環境省・新着情報

2024年07月26日

川辺川の流水型ダムに関する環境影響評価レポートに対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、「川辺川の流水型ダムに関する環境影響評価レポート」(国土交通省九州地方整備局)に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出した。

 環境大臣意見では、
 (1) 動植物及び生態系に係る環境への影響を低減する観点から、クマタカの生息・繁殖状況を踏まえ、工事時期の調整、コンディショニング等の措置を実施することや、試験湛水後のダム洪水調節地内において、動植物の生息・生育状況を調査し、既存の重要な動植物の生息・生育環境の回復に向けた植栽等の措置を適切に実施すること
 (2) ダム洪水調節地内には、人と自然との触れ合いの活動の場が存在しており、試験湛水や洪水調節による冠水によって利用ができなくなる施設の移設や維持管理等について、関係機関や地域住民と協議を行い、人と自然との触れ合いの活動の場の確保に努めること
 (3) 本事業の施工による建設発生土、コンクリート塊等の廃棄物等の発生抑制に努め、可能な限り適切に有効利用するとともに、伐採範囲を縮小し、伐採木の有効利用に努めることで、環境への負荷を低減させること

等を求めている。

■ 背景

 川辺川の流水型ダムについては、「令和2年7月豪雨」を受け、熊本県の蒲島知事が令和2年11月に「命と環境を守る『緑の流域治水』を進め、その一つとして『新たな流水型のダム』を国に求める」ことを表明したことを受け、調査・検討が進められているものとなる。
 本事業は、環境影響評価法施行前に工事着手済みのため、同法の対象外となるが、環境保全の見地から、国土交通省と環境省が連携して、法に基づくものと同等の環境影響評価を実施することとしており※1、事業者である国土交通省九州地方整備局から提出された「環境影響評価レポート」は環境影響評価書※2に相当するものとなることから、主務大臣である国土交通大臣からの照会に対して当該レポートについての環境大臣意見を述べるもの※3
 今後、国土交通大臣から、事業者である国土交通省九州地方整備局に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討し、必要に応じて見直しを行った上で環境影響評価レポートを確定し、公告、縦覧等を行うこととなる。
 
 ※1 令和3年5月21日付け国土交通省報道発表「球磨川の「新たな流水型ダム」の環境影響評価について環境省と連携して実施します」を参照。
    https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo05_hh_000129.html
 ※2 環境影響評価書は、「環境影響評価の結果について記載した環境影響評価準備書に対する意見を踏まえて、必要に応じて、その内容を修正した文書」。
 ※3 環境影響評価法では、湛水面積100ha以上のダムの新築を第一種事業として定め、環境影響評価の手続きを必ず行うこととしており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価書について、主務大臣からの照会に対して意見を述べることができることとされている。

■ 事業の概要

   ・ 事業者   国土交通省九州地方整備局
   ・ 事業位置  球磨川水系川辺川の熊本県球磨郡相良村及び五木村
   ・ 事業規模  湛水面積:391ha、堤高:107.5m、堤頂長:約262.5m
   ・ 形式    重力式コンクリートダム
   ・ 目的    球磨川流域における洪水被害の防止及び軽減

(参考)環境影響評価に係る手続状況

 【配慮レポートの手続】
   ・ 縦覧         令和4年3月25日~同年4月28日(住民意見94件※4
   ・ 熊本県知事意見提出  令和4年6月22日
   ・ 環境大臣意見提出   令和4年5月26日
   ・ 国土交通大臣意見提出 令和4年6月17日
 
 【方法レポートの手続】
   ・ 縦覧         令和4年11月15日~同年12月14日(住民意見86件※4
   ・ 熊本県知事意見提出  令和5年4月24日
 
 【準備レポートの手続】
   ・ 縦覧         令和5年11月28日~同年12月28日(住民意見127件※4
   ・ 熊本県知事意見提出  令和6年 4月12日
 
 【評価レポートの手続】
   ・ 環境大臣意見提出   令和6年7月26日

   ※4 環境の保全の見地からの意見の件数

連絡先

環境省大臣官房環境影響評価課環境影響審査室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8237
室長
加藤 聖
室長補佐
鈴木 祐介
審査官
中山 裕貴
審査官
河合 実名子

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