総務省・新着情報

第48回独立行政法人評価制度委員会・第65回評価部会(合同会議) 議事録

日時

令和6年4月15日(月)14:00~16:00

場所

ウェブ開催

出席者

(委員)澤田道隆委員長、原田久委員長代理兼評価部会長、長村彌角会計基準等部会長、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、浜野京委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)松本行政管理局長、武藤大臣官房政策立案総括審議官、谷口管理官ほか

議事

 本年度の調査審議の進め方について
 内部統制に関する取組事例

配布資料

 資料1-1 令和6年度の調査審議の進め方について
 資料1-2 令和6年度見直し対象法人の概要
 資料2 内部統制に関する取組事例

議事録

【澤田委員長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第48回独立行政法人評価制度委員会及び第65回評価部会の合同会議を開催したいと思います。本日の会議は、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。
 本日は議題が2つございます。1つ目は「本年度の調査審議の進め方について」、2つ目は「内部統制に関する取組事例」についてです。
 それではまず議題1、本年度の調査審議の進め方等について確認してまいりたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
【谷口管理官】  それでは、議題1、本年度の調査審議の進め方について御説明させていただきます。資料1-1の1ページ目を御覧ください。
 まず、見直し対象法人への調査審議につきましては、例年同様、8月まで主務省や法人の理事長などと意見交換を実施し、11月まで見込評価及び業務・組織見直しを踏まえた審議を行いまして、さらに、年明け2月にかけて、主務省が作成した次期目標案の審議を行うという流れになります。
 それから、会計基準等につきましても、まず、リースに関する会計基準の改訂等、企業会計の動向を踏まえた独立行政法人会計基準の改訂について、その必要性も含め検討を行うことや、事業報告書について、昨年度実施した標準的な様式等の改訂を踏まえ、改訂内容の反映状況の調査を実施することを予定しております。
 また、資料の2ページ目におきまして、令和6年度の委員会日程について記載しております。
 さらに、資料1-2では、今年度の見直し対象7法人の概要を一覧にしております。個別の法人に係る議論は、次回以降の委員会審議にて実施できればと存じますので、詳細の説明はこの場では割愛させていただきます。
 事務局からの説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 続いて、原田評価部会長から、評価部会の進め方につきまして御説明をお願いいたします。
【原田評価部会長】  まず、評価部会の今年度の体制でございますけれども、2つのユニットに分かれて活動をしたいと存じます。また、各ユニットへの委員の所属につきましても、お手元にお配りしている資料のとおり私から指名させていただきます。
 評価部会といたしましては、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方(基本的考え方)」及び「独立行政法人の業務管理及び内部管理について」を踏まえ、法人の使命や現状、業務管理・内部管理に係る取組の状況等を丁寧に主務省及び法人から聴取しながら、調査審議を進めてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【澤田委員長】  原田評価部会長ありがとうございました。ただいま説明がありました本年度の調査審議の進め方について、御質問等がありましたら、どなたからでも結構ですので御発言いただきたいと思います。
 栗原委員、お願いします。
【栗原委員】  今年度の見直し対象法人で、準用法人の国立健康危機管理研究機構(JIHS)については、令和7年4月に設立予定の法人ですので、今は法人設立前という中で、先ほどの今年度の調査審議の進め方にあった法人へのヒアリング等はできないのではないかと思いますが、主に主務省ヒアリングを行うことになるのでしょうか。また、設立直後からの目標に対して審議を行うことになりますが、準備は整うのでしょうか。
【澤田委員長】  ありがとうございました。事務局からコメントをいただきたいと思います。
【谷口管理官】  ありがとうございます。JIHSにつきましては、令和7年度設立予定の法人でございますが、既存の法人を母体にしてということでございますので、まず、既存の法人のこれまでの実績を見ていく必要があるかと存じます。それから、準用法人でございますので、来年度からの新目標案も委員会として見ていく必要があるということでございまして、こちらは、ほかの見直し対象法人と同じような形で、主務省ヒアリングを実施し、法人へのヒアリングにつきましては、先ほど申し上げました母体となる国立国際医療研究センター(NCGM)を中心に、これまでの状況などを聞き取っていただくというような形で進めていくことになろうかと存じます。
【栗原委員】  ありがとうございます。そうしますと、母体となる旧法人とのコミュニケーションもしつつ、新しく設立される法人については主務省とのコミュニケーションで補っていくと理解いたしました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。全体的には、これまで進めてきた方向性である、「基本的考え方」をベースに、しっかりとやっていきたいと思います。今回、見直し対象法人の数はそんなに多くありませんが、規模の大きい法人が結構あり、例年よりも、そういう意味では非常に難しいところもあろうかと思いますので、しっかりとやっていかないといけないかと思います。実際にスタートしてみて、様々な角度から考えていく必要があるかと思いますけれども、原田評価部会長、何か補足ありますでしょうか。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。JIHSについて、来年度スタートではありますが、母体となるNCGMと、厚生労働省の施設等機関である国立感染症研究所がございます。法人へのヒアリングでは、将来的に統合した法人になるにもかかわらず、組織ごとにヒアリングをすると、統合して1つの法人となることを見据えたヒアリングとしては望ましくないと思いますので、できるだけ1つの法人として、法人へのヒアリングと主務省ヒアリングを実施していくという必要があるかなと思います。
 もう一つ関連して申し上げると、ナショナルセンター(NC)6法人について、NCGM以外の5法人は今年度の見直し対象になっていないということになりますと、NCGMは現行目標期間の途中で終了し、JIHSとして新たに目標期間を設定するということになるのでしょうか。
【谷口管理官】  今の段階では推測にすぎませんが、恐らくNC全体の再編が絡む話でございますので、それに伴い、ほかのNCの目標も影響があるだろうと。その場合には、目標変更が出てくるのではないかと、今の時点でございますが、そのように考えております。
【原田評価部会長】  新しくつくられる法人で、現時点では見通しがまだつかないところもあるという理解でよろしいですか。
【谷口管理官】  はい。おっしゃるとおりでございます。
【原田評価部会長】  分かりました。ありがとうございます。
 以上です。
【澤田委員長】  金岡委員、お願いします。
【金岡委員】  ありがとうございます。先ほど澤田委員長からもお話がございましたけれども、今年度は見直し対象法人の数は少ないですが、金額面あるいは人員面で規模が大きな法人があるところ、これまであまり気にしていなかった、大きな法人をコントロールする主務省側の体制はどのように整備していらっしゃるのかということを、参考までに主務省ヒアリングのときに教えていただきたいと思います。大変少ない人数でコントロールされているとしますと、恐らくは、形式的なかなりの部分を法人にお願いするという形かと思いますし、かなり大きな体制でコントロールされているとするならば、相当な負荷をかけてやっていらっしゃるということで、各法人は恐らく専門性も高く、非常に優秀な人材を集めていらっしゃるかと思いますので、主務省側の体制がどうなっているかについて教えていただければ、調査審議の参考になるかと思った次第です。
 以上です。
【澤田委員長】  事務局いかがでしょうか。
【谷口管理官】  ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。4月下旬から順次主務省ヒアリングを始めてまいりますので、そういったところも問題意識を持って聞いていければと思っております。
【金岡委員】  ありがとうございました。
【澤田委員長】  大体よろしいでしょうか。それでは、本年度の調査審議につきましては、本日議論したとおりのスケジュールで進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、次に議題2として、内部統制に関する取組事例について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【渡邉企画官】  独立行政法人の内部統制に関する取組事例につきまして御紹介をさせていただきます。
 先般のシンポジウム後のアンケート、また、昨年末に実施いたしました委員の方々と監事の方々の意見交換などにおいても、内部統制について関心が高かったことから、今回、内部統制を取り上げるものでございます。具体的には、統計センターと教職員支援機構(NITS)の2法人です。
 統計センターは、常勤職員約600名の行政執行法人となります。理事長や理事からの定期的なメッセージの発信、内部統制推進月間の設定などの取組を通じて、職員の内部統制についての意識の醸成を図っている法人でございます。
 2つ目のNITSは、常勤職員約40名の中期目標管理法人でございます。大変小規模な法人でございますけれども、小規模法人であるからこその特性を生かして、理事長による日常的なモニタリングを通した内部統制の強化をされている法人でございます。
 それでは、具体的に統計センターから御紹介をさせていただきます。統計センターの基本的使命といたしましては、常に正確で信頼できる統計データを作成し、国民生活の向上と社会経済の発展に貢献するというものでございますけれども、この使命を果たすために、理事長のリーダーシップを十分に発揮できるよう、内部統制の充実・強化を図られているものでございます。主な取組内容は、3つでございます。
 まず、1つ目は理事長等からのメッセージの発信によるミッションの周知徹底でございます。法人設立当初から、理事長をはじめとする役員からのメッセージを毎月発信されているようでございます。現在は、非常勤の理事を含めて4名の役員の方々が毎月交代でメッセージを全職員に発信されているようでございます。令和5年度から御就任された佐伯理事長は、理事長の担当月以外の月においても、理事長のお考えなどをまとめたショートメッセージを発信されているようでございます。その時々の統計センターを取り巻く状況や課題などに対する役員の考えをこうしたメッセージという形で発信されており、職員が日々目にするイントラネットのトップページの目立つところにこうしたメッセージを置き、皆様が目にすることができるようになっているそうでございます。また、法人内の各種会議においても、役員のメッセージについて伝達されるということでございました。こうしたメッセージを通じまして、法人のミッションや、組織運営に関する役員の考えについて職員の理解の促進につながっているということでございます。
 2つ目の取組は、リスク管理でございます。平成27年度からの改正後の独立行政法人通則法で、内部統制の整備について業務方法書で記載することが義務づけられてから本格的に検討を始められたということでございまして、民間御出身の役員の方や、監査法人に依頼して実施した勉強会などで得た助言を基に御検討されたということでございます。
 どのようにリスクを整理したかと申しますと、主に「重点管理項目」と「日常管理項目」に分けて整理されているということでございます。リスクが発生することによる影響度、リスクが発生する可能性、発生頻度を踏まえて、統計センターの業務運営上、特にリスクの発生を抑制する必要があるものは「重点管理項目」、それ以外は「日常管理項目」として整理されているということでございます。
 リスク管理の1年の動きといたしまして、まずは、新たな年度が始まる前にリスクの洗い出しをしているということでございます。各課室から提出されたリスク一覧について、影響度や発生頻度を用いたリスクマップ形式で取りまとめ、スコアの高いものを中心に「重点管理項目」と置いているそうでございます。
 年度中は、各課室長の下の日常的なリスク管理を通じて、後ほど御説明いたしますけれども、10月から11月に設けられている内部統制推進月間において、重点的にリスクについて総点検をされるそうでございます。
 まずは、リスク内容や対応状況などについて全課室内でリスクを再確認して、リスク管理の統括責任者をトップとするリスク管理委員会において審議され、その後、「重点管理項目」として整理されたものについては、理事長をトップとする内部統制委員会においても重点的にモニタリングをされるということでございます。
 3つ目の取組は、内部統制推進月間の設定でございます。令和3年度から始まったもので、各課室における内部統制に関する取組の確認・見直しを実施するために設けられた期間でございます。
 まずは、全役職員を対象に、内部統制に関するeラーニングを実施されております。独法における内部統制とは何か、そして統計センターにおける内部統制とは何か、基本的な内容について全役職員の理解の醸成を図っているということでございます。また、先ほど御紹介したリスク管理のモニタリングをやっているそうでございます。
ここまで御紹介した主な3つの取組を通じて、理事長のトップマネジメントを発揮できる環境が整備されたということでございます。
 さらに、佐伯理事長主導の下、経営理念も見直されまして、今年度からの経営理念においては、「全ての職員が成長でき、ここで働いてよかったと思えるすばらしい組織を追求する」という文言が追加されたということでございます。今後も内部統制については、仕組みの構築のみで安心せず、常にメンテナンスをしつつ、そしてまた、内部統制推進月間も有効に活用しながら、今後も取組を継続していく方向であると伺っております。
 続きまして、2法人目のNITSにつきまして御説明をさせていただきます。NITSは、教職員の資質向上に寄与することをミッションとして掲げる法人でございます。令和3年4月に御就任された教員御出身の荒瀬理事長により、「ミッションを組織内の各層に浸透させることが内部統制の強化につながる」という御認識の下、ここに記載しております主に3つの取組を進められたということでございます。
 1つ目は、行動規範の改正などを通じた職員へのミッションの浸透でございます。まず、行動規範を改正され、ミッション達成のためには、風通しの良い組織づくりが重要であるということを明記されたということです。
 次に、法人ミッションを理解した出向者の受入れとして、学び手主体の発想に基づく研修を実施する「次世代型教職員研修開発センター」という部門が昨年度から創設されており、この創設に向けまして、理事長をはじめ役職員が全国約30の教育委員会に直接訪問し、NITSのミッションや今後の取組の方向性などについて、教育長などに御説明されたということでございます。その結果、NITSのミッションを理解した方々を出向者として受け入れることができ、組織全体としてのミッション浸透、そして共有が進められたということです。
 もう一つが、全役職員が参加する「NITS会議」の開催でございます。こちらは、ミッションの啓発を主目的に開催されているもので、文部科学省における教育政策の動きや、それに伴うNITSの事業の在り方の共有などを通じて、全役職員がNITSのミッションやNITSに求められる役割を意識して業務に取り組むきっかけとなっているということでございます。
 主な取組の2つ目でございます。こうして、理事長を中心に浸透させたミッションが本当に浸透しているのだろうかということを直接確認するために、職員との対話を大切にしたいということで、理事長自ら日常的モニタリングを強化されているということでございます。
 まず1つは、理事長が、非常勤職員含めて70名ほどいる事務室を訪れて、直接職員と気軽にコミュニケーションを取り、職員の近況や業務の進捗状況などを把握して、場合によっては、そこで得た情報を、先ほど言及したNITS会議の場で共有されているということでございます。
 また、荒瀬理事長が御着任された令和3年度からは、職員との意見交換ということで、1グループあたり4、5名ではございますけれども、職員との意見交換に時間を割き、自らがファシリテートする形で、職員一人一人と対話されているということでございます。ここで得た御意見や御提案などにつきましては、必要に応じて対応されているということでございまして、その対応例というのが、資料に記載の2つでございます。
 1つ目は、「プロパー職員も教育の専門性を学ぶ機会が欲しい」ということで始まった取組です。NITSは約4割が教育現場などからの御出向者でございまして、教職員向けの研修を実施するのがメイン業務ですので、どうしてもこうした教職に精通した方々が主要業務の中心を担われており、なおかつ、これらの方々は、1、2年で入れ替わってしまうため、引継ぎなどをプロパー職員がフォローしており、なかなか専門性を高める機会や時間がないということで、そうした要望を受けて創設されたのが「国内研究員制度」でございまして、昨年度からプロパー職員の方々が2年プログラムの教職大学院に派遣されているということでございます。
 もう一つが、「講義形式の研修動画だけでなく、いろいろな形態の動画を制作したい」ということで、NITSでは集合・宿泊型の研修のほかに、オンライン研修の実施や、全国の教職員の方々に多様な研修機会を提供するために、YouTubeでのコンテンツを充実させておられまして、その中でドラマ形式での研修動画、例えば保護者会や保護者との個人面談の場面で注意すべき点などについて、実際の例を基にドラマ仕立てで紹介されているものがあります。このほか、対談形式の動画なども制作されるようになりまして、現在も新たなスタイルを模索しているということでございます。
 主な取組の3つ目は、今までの2つの取組で浸透させたミッションの達成を阻害する要因をリスクとして整理して、その管理を重視しておられるということでございます。民間御出身の役員、監事の方の御助言、御知見を基にリスクを整理されたということでございますけれども、業務フロー図の作成と併せて、リスク内容や実際の対応の方向性などを整理したリスク対応計画を策定されているということでございます。
 先ほど申し上げたように、NITSでは出向者の方が約4割いらっしゃり、職員の入れ替わりが多い状況でございますので、リスク管理の継続性の担保が重要になってまいります。NITSでは、毎年度初めに転入された方々に対してリスク対応計画を共有することで、NITS全体のリスク概要を把握してもらうことを通じ、危機管理意識の醸成を図っているということでございます。
 こうした取組を通じて、NITSの職員一人一人が働きやすい職場づくりにつながっているということでございます。また、双方向のコミュニケーションをより活発化させようと、さらなる取組を継続していくということでございます。
 以上、特に今回は理事長によるトップマネジメントを中心とした取組事例を御紹介させていただきました。シンポジウム後のアンケートでも、シンポジウムで御紹介した法人がやや大規模であり、大規模法人だから取組が実施できるのではないかというような御感想をいただきまして、そうした御指摘も踏まえ、今回は中規模、やや小規模な法人を取り上げさせていただきました。今回のお話を聞いて、こうした取組を御検討される法人がいらっしゃいましたら幸いでございます。
 以上、簡単ではございますが、取組事例の御紹介をさせていただきました。
【澤田委員長】  渡邉企画官、ありがとうございました。法人において、特に内部統制はこれからより重要になってきます。今回の事例は、理事長を中心に、いろいろな角度から内部統制に取り組んでいる事例を2つ挙げられましたけれども、ただいまの報告につきまして御質問等ございましたら挙手いただきまして、さらに議論を深めていきたいと思いますけれども、皆様いかがでしょうか。
 天野委員、お願いします。
【天野委員】  ありがとうございます。シンポジウム後のアンケートでは、大規模な法人の取組が多く、小規模な法人の取組を紹介してほしいという意見があり、今回中規模や小規模な法人の取組を紹介したということだと理解しました。
 確かに内部統制については、どの法人でも苦労されていると思われるところ、法人の規模に違いはありますが、根幹は共通していると思います。ちなみに、87法人について、大規模、中規模、小規模といった法人の規模は、どのような分類分けとなっており、それぞれの割合はどのぐらいであるのかを参考までに教えていただきたいと思います。また、こうした取組の成果をどのように発信していくおつもりなのかということも教えていただけますか。
【渡邉企画官】  ありがとうございます。大規模、中規模、小規模は、法人の人数によってグルーピングをさせていただいております。今後の発信の仕方といたしましては、内部統制一つ取っても、いろいろな角度、切り口で御紹介できることはあろうかと思いますので、様々な法人のあらゆる優良事例を多様な角度で拾い集め、こうした委員会の場で発信させていただくことや、シンポジウムの場などでお話しさせていただければと思っております。
【天野委員】  いつも同じようなことを申し上げるのですが、このように委員会の場で取組を御紹介いただいても委員だけが知っている状態で終わってしまうと思います。せっかくこうして集められた事例をどのように発信していくのかということは、委員会として考えていかなければならない問題ではないかなと思いますし、もし今回の事例をどこかできちんとお出しになるのであれば、先ほどの大規模、中規模、小規模のように、一種の法人全体の姿みたいなものを併せて示すと、受け手側としては非常に分かりやすいのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
 せっかくおやりになっていただいている取組の成果なので、何らかの形で具体的な姿を見せていただけると良いと思います。よろしくお願いします。
【渡邉企画官】  ありがとうございます。見せ方の工夫という点を入れていきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 島本委員、お願いします。
【島本委員】  私も天野委員の意見と同じく、非常にいろいろ工夫されているということをポジティブに受け止めており、しっかり成果を宣伝すると良いと思います。私からは感想に加えて2点確認をさせていただければと思います。
 まず内部統制については、民間企業でも非常に重要なアジェンダになっております。内部統制という言葉の印象としては、トップダウンで管理体制の強化を図るというニュアンスが強いかと思いますが、恐らく今、民間企業でも若い人がどんどん辞めてしまう時代であり、組織の目標設定をしっかり持つということで社員のモチベーションを維持させることが、人材獲得の観点でも重要なポイントになっていると思います。特に統計センターについては、そもそも公的な統計が必要な社会基盤になっていることに加えて、ビッグデータが横行する中で、信頼性の高いデータが一段と大事になっているため、やはり職員のモチベーション維持が社会的にも重要なのだろうなと想像します。
 そうした観点からお尋ねしたいのですが、御紹介いただいた取組の中で、法人のトップが毎月メッセージを発信するということは負担も大きいと思われ、頑張っていらっしゃるなという意味では心強く感じるのですが、一方で、職員の人数も多い組織なので、理事長や役員の方が発信したメッセージを職員がどのように受け止めているかを確認できているのか疑問に感じました。一方向で発信するのではなく、職員からの感想などを加味されていらっしゃるのかという点を教えていただきたいと思います。
 一方、NITSについては、職員に対する意見交換の場を定期的に設けており、4、5名ずつといった少人数での意見交換会なので、理事長が自らフィードバックを確認されているということだと思います。今後の展望として、風通しの良い職場環境の形成が必要だと認識されているようですので、職員数が少ない中で出向者の割合が高いこともあり、やはり組織内の風通しを改善することが課題になっているのかなと拝察いたします。その点では、職員が次々に入れ替わっていく組織の中で、風通しの良い職場環境、職場風土の形成について、どのような方策を持っていらっしゃるかということを教えていただければと思います。
 以上の2点です。よろしくお願いします。
【渡邉企画官】  ありがとうございます。統計センターについては、特にアンケートを取っているということではなく、随時職員の感想を聞かれているそうでございます。特に総務部の方がこの辺りは中心になっているそうですけれども、こちらの方々が随時職員の声を聞きながら、内部統制の在り方について、役員と御相談されつつブラッシュアップを図られているということでございました。
 NITSにつきましては、日常的モニタリングで、そもそも毎日、1日数回事務室に理事長が訪れて直接会話をされるということですので、毎日の会話を通じて職員の方々の感触を得ているものと思います。また、風通しの良い職場づくりに今後更に力を入れていかれるということでございますけれども、まず、NITSで何をやっているかと申しますと、例えば職員同士が自由に対話できる場の設定や、意見投稿フォームの設置などの実現を図っているそうでございます。
 特に職員同士で自由に対話できる場というのは、PLC(Professional Learning Community)という組織を発足し、若手プロパーの職員の方が中心になって運用する情報共有の場で、隔週で1回1時間程度、誰でも参加できる形で業務に関する様々なテーマについて自由に意見交換を行う場ということで設定されているようでございます。
 また、管理職員と職員による面談・対話について、例えば令和5年度におきましては、管理職面談に加えて、人事担当課長がプロパー職員の思いを聞き取るための面談を行ったということで、令和6年度以降においても、こうした個々人との面談はやっていきたいということで伺っております。
【島本委員】  ありがとうございました。若手同士で集まるということは非常に良い戦略かと思います。また、トップダウンに加えてボトムアップも大事な時代になっているので、質問させていただきました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 横田専門委員、よろしくお願いします。
【横田専門委員】  ありがとうございます。事前にいろいろな法人の内部統制の書類を読み込んだ中で、今回、この2法人を抽出していただいたと伺っております。もちろん中規模、小規模の法人ではありますけれども、その取組が大規模な法人であっても転用が利く内容の御共有をいただいたと考えております。
 共通して感じたのは、全法人、本当に外部環境が変化する中での内部統制であるということでございまして、統計センターはここ5年、社会の注目を浴びるようなこともありましたし、NITSに関しても、デジタル化が進む中で端末が全国に配付され、教職員の在り方が変化する変革期でもありますので、そういった中で、トップ自ら定期的に考え方を示す努力をされているのは非常に重要だと感じました。その上で、内部で完結するだけではなく、外部の知恵を取り入れることや、職員の派遣を実施する努力をされていることは非常に良い点だと思っております。
 個別には幾つも良い点がありましたが、統計センターについて、「重点管理項目」を決めて重点月間を設けるという取組は、今大事なことは何かということを、その時々共有していくという重要性も感じましたし、NITSについて一番注目したところは、日々のコミュニケーションももちろんですが、法人内部だけではなく、強力に関係する機関にしっかりと法人のトップが行脚をして考え方を共有していくという点でございまして、非常に重要だと感じました。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。河合専門委員、よろしくお願いします。
【河合専門委員】  御説明ありがとうございました。両法人の取組、ともに非常にすばらしいものだと受け止めました。日本の行政組織においては、まだまだ内部統制システムに関して、民間企業ほどには理解が浸透していないと思うのですが、イギリスの中央政府の省庁においては、内部統制に関してシステムをつくり、その上でシステムの有効性のレビューをしなければいけないという仕組みがございます。その中には、「リスク・統制フレームワーク」という言葉で、本日御説明をいただいたようなリスク管理の計画のようなものを作成しておく必要性があるのですが、まさに今回の2法人は、そういった取組をなされている好事例だと受け止めました。
 統計センターについては、委員長を理事長とし、理事、経営審議役及び部長級で構成されている内部統制委員会や、経営審議役が委員長で、部長、課長級の方で構成されているリスク管理委員会が設置されているということですが、各委員会で有効性のレビューをされる中で、法人の監事は何か関わりを持っていらっしゃるのでしょうか。監事が内部統制を第三者的にチェックすることはやはり必要なことで、監事がこれらの委員会に対して、何か直接的に関わられているのかということを教えていただきたいと思います。
 また、NITSについて、リスク対応計画を作成いただくことで、リスク管理をされているわけですが、有効性レビューに関しては、例えば業績評価以外にも何か機会があるのでしょうか。つまり、統計センターの委員会のように、業績評価とは別にそういった有効性の評価を行うような場を設けていらっしゃるのかどうか、また、実際どのようになさっているのかというところをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉企画官】  ありがとうございます。まず1つ目の統計センターについて、監事はこうした委員会の中には入らずに、統計センター全体の内部統制が有効に働いているかどうかということを外側から監査されている、御覧になっているということで伺っております。
 NITSについては、特化した委員会はありませんが、NITS全体の管理運営に関する重要事項について、年3回ほど審議を行う評議委員会が設けられており、これは全員外部の方で構成されているものでございます。審議した上で、必要に応じて理事長に助言をする会議体として伺っております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋委員】  ありがとうございます。個々の2法人の取組とは違う観点から、今後に向けてのコメントをさせていただきます。先ほど、内部統制について個々の法人が対応するときに、やはり法人の規模により業務の基礎体力が異なるというようなお話がありましたが、法人の規模もさることながら、法人が行う業務の対象によっても、内部統制というものの重要度が異なってくるのではないかと思います。
 特に、今年度の見直し対象法人の中で規模が大きい国立研究開発法人を念頭に置いたときに、内部統制についてよりシリアスに考えたほうが良いタイプの法人と、いわゆる一般的にきちんと対応したほうが良いタイプの法人と、言葉を丸めて申し上げますと、シリアス度が2階層に分かれるのではないかと思った次第です。よりシリアスなタイプの法人というのは、今年度の見直し対象法人の中で、国立研究開発法人ではないかと。特に、国際的な動向の中で、いわゆるデータに関するセキュリティは非常に重要で、ある一定基準を満たさないと、国際的な学会等の中でその成果の真意がきちんと認められないというところまで来ております。
 また、研究開発や個人情報を業務として取り扱う法人については、そもそもの要求度が非常に高いのではないかと思います。一方で、個人情報を取り扱わない法人においては、もちろん法人内部の情報は重要かつ秘匿するべきだと、そういうものもあると思いますが、いわゆる民間企業でも一般に必要とされるような内部統制のレベルが求められ、少なくとも2階層ほどに区分されるのではないかと思いました。
 その上で、今後見直し対象法人の調査審議を行う委員会において、よりシリアスな業務が対象となるような法人に関しては、内部統制について、それ以外の法人に求められる基準に加えての要求水準というものがあっても良いのではないかと思いました。個人情報や研究開発ということを例示させていただきましたが、ほかの業務についても同じように国際的もしくは社会全般からの要求度が高いものがあれば、委員会の場で共有するのも良いのではないかと思いました。
 以上です。
【澤田委員長】  渡邉企画官、いかがでしょうか。
【渡邉企画官】  法人によって内部統制の中身は異なってくるものかと思いますので、個別具体に見ていく必要があるという点において、御指摘のとおりかと思います。
【澤田委員長】  各法人に共通している部分と法人ごとに特殊的な部分を峻別して考えていかなければ、内部統制は一言で言ってもそんなに簡単ではないかと思いますので、今後、我々委員会において、視点を多面的に持っておいたほうが良いのではないかと思います。ありがとうございます。
 浜野委員、よろしくお願いします。
【浜野委員】  御説明ありがとうございました。いろいろな取組を御紹介いただき、先ほど来お話が出ていますように、例えば、理事長や法人内部の御努力は非常によく分かりましたが、より近い外の目というものをもう少し生かしていただく必要があるのではないかなと思いました。外の御意見を聞かれる会はあると思いますし、先ほど委員がおっしゃったように、監事の目をもう少し活用されたほうが良いのではないかと思います。法人内部のこともよく分かっており、外の目でも見ることができる監事が、定期的に、例えば人材育成についてコメントするなど、リスク管理の中に監事の意見を入れていただくのが良いのではないかと思いました。
 そのような点で、NITSでは、監事からの助言を受けるということを定期的になさっているということで、監事の目を取り入れることができていると思います。一方で、今回の取組において、意見を言っても良いというような雰囲気が生まれたということで、小規模な法人においても、まだ役職員間に少し隔たりがあるのかなと感じましたので、ぜひこのような会をたくさん持っていただき、こういったところをもう少しリスク管理できちんとやってほしいというようなことを、監事から法人内部の職員に示唆するような機会があると、より内部統制が進むのではないかと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。渡邉企画官、いかがでしょうか。
【渡邉企画官】  貴重な御意見ありがとうございます。今後、事例紹介させていただくにあたり、今回頂いた御指摘も踏まえながら御紹介させていただければと思っております。
【澤田委員長】  長村委員、よろしくお願いします。
【長村委員】  ありがとうございます。私も、いずれも大変良い取組だと感じております。内部統制と言いますけれども、やはり大きな要素の1つはリスク管理だと思っておりますので、そういった意味では、風通しの良さは非常に重要だと思っております。
 もともと独法の内部統制というのは、ミッションの達成を阻害する要因を排除していくということが発想の根本にあると思います。そういった意味では、トップのメッセージがしっかり伝わる仕組みをつくっていくこと、また、やはり大きな組織だとなかなか難しいという御意見は確かにありますが、統計センターが、内部統制月間に各課単位で行っているミニ対話集会のような場においても、しっかりと法人のミッションをお伝えして、場合によっては、守りというよりも、むしろ攻めの観点で、法人のミッションを、リスクを除外した後にいかに達成していくかという議論の場にもしていけると、内部統制はより一層有効に活用できるのではないかと思いました。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。こうしたすばらしい取組が、有効的に働いているかどうかは非常に重要だと思います。そのため、こうした取組が、最終的にはコンプライアンスの強化やリスクの顕在化というところに結びつくなど、有効性や結果をきちんと併せ持って考えなければならない問題です。やったから良いというわけではありません。役員側と職員側がそれぞれどう受け取るかにもよると思いますが、成果についてもう少し詳しく説明していただけるとなお良いのかなと思います。
 大体よろしいでしょうか。ほかの法人の参考となる事例だと思いますので、これからもこうした事例紹介は今後も積極的に取り組んでいければと思います。
 最後に、事務局から次回の日程等の説明をお願いしたいと思います。
【谷口管理官】  次回の委員会については、7月25日木曜日10時から開催を予定しております。会場等については、別途連絡させていただきます。
 以上でございます。
【澤田委員長】  それでは、以上をもちまして、第48回の独立行政法人評価制度委員会及び第65回評価部会の合同会議を閉会いたします。本日は、皆様、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 
 
(以上)

発信元サイトへ