厚労省・新着情報

(令和6年7月23日(火)11:08~11:35 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
7月17日から19日まで、中華人民共和国の北京に出張し、中華人民共和国国家衛生健康委員会主任、中国共産党中央政治局委員・北京市党委員会書記等と面会しました。私からは、中国の保健大臣に相当する国家衛生健康委員会主任との面会にて、両国の高齢化対策等について意見交換を行うとともに、日本で本年度開催予定の日中韓三国保健大臣会合への参加を打診したところです。また、ボアオ・アジア・フォーラム・第3回グローバルヘルスフォーラムに参加し、世界保健機関等と連携して2025年、来年に日本に設立することを表明した「UHCナレッジハブ」や、「国立健康危機管理研究機構」の設立等、日本の国際保健分野に対する貢献についての説明も行ってまいりました。この経験を踏まえ、引き続き2国間での保健分野の協力関係の強化を進めてまいりたいと考えています。 
本日、私が議長を務めている「薬物乱用対策推進会議」において、政府一丸となった総合的な薬物乱用防止対策である「第六次薬物乱用防止五か年戦略」のフォローアップを取りまとめましたのでご報告いたします。令和5年(2023年)の薬物情勢は、大麻事犯の検挙人員が6,703名であり、過去最多であった令和3年(2021年)を大幅に更新し、統計の確認できる昭和26年(1951年)以降、初めて覚醒剤事犯の検挙人員を上回りました。特に、大麻事犯の検挙人員の7割以上が30歳未満の若年層であり、依然として大麻の乱用拡大に歯止めがかからない状況にあることから、我が国は引き続き「若年者大麻乱用期」の渦中にあると評価しております。昨年12月には大麻を麻薬として位置付け、麻薬及び向精神薬取締法の施用剤を適用する等の法整備を行ったところです。この状況を脱却できるよう、引き続き取締り等に取り組んでまいります。また昨年は、大麻類似化合物を含有する危険ドラッグによる健康被害も報告されました。このため、販売店舗への立入検査等を行ったほか、包括指定を含めた指定薬物への迅速な指定を行うなど、乱用断絶に向けた取組を行っているところです。引き続き、関係省庁と広報啓発や取締りのより一層の強化等、総合的な薬物対策を推進してまいります。私からは以上です。 

質疑

記者:
太平洋戦争での空襲被害についてお伺いします。空襲で障害などを負った民間人について、超党派の議連が救済を求める法案の成立を目指しています。救済法案について議連側は厚生労働省が所管という認識をもっていますが、どう受け止めていらっしゃいますか。来年には戦後80年を迎え、当事者が高齢化する中、法案の早期実現を求める声は高まっていますが、大臣として必要性を感じていますか。ご見解をお聞かせください。 
大臣:
先の大戦においては、すべての国民が何らかの戦争の犠牲を被って、一般市民の中にも筆舌に尽くしがたい労苦を体験された方々が多数おられると承知しています。一般戦災者に対する補償等は厚生労働省の所管を超えていますが、政府としては、これまでも一般戦災者に対して一般の社会保障施策の充実などを図る中で、その福祉の向上に努めてまいりました。お尋ねの法案については、空襲被害者に対する特別給付金の支給等を内容とする議員立法として議論されていると承知していますが、まずはその動きを注視してまいりたいと考えています。 
記者:
障害のある人の住まいについて伺います。弊社が自治体に調査した結果、入所施設とグループホームの利用を希望し待機している人が全国に少なくとも延べ2万2000人余りいることがわかりました。また、近くの施設に空きがないなどの理由で、自宅を離れ遠方の施設を利用したり、ショートステイで暮らしを繋いだりしている重度の知的障害者も多数いることがわかりました。国は障害者が身近な地域で暮らし、どこで誰と生活するか選択の機会が確保されることを基本の理念に掲げていますが、こうした現状を大臣はどのように受け止めますか。また、待機者については把握していないとする自治体も少なくありませんでしたが、国による実態調査の必要性についてどのようにお考えですか。 
大臣:
特に自傷や他害行為などがある重度の知的障害のある方が、地域の入所施設やグループホームに空きがなく、親の高齢化に伴い住まいに不安を抱えていることは望ましいことではありません。障害のある方が地域で安心して生活が送れるようにしていくことが重要です。その上で、障害福祉サービスについては地域のニーズに応じた提供体制の整備が必要であり、国の基本指針に基づき、都道府県や市町村において必要なサービス量を見込んだ障害福祉計画を策定し、整備を計画的に推進していくよう求めているところです。令和6年度報酬改定においても、強度行動障害を有する方への施設入所支援等における適切な支援に対する評価の拡充等を行っており、引き続きニーズに応じた障害福祉サービスの整備が進むよう取り組まなければならないと考えます。また、施設入所等に係る待機の状況を把握することについては、利用を申し込みつつも適切な支援があれば身近な地域の住まいで暮らしたいと希望する者、今後の重度化・高齢化に備えて将来的な入所を希望している者、複数の施設に申し込みをしている者などが多数含まれるという課題があることから、今年度、国において実施している「入所施設の在り方に関する調査研究」、これは障害部で所轄し調査・研究しますが、その調査・研究の中で、まずは各自治体での待機者の定義や把握状況などについてしっかり調査を進めていくことを検討していくつもりです。 
記者:
調査については実施を検討するということでよろしいでしょうか。 
大臣:
まずはその定義や把握の仕方、これをしっかりやらなければ、先ほど申し上げたような様々な重複事例等もありますので、それらをしっかり整理するということをまずここでやっておきたいと思います。 
記者:
海外出張について伺います。大臣は、7日から14日に米国、17日から19日に中国を訪問され、中国では保健当局トップと会談され、中国側とワクチンや医薬品の研究開発で連携していく方針で一致されたということですが、これも含めたそれぞれの具体的な成果を教えてください。また、今後中国とは具体的にどのような協力を行っていくのか、さらに今回の訪中が日中関係の改善にどのように寄与されたとお考えかも併せてお願いします。 
大臣:
米国出張では、サンフランシスコ及びワシントンD.C.の2都市を訪問しました。サンフランシスコでは、創薬に係る産学のキープレイヤーである方々との面会や視察を行いました。ベンチャーキャピタルの方々や、さらにはスタンフォード大学のキャンパスの中にある創薬に係る関係者の方々、こういったところに行き意見の交換をしてきたところですが、訪問先の1つであるスタンフォード大学では、彼らが実施する創薬支援のプログラムを紹介いただき、創薬エコシステムのダイナミズムを体感させていただきました。従来の大学のアカデミズムというものが、実際に創薬と極めて緊密に初期段階から結びついて、そうした研究・調査の体制の整備、そして人材の育成に至るまで実にきめ細かく体制の整備がされていることがよくわかり、日本の今の置かれている状況と比べるとかなりの差があるということを、正直私は認識しました。今回の訪問で得られた知見を、我が国の創薬エコシステムに関する政策立案にも確実に活かしてまいりたいと考えています。ワシントンD.C.では、保健福祉省のベセラ長官や世界銀行の副総裁等幹部の方々との意見交換に加えて、NIH(National Institute of Health)の視察なども行いました。米国のベセラ保健長官とは、パンデミック条約等世界的な保健政策に係る課題について意見交換を行い、今後とも両国で緊密に連携することを確認しました。また、マーティ・マムタ世界銀行人間開発担当副総裁とは、UHCナレッジハブを来年、東京に設置するための更なる連携体制の強化について合意しました。 今回の中国訪問の目的は、二国間の保健分野の協力関係の強化です。訪問中は、中国の保健大臣に相当する国家衛生健康委員会主任など中国政府の関係者の方々との面会や、国際保健関係のフォーラムへの参加、さらには中日友好病院の視察を行いました。雷海潮国家衛生健康委員会主任との面会では、引き続き2国間での保健分野や高齢者分野の協力関係の強化を進めることを合意しました。ワクチンや医薬品の研究開発の連携については、私の方から、昨今の新たなワクチン等の研究開発のエコシステムというものは、すでに国境を越えて、初期段階の研究がどこか別の国で行われたとすると、それを実際に今度は臨床治験、さらには大量生産、そしてそれを薬事承認し一般に必要とされる方々にデリバリーするという全てのシステムが、1つの国の中で簡潔することは極めて少なくなってきた、あらゆる国が国境を越えてこうした役割分担をし、エコシステムとして連携していくことが、これからの人類社会における新たな創薬の基盤になる時代になってきたと。したがって日本としてもこうした考え方から、世界の創薬基盤の1つとしての役割を継続するために、そのための体制の強化を図るつもりであるということを私から申し上げたという経緯があります。こうしたワクチンや医薬品の研究開発の連携については、今申し上げたように、具体的に中国側との間で何か一致したというわけではありません。中国を含めたアジア諸国の連携強化が必要であるということは私から申し上げました。また、私と旧知である尹力中国共産党中央政治局委員・北京市党委員会書記との面会では、保健分野や高齢者分野を中心に意見交換を行い、特に保健・医療・介護の分野で今後の日中の協力というものを進めることについての考え方の意見交換をし、おおよそその内容について合意できたと私には思えました。 
記者:
日中関係の改善の寄与等そのあたりはどうでしたでしょうか。 
大臣:
日中関係については、特に保健・医療・介護の分野についてはお互いに共通の課題が大変多くあり、そしてお互いに協力することがお互いの国にとって利益であるということが大変大きな分野になってくる、この点について中国側も共通認識をもっていました。したがってそうした共通認識に基づいて中国側と日本側との間でこれからさらにこうした連携強化というものについて進めていこうではないかという議論をしてきたところです。その中で特に日中韓3か国の保健大臣会合は今度日本がホスト国なので、ホスト国として日本がこれを行うときには担当責任者の閣僚にも是非とも参加していただきたい、こういったこともお願いしてきたところです。 
記者:
新型コロナウイルスの感染について伺います。まもなく夏休みの時期に入りますが、今の感染状況や今後ピークとなる時期、今感染が拡がっていますが、どのように分析されていますでしょうか。また昨日の有識者ヒアリングでは、一部の地域で解熱剤などの薬が足りなかったり、入院の調整が難しかったりする現状も報告されましたが、厚生労働省としてどのように対応・対策にあたるか、お考えをお聞かせください。 
大臣:
新型コロナの新規患者数は、1週間ごとの定点医療機関からの報告数で直近では11.18、前週比で1.39倍、5月上旬から増加傾向が続いており、昨年の同時期と比較して同程度の水準となっています。昨日の「新型コロナ等の感染拡大に対応する有識者ヒアリング」では、出席した有識者の方々から、現在の感染状況や、患者数が増加している地域における入院調整、高齢者施設の医療機関との連携、医薬品の流通確保に関するご意見などをいただいたところです。こうしたご意見も踏まえ、厚生労働省としては、医療機関については、引き続き幅広い医療機関において外来だけでなく入院の対応も含めて行っていただくこと、それにより救急搬送の増加にも対応いただきたいこと、そして高齢者施設については、令和6年度介護報酬改定において創設した「高齢者施設等感染対策向上加算」の取組などを活用し、医療機関との連携体制の確保や平時からの感染対策を推進することなど、これまで実施してきた取組を徹底するために必要な留意点をまとめ、速やかに、都道府県等の関係者に対して周知徹底を行う予定です。また、新型コロナの対症療法で使用する医薬品については、これまでメーカーに増産の要請や体制整備への補助を行ってきており、引き続き供給不安にしっかり対応していかなければならないと考えています。 
記者:
何か国民の皆様への呼びかけなどございますか。 
大臣:
特に国民の皆様方には、手指の手洗いやうがい、もし体調が悪いと思われたときにはマスクをし他の方に移さないようご配慮いただく等、日常からの感染防止のためのご協力というものは、国民お一人お一人の皆様方にお願いしたいと思います。 
記者:
紅麹サプリメントの問題を受け小林製薬の会長と社長が辞任する方向で、今日にも対応検証の報告書も公表されるという報道も一部ありますが、こうした小林製薬の対応について大臣のお考えをお願いいたします。 
大臣:
元より今回の事案については小林製薬からの報告の経緯というものは大変なずさんさがあり、これに対して厚生労働省としてかなり厳しく、今現在も調査する計画書を出させ、そしてその計画書に基づいて毎日、調査した報告を受けているところです。そしてこれとは別に、小林製薬の方が独自に外部の有識者の委員会を設け、その検証委員会として、特にこうした報告のずさんさに関わる経緯についての調査をされていると承知しています。それがどういったかたちで報告書として出てくるのか、これは私どもとしては注視したいと思います。私どもとしてはそれらを含め、今現在行っている各個別の事案についてその因果関係を、担当した医師などからも意見をしっかり聴取しながら調査し、そしてその徹底した調査の結果を踏まえて、再発防止のための新たな施策、再度必要とあればこれを確認していく、こうした作業が必要になってくるだろうと考えています。 
記者:
会長、社長の辞任については妥当とお考えでしょうか。 
大臣:
今現在、個別の案件についてお答えすることはできません。 
記者:
内閣府が実施した政策アイデアコンテストについて伺います。このコンテストで「定時以降の残業を禁止し、以前は残業でこなしていた業務を委託契約に切り替え、社員は残業していた時間は個人事業主として働く」というアイデアが優勝アイデアの1つに選ばれました。労働法規制や社会保険料の支払い義務を免れるための「脱法スキーム」を推奨しかねない内容で抗議の声が上がっています。新藤経再大臣は先週の会見で「独創性をもって応募してきたかが評価の観点になった」とし、実際の政策立案とは関係ないと、問題ないとの認識を示しました。労働行政を所管する厚労大臣としてこうしたアイデアの内容や表彰が適切だったかご所感をお願いします。また、今後の対応やすでに取られた対応があれば教えてください。 
大臣:
内閣府が実施した「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」及びその結果については、内閣府のホームページに掲載されていたものと承知しています。この事案について個別にはコメントはいたしませんが、一般論として、個人事業主という形態で業務を行っていても、実質的にいわゆる使用従属関係があるかどうかについては、働き方の実態を勘案して判断することになります。私どもとしては、この使用従属関係という視点から判断していくことになります。その上で、労働者が労働基準関係法令による保護を適切に受けられるようにすることは重要です。厚生労働省としては、これらの周知や監督指導を通じ、労働者の保護にしっかり取り組んでまいりたいと考えています。なお、詳細な法律論については事務方に聞いてください。 
記者:
療育手帳所持者の臓器提供について伺います。臓器提供の可否を判断する基準について、療育手帳を持つ知的障害者の臓器提供を見合わせるとの見解を、厚生労働省が日本臓器移植ネットワークや都道府県コーディネーターに示していた可能性のあることが弊社の取材でわかりました。厚労省は2010年のパブリックコメントで「手帳の有無だけでなく、個別の事情に応じて慎重に判断する」との考え方を示しており、その考え方や臓器移植法の規定にも反する運用だと受け取れます。厚労省として把握する事実関係や、大臣のご見解をお聞かせください。また、こうした運用は長年続いていたとの証言もあります。経緯や見合わせの件数など、実態解明をされる予定があるかも併せて教えてください。 
大臣:
知的障害者等の臓器提供に係る意思表示については、ガイドラインや質疑応答集において主治医が個別に判断すべきとしております。厚生労働省から療育手帳を取得している知的障害者の方からの臓器提供を一律不可とするといった解釈を示したり、そうした解釈を周知したことは、厚生労働省としてはありません。なお、療育手帳を所持していた場合に一律に臓器提供できないとする取り扱いに関する運用の実態について調査することは今現在は考えていませんが、知的障害者等で臓器提供を断念した事例の件数等については、現在、研究班において調査を進めているところです。 
記者:
最低賃金の協議が本日詰めを迎えています。労働側は67円という非常に高い水準を求めているのに対して、企業側の認識とは大きくかけ離れ、難航すると予想されています。政府は1500円の早期実現を目標に掲げている中、今日の議論を前にどの程度の議論を期待するのか、大臣のお考えをお聞かせください。 
大臣:
本日、第4回目安に関する小委員会が開催され、今年度の最低賃金改定に関する議論が行われる予定です。物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現することは極めて重要です。賃金引上げの流れを非正規雇用労働者、さらには中小企業に波及させていくために、最低賃金の引上げに引き続き取り組んでいくことが重要です。まさに今年度の最低賃金については今現在審議中です。最低賃金の重要性を踏まえた真摯な議論の結果、引上げ額の目安が取りまとめられることを期待しています。実際そうした最低賃金の在り方については私も非常に注視しており、この両者のしっかりした合意に基づいて、我が国における物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現するという大局的な観点にあったかたちでの結論が出ることを期待しています。 

(了)

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