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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年7月5日(火)13:00~13:22 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 まず本日の閣議において、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」を決定しました。2019年4月から5月にかけて開催されたストックホルム条約第9回締約国会議の決定を受けて、2021年に「PFOA及びその塩」について化学物質審査規制法の第一種特定化学物質にしていています。
 今回の政令改正はこれに加えて「PFOAの分枝異性体又はその塩」及び「PFOA関連物質」を第一種特定化学物質に指定するものです。
 施行後、これらの物質の製造・輸入等は原則禁止となります。引き続き、化学物質による環境汚染の防止を通じて、国民の安全・安心の確保に努めてまいります。
 次に、7月8日、10日及び11日に熊本県水俣市などを訪問し、水俣病関係団体と懇談を行います。5月1日の関係団体の皆様との懇談の場において、環境省の職員が時間を超過した一部の方について、発言の途中でマイクの音量を切るという不適切な運営が行われました。5月8日に私自身が謝罪に訪問させていただいた際に、団体の方々から再度の懇談の開催についての御要望をいただき、今般、団体の方々との調整を経て開催することとなったものでございます。5月1日、8日、そして6月5日の「全国公害被害者総行動デー」でいただいた御要望については、これまで誠実かつ真摯に検討を行ってきたところでございますが、懇談の場において、私及び事務方から回答する予定でございます。今回の懇談において十分な時間を確保し、じっくりと皆様の話を伺い、充実した意見交換を行い、今後の施策に活かしていきたいと考えております。
 また、今般の人事異動に伴い、水俣病タスクフォースのメンバーを改めて整理いたしましたので、お知らせいたします。紙で配布いたしましたとおり、29名から30名に1名増員し、引き続きタスクフォースの力をしっかり維持・継続し、水俣での懇談に臨んでまいります。
 以上でございます。
 
 

2.質疑応答

(記者)朝日新聞、市野です。
 水俣病のタスクフォースについて質問します。今回のタスクフォースに期待することや目的というものを、改めてどのように設定したかを教えてください。また、来週懇談があるわけですが、大臣自身、このタスクフォースの設立を発表しました5月14日に、被害者を救うために何ができるのかを達成することがタスクフォースの目的だとおっしゃっていた発言も踏まえて、懇談が終わった後についてもどのように活動していくお考えがあるのかお聞かせください。
(大臣)今回の定期的な人事異動により一部のメンバーの交代はございましたが、タスクフォースの目的については、水俣病関係団体との改めての懇談の場を開催し、損なわれた関係団体・現地との関係性を修復するという発足時の目的から変更はございません。水俣病には長い歴史、そしてまた、それぞれ異なる立場からの様々な御意見がございます。1回の懇談で全てが解決できるとは考えてございませんが、今回の再懇談のみならず、実務的な意見交換を重ねることによって、信頼関係を育みながら前進していくという考えでございまして、タスクフォースについては、引き続き、この実務的な意見交換の準備・運営を担ってもらう予定でございます。
 
(記者)熊日の髙宗です。
 人事異動に絡んで何点かお尋ねしたいんですけど、このタスクフォースについてですが、地元の団体から活動内容がよく見えないので、具体的な年間計画などを定めてほしいという声があるんですが、そういったものを地元に示すお考えはありますでしょうか。
(大臣)今回、これから初めて再懇談を行うわけでございますので、再懇談の結果も踏まえて、今申し上げましたように1回で解決できる問題ではありませんので、政務三役を含め、また実務的な意見交換も重ねて進めてまいりたいと思います。現段階で年間計画というのを具体的に申し上げる状況ではないと思います。
(記者)分かりました。人事異動に絡んでお尋ねしたいんですけれども、今回国水研(国立水俣病総合研究センター)の所長を次の審議官が兼務するという人事が出ています。国水研の所長が駐在していない状況がしばらく続いていて、これに対して地元からきちんと責任のある方、所長を専属で配置してほしいという声があります。そういった声があるんですが、なぜ兼務の人事になったのかを教えてください。
(大臣)今までの流れもございますし、国水研は確かに所長そのものは常駐しておりませんけれども、ほかの者は常駐しておりますので、そこも含めてしっかり国水研の役割を果たせるようにしてまいりたいと思います。
(記者)分かりました。最後に神ノ田保健部長が厚生労働省に出向する人事が発表されています。環境保健部は特殊疾病対策室を統括する部署なのですが、一連の発言遮断問題の責任を取ったという意味合いがあるんでしょうか、教えてください。
(大臣)これは定期的な人事異動でございます。また、個別の人事の経緯や詳細は差し控えたいと思います。
 
(記者)電気新聞の民です。
 再エネ促進区域制度が始まって2年が経ちましたけれども、全国の市町村の中で設定したのは2%に満たない32市町村に留まっておりまして、特に陸上風力の導入拡大というのはエネ基(エネルギー基本計画)にも「再エネ促進区域」の設定で推進すると書いていますけれども、陸上風力の促進区域を設定した自治体は4市町村に留まっています。6月の再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会でも、国が率先して再エネ促進区域設定に関与してはどうかという意見がありまして、6月に成立した改正温対法でも都道府県と市町村が共同で設定できる仕組みも導入されましたが、その促進区域が増えていない現実を踏まえると、都道府県・市町村任せにせず、環境省が前面に立って促進区域設定を進めていく考えというのはございますでしょうか。
 また、もう1点は再エネ促進区域を増やすためには、再エネ発電事業者に対するインセンティブを拡充する必要性が以前から指摘されてきました。今年度から再エネ設備導入調査支援事業を始めたと聞いていますが、次世代ネットワーク小委員会でも環境省はインセンティブ拡充を追求したいというふうに発言したと記憶しています。これは財政的なインセンティブ拡充を想定しているんでしょうか。
(大臣)まず、この促進区域の設定に当たっては、その前提となる適正な環境配慮、これに係る情報の収集、エリアの設定、また地域との合意形成等に一定程度の時間を要するものでございます。また、市町村における人材、財源の不足や複数市町村にまたがる再エネ事業への対応など、様々な課題がございます。こういう課題に対応するために、本年6月に成立いたしました改正地球温暖化対策推進法によって、促進区域の設定等における都道府県の関与を制度的に位置づけることで、より積極的・広域的な制度の活用を促してまいりたいと思います。
 また、促進区域等において再エネ事業に取り組む事業者を後押しするために、今年度から新たに、促進区域等における再エネ設備の導入調査に対する財政支援を行っております。引き続き、自治体あるいは事業者のニーズや課題を踏まえつつ、環境省として積極的に技術的支援や財政的支援を行うとともに、関係省庁とも連携して、陸上風力を含む地域共生型の再エネの導入を促進してまいりたいと考えております。
(記者)もう1点、この陸上風力については、政府が2030年度目標で17.9ギガワットを掲げていまして、その達成にはあと6年で12ギガワット余りを積み上げる必要があります。環境省は陸上風力の再エネ促進区域設定によって導入する2030年度の目標として0.6ギガワットを掲げておりますけれども、この0.6ギガワットという目標導入量が妥当なのかどうか、大臣の見解とその理由を教えてください。
(大臣)御指摘の0.6ギガワット、これについては政府全体で取りまとめた2030年度におけるエネルギー需給の見通しの中で、地球温暖化対策推進法の促進区域を活用することにより見込まれる追加導入量としてお示ししているものでございます。
 ですから、環境省としては、引き続きそういった観点も含めて、陸上風力を含む再生可能エネルギーの導入促進に向けて尽力してまいりたいというふうに考えております。
 
(記者)新潟日報の貝瀬です。よろしくお願いします。
 新潟水俣病についてお伺いいたします。大臣、熊本に引き続いて、新潟にも懇談に行かれる御予定かと思いますけれども、改めて、どんな場にしたいか、新潟に環境大臣が来られるのは、かなり久しぶりになるわけなんですけれども、その辺の意気込みを改めて伺えますでしょうか。
(大臣)最終調整しておりますけれども、近々に時間をしっかり取れる形で行う予定でございます。熊本と新潟、共通項もありますし、違うこともあります。また、団体の状況も多少違いますので、そこを含めてなるだけ多くの団体としっかり意見交換、また、皆様のお気持ちなり、状況をお聞かせいただける時間を取る、そういう懇談にしたいと考えております。
(記者)先ほども少しお話ありましたけれども、患者側から様々な要望があったかと思います。それに対する回答というのも期待されているところだと思いますが、その辺も懇談の場で(回答されるのでしょうか)。
(大臣)それは、先ほどの回答とかぶりますけれども、具体的な回答内容については、現時点ではつまびらかにできないので、申し訳ないと思いますけれども、なるだけ私の方、また、環境省のほうから具体的に皆様の御要望に対して回答を申し上げたいというふうに考えております。
(記者)もう1点、懇談の場に行かれたときに、阿賀野川流域ですね、公害の現場となった場所ですけど、こちら視察される御予定はありますか。
(大臣)これも熊本の話とかぶるんですけども、まずは懇談の時間を十分に取るということが一義的に大事なことだろうと思います。その中で、どういう可能性があるか、今調整しているということだと思います。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)共同通信の清と申します。
 タスクフォースについて質問いたします。一部メンバーが変更されたということですが、設置段階から何人変わったのかという点をお願いします。
(事務局)後ほど私のほうから補足いたします。1名増員ということは、先ほど大臣からおっしゃったとおりです。
(大臣)29名から30名になりました。
(記者)一部変わった方がいらっしゃるということですが、そのことは水俣病対策を重視していると言えるのかどうか、御認識をお願いします。
(大臣)私は重視していると思います。
(記者)理由をお願いします。
(大臣)前の方が、力が弱いというわけでなく、より強力なメンバーが揃ったということだと思います。
(記者)もう1点なんですが、先ほど実務的な懇談をしていくというふうにおっしゃってたと思うんですけれども、年に何回とか頻度は考えていらっしゃるんでしょうか。
(大臣)それは現段階では、まだ具体的な数字は上げられないと思います。
(記者)ありがとうございました。
 
(記者)NHKの林と申します。
 水俣と人事の関係で、先ほど神ノ田部長の人事について、更迭かどうか等は個別には言えないというふうな回答だったと思うんですけど、既に報道とかでも出ているように、木内室長が交代した際は、大臣の言及はなかったかもしれないですけど、環境省のしかるべき立場の人が、これは更迭ではないというふうに明言していたということもございまして、今回そういうような言及をされると、神ノ田部長については更迭ではないかという疑念が出ると思うんですけれども。
(大臣)もちろん更迭ではありません。さっき申し上げたように定期的な人事異動です。
(記者)今回は、その水俣病の責任を取ってとか、そういう、個別のものは言えないという前提で、その水俣病の責任を取るという要素がこの異動には一切ないということは言えるんでしょうか。
(大臣)そうです。定期的な人事異動です。定例と言うのかな、大体この時期に異動します。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。
 水俣病タスクフォースの発足に伴って、積年の問題を前に進めてほしいと思います。ただね、タスクフォースができても、あるいは、メンバーを再編したとしても、水俣病は政府全体でやるべき課題だと思うんですよ。環境省だけでは、とても解決できないというか、前へ進められない。特に財政問題とか、被害者救済法の見直しとか、言わば政府全体に関わる。だから、ちょっとオーバーに言えば、岸田首相のイニシアチブみたいなものも必要だろうと思うんですけども。
 そういうことからいって、政府全体でこのタスクフォース的なものを、政府全体の対応措置というか、対応体制というか、に広げる考えはありませんか。
(大臣)御指摘は重く受け止めたいと思います。ただ、それに対して、私が具体的に発言するのは、私の大臣としての矩を踰えるものですから、それ以上の発言は差し控えたいと思います。
(記者)それから、冒頭おっしゃった化学物質のPFOAの関係ですが、製品規制とか、そういうものに遡及していくというか波及する、その措置も今後取っていくんでしょうけども、そういう生産段階とかというようなことに規制をやるということになると、PFOAだけじゃなくてほかの有害物質とか、そういうものにも関係してくると思うんですが、その辺の含みも持った対応を今後やるというお考えですか、どうですかその辺。
(大臣)御案内のようにPFASは大体1万種類あるんですね。今回、特定のものを指定していますけども。ですから、このほかに九千何百あるわけです。随分いろいろなものに使われているんですね。それから、使われ方もいろいろなんですよ。ですから、それを一律で使用禁止するというのは、なかなか現実的には非常に困難だろうと思いますけども、そこも含めて、それこそ環境省だけじゃなくて、しっかり向き合って、この問題が国民の安全・安心に結びつくような政策を講じてまいりたいと思います。
 ただ、現時点で、それこそ私の判断で使用を禁止することまで考えるということは、具体的には言えないと思います。
(記者)1点だけ、多摩地域に私は住んでるんですけども、やっぱり多摩地域は相当、基地からの漏えいというか、そういうことで各市町なんか、首長も含めて、ちょっと非常に対応に苦慮しているということで。やっぱり、環境省がその抜本的なところに、基地公害対策について、米軍のね、言わば排出状況とか、漏えいとかというのをもうちょっと積極的に、まあ向こうが日米協定とか、そういうものがあるのは重々承知していますけども、もっと環境省は積極的に都や何かを通じて、つまびらかに情報を提供するような要請というのはできないんですか、あるいは、しようとしていないんですか。
(大臣)それについては、外務省、防衛省と連携して、米軍あるいは基地関係者に働きかけております。ただ、その詳細については、ちょっと私自身がつまびらかにできないということを御理解願いたいと思います。
 それから、環境省の立場としては、やはり、それ(PFAS)にばく露することを避けるというところに一番重点がありますので、そういうこともありまして、先日、発表しましたように、水道の水質検査というものをすることにしたところでございます。
(記者)つまびらかにできないとおっしゃるその理由は何なんですか。やっぱり、日米の米軍協定の制約という。
(大臣)このことだけではありませんけれども、一般論で言えば、外交上のやり取りというのは、つまびらかにしないという言い方も変ですけども、発表できる部分と発表できないものがあるんですけども、機微な部分については発表しないということもあるかと思います。
 いずれにしても、これは一義的には、外務省と防衛省がやっていますけど、その中に環境省ももちろん入っておりますので、環境部会というのがありますので、環境省が何もやってないわけではございません。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=3Po8sHx0ImY
 

(以上)

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