿易を不必要に妨げることを避けつつ、感染症等疾病の国際的なまん延を最大限防止することを目的として、憲章に基づいて採択された規則。

(2)パンデミックへの予防、備え及び対応(PPR)に関するWHOの新たな法的文書の作成のための政府間交渉会議
 2022年2月に初回会合が開催されて以来、WHO加盟国は本WHO総会に向けてPPRに関するWHOの新たな法的文書の作成のために政府間交渉会議で交渉を行っていたが、同総会での交渉妥結には至らなかったため、交渉の延長が決定された。

(3)執行理事の改選
 各地域委員会が推薦した候補国リストが採択された。西太平洋地域では、日本やマレーシアが執行理事の任期を満了し、韓国とブルネイが新たに執行理事となった。

(4)持続可能な資金調達(投資ラウンド)
 WHA開催期間中でのイベントにおいて、共同開催国が発表され、投資計画が発表された。

(5)第14次総合事業計画の承認
 2025年から2028年までの期間におけるWHOの戦略目標、共同成果、活動計画等が盛り込まれた第14次総合事業計画(14th  general programme of work)が承認された。

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