環境省・新着情報

2024年08月23日

「モニタリングサイト1000第4期とりまとめ報告書」(速報版)の公表について

1.重要生態系監視地域モニタリング推進事業(モニタリングサイト1000)では、各生態系/分類群で実施する調査ごとに5年に1度、調査開始時からの全データを分析した「とりまとめ報告書」を作成しています。

2.今般、3つの生態系(高山帯、森林・草原、サンゴ礁)で実施した調査について、「とりまとめ報告書」に掲載予定の内容から興味深い話題を抽出し、「速報版」を作成しました。

3.7つの生態系/分類群の調査について4回目(一部の生態系/分類群については3回目)となる「とりまとめ報告書」全文の公表は、令和6年9月から12月にかけて、生態系/分類群ごとに行う予定です。

■モニタリングサイト1000の概要

・我が国を代表する様々な生態系(高山帯、森林・草原、里地、陸水域、沿岸域、砂浜、サンゴ礁、小島嶼)の変化状況を把握(モニタリング)し、生物多様性保全施策への活用に資することを目的とした調査です。
 
・全国約1,000か所の調査地(モニタリングサイト)において、平成15年度から長期継続的に実施しています。
 
・研究者をはじめ、NPO団体や市民調査員など、様々な主体の方達に調査の協力をいただき成り立っています。
 
・モニタリングサイト1000の調査結果は、「生物多様性及び生態系サービスの総合評価2021(環境省,2021年)、気候変動影響評価報告書(環境省,2020年)等に活用されています。活用例について別紙を参照ください。

■「とりまとめ報告書」(速報版)の概要

本年公表予定の「とりまとめ報告書」のなかから、3つの生態系(高山帯、森林・草原、サンゴ礁)のトピックを抽出し速報版を作成しました。
速報版の主な内容は以下のとおりです。なお、速報版は、生物多様性センターのホームページで公開します。

(1)高山帯調査
<高山性の地表徘徊性甲虫の減少>
土壌生態系の指標として、白山の4つの地点で地表徘徊性甲虫の調査を行いました。その結果、特に高山性種の種数及び個体数の減少が認められました。また、クロナガオサムシなど、主に低標高地に生息する種が新たに確認されました。(資料1)

(2)森林・草原調査
<温暖な地域の群集構成に近づく傾向>
全国の代表的な森林タイプ、気候帯を網羅するように配置した調査地で、森林・草原生態系の変化を指標する生物群として、樹木、地表徘徊性甲虫、鳥類の調査を実施しました。
樹木・地表徘徊性甲虫・鳥類ともに、全国の森林でより温暖な地域の構成に近づく傾向が見られました。(資料2)

(3)サンゴ礁調査
<サンゴ礁及びサンゴ群集域での海水温の上昇傾向及び大規模な白化現象>
種子島以南の海域で見られる主なサンゴ礁及び種子島より高緯度域で見られるサンゴ群集域で、サンゴが生息する水深2~8mの海水温を測定するとともに、サンゴの白化率を調査しました。
ほとんどの調査地で、2003-2022年の20年間で有意な海水温の上昇傾向が見られ、2016-2017年には夏季の高水温による大規模な白化現象が見られました。(資料3)

■「とりまとめ報告書」全文の公表スケジュール

・令和6年度に、高山帯(11月)、森林・草原(10月)、里地(9月)、ガンカモ類(10月)、シギ・チドリ類(12月)、沿岸域(12月)、サンゴ礁(12月)の7つの調査について、「とりまとめ報告書」全文を公表する予定です。また、陸水域、小島嶼の調査について、令和7年度に「とりまとめ報告書」全文を公表予定です。

・令和6年9月には、モニタリングサイト1000の開始から20年間の調査で明らかになった日本の自然の変化・異変をわかりやすくまとめた「モニタリングサイト1000とりまとめ報告書(概要版)」を公表し、同年12月には、同概要版にイラスト等を加えた「とりまとめ報告書概要版パンフレット」を作成する予定です。

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課 生物多様性センター
代表
0555-72-6031
直通
0555-72-6033
センター長
高橋 啓介
専門官
平松 新一
保全科長
雨宮 俊

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