厚労省・新着情報

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和6年6月24日(月)16:00~

場所

中央合同庁舎5号館9階厚生労働省省議室(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)ストレスチェック制度について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○辻川中央労働衛生専門官 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第4回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、誠にありがとうございます。
 ここで報道関係者の皆様にお願いがございます。カメラ撮りはここまでとしていただきますよう、お願いいたします。
 この度、構成員の交代がございましたので御紹介させていただきます。中野構成員に代わり、公益社団法人日本看護協会常任理事の松本様が、新たに就任されております。松本様より、一言御挨拶をお願いできればと思います。
○松本構成員 日本看護協会の松本です。どうぞよろしくお願いいたします。4回からの参加となりまして、これまでの経過を踏まえて、発言なりの努力をしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻川中央労働衛生専門官 ありがとうございます。続いて、本日の出欠状況です。大下構成員が御欠席です。また、新垣構成員、江口構成員、及川構成員、黒木構成員、砂押構成員、松本構成員、三柴構成員、矢内構成員がオンラインでの御参加になります。
 次に、オンラインで御参加いただいている構成員の皆様に、御発言の仕方を説明させていただきます。会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 続いて資料の確認を行います。本日の資料は、議事次第、資料1「第1回~第3回検討会における主な意見」、参考資料の関連条文及び指針等となっております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。
 それでは、以降の議事進行については、川上座長にお願いいたします。
○川上座長 それでは、これから第4回の議事に入りたいと思います。これまで3回にわたって自由に御発言を頂きまして、それを踏まえて第4回から本格的な議論に入っていきたいと思っております。
 前回の検討会の最後に、これからの本検討会の進め方について、一度確認をさせていただきましたが、もう一度申し上げておきます。今回以降、まずはストレスチェック制度の枠組みを中心に議論を行うということで、これを数回の検討会で進めていきたいと思っております。その議論が取りまとまった後に、現行のストレスチェック制度の実効的あるいはより有用な運用について、さらにメンタルヘルス対策全般について、議論をしていきたいと思っております。そのような形で進行させていただくことを、もう一度確認いただければと思います。
 本日は、先ほど申し上げた議題のうちのストレスチェック制度の枠組みに関して、意見交換をしてまいりたいと思います。これに関する資料1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 資料1について御説明いたします。2ページ、3ページをお開きください。座長からございましたが、今回以降、数回にわたって、まずは2のストレスチェック制度の枠組みを中心に議論を進めていくことになります。この範囲でこれまで主に御議論いただいた観点が、(1)の1から7、(2)の1から3となります。この部分について、簡単に振り返りをさせていただきます。全体のほうは、また御確認いただければと思います。
 5ページから7ページです。まず、50人未満の事業場へのストレスチェックの義務化については、これまで、義務化を検討すべきという御意見と、一方で課題があるとする御意見がございました。
 次は8ページです。その課題として挙げられた各観点というのが、この2以降になります。まず、労働者のプライバシーの保護について、50人未満が努力義務となった理由でもあるプライバシー保護の観点については、その後の変化も含めて整理が必要といった御意見がございました。
 9ページです。医師の面接指導の事後措置については、「中小企業において、配置転換など大企業で取り得る手段も含め、対応できるのか」といった御意見がございました。
 10ページです。4は「中小企業の現状に即した実施内容を検討すべき」として、50人以上と同じ対応を求めるのか、さらには50人未満といっても一律ではない」といったような御意見もございました。
 11ページです。5の実施コストについて、外部機関を活用する費用はどれぐらいの負担になるのかといった観点で御意見がございました。
 12ページです。6に関しては、中小企業において人的リソースが不足しているという課題、地産保等による支援の必要性といったところについて御意見がございました。また、地産保等のキャパシティに関する御意見もございました。
 13ページです。その他、中小企業に対する支援策として、地域のかかりつけ医と地産保の連携が重要といった御意見もございました。
 14ページです。次に集団分析・職場環境改善に関してです。1のように「義務化すべき」との御意見や、「義務化する場合に考慮すべき観点」についての御意見がございました。
 16ページです。2は、集団分析・職場環境改善を通じて、効果的にメンタルヘルス対策を実施していくための事業場内の実施体制、実施方法について、産業保健だけではなく人事労務の役割や連携が重要といった御意見を頂戴しています。
 17ページの下です。そのほか、3のように「外部の支援も充実すべき」といった御意見がございました。
 ここまでが本日御議論いただく各課題の振り返りということになります。
 24ページ以降ですが、それをそれぞれ論点案として整理させていただいております。
 25ページです。論点1は「労働者のプライバシー保護」についてです。プライバシー保護として幾つか観点があると思っておりまして、まずは、ストレスチェックの実施におけるプライバシー確保です。これに関しては、1つ目の○ですが、前提として、ストレスチェックの全部を、「全部」というのは、実施者、実施事務従事者、情報管理等も含めてですが、これらを外部委託することも可能ということで、これは指針でも示しております。また、実態としては、令和3年度の調査結果によると、ストレスチェックの実施を外部機関に委託している事業場が7割を超え、その委託先は、健診実施機関が最も多くて4割弱、次いでEAP機関が3割を超えているという状況です。また、今回私どものほうで実施した健診機関等へのアンケート調査においても、小規模事業場の場合、外部機関において実施者や記録の保存等を請け負う例というのもございました。
 関連資料として31ページを御覧ください。先ほど少し触れました、50人未満の事業場に対してストレスチェックのサービスを提供している健診機関・EAP機関に我々のほうでアンケート調査を実施した結果になります。1.を御覧いただくと、50人未満の場合、1の実施方法については、定期健康診断と併せて実施するケースと、ストレスチェックを単独で実施するケースが両方見られました。検査媒体としては、小規模事業場の場合は大半が紙によって行われているという感じでした。実施者の取扱いですが、基本的に機関所属の医師等が実施者となるといった機関が多いという結果でした。2.のプライバシー保護の方法です。今回調査した全ての機関において、紙、Webによらず、個人の内容は事業場内の第三者に見られない方法が取られておりました。
 25ページに戻っていただきます。2つ目の○です。また、この間の政策的な変化として、厚生労働省においては、平成30年に労働者の健康情報の取扱いを安衛法に規定して、それに基づく指針を作成するなど、プライバシー保護の徹底を図ってきております。
 もう1つの観点ですが、高ストレス者のプライバシーを確保した相談等対応についてです。これは、面接指導の申出ができない高ストレス者のフォローについて、事業場に知られることなくプライバシーを確保して相談できる対応ということになりますが、これは外部機関の活用も含めて随分可能になってきているのではないかということです。
 関連の資料を御覧いただきますが、34ページです。このページの表ですが、地産保とこころの耳の労働者からの相談対応の状況です。平成27年のストレスチェック制度開始以降、地産保への相談は6万件から12万件と約2倍になりました。こころの耳のほうも、例えば電話相談は10倍、メール相談はSNS相談と合算で見ると2倍になっています。このように、外部相談窓口の活用も随分と普及が進んできているものと考えております。
 26ページに戻っていただきます。論点2です。医師の面接指導の事後措置については、医師による、労働者の心身の健康を害しないために必要な就業上の措置に関して出される意見に対しては、配置転換に限らず対応可能な配慮や措置を講ずることが重要ではないかと。この点については、引き続き皆様に、小規模事業場における対応について御議論をお願いしたいと思います。
 論点3です。中小企業に即した実施内容については、御意見の中でも幾つか観点が挙げられておりました。まず、衛生委員会等における調査審議に関しては、衛生委員会等の設置義務がそもそもない50人未満の事業場ですので、関係労働者の意見を聴く機会を設けるといった対応で対応できるのではないかと考えております。次に、指針で示している実施体制、実施方法等に関しては、50人未満の事業場の、さらに、産業医の選任の有無や、例えば10人未満など事業場の規模のケースごとに様々かと思いますので、それぞれの現状に即した取組可能な内容を検討していくべきではないかという観点です。実施規程についても、これに併せてアレンジしたモデル例を示していければどうかと考えております。次に、監督署への結果報告に関しても、一般健診でも50人未満には監督署への報告義務は課していないことも参考に検討してはどうかと考えております。
 27ページです。論点4は実施コストに関してです。ストレスチェックの実施を外部機関に委託する場合のコストは、中小企業が負担し得るものであるか、現状を確認すべきではないかということで、資料がございます。32ページを御覧ください。こちらは先ほどのアンケート結果の続きになります。3.が、今回の調査対象となった外部機関が提供するストレスチェック関連サービスの費用ですが、実施方法や検査媒体、パッケージ等によって異なってはきますが、ストレスチェック自体の費用というのは、1人当たりで換算すると、数百円から千円程度でした。なお、表の外の注意書きにもありますが、これらは職業性ストレス簡易調査票のいわゆる57項目を用いて行うサービスの場合の費用となっています。
 27ページに戻っていただきます。論点5です。地産保等による支援、その他中小企業に対する支援策として、産保センター・地産保による支援の充実を図るべきではないか、また、地域のかかりつけ医との連携の促進を図るべきではないか。このように論点を挙げております。
 地産保のキャパシティを見ていただくために、資料の35ページを御覧ください。仮に50人未満に義務付けをした場合に、一部の事業場で医師面接での地産保の利用というのが出てくると考えられますので、その利用者数の見積りを、ここに挙げているような数字でざっくりはじいてみようということです。
 まず、現在50人以上の事業場の労働者で、ストレスチェックの医師面接を受ける人数を考えてみると、受検者数は1,300万人ありまして、上の表と対照して見ていただくと、50人以上の労働者数は2,600万人となりますので、約半数が受検するというように考えますと、その場合、50人未満の労働者数は2,800万人になりますので、その約半数と考えると、受検者数については、一旦1,400万人という概算になります。また、ストレスチェック受検者のうち医師面接を受ける割合は、これは俗に1パーセント程度とも言われていますが、仮にここにある数字の「約1.5%」を用いて計算すると、先ほどの1,400万人×1.5%により「約20万人」という数が医師面接を受ける人数ということで一旦出てきます。
 一方、50人未満の事業場で地産保を利用して長時間労働の医師面接を行う割合を考えてみると、50人未満の事業場の労働者で長時間労働の医師面接を受ける割合というのは約0.3%というのがありますので、これを用いて2,800万人×0.3%により「約8万人」という数が出てきます。そのうち、現在、地産保の利用件数というと4,000件というのがありますので、8万件と4,000件を見ると、これもすごくざっくりですが、「約20分の1」が地産保を利用して医師面接を行っていると言えると思います。
 先ほどの約20万人を思い出していただきまして、20万人の20分の1と考えると、「約1万人分」というのが、仮に50人未満の事業場にストレスチェックを義務付けた場合に、特に制度移行時、一時的な支援として、地産保に支援の求めが寄せられてくる数として考えられるということです。
 新たに、この「約1万人分」が加わった場合に、地産保のキャパシティ上可能なのかということで、36ページを御覧いただきます。一番上の表は、地産保の医師面接での利用件数です。現在に比べて、過去にはプラス約1万人分以上の数に対応していたということが分かります。ちなみに、次の下の表は、地産保の産業医、保健師の体制ということで、登録数になりますが、これは、むしろ過去よりも拡充してきております。そういったことで、過去の実績、体制から考えると、キャパシティ的に不可能ということはないのではないかと考えております。
 ただし、現在のこの体制をストレスチェックの面接指導のニーズに即振り向けられるのかというと、そういうわけでもなく、現状、健診結果の医師の意見聴取など、ほかのサービスに目一杯利用されておりますので、新しいニーズや新しい事業場を受け入れられるように、余地を新たに作っていく工夫は必要になるものと思っています。この点につきましては、地産保の現場にも関わっていただいている先生方もおられますので、また御意見を頂戴できればと思っています。
 37ページを御覧ください。上の表は、産保センターにおける、事業場からのストレスチェック制度に係る相談に応じている件数です。制度施行時においては、制度導入の相談というのが事業場から多くありましたので、現在の約10倍の相談に対応していたということです。1つ下の表のように、対応する専門スタッフの体制はこの間も拡充してきておりますので、こういったことからも、新しいニーズにも産保センターのほうで一定応じていけるものと考えております。
 38ページ、39ページです。産保センター及び地産保の支援の全体像が38ページ、39ページはこころの耳の支援の全体像ですので、別途御参考にしていただければと思います。
 論点に戻ります。27ページ、その他中小企業に対する支援策です。この部分については、一番下の○ですが、「厚生労働省版ストレスチェック無料実施プログラムを小規模事業場にとっても使いやすくなるように改善すべき」という御意見がこれまでにございましたので、引き続きこういった点についても検討していただければと思います。
 28ページの論点6は、集団分析・職場環境改善の義務化についてです。ストレスチェックの集団分析結果によって集団の心理的な負担の状況を把握することについては、一次予防を推進する手段として重要というのが、これまでの議論だったと思います。また、これまでの議論では、職場環境改善はそれぞれの事業場において多様に取り組まれている、ストレスチェックの集団分析結果だけで検討しているわけではないといった実情についても御意見がありましたが、実際にストレスチェックに基づく職場環境等の改善は、以下に指針・マニュアルの抜粋もございますが、指針・マニュアルにおいても、事業場の実情等に応じた進め方をとることとされています。
 ここの論点としては、この集団分析・職場環境改善については、引き続き義務化という選択肢も含めて、また、義務化するならどういった形が適当かといったことなど、企業における取組の現状を踏まえた普及を図る方法を、引き続き検討すべきではないかということで、挙げさせていただいております。これに関しては、資料の末尾に事業場の職場環境改善の取組事例を付けているので、説明は割愛いたしますが、御参考にしていただければと思います。
 29ページの論点7は、事業場内の実施体制についてです。事業場において、職場環境改善を通じて効果的にメンタルヘルス対策を進めていくために、産業保健と人事労務の連携した実施体制をどのように構築していくべきか。同じく29ページの論点8ですが、職場環境改善の実施を促進していく上での外部支援の充実といったことについても、論点とさせていただいて、引き続き御検討いただきたく思っております。以上が事務局で御用意している資料の説明です。よろしくお願いいたします。
○川上座長 構成員の皆様から、論点についての御意見を賜りたいと思いますが、その前に、本日御欠席の大下構成員からコメントを頂いていますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○辻川中央労働衛生専門官 大下構成員から頂いている論点に対する意見を、事務局より読み上げさせていただきます。まず、全体に関するものが3点ございます。
 1点目です。小規模事業場においても働く人の心身の健康管理に意を払うべきであることは論を持たない。ただし、現在50人以上の事業場に義務化されている内容をそのまま義務化することには、強い懸念がある。
 2点目は、専任の人事労務担当者がいない中で社内体制の整備は可能か、それを補完する外部サービスに全ての事業場がアクセス可能か、人数が限られ、労使の距離が近い事業場において、社内の人間関係に起因するケースも含めて、取り扱うことの難しさをどう考えるかなど、慎重に検討する必要がある。
 3点目です。結果として実効性を伴わない、あるいは、かえって働く人のメンタルヘルスにとってリスクを伴うような仕組みとならないよう、小規模事業場の実態を十分に踏まえた検討が不可欠。以上が全体に対する意見でございます。
 続いて、論点1「労働者のプライバシー保護」、論点4「実施コスト」、論点5「地産保等による支援、その他中小企業に対する支援策」に関する意見です。2点ございます。
 1点目です。小規模事業場にも外部委託の利用が現実的な選択肢になっているということは否定しないが、義務化となれば、へき地等の事業場においても十分に利用可能か、産業医の選定義務がない中での面接指導実施などに係る費用は過大でないか、委託先の都合によるサービス停止などのリスクをどう考えるかといった点をクリアしなければならない。
 2点目です。本来は地産保、こころの耳等の公的サービスによる対応が望ましく、民間サービスの利用を前提とする全ての事業場への義務化は、制度として不十分ではないか。こういったものが論点1等に関する意見でございます。
 続きまして、論点2「医師の面接指導の事後措置」、論点6「集団分析・職場環境改善の義務化」に関する意見です。
 事後措置や集団分析の重要性は否定しないが、小規模の事業場において、メンタル面での不調を事業場であったり経営者に知られることのリスクを十分に勘案し、少なくとも当事者が希望する場合は、確実にセルフチェック、セルフケアにとどめられる仕組みを用意すべき。
 続きまして、論点3「中小企業に即した実施内容」に関する意見です。こちらは2点ございます。
 1点目です。実施体制、実施方法については、50人未満の事業場の現状に即した取組可能な内容を検討すべきとの記載については、同意。
 2点目です。ストレスチェック実施者の設置、ストレスチェックの運営体制、衛生委員会の取扱い、監督署への報告など、小規模事業場の経営者や働く人が実行可能と受け止められる仕組み、モデルを示すべき。
 以上が大下構成員から頂いている意見でございます。
○川上座長 これらの御意見も参考にしてまいりたいと思います。それでは、構成員の皆様から御意見を賜りたいと思いますが、論点が多くございますので、まず先に、50人未満の事業場におけるストレスチェックについて御議論を頂きたいと考えています。論点1から論点5になります。その後に、議論の様子を見ながら、論点6から論点8の集団分析・職場環境改善のほうに話を移したいと思っております。御意見のある方は挙手の上、お願いいたします。発言に際して、どの論点に関するものかを番号で教えていただけると、当方の整理が容易になりますので、よろしくお願いいたします。50分ぐらいをめどに、50人未満の事業場におけるストレスチェックについて、御意見を賜りたいと思います。御発言いただける構成員の先生はいらっしゃいますか。茂松構成員、よろしくお願いいたします。
○茂松構成員 日本医師会の茂松でございます。今回、論点の整理をどうもありがとうございました。
 まず、言葉の使い方についての確認です。「ストレスチェック」は検査のみを指しているということと、「ストレスチェック制度」というのは、検査に加えて集団分析・職場環境改善、これを含んでいると解釈していいのでしょうか。これが1つです。その上で、幾つかの論点について意見を述べさせていただきます。
 まず、論点1の労働者のプライバシー保護についてです。これは外部機関への委託が大変進んでいるということです。ただ、外部機関は本当に様々ございますので、質の担保ということが非常に重要であろうと思います。それで、厚労省で作成された「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」がございますが、その利活用をしっかりとしていただくということが望ましいかなと考えます。
 論点2、これは医師の面接指導の事後措置です。これはとても重要です。事業者が医師から就業上必要な措置や職場環境改善に関する意見を聴き、適切に対応されることは、事業者が労働者にとって働きやすい職場環境を保つという、配慮すべき義務の履行につながると思いますし、それで働きやすい環境づくりによる生産性の向上が期待できるということで、このことは非常に大事だろうと思います。
 論点3、中小企業に即した実施内容です。ストレスチェック制度については、労働者の健康情報の保護が適切に扱われるよう強く求められており、ストレスチェックの実施事務従業者には、労働者の秘密を漏らしてはいけないという守秘義務が課されています。一斉に実施するのではなくて、実施体制がしっかりとできている所から進めていただきたいということです。したがいまして、労働者50人未満の事業場においては、ストレスチェックをはじめとする労働者の健康管理、この事業場の特性をしっかりと踏まえて、実施体制ができているかどうかをしっかりと議論をして深めていくことが必要ではないかと考えます。
 論点4については、ネットなどを見ますと、かなり誘導するような、広告的なものも出ていると。従業員が何で、どういう職業で何名というと、「更に進んでください」と言いながら、費用が出てくるということもあります。その辺は実際に信じられるのかどうか、その辺の評価をしっかりとしないといけないかなと思います。
 論点5は、地産保等による支援、その他中小企業に対する支援策です。当然、地産保による支援というのは重要であろうと思いますし、小規模事業場において、地域のかかりつけ医との連携というのは、我々は大変重要であると考えております。まず、地産保の登録産業医は地域のかかりつけ医であるということから、小規模事業場のメンタルヘルス対策というのは、まずはかかりつけ医に対する対応を軸に進めるべきではないかということを考えています。その際に、どのように事業場にフィードバックするのかということの議論をしっかりとしていただければと思っています。また、厚生労働省のストレスチェックの無料プログラムを使いやすいようにすると出ておりましたが、是非ともこれを進めていただきたいと思っております。50人未満の事業場でも、ストレスチェックを実施したい事業場には実施できるように、マニュアルをしっかりと作成するなど、工夫が要るのではないかと考えています。論点5までは以上でございます。
○川上座長 ありがとうございました。事務局のほうは、先ほどの「ストレスチェック」、「ストレスチェック制度」の定義については異論はないと思ってよろしいでしょうか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 「ストレスチェック」と「ストレスチェック制度」の使い分けですけれども、茂松構成員のご指摘のとおり、「ストレスチェック」と言う場合は、法第66条の10の第1項に規定されている、いわゆる検査そのものを指しております。「ストレスチェック制度」と言う場合は、第66条の10に係る制度全体というように定義されておりまして、指針にも対象として書いてあります、面接指導、事後措置、集団分析・職場環境改善の全部を含んだものということで使い分けています。
○川上座長 確認をありがとうございました。では、オンラインの三柴構成員、よろしくお願いいたします。
○三柴構成員 論点1についてです。今回、中小に実施義務を課すとしても、実施報告の義務をどうするかというところは別儀だというように理解しています。仮に報告義務を課さないとしますと、中小事業者のストレスチェックの実施のモチベーションというのは、恐らく従業員の真の声を聞くことになると思います。にもかかわらず、プライバシーを厳格に取りすぎると、現実的には、中小での実施、特に心理的な職場改善は難しくなるのではないかということは懸念しています。ストレスチェックの本来の目的が、職場内でのコミュニケーションの促進、話合いのきっかけづくりにあったということも考えますと、むしろ労使などの関係者の共働を誘う姿勢が必要ではないか。単に外部業者に預ける方向性では形骸化してしまうのではないかと考えます。情報共有に労働者の同意を前提にするとしても、同意の取り方を柔軟にするなどの工夫が必要だと思います。
 論点2、論点3についてもあるのですが、続けますか、後にしますか。
○川上座長 続けていただいて結構です。
○三柴構成員 論点2、論点3について申し上げます。これは企業規模を問わない意見です。論点2、論点3でも、実施に際しては、人事管理とか業務管理に及ぶような本質的な対策に結び付けるということを考えても、労使間での利害対立とか、もめ事が生じるということも想定しないといけない。その中で、産業医らが安心して必要な意見を述べて、事業者側も必要な措置を講じられるようにする必要があると考えます。そのため、先にも申し上げた人事や法律家を交えたケースワークなどの研修の制度化については御検討いただきたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。ほかの構成員からはいかがでしょうか。松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 主に2点について話をさせていただきます。大きなことになりますが、主に論点3のところになります。50人未満の事業場については、衛生管理者の選任義務がないことが、導入に際しては大きな課題になると思っております。その際については、経営者を含めた理解の促進や、人事権を有する職員の介入がなく、健康情報として適切に取り扱われ、担当者を決定するようなプロセス、また、適切な実施体制と事後の職場環境の改善に係る体制といった、大きな体制整備が必要だというように考えております。
 もう1つは論点5についてです。こちらについて、職場環境改善の義務化については、小規模の事業場で、産業保健師などが巡回しまして、ストレスチェックの結果を踏まえて労働者ミーティングのようなことを実施して、職場全体で働きやすい職場づくりについて話し合う機会を設けて、成果を上げている、そういった事例も把握しております。中小企業が取り組みやすい方法で促進させる必要があると考えております。
 また、ここでかかりつけ医のところを書いてくださっていて、こちらが制度化されれば、使いやすいものになれば、使用者側の非常に有利な点になるかなと思うのですが、患者の居住地と職場が離れているというような場合などもありまして、協力を求めるについては、様々な側面から現行制度との整合性を合わせることが必要ではないかと考えております。こちらについては、かかりつけ医との連携の促進といったことのイメージ化をお示しいただければ良いと思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。続いて坂下構成員、お願いいたします。
○坂下構成員 ありがとうございます。今回御用意いただいた資料1の論点案を読みますと、項目によっては一定の方向性をにじませているようにも見える表記がありますので、どのような意図で書かれているかという質問を最初にさせていただければと思っております。
 まず、論点1の労働者のプライバシー保護と論点4の実施コストに関連して、質問させていただきます。個人向けのストレスチェックの実施を従業員50人未満の事業場にも義務化する上で一番課題になるのは、法改正時に努力義務とされた理由ですが、プライバシーの保護をどうするかという点です。事務局が提示した資料の論点1の記述を見ますと、1つ目の○に、「ストレスチェックの全部を外部委託することも可能」と記載されています。この記述の意図としては、検査結果の保管も含めて外部機関に委託すれば、従業員50人未満の事業場でもプライバシーの保護は図れるのではないかということを示されているのでしょうか。その点をまずは質問させていただきたいと思います。
 もしそうだとすれば、外部委託を活用することで労働者のプライバシー保護が本当に図れるのかということが分かるようなエビデンスなどがあると安心できると思っています。次回以降の検討会で結構なので、何か根拠があれば、資料として提出いただけると有り難いです。先に質問に答えていただいてもよろしいでしょうか。
○川上座長 事務局、今の御質問について何か回答できる部分はございますか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 今、坂下構成員がおっしゃった「ストレスチェックの全部を外部委託する」の「全部」の中には、実施者や実施事務従事者、ストレスチェック結果等の情報の保管管理ということも含めて、いわゆる個人の情報を事業場で取り扱うことがない形で、プライバシー保護の問題が生じないという対応になります。これはストレスチェック指針、当初のときから、そういう対応も可能だということで示しているものです。こればかりに頼るわけではないですけれども、少なくとも労働者のプライバシー保護という観点では守られるという対応も既に指針において示されているということを記載しています。
○坂下構成員 そうしますと、労働者のプライバシー保護が図れる有力な実施方法として、外部委託が考えられるのではないかという御提案だと思いますので、それについてどう考えるかということが、我々構成員に与えられているミッションかと受け止めました。外部委託以外にプライバシー保護の方法がないのかどうかは、改めて議論させていただければと思います。
 仮に、ストレスチェックの外部委託が有力だというコンセンサスが得られた場合に問題になるのは、論点4の実施コストだと思います。資料1の32ページに示していただいた、外部機関が提供するストレスチェック関連サービスの費用を見ますと、検査対象者1人当たり数百円から1,000円程度ということです。したがいまして、ストレスチェックの実施を法で義務化したときに、必ず掛かるコストとして中小・零細企業に負担を求めることが許容できる範囲の金額なのかどうかが、1つの論点だと思います。また、検査の実施方法に依らず、高ストレス者が申し出た場合は医師面接が必要になりますので、その際の追加費用などについて、中小・零細企業の皆様が許容できるかどうかという点も検討しなければいけないと思っています。
 次に、論点3の中小企業に即した実施内容についても、幾つか質問をさせていただきたいと思います。資料1の記述では、衛生委員会や産業医をはじめとする産業保健スタッフとの連携を前提とした従業員50人以上の事業場における実施方法と、衛生委員会の設置と産業医の選任義務のない50人未満の事業場での実施方法を同じにするのは難しいだろうということを前提にしているのでしょうか。
○川上座長 事務局、いかがでしょうか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 その点についてはご認識のとおりで、選任義務、設置義務があるということが前提の50人以上とは、そこは違いが出るという前提で書かせていただいております。
○坂下構成員 従業員50人以上か否かで実施内容に違いを設けること自体については特段議論しない、射程に入っていないということで理解いたしました。
 そうしますと、資料1に「衛生委員会等の設置義務がない50人未満の事業場では、関係労働者の意見を聴く機会を設けることで対応できるのではないか」と書いていただいておりますが、もう少し具体的にどのような機会が想定されるのか、現時点でイメージをお持ちであれば、教えていただきたいと思います。これが2つ目の質問です。
 また、監督署への結果報告について、資料1に「一般健診では、50人未満の事業場には監督署への報告義務を課していないことを参考に検討してはどうか」と書いてくださっています。例えば外部委託が有力な選択肢で、一切会社のほうに受検者の情報が入ってこない場合なども踏まえて、報告義務を課さないことも選択肢としてあると考えて記載されているのか、ほかに考えがにじまされているのであれば教えていただきたいと思います。もし従業員50人未満の事業場は報告義務にしなくてよいという整理にした場合に、現状の従業員50人以上の事業場の報告義務を残す意味は何か、どのように理解すればよいのか教えていただければと思います。
○川上座長 ありがとうございました。2点あって、1つは労働者の意見の聴き方について何か具体的なことはないかということです。まず、そこはいかがでしょうか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 まず、関係労働者の意見を聴く機会ということですが、「関係労働者の意見の聴取」というのは、労働安全衛生規則において、安全衛生委員会等を設けている事業場以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならないという条文があるのです。そこの解釈で、まず「関係労働者の意見を聴くための機会を設ける」とはどういうものなのかというと、安全衛生の委員会、これは安全衛生委員会のことではなくて、安全衛生「の」委員会とありますが、そういった会議体や、労働者の常会、職場懇談会など、労働者の意見を聴くことのできる措置を講ずることをいうものであることというような解釈があり、何らかの労働者の意見が聴けるような場として想定されています。
 また、別途、安全衛生法令において、これは化学物質のリスクアセスメントの関係の条文の中でも、例えばリスクアセスメントの対象物を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者がいれば、それらの労働者に対して、健診やリスクアセスメントの結果に基づいて、まず関係労働者の意見を聴き、必要であると認められる場合は、それに応じた健診を行わなければならないと。この関係労働者の意見を聴くことが必要な仕組み制度に関しては、こういった他の形で義務を課しているようなものがあります。
 ですので、そういったものも参考にすると、ストレスチェックの運用に当たって関係労働者の意見を聴くことは非常に重要だということは論をまたないので、こういった会議体自体を特定しない、かなり幅の広い規定の例もあるので、何らかの場等を通じて労働者の意見を聴くということをやることは、少なくとも位置付けてやっていただけるのではないかと。そのように事務局では考えて、このような論点を示させていただいてております。
○川上座長 もう一点の坂下構成員からの御質問ですが、監督署への結果報告を課していないことを参考にするというのは、50人以上のほうでは課していることと比べてどういう意味があるのかという御質問を頂いております。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 まず、監督署への報告義務というのは、ストレスチェックに限らず事業者による報告義務を求めているものについては、その実施義務の履行状況を確認するというのが、やはり報告の趣旨ではあります。ですので、この50人未満の場合に報告義務がないとしても、構成員がおっしゃったように、ストレスチェック結果等の個人の情報というのは、実施をしていただいた外部機関に保管され、事業場に対して通知したりはしないのですが、監督署への報告義務がないとしても、その事業場に監督官が立ち入ったときに、実施義務の履行状況が確認できる情報として、ストレスチェックの実施時期、ストレスチェックの対象人数、受検した者の数といったものは、50人以上の場合の監督署に報告している内容になりますので、こういった個人の情報でない情報は、実施をしていただいた外部機関から事業場に伝えてもらう必要が、これは運用の面になりますが、最低限必要になるものだと思います。
 あとは、事業場自身で把握している面接指導を行った人数といったものは、今50人以上の場合に監督署に報告させている事項になります。
 こういった事項は、最低限、事業場できちんと聞き取ってそろえておく必要はあろうかと思います。
○川上座長 よろしいでしょうか。
○坂下構成員 はい、ありがとうございます。
○川上座長 ありがとうございました。では、ほかの構成員からの御意見を伺います。オンラインのほうは、特に大丈夫でしょうか。神村構成員、お願いいたします。
○神村構成員 神村です。小規模事業場に対して、今50人以上で行われているストレスチェック制度をそのまま適用するというのは、今までの御説明を伺っても、かなり無理があるのではないかと感じております。
 それから、大下構成員の御意見にもありましたが、民間サービスの活用がなければ難しいような、それを前提としたような話ではなくて、本質的に大事なのは、今日はストレスチェック制度をどう活用するかという枠組みの話ではありますが、本当に必要なのはメンタルヘルス対策なわけです。ですから、ストレスチェック制度をメンタルヘルス対策にきちんと活用できるのかどうか、それが小規模事業場でも可能なのかどうかという前提がきちんとなければ、やはり進めるわけにはいかないと。
 特に、制度の中では、プライバシーの保護はありますが、実施者という者が決められており、それは、10人とかそういう小さい小規模事業場では、ほぼ実施不可能な状況を作っていると思いますので、現状制度を当てはめるのは無理だと思います。その上で、どうすればメンタルヘルス対策が小規模事業場でも可能なのかと。それは、この後のお話のほうが大事だと思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。事務局にも検討いただきたいと思います。オンラインの江口構成員、お待たせいたしました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○江口構成員 産業医科大学の江口です。コメントというか、私自身の経験上で確認というか御質問で、次回以降に回答を御検討いただければと思います。今、地域産業保健センターでは、健康診断の結果については産業医の意見聴取が制度化されていると思います。50人未満の事業場においても、労基署への報告義務とはまた別な話で、健康診断の結果については事業者は必ず産業医の意見を聴かなければいけないということで、地産保に労働基準監督署から指摘を受けた事業者側から問合せがあって、そこで登録産業医の先生がコメントを出すということを行っています。
 ここで申し上げたいことは、そういった既存の枠組みと、これがメンタルヘルスになったときに、どういった違いが生じてくるのかというところは、少しその差を検討いただけるといいのかと思います。私自身は、フィジカルな健康診断の結果とメンタルヘルスの結果がそこまで大きく、もちろんストレスチェックが始まった当初はかなり差があったのかもしれませんが、そこを大きく差を付けて取扱いを考えるよりは、実態の制度の中で運用するほうが、よりいいのではないかということで、そういった形で登録産業医が活用されていますので、50人未満についてはそういったことができるのではないかと。そのプロセスの中で、当然プライバシーの配慮や不利益取扱いの禁止はあると思いますので、実際運用されているものと差を検討いただけると有り難いと思った次第でした。
○川上座長 ありがとうございました。渡辺構成員、お願いいたします。
○渡辺構成員 渡辺です。論点整理、御苦労さまでした。まず全体的なこととして、私が一番重要なポイントと思うところからお話させていただきます。一番は、先ほど神村先生もおっしゃいましたが、この制度の目的は職場のメンタルヘルスの改善ということで、一次予防の制度であるということを忘れてはいけないと思うのです。したがって、とにかく労働者の方により健康になっていただく、そのための職場環境改善、そしてその結果として企業の業績向上につながるという一次予防の制度であるということを、まず忘れてはいけないと思います。健康診断は二次予防の制度ですが、ストレスチェック制度は一次予防の制度であるというのが、ストレスチェック制度の趣旨なので、そこをまずは押さえておかなければいけないと思います。
 そのように考えると、もちろん産業医、我々医師の仕事というのは大事なのですが、その前に、人事問題や労務問題があったりするわけなのです。その人事、労務マターがうまくいっていないから、職場環境にいろいろと問題が出てきて、健康問題も出てくるわけです。もちろん健康マターも大事なのですが、その手前に人事、労務マターがあるということを忘れてはいけないというところは押さえておかなければいけないだろうと思います。
 という前提で、幾つか気が付いたことをお話させていただきます。論点1の所で、ストレスチェックの全部を外部委託することも可能とありますが、最初に茂松先生から指摘のあったストレスチェックという言葉の使い方ですが、「全部」というのは何ですかという疑問があります。ここはあくまで検査の運用の話だと思うのですが、検査の運用以外のところが実はとても大事なのです。そこが抜けてしまっているのです。ストレスチェックというと、検査だけになってしまっていると感じています。しかし、本当は検査以外のところがとても大事なのです。マニュアルでいいますと、一番最初のストレスチェック制度の方針の決定であるとか、実施計画の策定、実施の管理、そして企画及び結果の評価といったところです。これは検査以外の部分ですが、そこが一番大事なところなのです。この一番大事なところを、誰が責任をもってやるのですかという視点が抜けているような気がします。
 先ほどの神村先生の話も絡みますが、今はストレスチェックをやったかやらなかったかというと、検査をやったかやらなかったかだけで、検査が終わったらストレスチェックが終わりましたになってしまっています。これは大間違いで、ストレスチェックの検査が終わったところからがスタートなわけです。そこからセルフケアにつなぐ、あるいは職場環境改善につなぐということです。ですから、検査の結果が出たところからスタートしなければいけないということも、忘れないで話を進めていかなければいけないと思います。
 したがって、ストレスチェックの全部を外部委託するというのは、あくまで検査の運用を委託するだけで、その手前の実施責任、方針の決定、実施計画の策定、実施の管理、企画及び結果の評価は誰がするのですかという点をはっきりしておかなければいけないと思いました。
 それから、論点2ですが、医師による面接指導の事後措置の所は、とても大事なのです。実は、既に高野構成員からも前に話が出たと思いますが、随分効果的な改正が行われているのです。医師が意見書を書きました。そうしたら、その後に事業者はその医師の意見書に従って講じた事後措置、事後措置が講じられなかった場合には、講じることができなかった理由も添えて実施者、産業医に報告しなければいけないという改正が行われていますよね。しかし、それはどこにも出ていないのです。今のマニュアルにも出ていませんし、先日もう一回ホームページで検索、ホームページだけではなくてネットで検索しても、どうやっても出てきません。ですので、それが多分ほとんどの事業者に周知されていないという問題があります。良い改正がされているにもかかわらず全然周知されていないという問題でもあると思います。
 それから論点4のコストの所なのですが、資料で費用の統計を取っていただいております。ちょっと確認ですが、健診機関A、B、C、D、Eと費用を書いていますが、これは50人未満の小規模事業場でのコストなのでしょうか。多分そうではないと思います。現行でのコストだろうと思います。例えば健診機関Aであれば紙は1,000円となっていますが、では、これが10人の事業場でしたら1万円でやるのですかというと、そうではないと思います。これは、大勢の大きな事業場のときに、1人当たりこのぐらいですよという金額ではないでしょうか。そこは確認する必要があると思います。5人の事業場でしたら5,000円でやってくれるのですかというと多分そうではないと思います。
 それから、33ページにありますが、小規模事業場における実施状況の3つ目の○です。集団分析の際、部署人数が10名未満の場合が多くということですが、これは集団分析は10人以上の所でやるという前提で書かれていると思うのです。実は、前の制度ができたときも、一般の企業でも10人以上の部署などというのは結構少ないので、実際に10人以上としてしまうと集団分析は難しいですよという話になって、その後、厚労省の人たちと話をして、10人未満でも個人が特定されない方法で行うのであれば10人未満でもよいとするということがQ&Aで出ていると思います。ですので、10人以上という決まりは今はなくなっているはずなので、その辺りも修正されておいたほうがいいのではないかと思います。
 最後に35ページ、論点5の関係のデータの所ですが、50人以上の事業場の労働者でうんぬんと、現行の数字が出ています。これは、あくまで現行の数字ですよね。50人以上の所で、労働者が2,600万人で、受検者数が1,300万人、50%です、面接指導を受ける割合は約1.5%ですという現行の数字を基にして数字を出されているのですが、これは、現行をよしとするという前提ですよね。私は、ちょっと問題を感じます。本来これは全員が受けなければいけないわけですから、2,600万人いたら2,600万人が受けるべき制度であったはずです。それから、医師の面接指導というのは、もともとは高ストレス者の方が基本的に医師の面接指導を受けることによって、職場環境改善につなぐという大前提だったわけです。それが、1.5%しか面接を受けていませんというのは大問題で、ここをどう改善するかというのが大きな議題であるはずなのに、1.5%を前提とした話を進めるというのは、私はちょっと問題があるのではないかと思いました。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。事務局に御確認を求められた、健康診断機関で計画や企画、あるいは評価改善まで含めた話なのか、それとも調査だけなのか。それから、コストが50人未満の事業場は対象になるのか、それともそうではないのかというのは、今、情報はありますか。なければ、また整理して御報告でもいいと思いますが。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 1点だけ補足いたします。渡辺構成員がおっしゃった32ページの健診機関の費用の所ですが、この健診機関A、B、C、Dのような所は、これは一応アンケートで回収した結果としては、実施対象者が何人であってもこれに人数を掛けたものが費用になります。例えば、E、F、G、Hといった所は、やはり少人数ですと一定の金額からは下がらないで、50人まではこの値段ですよとか、99人までは一式でこの値段ですよという設定があるのですが、それ以外のものは、聞き取った範囲では、これが1人当たりの金額で、人数を掛けたものを一応費用として取っているということでした。
○川上座長 井上構成員、お願いいたします。
○井上構成員 精神神経学会の井上です。いろいろな御意見があり、勉強させていただいています。私からは、論点4と5について、少しコメントを入れさせていただきます。実施コストのことに関して、先ほども民間サービスを前提にすることが正しいのかどうかという御意見があったかと思うのです。やはり企業規模が小さくなればなるほど、多分コストに敏感になってきますので、そういう意味では、外部サービスを前提とした場合、安いものに流れる可能性が高いのではないかと。そうであれば、今後、中小企業、50人未満の事業場におけるストレスチェックをきちんとやろうとするのであれば、やはり民間サービスを前提としないものを国としては準備することが基本ではないかと考えております。やるからには、きちんとできる形のサポートをまず作った上で、それよりも上のものを民間サービスで有料で持っていく形にしていただければと思います。それが論点4の所です。
 それから、論点5の所で、地産保等への支援です。私もそうなのですが、普通に開業したり大学にいる人間が産保センターに関わってまいりますので、特に50人未満の事業場はすごく数が多いと思うので、なかなか各々の事業場に対する理解が追い付いていかない部分があるのではないかと思います。かつ、大手であれば、異動やいろいろな配慮で、ある程度形式張って対応できると思うのですが、50人未満など小さくなればなるほど、異動先がないとか、先ほど渡辺先生がおっしゃったことにもつながるのですが、経営者がどのような態度をもっているかということでも、かなり対応が変わってくると。
 また、一般的なストレスチェックでは、個人要因というものはあまり会社が触るべきものではないということで、検査項目として入っていないと思うのですが、実際50人未満の事業場と面談をするときには、一族でやっておられる所もありますし、普通の大手の企業とは違う、職業性ストレスの問題に個人要因も多少関わってくる問題があるかと思います。やはり、50人未満の事業場におけるストレスチェックを考える場合に、今までどおりのものでいいのかどうか、また、今までどおりのものを前提とするのであれば、そのように予想外のものが出てきたときに地産保の人がどのように対応したらいいのかという、事前に支援の強化について御検討いただく。場合によっては、好事例が40ページから書いてあってすごく勉強になったのですが、いろいろなパターンの好事例をできるだけ多くお集めいただいた上でお示しいただければと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。前半の御意見の民間サービスの質の問題は、確かに課題だと思います。恐らく、定期健康診断もかなり民間サービスによっている状況だと思いますので、その辺りの経験が少しいかせるのかと思って伺っておりました。それでは、オンラインの黒木先生、お手を挙げていらっしゃいますか。
○黒木構成員 先ほどの外部委託のところで、大体EAPと健診機関7割というお話が、資料に出ていました。これは、例えば健診機関がどの程度企業と契約をして、どういう役割を担っているかを、もう少し詳細に調べたほうがいいかと思います。例えば事業主が実施責任者となるわけですから、外部機関、委託機関とのやり取りをして、委託機関の実施者、実施事務従事者、制度担当者をどうするのかということもありますし、これは、50人以上と50人未満では、やはり違ってくると思うのです。50人未満でも、例えば10人未満と20人、30人未満とは違ってくると。恐らく詳細なデータを持っていると思いますので、外部の委託機関がどういう契約をしているのかをもう少し詳細に調べて、もっと検討ができればと思ったのが1つです。
 それから、衛生委員会等で、関係者等に話を聞けばいいというようなデータが出ていたと思うのですが、これも私はよく分からないのです。この衛生委員会に出すのと、関係者等でというのは、人数が少ない所でどのように関係者は、関係者とは何かということも含めて、もう少し検討が必要かと思いました。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。事務局、今すぐにお答えできることはないですね。恐らく、もう少し小規模事業場の政策支援をする健診機関の事例のようなものがあると、御理解いただけるのかと思っておりました。高野構成員、お願いいたします。
○高野構成員 日精診の高野です。よろしくお願いします。先ほど神村先生や渡辺先生もおっしゃったように、ストレスチェックはメンタルヘルス対策の全てではなくて、1つであるという前提の下でということで、論点2の部分でちょっと発言させていただければと思います。
 日精診という立場では、資料35を見ていただくと、50人未満の全労働者が全体の50%以上ということになりますので、この数字どおりいきますと、産業医の選任をしていない事業場の医師面接指導を、精神科クリニックの医師が受けるというような依頼なども増えてくる可能性があるかなと思います。そうすると、よく主治医と産業医の意見が相違するなどということもあると思いますが、その面接指導を受ける医師に対する何か研修など、そういうことも準備する必要が、特に50人未満にまで広げるとなると、クリニックの医師の対応が増えると思いますので、ちょっとそういう研修の機会なども準備する必要があるかなと思いました。以上です。
○川上座長 ありがとうございます。それは現状でもあると思いますが、もっと拡充が必要ではないかという御意見ですね。
○高野構成員 はい、そうです。
○川上座長 ありがとうございます。山脇構成員、お願いいたします。
○山脇構成員 事務局から御提案を頂いています内容については、これまでの検討会で出された意見、経団連の坂下構成員から御提起いただいたものへの対応も含め、中小企業でそれぞれ課題がある中、いかにその課題をクリアしていくか、懸念を払拭するためにどのようなことができるのか、という観点で知恵を絞っていただいたものと受け止めています。
 その上で、繰り返しになりますが、やはり50人未満事業場であっても、基本的には50人以上の事業場で行われるのと同様のスキームで実施されるのがあるべき姿だと思います。ただ、これまでの議論で縷々出された中小企業が置かれている状況を踏まえれば、一定の配慮を行うということについては理解をするところです。そうした意味で、論点1、論点2とそれ以外、とくに論点3についてはやはり違うと思っています。
論点1と論点2については、ストレスチェックだけの固有の問題ではないと思っています。具体的には、プライバシーの保護はストレスチェックだけに存在する問題ではなくて、例えば長時間労働者や高ストレス者に対する医師の面接指導などにも共通する問題です。プライバシーの保護については、資料25ページでも示していただいているように、既に健康情報の取扱いが厚労省から示されていますので、これを準用する形で十分対応が可能ではないかと思います。
また、論点2の面接指導の事後措置についてですが、コロナ禍を契機として柔軟な働き方というものがかなり広がりを見せていますので、個別企業においては、配置転換だけでなく、こうした柔軟な働き方も選択肢として用意していただくということで、一定、対応できるのではないかと考えているところです。
 続いて論点3について。ここを一定配慮することについては理解するところです。その上で、どのような方策を考えるのかということについては、先ほど別の先生からも御発言がありましたが、事業場の規模に応じてグラデーションを設けるということも選択肢だと思っています。今後、是非、検討を深めていきたいと思います。
 最後に論点5ですが、これまで発言してきたとおり、地産保の体制強化は、今回の50人未満事業場における義務化に当たって重要な要素だと思います。政府として次年度以降の中でも適切な予算の確保をおねがいしたいと思っています。
 最後、高野先生の御発言にあったとおり、義務化に当たってはやはりかかりつけの先生に担っていただく役割が大変大きいと思いますので、更なる資質向上という観点からも御尽力いただければと思っています。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。もうそろそろ50人未満の事業場に充てた時間が過ぎるところなのですが、神村構成員、よろしくお願いします。
○神村構成員 ストレスチェックについては、まずこのストレスチェックによって得られるのは、渡辺先生がおっしゃったように、セルフケアの機会を頂くことです。ですから、ストレスチェックを受ける権利を保障するというか、受ける機会をきちんと保障していただくというのは大事だと思いますが、それを小規模の事業場に義務化するということについては、ちょっと問題があるというふうに思っています。でも、受けたいという方には受けられるというふうにできないかなと思っています。
○川上座長 ありがとうございます。ほかの構成員、50人未満の部分についてはいかがですか。堤構成員、お願いいたします。
○堤構成員 前回もちょっとお話をさせていただきましたが、やはりリスクを減らすというような機会を広げていったほうがいいのだろうと考えています。この数字も頂いて本当に勉強になりましたが、今50人未満の事業場の労働者は日本の6割を占めているという部分に関して、それにリスクリダクションの機会がないというような状況は、ちょっと手を入れていかないといけないのではないかというような考えを持っているような次第です。前回も申し上げましたが、今日いろいろと御提案も出ていた、いわゆる配慮といいますか、そのまま入れるというようなものではなくてというようなことは、これからまた念頭に置いて考えなければならないかなと思いますが、何とかリスクを軽減させるような機会、今、神村先生にもおっしゃっていただきましたが、その機会というものを全ての労働者に伝えていければなというふうなことを希望しています。
 今日、論点3に挙がっていましたが、まだまだ事例を含めてお見せするものが足りないというような状況もあるのではないかなと思いますので、今後、また運用を考えるときには、どういうようなことを付け加えていかなくてはいけないかというようなことは、いろいろな所で意見を出し合ってというふうな希望を持っています。以上です。
○川上座長 ありがとうございます。今日だけではないので、もう数回、このラインで議論していきますので、そういうところで進めていければと思います。では、島津構成員、お願いいたします。
○島津構成員 島津です。先生方の御議論を含めて、本日の資料もたくさん勉強させていただきました。ありがとうございます。
 論点3の中小企業に即した実施内容ということで、やはりストレスチェックは一次予防ですので、メンタルヘルスの不調も増えている中で、こういった対策を中小企業にも広げていけるとよい、というのは考えているところではあります。一方で、ここにもありますように、現実に即した内容として検討していくことも重要かなと思っています。その中で、50人未満の場合でも、10人以上の場合には衛生推進者、安全衛生推進者の選任が義務付けられているということもありますので、そういう中では、衛生推進者・安全衛生推進者がキーになり進めていける可能性があります。また、先ほど労使間での話を聞く、いわゆる安全衛生懇談会のような場が、50人未満の場合でもあるとよい、というような話もありました。何か話し合う場があったときに、大企業での導入事例を考えてみた場合にも、大企業でもストレスチェックが義務化されて導入されたときに、やはり心の健康づくり計画を決めなくてはならないということで、経営層を含めて話し合う1つのきっかけになったり、それはストレスチェックだけではなくて、メンタルヘルス全般を考えていく、会社の中で話し合っていくすごくいい機会になったのではないのかなと思います。ですので、50人未満の事業所にストレスチェックを導入する場合でも、ストレスチェックの導入をきっかけに、安全衛生懇談会のような場で、ストレスチェックだけではなく、メンタルヘルスについて話し合うような機会になっていくとよい、と考えているところです。
 あと、論点4と5に関わるところです。コストというところと少し話が違ってしまうのかもしれないのですが、第2回のときに堤先生から御報告いただいた資料の中でも、高ストレス者と判定された人とそうでない人で、この1か月以上の病気の休職のリスクが男性で6.6、女性で2.8倍と、非常に差があるという話がありました。ほかのエビデンスなどを見てみましても、それこそプレゼンティーズムによる損失も、高ストレス者とそうでない方で1年間で130万違うとか、医療費で3万円高いというのが、示唆されているということもあります。やはり健康面だけでなく経営面でも、長い目で見るとそういった観点があるということを考えると、もちろん短い視点で、今出すものがない中でコストをしっかり抑えてやっていくことは非常に大事なのですが、一方で、長い目で見てコストを考えていく、という視点を持つことの重要さも、1つ議論できるといいのかなと思いました。
 併せて、地産保の支援というところが論点5でありますが、前回も少し発言させていただきましたが、地産保の支援というところで、今年度も産業保健活動総合支援の拡充ということがある中で、やはりメンタルヘルス対策の更なる強化ということが1つの目的に書かれていて、その中で精神科専門医、心理職の配置が新たに行われたということも非常に意義があると思っています。こういった拡充というのを、是非、今後も続けていただいて、地産保による支援をストレスチェックの導入とセットでしっかりしていけるといいのかなというのを感じているところです。以上になります。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインの及川構成員、お願いいたします。
○及川構成員 論点1の労働者のプライバシーの保護についてです。プライバシーの保護から外部機関に委託というのは理解はしますが、中小企業のストレスチェックの重要性は、外部機関に委託することによって損なわれる部分もあると考えています。プライバシーの保護の観点から外部機関の委託を推進ということについては、全体のストレスチェックの意義を考えて進めるべきだと考えています。
 論点4の実施コストです。この中の中小企業が負担し得るものであるかという観点なのですが、このくらいの金額だったら中小企業でも負担できるかという視点よりも、今、なぜ新しく中小企業が負担をしなくてはいけないのかというところを、しっかり答えていく必要があると思います。中小企業は必要であれば負担はしますが、今、なぜなのかということで、金額の大きさにかかわらず、中小企業からは、今、なぜ負担が増になるのかということに対しては、かなり厳しい声が上がってくるものと思われます。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。茂松構成員、お願いいたします。
○茂松構成員 50人未満ということで一くくりにするのが、どうも現場と合わないのではないかなと、我々がしっかり現場を知っておかないといけないと思います。10人台、20人台と、例えば30人以上と、全然違う環境下でみんな働いています。それも、親戚中集めてやっている所もありますし、全く知らない人ばかり集まっている所もある。そうなると、メンタルヘルス自体も全然変わってくるのです。そういう大企業の中で全く知らない人が集まって、部署、部署でやっていますが、本当にメンタルヘルスはいろいろな問題が起きてきている。それを、50人未満を一くくりにするというのは、ちょっといささかどうなのかなと。徐々に徐々に広げていくということはあるのかと思いますが、そこの議論をしっかりしておかないと、どうもその辺が気になって仕方ないなと思っています。
○川上座長 ありがとうございます。それは事業場規模の差という論点ですね。では、一旦これぐらいで、50人未満のほうの件はよろしいでしょうか。
 もう1つ、集団分析・職場環境改善について論点6から8があります。大きなものは論点6ですが、残りの時間でこちらの御意見を頂いていければと思います。いかがでしょうか。山脇構成員、お願いいたします。
○山脇構成員 資料14ページを見ていただきたいと思います。集団分析・職場環境改善の義務化について、この間の議論をリード文でおおまかな方向性として取りまとめたものがゴシックで記載されていると思います。ここには、集団分析・職場環境改善を実施すべきとの意見、義務化すべきとの意見、義務化する場合に考慮すべき観点について意見があったということで、一定、こういった方向性の意見が多かったので、このようなリード文を書いていただいているのだと受け止めています。しかし、先ほど口頭で補足はありましたが、資料28ページからの論点7の内容を見ると、必ずしも義務化に向けた議論を行うような論点立てになっていないのではないかと思っています。そういう意味では、1回目から3回目までの構成員の意見を踏まえると、やはり先ほどの50人未満のストレスチェックの実施と同様に、義務化に向けた対応の方向性というものが示されるべきだと考えています。次回、事務局のほうで、先ほどの50人未満と同様に、更に論点ごとにどういった点が考えられるのかを具体的にお示しいただきたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。では、坂下構成員、お願いいたします。
○坂下構成員 論点6の集団分析、職場環境改善について申し上げたいと思います。私も、今、山脇構成員が指摘されたように、資料のタイトルと各論の記述について、違和感というか、どのような意図で書き分けがあるのかという疑問を感じました。
 その上で、まず基本認識について申し上げておきたいと思います。率直に申し上げまして、第1回の検討会の資料で示された「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業」報告書を見ますと、職場環境改善を行った事業場に所属する労働者のうち、職場環境が改善されたと認識している人は2割以下となっていたのです。また、従業員50人以上の事業場であっても、令和3年と令和4年で、集団分析の実施率が6割程度、職場環境改善の実施率は5割程度でした。企業の実態を踏まえますと、集団分析と職場環境改善の両方とも義務化に踏み切るのは現状が追い付いていないと思いますので、強引に行うと現場は混乱するのではないかと強く懸念します。従業員50人未満の事業場における個人向けのストレスチェックの実施については基本的な姿勢は申し上げませんでしたが、この論点については、あえてはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
 集団分析と職場環境改善の効果については、これまでも研究班の先生方の多大な御尽力により、一定の効果があるという報告を頂いているところです。大変感謝申し上げる次第です。ただ、エビデンスとして共有いただいた現行の研究論文は、例えばこういう懸念事項があるのではないかという可能性の話なのですが、産業医等が調査研究チームにしっかり入っておられて、事業者の理解も得られた事業場で実施しているといったように、かなり条件が整っている所での実施結果なのではないかと思うところがあります。これが、全国の平均的な事業場に当てはめた場合に、同等の効果が得られるのかどうかというのは少し不安があります。先ほど紹介した1回目の検討会資料の調査結果の数字と結構な差があるので、効果のところについては受け止めが様々あるのかと思います。
 したがって、資料1の28ページの論点6は、タイトル自体は集団分析・職場環境改善の義務化と書かれているのですが、3つ目の○にあるとおり、「集団分析・職場環境改善については、企業における取組の現状を踏まえ、普及を図る方法を検討すべきではないか」という方向性を支持するというか、義務化ではなく、まずは集団分析・職場環境改善の周知、普及を図っていくことが現時点では重要だと思います。これは意見です。
 続きまして、集団分析と職場環境改善について、それぞれ分けて申し上げます。もし外部委託に頼らざるを得ないような状況が従業員50人未満の事業場にあるとすると、そうした状態を踏まえて集団分析の義務化を図っていく場合に、特に労働者のプライバシー保護の観点で、ストレスチェック結果を集団分析にいかしていくことが本当にできるのか。事業場の外部に受検者の情報が全てあるわけで、集団分析結果を内部で検討する状況というのも、特に従業員10人前後ぐらいの事業場になってくると、かなり無理があるのではないかと思います。集団分析を義務化していくことについては、従業員50人以上もそうですが、50人未満についても、かなり難しく、ハードルが高いのではないかと思います。
 特に集団分析に関して、これはある現場の方から聞いた実話だそうですが、10人の部署で、例年同じメンバーで集団分析を行っていて同じような結果が続いていたそうなのですが、ある年に1人増えまして、集団分析を行いましたところ、結果が悪い方向に変動した。そうすると、新しく入った従業員のストレスが高いということが筒抜けの状態になってしまったということがあったそうです。小規模事業場の場合、集団分析の実施が思わぬ形でストレスチェックを受けた方の不利益になりかねないということで、制度や義務化について議論するにあたって、そうした実態はよく踏まえる必要があるだろうと思います。
 あと、これは少しレベル感が違う論点かもしれませんが、昨今、コロナ明けでリモートワークも増えています。同じ事業場に所属していても、同じ職場にいないというケースも結構あります。これは衛生委員会の職場巡視などの話でも出てくる論点です。職業性ストレス簡易調査票の同僚の支援に関する設問の意味はどうなってくるのかなど、いろいろと考えるべきことが出てくるわけです。ストレスチェックに限らず、安衛法の諸規定全体に係る話かもしれないのですが、ポイントは、同一の空間に一緒にいることを想定している事業場という単位が必ずしも現状にそぐわない、職場に出てこない人もいるなど多様な働き方が進んでいるという実態を踏まえなくてよいのかという素朴な疑問もあります。
 いろいろと申し上げましたが、集団分析の実施の義務化については、そうした事業場の人数や、リモートワークといった柔軟な働き方の進展も念頭に置いて議論する必要があり、義務化には慎重な姿勢を示さざるを得ないかと思います。
 次に、職場環境改善については、これまでも主張しているとおり、企業の現場では、集団分析の結果のみをもって、職場環境改善に取り組んでいるわけではありません。日頃から労使の話合いの下で取り組んでいる働き方改革の一環として、正に試行錯誤しながら実施しているケースが多いと理解しています。その実施内容は正に職場によって多種多様でありまして、何をどこまですれば職場環境改善の義務を果たしたことになるのか、客観的に特定することは極めて困難だろうと思っていますので、義務化はそもそもなじまないと思っています。
 また、職場環境改善は、個人向けのストレスチェック以上に、衛生委員会等での検討や、産業医、専門医の関与が重要になると理解しています。しっかりとした内部での検討体制がないといけないのですが、例えば産業医1つとってみても、今、不足している実態は皆さん共有しているとおりです。こうした実態を踏まえたときに、現時点において企業規模にかかわらず職場環境改善を義務化するということは、時期尚早と言わざるを得ないかと思っています。したがって、良い取組や優良事例などをもっと周知して、まずは底上げを図っていくということから実行していくことが重要ではないかと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。御意見としては承りたいと思いますが、多分、事務局で用意した文書の書き方に何か忖度を頂く必要はなくて、どちらの視点からでもフラットに御意見を頂ければ十分かなと思います。今のところちょっと知恵が足りないので、こういう書きぶりになっているかなという感じはしました。ただ、御意見はもちろん分かりました。
 集団分析・職場環境改善について、いかがでしょうか。渡辺構成員、お願いいたします。
○渡辺構成員 渡辺です。私は精神科産業医として、企業の経営者層の人たちにも関わりますし、労働者の人たちにも関わりますので、両方の意見も踏まえてですが、本来のストレスチェックの意義というのは、簡単に言うと働きやすい職場環境、働きやすい職場づくりなのです。働きやすい職場ができれば労働者は健康になりますし、当然企業の業績向上にもなると。ですので、労働者にとってもプラスですし、経営者にとってもプラスです。となると、両方にとってウェルカムな話なわけです。そういう制度になっていれば、別に大企業であれ中小企業であれ、是非やってくださいという制度のはずなのです。ところが、そうなっていないのが今は問題で、そうなっていないにもかかわらず義務化するという押しつけるような形になってしまうと、ろくなことが起こりません。
 今でも、例えば労働者の人に聞きますと、「先生、もうストレスチェック受けるのやめます」「どうしてですか?」と問うと「何にも変わりませんもん」と言われるのです。企業のほうの人たちに聞くと、「先生、手間と金が掛かるばかりです」になってしまうのです。ですので、そのままの状態で中小企業に持っていったら、中小企業の人たちは総反発です。経営者の人は手間と金が掛かるし、労働者は面倒くさいことをやるだけで何にも変わらないしということになってしまうと危惧します。本来の意義を果たせるような、働きやすい職場づくりに寄与できるような制度にまずは改めていきましょうというところを先に議論せずに、義務化だけを議論しても、これは多分うまくいかないと思うのです。
 ですので、本来の働きやすい職場づくりにするためには、現行の制度をどう改めていったらいいのかというところを、もう少し議論しなければいけないのではないかと思います。集団分析も、集団分析を義務化するかどうかというよりも、集団分析をいかにしたら職場環境改善につなげて、それが労働者にとっても経営者にとってもプラスなものになるような、いわゆる健康経営の概念につながるようなものにするのか、そこの議論。そして、外部委託をするとしたら、そこがきちんとサポートできるのかどうか。検査の運用だけであれば厚労省のプログラムを使ってただでもできるわけですよね。検査結果をいかに良い方向につなげていくのか、そこがストレスチェック制度の本質ですから、そこをいかにサポートできるのか。そして、意味のある制度にできるのかというところで、もう少し議論を深めなければいけないように思います。総論的な意見で恐縮です。
○川上座長 ありがとうございました。残念ながら、そうすると進め方については現行の制度をどの辺りまで拡充できるかということで、その議論はもう少し後になるかと思って伺いました。申し訳ありません。オンラインの先生方、ちょっと私が見落としておりまして、三柴構成員、黒木構成員、江口構成員の順で御発言をお願いできますか。まず三柴構成員、お願いします。
○三柴構成員 2度目になって恐縮です。今の渡辺委員の御発言と実は趣旨が一緒なのですが、ひょっとすると結論が違うかもしれないという話なのですが、結論的に私見では50人未満への制度の拡張自体には賛成なのです。というのは、この制度案が、要するに産業保健発信の自主的な経営改善策であって、一律的な強制性が弱いという意味で配慮されているからです。今回、もし実施報告義務を課さないということであれば、余計にそうなるだろうと思います。
 しかし、制度化をすると、少なくとも行政がデータを取れて、次の策につなげられるのかと思います。例えば現時点で既にとれているデータについて言えば、令和2年のストレスチェック実施等義務違反の行政指導の違反の指摘件数は、全国で僅か95件なのです。それから御案内のとおり、川上先生らによるコホート研究の結果は、心理的ストレス反応の改善や労働生産性の向上に役立つのではないかということだと思います。しかし、重要なのは、事業場ごとの経営の特徴や文化を捉えた系統的な対策である可能性が高いと。これは、渡辺先生の御指摘と全く同意見なのです。ですから、人事や予防のわかる法律家を巻き込む対応が必要なのではないかと繰り返し申し上げているわけです。
 裁判例ですが、既にストレスチェックに関連して出ております。ストレスチェックと面接指導の実施を安全配慮義務履行の一要素として積極的に評価した例もあるのですが、高ストレス判定というのは医学的判断ではない、だから直ちに就業上の配慮を講じる必要がないと述べた例もあります。結局、事案の性格次第だと裁判例は判断しているわけです。
 最後に、ニッセイ基礎研究所のデータですが、高ストレス者がなぜ面接指導を受けないかという理由についての分析があり、どうせ何も変わらないから、職場にばれる、不利益を受けるという自由記述が散見されるという状況にあります。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。続いて黒木構成員、お願いいたします。
○黒木構成員 職場環境改善を義務化することに関して議論するのは、私は非常に賛成です。職場環境改善にしても、いわゆる集団分析は、量的な業務の負担と職場関係の支援の2つの項目からなっているわけです。これは、我々から見るとものすごく漠然としたものでありますし、どういうストレスがこの職場にあるのかということを事業主がまず認識することが大事だと思うのです。職種にしても業種にしてもストレスは様々ですし、このような様々なところを事業主がメンタルヘルスを考えていく上でどのように参考にするのかということを考えると、こういった集団分析から義務化を検討していくことは、もちろん重要なことだと思います。
 しかし、今のストレスチェックの簡易ストレス調査票も57項目版がほとんどですので、80項目というように増えてはきていますが、この中にいろいろなものを網羅していき、そして、それを事業主が分かるような形にしていくということが、まず第一歩だろうと。まず、職場のストレス、例えばハラスメントがあるかどうか、あるいは業務の中にどのようなストレスが隠れているのか、その辺りをある程度事業主が理解する、あるいは把握するという方向が、まず一番だろうと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。江口構成員、それから一旦、茂松構成員に移ってから、またオンラインの先生方へ振ります。江口構成員、お願いいたします。
○江口構成員 産業医大の江口です。私も研究者の立場としては、現場の感覚もあるのですが、やはり個別対応はモグラたたきという表現もよくされている中で、何かしらの組織対応は必要ではないかと思っております。その観点から、次に控えているものとしては、集団分析であったり職場環境改善というものが法律上規定されているわけですので、いろいろな御懸念はあるとは思うのですが、そちらをうまく展開していくことが何かしらの形でできればいいのかと思っております。
 さらに、周知の部分については縷々そのとおりかと思うのですが、法律上努力義務と位置付けられること以上の周知の在り方にどういったものがあるのかについては、一研究者として現場でやっている人間としては、これ以上の周知は難しいのではないかと思っているところです。むしろ、今は世の中的には高ストレス者向けのものは義務化されていて、集団分析は努力義務なのでやらなくていいというような対比で述べられることも多いように思いますので、その点は、今後の展開の方向、組織要因の何かしらの対策は打てるといいのではないかとは思っている次第です。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。茂松構成員、お願いいたします。
○茂松構成員 これは少し歪んだ見方なのかもしれませんが、集団分析というのは、例えば高ストレス者が多い集団になると、その管理者は評価が非常に悪くなると、人事評価が不適当と言われます。これは、わざとそのようにさせるということも聞いておりますし、その辺りが非常に難しいと考えると、この集団分析の結果をどう扱うのかということも、非常にデリケートな問題と捉えると思います。ですから、その範囲をしっかり狭めるなり慎重にするなりといったことが非常に大事ではないかということで、集団分析結果というのは非常に取扱いに注意が必要とは考えております。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインのほうに戻りまして、矢内構成員が手を挙げていらっしゃいますか。
○矢内構成員 矢内です。私も現場で実際に集団分析や環境改善をやっていく中で一定の効果は感じており普遍的に進んでいくことは目指したいと思います。しかし、現段階では、調査では5、6割しか実施ができていないという報告があり、監督署への報告を行う際に、集団分析の方法や改善の方法というのは何も問われていませんので、少しでも何か関わっていればチェックを付けるということもあるかと思います。ですので、現実的に集団分析や改善をやっている所は、想定の数よりも少ないとも想定できます。
 また、職場改善を行っていて非常に感じるのは、その受皿を作るときには、経営的な視点での打ち手というのが絶対に外せません。先ほど渡辺先生からもありましたが、体調改善や経営の効果的な打ち手を打つためには、義務化というような手段ではなくて、現状をもう少し分析するなど、慎重な評価検討をお願いしたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインで松本構成員、手を挙げていらっしゃいますか。
○松本構成員 当会としても、ストレスチェックの実施者の立場からお話をさせていただきたいと思います。実際に、こういった集団分析や職場環境改善は非常に重要だと思っております。いわゆるラインケアに分類されるかと思いますが、単に就業上の措置を行うということだけではなく、職場での職員全体に対する研修や改善の意義というものがベースとして整わなければ、この体制を整えても実効性が担保されないということにつながると思いますので、やはり全体として、企業そのものとしての理解度を高めていくような働きかけが必要なのではないかと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。種市構成員、森口構成員と御発言をお願いいたします。
○種市構成員 日本公認心理師協会の種市です。様々な意見があるのですが、実際に集団分析の結果を用いて職場環境改善を行っている者として、現状をお話いたします。まず、やはり結果がまだ読めていない管理職の方が多いのです。例えば、営業部の結果はこうですという紙は配られているのですが、その中に職場のストレス判定図というものがあるのですが、その図の読み方が今日初めて分かったという方も結構まだいらっしゃるという現状なので、そもそもまだ普及が十分にできていないという段階が1つあります。
 2つ目に、管理職の思いとして、例えば仕事の量的負担があなたの部署は高いですよと言われたときに、いや、そんな忙しいのは分かっているよと、問題は人が足りないのだ、人事が悪いとかと、人事と管理職が喧嘩し出すというような仕事がありました。結局その職場では改善の打ち手がないと本人は思っていて、結果として職場環境改善がなかなか進まないということもあります。
 ポイントは、やはり能動性ではないかと。つまり、何とかしなきゃという形で管理職の方がその職場のことを思って、1人1人の従業員に対して手を打っていかないといけないなというように管理職が乗り気になってくれると、実は職場環境改善は進んでいくだろうと思います。また、従業員の方々にこの結果を見せて実施したということもあるのですが、実はかなりコツが必要だろうと考えています。それは、私自身がまだうまくできないところもあるので感じるのですが。例えばトヨタのカイゼン方式というのがありますが、あれも従業員の方々が乗り気になって自分の職場を良くしてやろうと思うと初めてうまくいくところがあるので、結果を渡されて、これがあなたの職場ですよと言われるだけだと、なかなかうまくいかないと。ですので、能動的に職場の管理職や従業員が取り組むためには、やはり経営者の側もこの結果を用いてやろうとならないといけないので、全体的に能動的にやらなければいけないところがまず大事かと思います。そう思うと、義務化というのはそもそも受け身なので、それを先にやってもなかなかいかないだろうと。ですから、ちょっとやり方を考えないと実際に普及して進めていくところまではいかないだろうというのが実感です。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。森口構成員、お願いいたします。
○森口構成員 森口です。前半の論点の中での個別面接の後の事後措置について、私は小規模で医師面接をやる場面もありますが、実際になかなか個人に措置と言っても小規模事業場では難しいので、集団分析と職場環境改善は非常に大事だと思っています。
 数年前に堤先生と御一緒した研究の中で、小規模事業場で職場改善として実際に何をやっているかという調査をしました。そのときに、挨拶をきちんとするとか、朝礼で仕事とは違う個人のエピソードを少し出し合うとか、飲み会を含めたレクリエーションのようなことをやるといった、非常に身近なものが結構多く挙がっていて、ストレスチェックの集団分析と職場改善をするという所もあるのですが、むしろ少ないような状況でした。ですので、そういったことから一歩一歩ストレスチェックの活用などにつなげていけるといいのではないかというのが、私の考えです。
 また、外部資源や体制と関わりますが、産業保健の専門家が少し関わることで、挨拶をとっかかりに職場改善の取り組みを始めてみて、本格的に体制をしっかり作ってストレスチェックも使ってみよう、あるいはストレスチェックはまだだけれどもメンタルヘルスで何かやっていこうなど、小規模事業場の取り組みが少しずつ進展していくことを後押しできるのではないかと考えます。いきなり義務化という議論もありますが、そういうことから少しずつ進めていくというのも1つの方策かと思って御紹介いたしました。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。全構成員から御発言いただいた感じがいたします。堤構成員、お願いいたします。
○堤構成員 論点の確認だけです。集団分析・職場環境改善の義務化は50人以上の事業場と小規模事業場を区別して議論をするのかを確認をしたほうが、議論が整理できるのではないかと思いましたので、お願いします。
○川上座長 そこは、厳密に区別はしていないです。事務局も、50人未満も50人以上も含めて、集団分析・職場環境改善のテーマをやっていると理解していますが、それでよろしいですか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 今の時点では、そのとおりです。
○川上座長 今の時点ではということなので、それを分けて考えることもあり得るのかとは思います。
○堤構成員 そうですね。分けて議論することもあるのかと思いましたので。ありがとうございます。
○川上座長 よろしいですか。茂松構成員、お願いいたします。
○茂松構成員 最後の論点8の外部の支援なのですが、本当に外部機関の質の担保はしっかりと監視をしていかねばならないのではないかということです。特に、産業医が専門的知見から職場環境改善をしっかりしていくことが、まず基本ではないかと。ですから、産業医が積極的に関わっていくということが一番重要ではないかとは思います。
○川上座長 ありがとうございました。大体時間になりつつはあるのですが、いかがでしょうか。渡辺構成員、どうぞ。
○渡辺構成員 渡辺です。すみません、1つだけ。職場環境改善の中で含めていただきたいのは、やはり職場環境改善につなげる集団分析ということでいうと、80問版ですよね。ですので、80問版を推奨していくということも、この論点の中に入れていただければと思います。80問版になると、ワークエンゲージメントやワークセルフバランスといったポジティブなことも入ってきますので、答えるほうも見るほうも職場環境改善につなげやすいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。今日だけではありませんで、次回以降も議論が続いてまいりますので、本日どうしてもという御意見がなければ、一旦今日の検討会については終了の方向でと考えておりますが、よろしいでしょうか。もし本日委員のほうで早めに御提案いただきたいような意見がありましたら、メール等で事務局にお伝えいただくことも構いませんので、是非そのようにしていただければと思います。頂いた御意見については、事務局でまた整理をして、次回までの間に皆さんに共有してもらうようにさせていただく予定になっております。
 それでは、本日は大変活発な御議論をありがとうございました。事務局は次回に向けて準備をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、議題は終了いたしました。事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
○辻川中央労働衛生専門官 事務局です。連絡事項が2点あります。次回の日程ですが、7月26日の開催を予定しております。また、本日の議事録については、構成員の皆様に内容を御確認いただいた上でホームページに掲載いたしますので、追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上です。
○川上座長 それでは、どうもありがとうございました。これで終了いたします。
 

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