文科省・新着情報

1.日時

令和6年6月7日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

対面及びオンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新試験研究炉の設置場所の検討及び建設に向けた整備スケジュール/資金計画
  2. 原子力科学技術に関する研究・人材基盤の強化
  3. その他

4.出席者

委員

寺井主査
黒﨑委員
秋山委員
石川委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
松浦委員
中熊委員
和田委員

文部科学省

清浦 大臣官房審議官
奥 原子力課 課長
髙倉 原子力課 課長補佐
竹ノ内 原子力課 課長補佐

オブザーバー

村尾 裕之 室長 日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室
峯尾 英章 様  日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室

5.議事録

原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第22回)
令和6年6月7日(金曜日)13時30分~15時30分

【竹之内課長補佐】 それでは、第22回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。今回の作業部会は対面とオンラインを併用したハイブリッド形式にて開催しており、これに関連した確認事項等がございますので、議事に入る前まで事務局にて進行を務めさせていただきます。
 まず、オンラインにてご出席されている方への留意事項をご説明いたします。委員の皆様におかれましては、現在遠隔会議システムWebex上で映像及び音声が送受信できる状態となっております。御発言を予定される場合は挙手ボタンを押していただくと画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査から御指名を頂きます。御発言を頂いた後は、もう一度挙手ボタンを押して手を下ろしてください。会議中にビデオ映像及び音声が途切れている場合は、その時間帯はご退席されているものとみなします。遠隔会議システム接続の不具合等が生じた際は、随時事務局宛にお電話にてお知らせください。
 議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録画及び録音はお控えください。以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
 続きまして、本日の配布資料の確認をさせていただきます。委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てにメールにて配布資料をお送りさせていただいております。お手元に議事次第を配布しておりますが、本日は議題が3点ございます。1点目が新試験研究炉の設置場所の検討及び建設に向けた整備スケジュール/資金計画。2点目が、原子力科学技術に関する研究・人材基盤の強化。そして最後に3点目がその他となっております。
 配布資料として資料が3つ。また、参考資料が4つございます。お手元の資料をご確認いただき、不備等がございましたら事務局までお知らせください。また、その他に何かございましたら随時お申し付けください。
 本日は時間は15時30分までを予定しております。委員の皆様の御出席状況については開始前に事務局にて確認をさせていただいております。本日は10名の委員に御出席を頂いておりまして、運営規則の第3条に規定されております定足数であります過半数を満たしておりますのでご報告いたします。
 また、本日は話題提供のために日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室から村尾裕之室長、峯尾英章様 にご参加いただいております。
続きまして、事務局の参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは大臣官房審議官の清浦、研究開発局原子力課課長の奥、同じく原子力課長補佐の高倉、
私 竹之内が出席しております。それでは、これから議事に入らせていただきますが、運営規則の第5条に基づきまして本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましてはホームページに後日掲載をいたします。事務局からは以上となります。ここからは寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】 皆様、こんにちは。それでは、ここから私の方で議事を進行させていただきます。本日の議題は、お手元の議事次第にありますとおり議題の1から3まででございます。
 それでは、早速でございますが、本日最初の議題1「新試験研究炉の設置場所の検討及び建設に向けた整備スケジュール/資金計画」についてお諮りをしたいと思います。それでは、はじめに日本原子力研究開発機構 村尾室長から御説明をお願いいたします。
 
【村尾室長(JAEA)】 それでは、資料1-1を使いまして新試験研究炉の設置場所の検討及び建設に向けた整備スケジュール、資金計画についてご説明させていただきます。
 では、1枚めくっていただきまして、こちらは目的となってございますが、現在国内の試験研究炉も減ってきておりまして、現在六つの試験研究用が稼働しておりますが、KURがさらに2026年運転を停止するという中におきまして、敦賀に新たな試験研究炉を設置するということで、日本の原子力研究開発・人材育成の西日本における中核的拠点の形成及び地域振興へ大きく貢献できるものと思っております。さらに言うならば、国内の試験研究炉も高経年化がこれから更に進みますので、高度な原子力人材の継続的な確保・育成強化、それから中性子利用需要に対応した研究基盤の維持、整備という観点からも、新しい試験研究炉の重要度は今後更に増していくものと考えております。この3点を、試験研究炉をさらに将来にまで維持していくには、その基盤となります試験研究炉の設計、建設、運転維持に関する技術と知識の蓄積と継承が不可欠になってまいります。JAEAとしましても新しい研究炉の建設はおよそ30年ぶりになりますので、新試験研究炉によって設計、建設の経験を積むということは非常に重要な意味を持つと考えております。
 次の頁につきましては、これまでもお示ししてきておるところでございますので簡単に説明させていただきますと、新試験研究炉につきましては10 MW級の中性子ビーム炉ということで、これまでここに書いてありますようなステップを経まして原子炉の基本諸元を作ってきているところでございます。
 その基本諸元につきましては次の頁の方に記載しておるようなところでございまして、軽水冷却の10 MW未満のビーム炉というところでございまして、これまでに炉心配置について検討を進めてきたところでございます。ここにつきましてもこれまで示してきているところでございますので簡単に済まさせていただきます。
 次の頁でございますが、さらに実験装置についても検討を行っておりまして、ここに記載しておりますような5装置を優先的に検討していくというところで現在検討を進めておるところでございます。ここの図の中で炉室実験室ですとかビームホールというところに装置を配置するように記載してございますが、これはまだ決まったものではございませんで、装置の設置場所については暫定的なものでございます。とはいえ、これら5装置について優先的に検討を進めているという段階でございます。
 次の頁でございますが、さらには後続的な実験装置群というところで、ここに記載しておりますような照射ですとかその他のビーム利用といったところも検討しているところでございます。
 これまでの検討を踏まえまして、7頁の方には完成イメージ図というところを載せてございますが、上のビームホールまで含めたこちらの図はJRR-3でございますが、新試験研究炉につきましてもビーム炉ということで同じような形状のものとなると考えております。また、下には配置のイメージ図というところも載せてございますが、全長約110 m、横幅150 mといった規模の原子炉本体、それからビームホール、ホットセルを含めた建物になるというようなところで、イメージ図として示させていただいているところでございます。
 次の頁に進みまして、現在の建設候補地の位置、それから建設予定地の決定についての検討を進めているところでございます。こちらもお示ししているところではございますが、現在A、A’、Bという3地点について安全上の観点、それから設置までの期間、コスト、利便性というところで、安全性を最重要視するというところは当然でございますが、そういった観点で現在検討を進めておるところでございます。この3点の観点から総合的に判断しまして、年内に決定するという方針でございます。
 次の頁でございますが、現在原子炉設置許可申請に向けた工程の検討も進めております。この頁の左側に示したものは原子炉等規制法上の中・高出力炉に対する主な安全要求でございまして、耐震ですとか自然災害、火災といったものに対する安全評価というものが求められております。そういったものについての工程の検討を進めておるところでございます。
 さらに、右側にございますのは設置場所に関する調査でございまして、地盤、地震、津波、火山、気象というようなものについての調査が必要になってまいります。これらについても現在、特に地盤等につきましては調査を進めておるところでございます。
 次の頁でございますが、そういった試験研究炉を実現するためとしまして、我々の方で設置までに掛かる費用の規模感というものを算出いたしました。今回算出しましたものでございますが、まだ新試験研究炉につきましては設計が終わった段階ではございませんので、設計を基にした算定というものはできませんので、既設炉を参考にした規模感というところで算出しております。具体的には、新試験研究炉と同じビーム炉でありますJRR-3をベースにしまして算出しております。JRR-3を平成元年に改造しておりますが、その時の人件費ですとか設置費というものを算定しまして現在の物価との違い等のコスト変動を加味しまして算出しております。
 また、建物につきましては、JRR-3と同等の床面積の建屋を想定しまして、それを現時点で建設するとした場合の概算として算出しております。設計ですとか安全解析につきましてはモックアップ試験等のR&D費も含んだものとなってございます。今回お示ししたものですが、今後の安全対策強化ですとか資材費、人件費等の変動、その他の社会的要因によって変動する可能性があるということはご認識いただければと思います。
 そういった前提条件の下に算出したものとして、ここに記載しましたような費用がこれから先、設置までに掛かってくるだろうというところで、あくまで規模感を示すという概算でございますが、そういったものでございます。
 さらに、原子炉設置許可申請から設置までの期間の目安というものも約8年を目安ということで記載しておりますが、こちらにつきましても現在まだ設計がない段階でのものですので、こちらも過去の実績というものをベースにして算定したものでございます。※2を振ってございますが、欄外の下の方に記載してございますように、JAEAでこれまでに設置しましたHTTRという大洗研究所の試験研究炉がございますが、旧規制基準下ではございますが設置許可申請から建設終了までに8年、STACYといいます原子力科学研究所にございます定常臨界実験装置では約7年という期間が掛かってございますので、それらを前提にしますと8年ぐらいが目安かというところで記載しておるものでございます。また、参考でございますが、その下には最近建設予定ですとか建設が進んでいる海外の炉の規模感というところも参考情報として記載してございます。
 次の頁でございますが、こちらはさらに詳細設計Ⅰ期間というところで、設置許可申請を行うまでの期間に関する内訳というところで、やや詳細化したものでございます。こちらも詳細設計Ⅰの部分につきましてはJRR-3をベースに算定したものとなってございます。やはりまだ設計が終了しているところではございませんので、そういった前例を基にした算定というところでございます。こちらもあくまで概算というところでございますが、設置許可申請までにおおむね160億円というような額なのではないかというところでございます。
 最後の頁でございますが、ここまでお話しさせていただいたところをまとめたものでございまして、もんじゅサイトに設置する試験研究炉につきましては我が国の原子力研究開発・人材育成の西日本の拠点となり、地域振興への貢献のみならず、中性子利用需要拡大への対応、試験研究炉を利用した高度な人材の継続的な確保・育成強化を目的としております。安全性、安定性、経済性、利便性、将来性を考慮しまして、様々な炉心候補を比較検討することによって、10 MW級としては世界最高レベルの中性子束を得られる基本設計をこれまでに決定しております。中性子利用実験装置は、汎用性の観点から5装置を優先的に整備するものとして、これらを運転開始に最新のものとできるよう開発体制・計画を検討してございます。更に多様な活用性・先端性も考えて5装置以外の措置の検討も行っているところでございます。
 現在3カ所の候補地に対しまして地盤調査やもんじゅ廃止措置工程への影響等の諸条件の調査を進めておりまして、それらの結果を総合的に判断し年内に建設予定地を決定いたします。最後に、令和4年度末から詳細設計Ⅰに入りまして、原子炉設置許可申請のための基本設計を進めております。年内に申請の見込み時期を示すことを計画しております。以上です。
 
【寺井主査】 どうもありがとうございました。建設に向けた整備スケジュール、資金計画について御説明を頂きました。質疑はこの後の資料1-2が関連いたしますので、まずこちらをご説明いただいた後にまとめて行いたいと思います。それでは、続きまして資料1-2でございますが、文部科学省 研究開発局原子力課の奥課長から御説明をお願いいたします。
 
【奥課長】 ありがとうございます。では資料の1-2に基づいてご説明させていただきます。資料の1-2は、先日5月28日にこの親委員会である原子力科学技術委員会のところにこれまでの2回のこの作業部会の審議結果として報告をさせていただいたものと全く同じものになります。先ほどのJAEAからの説明と重複は少し排除させていただいて、その他の部分を中心に御説明をさせていただきます。
 2頁目は、これまでの背景と経緯を書いたもので、先ほど説明にもありましたがJAEAを実施主体として現在詳細設計の段階に移行しています。JAEAの方では一番下の丸にありますように三菱重工を新試験研究炉の主契約企業として選定をしていまして、今後、令和6年中(今年中)に設置許可申請の見込み時期を提示するということを予定しています。
 3頁目、当面の課題として5つ項目を挙げています。まず1つ目は詳細設計を着実に進めるということで、令和6年中の設置許可申請の見込み時期の提示に向けて全体計画を策定するということ。2つ目は設置場所ですが、先ほどもあったように3つの候補地が今あります。いくつか複合的な要因を考えて決めなければいけませんが、1番は活断層、それと2つ目はもんじゅの廃止措置工程とのバッティング。あと土石流等の他のものの影響評価等を踏まえて決定をするということを予定しています。これも今年の末までに設置場所を決定するということを予定しています。これと上の設置許可申請の見込み時期の決定と連動しますので、これを併せて今年中に決めるということを予定しています。3つ目、実験装置群についても先ほどお話がありましたが、現在京都大学を中心とするアカデミアの方でタスクフォースを設けていただいて、現在関係者からの意見を踏まえて幅広いニーズに合致した実験装置群というものをご検討いただいています。現在優先5装置というものを選定いただいていまして、これの詳細を今後詰めていくことになろうかというふうに思います。
 続いて4頁目ですが、4ポツ目、建設フェーズを見据えた総工費と予算推計ということで、今回JAEAの方から初めて予算の全体の規模感というのが示されたのと、加えて当面詳細設計Ⅰのフェーズで必要となるような予算として160億円というのが見積もられたところです。これについてはあくまで概算でしかありませんので、今後の詳細設計を進めていく中でこの総工費と予算推計について更なる精査をしていくということが必要かと思っております。5つ目が先ほどの説明にはなかったところで、現在この新試験研究炉を中核として地域関連施策検討ワーキンググループというのを設けまして、ここの中で新試験研究炉の今後の利用促進体制の在り方、それと新試験研究炉はもんじゅのサイトということでかなり敦賀の市から離れたところにありますが、あそこの市の中心部に複合拠点を設けた方がよいのではないかという検討、それと中性子利用のための人材の育成というのを、このワーキンググループの中で検討しているところです。こうしたものを引き続き進めてまいりたいというふうに思っています。さらにはここを中核としたような、嶺南Eコースト計画と呼んでいますが、敦賀市あるいは福井県と協力しながら地域振興に係る取組というのを検討していく必要があるかと思っています。
 5頁目はJRR-3のことでして、こちらの運転を着実に進めていくということと、特にJRR-3については下から二つ目にありますが、医療用のRIの製造に利活用していくということが一つの方針として挙げられていまして、モリブデン99の国内製造に対して貢献していくということが大きいミッションの一つかというふうに思っています。さらに一番下にあるように、もんじゅサイトで今後その実験装置群を整備するにあたっては、このJRR-3を用いてある種テストをしていくということが必要になっていくと思いますので、このもんじゅサイトとJRR-3の相互利用というのも併せて検討していく必要があるかというふうに思っています。
 6頁目は、それを踏まえて当面の課題というのを整理させていただきます。JRR-3については引き続き着実に運転をするということと、二つ目のところでモリブデン99をはじめとするRIの原料製造に向けた技術開発等に取り組むということ、あと中性子利用としてJRR-3に加えてJ-PARCであるとか他の加速器、あるいは放射光施設等との連携を深めることで、放射光と中性子との相互利用というのを進めていくということも必要かと思っています。四つ目が先ほど申し上げたように新試験研究炉に対してこのJRR-3の技術的な知見を提供していくということが必要だと思いますので、JRR-3を用いて実験装置群のテストを行っていくということも今後の課題であろうというふうに思っています。
 次からがいくつか資料を用いてですが、8頁目以降はこれまでの説明と重複しますので省かせていただきたいと思います。
 16頁目をご覧いただければと思います。地域の振興に関してですが、先ほど申し上げたように地域関連施策検討ワーキンググループというのを設けておりまして、JAEA、京都大学、福井大学を中核機関とし、それ以外のアカデミア、産業界あるいは地元の関係機関という幅広いところに入っていただいて、地域における振興策というのを検討いただいています。サブグループを3つ設けていまして、1つ目が利用促進体制ということで、この試験研究炉はアカデミアのみならず産業界も含めて幅広い利用に供するということを一つの目的としていますので、利用の支援の在り方というのをどうした方がよいかということを検討いただいています。大型の供用施設としてJ-PARCであるとかSPring-8みたいなものがありますが、あそこは利用を支援する体制として利用促進法人というのを設けています。そうした新しい法人を設けるかどうかというところも含めて、どういう形にしたら産業界の利用に供することができるかということを検討いただいているところです。
 2つ目は複合拠点でして、これはもんじゅの白木地区というのは中心部から少し離れたところにありますので、敦賀市の駅の周辺に複数の機能を持つような拠点を整備してはどうかということで、その拠点の機能、体制というのをここでも検討いただいています。例えば利用支援のための相談窓口であるとか、あるいはその大学のサテライトキャンパスを設けるであるとか、あるいは簡易な実験ができるような施設・設備を整備するということが議題として上がっているところです。
 3つ目が人材育成で、中性子を利用する幅広い人材を育成するということで、福井大学を中心に教育のカリキュラムというのを作っていただいていますが、福井大学にとどまらずに全国を対象に幅広く中性子を利用できるような人材を育てていくという、その在り方についても検討いただいているところです。
 こうしたものを市あるいは県の方から大まかなロードマップとして示してほしいという要望がありまして、17頁目のところで、これも先日ここでご説明させていただきましたが、簡単なロードマップというのを引かせていただいています。詳細設計Ⅰ、Ⅱ、あるいは工事段階、運転開始というような各フェーズに応じてその利用促進の在り方、複合拠点の在り方、人材育成の在り方。先ほどのサブワーキンググループで議論している内容というのをそれぞれのフェーズごとに落とし込んだ形になっています。例えば利用促進体制の在り方ですと、詳細設計Ⅰの段階で利用促進法人を設けるかどうかも含めて検討するであるとか、いずれ産業界の利用にも供するということで利用のための協議会を設けるであるとか、運転開始した暁には実験装置群の運転・保守であるとか利用課題の審査、あと優先5装置というのを整備する予定にはなっていますが、それ以外の装置群についてもどうしていくかという辺りが検討対象かというふうに思っています。複合拠点、人材育成についても同様です。
 こうしたものを一つのイメージ図として書かせていただいたのが18頁目のところでして、まずJAEA、福井大学、京都大学を中核機関として、利用促進法人であるとか、あるいは他の研究機関と連携・協力して、ここら辺を原子力の研究と人材育成の中核拠点として位置付けていくというふうな構想を描いているところです。これについてもワーキンググループのところでまた随時検討させていただきたいというふうに思っています。御説明は以上です。
 
【寺井主査】 どうもご説明ありがとうございました。資料1-1、1-2は両方関連する内容でございますので、これから本件につきまして委員の皆様方から御意見、御質問等をよろしくお願いいたします。オンラインから参加の委員におかれましては、オンラインシステムの挙手機能をご活用いただきまして、私の方から指名をいたしますので、その方はミュートを外してご発言いただきますようにお願いいたします。それでは、御質問、御意見等はございますでしょうか。では、黒﨑委員、お願いします。
 
【黒﨑主査代理】 ありがとうございます。最初の方のJAEAさんからのプレゼンの中の話なのですが、これから作っていくとなったときにこれくらいの金額でというような資料のところなのですが、金額についてはまあまあこうかと思ったのですが、実際に原子炉を作るとなったときに、本当にそのきちんとしたものが作れるのかどうかというのはすごく大事だと思っています。というのは、やはり長い間ずっと原子炉を作っていなくて今回久しぶりに作るということになります。なので、ずっと停滞していた時期というのがあるわけで、その間技術力というのがきちんと維持されているかどうかとか、いろんな知識とかそういったものが伝承されているかどうかとか、そういったところというのがやはり非常に重要で、それがなければせっかく計画したけれども実際立ち上げたら作れなかったみたいな、そんな話になるとすごくまずいなと思っています。その辺りについてお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。JAEAさん、よろしいですか。お願いします。
 
【村尾室長(JAEA)】 村尾です。おっしゃるとおりでございまして、技術的なところでしっかりと安全性を確保した研究炉というものが作れなければ当然意味がないというところで、我々JAEAの中で新しいものを作るという観点では確かに30年というような期間が空いているところではございますが、これまで作ってきた技術を伝承しているようなメンバーを集めまして、さらに新規制基準下でこういった既存炉に対する改めての解析といったものを行ってきたメンバーもおりますので、そういったメンバーでしっかり技術力を持った組織を作り上げて、そういったところに臨んでいきたいと考えておるところでございます。
 
【黒﨑主査代理】 ありがとうございます。着実に手配は整えているということはよく分かりました。ただ一方で、これは実際にその建設開始というところだけ見ても、まだもう少し先になりますので、やはりその間の期間というところの技術力を維持するというところもすごく大事だと思いますので、現在維持できていることに加えて将来に向けてもきちんと維持していくというところが大事だと思います。言わずもがなだと思いますが一応言わせていただきました。以上です。
 
【村尾室長(JAEA)】 ありがとうございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。多分設計とかそういう辺りの技術力はJAEAさんの中でいいと思うのですが、実際にものを作るとなるとこれはまた別の話で、これは多分メーカーさんにお願いすることになると思うのですが、これは今の話では三菱重工さんでよいのかな?
 
【峯尾(JAEA)】 炉周りはそうなりますね。
 
【寺井主査】 その辺りのところについてはどういうふうなお考えをお持ちですか。これはJAEAさんにお伺いしたいのですが。
 
【村尾室長(JAEA)】 村尾です。現在主契約企業ということで三菱重工と契約しております。三菱重工につきましては発電炉についての実績があるというところで、試験研究炉は若干違うところはございますが、そういった三菱重工等、また、三菱重工からさらに他の企業に協力を得ることもあるかもしれませんが、そういったところとしっかり議論を進めながら安全性の課題を残さないようにして、安全性最優先で設計を進めていきたいと思っております。
 
【寺井主査】 ぜひその辺りもよろしくお願いいたします。峯尾様、どうぞ。
 
【峯尾(JAEA)】 少し補足してよろしいでしょうか。峯尾でございます。形としてやはりJRR-3、ビーム炉、かなり似ているところがあるということで、加わっているメンバーも3から来ている人間も多いと。それから、先ほどのサプライチェーンの話かと思うのですが、そういうものについても、3でやはり点検・保守をやってきているというところから、それぞれの設備で必要な部分というのはやはりサプライチェーンを確保していったり、あるいは確保するように努力したり、そういうことをやってきていますので、主契約企業は三菱になりましたが、そういったサプライチェーンについてはこちら側のいわゆるデータベースみたいなところも生かしながら協力してやっていきたいなというところを少し補足させていただければと思います。以上です。ありがとうございました。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。いかがでしょうか。小澤委員、どうぞ。
 
【小澤委員】 ありがとうございます。小澤です。だんだんリアルな情報が増えてきてわくわくしてくるという感じでありますが、だからこそしっかりとやらなければいけない時期になってきたなと思います。最初の御説明のとおり確かに30年ぶりで久しぶりということになりますが、最初の頁に試験研究炉の技術の蓄積と継承と書いてありますが、昔の50年前のような試験研究炉がたくさんできる時代ではなく、これからまた一つできたら、またその次は久しぶりになると思うし、この研究炉も長く使っていくということになると思いますので、そういった視点も含めて少しコメントしておこうかと思います。
 技術の蓄積、継承の面では、昔ながらの日本流の職人芸がきちんと伝承されるという感じではなくて、おっしゃったような設計のノウハウはどこかにあるとか、製造は発電炉で蓄積したものを使うとか、だけれども試験研究炉ですので、設計的にはかなりプラント目線でいうと楽になっているはずなので、そこをいかにして経済性を狙っていくかというところも、いろんな肝となる部分があると思います。
 2頁目についてですが、最大熱中性子束は世界最高レベルと書いてありますけれども、どこで戦うか、世界最高を狙うかということだと思いますが、この研究炉を使ってどんな成果を上げるかというのは私は一番大事かと思っていますので、無理のないような設計と合理的な建設、運用ができるように希望したいと思っております。
 お値段の方も、目安ということになろうと思いますが、他の事例もありますから何か高いなと思ったらどこかに無理があるのではないかという目で見ながら、多少の手戻りはあるかもしれませんが、設計を一直線に進むというよりはきょろきょろと見ながら進めていくのがよいのではないかなと思います。いろんなやることがあるので、プロジェクト、タスクの分け方というのですかね、専門用語でいうとワーク・ブレークダウン・ストラクチャーというのですが、役割分担、責任をはっきりさせて、タイムスケジュールも、何があったら次に進むとか、いろいろな情報を加えながらこの10頁目の工程表を詳しくしていけばよいかなと思っています。以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。基本的には御意見かと思うのですが、いかがでしょうか。
 
【村尾室長(JAEA)】 御意見ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。技術の継承は非常に重要だと思っていまして、今回の試験研究炉を作るということをやはり多くの人間に関わらせて、その技術を継承していくということ、それから、そこで培ったものをしっかり後に残るようにしていくということが非常に大事だと思っております。それから、やはりどのスペックがどうのこうのというよりも、おっしゃるとおり利用者の目線で最適なものを作っていくということがとても大事かと思っております。それから、正に技術継承の部分にもつながるところでございますが、業務を細分化して役割分担をしっかり明確にして最適化して進めていくというところは非常に重要だと思っております。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。石川委員、何かありますか?
 
【石川委員】 いえ、大丈夫です。
 
【寺井主査】 その他いかがでしょうか。では、松浦委員、秋山委員の順番でお願いします。まず松浦委員、お願いします。
 
【松浦委員】 ご説明ありがとうございました。建設関係の費用の御説明とかを頂いたのですが、いろいろと検討なさって、そのようなものかなというのは一応分かったのですが、作った後の運用というのも非常に大事ではないかなと思っておりまして、JRR-3とかJ-PARCとか先ほどおっしゃっていて、それにプラスまた一つ新しい試験炉ができると。それはまた何十年と掛かって運用続けていく必要があるかと思うのですが、そういった運用上の資金の裏付けというと変なのですが、そういった資金計画とかいうのも十分ご検討なさっているのかなとも思いますし、その中では例えば技術継承とかサプライチェーンの維持とかそういうのを考えて運営の計画というのも立てられているのではないかなと思うのですが、その辺りお考えがあるとしたら少し教えていただきたいなと思っております。
 
【寺井主査】 村尾さん、今の件よろしいですか? JRR-3とかJ-PARCとかたくさんある中でどういうふうに資金計画を考えておられますかという、これは多分JAEAさんの話だけでもないような気もするのですが、文科省さんにも関わるような気がするのですけれども、取りあえず村尾さんの方からお願いできますか?
 
【村尾室長(JAEA)】 ありがとうございます。まだ運用の資金の見積りというところにまでは進んでおりませんが、新試験研究炉が設置される辺りのJAEAの状況というのもまだ明確に見通せる状況ではございませんが、その辺りは今後の課題としてしっかり計画していきたいと思います。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。奥課長、何かございますか?
 
【奥課長】 ありがとうございます。運転経費をどうするかという問題だと思います。現在新試験研究炉に掛けているお金は年間6億円が計上されているのですが、運転段階になるととてもではないけれどもこれでははまらないというふうに思います。一般会計、特別会計とありますが、前年からそんなに大きくはまらないということであれば、その運転経費を現在の予算額の中に収めないといけないということで、結局のところスクラップ・アンド・ビルドが必要になってくるのだろうなというふうに思います。なので、この議論を最初に始める時に申し上げましたが、原子力機構の予算構成としてほとんどが固定費、維持管理費というのが中心になってしまっているという問題がありますので、その固定費というのを低減させる方策を別途検討した上で、そこの部分を新しい試験研究炉の運転費に回すというような資金の再循環ですかね、これが必要になってくると思いますので、そこら辺は実際に運転開始するまでには鋭意検討させていただきたいと思っています。
 
【寺井主査】 松浦委員、いかがでしょうか。
 
【松浦委員】 分かりました。また成功の試験炉でもいろいろ知識とか知恵とかが出て、そのコストを抑えてまた運営する知識とかも出てくるかと思いますので、そういうのも考慮していただいて、積極的に実験炉が運用できるようにしていただければと思っております。ありがとうございました。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。それでは、秋山委員、お願いします。
 
【秋山委員】 ご説明ありがとうございました。先ほどから先生方からも御意見を頂きました技術の伝承についてなのですが、その数十年前と今とは違うところというのはやはりデジタル技術がかなり発達しているというのがあると思うのですけれども、例えば建設の現場でもおそらくこれからデジタルツインとか、それからヒューマンエラーをAIで防止したりという技術も出てくると思うのですが、そういうふうな技術を今回の建設段階である程度ですが入れていけば将来的な発電炉とかの建設にも役立てられるような感じがするのですけれども、その辺りのデジタル技術というようなところの技術の伝承への取り入れというのは何かご検討されておられますでしょうか。
 
【寺井主査】 村尾室長、お願いします。
 
【村尾室長(JAEA)】 村尾です。新試験研究炉につきまして今は詳細設計Ⅰという段階に入りましたが、まだ実施設計という段階には入っておりません。実施設計といいますのは実際の詳細設計という段階でして、そこまでには至っておりませんので、詳細にそういったデジタル技術の工事段階での適用というところにまでは検討はまだ及んでおりませんが、試験研究炉につきましても特に計測制御系とか炉の状態を監視するような設備といったところには、やはりそういった新しいデジタル技術のようなものも取り入れることができるかとは思っているところではございます。そういったものはやはり最新の技術を使った方がメンテナンスとか維持というところも合理化できる部分もあると思いますので、そういうことで運転員ですとかメンテナンス要員の労力を低減化していくといったことができるかと考えております。
 
【秋山委員】 ありがとうございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。では、中熊委員、どうぞお願いします。
 
【中熊委員】 ありがとうございます。電事連の中熊でございます。ご説明ありがとうございました。小澤委員などもおっしゃっていましたが概算のお金が出てきたり、ワーキングの動きみたいなものもご紹介いただいて、だんだん本格化してきているなということで、ぜひうまく進めていただきたいなというふうに思っています。黒﨑委員もおっしゃいましたが、やはりハード面だけではなくて運転開始までにおそらく試運転のような様々な設備のチューニングみたいなプロセスもきっと必要だと思いますので、そういったところもしっかりと計画立てていただいてやっていただきたいというふうに思います。
 また、この地域関連施策検討ワーキンググループといったところでのソフト面の検討は非常に重要だと思っておりますので、ぜひこの利用促進体制ですとか人材育成といったところもしっかり検討をしていただいて形にしていただければと思います。
 一つ興味が湧いたのですが、文科省さんの資料の4スライド目でこのワーキングのところを書いているところの最後に、この地域への経済効果の試算というのがこのくらいありますというのが書いていらっしゃるのですが、建設段階では結構人も入るので多分相当地域はその期間は潤うと思うのですが、実際の運転の段階になったときというのは、イメージが分かったら教えていただきたいのですが、例えば常時張り付くような研究者の方というのは大体どのくらいいて、地元雇用というのは大体どのくらい期待値としてあるのかということを、もし分かれば教えていただけますでしょうか。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。コメントをいくつか頂きました。最後に御質問ということで、地域への経済効果の具体的な内容ということかと思いますが、もしご検討されているようであればお願いできますか。では、文科省さん、お願いします。
 
【奥課長】 ありがとうございます。地域への経済波及効果については、特に敦賀市とか福井県の方からこの算出をしてほしいという要望を強く頂いておりまして、我々としても概算として出させていただいているところです。具体的に雇用人数としては、その新試験研究炉を運転するにあたって100人程度の人数がプラスに必要になってくるであるとか……
 
【峯尾(JAEA)】 80~90です。
 
【奥課長】 まあ100人程度ですね。あと、実験装置群を運用管理するにあたって技術系の職員あるいは研究職の職員として同じく100人程度が必要になってくるのではないかというような試算はされています。ただ、ここの経済波及効果は単純に試験研究炉を運転するだけではなくて、ここに新しい産業として企業さんに進出してきていただいて、プラスしてその企業さんの職員が増えてきてもらう。それによって地域の経済が潤うということを念頭に置いていまして、今経済波及効果という意味では産業連関表とかを使って開始後20年の時点で年間90億円程度……まだ少ないですかね。とかという試算はしていますが、ここは更に精査していく必要があるかというふうに思っているところです。
 
【中熊委員】 ありがとうございます。結構思ったよりも人もたくさんここに携われるというのが分かりましたし、年間90億は結構な額だなと思ってすごく驚きました。ぜひぜひそこはしっかりと福井県、敦賀市に経済的貢献をしていただければと思います。以上でございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。ということでございますが、最初に頂いたコメントについては拝承ということでよろしいですか。試運転とかチューニングのところの話とか、それから利用促進対策についてしっかり考えてくださいということです。
 
【峯尾(JAEA)】 一点だけよろしいですか。原子力機構の峯尾でございます。ありがとうございます。90億円の効果というのは日本全国に対するものでございます。知的財産がどのくらいの価値を持つかというのを20年にわたって評価してみたというのでございます。それから、地域的な経済波及効果についてはまだ今やっているところでございまして、例えば産業連関表にしてもそれを作らなければいけないとかそういうところもございますし、そこは今後福井県あるいは敦賀市ともお話ししながら表を作って、インプットとしては建設あるいは運転といったところのインプットで波及効果を考えていくというようなことをざっくりと考えているところでございます。
 
【中熊委員】 我々も商業炉の再稼働にもいろいろと携わっていると、そういったところを訴求するのは非常に地元の関係の中では重要なプロセスだと思っておりますので、ぜひそういったところは明らかにしていただいて敦賀市とよく連携をしていただければと思います。ありがとうございました。
 
【峯尾(JAEA)】 承知しました。ありがとうございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。石川委員、どうぞ。
 
【石川委員】 ご説明ありがとうございました。資金の概算が出てきて、すごく具体性といいますか現実味が出てきたなと私も思ったのですが、最近オリンピックとか万博とかだと最初の見積りからすごく額が増えてしまったりして、これも何かそういうふうになると、では初年度はいくら掛かるのかみたいなことを思って、国民ががっかりするといけないので、ぜひこの規模感のまま行けるよう、いろいろ先ほどのデジタル技術等も活用しながら進めていただければと思います。
 あと地元への経済効果なのですが、そこに企業とか人が来るというのがあると思うのですけれども、やはりユーザーから見て魅力的な施設になれば、この国内外からたくさん研究者が照射しに来るということで、そうすると宿泊とか飲食とかそういうようなところの経済効果もありますし、複合施設でシンポジウムなどを開かれるようになればそれによる経済効果もあると思いますので、それが先ほどの90億円と比べてどれくらいの規模になるのかは私には分からないのですが、そういう定常的に人がいるというのとはまた違うようなインバウンド的なところも開拓していっていただけるとよいのではないかと思いました。どちらかというとコメントです。以上です。
 
【寺井主査】 いかがでしょうか。コメントということでございますが。
 
【村尾室長(JAEA)】 ありがとうございます。そういった視点を持ってこれから更に検討を進めていきたいと思います。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。尾崎委員、その後、高木委員、お願いします。
 
【尾崎委員】 設計工程について少し教えていただきたいのですが、資料1-1の10頁目と、それから資料1-2の11頁目で多少内容は違いますが同じことを書かれていると思うのですが、資料1-1の方の詳細設計のフェーズⅠ、フェーズⅡと見ますと、設計開発費と設計・製作費がステージⅡで重なって同時にやるということになっているのですが、資料1-2の方を見ますとフェーズⅠは基本仕様策定でフェーズⅡは詳細設計というふうに書かれているのですね。この関係が分かりにくいので御説明を頂けると有り難いなと思います。
 
【村尾室長(JAEA)】 村尾でございます。資料1-1の方の10頁の方の一番上の設計・安全解析のところの設計開発費と、その3つ下の設計・製作費がかぶっているというところを今おっしゃっていたのですね?
 
【尾崎委員】 そうです。
 
【村尾室長(JAEA)】 一番上の設計・安全解析といいますのが原子炉の部分の設計・安全解析になってございまして、その3つ下の設計・製作費につきましては実験装置ですとか利用設備の設計・製作になってございます。資料1-2の11頁の方に記載しておりますのは、こちらは全部原子炉施設の方のものでございまして、したがいまして、資料1-1でいいますところの設計開発費に当たるものになってございます。
 
【峯尾(JAEA)】 200億円の一部ということになります。
 
【村尾室長(JAEA)】 ですので、資料1-2の方には、資料1-1の10頁の方でいいます利用設備の開発・製作の方は記載してはおりません。
 
【寺井主査】 あくまで炉本体ということですね。
 
【村尾室長(JAEA)】 はい。
 
【尾崎委員】 では資料1-1の10頁というのは、この一番上が炉本体で後は全部周辺ということですかね。地質をどこに入れるかによりますが。
 
【村尾室長(JAEA)】 そうです。製作・据付というところは原子炉本体の部分が600億円というところが運転開始の直前のところにございますが、設計の部分につきましては一番上の部分になってきます。
 
【尾崎委員】 分かりました。
 
【寺井主査】 それでは、高木委員、どうぞ。
 
【高木委員】 ご説明ありがとうございました。最初の設置目的のところで、”我が国の原子力研究開発、人材育成の西日本の拠点”となっていて、西日本の方に住んでいる者としてすごく期待をしているところなのですが、資料にまとめておられます人材育成の拠点形成に向けたロードマップを拝見すると、どうしても”中性子利用の専門人材の育成”のように育成対象が限定されているかのような表記になっているのが少し気になりました。この中核となる中性子利用の専門人材の育成というのが最優先で、新試験研究炉はその使命を持っておられるのは理解しているのですが、ゆくゆくは原子力全体の人材も視野に入れておられるということを期待してコメントさせていただきました。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
【村尾室長(JAEA)】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、そこに限定するものではございませんので、原子力全体の人材育成というところにも貢献していきたいと思っております。
 
【高木委員】 運用を通じてどんどん人材が育ってくるみたいな。
 
【峯尾(JAEA)】 そういう場としていきたいと思います。ありがとうございます。
 
【寺井主査】 よろしいでしょうか。その他、御意見ございますか。和田委員、どうぞ。
 
【和田委員】 和田でございます。ありがとうございます。今の高木委員の御発言に関連してなのですが、更に広げて、大学だけではなくて、せっかく敦賀に試験研究炉ができるということで、地域の中学校や高校等とも連携して、初等・中等教育段階でSTEM教育に興味を持っていただくような広い取組を視野に入れて進めていただけると大変幸いでございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。よろしいですか。
 
【峯尾(JAEA)】 これは既に敦賀の方でも試みているところですので、そういったところは当然引き続いて、できるのは先ですが、あと研究者たちにとってみればアウトリーチしていくのは当たり前というところもありますから、そういうことでいろいろ貢献してもらおうというところも考えているし、皆そう考えていると思います。ありがとうございます。
 
【寺井主査】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。その他ございますか。リモートもおられませんか? では、私の方から一点だけ。細かい話で申し訳ないのですが資料1-2の5頁なのですけれども、JRR-3の現在の利活用の促進という話なのですが、上から三つ目の丸のところで、今中性子ビーム実験をやっておられると理解しています。それからRI製造も今後展開していこうというところを理解しているのですが、燃料・材料の照射というのがやや気になっていまして、もちろんされていると思うのですが、例えばフルエンスの限界があるとか、あるいは照射にしても単純照射があるとか、多分そういうことかと思うのですよね。これは高等照射ということになると少しフラックスの面でもやや問題があるので、ビーム炉ですので、しょうがないのですけれども、少しこの辺りの、専門の方は皆さんよく御存じなのですが、文章としてここに燃料・材料の照射と書くとこれでOKみたいな感じに捉えられる可能性があるので、ここはぜひご注意いただきたいなと思うのです。どういう表現がよいのか分からないのですが。この辺りはいわゆるJMTR後継炉をどうするかという議論とも若干絡んでくるので。もちろん私の認識ではそう簡単にはあちらは実現しないということはよく分かっているのですが、そのニーズに関してこれで終わってしまうということになると、そこでエンドみたいな感じになるので、少しそこだけはご注意いただきたいなと個人的には思っております。よろしいでしょうか。
 
【奥課長】 先生の御指導を踏まえて表現を検討させていただきます。
 
【寺井主査】 よろしくお願いいたします。その他はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。引き続き、ぜひよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。それでは、1番目の議題はこれで終了ということにさせていただきます。次に議題2ということで、原子力科学技術に関する研究・人材基盤の強化でございます。こちらも文部科学省 研究開発局原子力課の奥課長から御説明をお願いいたします。
 
【奥課長】 御説明をさせていただきます。資料2をご覧いただければと思います。これも同じように親委員会である原子力科学技術委員会のところに先月5月28日にかけさせていただいたものと同じ資料になります。ここは研究開発、基盤と人材の作業部会ということで、基礎研究あるいはその人材育成の取組についてもご審議いただきたいということで、今回御説明の機会を設けさせていただきました。
 3頁目をご覧いただければと思います。これは今回の作業部会での議論を始めるにあたって事務局の方から原子力科学技術に関する今後の政策の方向性として5本の柱を立てさせていただいています。1つ目が先ほどご審議いただいた新試験研究炉で、2つ目が他の作業部会でも議論させていただいている次世代革新炉、特に常陽、ガス炉の安定的な運用に関すること。3つ目が廃止措置を含むバックエンド対策ということで、これはバックエンド作業部会というのが別にありまして、ここで特に主要施設以外の中小施設の廃止措置に向けた新しい仕組みの整備というのを御審議を頂いているところです。今回ご議論いただきたいのはこの4ポツ目のところで、研究・人材育成基盤の強化ということで、一つ目が特に基礎研究を対象とするような原子力科学技術・イノベーションの推進、二つ目が原子力に関する人材育成基盤の強化ということで、ここを今後どうしていくのかという辺りをご議論いただきたいと思っています。5つ目の柱は1Fの事故への対応になります。
 4頁目ですが、これも改めてになりますが、昨今の原子力科学技術をめぐる現状として、左の図にありますように過去は原子力の世界でも日本はトップ集団を走っていたと思いますが、今は2位集団、3位集団に論文のレベルで落ち込んでしまっているということ。それと、右側の図にありますが原子力関係学科に進む学生の数、特に学部生の数というのが大幅に減少傾向にあると。原子力の名を冠する学部・学科というのも相当程度減ってしまっていて、実際に今学部レベルで原子力の名を冠するところというのは2大学しかないという状況があります。
 一方で、5頁目にありますようにGXの基本方針であるとか原子力委員会における基本的考え方、あるいは原子力閣僚会議における決定等において、研究開発・人材育成の基盤の強化に努めるであるとか、原子力機構あるいは大学においては原子力の研究基盤、教育基盤の維持・強化に努めるというふうなことが書かれています。こちらについて具体策を進めていく必要があるのではないかということで今回の提案に至っています。
 一つ目が、次の頁からになりますが、原子力システム研究開発事業というファンディングの在り方になります。7頁目にこの事業の概要を書かせていただいていますが、原子力システム研究開発事業(原シス事業)は、NEXIPという経産省と連携・協力して基礎研究を振興しようという枠組みの一環として事業を進めています。現在この事業については年間10億円程度の予算規模で大学等の研究者を対象とする一つの研究ファンディングとして事業を進めています。実際に基盤チーム型、それとボトルネック課題解決型、それと新発想型、特定課題推進型という四つの枠組みを設けていまして、基盤チームですと年間1億円4年以内であるとか、ボトルネックだと年間3000万、あるいは新発想については特に若手研究者を対象として年間2000万ぐらいのお金を支給しているところです。このうち特定課題推進型については今年度から新しくスタートしているプログラムになりまして、今年度は医療用のRI、それと少量核燃料物質の安定化処理に関するものというのを二つテーマとして公募しているところです。
 8頁目・9頁目が現在の原シス事業の採択課題について書かせていただいているものです。8頁目はご参考いただければと思いますけれども、9頁目を見ていただければと思いますが、核燃料物質あるいは被覆の材料であるとか群分離核変換の技術であるとか、最近ですとRIに関するテーマというのもいくつか採択をされているところです。かなりバラエティーには富んでいますが、原子力のコアな分野にかなり集中しているなという印象があります。
 10頁目で原シス事業の主な課題というのを抽出させていただいています。これは我々としてこの事業を進めていく、あるいは見直しをするにあたって関係する先生方にヒアリングをこれまで半年間にわたって行ってきました。そこで出てきた主な意見というのをまとめたものというのがこの10頁目になります。まず、原子力システム研究開発事業は原子力をもっぱら研究開発支援の目的とした唯一の競争的資金制度ということで、大変重要な位置付けだと思っていますが、ただし、この課題・指摘事項を踏まえて不断の見直しが必要だろうというふうに書かせていただきます。
 主な課題指摘事項として、まず事業の位置付けなのですが、この国の原子力政策、このGXの基本方針であるとか原子力利用の考え方において、この事業というのは必ずしも位置付け、目的、ミッションというのが明確にされていないというのがあります。もう一つが、先ほど申し上げたように原子力のアカデミアの水準の向上に必ずしもつながっていないのではないかというような問題意識があります。また、NEXIPの一環としてこれを支援していますが、経産省の事業とか企業の研究開発に実際につながっているのかということも一つ問題として挙げられるかと思っています。また、公募提案される課題の関係ですが、やはり既存の研究開発の延長線上にあるような課題が中心となっていて、新しい研究課題とか挑戦的な研究テーマというのが必ずしも十分ではないのではないか。あるいは他の研究分野との連携・協力というのが十分ではないのではないかであるとか、研究機関、企業における自ら行っているような研究との連携・協力体制が十分ではないのではないか。あるいは若手研究者について、独立した立場で参画する機会というのは十分確保されているのかどうかという辺りが問題点として指摘をされています。
 また、事業に関してですが、現在の課題数、特に基盤チーム型は年間1件程度とかかなり少数になっているので、この課題の件数、金額規模が十分かどうかであるとか、研究期間についてはおおむね3年から4年なのですが、実質的に研究を行う機関というのがそれより短くなっていますので、十分な研究期間が確保されているのかどうかということも問題かと思います。あるいはPD・POの体制で今進捗管理を行っていますが、これが十分かどうかという課題もあります。
 ということで、11頁目で来年度以降こういうふうに見直したらよいのではないかという事務局の一つの案を挙げさせていただいています。まずはこの原シス事業ですが、やはりもっぱら原子力を対象とする唯一の競争的資金制度ということで、国の原子力科学技術・イノベーションの中核事業としてきちんと位置付けるということが必要かと思っています。その上で見直しの方向性として特に新規領域の開拓を目指すようなテーマを重点的に支援するということで、来年度より新しく新領域開拓型のようなテーマ、枠組みというのを新設し、より新規性、独創性、革新性、挑戦性の高いような研究課題に支援をするというプログラムに改変してはどうかと。これについては特に具体的なテーマの絞り込み等を行わず、昔は基盤チーム型というのは燃料であるとか材料であるとか、ある程度そのテーマの対象というのを絞り込んでいたのですが、そういうことをせずにもっぱら先生方の自由な発想の研究提案を公募すると。特に原子核物理であるとか情報であるとか医学、宇宙といった他の分野との連携協力の拡大というのを推奨するということにしてはどうかと。これについては金額規模に応じて大規模チーム型であるとか異分野であるとか若手等にカテゴリー分けをしてはどうかと。あと研究期間については5年間を基本として3年目に中間評価、それでステージゲートを設け次に進むかどうかという段階を考えてはどうかと。あるいはその研究支援の一環として学生とか若手研究者の支援等、人材育成を推奨する形にしてはどうかということを書いています。
 一方で継続課題についてはここで中断というわけにもいきませんので、その研究期間満了まできちんとやっていただくと。その上で新しい公募採択は新領域開拓型に一本化するということにしてはどうかと。また、今後研究課題数というのは増えていくことも念頭にPOの数を増やしていってはどうかということとか、今はPD・POで進捗管理をしていますが、課題審査、最初の採択に当たった審査委員会のようなメンバーにPD・POと共に継続的に進捗管理していただくような枠組みを作ってはどうか。また、ここで定義したテーマというのは実際に実用化あるいは事業化に結び付けるということが非常に必要だと思いますので、コンソーシアムとか協議会を通じて成果の展開を図っていくということを考えてはどうかということを書かせていただいています。
 12頁目はそれを概略図にまとめたものになっています。同じように基盤チーム、ボトルネック、新発想というのを新領域開拓型に一本化し、ただしこの中でいくつかのカテゴリー分けにしてはどうかということ。研究期間については5年以内ということで一本化してはどうかということを書かせていただいています。ここまでが科学技術のファンディングに関するものになります。
 続けて、人材になります。文科省の方で国際原子力人材育成イニシアティブ事業という、これもファンディングのプログラムですが、これによりましてANECという教育のコンソーシアムに対する支援というのを行っています。
 14頁目ですが、先進的原子力教育コンソーシアム(ANEC)という枠組みを設けまして、これに対する支援というのを令和2年度以降、7年計画で進めています。現在、カリキュラム、国際、実験実習、産学連携という四つのグループに分けて、それぞれが関係する大学、研究機関あるいは企業さんに参画を頂いて、連携・協力しながら取組を進めているというところになります。年間の予算は大体2.5億円程度の予算規模になっています。
 これまでのANECの活動の概要として、15頁目・16頁目にありますようにそれぞれカリキュラム、実験実習、国際、産学連携で一定の成果というのは上がっていると思いますし、このANECの枠組みというのは幅広い関係機関に協力をする枠組みとして非常に有効に活用されているのではないかというふうに思っています。実際特にカリキュラムグループではオンラインの教材を制作・公開するであるとか、一部の大学の間では単位の互換制度というのも成立しているということもあります。
 16頁目のところにありますが、国際グループの活動では海外に学生であるとか若手の研究者を派遣するような事業というのも併せてやっているところであります。
 一方で17頁目にありますように、これも同じように関係者に対するヒアリングをさせていただいて、このANECの事業あるいはこの人材育成の事業というのは多くの賛同者、参画者を得て着実に成果を出すのは高く評価をされている一方で、やはりいくつか課題があるというふうに思っておりまして、こちらについて不断の見直しを行っていく必要があるかというふうに思っています。
 主な課題として下にいくつか挙げさせていただいています。まず原子力の人材層ですが、このANECの参加主体は、基本的に原子力の関係機関にのみとどまっていて、原子力のコミュニティ以外の学生とか研究者あるいは関係者に対して展開するということがまだまだ十分ではないのではないかということ。同じ大学の中でも原子力専攻以外の他の学部、他の学科の学生を呼び込むということがまだまだ十分ではないのではないかということが挙げられています。また、大学研究機関、産業界の参画状況ですが、原子力に関して体系的な原子力の教育を提供するという点に鑑みると、今の大学、研究機関が、積極的参画を頂いているのですが、一部の大学は個人の先生方の参画にとどまっているということもありまして、より大学の主体的な参画を促してはどうかということであるとか、あと企業さんについても、現在はメーカーの方々には御参画を頂いているのですが、例えば電力であるとか中小企業さんの方のところにもより参画を促してはどうかということ。あと現在は原子炉を持っている大学というのがもう限られてしまっていますが、実験実習の場の提供という意味からも、他の大学研究機関、企業さんとの協力関係というのも必要なのではないかということを挙げています。
 また、他のネットワークとの関わりですが、JAEA、原子力人材育成センター(JNEN)であるとか、あるいは原産協さんの原子力人材育成ネットワークというような他のネットワークの枠組みというのも多々ありますので、こうしたところとANECの連携・協力が十分なのかどうかであるとか、あるいはエネ庁であるとか規制庁の方でも原子力人材育成事業というのをやられているのですが、これとの連携・協力をより図っていってはどうかということも掲げさせていただいています。
 そうしたことも踏まえて18頁目で今後の見直しの方向性というのを書かせていただいています。これもあくまで事務局としての提案になります。まずはANECの活動は非常に有益な枠組みだと思いますので、これは原子力人材はやはり中核事業として明確に位置付けた上で、特に今後は専門的な知識を持つ専門人材と、より多様な人材、他分野・他学科も含めて裾野拡大というのも併せて車の両輪として進めていく必要があるのではないかというのを書いています。
 その具体策として18頁目にありますが、まず一つ目の人材の裾野の拡大という意味からは、原子力専攻以外の学生に対する教育機会の提供ということで、一般教養科目であるとか共通横断科目あるいは副専攻のような形で他学部・他学科の学生を対象に原子力の基礎教育を行うような枠組みを作ってはどうかということ。それと二つ目、主要大学の参画とありますが、石川先生には大変恐縮ですが、現在の大学に加えて例えば東京大学であるとか東京工業大学のようなところにANECの活動に大学としてより主体的に参画をしていただくようなことというのを考えていってはどうかということ。三つ目は産業界への参画促進ということで、企業さんに対してよりANECの活動に積極的に参画を頂く、その企業さんを増やすということはもとより、企業さんにとってのメリットを感じてもらうためにも、企業と大学との間で学生研究者の交流機会を増やすであるとか、企業さんの職員に大学教育に参画していただくであるとか、逆に企業さんの職員のリカレント、リスキリングの機会としてANECの取組を使うといったことが考えられるのではないかということを書いています。また、既存のネットワーク、他省庁との連携・協力はある種当たり前のことで、受け手側は大学で教育をやっているということは変わりありませんので、他のエネ庁、規制庁あるいは他のネットワークとの連携・協力をより拡大していくということが必要なのではないかということを書いています。
 19頁目は、先ほど申し上げたANECの四つのグループごとに、より具体的に見直しの中身を考えてはどうかということで書かせていただいていますが、かなり重複するところがありますので一点だけ実験実習グループのところです。学生の参加にあたって負担軽減を図るというのは当然必要だと思いますが、それに加えて今原子炉を持っている大学というのが近大と京大に限られているというところがありますので、より原子力の関係する幅広い施設を持っているようなところをリストアップしてデータベース化して広く利活用を促進するということが必要なのではないかということとか、JAEAが、運転している原子炉であるとか原子力に関係する施設・設備を多数持っておりますので、こうしたところをより大学の学生の利用に供するように幅広く開放してはどうかということを書かせていただいています。
 それを簡単にまとめたものが20頁目になります。20頁目に全体像を書かせていただいていますが、このうちカリキュラム、裾野の拡大に資するようなものであるとか実験実習の場の拡大であるとか、あるいは産業界の参画を促進するようなもの、こうしたものについて新しく新規課題を公募して、主体的に賛同いただけるような大学研究機関の参加を促すようなことというのは来年度以降考えていったらどうかということを書かせていただいています。
 参考として22頁目・23頁目にはこれまでヒアリングをさせていただいた先生方から頂いた主なコメントというのをざっと書かせていただいています。こうしたものを念頭に見直しの方向性というのを今回ご提案させていただいているというところであります。説明は以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。原子力施設の研究開発事業の話と、それから原子力国際人材育成イニシアティブ事業。これについての背景と今後の方策について御説明を頂きました。それでは、本件につきまして委員の皆様方から御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 
【奥課長】 一点申し忘れました。人材育成のプログラムでは黒﨑先生にPOを務めていただいていますので、よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】 黒﨑先生からも多分後ろの参考のところの有識者コメントを頂いているのかなと思いますが。いかがでしょうか。では、小澤委員、どうぞ。
 
【小澤委員】 小澤でございます。少し難しい問題かと思っていて、このプログラムが始まった頃に大学の創意工夫でもってどんどんやってくださいみたいな話をしたり、原子力工学の学科にとどまらずいろんな学科にぜひ広げてくださいみたいなことを言ったような記憶があるのですが、これを見るとなかなかそうなっていませんねというふうに聞こえて、それを解決するのに少し枠を外しましたとか期間を延ばしましたみたいな、失礼ながら言いますとそういう対症療法的な印象を受けていたのですが、では大体どうなりたいのかというのがいまひとつよく分からなかったというのが正直な感想です。
 私は結構良いプログラムだったのではないかと思っていたのですが、実際にやっている人からこういう不満が出てくるということは、もう一階層高いところに登って眺め直す必要があるのではないかと感じました。前回、J-PARCを使っている花王の方がいらっしゃいましたよね。そういうところまで広げてこういうプログラムをやるべきなのかみたいな印象も受けたのですが、そういうことなのでしょうか?
 
【奥課長】 それは原シス事業のことですか?
 
【小澤委員】 この原シスもANECもそうなのですが、対象をもっと広げるとか、どういう狙いがあってそのような見直しなのでしょうか。
 
【奥課長】 原シス事業の今の採択課題をバッと見ていると、年間に1件程度しか採択がされないということもあるのですが、やはり同じ研究課題がずっと繰り返し採択をされているような印象があって、新しい研究提案というのがほとんどなくなってきてしまっている印象があります。結局同じ人たちがずっと受けているというところもあって、研究者の層が拡大するというところができていないというのと、あと他の分野の人たちがここに入ってくるということがなかなかできていないのではないかと。その研究者の裾野も余り広がっていないのではないかというところがあって、既存の課題は課題としてこのプログラム自体非常に大きな成果を上げているとは思いますが、そこの範囲、対象をもう少し広げた方がよいのではないかという、要するに原子力の中核的なコミュニティだけではなくて、そこの周辺領域も含めて、よりコミュニティの範囲を広げて主体的に参加してもらうような枠組みを作り直してはどうか、より発展的にやってみたらどうかということで提案をさせていただきました。
 
【小澤委員】 そうすると、そもそもこの原子力システム研究開発事業という名前そのものが原子力って最初に3文字入っているので、それを見る他の分野の人々が俺じゃないなと思っていたら、既にそこに問題があるような気がしますし、ANECの方も、国際って最初の2文字書いてありながら余りそういうにおいがしていないという、名前が既に悪いのかなという気もするので、抜本的にそういうところを、今名前のことを言いましたが、狙いからして考えてそれにふさわしい名前を付けてどんどん来てくださいという感じのアプローチの方がよいような気がしました。それが正しいかどうか分からないですが、少し対症療法的な印象ですので、取りあえずコメントということで。
 
【奥課長】 名前はもちろん大事だと思うので、そこはまた来年度本当に見直すのであればそれも含めて考える必要あると思うのですが、そもそもの問題意識としてあるのが、原子力というのをどこまでの範囲として捉えるかというものがあって、今原子力といわれているものというのがどちらかというとやはり電力利用、エネルギーの原子力というようにかなり範囲が矮小化されてしまっているのではないかと。本来の原子力はもう少し広い学問分野なので、本来の原子力も含めて対象に考えるべきなのではないかというのがあります。元々は原子核物理学もそうですし材料もそうなのですが、周辺領域は本当は原子力といえるものは多々あるはずで、そうしたものにも研究課題として触手を伸ばしてもよいのではないかなというのも一つ問題意識としてあります。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。それは具体的にどうやっていくかというところを考えないといけないですよね。おっしゃったとおりで、例えば中性子利用などは正にエネルギーではないのだけれども原子力利用だと広く捉えられると思うのですね。そういうところは電力ではなくてもいろんなところから入ってこられて利用されるというふうになるとよいと思います。尾崎委員、どうぞ。
 
【尾崎委員】 私も全く同じテーマを考えていたのですが、その学際領域を広げましょうということだと思うのですけれども、文科省では今までそういう学際領域のテーマはかなり広範に募集されてきたと思うのです。それがうまくいったケースと、単に提出の書類を焼き直したようなものばかり増えたとか、割と2通りに分かれると思うのですよね。後者のようにならないようにするというのが重要だと思うのですが、そこら辺は文科省にノウハウがあると思いますので、ぜひそこを考えてやっていただきたいなというふうに思います。例えば学際領域でバイオとかになると結構基礎研究寄りのもので、それで意味があると思うのですが、おそらく今回の場合はかなりダウンストリームの研究になると思いますので、そうなると共同研究に大学だけではなくて企業を積極的に絡ませるというのを条件にするというのが、JAXA方式みたいなものですよね。テーマを変えるというふうにおっしゃったのはもう本当に賛成なのですが、ぜひそこを考えていただきたいなというふうに思います。
 
【寺井主査】 いかがでしょうか。
 
【奥課長】 ありがとうございます。おっしゃるとおり学際領域とはいっても完全に原子力から離れてしまうものをテーマとして挙げてしまってはもうこの事業の趣旨とは反するので、やはりその原子力を中核としておいて、そこの周辺領域とちゃんと結び付いていくというふうな研究課題を積極的に採用したいと思っています。学際領域をちゃんと受けられるようにしたいと思います。
 
【尾崎委員】 何となく予想されるパターンなのですが、確かに学際なのですけれども、本当の旧来的な原子力のテーマから何となく実際は離れていないではないかというようなテーマが増えるのは懸念事項というのですね。そうするとやはり旧態依然だなということになってしまいますので、そこの工夫でしょうかね。
 
【奥課長】 あともう一つは下流の話なのですが、企業との連携・協力は積極的に推奨すべきだと思います。その上で、文科省の役割をどこまで考えるかということなのですが、余りにもその下流に近いところというのは本来であれば企業であるとか、あるいはエネ庁さんがやるべき話であって、文科省の役割が何かといったときには、やはりその原子力におけるアカデミアの水準向上というのが一番の目的であるべきだと思うのです。なので、相当程度やはり基礎研究といいますか上流寄りのところを文科省としては支援の対象とすべきですし、そういうときにある程度下流の方も見越した形で、実用化を念頭に置いてその基礎研究にちゃんと注力するという形を整える必要があるかというふうに思っています。
 
【尾崎委員】 私はJSTやNEDOで大学発ベンチャーの関係の仕事をさせてもらっているのですが、JSTでも結構ダウンストリームになってきているなと思いますから、割とそこは文科省さんとしてはそういう方向性に行っているのかなと。おっしゃるように基礎研究のアップストリームに力を入れるとあるのですが、二つのミッションがあるかというふうに感じていたのです。
 
【奥課長】 いわゆる科研費的な本当にアップストリームのところと、あとそれとある程度出口側を見据えた上で基礎研究の方まで立ち返って研究開発を行う、それはもう出口まで含めて一体で行うというところなのですが、現状はどちらかというと後者の方で、科研費に近いところというよりは出口側を見据えた上での基礎研究を主に一体的に行うという形が望ましいかと。JSTでいうとCRESTみたいなイメージかというふうに思っています。
 
【寺井主査】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。黒﨑委員、お願いします。
 
【黒﨑主査代理】 ありがとうございます。今の議論をすごく興味深く聞かせていただいていました。言おうとしてきたことと違うことを言うのですが、原子力という言葉の捉え方というところが結構大事になってくるのだなというふうに思っていまして、例えばうちの京都大学の複合原子力科学研究所というのは原子力という言葉が冠に付いています。ただ、この研究所の中でいわゆる原子力原子力している人たちというのは大体3分の1ぐらいなのです。残りの3分の2というのは、先ほど奥課長がおっしゃったような周辺の少し広がったようなところの裾野のところでサイエンスをやっている方々で、ただ、原子炉を使ったり放射線を使ったり中性子を使ったりというような、そういう研究者になっています。
 もう一つ言うと、ではこの原子力システム研究開発事業(原シス事業)というのを現在取っている人というのはどういう人かというと、その複合研の中でもいわゆる原子力原子力した人しか取っていないわけですね。なので、やはりそれを少し広げていってというような話は可能性としては十分にあるのではないかなというふうに思っています。同じこの複合研の中でも原子力原子力していないところでも携わっている人というのは一定数いて、そういった方も対象にこの事業がなるということで、研究の幅も広がるし大きな成果が得られるのではないかというふうに思った次第です。
 それが一つと、もう一つは話はそれと共通するのですが、やはりこの裾野拡大というところをどうやって行くかというところで人材育成と研究開発の話がありました。研究開発の方でいうと、裾野拡大ということは、結局今まで我々が抱え込んでいたものを門を広げていろんな人に入ってきてもらうということを意味すると思うのです。そうなると、やはり今までやっていた人が周辺の人と競争になるわけです。なので、中にいる人は結構最初は苦しい思いをするのかもしれないのですが、でももう今やそんなことは言っていられなくて、やはりどんどんオープンにして、いろんな人がこの分野に入ってきて、中で競争して、競争によって更に良い成果を挙げるみたいな、そういう流れを作らなければもう原子力の未来というのはないのではないかというぐらい思っていまして。なので、もうずっと閉じこもっているだけではなくて広がっていくという今回のこの提案というのは私は大賛成です。中にいる人からすると結構厳しい未来が待っているのですが、そこは我々が頑張って力を付ければよいかというふうに思っています。以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。これはよろしいですか、御意見かとは思うのですが。
 
【奥課長】 いずれもおっしゃるとおりだと思います。研究と人材育成はやはり表裏一体だと思うのです。研究で魅力あるものがないと学生も集まってこないですし、裾野の拡大などできないと思うのです。なので、原子力のコアなものも当然必要だと思いますが、そこだけの研究に閉じこもっていては学生の集まりというのはなかなか望めないのではないかというふうに思っていまして。なので、研究の幅を広げるということと、その人材育成の幅を広げるということは、これはもう表裏一体として進めていく必要があるのではないかというふうに思っています。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。黒﨑委員、よろしいですかね。
 
【黒﨑主査代理】 はい。ありがとうございました。
 
【寺井主査】 その他いかがでしょうか。では、石川委員、どうぞ。
 
【石川委員】 私も今の黒﨑委員と同感で、原子力というものの領域を広げていくというのには結構賛成です。既に取られている方から見ると既得権益を取られるみたいなところもあると思うのですが、原子力の分野でも例えば放射線の医療応用とかになると完全にもうタンパク質を修飾する技術とかが必要になったりします。すると完全にもう生物系の人と連携しないとできないみたいな研究も出てきて、最初は元々原子力にいた人が中心になって、それで他の分野の人と連携して応募するというふうになると思うのですが、現状でも本当に原子力以外の人は原シスという競争的資金があるということさえ知らない。知られていないから、これは額が大きいのにこれを取っていても余り尊敬されないという感じなのですが、むしろその外の人と一緒に取ることによって「あっ、そういう制度があるのか」と。そして次の段階になると他の分野の先生が原子力の人に「こういうことをやりましょう」「こういう新しい研究ができるのではないか」というのを持ち掛けてどんどん広がっていく。そうすると他の分野の研究者も、自分の研究も原子力とかの気があるのだと。そこの研究室の学生も自分も原子力と関係があるのだというふうにしていって、やはり裾野がどんどん広がっていくというふうに思いますので、最初はやはりなかなか分からないところもあるとは思うのですが、広げていく試みというのは非常に良いと思っております。以上コメントでございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。コメントということで、よろしいですかね。多分参加者の裾野拡大、それからの研究分野の領域の拡大、それから他分野との連携、それから大学・企業間の連携、こんなところがキーワードとして出てくるかと思いますので、そういう形で今後の原シス事業を改めて設計していただくということかと思いますが、人材育成イニシアティブの方はいかがですかね。先ほど石川委員は奇しくもお名前が挙がっていまして、東大、東工大もう少し協力しろよという話だったのですが、いかがでしょうか。
 
【石川委員】 原子力科学技術委員会の時にもコメントをしたのですが、ANECに大学として参加していないのにはいろいろ私も知らないような経緯があるみたいなのですが、一つの理由として、東大の原子力国際専攻、原子力専攻で原子力のかなりの部分の教育をカバーできてしまっているからというところもあると思います。逆に、英語で講義をしておりますし、コロナの間Zoomで講義したものの全てではないと思うのですがレコーディングもありますので、例えばそういうものの著作権の処理をするとか、あと学生の顔とか名前が映り込んでしまっているのを削るとか、そういうことをすればかなり使っていただけると思っています。ただ、逆に著作権の処理をするとか学生の名前を消すというのは、やはり教員がするべき仕事ではないので、やはりそういうことを専門にやるような人がANECの中にいて、既にある授業とか教材を他の大学、ネットワークの中で活用していただけるというふうに持っていければよいのではないかと。原子力科学技術委員会では山本先生もオンラインでいらっしゃって、山本先生もおっしゃっていたのですがANECというのは教員のエフォートを増やすものではなくて減らすためにやっているということなので、やはり東大も東工大も恐れるのはエフォートが増えることで、寺井先生も研究時代どれくらい大変だったか御存じだと思うのですが、これ以上エフォートを増やされるのかというのがやはり一番恐れるところだと思いますので、既にANECに入っていらっしゃる大学あるいは研究機関、企業の方も、あるいは東大、東工大の側もともにエフォートが減るという、そういう前向きな方向でANECを活用できるようになっていくとよいのではないかと考えております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。少しむちゃ振りし過ぎたところはありますが、文科省さんはいかがでしょうか。
 
【奥課長】 石川先生、大変ご尽力いただいてありがとうございます。東大の方はおっしゃるとおり自ら一通りの必要な教育体系というのを整備できるという極めてレアな大学だと思いますので、それが一つと、あとこのANECの活動というのはいわゆるボリュームゾーンと呼んでいるのですが対象層というのがある程度どこでも活躍できるような一般的な原子力の専門性を持つような人材というところをターゲットとしているのですが、東大がむしろ本当にプロフェッショナルとして活躍していくような人材、研究者としても、あるいは技術者、プロジェクトマネージャーとしてもトップを担うような人材を育成するということで、若干ANECとその人材層の対象が違うということも一つこれまで主体的に参加いただけなかった要因かというふうに思っています。
 今回はその裾野の拡大に加えて専門性の向上というのも一つ両輪として進める必要があるのではないかということを掲げていまして、そうした中では特に東大とか東工大とかというところの参画をぜひお願いしたいなというふうに思っています。実際に今は東大の専門職大学院もJAEAの職員の方々が一部協力したり、いろんな協力の形というのは今東大の方でも進めていただいているところですので、ANECの方とも協力する形というのは作れるのではないかというふうに思っていまして、こちらも今後議論させていただきたいなと思っています。
 おっしゃるとおりエフォートを増やすという方向でやるとなかなかインセンティブは働かないので、そこは全体としてエフォートを下げるような形にしたいというのと、あと著作権の話がよく出てくるのですが、今はカリキュラムグループで北大を中心にやっていただいていますが、北大でも著作権管理をやる人材というのを専門的に用意していて、そちらは国際人材イニシアティブ事業のお金で支援をさせていただいているというところもあるので、そうしたところも参考になるかというふうに思っています。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。石川委員、何かございますか?
 
【石川委員】 いえ、大丈夫です。
 
【寺井主査】 多分どういう人材を対象にするかというところがやはりあるのでしょうね。プロフェッショナルな人材なのか、もう少し広く、レベルでいえば大学院の修士・博士以上ぐらいのところ、それから学部レベル、それから教養学部レベル、それから、先ほどお話がありましたかもしれませんが初等中等教育、それから企業人ですかね、いろんなレベルが多分あるので、そこを整理するというのが一つ大事かというところと、それから、専門的なスペシャリストの育成のところをどうするかというのも一つのケースとしてあり得るかなという感じですかね。
 エフォートを減らすための努力というのは極めて重要で、これなしではやはりなかなか絵に描いた餅でうまくいかないので、仕組みとしてそういうものをうまく作れるかどうかということかなというふうに思います。ありがとうございます。石川先生を名指しして申し訳なかったのですが、私も身につまされるところがありましたので、そういうところからコメントをお願いしました。ありがとうございました。その他いかがでしょうか。高木委員、どうぞ。
 
【高木委員】 ご説明ありがとうございました。この国際原子力人材イニシアティブの見直し方針について、私は全体的に素晴らしい内容だと思いました。もしかすると少し副次的な効果なのかもしれませんが、特に国際グループの過去のプログラム履修者と現役の学生の交流や過去の経験や情報等を共有する取組、それから産学連携グループの学生や研究者と企業の方との人材交流の取組というのが、学生が様々なロールモデルとかメンターという方々と接して、原子力分野で自分が活躍していくのだという現実的なビジョンを描きやすくなると思いました。実際、私も会員であります原子力分野で仕事を持つ女性の団体のWiN-Japanというのがあるのですが、そちらの方では大学生との交流会をずっと実施してきておりまして、ここ数年はロールモデルとかキャリア形成といったものがテーマとして求められています。私たちの方からは、働く女性ですので、仕事の経歴や内容だけでなく、いかにワークライフバランスを保っているかということも紹介しています。こういった場というのは、今は女性に限らず男子学生からも結構ニーズが高いと思っていまして、学生や若い人がこの分野で活躍するビジョンを持てるようになると原子力人材が流出しないといいますか、確実に人材確保につながっていくと期待できます。私たちだけではなく、いろいろなメンターとの接点が増えると、学生にとってはモデルやサンプルが増えるので、そういう交流の機会がこの事業でも多く提供されることを望んでおります。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
【奥課長】 ありがとうございます。国際グループは東工大を中心にやっていただいていますが、過去の派遣者と今の学生との間と交流して、国際的に活躍する人材はどういう人たちなのかということをきちんとロールモデルとして学ぶであるとか、企業さんでも実際にメーカーであるとか電力であるとかそういうところで活躍している方々に来てもらって、自分で将来的に就職した後のことをイメージできるような取組というのもやらせていただいています。こうした本当にロールモデル的なもの、活躍する姿というのを見せる機会というのは教育上非常に大事だと思っていますので、こうした機会は着実に進めてまいりたいと思っています。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。そういう意味ではいくつか出ていたと思うのですが、企業人による大学での講義であるとか、あるいはそういう企業の現場の方々の声が学生に届くようにという機会があると非常に良いなという感じがします。多分そういうのもプロジェクトの中に入れていただくような、そういう方策というのもあるかもしれないなと思いました。和田委員、どうぞ。
 
【和田委員】 ありがとうございます。和田でございます。先ほどから裾野の拡大という話が出ておりますが、ANECにつきましても見直しの方針ということで多様な人材の育成という点で裾野拡大という方向性が示されているかと思います。ここはぜひ進めていっていただきたいと思っております。原産協会では毎年、原子力関連企業の就職説明会を開催しているのですが、そちらでも原子力専攻以外の電気や機械、化学といった分野の学生の参加が震災以降急減してなかなか増えておりません。多様な分野の学生に興味を持ってもらい人材を確保したいと考えておりますので、裾野拡大の活動に大変期待しております。よろしくお願いいたします。
 
【奥課長】 ありがとうございます。これからどんどん原発を再稼働させていくであるとか、あと廃止措置であるとか今後福島の廃炉ということをやるにあたっては、人材層というのはかなり厚くしていかないと、とてもではないけど回らないというふうに思っていますので、これはANECの活動を通じて今の原子力専攻だけではない幅広い人材をきちんと教育して活躍の場を広げさせていただくということが大事かと思っておりますので、引き続き原産協とも協力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
【和田委員】 よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】 よろしくお願いします。先ほど17頁にありましたがJNENとかあるいは原産協会の原子力人材育成ネットワークとか、それから規制庁等の規制人材育成というのが結構あって、東大などはそこもやっていますよね。それから岡本先生が廃止措置もやっていますね。いろんなところをトピック的にやっているのですが、それとこのANECとの絡みをどういうふうに作っていくのかというようなところとか、それから経産省の産業人材の育成みたいのもありますから、その辺りをうまく、これも前から出ている話ですが、連携を取ってやっていただきたいのですが、何かヘッドクォーターといいますか、やはり欲しい感じがします。例えば学生さんに対する案内でもいろんなところから出ていて、学生さんから少し戸惑ってしまうみたいなところがあったり、時期が重なってしまうとか。そういう意味で全体をうまく整理できるような司令塔みたいなものがあるとよいなという気は前からしております。それも含めてお願いします。
 
【奥課長】 ありがとうございます。
 
【寺井主査】 小澤委員、どうぞ。
 
【小澤委員】 すみません、小澤です。先ほど大変失礼なことを言ったような気がして反省しているのですが。何だか分からないみたいな話も、名前が悪いみたいな話も、聞いていると少し違うかと思っていて、ひょっとしたら余り心配することではなかったかもしれない、周りから知られていないというのが一番大きいのではないかと思いました。先ほど和田委員から原産協の取組を紹介いただきましたが、私は電機工業会なので電気工学科の学生とはよく話すのですが、驚くほど原子力のことを知らないというのがよく分かってきました。外から見るとこの原子力コミュニティもそうなのですが原子力アカデミックコミュニティみたいなのも外から見るとよく分からないのではないかと思いますので、そこはもっとオープンになるべきだと思うし、向こうからも見えやすいようにしてあげるとか、こちらから誘いに行くぐらいのことは必要ではないかと思います。前の原子力委員の先生は東大の農学部でしたよね?
 
【寺井主査】 はい。
 
【小澤委員】 なので、そこの農学部でも放射線を使って何かやっていたと思うのですが。
 
【寺井主査】 中西先生ですね。
 
【小澤委員】 いろんなやっている人たちがあちこちにいるのではないかと思いますので、そこへのアプローチをやるだけでも随分違うかなと思いました。以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。よろしいですか?
 
【奥課長】 ありがとうございます。
 
【寺井主査】 では、中熊委員、秋山委員の順にお願いします。まずは中熊委員、お願いします。
 
【中熊委員】ありがとうございます。産業界の参画促進という点ですけれども、私も大して知識がないのですが、例えば福島第一の事故以降、ゼネコンなども独自に放射線管理部門を持ったり、そういういろんな原子力の知識が必要な企業というのが探せばいろいろいそうな気がします。そういったところのニーズとそれに合った適切なカリキュラムがあれば、そういうところの裾野というのはあるかなというふうに思うので、ぜひそんな取組をお願いしたいなというふうに思います。
 それからもう一点、資源エネルギー庁や原子力規制庁との連携・協力という点。これは先ほど寺井先生も司令塔とかオーバーヘッドとおっしゃいましたが、昔は何となく原子力委員会がそういったところの総合的な機能を担っていたような気もするのですが、今はそういう原子力委員会自体の位置付けが少し毀損してしまっているところがあってなかなかそういうところが期待できないのだとすると、こういう三者がしっかり連携して重複する部分をうまく削ぎながら効率的・合理的にこういったところの人材育成を目指していくというようなことは極めて重要だと思っていますが、先の確か原子力小委員会で同じようなことがエネ庁さんから御説明があったように記憶しているのですが、何かエネ庁さんとか規制庁さんと会話されている中身があったり青写真があったりするならば少し教えていただければと思います。以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。文科省さん、いかがでしょうか。
 
【奥課長】 ありがとうございます。人材育成事業では他省庁との連携・協力が非常に大事だと思っています。特にエネ庁さんの方では現在サプライチェーン人材育成というのを一つテーマに上げて原子力小委でも議論を始めています。我々の方としてもANECの活動を原子力小委員会の方で報告をさせていただいていて、これから実務的に具体的な協力ができないかどうかというのを考えていきましょうという段取りになっています。規制庁の方とも実務レベルでは相談はさせていただいているところですが、まだ情報交換にとどまっているので、ここは具体化するのはどうしたらよいかというのも併せて検討が必要かと思っています。今はあくまで我々と規制庁、我々とエネ庁みたいな形になっているので、こちら全体を束ねてもらうような枠組みというのは当然期待されているところです。おっしゃるとおり原子力委員会がいろいろなアクションプランをまとめて関係省庁を促しているというところもありますが、ああしたものの一つのモデルケースとして原子力人材をやってもよいのではないかと、ジャストアイデアですみませんが思いました。
 
【中熊委員】 ありがとうございます。ぜひそのような枠組みを実現していただければと思います。以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。具体的な御提案をぜひお進めいただければというふうに思います。よろしくお願いします。秋山委員、お願いします。
 
【秋山委員】 この18頁目のところに専門的な知識を持つ人材と裾野拡大というお話で、先ほどから裾野の拡大をどうするかというお話が出ておりますが、私の専攻でもやはりがっつりとこの原子炉のことをやっておられる先生と、それから裾野の方をやっておられる先生といらっしゃるのですが、何か役割分担のようなことをやってもよいのかなとも思っておりまして、専門的な人材は当然原子力の分野で必要ですし、それから一方で裾野の拡大というのも必要なのですが、それを両立するためにはやはり何か枠組みを別々にするであるとか役割分担をするとか、そういうふうなことを考えてもよいのかなと思いました。これは意見ですが、よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 
【奥課長】 裾野の拡大と専門人材というのは背反はしないですが同じではないと思いますので、それぞれごとにやはりプログラムというのを用意する必要があるかというふうに思っています。
 
【秋山委員】 ありがとうございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。その他はいかがでしょうか。よろしいでしょうか? それでは、どうもありがとうございました。非常に貴重な議論ができたかというふうに思います。引き続き今日の御意見を基に新しく設計をし直していただければと思いますので、よろしくお願いします。清浦審議官、お願いします。
 
【清浦審議官】 清浦です。今日は良い御意見を多数頂きましてありがとうございました。これは原シスも人材事業の方も両方に共通しますが、これから変えていく部分があるところは、その趣旨については応募する側の方々にちゃんと伝わるようにするというのと、それを審査・評価する側にも十分その趣旨が伝わるようなことをして、頂いた意見というのはちゃんと具体的に反映できるようにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
【寺井主査】 今の御趣旨は非常に重要なお話かと思いますので、ぜひそこの周知徹底をお願いしたいというふうに思います。ありがとうございました。それでは、以上で議題2を終了させていただきます。議題3はその他でございますが、特にこちらの方で予定しているものはございませんけれども、委員の先生方の方から全体も含めて御意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。特に御意見ございませんか? オンラインの方もよろしいですね。ありがとうございました。それでは、最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。
 
【竹之内課長補佐】 寺井先生、ありがとうございます。最後に事務局から今後の予定につきまして御連絡をいたします。参考資料4をご覧ください。次回の作業部会ですが7月5日の13時30分からの開催でございます。次回はこれまでの議論についての取りまとめについてお示しをさせていただきたいと思っています。また、本日の議事録につきましては出来次第メールで御確認をお願いした後に文部科学省のホームページで掲載をさせていただきます。以上でございます。
 
【寺井主査】 どうもありがとうございました。それでは、これで第22回の原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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