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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年7月9日(火)13:00~13:22 於:環境省第一会議室)

1.発言要旨

 昨日の鳥獣保護管理法第38条に関する検討会を受けた環境省の対応についてお知らせいたします。
 昨日、最終回となる検討会では、現行法で禁止する住居集合地域等における銃猟を、鳥獣保護管理法の改正により、特例的に可能とすることなどの提言をいただきました。伊吾田座長をはじめ委員の皆様には、短期間で取りまとめていただき、心から感謝を申し上げます。
 今回の提言を踏まえて、環境省として、鳥獣保護管理法の改正に向けて、必要な作業を進めるように事務方に指示をしました。
 引き続きクマ類による人身被害の防止をはじめ、鳥獣による被害から国民の安全・安心を確保するため、力を尽くしてまいります。
 

2.質疑応答

(記者)朝日新聞の市野です。
 昨日8日にあった水俣病関係団体との再懇談について伺います。こうした再懇談を振り返って、改めて当事者の生の声というものを聞きながら、政策立案することの重要性についてどのように大臣として考え方が変わったかについて教えてください。
(大臣)昨日は、水俣病関係の団体との再懇談を休憩も入れますと、9時間行ったわけでございますけれども、5月1日の懇談ではお聞きできなかった話を含めて、しっかりと時間を確保して、それぞれの皆さんからお話をお伺いすることができました。
 団体の代表者の方だけでなくて、個々の患者の方、また水俣病被害者の方からの声を、場所も何か所か回りましたので、本当に身近に間近にお伺いして、また何人かの患者の方も実際にお尋ねしました。
 そういったところで、まさに生の声をお聞きして、患者の方あるいは被害者の方、一人一人それぞれの人生を背負っておられる。その人生の中で、水俣病ということに関連して、大変な困難を背負っている。その困難がありながら、強い意志を持って、生きておられる。そして自らが困難であるにもかかわらず、ほかの水俣病で苦しんでいる方に対する思い、またそれを助けたいという非常に慈愛に満ちた御姿を感じて、そこも含めて重要性、水俣病の複雑性、今日までのそれぞれの皆様の歩みというものを生で感じることができたと思います。
 それから、田中実子さんは第一号患者と言われておりますけども、田中実子さんや、胎児性患者の皆様と多く直接間近でお会いしまして、今のお話と重なるんですけども、一人一人が様々な症状に苦しまれながらも、強い意志を持って、人生に立ち向かっておられる。その姿に心を打たれました。
 最終盤の夕方のまとめの会議において、団体の皆様から、今後の実務者レベルでの意見交換の御要望もいただきました。医療、福祉、地域における絆の修復、資料保存、情報発信と様々な課題がありますけれども、実務者レベルで、関係団体の皆様と意見交換を行って、真摯に課題を検討することで、水俣病対策を前進させていきたいと考えております。
(記者)ちなみに実務者レベルの意見交換というのは、再懇談の中でも最後に8月にしていただけないかみたいな話もあったかと思うんですけど、今具体的に、いつ頃に開催するかというふうなお考えはありますでしょうか。
(大臣)私もその場で聞いておりました。まだ何月何日ということは、決定していませんけれども、私としては、8月に少なくとも行うべきだろうというふうに考えているところです。
 
(記者)北海道新聞の大能と申します。
 冒頭発言ありましたクマの指定管理鳥獣に関する法の改正についてお伺いします。スケジュールなんですけれども、いつ改正法案を提出されて、いつ成立させる見通しなのか教えてください。
(大臣)検討会で取りまとめていただいたとおり、鳥獣保護管理法改正の内容については、3つあると思いますけれども、1つは、緊急時における住居集合地域等での特例的な銃猟。それから建物内にクマ類が入り込んだ場合に、一定の条件を満たす形での銃猟。それから住居集合地域等における銃猟のうち、はこわなで捕獲したクマ類の銃器によるとめさし。これらについて、安全かつ円滑に対応できるものにする必要があるというふうに提言で言われてきたわけでございます。
 御下問の部分ですけれども、今後のスケジュールについては、まさに国会マターになりますので、私のほうから今具体的な時期は明言できないんですけれども、環境省としては、速やかに対応してもらいたいと、そういうふうに考えております。
(記者)検討会では、先ほど大臣がおっしゃった3つの条件のほかに、夜間の猟銃使用についても検討すると示されましたけれども、これについても改正法案に盛り込むお考えはありますでしょうか。
(大臣)検討会の提言で、御指摘のとおり、現行法では禁止されております、夜間の銃猟について、必要な技能を有する者に限り、可能とする方向で検討するように提案されたところでございます。環境省としては、今回の提言を踏まえて、鳥獣保護管理法の改正に向けて、必要な作業を進めてまいりたいと、そういうふうに思います。
 
(記者)新潟日報の貝瀬です。
 水俣病についてお伺いします。昨日熊本の懇談会で健康調査について、2年以内ということでめどを示されたようですが、新潟の阿賀野川流域での健康調査についてはどんな見通しでいらっしゃいますでしょうか。
(大臣)これはまだ懇談会では明言できませんけれども、やはり阿賀野川についても水俣病でございますので、遅くない時期にできるようにしたいというふうには考えております。ただそのやり方について、最終段階になりつつありますけど、まだ確定してませんので、それによって、その時期がどうなるかということは、具体的にこれから決まってくるだろうと思います。
(記者)2年以内というのは、あくまで不知火海沿岸の話ということなんでしょうか。
(大臣)現時点ではそうです。2年以内に開始したいということでございますので、調査には少し期間がかかりますので。
(記者)新潟については、今のところ時期は全く未定という。
(大臣)全くというわけではありませんけども、必ず2年以内に開始できるというふうに今明言できるという状況ではないと思います。
(記者)別途検討ということですか。
(大臣)はい。
(記者)わかりました。その時期に関わることなんですけれども、どういった検討事項がクリアされればその時期が出てくるんでしょうか。
(大臣)昨日も私のほうから説明しましたけれども、今回の健康調査は脳磁計とMRIを使うわけです。したがって、脳磁計とMRIの機械が必要です。私の知っている限り、少なくとも環境省が持っている脳磁計は複数ありませんので、そこも含めていろいろ検討が必要で、今健康調査の設計案を、どういうふうにやるかということの作成に取り組んでいる最中でございますので、いずれにしても、現時点で私が明言できるということではないだろうと思います。
(記者)その健康調査のやり方についてですけれども、昨日も時間がかかり過ぎるんじゃないかとか、ないしは全容の解明につながらないんじゃないかとか、そういう批判の声も御耳に達してると思うんですけれども、そういったものは大臣としてどのように受け止めておられるでしょうか。
(大臣)医学全般について言えることですけれども、医学者の間でも、あるいは関係者などの間でも、いろんな意見があります。ただ政府としては、その中で政府として考えて、
最も信頼性が高い、客観性が高い、そして実施可能な方法で着実に、進めていくということが大事だろうというふうに考えております。
(記者)今のところ、その信頼性、客観性が高くて、実施可能性がある手法というのがこのMRIを用いた手法ということですか。
(大臣)そのために研究を進めてきて、その研究が令和7年である程度完遂するというめどがあるので、2年以内に調査を開始するということをペーパーで明言しているものです。
(記者)わかりました。ありがとうございます。
 
(記者)NHKの林と申します。
 今話題に出ていた健康調査なんですけれども、改めて環境省としては、この健康調査の目的というものを、現時点でどういうふうに見ているのかということなんですが、もちろん法律に明記されたことで実施するということだと思うんですけれども、その上で今この時点でやるということは、当然その目的が、今時点で何を持っているかというのが必要だと思うんですけれども。患者のほうからは昨日の懇談でも、言い方は違ったら申し訳ないが、被害の掘り起こしとか、そういう全容が分からないと意味がないというような指摘もあったと思うんですが、環境省としてはこの健康調査を、どのような目的で、その結果をどのように生かすかというふうに考えているんでしょうか。
(大臣)これは、特措法に書かれていることをもとに始まっているわけでありますけれども、究極的な目的を言えば、水俣病の問題を解決するために健康調査をするわけです。ですから、解決するために今いろいろな状況があると思いますけれども、まず水俣病が、鑑定するという意味において、より客観的な方法ということで、今回の健康調査の方法論というものは研究されてきたというふうに考えています。
(記者)いわゆる健康調査をすれば、疾患を持っているであったりとか、水俣病に疑いがある、ないしは水俣病に近い症状があるという方が多く出てくることは想定されると思うんですけれども、やはりそういう方への救済、ないし補償、ないしそういったものをやはり見据えられているということなんでしょうか。
(大臣)必ずしもそれだけを見据えているわけでありませんけれども、いずれにいたしましても、水俣病を証拠で主に今まで判断していたわけですけれども、水俣病は皆さん御存じのようにメチル水銀の摂取によって、脳の機能が不全になったり、あるいは脳の萎縮があるということで起きる病気でございますので、脳の機能の不全、脳の萎縮というものが具体的に脳磁計やMRIで、画像上、ある程度判断できますので、そういう意味では、より客観的な健康調査になるというふうに考えております。
 
(記者)熊日の髙宗です。
 昨日配布されている、水俣病共同要求書に絡んで1点お尋ねしたいんですけども、この中で現状は救済の終了とは言い難いというふうに明記されていらっしゃいますけど、念のため確認ですけど、大臣もこの認識でお間違いないということでよろしいでしょうか。
(大臣)私どもの回答に書いてあるとおりだと思います。
(記者)ここで指す、現状というのは、どういったことを具体的に指しているのか、教えてもらってもよろしいでしょうか。
(大臣)総合的にそういうことだということです。
(記者)例えば訴訟が続いていることとか、そういったことを指しているということでよろしいでしょうか。
(大臣)そこも含めてです。、訴訟だけではありませんけれども。
(記者)そこも少なくとも含まれているということでしょうか。
(大臣)含まれているだろうと思います。
(記者)昨日も議論になったんですが、その救済策ですね。今現状運用されているのは公健法1つしかありません。その公健法の見直しについては否定的な見解を昨日述べられていると思うんですけども、なぜ公健法の検証をされないのか、理由を教えてもらってもよろしいでしょうか。
(大臣)これは類似のいろいろな流れがありますけれども、公健法に基づく判断条件というのは最高裁においても、否定されていないと思います。そしてまた、それに基づいて、今まで約3,000人の方が救済され、その法律に基づいたいろいろな救済策が取られているわけですから、そういう意味では、公健法を否定するという立場には政府としてはなっていないということだと思います。
(記者)昭和52年に判断条件が示されて、かなり長い間公健法を運用されているんですけども、この時点で見直しをすると、非常に収拾がつかないというか、改めて見直さないといけない事例が多過ぎるのでそれは検証が不可能だと、そういった事情もあるんですか。
(大臣)それはそういう論理というよりは、今までの運用において、52年判断条件は否定されておりませんし、その上で、今までの運用になっているということだと思います。
 
(記者)共同通信の矢野と申します。よろしくお願いします。
 水俣関係で、今回、大臣がおっしゃったように9時間という長さで講談されて、生の声をじっくり聞いて、気づかれたことが非常に多かったというお話だったと思うんですけれども、大臣は過去の短時間の懇談と今回の長時間の、この両方を経験されたわけですが、過去の懇談の課題ですとか、今後の懇談の在り方について、どのようにお考えでしょうか。
(大臣)過去の懇談と今回の懇談というのは、時間の長さももちろん、これからもありますけれども、同時に、在り方も、全体との会議もありましたし、意見交換があったり、もっと言えば、一対一というのもあったんで、非常に複合的なものだったと思うんです。ただ、それを5月1日にそのままできるかというと、できないわけで。5月1日から4泊して懇談を続けることは多分無理だと思うので、単純に比較はできませんけれども、もし5月1日にやるということであれば、5月1日の範囲の中で、どれだけまず時間を取れるかということを考えなければなりませんし、それから在り方も、8団体がいますから、その8団体の方が昨日のように、各団体が45分とか1時間を取ったら、次の日の朝までなりますので。それはたぶん不可能だと思うので、ある意味では、その5月1日にやる分については、どういうやり方をしたら物理的に可能で、昨日のように深い懇談を築くかということを考えなければいけないと思います。
 
(記者)新潟日報、貝瀬です。
 先ほどお伺いし忘れたんですけど、健康調査の件で、新潟と熊本というと、やはり熊本のほうが先に開始するといいますか、優先して始めるということになりそうでしょうか。
(大臣)それは今のところ明言できませんけれども、MRIは多分新潟にもあると思うんですけど、脳磁計が新潟にあるかどうか、私が分かりませんので、脳磁計とMRIを使うという意味においては、新潟でどうするかということを今後考えなければならないと思います。
(記者)基本的には並行して進めたいお考えですか。
(大臣)脳磁計だけの問題でもありませんけども、脳磁計(の確保)という問題はあると思います。それから機械だけが(あれば)いいというものじゃなくて、医師や検体・検査技師、こういうことも必要です。ですからそこも含めて、今、研究班で、どのような形で健康調査を、合理的に、かつ、なるだけ迅速に行うかということをもんでいる最中だと思います。それにはやはり、令和7年までかかると思います。
(記者)わかりました。
 
(記者)共同通信の堀口です。
 水俣病の被害者団体との懇談方法とか時間について、改めて伺います。今回再懇談で時間制限を区切らずに開催されて、困難を背負った多くの被害者の方々の生の声を聞くことは大臣として大きな手応えを感じたということだと思いますが、一方、改めてですが、被害者団体との懇談をめぐって、環境省は2017年から1団体3分までとするルールを設けたこと、また今年5月にはそれに基づいて実際にマイクを切ったこと、この2点について、環境省の姿勢を、改めてですが、どうだったと考えていますか。
(大臣)私は今年初めて5月1日に出たわけでありますけれども、私の感じとしては、3分は短すぎるし、それから、もちろんマイクを切ったことは大変遺憾だと思いますし、こちらで申し上げたように、5月1日に全部を、昨日から11日にかけてのような形でやることも不可能なんですね。ですから、5月1日にやる懇談を、抜本的にということも言ったんですけど、どういうふうにしたら物理的に可能で、かつ水俣病関係の皆様の御満足のいくような形にするかということは、抜本的に考える必要があるだろうと私は思います。

 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=lSCSxkC-Nc8
 

(以上)

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