内閣府・新着情報

2024年7月
金澤 匡剛
横浜国立大学国際社会科学研究院講師、前内閣府経済社会総合研究所研究員

要旨

 医療業界において政府はさまざまな目的で価格を規制しているが、政策目標に沿った適切な価格規制を行うためには、医療需要が価格変動にどのように反応するかを理解することが必要である。本研究では、高価なバイオ医薬品であるフィルグラスチムおよびそのジェネリック医薬品(バイオシミラー)について日本の医薬品市場を分析した。分析には184,954人の入院患者のデータを使用し、病院によるジェネリック医薬品の導入を明示的に組み込んだ需要モデルを用いた。 まず第1段階としてハザードモデルを用いて先発医薬品およびジェネリック医薬品の価格が病院のジェネリック医薬品導入に与える影響を分析し、第2段階として、各患者の選択肢がその時点でその病院で利用可能な医薬品に限定された、患者の医薬品選択に関する離散選択モデルを推定した。その後、両モデルの推定結果を使用して反実仮想シミュレーションを行い、ジェネリック医薬品の価格を10%引き下げると、直近の年でその市場シェアが12.04%増加し、このシェア増加効果の大部分は病院のジェネリック医薬品導入の決定によるものであることを示した。


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病院の意思決定が医薬品市場に与える影響:バイオシミラーのケース(PDF形式:1.5MB)PDFを別ウィンドウで開きます

全文の構成

  1. Abstract
    page1
  2. 1 Introduction
    page2
  3. 2 Industry Backgrounds
    page3
  4. 3 Data
    page7
  5. 4 Hospital Model of Biosimilar Introduction
    page12
  6. 5 Patient Model of Drug Choice
    page18
  7. 6 Simulation
    page21
  8. 7 Conclusions
    page26
  9. References
    page29
  10. Appendix
    page31

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