厚労省・新着情報

(令和6年7月26日(金)11:16~11:32 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今月の米国出張における知見や「創薬力・構想会議」の議論も踏まえ、オープンイノベーションによる創薬エコシステムを強化するため、7月30日に首相官邸にて「創薬エコシステムサミット」Gate Opening Summit for Innovative Drug Discoveryというテーマで会議を開催します。本サミットでは複数の関係閣僚等のほか、我が国の創薬力向上のキープレーヤーとなる国内外の関係者が一堂に会し、創薬エコシステムの強化に資する取組や官民の意見交換の場である「官民協議会」の在り方について意見交換を行います。可能であれば総理にもご出席いただきたいと考えております。またサミット終了後は、製薬企業、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、アカデミアの関係者をお招きしてネットワーキングイベントも開催します。我が国が世界に誇るべき創薬力を武器に、産学官が一丸となって創薬エコシステムの強化に取り組んでいきたいと考えています。詳細については追って事務方よりご案内いたします。私からは以上です。 

質疑

記者:
今年度の最低賃金の改定の目安額について伺います。長時間にわたる審議の末、中央最低賃金審議会で50円引上げるという目安で労使の議論が決着しました。全国の最低賃金の平均は1,054円になりますが、労働者側からは「物価高にはまだ追い付いていない」との意見も聞かれます。この引上げ目安について大臣の受け止めや評価をお願いします。また、今後各都道府県がそれぞれの審議に入りますが、どの様な議論を望むかお考えをお聞かせください。 
大臣:
審議会で、公労使の各関係者から大変熱心なご議論が行われたことに敬意を表しておきたいと思います。50円、5.0%という今回の目安については、物価が高水準で推移する中、昨年10月以降の消費者物価の伸び率、平均3.2%でしたが、これに加え、最低賃金に近い賃金水準の労働者の購買力を維持する観点から、頻繁に購入する品目の伸び率、平均5.4%、これも勘案し取りまとめられたものと認識しています。また、こうした最低賃金の引き上げは非正規雇用労働者や中小企業への波及に資するものになると考えています。地方最低賃金審議会においては、地域の実情に応じた真摯な議論が行われることを期待したいと考えています。 
記者:
マスクの感染予防効果についてお尋ねします。去年の1月30日コクランレビューに、マスクの感染予防効果は認められなかったという科学論文が発表されています。6月にはアメリカの下院公聴会でアンソニー・ファウチ氏が、マスクの感染防止効果についてソーシャルディスタンスと共に科学的根拠は必ずしもあったとは言えないとの発言をされています。我が国は厚労省がマスクに感染症防止効果があるという立場と認識しますが、その根拠を教えてください。 
大臣:
新型コロナウイルス感染症の感染予防には、換気や手洗い・手指消毒、マスクの着用などの基本的な感染対策が有効であり、これまでも国民の皆様に対し周知してきたところです。マスクの着用については、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいて、西浦先生から「マスク着用の有効性に関する科学的知見」として資料を提出していただくなど、感染症の予防に有効であると考えています。 
記者:
根拠として決定付けるような論文はありますか。 
大臣:
これは、まず新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでの資料に基づきますと、系統的にレビューした研究によると、マスク着用をコミュニティ全体で推奨した際、新規感染者数、入院患者数、死亡者数をそれぞれ減少させる効果があることが示唆された結果が大変多く出ています。米国における研究では、マスク着用者が10%増加することにより、そうでない場合と比較して流行を3.53倍制御しやすくなると推定された結果などが紹介されていると承知しています。 
記者:
後者の論文はおそらく昨年2月1日に出されたものだと思います。同時期に出された先ほどのコクランレビューの方は検討されないのでしょうか。 
大臣:
適宜こうした文書については検討していると思います。その上で、引き続きマスク着用については効果がある、特に今年の夏は再びコロナが感染する、拡大可能性があり、私どもも非常に警戒しています。その中で、やはり症状が出た方はぜひマスクの着用をしていただき感染を防止していただくことを強く国民の皆様方にも推奨させていただいているところです。 
記者:
急性呼吸器感染症、ARIを感染症法の5類感染症に追加する方針についてお尋ねします。現在、省令改正のパブコメが行われており、そこで明確に説明されていないようですが、従来の風邪コロナウイルスによる感染症を「5類」に位置付ける変更だと理解してよろしいのでしょうか。そうだとすれば風邪を5類に格上げする目的は何でしょうか。また、これによって他の感染症と同じように今後は風邪の流行状況をいちいち発表したり、医療機関や国民生活に影響が出ることも予想されます。今回の位置付け変更によってどのような影響が出るのか教えてください。 
大臣:
今月開催した感染症部会において、季節性インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス感染症等、個別に把握している感染症以外の急性呼吸器感染症も、発生状況を把握し平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うため、感染症法の5類感染症に位置付けました。これは平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うためです。国際基準に準じ急性呼吸器感染症を一体的に把握する体制を整備する方針も了承されました。今後、報告を求める具体的な症例について検討することとしていますが、定点医療機関が報告すべき対象が追加されるため、詳細が決まり次第、定点医療機関における報告に係る事務負担にも配慮しつつ定点医療機関に対してご理解・ご協力を促してまいりたいと考えています。 
記者:
従来の風邪コロナウイルスは入っているのでしょうか、入っていないのでしょうか。今回パブコメで付されている案です。 
大臣:
これは平時より呼吸器感染症の包括的なリスク評価を行うため、平時よりの包括的な感染症のリスク評価という点が、その基本的な考え方です。 
記者:
国民に意見募集を求めているわけなので、そこは明確に今回の改正によって従来の風邪が5類に入ることになるのか入らないことになるのか、そこを明確にご説明いただけますか。意見募集をされている意図がわからなくなってしまいます。 
大臣:
急性呼吸器感染症とは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)あるいは下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群を総称して急性呼吸器感染症と言います。新型コロナウイルス感染症とは異なる「かぜ」の原因となるコロナウイルスもここに含まれます。 
記者:
含まれるとお聞きしました。 
記者:
7月4日に開催された第16回医薬品等行政評価・監視委員会において、会議の情報公開の在り方に関するやり取りがありました。厚生労働省の担当者が、この会議はYouTubeでライブ配信をしているので情報公開は十分できているという趣旨を話される一方、委員からは、ライブ配信が終わると視聴できなくなってしまうので事後検証ができないと指摘されていました。この会議に限らずのことですが、厚生労働省が配信している会議の多くはライブ配信でしか見られません。7月4日の会議で言えば、平日の10時から12時に行われ、この時間に視聴できる方は非常に限られます。会議終了後であってもいつでも視聴できるようになれば、国民にとって便利かと思いますがいかがでしょうか。 
大臣:
厚生労働省所管の審議会等の公開については「審議会等会合の公開に関する指針」に基づき対応することとしています。この指針においては、議事録または議事要旨の公開のルールについて定めており、ご指摘のような会議後の動画の公開までは求められていません。審議会等会合の公開の在り方については、個々の会合の性格等に応じて審議会等の開催の都度判断し、引き続き適切に対処してまいりたいと考えています。 
記者:
ライブ配信だけ行い、その後見られなくするというのはどのような意図があるのでしょうか。最初から公開しないのであれば理解できます。 
大臣:
今申し上げた通りのお答え以外はございません。 
記者:
レプリコンワクチンの問題、特に「シェディング」の問題について伺います。2024年7月5日の会見で、この秋から接種可能となるレプリコンワクチンの「シェディング」、伝播・排出・曝露等とも呼ばれますが、その問題を指摘し、この現象に関して臨床試験あるいは何らかの調査は行われているのか、行われているのであればその結果を明確かつ科学的なデータとして国民に示すべきではないかと質問をし、武見大臣からは、「シェディング」という現象が、科学的知見として現在存在するのだということについてはまったく承知をしていないので答えようがないとのご答弁をいただきました。武見大臣は「まったく承知をしていない」と仰いましたが、平成29年度厚生労働行政推進調査事業の総合報告書から抜粋された「感染症の予防を目的とした組換えウイルスワクチンの開発に関する考え方」という文書の中に「臨床評価に関して留意すべき点」として、「増殖型組換えウイルスワクチンの場合には新生児、妊婦及び免疫抑制状態の患者等への伝播リスクが高いことが想定されるため、ウイルス排出については、慎重に評価すべきである」との記述があります。この場合、「増殖型組換えウイルスワクチン」というのはレプリコンワクチンに相当するものであると考えますが、「慎重に評価すべき」とされている「シェディング」について大臣が全く承知していないというのは問題だと考えます。レプリコンワクチンの「シェディング」について現状、臨床試験もしくは何らかの調査が行われているか行われていないか端的にご教示ください。 
大臣:
レプリコンワクチンはRNAワクチンであり、ご指摘の報告書に記載のある増殖型組換えウイルスワクチンにはあたらないものと承知しています。その上で、レプリコンワクチンに関する国内臨床試験において、お尋ねの「シェディング」と呼ばれる事象が生じるとの知見は現時点ではないものと承知しています。そのため「シェディング」に関する追加的な調査等を実施する必要性は現時点では認められません。引き続き最新の科学的知見を踏まえ、レプリコンワクチンの有効性・安全性の確保にしっかり努めてまいりたいと考えています。 
記者:
臨床試験自体は行われているということでしょうか。 
大臣:
レプリコンワクチンに関する国内臨床試験において、お尋ねの「シェディング」と呼ばれる事象が生じるとの知見は現時点ではありません。そのことを申し上げました。 

(了)

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