厚労省・新着情報

日時

令和6年7月4日(木)15時30分~16時30分

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

後発医薬品の産業構造改革に向けた大臣要請

議事

 
○医薬産業振興・医療情報企画課長 定刻となりましたので、ただいまから後発医薬品の産業構造改革に向けた厚生労働大臣要請を開催させていただきます。

 本日は後発医薬品の製造販売業者の皆様方にお集まりをいただいております。どうもありがとうございます。
 それでは、武見厚生労働大臣から御挨拶をいただきます。大臣、よろしくお願いいたします。
○大臣 大変御多忙の中この会議に集まっていただきましたことを、まずは心から感謝を申し上げます。
 厚生労働大臣の武見敬三でございます。
 後発医薬品、今やこの日本の医薬品全体の取引数量の約半数を占めております。我が国の医療を支える基盤と言って過言ではございません。
 ただ、残念なことに既に3年にわたって後発医薬品の品質、それから、安定供給問題が続いております。これは異常事態と言うべき状況だと私は思います。
 私が厚生労働大臣に就任して以降も鎮咳薬、去痰薬などの供給不足に対し、人件費や設備整備の補助、令和6年度改定での薬価の下支えなど、あらゆる環境整備のための施策を講じてまいりました。しかし、国民に品質の確保された後発医薬品を安定的に供給するという産業全体の責任はいまだ果たされているとは言えません。このような状況では後発医薬品が国民から真に信頼を得ることはあり得ません。
 本年5月22日に、有識者の検討会の報告書が取りまとめられました。この中で、後発医薬品を中心とする供給不安が長期化している要因は、問題を起こした企業の単独・一過性の問題ではなく、産業構造上の課題があることが指摘されております。
 この課題の解決には、過当競争状況の是正、過度な低価格競争からの脱却、規模の経済が生かせる企業規模への再編が必要でございます。将来的にも低分子の後発医薬品市場の大きな拡大は見込めない中で、今のような少量多品目構造のままでは、これまでのようなビジネスモデルは成り立ちません。後発医薬品業界の再編は待ったなしと考えております。
 数量シェアや品目ともに多い企業は、再編、統合、適切な品目削除によるシェアの拡大や生産収益性の向上により、総合商社型の企業へ成長していくこと、一定の領域では他をリードする領域特化型の企業は、自社の強みを生かした領域へ品目を集約し、生産性を確保できる適切な規模の安定的な供給を担うことが、後発医薬品産業の理想的な姿ではないでしょうか。
 また、1つの成分について多くの企業が参入し、少ないシェアを持ち合う状況は、安定供給や生産性の向上に資するとは言えません。成分ごとの過当競争を適正化することにより、過度な価格の下落を防いだり、生産性の向上を促す必要性がございます。安定供給の観点からは、成分ごとに適正な供給社数は、理想的には5社程度が適当であるのではないかと考えております。
 我々は5年程度の集中改革期間の中で後発医薬品産業の構造改革を強力に進めてまいります。このため、独占禁止法との関係の整理や金融・財政措置など関係省庁と連携して産業構造改革に必要な支援を行っていきたいと考えております。
 業界の中核を担う自覚ある気概のある企業には業界団体を通じてこうした動きを牽引し、業界再編を行った上で生産余力を持ち安定供給を担う覚悟をぜひ示していただきたいと思います。
 後発医薬品産業があるべき姿を取り戻し、この業界が、そして後発医薬品そのものが再び国民の信頼を得ることができるよう個々の企業、そして業界団体の奮起を促して、私の挨拶とさせていただきます。
 本日はこれからの意見の交換、ひとつよろしくどうぞお願い申し上げます。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道の方は御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、本日の流れでございますが、この後、厚生労働省から資料を御説明させていただいた後、あらかじめ資料を御提出いただいている企業の方から順次御発言をいただきます。その後、意見交換ということで進めさせていただきたいと考えてございます。
 まず、厚生労働省の内山審議官から御説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
○医薬産業振興・医療情報審議官 医薬産業振興・医療情報審議官の内山でございます。
 資料2を簡単に御説明させていただきます。
 1ページおめくりいただきますと、御案内のことかと思いますけれども、後発品業界におきましては、上位9社で全体数量の半数を製造しており、残りの企業は比較的少ない生産量となっている構造にございます。また、一番左の青い縦の棒グラフを見ていただきますと、最も上位の企業のシェアでも13%強ということで、多数の企業が低いシェアで競争を繰り広げている状況になってございます。
 2ページでございますけれども、これは成分ごとの供給社数、すなわち、ある成分Aという成分を何社が作っておられるか、何社が供給しているかというものでございます。例えば3社供給というところ、85成分と書いてございますけれども、これはあるAという成分を3社で作っている、そういう成分が85成分あるということでございます。見ていただきますと、1社しか供給していない成分が250ある一方で、8社以上が供給しているような成分も166成分ほどあるということでございます。供給する社が多ければ多いほどシェアは少なくなり、競争が激しくなるということでございます。
 3ページ、特に今、5社供給となっている成分についてシェアを見たのが左側でございます。そうしますと、シェア1位の会社は大体40%から60%、シェア2位の会社が20%から30%、そういうことがうかがえます。右側を見ていただきますと、円グラフですが、5社供給ですと左側の円グラフのような状況になっており、仮に10社供給のものであっても5社程度でおおむねの供給をされていて、残りの4社では3%未満の供給となっているということでございます。
 こうしたことから、4ページでございますけれども、主な薬効で上位5社でどの程度を占めているかを見たものでございまして、左から、内用薬の消化性潰瘍剤は上位5社で7割、血圧降下剤も7割、解熱鎮痛消炎剤は上位7社で約72%、左下に行きまして、精神神経用剤も7社で7割、抗菌薬も5社で7割、こういう状況になっているということでございます。
 以上です。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 続きまして、資料をあらかじめ御提出いただいている企業の方から順次御発言をお願いしたいと思います。
 まず、JGA、日本ジェネリック製薬協会の会長であります日新製薬株式会社の川俣社長から御発言をお願いいたします。川俣社長、よろしくお願いします。
○日新製薬 今年から日本ジェネリック製薬協会の会長を務めることになりました、日新製薬の川俣と申します。
 本日は誠にありがとうございます。
 新会長としての日本ジェネリック製薬協会の今後の供給不安への取組方針について御紹介を申し上げます。
 1ページめくっていただきたいと思います。まずは、少量多品種生産の適正化と生産効率の向上に向けて取り組みたいと考えております。また、供給不安がここまで長引いている要因として、各社の間で情報共有がなされていないことも一因であったと思っています。独占禁止法抵触の懸念から、業界団体主導の生産調整がなされていませんでしたが、今後は公正取引委員会の見解を確認させていただきながら、安定供給責任者会議等により情報の共有化を図り、不足している医薬品の効率的な増産に取り組める体制にしてまいりたいと考えております。
 さらには、各企業のクオリティーカルチャー醸成に向けた人材育成及び定着のための取組の共有と研修により、会員企業の人員強化に取り組みたいと考えております。
 また、業界再編の具体的な姿について、各企業の役割の明確化と強みの相互補完の観点からの調査・研究を進め、供給不安の抜本的な解消に努めてまいりたいと考えているところです。
 次のページを御覧ください。これらを踏まえて、日新製薬のこれまでの取組について少し御紹介を申し上げます。
 日新製薬は、2018年度、2019年度時点では錠剤・カプセル剤の生産数量として年間21億錠程度で推移しておりましたが、他社の供給停止を受けまして、21年度からは既存工場への設備投資、人員追加による交代制勤務、また、時間外労働により、25億錠、30億錠、31億錠と増やしてまいりました。2023年度には先発系企業の受託の業務をインドやベトナムの海外製造所に移管することにより、6億錠余りの生産余力を確保しております。
 次のページをお願いします。相前後するのですが、また、2022年には同じ山形の協同薬品という配置薬の会社を買収しまして、ジェネリック医薬品の製造を移管するとともに、現在は新工場を建築しておりまして、それにより、2025年には37億錠、2026年には40億錠と、さらなる生産能力の増強を予定しているところであります。
 当社としては、供給不安を一刻も早く解消し、ジェネリック医薬品の産業のあるべき姿の一翼を担う企業として責任を果たしてまいりたいと考えているところです。よろしくお願いします。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、日医工株式会社、岩本社長から御発言をお願いいたします。よろしくお願いします。
○日医工 日医工の岩本でございます。
 本日はこのような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私どもが提出させていただいた資料は2枚でございますので、これに沿ってお話をさせていただきます。
 初めに、私どもの過去の不祥事によって多くの患者様、医療機関、またここにいらっしゃる皆様も含めて関係者の皆様方に大変な御迷惑をおかけしたことを、この場をお借りいたしまして社を代表して深くおわび申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
 私、昨年3月に日医工に就任いたしまして、まずは経営陣、組織、これを刷新いたしまして、新組織体制で生産体制強化、品質保証体制強化、社員の意識改革、これを強力に推し進めてまいりました。1年たちましたが、結果といたしましては、まだまだ課題が残るものの一定の成果は得られたのではないかということで、資料にも生産体制の現状ということで載せさせていただいております。
 まだまだ課題も多く残っておりますが、今後弊社といたしましては、今まで進めていた取組をさらに強化しつつ、本日の課題となっております後発医薬品産業構造改革に向けても積極的に取組をさせていただきたいと思っております。
 ただ、製品統合、製品集約、少量多品種生産の軽減といったところは、弊社、今は6つの工場を持っておりますが、そこを効率よく増産体制をしいたとしても、私どもだけではできない部分があります。これについては皆様も含め他社の皆様と御相談して進めていきたいと思っております。今後とも御支援のほどよろしくお願いいたします。
 以上です。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、Meiji Seikaファルマ株式会社、小林社長からよろしくお願いいたします。
○Meiji Seikaファルマ Meiji Seikaファルマの小林でございます。
 このような機会を与えていただいて、まずもって御礼申し上げます。
 それでは、私どもの後発医薬品の産業構造改革に向けた考え方についてお話をしたいと思います。
 ページをおめくりいただきまして、まず、Meiji Seikaファルマでございますけれども、ワクチン専用のKMバイオロジクスとともに明治ホールディングス傘下の医薬品セグメントということでございまして、更にその下にMeファルマという後発品専用の販売会社、それから、製造機能会社であるMeiji Seikaファルマテックを擁します。
 次でございます。私どもの医薬品事業のポートフォリオでございますけれども、下からコスタイベなど開発中の新規のワクチンを含むワクチン・血漿分画事業、それから、特定重要物資でありますペニシリン2製剤を含む必須医薬品(抗菌薬)事業、それから、ジェネリック事業と、新薬事業と、この4つの事業を展開してございます。今日はこのジェネリックの安定供給についての私どもの案についてお話をさせていただきたいと思います。
 次、おめくりいただいて、私どものスタンスでございますけれども、大臣が御指摘のとおり、低分子薬の市場、日本国内ではこれから大きな拡大は望めないというのは事実でございます。その中で安定供給体制をどう確保していくかということは、個社の利害や得失を超えたところにあると考えております。
 加えて、今の我が国の後発品市場の成り立ちを考えますと、2002年からの後発品の使用促進のインセンティブがございます。したがいまして、政策誘導でできた市場を安定させるというのは、我々後発品事業に携わる事業者の義務だと私どもは思っています。それが負託に応えていない、数千品目の供給が数年間途絶している、これは相当な覚悟で再編に臨まないと、そう簡単には解消しないと考えております。
 したがいまして、私どもはこれからコンソーシアムという考え方を説明させていただきますけれども、実は私どもは抗菌薬のほうでペニシリンの原薬の内製化について数社でコンソーシアムを組んで、ここ数年、厚生労働省の支援を受けながら、国内での原薬生産に取り組んでおります。経済合理性は確かにないのですけれども、その中で、こういった企業間連携での安定供給、バリューチェーンの強化の方策の道筋が見えるのではないかということを考えています。
 3ポツ目ですけれども、個社の利害、得失を超えるということでございますけれども、この連携についても一定の御支援をいただければ、その枠組みがさらに促進されると考えています。
 次にコンソーシアム構想について大変ビジーな表で申し訳ないのですけれども、このようなシェーマをつくっております。まず、今の供給不安は何に起因したか。確かに品質不安でバリューチェーンが崩れたところも原因なのですけれども、もともと多品目少量生産という問題が基本的にはあると。大きな数量がこれから望めない中で、この多品目少量生産を解決しなくてはならない。もう一つ大事なのは、新たな投資をして生産設備をつくるのではなくて、基本のアセットを利用すべきだと私どもは考えています。その意味では、各社の信頼性保証機能と営業機能を切り出して機能統合法人をつくって、それぞれの会社の生産機能、開発機能は残して、委受託関係を結んで、既存の設備を用いながら、屋号統一で品目統合をしながら、既存の生産設備を生かすことはできないものだろうかと、こういう提案でございます。とにかくQA・QCの人数も足りない、投資に見合う生産規模の拡大ができない、そうであれば、まず、屋号を統一して品目を集中しながら、安定供給カテゴリーBとCの枠組みが優先だろうと思うのですけれども、その中で品目を絞りながら、こういう構想が成り立つのではないかと考えております。
 次のページですけれども、実際に私どもの事業体の中で、新薬、ワクチン、必須医薬品、ジェネリックとありますが、この必須医薬品についても1社でバリューチェーンが強靱化できると思ってもおりませんので、今後、原薬から出口まで一貫して数社連合でしっかり強靱化をやっていこうという中で、この取組はジェネリックでもできるのではないかということで、今、数社にお声がけをして、シミュレーションを実際にしてございます。入り口としてこういう考え方がある。最後は資本統合みたいなことで再編になればいいわけですけれども、きっかけとしては機能統合のほうが入り口としてはやりやすいのではないかと考えております。
 最後でございますけれども、私どもとしては、こういった企業間連携の実現に向けてこの7月に社内体制を整備いたしまして、経営戦略本部の直下にジェネリック事業戦略部を新たにつくって、ガン・ジャンピングといった独禁法の問題を回避すべく営業本部とは切り離してクリーンチームを立ち上げて受皿をつくっている、こういうことでございます。
 とにもかくにも、こういう状況が日本に起きるとは数年前は思ってもいなかったのですけれども、現実に起きてしまったと。これを解消するためには、個社の利害や得失を超えて、政策誘導、産業構造を変えるべきだという立場でございます。
 以上、御説明申し上げました。ありがとうございます。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、サワイグループホールディングス株式会社、澤井会長から御発言をお願いいたします。
○沢井製薬 沢井製薬会長の澤井でございます。
 本日はこのような説明の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 資料に従いまして説明させていただきます。
 2ページを御覧ください。弊社は産業全体としての供給能力の強化、産業構造課題の解消、そして、早期の安定供給体制の確立には、原薬の調達から販売までの全てを自社で担う企業、中でも承認品目数が多く、製造能力が大きく、かつ速やかに製造余力を捻出できる企業の貢献が不可欠であると考えます。
 3ページを御覧ください。先般公表しました弊社の中期経営計画にも、後発医薬品産業のあるべき姿の実現に貢献していく旨を表明させていただいております。
 4ページを御覧ください。後発医薬品産業は高度な装置産業であり、このまま民間競争の中で重複投資を続けることは、社会的損失が大きい。後発医薬品産業に公益事業の考え方を導入し、大規模製造施設での大量多品目生産を着実に実行する必要があると考えています。
 弊社グループ内に新たに整えました生産能力を活用することによって、後発医薬品産業全体の安定供給体制の確立に貢献したいと考えています。旧工場で生産している出荷限定品目を完成しました新製剤等で増産をする、また、旧工場の供給不足にある医薬品の中で、使用数量や企業数が多く採算性が悪い内服薬であっても、他社と調整し、新製剤棟での製造を引き受けるといったことを考えておりまして、既に公正取引委員会等、関係者の方ともコミュニケーションを取り始めておるところです。また、数社から自社製品の製造中止に当たっての代替のお声がけをたくさんいただいておるところでもございます。
 最後に、この機会をお借りし、後発医薬品全体の安定供給体制を確立する前提として弊社が不可欠と考えている2点を述べさせて頂きます。
 1点目は、円安の進行、賃上げにより原価が今なお上昇しているため、不採算品目の増産に取り組みにくい環境にございます。増産に取り組むための人員の確保と毎年の賃上げによる人件費増、これらの課題を乗り越えるためには、国の支援が引き続き必要と考えます。
 2点目は、6月、12月の後発医薬品の上市の前に、フル効能で先行販売を開始するなど後発医薬品産業の健全な競争を阻害し、後発医薬品産業の基盤確立の妨げになっている、オーソライズドジェネリックの在り方についてです。今後もこのオーソライズドジェネリックが承認される限り、我が国でバイオシミラーを含め特許切れ医薬品の長期安定供給を担うインフラとしての産業は成立しません。骨太に記載いただいているように、「後発医薬品業界の理想的な姿を見据える」議論をお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、本日は海外出張中でございますが、オンラインで御参加をいただいております東和薬品株式会社の吉田社長から御発言をお願いいたします。
○東和薬品 東和薬品の吉田でございます。
 現在海外出張中でございまして、会場に参加できずに誠に申し訳ございません。オンラインからの説明にて失礼いたします。
 本日は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。報告書を取りまとめていただき、重ねて御礼申し上げます。
 2ページをお願いいたします。東和薬品グループの概要となります。現在は海外も含め16社のグループ会社で構成しております。海外は39か国に製品を提供させていただいております。
 3ページをお願いいたします。こちらは創業からの経緯をお示ししたものとなります。
 4ページをお願いいたします。本日はこの2点について御説明させていただきます。
 6ページをお願いいたします。本年度以降の弊社の中長期の取組の進捗について、ポイントを御説明させていただきます。既に個社としてバックアップ生産体制を含む安定供給の強化を進めております。さらに、長期的には他社とのアライアンスによるバックアップ生産体制の構築により供給の安定性を回復させ、堅牢な生産体制の構築に努めていきたいと考えております。
 7ページをお願いいたします。今後、将来にわたって持続可能な安定供給体制を社会インフラとして世の中に広く行き渡らせ続けることが重要であると考えます。現在の異常事態が解消した後でも、今の供給体制のままでは、今後いつでも起こりうる天災や火災等のリスクに完全に対応することはできないのではないかと危惧をしております。
 これに対して、ジェネリック医薬品業界の個社ごとにできることとして、生産効率を上げて、製造時間、製造能力に余裕を持たせることが必要になると考えます。その上で、さらなるリスク管理として、現在の製造ライン以外でも補完できるよう、いわゆるバックアップによる生産体制を構築していくことが必要と考えております。また、ジェネリック医薬品業界全体としてなすべきこととして、産業構造の見直しと強化に官民を挙げて努力をすべきと考えます。
 9ページをお願いいたします。このたび5年程度の集中改革期間が示されました。弊社は2030年に向け、ジェネリック医薬品業界の理想的なあるべき姿をイメージして取り組んでいくためのロードマップを描いております。
 10ページをお願いいたします。こちらは検討会の報告書で示された対策の方向性の一つでございます。具体策も示されましたが、この方策も検討すると同時に、新たなあらゆる可能性の方策を検討し、確実に進めていく所存でございます。
 ジェネリック医薬品の安定供給体制の構築を可能にするためには、あらゆる法規制、ルール、各社の経営方針、思惑等を乗り越えることができるような国策、行政による御支援、あるいは新たな薬価制度をはじめとするさらなる法的枠組みを含めた政策誘導も重ねて御検討をいただきますようお願い申し上げます。
 以上でございます。本日はどうもありがとうございました。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 資料をあらかじめ提出いただいていた5社の方から御発言をいただきました。
 資料を提出されておらなかった会社あるいは今、御発言があった会社も含めまして、自由な意見交換の時間としたいと思いますので、御発言のある方、挙手をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
 サンド株式会社のマンリオ社長、よろしくお願いいたします。
○サンド サンド株式会社の代表取締役社長を務めておりますマンリオ・フロレンザーノと申します。
 今日はお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
 弊社でございますが、2024年から日本市場により一層注力して、安定供給の回復に全力で取り組んでおり、他の製薬メーカー様とも協力して、国内でさらに供給体制を強化する所存でございます。また、後発医薬品業界全体の方向性や今後の課題に関しましては、日本ジェネリック医薬品協会とも連携してまいりたいと考えております。
 日本以外のジェネリック医薬品業界の状況も含めて、緊急に対処しなくてはいけない状況があると考えております。それは、品質、安定供給、価格の間にはトレードオフの関係があるということです。このような関係におきまして、健康保険の薬価制度の改革が後発品業界の持続可能性を確保するために必要ではないかと考えております。
 実際には日本のみならず世界の多くの国々におきましても、同じように医薬品の供給不足や限定出荷などの問題が発生しております。OECDや米国FDA、著名な学者の方々が行った様々な研究によりますと、持続的に安定供給を行うといった意味では、価格制度に関しましても検討する必要があることが示唆されております。
 安定供給の解決には、他の施策とともに、薬価の持続可能性ということも看過できない課題であると考えております。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 今のマンリオ社長から御提案があった点について、これは後発医薬品の産業構造のあり方に関する検討会におきましても、持続可能な産業構造ということを3本の柱の1つとして掲げておりまして、その中で収益と投資の好循環を生み出す価格や流通の在り方ということも柱として定義をされております。本年度の薬価改定をはじめとして価格を下支えする仕組み、こうしたことの取組をしているほか、価格と併せて流通の改善ということで、流通の改善のガイドラインなどで医薬品の価値に見合った適切な交渉、取引が行われるようにといった取組を進めております。
 私どもとしてこうした環境整備をしていくこと、引き続き取り組んでまいりたいと思っておりますので、企業の皆様、引き続き御協力をお願いできればと思います。
 このほか、まだ時間はございますので、ぜひ御発言等ございましたらよろしくお願いできればと思います。いかがでしょうか。
 岩本社長、お願いします。
○日医工 どうもありがとうございます。
 この産業構造改革をするためには経済的な下支えも大変重要となりますが、私からは人的な面での下支えもお願いしたいと考えております。
 それは何を意図しているかと申しますと、いろいろなメディアで先発メーカーとジェネリックメーカーを分けて表現されています。それにより、今、我々は工場の採用や品質保証をつかさどるために必要な人材が、先発メーカーや外資系メーカーに流れ、採用が厳しい状況となっております。こういった我々の会社に必要な能力を持った方々の採用を活発にするためには、もちろん我々業界の努力も必要ですが、これはメディアの皆様にもお願いしなければいけないのかもしれませんけれども、政府からもジェネリック業界の重要さ、大切さを少しアピールしていただいて、人材がジェネリック業界に魅力を感じていただけるような雰囲気作りも御支援をいただけたらと思っております。先発メーカーもジェネリックメーカーも同じ医薬品業界の中で重要な役割を果たしているという認識になっていただけるよう、国の御支援もいただけると非常にありがたい、このように思っております。
 以上です。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。
 ほかに御発言はいかがでしょうか。
○大臣 こちらからぜひ伺いたいのは、1つの成分について5社程度が適正規模ではないかと私どもは考えているわけでありますが、皆さん方はどうお考えになるか。正直なところ、そうした整理の仕方についても皆さん方の忌憚のない御意見を伺いたいと思います。
 もう一つは、こうした企業間の連携をこれから図っていただきたいというお願いをするときに、政府からの様々な支援が欲しいという場合、一体どのような政府からの支援が必要になるのかについても具体的な提言をいただければ、私どもとしても具体的にサポートさせていただくことがより可能になるだろうと思います。
 こうした御議論、継続的に私はやっていくことが必要だろうと思っておりますが、皆さん方の御意見もぜひ伺いたいところであります。
 ちょうど私の目の前にいらっしゃるから、澤井さん、いかがですか。
○沢井製薬 御発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 2ページの資料にございますね。6社供給以上のものを合わせますと、230成分もございます。理想的には5社ではあるとは思いますけれども、ここに至るまでの道のりというのでしょうか、成分数の多さ、これが相当大きな壁になろうかと思います。まずは8社、9社、10社、11社、この辺りのものを5社供給にするとか、そういう段階を経てやるのが基本だと思いますし、それをやっていこうと思いましたら先ほど岩本社長からございましたように人手の問題が非常に大きくございます。
 私どもも品質の確保に取り組んでいますが、品質保証の人間を獲得しようと思いましたら、私どもの給料体系ではとても追いつかない。新薬メーカーさんに引き抜かれることはあってもなかなか確保するのは難しゅうございます。先日、大阪でPMDAの理事長の講演がございました。どんどん新薬メーカーにPMDAから人が流れていく、1年間で61名がPMDAから企業に行くと。35歳の給料でPMDAでは770万、新薬に行ったら1000万、まさしく同じ問題が私どもの中にも起きていまして、人が抜かれることはあってもなかなか確保するのは難しい。
 こういう多くの企業が供給している成分のものを集約するにも人が必要だと、こういう人の問題を考えると、なかなか集約させる、これも難しゅうございます。そこを国で何とかしてくれというのも難しいところなのですけれども、人手が確保しやすいような応援を是非していただければありがたいと思うところです。 
○大臣 ほか、いかがですか。どうぞ、小林さん。
○Meiji Seikaファルマ 今の大臣の御質問について、どういうバックアップが必要かという御下問だと思いますけれども、私どもは屋号を統一して品目を集約すると。既存設備を生かして複数社の設備を生かすようなときに、まずは屋号統一になりますと、承継をして片一方の品目を整理して薬価申請するといった手続が必要なのですけれども、その手続に関わる迅速な対応をいただくこと。
 私どもの概算ですと、屋号統一だけで大体1品目4000~5000万かかるのです。それから、品目集約によって生産数量は増えますので、既存設備をどちらかに寄せますから、スケールアップの投資が幾分必要だと。それから、打錠機、包装、外観検査機、そういったものも具体的に増強しなくてはならない場合ですと1ライン4~5億もしくは10億ぐらいの投資が必要だと。品目統合を見据えたときに、そういうところについて若干補助いただければ減価償却費が安くなるので、事業継続性が担保できる。品目統合に手を挙げた会社は、投資に係る減価償却が少なくなるというメリットも受けますので、品目統合についているインセンティブになるのではないかということも考えております。幾つか私どもは試算をしているのですけれども、その辺の経済的な支援をいただければドライブがかかるのではないかと考えています。
 それから、1成分5社程度、これはその成分の総生産数量の錠数などにもよりますし、もっと集約しても構わない成分もあれば、5社では若干心もとないというところもあると思いますので、そこは規模と製剤の特殊性、設備の難易度、生産の難易度、いろいろなことがあると思います。ただ、ある一定のメルクマールで5社を上下でどうするかという考え方は、極めて多品目少量販売の現状を是正する観点からは非常に大切だと考えています。
 以上です。
○大臣 どうぞ。
○高田製薬 高田製薬の高田でございます。
 今の発言に少し重複する部分があるのですが、私どもの工場もちょうどGMPが導入された頃のいわゆる1970年代に建設した工場がかなり古くなって老朽化をしている。それに対して新しい工場を建設して移管作業を進めている状況なのですが、先ほど小林社長からもありましたように、現在の設備を有効利用することが当然増産には有効な手だてだと思うのですが、一方で、そういった老朽化した工場が全国に各社の中で広がっているとは考えておりまして、品質を確保する上では現在の設備を有効利用するものと同時に、新しい設備が必要になってきている時期だと感じております。
 そういった意味で、先ほど小林社長からも御発言がございましたが、設備投資が必要になってまいりますので、現在の設備投資といいますと、かなり建設費用も高騰しておりますし、あるいは品質への要求もかなり従前から高度になっておりますので、設備投資の費用は非常にかかってまいりますので、それに対する御支援をいただきますとより供給増産にドライブがかかると考えております。
 また、皆さんがおっしゃっておりますけれども、ここ数年で後発医薬品という産業ですが、これは言い換えますと生産の産業だと思っておりまして、それに対する魅力度が落ちていると感じております。我々の努力が足りない、努力しないといけないというのは当然なのですが、我々も努力すると同時に、魅力ある産業にしていくということを制度の環境の整備も含めましてぜひ御支援を賜れるとありがたいと思っております。
 以上でございます。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。
 そのほか、御発言等ございます方はいらっしゃいますでしょうか。では、オンラインで。
○東和薬品 ただいまの大臣の御質問、2点あったかと思うのですけれども、1点目の1成分について5品目をどう思うかというお話ですけれども、これに関しては既収載品と新規収載品2つに分かれると思うのですけれども、新規収載品のほうはただいまは7品目を超えると薬価が4掛けになるということが、5品目ということになるとその7品目が5品目になるという意味合いかと思うのです。
 いずれにしましても、1成分について5社、7社はどうかということについては、社というよりも会社とグループということになろうかと思うのですけれども、少量多品種でいろいろなメーカーでいろいろな品目といいますか、多く作られていることが問題だという問題意識の下でいきますと、それを少なくするという意味で既収載でそれをすることになると、かなりの検討項目があると思います。各社ともどういう品目ごとにどうしていくのか、品目ごとに生産ラインも機械も随分違いますので、今、お話があったように、機械設備、ライン、そういうものをまとめてこのようにするというものは検討項目はかなりたくさんございます。設備投資だけではなくて薬機法上の問題などいろいろな問題がありますので、今、ここで一概にこういう御支援をお願いしますと全部の答えを出すことはできないと思うのですけれども、大臣のそういう後押しがあるというお言葉をいただきまして、具体的に御相談させていただければありがたいと思います。
 5品目、7品目についてはそれぞれ会社の御意見もあろうかと思いますので、私としてはその方向でやるのだったら既収載についてはどういうことをやらないといけないのかをまず考えたいと思っております。
 以上でございます。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございます。
 橋爪社長、お願いします。
○キョーリンリメディオ お時間をいただきまして、すみません。キョーリンリメディオの橋爪です。
 最後に、大臣の質問が5社で適切かというお話だったので、その5社というところは先ほどお話に出たように錠数に関わってくる問題だと思いますけれども、ほぼ適正な数かと思っています。
 ただ、皆さん御存じのように、1月、能登に大震災がありました。私どもは金沢から来ていて、今日は北陸のメンバーが何社も来ています。この北陸のメンバーが5社に当たっていた場合、まかり間違えば全滅ということにもなりかねませんので、あまり何社とこだわらずに製造所が分散されていることが大事かと。その一歩手前としては、今日の参加の会社は複数の工場を持っていますので、各社が複数の自社の工場で生産できる体制をつくりながら今度は共同においては分散化を図っていくというところで、あまり何社と決めつけないで緩やかな分散化を図っていったほうがよろしいのではないかと考えております。
 以上です。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございました。
 活発な意見交換をありがとうございました。
 最後に、武見大臣から御発言をお願いしたいと思います。
○大臣 今日は極めて短時間ではありましたが、貴重な意見交換が初めにできたかと思います。
 国民に対して医薬品という国民の健康を守る製品を安定的に供給する体制を整備するのが、私たちの責任、役割であります。そのためには、まずは品質の管理と、安定供給と、それから、直ちに今度は安定した持続的な経営ができるようにしていかなくてはならない。この3つの柱をそれぞれ掛け合わせて実際に連立方程式を解いていかなければなりません。
 確かに危機管理という観点は必要です。しかし、危機管理という観点を踏まえつつも、まずは現状、この業界の中で残念ながら供給の安定化ができておりませんので、それを確実に、しかも現実的に再編していただく。例えば最初は各成分に関わる共同生産体制をコンソーシアムでつくっていただくことからでも、とにかく具体的に始めていっていただけないだろうか。また、そういうことを具体的に実際にやっていただくときに、政府としてどういう支援が具体的にあれば皆さん方が動きやすいのか、こういうことをしっかりと意見交換をし合いながら、政府と民間でかみ合いながら、こういう事態が推移して一緒に解決をしていく方法を考えなければいけないと私は思っております。
 これは一方的に上から目線でこうやれと言ったって、実際にそうなるようなものではありませんし、我が国は民主主義国家であり、自由資本主義社会でありますから、そのような強権的なことができるわけでは全くありません。したがって、厚生労働省も公正取引委員会と緊密に協議をして、その法的な枠組みについてもそれぞれより具体的に必要な緩和措置はちゃんと取れるように、そうした協議をしながら皆さん方とこうした意見交換をさせていただいております。
 その上で、実際にアクションを起こしていただけるのは皆様方であります。特にトップの10社、20社の皆さん方には相当頑張っていただかなければいけないのかと私は思っております。その中で、ぜひ皆さん方の御努力の結果として取りあえず5年ぐらいを目途として一定の安定供給体制をつくれるようにしていかなければならないと思っております。
 そしてまた、この薬価の改定の在り方についても皆さん方の御関心は極めて高いものと私は理解しております。その上であえて申し上げるとすれば、我が国の医療費の膨張は高齢化及び医学・医療の進歩による果実のコストが引き続き極めて高い状況下で、保険医療という従来の枠組みの中だけでは医学・医療の進歩を全部カバーしていくことが確実に難しい時代状況にも入ってまいりました。我々は新しい医療財源を考えなくてはならないのと同時に、常により効率的な医療の提供体制をいかにつくるかを考えなければなりません。
 その中で、私どもは市場の8割をジェネリックとしようという目標を立てて、こうした薬価に関わる適正化を皆さん方のジェネリックの業界を通じて実現しようとして、今日までやってまいりました。その結果が今日の状況であります。したがって、改めて安定した供給をきちんと実行するために、私どもとしても皆さん方と協力をしながら、品質の確保された安定供給と持続可能な経営体質を持ち得た、そうした産業体制を皆様方によってつくっていただけるように支援しなければならないと考えております。
 ぜひ今回を皮切りにしてこうした意見交換の場をつくらせていただきながら、具体的にそうした案件を一つ一つ実現していきたいと考えておりますので、これからもよろしくどうぞお願いを申し上げます。
 そして、それぞれ個社の御努力というものに対しては大変敬意を表させていただきます。その上で、業界全体としても公共性というものを考えてぜひ御尽力いただけることをお願い申し上げて、私の本日における取りまとめの挨拶とさせていただきます。
 よろしくどうぞお願い申し上げます。
○医薬産業振興・医療情報企画課長 どうもありがとうございました。
 それでは、これにて閉会とさせていただきます。お集まりいただいた皆様、大変どうもありがとうございました。

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