厚労省・新着情報

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和6年7月19日(金)10:00~

場所

AP虎ノ門Aルーム

議題

  1. (1)女性の健康に関する事項について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○大野中央労働衛生専門官 それでは定刻となりましたので、ただいまより、第5回「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の項目等に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。本検討会は、資料及び議事録は原則公開といたします。報道関係者の皆様、カメラ撮影はここまでとしてください。
 初めに、今回、参考資料1の開催要綱の別添として構成員名簿を付けておりますが、新たに御就任いただいた委員の方を御紹介させていただきます。日本医師会の神村構成員が退任されまして、新たに松岡かおり構成員が就任されております。
○松岡構成員 よろしくお願いいたします。
○大野中央労働衛生専門官 続きまして、本日の出欠状況を御報告いたします。大下構成員、田中構成員から欠席の御連絡を頂いております。また、荒井構成員、及川構成員、宮本構成員、吉村構成員におかれましては、オンラインでの御参加を頂いております。また、岡村構成員におかれましては、少し遅れての御参加予定です。
 また、今般、事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。7月5日付けで着任いたしました安全衛生部長の井内です。
○井内安全衛生部長 井内です。よろしくお願いいたします。
○大野中央労働衛生専門官 同じく、7月5日付けで着任いたしました計画課長の佐藤です。
○佐藤計画課長 佐藤です。よろしくお願いいたします。
○大野中央労働衛生専門官 続きまして、オンラインで参加いただいている構成員の皆様に御発言の仕方などを御説明させていただきます。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで異議なしの旨を確認させていただきます。
 続きまして、資料の確認をいたします。本日の資料は事前にお送りしておりますとおり、議事次第、資料1、2、参考資料1、2になります。この後、議事に沿って画面共有にて御覧いただきますが、不足がありましたら事務局よりお送りいたしますので、コメント又は御発言にてお申し出ください。
 それでは、以降の進行につきましては、髙田座長にお願いいたします。
○髙田座長 おはようございます。皆様、よろしくお願いいたします。それでは、本日の議題は「女性の健康に関する事項について」となります。お手元に資料1、2がありますが、事務局から資料1、続けて資料2の説明をお願いいたします。
○大村産業保健支援室長 資料1を御覧ください。「一般定期健康診断における女性の健康課題に関する議論の概要」についてです。スライド2を御覧ください。一般定期健康診断における女性の健康課題に関する議論の概要です。1.対象となる健康事象の健診を行う意義について、業務起因・業務増悪があるのか。一般健康診断の対象となる健康事象につきまして、特殊健康診断の枠組でやるべきではないか、一般健診で取り扱うという考え方もあるかと思うといった御意見を頂いております。
 続きまして、業務との関係性についてです。一般健診においては、業務起因に過度に捉われるべきではない。一般健康診断の本来的なあり様として、業務起因性もあり、業務増悪性もあるものに、労働安全衛生法では限るべきではないかといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド3を御覧ください。健診実施後の対応の重要性についてです。アフターケアができるかどうかという問題がある。中小企業も含めてきちんと問診後のアフターケアができるのか、女性特有の健康問題があるというリスクコミュニケーションとして従業員への教育も大切であるのではないかといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド4を御覧ください。2.健診方法について、健診方法として問診が適切か、問診の位置づけ、具体的質問項目についてです。仮に問診を行うこととした場合、労働者の知られたくない権利を確保できるように一般健康診断問診票を用いることがよいのではないかといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド5を御覧ください。今の問診の位置づけ、具体的質問項目についての続きですが、問診をするとすれば、本人が病気だと思っていないことをうまく聞き出すことが必要ではないかといった御意見を頂いております。
 続きまして、問診後の健診機関の医師の判断、事業者への情報提供等についてです。問診で聞くだけということになると、受診者の方の満足感も得られない。事業場でどう対応できるのか、相談した内容の全てが健診結果の個人票に記載されない、といった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド6を御覧ください。巡回健診・健診後の受診勧奨等運用上の課題についてです。巡回健診について、事業場で行う健診でどれほどのことができるのか。地域によっては、婦人科、産婦人科のマンパワーに欠けるような所で、かなりの距離を時間を掛けて受診しなければいけないといった御意見を頂いております。
 続きまして、健診の場を活用した啓発等についてです。健診の機会にセルフチェック、気付きの機会として、直接つなげられたらいいと思うといった御意見、気付きを促すという観点では、ストレスチェックの枠組み、THP、特定健康診査など、より適した枠組みがあるのではないかと思うといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド7を御覧ください。3.事業者が行うべきことについて、事業者が健診後に行うべきことは何か。労働安全衛生法第66条の5に基づく健康診断後の事後措置についてです。現行の事後措置をもう少し柔軟に捉えて拡充していくことも必要、一般健康診断の制度全体の事後措置のスキームの中で、慎重に検討すべきと思うといった御意見を頂いております。
 続きまして、労働安全衛生法第66条の5以外の取組についてです。女性の健康関連項目を任意で問診に含めている企業の取組として、①女性労働者に医療機関の受診を勧奨する、②上長への相談を促す、③女性の健康に関するセミナーを開催するといった事例が見られる。また、女性の健康管理につきましては、周囲の理解と協力が必要である。女性に限らず男性も含めて健康課題について話し合いやすい職場の環境の整備、就業上の措置も含めて人事担当者や管理職等を対象にした研修、普及啓発等が重要であると思うといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド8を御覧ください。今の労働安全衛生法第66条の5以外の取組についての続きですが、医療機関を受診して必要な投薬を受けることで、救われる女性労働者は多いのではないかといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド9を御覧ください。4.健診費用について、費用増大が見込まれるかについてです。問診にこういう項目を追加するということであれば、大きな変更はないというような御意見を頂いております。
 続きまして、スライド10を御覧ください。5.健康情報の把握について、労働者の知られたくない権利をどう考えるかについてです。基本的に全ての健康情報は個人情報として配慮すべきであるといった御意見を頂いております。
 続きまして、スライド11を御覧ください。6.その他です。おそらく健康診断実施指針を作らないと、誰も全体像が理解できずに、その結果、誰も守れないということになってしまうのではないかと思う。健診医の資質向上も重要である。事業場で婦人科健診を受診しやすい環境整備もお願いしたい。更年期障害については、男性も女性と同様に実施してほしいとのニーズがあることをあらためて申し上げておく。男性の更年期障害への対策を軽視するわけではないが、問診への追加については慎重に考えなければならないと思うといった御意見を頂いております。資料1については、以上です。
 続きまして、資料2を御覧ください。「一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について」です。スライド2を御覧ください。一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目の考え方です。まず、健診の機会を活用し、労働者本人への気付きを促し、必要な場合の早期受診のほか、女性の健康課題に対する配慮を申し出やすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性の健康に関する質問を追加してはいかがか。女性の健康に関する健診の社会的要請についてです。女性の健康については、「女性版骨太の方針2023」において、働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性特有のライフイベントに起因する望まない離職を防ぎ、女性が活躍し、健やかで充実した毎日を送り、安心して安全に働けるよう事業主健診に係る問診に月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加するとともに、産業保健体制の充実を図るとされております。
 また、「女性版骨太の方針2024」におきましては、働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、また、健やかで充実した毎日を送ることができるよう、プライバシーに十分配慮した上で、事業主健診において月経随伴症状や更年期障害等の早期発見に資する項目を問診等に加え、その実施を促進するとされております。こういった趣旨を踏まえた健診項目の追加が求められています。
 続きまして、労働安全衛生法に基づく健康診断への位置づけについてです。平成28年の検討会報告書におきましては、定期健康診断等の診断項目は、当該診断項目単独、又は他の項目と併せて義務とされている就業上の措置を行うためのデータとすることが期待できるものであり、その上で、努力義務である保健指導においても活用するものであることが必要とされております。女性の健康課題につきましては、論文検討では、作業関連疾患として、夜勤やセデンタリーワークについては可能性があるとされておりますが、過度に就業制限をかけることの不利益可能性について十分な検討が必要との研究会報告がありました。
 続きまして、スライド3を御覧ください。健診情報の取扱いについてです。プライバシーの観点では、事業者に知られたくないという方に配慮する必要があること、全ての健康情報は個人情報として配慮すべき事項であるといった御意見がありました。
 続きまして、労働者の女性の健康課題に関する支援ニーズについてです。月経困難症、更年期障害等により仕事上の困難を感じていたり、会社からの支援の必要性を感じている女性労働者は少なくないという研究報告がありました。
 続きまして、諸外国の状況についてです。英国では2010年平等法におきまして、一つ以上の保護特性を持つ人が不利益な取扱いから保護される権利について述べられており、更年期障害の症状が女性の通常の日常活動を遂行する能力に長期的かつ重大な影響を及ぼす場合、障害と見なされる可能性があり、合理的調整の対象になり得ることが指摘されている研究報告がありました。
 続きまして、健診の実施方法についてです。血液検査による更年期障害の判定は難しいという御意見、既存の質問紙については、スクリーニングとしては適さない可能性があること、職場に知られたくない労働者も存在していることに留意が必要との研究報告がありました。また、健診において評価を行うからには、その後の対応ができることが必要であるという御意見がありました。
 これらを踏まえまして、健診の機会を活用し、労働者本人への気付きを促し、必要な場合の早期受診のほか、女性の健康課題に対する配慮を申し出やすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性の健康に関する質問を追加してはいかがか。なお、効果的に機能するためには幾つかの課題があるというように考え方を示すことができるのではないかと考えております。
 続きまして、次のスライドを御覧ください。「一般健康診断問診票」改訂案についてです。森班報告にあった質問例を参考にしまして、以下2問を作成しております。回答については、事業者に結果を知られたくない労働者の権利を配慮すべく、「①はい、②いいえ、③どちらとも言えない」としております。質問32「女性に関連する健康問題で職場において困っていることがありますか」。①はい、②いいえ、③どちらとも言えない。質問33「(質問32に『はい』と回答された方)職場において相談したいこと(配慮してほしいこと)がありますか」。①はい、②いいえ、③どちらとも言えない。
 次に、女性に関連する健康問題の説明について、どのように取り扱うか。例えば、注釈として、以下を挿入するのはいかがか。「『女性に関連する健康問題』とは、月経困難症、更年期障害などを指します」。
 以下、次のスライドから、具体的な一般健康診断問診票改訂案を付けております。
スライド8を御覧ください。一般健康診断問診票改訂案に関する課題ということで、今の改訂案を踏まえた課題を御説明したいと思います。まず、具体的質問項目それぞれに対する健診機関の医師の対応に関する課題についてです。質問32ですが、問診票にて「はい」と回答があった場合、健診担当医はどのような対応をするか、医療機関への受診の要否を判断する。産婦人科医以外を専門とする医師も上記対応が可能か。この場合には活用できるツールの作成や健診を行う医師への情報提供、研修等が必要ではないかというように整理ができるのではないかと考えております。
 続きまして、質問33です。問診票にて「はい」と回答があった場合、健診機関の医師は、回答した労働者の業務内容や職場環境を把握しきれていない中で、どのような対応をするか。適切な医師の意見を述べることはできるのか。健診機関の医師は事業者に対して代弁する機能を持つのか。この質問があることで、労働者は健診機関の医師に自身の健康状況や就業希望について代弁してもらうことを期待しないかといった整理ができるのではないかと考えております。
 次のスライドを御覧ください。健診後の事業者対応に関する課題についてです。健診後、事業者は健診結果をどのように入手するのか。この場合には、従来の一般健康診断問診票の取扱いと同様に事業者は個別の労働者に関する結果は入手しない、あるいは、できない。ただし、産業保健や健康経営の推進に資する取組等を行う企業においては、労働者に説明した上で、統計情報を入手し、取組に活用することが考えられるのではないか。
 次に、健診後、事業者は、どのような対応を行うのか。産業医や産業保健スタッフのいない小規模事業場においても、実施可能な対応は何か。女性の健康課題に関する啓発・研修等を行い、女性の健康課題について理解のある職場環境の整備を行う。啓発・研修資材等が必要ではないか。健診の枠組みを超えて労働者から申し出があった場合、労働者の健康状態や職場の状況等に応じた対応(健康相談、相談先の紹介等)を検討する。事業者が参考にできるようなツール等が必要ではないかといった整理ができるのではないかと考えております。
 次のスライドに移ります。健診の実施に関する課題についてです。巡回健診で実施可能な内容であるか、この場合には問診時の対応について、整理が必要である。
 続きまして、その他の課題といたしまして、女性に関する健康課題、健康問題について啓発資材や、あるいは問診の補助ツール等は必要になってくるのではないか。質問と質問後の対応が結びつく内容となっているかといった各々整理ができるのではないかと考えております。資料2の御説明は以上です。
○髙田座長 御説明いただき、ありがとうございました。資料1「一般定期健康診断における女性の健康課題に関する議論の概要」については、前回検討会で5つ大きく論点を示させていただきましたが、それに関しての構成員の皆様の御意見を取りまとめております。この資料については、事前に構成員の皆様に御確認いただいておりますので、もし訂正等ありましたら、事務局にお寄せいただければと思います。
 ここからの議論は、主に資料2「一般定期健康診断に関する女性の健康に関する健診項目について」について、進めていきます。事務局の説明で、まず2、3ページにおいて、一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目の考え方ということで、一般健康診断の問診票に女性の健康に関する質問を追加してはいかがかということで、その考え方をまとめていただいております。まず、こちらについて、この場で何か御意見がありましたら。森構成員、お願いいたします。
○森構成員 この一般健康診断の問診票に項目を入れるのは、1つのアイディアだと思います。ただ一方で、一般健康診断の問診票がそもそもどのぐらい普及しているのか。実はこれが作られた経緯が余りはっきりしないので、私たちは当然産業保健の専門家だから知っているのですが、今回これを入れて実効性を仮に上げようとしたときに、この問診票そのものの位置づけや利用促進を図らないと、入れてここに項目がありますよというだけで終わってしまうのではないかという懸念があります。実態として、どのぐらい使われているものなのかということと、この問診票そのものが利用されるために今後どのような対応をするかという、今の段階のお考えをお聞かせいただければと思います。
○髙田座長 事務局、いかがでしょうか。
○大村産業保健支援室長 御質問ありがとうございます。現状においては、正確な普及状況、利用状況を把握できておりません。いずれにしても、今般の見直しで一般健康診断問診票に係る改訂等がなされた場合には、周知については確実に実施していくことを考えております。
○髙田座長 森先生、よろしいでしょうか。それでは、亀澤構成員、お願いいたします。
○亀澤構成員 今の森先生の御指摘の関係で、全衛連には健診を行っている会員がおりますので、会員の状況について紹介申し上げます。この問診票は、厚生労働省労働基準局長と保険局長の連名で「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項について」という、令和2年に出された通知、これはその後何回か改正されていますが、その通知の中で照会されている問診票だと理解しています。この通知は、全衛連も含めていろいろな関係団体や事業者団体に対して周知のための通知ですので、この問診票についても、会員機関は十分認識しております。
 この問診票の中で、私は第1回目にも申し上げたのですが、業務歴の調査という一番最初の質問項目の1~5番の所は、若干の悩みがあるので、そこをこのまま入れているか、そうではないのかというのはありますが、基本的には今31番までありますが、それを反映させようということにしています。
 プログラムの改正などの対応が必要となりますので、対応できているのが100%ではないかもしれませんが、この通知は皆さん認識していると理解しております。
 プログラムの改正などもありますが、基本認識してこれに沿った形でやらなければいけないということで、対応できているのが100%ではないかもしれませんが、この通知は皆さん認識していると理解しております。
○髙田座長 ありがとうございました。岡村構成員、お願いいたします。
○岡村構成員 お疲れさまです。この問診の所をどのように取るかということで、例えば続きで一覧のもので入ったときに、労安法の法定項目が既往歴や業務歴、自覚・他覚症状の所があり、そこからこの問診があり、それから特定健診でも絶対取らなければいけない5項目があるのですが、そこが一体となって、受診者の方からしたらそのようなことは知ったことではないので、一連のものとしてザーッと取ったときに、どこまでを雇用主が見てよくて、どこまでを保険者が見てよくて、どこまでが本人の同意が必要かというのを区別して、実際に運用するのがほぼ不可能ではないかという気がするのですが、そこはどのように整理していったらいいのかが実は重要な課題ではないかと思います。
 何か同意があればというのですが、本当にここまではこういうもので、ここから先はあなたの同意の下に見て活用しますということのやり取りができるかどうかが、法定項目などが混じっているので余計ややこしいというのが、見ていて思ったところではあります。
○髙田座長 御意見ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。岡村構成員の御指摘のとおり、一般健康診断問診票については通達でお示しをしているということで、基本的には、省令、法令で義務付けている部分とは少し異なる取扱いになっております。今回の女性の健康課題に関する部分については、こういった問診票の中で取り扱うというのが一つ考えられる整理ではないかということを示しております。
○髙田座長 岡村構成員、いかがでしょうか。
○岡村構成員 ここから先は、ある程度雇用主が見る見ないは任意なので、あなたの同意が要りますというチェックを入れるとか、そのようになっていればいいのですが、業務歴のように有無を言わさず見ていい所と、特定健診を兼ねているのでしたら、絶対見なければいけない5項目のような所と、本当に見るほうがどこか区別を付けて、ここからは同意していますというのが分かればいいのかとは思いますが。どのような運用を現場でされるのか、「お前、皆書け、おら」とかやって全部いってしまうというのが、十分想像できる世界ではないかと思うのです。
○髙田座長 御指摘ありがとうございます。増田構成員、お願いいたします。
○増田構成員 増田です。今の岡村構成員のお話を聞いて、私は逆に、これはそもそも労働安全衛生法に基づく項目としては、現場では既に取り扱われているという点を指摘したいと思います。もちろん、これを使っていない健診機関もあると思うのですが、既にこの31項目に関しては、これを採用している健診機関では法定の項目として扱っていて、事業者に提供がなされているというのが実態ではないかと思います。ですので、今のお話は確かにそのとおりだと思うのですが、どこまで知らせるかというのを明確にする必要はあるかと思います。
 一方で、2019年に出た健康情報の取扱規程で3つの区分が示されたかと思います。1番目の区分の「法令に基づいて事業者が必ず取得しなければならないもの」に該当するという理解で、そのような運用がなされているものだと思っていたのですが、資料の3ページにある一般健康診断問診票の一番下に※で、「受診義務と事後措置の実施義務は課されない」となっていますので、改めてこの一般健康診断問診票の位置づけの明確化と周知が必要なのではないかと思います。
 実際には、これは法令に基づく健康診断の法令項目として位置づけられるのかどうか。それから、実際にこれの内容を事業者には知らせてはいけないとなると、事業者は困ることも生じるかと思いますので、その辺りを確認させていただけたらと思います。
○髙田座長 事務局、いかがでしょうか。
○大村産業保健支援室長 御指摘のとおり、一般健康診断問診票については、省令、法令とは取扱いが異なるものです。改めて申し上げますと、一般健康診断問診票については、令和5年7月31日に最終改正をしておりますが、「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に関する協力依頼について」という厚生労働省労働基準局長と保険局長の連名通知があり、これに先ほど示しました一般健康診断問診票をお付けして、各機関での活用をお願いしているものになります。ですので、この一般健康診断問診票自体は義務付けされたものではないということになります。
 その上で、健康情報の取扱いについては、増田構成員御指摘のとおり別途規定があります。この一般健康診断問診票の健康情報は、法令上入手が義務付けられた個人情報には該当しないので、今後この改訂案が整理をされて周知することが必要になった場合については、その辺りの取扱いも含めて、しっかりと考え方をお示しするようにしたいと考えております。
○髙田座長 増田構成員、お願いします。
○増田構成員 確認なのですが、では一般健康診断問診票を健康診断において実施して情報を取得した場合、その保管義務は、誰に掛かることになるのでしょうか。
○髙田座長 事務局、お願いします。
○大村産業保健支援室長 健診実施機関というように、整理をしております。
○髙田座長 増田構成員、お願いします。
○増田構成員 分かりました。ありがとうございます。
○髙田座長 立石構成員、お願いします。
○立石構成員 立石です。今の議論を聞いていて、私も、もしかしたら少し誤解していたところがあるかもしれないですが。労働安全衛生法第66条に関しては、事業者は労働者に対して厚生労働省令に基づいて健康診断を行わなければならないとあって、健康診断の実施は本来事業者が求められているもので、事業者が健診をできるわけはないので、外出しして、外注して、健診業者にやっていただいて、その結果をお返しいただくという整理であると私は理解しています。
 ということは、そこで行われている事業者が行う健康診断として得られている情報というのは、事業者が当然全て法令項目に関しては見るべきものだと思っています。そして、問診の全てに関しては、事業者が見て、事後措置を実施すべきものだと理解していたのですが、そうではなかったのでしょうか。ここは、結構大事なところかもしれないので、少し教えていただければと思います。
○髙田座長 事務局、お願いします。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。定期健康診断については、御承知のとおり、労働安全衛生規則第44条に規定があります。この第44条に規定されている項目については、当然事業者が健康診断を行えますので、その結果をしっかり把握して保存する義務を課しているということです。
 一方、一般定期健康診断問診票については、この省令の項目、例えば自覚症状及び他覚症状の有無の検査等がありますが、この省令の項目とは直接はつながっていない。関係はしているのですが、直接的にはつながっていないという整理をしており、必ずしも一般健康診断問診票の結果をそのまま入手して保存するという整理をしていないということです。
○立石構成員 ありがとうございます。では、自覚症状と問診項目というのは、別のものであるという理解をすればいいわけですね。はい、分かりました。ありがとうございます。
○髙田座長 よろしいでしょうか。そうしましたら、宮本構成員、お待たせいたしました。お願いいたします。
○宮本構成員 この一般健康診断問診票は私は作成に関わったのですが、外国人労働者に対する健康診断の問診を行うために外国語訳する元の日本語版を作ったということでした。その際、特定健診の問診項目に日本語のほうの1~8番と31番を足したということになっており、1~8番は、先ほど解説を1行足したらいかがかというのがありましたが、それぞれに解説が付いており、重量物とはどういうもので、どのように聞いてくださいというのが付いていたものです。ここに載っている分は、その辺りが全部抜けてしまって1行になっているからよく分からないのだと思うのですが、大本の1行追加を載せてあればよく分かるのではないかと思っております。
 同じように、32、33番も先ほどの追加ということで1行、こんなことですと。女性に関する健康問題はこんなことですというのは、それぞれに32番の中に入っていたというような感じで作れれば、1~8番も32、33番も同じようにできるのではないかと思います。
 立石構成員が言われたように、この問診の1~8番というのは業務歴ですし、業務に関係する所ということで、こういった情報は健診機関でとどめるのではなくて、事業者に来ないといけない、あるいは事業者経由なので産業医が見ることになるでしょう。それが実際には、いろいろな健診機関でやった問診内容が却って来ない。中小規模の事業場で健診結果を見させてもらうと、この問診の内容がどこにも載っていないというのがあります。今のお話ですと健診機関でとどめられてしまうと、事業者も産業医が関与できないということになってしまいますので、それですと健診機関、あるいは健診を請け負うお医者さんに多大な負担がいくのではないかという問題を感じております。この問題は、必要な問診結果が産業医に来ないという前提になってしまわないかというのが少し気になるところですが、いかがでしょうか。
○髙田座長 御質問ありがとうございました。事務局から回答いたしますので、少々お待ちください。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。まず一般健康診断問診票ですが、宮本構成員御指摘のとおり、実はパートとしては幾つかパートがあります。1つ目は、いわゆる業務歴等の調査のパート、もう1つは特定健康診断の項目として設定された、安全衛生とはまた異なるところで設定された項目のパートがあり、大きく分けるとこの2つから成り立つものです。
 宮本構成員御指摘の部分は、前段の業務歴等の調査の部分かと思います。ここについては、一般健康診断問診票と省令の規定は確かに別ものではありますが、情報としては、同一の情報という整理ができますので、こういった部分については当然、医療機関からほかの項目と同様に情報提供を受けて、事業者が入手して保管するということが可能であるという整理ができるかと思います。
 一方で、それ以外の部分については、各項目ごとにどういった省令で規定があるかということと、各突合して精査してということになりますので、基本的には省令とは異なった取扱い、省令項目とは同じではないという整理をせざるを得ないのではないかと考えております。
 ただ、いずれにしても、いろいろな取扱いについては複雑な部分もありますので、新たな見直しが行われた際には、この辺りも含めてしっかり周知をする必要があるとは感じております。
○髙田座長 宮本構成員、いかがでしょうか。
○宮本構成員 ありがとうございます。ということは、今は健診機関の医師という話が相当に出ていましたが、産業医にこの女性問題の情報は来ると思ってよろしいのでしょうか。そうなると、そこの周知は相当にしっかりしないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
○髙田座長 事務局から回答いたしますので、少しお待ちください。
○大村産業保健支援室長 お答えいたします。現時点のものでは、産業医にはダイレクトにはいかないというような整理になっております。
○髙田座長 宮本構成員、いかがでしょうか。
○宮本構成員 ということは、事業者は知らず、健診機関のほうでとどまってしまうという考えでよろしいのですか。産業保健というこれまでの枠組みでは健康管理を行う義務がある所すなわち事業者に情報を届けて産業医の意見を聴いて措置を行わせる、というのではなく、何らかの形で本人に回答して、それでおしまいという形で、まずは行こうということでお考えなのでしょうか。
○髙田座長 事務局から回答いたします。
○松岡労働衛生課長 その辺りは、1つのポイントだと思っております。今回お示ししている資料の中で、資料2の9ページですが、健診後、事業者は健診結果をどのように入手するのかという項立てをしており、その中で基本的に事業者は個別の労働者、つまりAさんがこういうことに困っているということについては分からない、情報のフィードバックを受けないということを考えています。
 ただ、それでは職場環境改善等が行われない、職場が何もそういう状況が分からないということになってしまいますので、例えば職場が100人の職場で女性が半分おられて、50人ぐらいの方々がおられる中で、何人ぐらいがこういったことに丸をされたかということをフィードバックすることは可能にするというようなことはあり得ると思っています。そういったことで、職場の女性の健康課題があるということを知っていただくという契機にして、職場環境改善を図っていただくと。その中で、産業医たちにお力を貸していただくというようなことはあり得ると、私は思っております。
○髙田座長 宮本構成員、いかがでしょうか。
○宮本構成員 はい、ありがとうございます。集団のほうは今書かれているとおりなのですが、では個別、例えば保健指導が必要、あるいは受診勧奨というよりも実施後の措置になるのですが、そういったことは一切タッチできないという形になってしまうと思うのですが、それは私はいかがなものかと思っております。
 例えば、産業医、産業保健スタッフがいる事業場でしたらきちんと入手すべきですし、そもそも問診内容は女性特有の健康問題に限らず本人の自由意思となると、健康診断の際の訴えがあったとか、自・他覚症状があった方の情報が何も入らないということになってしまい、産業医のいるのに産業医が使えていない、保健師が使えていないというのは、よろしくないと思います。これは、個別の話も産業医や保健師にきちんと返したほうがいいと思うのですが、これは意見になってしまうかもしれません。そう考えております。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。松岡構成員、お願いいたします。
○松岡構成員 松岡です。よろしくお願いします。今までの議論を全部知っているわけではなかったので、ここの回までの議論が不透明なところはあるのですが、これを見させていただいて、問診票の在り方・意義という所として思うのですが、それは本人の気付きをまずは求めることと思います。もしこの問診票が企業側、事業主のほうに渡るということが分かってしまうと、本人が実際にこの問診を素直に書くかどうか非常にハードルが高いです。実際、健康診断をやっていて思うのですが、問診票を見ながら本人に、これを企業側に出してもいいかどうかということを健診機関の医師としてはお尋ねすることが少なくないのではないかと思っております。ですので、この問診票を出すかどうかというのは非常に機微な問題で、本当に個人情報が多いので、中身的には十分に検討していかなければいけない。恐らく、この検討会だけでは話せない状況なのかと私は思っています。
 その中で、今回こういうふうに問診項目を追加することになれば、本人の気付きだけでなく、気付いていない方がたくさんいらっしゃるということと、それを見た健診医が、どういうふうに対応するかということをもう少し細かくここの中でも話していけるような形、次の話にはなると思いますが、そこの運用をもう少し考えていけばいいのではないかと考えております。
○髙田座長 ありがとうございます。立道構成員、お願いします。
○立道構成員 今回、このような形で健診医にフォーカスが当たっているのですが、健診医が健診の場で聞いて、受検者にフィードバックして、本人の気付きを得るということになると、問診そのもの自体の項目にはコストは掛からないという前回のお話でしたが、健診全体と見れば恐らくかなりコストは掛かってくるのではないかと思うのです。、本人に気付きを与える、病院紹介するとなれば健診にかかる所要時間、そして研修も行わなければいけないということになった場合は、コスト計算をする必要があると思いますが、この点コストをどのように考えておられるのでしょうか?
○髙田座長 事務局からでよろしいですか。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。コストにつきましては、正確な情報がないのですが、一般健康診断問診票だけを捉えれば、大きなコストの発生はないという御発言もありましたので、そのように理解をしております。
 一方で、事後的な対応も含めて、御本人へのアプローチや教育的な研修・教育的なアプローチ、そういった部分もパッケージで含めるべきで、その部分については、確かに、新たなコストが発生する可能性はあります。ただ一方で、女性の健康というのは、女性の就業率が、今、大きく向上している中では、事業者側にとっても、非常に、女性の方の活躍は重要と思いますので、広い意味で、産業保健の一環としてということで見ていただければ、適当なコスト負担に御理解が頂けるのではないかと考えております。
○髙田座長 森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。女性の気付きを問診でということは1つの目的ということは分かったのですが、例えば、33番の「職場において相談したいことがありますか」、具体的に「はい」と書いてあって、これは「職場において」と書いてあるので、健康診断機関でそれをもらって、この後はもうこれで「はいと言いましたね」、気付いたで終わりにはならないだろうかと懸念します。この事後措置というか、法律上の事後措置と言っている意味ではなくて、この対応はどんなふうに流れていくことを想定しているのでしょうか。こういうのは、聞いてしまったら何かやらないといけないという話は当然のことだと思うのですが。。
○髙田座長 事務局、お願いします。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。御指摘の部分については、2つのルート、流れがあるものと思っております。1つ目は、個人としてどう対応するかという部分ですが、本人から申し出があったということは、ある意味で事業者への情報の開示について同意されたと整理ができるという判断になるかと思います。
 一方で、通常は、会社に知られないからこそ正直に書くとして御回答をされる方もいらっしゃるかと思います。基本的には「はい」の数を集計して、ある事業場では「はい」と答えた方はどれぐらいいらっしゃるかというボリュームをお示しして、会社では、例えば、相談窓口の設置、あるいは女性の健康に関する教育・研修を行っていただく、広く言う産業保健体制の拡充、産業保健活動の拡充を図っていただくことができるのではないかと考えております。
○森構成員 ありがとうございます。そうしますと、例えばストレスチェックの場合、回答して個人に評価が返って、個人の気付きに結び付き、また本人が面接指導を希望したということになると、事業者に開示されて面接指導するという流れがあります。33番はそのような希望に相当するという理解でいいのですか。何らかの対応を職場に希望するという。
○大村産業保健支援室長 現時点の設問の整理としては、そこまではいっておりません。
○森構成員 それはちょっと議論していかなければいけないということは分かりました。
○大村産業保健支援室長 先ほど松岡構成員の御指摘のとおり、健診医と健康診断を受けられている方との関係において、正直に書いていただくということを念頭に置いております。
○髙田座長 そうしましたら、増田構成員、次に荒井構成員を御指名しますので、荒井構成員は少しお待ちください。増田構成員、お願いします。
○増田構成員 たびたびすみません。法令に基づく健康診断である以上は、事業者側に結果が伝わるという前提で、第1回からずっとしつこく申し上げておりましたので、松岡構成員の先ほどの御懸念をずっと申し上げてきたつもりでおります。
 先ほど立石構成員の御質問への返答で、腑に落ちたところがありまして、法令に基づく自・他覚の検査と、一般健康診断問診票は別ものであるとのことで、それはそれで整理としては、なるほどなと思ったのですが、そうであれば、先ほど結果の保管が健診機関にあるとのことでしたが、健康診断は事業者責任で実施するものというところに、健診機関もその責任の一翼を担うことになるのではないかと感じました。結果保管義務はそちらに係るという御回答でしたので、これはかなり大きな変更に取られかねないのではないかと思った次第です。
 そこが明確にならないまま、健診機関のほうで結果を管理してくださいと言われても、健診機関としては困ると思いますし、法令による紐付く義務がないのであれば、個人情報保護法上は、目的を達成すればその情報は廃棄しないといけないということになっていますので、健診機関としては、例えば事業者側に結果を納品する、あるいは本人に結果を通知すれば、後はもう捨ててしまっていいということになりますので、せっかく得られた情報が全く活用されないという、困ったことにもつながりかねないと感じます。ですので、今回の事務局の想定でいくのであれば、結果の情報を誰がどのように取り扱っていくのかというのはもう少し詰めないと現場の運用が回らないのかと思った次第です。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。事務局からは何かございますか。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。医療機関での実施結果の保存につきましては、労働安全衛生法令とは別の世界、医療法や医師法、そういったものの並びで適切な保存をお願いするという整理をしております。
 また、安全衛生へのフィードバックについては、御指摘もありますので、構成員の皆様方の御意見もしっかりと踏まえて、制度見直しを考えていきたいと考えております。
○髙田座長 ありがとうございます。お待たせしました。荒井構成員、お願いいたします。
○荒井構成員  ありがとうございます。荒井です。今までの各構成員の御意見、特に宮本構成員からの御意見に賛同しております。これだと聞くだけに終わってしまっていて、職場で「はい」と「いいえ」と「分からない」の回答をどのように解釈するのかということは、各職場も非常に困るのではないかと思います。個人に対してフィードバックしない、あるいは産業医が関わらないということであれば、この質問の意味が本当にあるのかなということが疑問です。また症状にもいろいろと月経困難症とか、女性の健康問題、症状、あるいは病態にも複数の可能性があるかと思いますので、その内容も分からないままでデータだけ各事業所がどのような扱いをするかというのは、対策を取ると言っても難しいのではないかと思いますので、それであれば、研修として、女性の健康問題に関するパンフレットを国が作って、しっかりと啓発をしていくということが重要かと思います。もちろん一般健診はやっていただいていいと思いますが、こちらのほうの健診については、自己啓発と言いますか、健診を充実させるということで対応するのとどこが違うのかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○髙田座長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり、やはり、研修や啓発が重要です。また、今回の問診に追加することによりまして、本人の気付き、まずは改めて、こういった健康問題に労働者自らがお考えいただくということになります。また、情報が不足して分からない方もいらっしゃいますので、問診を通じて、健康診断を実施した医師から然るべき情報提供をしていただくということが重要ではないかと思っております。
 いずれにしても、啓発や研修については事業場が行うこと、また、国が事業者、あるいは事業者団体に周知すべきことはありますので、今後の検討会の取りまとめに当たっては、その辺りは十分に注意して整理を行っていきたいと考えております。
○髙田座長 荒井構成員、いかがでしょうか。
○荒井構成員 これは慎重に対処すべきだと思いますので、コストは問診だけでは掛からないと思いますが、今まで議論があったように、アフターケアをきちんとしないと、やっている感だけ出しているということにもなりかねないので、きちんと職場の労働環境の改善に資するような項目を取ることが重要かと思いますう。それに対してしかるべき対応が取れるような形の問診を行うというのであればいいと思いますが、そうでないのであれば無駄ではないかという印象もありました。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。宮本構成員、引き続きましてお願いいたします。
○宮本構成員 ありがとうございます。松岡構成員からの意見を聞いて、なるほどと思ったところもあるのですが、ただ、今回の問診で「どちらでもない」という項目を入れたということは、事業者や産業医には知られたくない人が「どちらでもない」と答えるようになったと思いますが、もとより健診機関でとどめておくのであれば、どちらとも言えないという回答は本当に要るのかと。「どちらとも言えない」というのをわざわざこれに付けたというところで、一般定期健診の問診を切り分けると、安衛則第44条や第43条にある中の「自覚症状、他覚症状の有無の検査」という部分は、一体何を指すのかということを、また改めて議論しなければいけなくなってしまうのではないかという問題があろうかと思います。ですので、この「どちらとも言えない」を付けたというところで、どういうふうにしてこれを健康管理に役立てるのかという指針が別途要るのではないかと思った次第です。以上です。
○髙田座長 御意見をありがとうございました。事務局からは何かございますか。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。今回の問診項目の検討に当たりましては、「はい」「いいえ」のみならず、こういった部分はお答えしたくない、お答えしづらいという方もいらっしゃるということを想定して、③の項目を追加させていただいております。
 基本的には③の場合は、これは集計して事業者にも出さないという整理の項目ではないかと考えております。ただ一方で、仮に制度見直しがこのとおりなされて、個々の事業場で活用していただくときには、この辺の取扱いをしっかりと明示して示す必要があると思います。なお、繰り返しになりますが、一般健康診断問診票については、行政からお勧めをしているという整理になっております。必ずしもこれをそのまま使っていただきたいというものではありませんので、個々の事業場、そこにいらっしゃる労働者のニーズ等々を踏まえて、適宜この辺りは修正を頂いても差し支えないものと考えております。
○髙田座長 宮本構成員、いかがでしょうか。
○宮本構成員 ありがとうございます。了解しました。
○髙田座長 そうしましたら、会場のほうに戻りまして、岡村構成員、お願いいたします。
○岡村構成員 これはいろいろあれですが、例えば質問33について細かい話をすると、やはりこれを記入してしまうと、当然、何かしてもらえることを期待してしまうところがあり、ところが、対応できることが恐らく職場によってものすごく違いますので、まず相談窓口が会社にあるかどうかぐらいはここで更に聞いて、あったらそこに情報を共有するぐらいのことはワンクッション置かないといけなくて、大手の所は皆さん想像つくと思いますが、実際のところは中小で働いている方のほうが圧倒的に人数として多いことになりますので、そもそも社内で相談する窓口があるかないかみたいなところがすごく問題があります。結果を例えば健診機関からでも、本人からでもいいのですが、どこに相談に行くか。産業医とかおられる所はそこに行けばいいということになるのですが、ない所はどこだという話になるのが個々ですごく変わってくるので、相談先があるかどうかという情報をどこかで取った上で、そこへつなぐかどうかみたいなことを聞くというのも1つの現実的な方策としてはあるのかなと思いました。
○髙田座長 ありがとうございました。事務局、お願いいたします。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。実際に相談したいといった方は、どこが受け皿となっているのかというのは非常に重要な部分であると思っております。
 当然、産業医がいらっしゃる事業所についてはその産業医、若しくは産業保健スタッフがこういった相談対応をしていただくことが非常に望ましいのではないかと考えております。産業医、あるいは産業保健スタッフがいらっしゃらない事業場におきましては、例えば、産業保健総合支援センターや地域産業保健センターにおきまして、女性の健康の相談窓口がありますので、そういったコーナーの活用などをしっかり周知していきたいと考えております。
○髙田座長 ありがとうございます。続きまして、鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 御指名ありがとうございます。事業者に個別の労働者に関する結果を渡すかどうかにつきまして、これまでも繰り返し申し上げてきましたが、月経困難症や更年期障害等の女性に関連する健康問題は、女性労働者のプライバシーに特段配慮しなければならない情報ですので、私自身は事業者に個別の結果が行くことには反対の立場です。
 健診後に事業者が効果的な対応ができるのかという御議論もあると思いますが、私自身は、先ほど事務局から説明があったとおり、事業者が統計情報を入手することで、社内に困っている方がこれだけいるということの気付きにつながるのではないか。そのうえで、どのように対応するかについては、現在、中小・小規模事業者を含めて、なかなか対応が進んでいないと思われるところ、例えば、相談窓口を設置するとか、あるいは管理職も含めて女性の健康問題に関するリテラシーを向上させる研修を行うとか、生理休暇が取れていないのであれば、様々な工夫をして取りやすくするなど、事業者側のアクションのきっかけになり得ると思っております。
 さらに申し上げますと、事業者が労働者に配慮することについて、何らかの配慮を行うこともあり得るとは思いますが、そのためには本人のセルフケア、気付きを端緒として、専門医の受診を経て、労働者が事業者に申し出るプロセスがまずもって必要になるのではないでしょうか。これも繰り返し申し上げていますが、女性の健康問題というものは、やはり私傷病、すなわち、業務起因性・業務増悪性が低いものですので、治療と仕事の両立支援に準じたかたちで対応することが適切ではないかと思っております。私からは以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。松岡構成員、お願いします。
○松岡構成員 今、岡村構成員と鈴木構成員がおっしゃったことについてコメントさせていただきます。まず、33番の個別の話になってきておりますので、そこの部分も含めて意見を述べさせていただきます。まず、「職場において相談したいこと(配慮してほしいこと)がありますか」という問診をもう一回見返したのですが、こういう状況になってきますと、話を聞いている健診医も何らかの個別対応が必要になってくるのではないかと思う可能性があるかと思いました。よろしければ、「職場に対して相談したいと思いますか」という、もう少し柔らかな言葉遣いにしていただいて、「思っているのだけれども、言い切れなかった」とかという人も含めてのスクリーニングをできるようにしたらどうかなと感じました。もしそういうふうに言われたときに、健診医の先生については、恐らく職場、個別の対応は基本的にはすることができません。なので、何ができるかと言ったら、1つは、鈴木構成員が言われていたような受診勧奨をして、「この症状であればまず行ってください。子宮内膜症の可能性もあるので、ちゃんと診てください」という受診勧奨がまず第1点です。小規模事業場であれば、先ほど事務局から話が出ていた地産保とか、あとはかかりつけ医というところで相談をしていくという、まずそこのところをしっかり道筋があってしかるべきかと思います。
 もう1点は、事業主に関しては、その話をしたときに本人が本当に言ってほしいかどうかという部分もあります。ただ、相談窓口がなければ、例えば、リーフレットとかを用意していただいて、事業主に言いにくい場合に、「こういった状況があったら、リーフレットを持って、上司に言ってみてください」というような医療機関向けと職場向けの何らかのツールを作ることで、本人が事業主に言えるきっかけを作っていく使い方をされたらいいのかなと、これを見て思っておりました。コメントです。
○髙田座長 ありがとうございました。冨髙構成員、お願いします。
○冨髙構成員 ありがとうございました。33番の設問ですが、「職場において相談したいと思いますか」と変えてしまうと、反対に何を言えばいいのだろうとなってしまうのではないかと思いますし、それを聞いてどうすればいいのかより分かりにくくなるのではないかと個人的には思います。回答欄に「どちらとも言えない」という選択肢も入っているので、「職場において相談したいこと(配慮してほしいこと)がありますか」ときくほうがいいのではないかと思いました。プライバシーの観点についてもそれでクリアできると思います。
 33番については、職場において配慮してほしいことがあった場合に、本人が希望するのであれば、会社の産業医、産業保健スタッフなどに情報が伝わるほうが、より具体的な解消につながるのではないかと思いますので、その点は意見として申し上げます。
 もう1つ。問診の中に質問を追加することは賛成の立場ですが、32番については、「女性に関する健康問題で職場において困っていることはありますか」と記載して、欄外に※で説明を付けるよりは、もう少しストレートに「月経困難症、PMS等などで職場において困っていることがありますか」とか、「更年期症状で職場において困っていることはありますか」と分けて設問する方法もあると思っておりまして、これは何度も申し上げておりますが、更年期は、女性のみならず男性にも存在するので、男女区別せずに回答できる形にしてもいいのではないかと思いました。
 また、8ページのほうに、質問32で「はい」と答えた場合の健診機関の医師の対応として、必要に応じて医療機関への受診勧奨や相談内容に関する情報提供等を行うと書かれております。この対応にするのであれば、特に男女で区別をする必要はないのではないかという印象を持ったところです。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。ただいまの点で、事務局から何かございますか。よろしいですか。そうしましたら、大須賀構成員、お願いいたします。
○大須賀構成員 すみません、今の議論をずっと聞いていて、少し私の頭も整理された上での発言なのですが、32番と33番を専門の先生方が取扱いについていろいろ議論していただいたのですが、これはわざわざ32番と33番を分けてあるので、32番でこの「職場において」というのが入っていることが絶対的に必要なのかどうかというのは非常に疑問で、私の患者さんなどは山ほど鎮痛剤を飲んで仕事に行って平気だったということで、気が付いたら子宮内膜症がものすごく悪化していたと。最終的にはそれで入院して、結局、労働時間も削られるし、ということは幾らでもあるわけです。ですから、33番でわざわざ「職場において」というふうに拾い上げるのであれば、これをセットにするのであれば、32番は「女性に関連する健康問題で困っていることがありますか」で駄目なのですか。ほかの設問を見ますと、その将来、病気が隠されているものを拾い上げているという関係かなと思うので、そういった拾い上げるという意味におけば、33番があるのであれば、32番にわざわざ「職場において」という言葉を私は入れる必要がないと思っています。先ほどからの取扱いを聞いても、それでいけるのではないかと思います。
 もう1点は、今、御発言いただいたのですが、女性における健康問題、月経困難症、あとはやはりPMS、月経前症候群、これは是非、明示して入れておく必要があると思います。以上、2点です。
○髙田座長 ありがとうございます。事務局、よろしいですね。質問32、33については、それらの入れ方、質問32、33のように設けるのかということ。それから文言について、「はい」「いいえ」「どちらとも言えない」の3択がいいのかということや、女性に関連する健康問題に何を含めるのかということ、「職場において」という表現が本当によろしいのかということについて、この後、御議論をしていく前段階の健診項目の考え方の所で、いろいろな御指摘を頂いているところですので、是非、質問32、33についても御意見いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 すみません、中野構成員が先に手が挙がっていたので、その次に立石構成員にお願いいたします。
○中野構成員 質問項目について、今、お話してもよろしければ伝えたいのですが、先ほど大須賀構成員から御指摘がありましたように、私も32番の所の「職場において」という所を限定しないほうがいいと思っています。また、回答の「どちらとも言えない」というこの回答の中には、「はい」か「いいえ」かが分からないという意味と、答えたくないという意味の2つが入っていると思いますので、④として「答えたくない」という別の回答があってもいいのかと、思っています。
「答えたくない」ということを示しいただくことによって、問診医や産業スタッフもケアや、対応の仕方もそれを見て気付けるのではないかと思いますので、健診もトラブルなく順調に進行できると思います。考えていただけたらと思います。
 最後に、先ほどこちらの回答に「はい」という回答者のボリュームで、事業者へ気付きを与えられると思いますが、自覚症状がない方々もケアしていきたいということであれば、「いいえ」や、「どちらとも言えない」という回答者に対しても、ケアが必要ではないかと思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。何かコメントはよろしいですか。そうしましたら、立石構成員、お願いいたします。
○立石構成員 ありがとうございます。ちょっと私もかなり整理されてきた感じがあるのですが、個人情報保護法をシンプルに捉えると目的と周知の範囲を明示した上で同意を取るというのが、個人情報保護法をすごいシンプルに捉えたときの考え方だというふうに思います。今のままだと32、33の質問項目というのは、誰がどの情報を持ってというところがよく分かりにくくなると思いますので、もしこの32の情報を健診機関だけでとどめるのであれば、女性に関する健康問題に関して「健診医に相談したいことがありますか」になると思いますし、33番においては「職場に通知して配慮していただきたいことがありますか」というような文言のほうが、より適切になろうかと思います。ただ、これは今のイメージはあくまでも、32は健診医が対応すべきことで、33が事業者が対応すべきことというふうに整理された場合には、そうなるかというふうに思いますので、まず誰がどこまで何をするべきかというようなところを決めてから、その周知の範囲と目的に関して明確になるような質問紙の文言にすると、より議論というか受診者にとって分かりやすいような形になるのではないかと思いました。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。そのほか御意見はありませんか。宮本構成員、お手が挙がっていますか。御発言をお願いいたします。
○宮本構成員 ありがとうございます。宮本です。今の立石構成員のお話に出た32番、33番で誰に対してということで、健診機関医に話をしたいというような文言を入れるのであれば、31番「何か健康について相談したいことがありますか。」も同じ問題になるのではないかと思います。32番は女性に特有の健康問題で困っていることがあるか。「はい」の内に職場で相談したいことがあるかということだと、31番も同じように、ここで相談したいというのは健診機関医に相談したいことがあるのか、「はい」であれば職場で配慮してもらいたいことがあるかというのを、31番にも足すということであれば、並びがよくなるような気もします。今回、この31番絡みはないのかもしれないのですが、誰がこの情報を取り、誰に対して相談したいのか、この情報がどこにいくのか等、そういった話をこの辺は明示する必要があるのかなと思った次第です。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。そうしましたら、武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 健診現場での事後措置について、ちょっとお話が出ているものですから、我々の立場として御説明したいと思いますが、まず32番の質問があって、「はい」と答えた方に対して健診の場で十分に対応することは、時間的にも、それから健診診察医は婦人科疾患の指導経験が少ないことからも、十分に対応することは難しいのではないかと考えています。まず、この質問で第1段階のスクリーニングを行って、続いてツールなどを用いて産婦人科医の受診の必要性をチェックするというのが現実的ではないかなと考えています。
 それから、33番の質問への個別の対応は、事業主の理解を得るため、そして十分な時間と検討が必要であること、場合によっては意見書の作成も必要になることになるので、健診の場では少なくとも不可能ではないかと考えています。自覚症状が主体となる疾患への就業上の配慮は、客観性を担保するためにも産婦人科医の診断書、あるいは意見書を基にした検討が必要になるのではないかと考えています。
○髙田座長 ありがとうございました。そうしましたら、亀澤構成員、お願いいたします。
○亀澤構成員 質問32と33の議論に入っているので発言させていただきたいと思いますが、健診の現場で診察に当たる医師は武藤構成員がおっしゃるとおり、婦人科の専門でない人たちがすごく多いということ。それから、常勤医師だけではなくて、非常勤医師もすごく多いです。私どものほうの会員のデータでは、常勤対非常勤医というのは1対2ということで、非常勤医師が非常に多い。そんな現状ですので、健診の現場でできることというのは、やはりある程度限定されているのではないかと思いますので、まずそれを申し上げたいと思います。
 そういう中で適切に対応しておかなければ、受診者の方の満足も得られないので、そのためには専門医の医師でなくても対応できるようなツールの開発や情報提供、研修など、そういうものを是非、お願いしたいと思っています。
 それから、専門医でないので対応はできないということをもしかしたら言う医師もあるかもしれないので、専門医でなくともこの健診の問診については対応することを求めるということを言っていただく必要があるのかなということも思いました。
 また、常勤医でありますと、健診機関の中で研修を受けることできるかと思いますが、なかなか非常勤の医師まで研修を求めることは、対応としては難しいということもあるかもしれませんので、この問診の対応という点でいくと、健診機関側の体制整備にも、やはり一定程度時間が必要であるということは是非御理解いただきたいと思います。質問項目の関係で、「どちらとも言えない」という項目について、いろいろな御意見がありましたが、私ども会員に意見を聞きますと、問診の回答というのは「はい」か「いいえ」かで聞いているものなので、「どちらでもない」、「答えたくない」というものについて求めるのは意味があるのかなという意見がありましたことを申し上げたいと思います。もし、その回答しないという人であれば、恐らく「いいえ」を回答するのではないかという意見もありましたので、御検討いただければと思っています。
 それから、質問33について、期待もあるような御意見もあったところですが、これは健診機関では対応が非常に難しいと思います。そもそも問診というのはその方の健康状況について聞くものなので、配慮を求めるかどうかというところについてまで問診で聞くのかというところについては整理していただく必要があるのではないかと思います。32と33の関係は以上ですが、またほかの課題が幾つかありましたが、それはまた後ほどということで。
○髙田座長 ほかの課題についても、御発言いただいて構いません。
○亀澤構成員 人数の把握の関係の話がありましたが、健診機関としては人数を御提供することに余り意味がなさそうな気がしましたが、もう少しこれぐらいの人がいるという人数が分かれば、事業場のほうでの対応があるということであれば、これについては反対するものではありません。
 それから巡回健診で、どれぐらいの対応ができるのかということについては、先ほど武藤構成員からお話があったと思いますが、やはり時間的な制約もあります。全体の健診時間の制約がある中で個々の方に対して、長い時間の問診を行うということは難しいので、この辺りについては事業者の方、それから受診者の方への理解も頂きたいなと思っています。プライバシーの確保という点では、従来からそういうことを前提に配慮していますので、若干、限定があるかもしれませんが、そういうその範囲の中での対応ということを前提とすれば、全く困難ということではないと思いますが、引き続きそのプライバシーの配慮という所で、問診ができる場所の確保について、巡回の場でありましたら事業場に対して健診機関が御相談する場合があると思いますので、御配慮いただければと思っています。
 その他の課題という所がありましたので、その点について申し上げますと、月経困難症という言葉、最近もテレビや新聞にもいろいろな事業場の対応も含めて紹介されていますので、一定の理解は進んでいるとは思いますが、月経困難症というのは何なのかということをきちんと理解している方も、そんなに多くないのではないかと思います。そういう点では、女性に関する健康課題とはこういうものですということだけではなくて、もう少し、先ほどどなたかがおっしゃったような啓発ツールなど、受診者の人が何を書けばいいのかということが分かるような、そういう資料があるといいかなと思います。以上です。ありがとうございます。
○髙田座長 ありがとうございました。鈴木構成員、お願いいたします。その次に増田構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 たびたび恐縮でございます。健診の現場を担う医師に負担が掛かる仕組みではワークしないというのは大変重要な御指摘だと思っております。
 一方で、資料に記載のとおり、医師が活用できるツールの作成によって工夫する余地もあるのではないかと思っております。例えば、質問32で「はい」と回答した女性労働者に、数問程度の更なる質問に答えてもらい、特定の項目に該当する場合には、専門医への受診勧奨をしたり、「受診してください」と紙に書いたり、女性の健康問題に関するリーフレットを渡したりするというような、何らかのフローを示し、適切なツールが作れれば産婦人科以外を専門とする医師にも対応いただく余地はあるのではないかと思っております。
 それから、回答の「どちらとも言えない」、あるいは「答えたくない」という選択肢については、気兼ねなく回答していただくことを考えると、私はあってもよいと思っております。
 最後に、冨髙構成員から、男性の方も回答できるかたちにしてはどうかという御指摘についてです。前回の繰り返しとなり大変恐縮ですが、男性の更年期障害については、問診に適切に回答してもらうことが、女性より一層難しい面があることなどを考えますと、男性の更年期障害への対策を軽視するつもりはありませんが、問診への追加は慎重に考えるべきだということを、改めて申し上げたいと思います。私からは以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。続きまして、増田構成員、お願いいたします。
○増田構成員 先ほどの武藤構成員、亀澤構成員のお話を聞いて、今更ながら思ったのですが、健診担当医の役割には限界がありますというお話がありましたが、そもそも健診担当医は資料の8に書かれているようなことを担わないといけないのかという点を確認させていただければと思います。そう言いますのは、健康診断の結果は様式第5号というものにずらっと記載されて、一番最後の所に「医師の診断」と、健康診断を実施した医師の氏名を書くことになっています。求められているのは医師の診断、医療区分です。その次に、「医師の意見」で、その意見を述べた医師の欄があります。この意見を述べる医師は、往々にして産業医が担うものだということで、健診の現場ではこの欄は空欄になって、健康診断を実施した医師の欄までが埋められて納品されてくるという立付けになっていますので、健康診断の担当医に求められているのは、医師の診断までと私は理解していましたので、そもそもこれを求める立付けになっているのかどうかという所、健診医はそこまでやらないといけないのかというところについて、まず既存の法令で何か示されたものがあるかどうかを確認させていただけたらと思います。
 あと、もう1点、こちらは意見なのですが、資料の9枚目に統計情報を入手して、活用うんぬんというくだりがありますが、そもそも労働安全衛生法に基づく健康診断は事業者が把握して、事後措置に活用すべきものですので、同じ健康診断の中で事業者に伝えていいものと、伝えてはならないものというものを入れていくというところは、余りすべきではない。もっとシンプルな構成で運用していける方式を御検討いただけたらと思っています。健康診断の中にある部分は事業者へ提供可、ある部分はストレスチェックみたいに制限があるとなると、かなり現場も混乱するかと思いますので、もう少しシンプルな設計にしていただくべきかと思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。事務局から回答をお願いできますか。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。健康診断結果の個人票ですが、増田構成員の御指摘のとおり、様式が定められています。健診医には「健康診断を行った医師の診断」の欄を書いていただくところまでをお願いするということになります。それ以上については、法令で何らかの対応を義務付けるということはありません。
 それから、シンプルな整理ができるようにするべきではないかという御指摘がありましたが、ここについては構成員の皆様方の御意見を踏まえて、検討を深めていただければと思います。
○髙田座長 そうしましたら、立石構成員、お願いいたします。
○立石構成員 すみません、もう1回。コンフューズしたところがありまして、もし医師の診断の所にこの女性の健康管理の所が入るとすると、医師の診断の所にその健診医が要受診と判断したときには、要受診と書くことになるのですか。これは健診の現場でこの問診票の中に記載されて、精密検査を受診するというようなことになったときには、この医師の診断の所には該当しないと、要は健康診断の範囲の外で行われているものだと。健康診断の中で行われているのであれば、当然、健診の結果には医師の診断を書かなければいけないと思いますが、健診の中で行われるのか、外で行われるのかが結構、よく分からなくなってきたのですが、そこは明確にしておいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○髙田座長 事務局、お願いいたします。
○大村産業保健支援室長 今の御指摘を踏まえますと、健診の外で女性の健康課題に係る問診を行っていただくという整理になります。
○髙田座長 よろしいでしょうか。そうしましたら、及川構成員、お待たせしました。御発言をお願いいたします。
○及川構成員 ありがとうございます。9ページの所で小規模事業者においても実施可能なと、小規模事業者に着目をしていただいて大変有り難く思っていますが、先生方のいろいろな御意見を頂きますと、本当に中小企業、小規模事業者でどのように対応していったらいいのかというのは、大変複雑で分かりづらくなっていくのではないかと大変危惧しています。小規模事業者の目線で、この女性に関連する健康問題が追加されるとすると、どのようなことをしたらいいのか、その背景などを是非、引き続き議論をしていただきたいと思っています。
 特に9ページでは啓発、研修資材等が必要ではないかなど、ツール等が必要でないかということになっていますが、まさに必要であり、その中身をどのように議論していくのか、どういうことが中身に盛ってもらえるのかということが大変重要になってくると思います。引き続き、中小企業のことを第一に考えていただいて、この問診が加わることによるいい効果ができるように、私どもも考えますが、御議論を頂ければと思っています。以上です。○髙田座長 ありがとうございました。事務局は何かありますか。
○大村産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。そういった部分の普及啓発、あるいは教材の作成等、非常に重要な部分であると認識しています。まだ具体的な方策は決まっていませんが、いずれ何らかの方策によりまして、こういった部分をしっかり手当できるように情報発信に努めていきたいと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。そうしましたら、松岡構成員、お願いいたします。
○松岡構成員 すみません、今の件の関連という形で発言させていただきます。中小企業のほうで一番懸念されることは、資料の9ページ目の事後措置の集団統計情報です。どのぐらいの数の方が、今回、「はい」と、健康問題があるというふうに書いたのかということの集計情報を出すということだったのですが、ここの※の所に書いてある「事業場に女性が10人未満在籍するなど」と、その事業場に在籍している女性の数によって、かなり個人情報が出されてしまうようなことを懸念します。ここの部分については、特定されるような場合は、こういったことはちょっと出せないのではないかと思いますので、そこのところの御配慮を頂ければと思っています。
○髙田座長 ありがとうございます。そうしましたら、星野構成員、お待たせしました。お願いいたします。
○星野構成員 私も集計による報告のことなのですが、大規模の事業者でも健診はいくつかの健診機関でお受けになる場合があるのかなと思います。たまたま、ひとつの健診機関で受けた女性が1人だけだったというようなことがあると、健診機関からの集計結果が届いた時に、受け取った事業所の方が、「これは、あの人だ」というふうに人物が特定されるということが起こってくるので、やはり集計報告に関しては配慮が必要だろうなと感じました。
 あと、項目についてなのですが、先ほど来、いろいろな御意見が出ているのですが、「女性に関連する健康問題」という表記自体もどうなのだろうと思います。よく使われる表現としては、「女性特有の健康課題」があります。あるいは先ほど出ていましたように、「月経に関連する症状など」、あとは女性向けになってしまいますが、「更年期」ということを明記しての表現のほうがいいのだろうなと思います。以上、2点、申し上げました。
○髙田座長 ありがとうございました。そうしましたら、鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 御指名ありがとうございます。「はい」と回答した人数の情報を事業者に伝えることで、事業場における実質的な取組のきっかけになるのではないかと先ほど申し上げました。一方、ただ今、星野先生が言われたように、複数の健診機関を活用して労働者の健康診断を実施しているときに、場合によっては回答者が特定されてしまうという懸念、これは大変重要です。加えて、そもそも女性の健康問題というものは私傷病への対応となりますので、産業保健の範ちゅうに入るかどうかを考えたときに、私自身は真正面に入るものではなく、むしろ健康経営の範ちゅうの話だと認識しております。そのため、事業者が健診機関から統計情報を入手するに当たっては、事業者の任意性を担保することが重要ですし、大前提になると考えていますので、申し上げます。
○髙田座長 ありがとうございました。そのほか、御発言はありませんか。この一般健康診断問診票のそもそもの取扱いのスキーム自体の問題というものがありますので、そちらの整理をどうするかということで、また事務局で検討していただかないと、先に進まないというような状況になっていますが、今、一般健康診断問診票の所のスキームについては、いろいろ御意見を頂いていると思いますが、あと、この女性の健康問題に関する設問を設ける場合のその設問の文言、そちらについても御意見を頂いていますが、そのほか資料の8ページ以降にありますが、結局、設問を設定した場合に、その後の事後の対応という所、そういった所が一番最後の所に書かれていますが、きちんと対応がないとこれは盛り込むことも難しいところもありますので、そのほかの部分についてもこの場で御意見がありましたら是非頂きたいと思いますが、森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。皆さんの意見は、対応が難しいと感じるところと、確かにそうだなというところがいっぱい混じっていて、私自身も全体像が逆に見えなくなって、今、混乱しています。恐らく1度、フロー図を作って、ここはつながらない、さすがにこれをやって健診機関は無理だなどわかるものを前提に、共通理解のもとに議論がとても苦しいなという感じがしています。そのお願いだけです。
○髙田座長 恐らくそうしないと、話がまとまらないと思いますので、ここは事務局と検討させていただいて、また改めて分かりやすい資料提示をさせていただきたいと思います。そこに向けまして、まだお時間がありますので、今日、御発言しておきたいことがありましたら、是非頂きたいと思いますが、武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 すみません、32番の質問の所で追加でお話したいのですが、当学会では女性の健診、予防医療の在り方に関して、研究・啓発などを行う委員会がありまして、その中で今回の32番の質問について共有を行いました。そこで指摘があったのですが、もし32番の質問において、例えば「はい」と答えた方に第2段階としてツールを活用する場合なのですが、現行ではエビデンスがあって、一般的に広く使われているチェック表というのは疾患ごとに分かれていると認識しています。したがいまして、案にあるような「はい」「いいえ」の選択肢では、その後、どのチェック表を使えばよいか分からないため、選択肢を疾患の区別ができるようなものにする必要があると考えます。それから、個別の疾患名なのですが、例えば月経困難症については括弧して、生理痛と記載があると分かりやすいのではないかと考えています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。そうしましたら、オンラインで宮本構成員が御発言を希望ということですので、お願いいたします。
○宮本構成員 ありがとうございます。宮本です。今の32番は職場では件数は把握できず、健診機関から本人へのコメントだと産婦人科医に相談ということになろうかと思いますが、33番「職場において相談したいこと、配慮してほしいことがありますか。」、これが質問として残るのであれば、例えば産業医や保健師がいれば一度相談してみてはいかがかというような、本人へのコメントになるのだとすると、そのコメントを入れた人数は何人だよというのは、せめて産業医や保健師に返ってこないと、いきなり来られても困るということがあるので、そういったところを数だけでも返すなど、事業者はダメでも産業医と何らかのやり取りをするかどうかというのも、先ほどのフローの話につながると思うのですが、必要になってくるかと思いましたということだけ、意見です。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。そのほか御意見はありませんか。立道構成員、お願いいたします。
○立道構成員 ありがとうございます。今、森構成員も指摘されているように、全体像として不明確な部分がたくさん出たのですが、鈴木構成員が言われているように、問診結果の事業者への報告という点では、任意性という点がすごく重要な視点であり、各事業所事業所によって、かなり重要性と環境が変わっているので、この問診結果の集団の報告や利用方法については、任意性を持たせれば、少し整理ができてくるのではないかと思いました。私からは以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。何か御発言はありませんか。
 そうしましたら、本日は申し訳ありませんが、御意見を承ったという形で事務局で整理をさせていただきまして、この全体のスキームが分かるような形で御提示させていただいて、その上でこの問診項目について、再度議論していただくような形とさせていただきたいと思います。
○大野中央労働衛生専門官 ありがとうございます。次回の検討会の日程については、事務局から改めて御連絡を差し上げたく思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。そうしましたら、本日の検討会はこれにて終了させていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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