厚労省・新着情報

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和6年7月29日(月)15:30~

場所

中央合同庁舎5号館19階 共用第8会議室

議題

  1. (1)報告書案について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○平地専門官 それでは定刻となりましたので、ただいまより「第4回エックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。はじめに、本日の出席状況についてです。前回に引き続き、9名の構成員の皆様全員に御出席いただいております。なお、事務局において人事異動がありましたので御報告いたします。7月より、安全衛生部長に井内が着任しております。
○井内部長 井内です。よろしくお願いいたします。
○平地専門官 続いて、配布資料の確認です。机上には、ペーパーレスということで端末を置かせていただいております。そちらにPDF表示をしており、議事次第、資料1が第3回検討会等における主な御意見、資料2がエックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会報告書案、資料3がエックス線装置に係る放射線障害防止対策に関する検討会報告書概要案、参考資料1が関係する参照条文について、参考資料2は、これまでの主な御意見です。足りない資料がありましたら、適宜、事務局にお声掛けいただければと存じます。それでは、以後の進行については飯本座長にお願いいたします。
○飯本座長 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。お暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。今日も活発な意見を是非お願いします。今回の第4回目は、この検討会の報告書をまとめていくという会議になっています。前回までの議論を踏まえて、事務局には報告書案という形で整理いただいていますので、それを基にして今日は話し合うということになります。
 それでは、まずこれまでにあった意見、それから報告書案のうち、論点の1番と2番、2つについて事務局から説明をお願いしたいと思います。では事務局、よろしくお願いします。
○福島補佐 それでは、説明いたします。まず、お手元にお配りさせていただいている資料のうち参考資料2について少し補足をさせていただきたいので御覧ください。これまでの主な御意見ということで、第2回、第3回で提示させていただいた内容から全く変わってはいないのですが、第2回検討会後に構成員の皆様方より、検討会後にいろいろ意見を頂きました。頂いた意見について前回の第3回の検討会で、第2回検討会意見と混ぜた形で御提示してしまったところがあります。4~9ページと10ページです。御意見について、第2回検討会の中での意見と、その後に頂いた意見については、しっかり分けさせていただきました。検討会後に頂いた意見については、構成員の皆様方のうち、どなたから頂いた御意見かというところも併せて明記させていただいております。参考資料2についての補足です。
 資料1を御覧ください。第3回検討会等における主な御意見です。第3回検討会においても、検討会後、今回の第4回までの2か月間余り時間が空いていました。その間、皆様方から意見を頂くということをしていましたので、検討会の中で頂いた御意見と、その後に頂いた御意見とを分けて記載させていただいております。
 前半が第3回検討会で頂いた御意見です。簡単に御紹介させていただきます。まず1ページです。論点(1)のインターロック及び警報装置についてです。全体としては、インターロック、自動警報装置について義務化という方向については、皆さん賛成ということでした。自動警報装置、インターロックについては、現状の装置であっても付いているものがほとんどであるため、既設のものであっても対応はそこまで難しくないだろうという御意見も頂いています。
 自動警報装置については、エックス線が出ているかどうかを周知する措置が一番最初に必要ということで、これはあったほうがいいだろうということであったり、エックス線の発生する部分の近くで周知すべきだという御意見もありました。また今回、きっかけとなった事故が、インターロックは付いていたものの、解除した状態で作業をしていたというところもあって、インターロックを解除して、やむを得ず入らなければいけない場合について、様々な御意見を頂いています。
 インターロックの定義については、今回、報告書では違った形で書かせていただいていますが、部屋に出入りできるようにするだけではなくて、装置の内部に人が入った際にはエックス線が自動的に止まることが望ましいという御意見を頂いています。また、準備期間ということで、古い装置等で図面がないために時間が掛かるようなものもあるのではないかという御指摘を頂いています。
 2ページです。エックス線作業主任者についてです。事務局からの提案で、作業主任者の職務として、「労働者の指揮」と「作業方法の決定」を追加するというのを御提案させていただいたところです。こちらについても、方向性について特に反対の意見はなくて賛成の意見のほうが多かったというところです。「労働者の指揮」については、放射線業務従事者とその周辺で作業される方のどちらもいらっしゃるので、両方とも含まれる形になるといいという御意見や、自動ではない警報装置に異常が見付かった場合にも対応できるような書きぶりにすべきという御意見等を頂いております。
 あとは、作業主任者の資質向上というところや、免許の有効期限、能力向上教育というところですが、作業主任者については、現行の安衛法において、エックス線装置作業主任者だけでなく、ほかの作業主任者でも免許の更新制度等はありません。そういったことも踏まえて、そこまでは難しいというところは事務局からお話をさせていただいて御理解いただいたと認識しています。
 一方で、皆さん共通して、資質向上のための定期的な教育が必要だという御意見があったと認識しています。こちらについては事務局からもいろいろ紹介させていただきましたが、しっかりと進めていくという方向が確認できたと認識しています。あとは、準備期間として一定の期間が必要だという御意見を頂いています。
 3ページ、3.特別教育等ユーザー教育についてです。こちらは現行がかなり狭いというところもあって、管理区域に立ち入る業務に広げていくという方向については、皆様から賛成の御意見を頂いていたと思います。ただ、管理区域内のみならず、エックス線装置を取り扱う人を対象とすべきといった御意見を頂いているところです。こちらについても、現行のRIの規定でも教育のほうを既に定期的にやられているというところもあって、安衛法の特別教育の対象範囲を広げていったり、ガンマ線も同様にしても特に支障はないのではないかと、そういった御意見も頂いています。こちらも準備期間ということで、対象者が大幅に増加すると思われるので、丁寧な周知等をしてくださいという御意見を頂いています。
 4.管理区域の適用・運用についてです。いろいろ御意見はあったと思いますが、実効線量が3か月につき1.3mSvを超えない装置というところで、超えてしまった場合には管理区域を設けていただくということですが、そういった運用にしっかりと従事することが必要という御意見を頂いています。
 それから、運用通達の中で、一部記載が古くなっていて、現場で使っていないフィルムバッジ等の記載がありますので、それを見直すようにという御意見を頂いています。
 あと、5.団体等への支援という所ですが、各業界が業界ごとにしっかり安全に作業できるように文化を作り育てて、仲間を守る流れができるといいという前向きな御意見も頂いています。
 4、5ページが、第3回検討会後に頂いた御意見です。紹介させていただきます。インターロック及び警報装置についてです。全体として、必ずしも法令で義務付けということではないのですが、多くのエックス線装置に設置されているものはいろいろあるので、そういったものの設置がしっかり促される形にしてほしいという御意見です。自動警報装置については、エックス線装置に電力が供給されている場合の周知に加えて、エックス線が照射されていることを周知する警報装置もあるといいのではないかという御意見を頂きました。
 インターロックについては、既存の装置についてはなかなか難しいものがあり、製造メーカーが既になくなってしまっているものや廃盤になっているもので設計図がないもの等、対応が困難なものも一部ありますという御意見、また、インターロックを付けたとしても、切って作業をしなければならない場面が必ず生じてしまうといったことも念頭に置いてまとめてほしいといった御意見を頂いています。あとは、インターロックというと、RIの放射線装置室への出入りができなくなる機構を皆さんは認識されると伺っています。今回、範囲を広げて、自動で照射を止めるような機構等も入れていこうというお話をさせていただいたのですが、その場合は別の表現のほうが分かりやすいのではないかという御指摘を頂いています。
 準備期間ですが、さすがにハードということで、結構時間が掛かるだろうと思い、改めて皆様方に意見を伺ったところです。釜田構成員、田北構成員、松島構成員から御回答いただいていますが、お話を伺うと、2、3年程度という御意見が多かったというところですので、ここに記載させていただいております。
 5ページです。エックス線作業主任者について、引き続きですが、作業主任者は定期的に講習を受講されるようにということが意見としてあります。それから、管理区域の適用・運用については、何らかの形で2.5μSv/hということを示せないかという御意見を頂いているところです。
 こういった御意見や、これまで頂いた御意見を踏まえて、資料2という形で報告書を作らせていただいています。資料3は概要で、資料2の骨子がほとんど資料3に記載しています。こちらを使って報告書案について御説明させていただきます。冒頭の1ページは、この検討会に関するところで、趣旨や構成員の皆様方、開催実績等を載せております。肩書等、何か間違いがありましたら御指摘いただければと思います。確認をさせていただいていますが、もし何かありましたら御指摘ください。
 2、3ページが、この検討会のきっかけとなった令和3年度の事故について記載しています。この事故についてポイントとなる点については、改めて線を引いていますが、第1回検討会でお示しした事故の内容と、内容としてほぼ同じですので説明は割愛させていただきます。
 4ページは、これまでの議論の中でも何回も確認させていただいているところです。論点と留意事項ということで、令和3年に発生した事故と同様の災害の再発防止を主眼としつつ、それ以外のエックス線装置を使用する場面も対象とすること、様々な機器、ユーザーがいることを踏まえること、グレーデッドアプローチの考え方を持つことということを改めてここに書いております。
 5ページは、本検討会の検討結果の基本的な考えと概要です。各論点の概要については、6ページ以降で詳細を説明いたしますので割愛させていただいて、ここでは、基本的な考え方について説明いたします。本検討会では、様々な御議論を頂いたと思っています。その中で、基本的な考え方として、今回の令和3年度に起きた事故というのが、やはり作業をしている方は、実際には放射線を止めて、被ばくしないだろうと思って作業をしていたけれども被ばくしてしまったというところがあります。同様の事故というところでは、意図しない被ばくを避けるといった観点があって、今回の結論でもそうですが、各事業場においてハード面とソフト面の安全対策を組み合わせた多重防護がなされるべきと、そういった考え方を載せさせていただいています。
 こういった考え方を踏まえて、後ろのそれぞれの論点の結論についても説明させていただきます。まず、検討結果の論点の1つ目、自動警報装置と安全装置についてです。6ページですが、こちらは報告書の構成にも書かせていただいて、現行はこうなっていますということです。今回こういう事故がありましたのでということで検討結果を書いて、こうしていこうということを各論点ごとにまとめるという構成で作っております。
 まず、現行を簡単に説明します。上半分ですが、電離則第15条で、放射線装置室への設置義務があるということです。ただし、以下の場合は設置義務がないとなっているところです。左側のほうですが、放射線装置室内に設置義務があるものについて、管電圧が150kVを超えるものは自動警報装置の設置が必要で、それ以外のものは必要がないということです。インターロック等については、荷電粒子を加速する装置と100テラベクレル以上の放射性物質を装備している機器を放射線装置室で使用する場合にはインターロックが必要ということですが、エックス線装置については必要がないということです。
 放射線装置室に置くことが難しいということで、設置義務のない装置については右側に記載してあります。※で小さく記載させていただいていますが、電離則第18条で、例えば立入禁止ということで、装置から5m以内に立入りできないようにするとか、照射するときに、そこに人が立ち入っていないことを作業主任者が確認するなど、こちらについてはそういった規定があります。
 7ページは、検討結果です。今回の事故のときに使用されていた装置というのは質力50kVということで、自動警報装置やインターロックが、今は設置義務はないのですが、設置されていました。インターロックは無効の状態であったということです。今回、構成員の皆様方より御意見であったり現場の状況についていろいろ御発言いただいたと思いますが、その中で、工業用等のエックス線装置については、自動警報装置やインターロック等の安全装置が既に設置されているものがほとんどであると。ただ、法令上、設置の義務付けがないので、それを有効にして使っても使わなくてもいいことになっているのが現状です。そういった現状も踏まえて、同様の事故を防ぐという観点から、今はほとんど付いている自動警報装置や安全装置をしっかりと使っていただく、有効にしていただくということを、設置の義務付けとともに、有効保持を図るべきであろうということで書かせていただいています。
 インターロックという言葉を安全装置という言葉に置き換えさせていただいていますが、安全装置というのは、インターロックも含めて、それ以外の照射を止めるような機構も含んだ少し広い意味で使っています。真ん中のほうに表も付けています。自動警報装置は管電圧10kV以上で、安全装置も10kV以上、新設も既設も義務付けるというところです。
 装置の有効保持としては、自動警報装置は、そもそも装置の電源が入っていることを周知するというものなので、基本的には切らずに使っていただく、常に有効というのが前提と考えています。安全装置については、参考資料1に関係参照条文を付けています。
 参考資料1の16ページを御覧ください。労働安全衛生規則の第28条、第29条を抜粋しております。どのようなものかというと、安衛法及びこれに基づく命令ということで、電離則も含んでいますが、法令に基づき設けた安全装置等が有効な状態で使用されるように点検及び整備を行わなければならないと。あとは第29条で、労働者は、安全装置等について、取りはずしたり無効にしたりしないこと。第2号の所で、もし取りはずしたり無効にする必要がある場合には、あらかじめ事業者の許可を得て外すこと。第3号では、取りはずし、又はその機能を失わせたときは、外す必要がなくなった後、直ちに現状に復しておくこと。第四号で、万が一取りはずされたり、無効になってそのままになっているのを発見したら、すみやかに事業者に申し出ること。そして、第2項の所で、もしそういった申出があったときは、すみやかに適当な措置を講じなければならないということです。
 資料3に戻りますが、安全装置という形で設置を義務付けることによって、安衛則第28条、第29条が掛かってくるということです。第28条、第29条の中においても、必要な場合だけ安全装置を無効にし、それ以外の場合には有効にして使っていただくことを念頭に置いた条文になっています。こういった形で有効保持を図っていただくことを考えて、安全装置の設置を義務付けるものです。
 既設の装置については、2年間程度の準備期間が必要ではないかということを書かせていただいています。それから、既設の装置については、一部改修することが困難な場合があると伺っておりますので、それは少し限定する形で、こういった場合ではないかということを書かせていただいています。真ん中辺りの4つ目の○の下の3つのポツの所ですが、例えば、製造メーカーが現存していない場合、古い装置であって製造メーカーに装置の設計書や改修に必要な部品等の入手が困難な状態であるとか、改修することによって著しく使用の目的を妨げ又は作業の性質上困難ということで、これは第15条の放射線装置室への設置と同様のパターンですが、そういう改修をしてしまうことで装置そのものが作業で使えなくなってしまうようなものを想定しています。
 これまで議論いただいてきたところですが、以下の内容を示すべきということで、装置への電力供給の周知方法は事業場の環境等を踏まえて効果的な方法で実施すべきであることと、その具体的な例として、音と光の両方があってもいいのではないかというところであったり、装置管理区域に立ち入るときに自動警報装置が見やすい所にあるべきではないかなど、そういったところを例として示させていただく予定です。
 あとは、安全装置を無効にして作業を行う場合に講じることが望ましい対策の例として、警報付きの線量計や保護眼鏡など、そういった様々な御意見を頂いていると思いますので、ここで併せて示していきます。
 最後ですが、医療用のエックス線装置というのは、現行の医療法令等において、原則として医師が診療室の外から照射を行うことになっています。診療室の中に装置を置いて、外で照射を行わなければいけないことになっています。例外的に、中で照射を行う場合には、防護措置を取らなければならないとされていますので、今回、もともと患者さんである人に照射するというところもあって、照射が止まるような安全装置というのが難しかったりというお話もあって、代わりに医療法令においては、こういった上乗せが現行でもされているというところから工業用のエックス線装置と同様の措置にはしないということを書かせていただいています。
 8ページは、具体的なイメージです。ここが変わるという箇所は青字で示させていただいています。9ページは、論点(2)エックス線作業主任者について、現行を載せています。選任が必要な作業、選任要件と継続的な能力向上、一番下に職務ということで、3つ載せています。選任が必要な作業というのは、現行法令をそのまま書いています。選任要件等も、免許を受けた者や免許の有効期限がないというところ、能力向上教育の実施が安衛法で努力義務になっているというところです。職務については、こちらが今、規定されている職務です。
 エックス線作業主任者については、11ページを使って説明させていただこうと思います。具体的な改正のイメージですが、「作業方法の決定」、「労働者の指揮」ということを具体的には入れさせていただこうと思っています。「作業方法の決定」なのですが、現行の④に「照射条件等を調整」というのがあります。この解釈として、被写体との距離や管電圧や管電流のような条件の決定を言うだけではなくて、及び作業の段取りを言うということで、作業の方法が一部重なる部分もあると思いますので、ここは整理してもいいのかなというところで書かせていただいています。
 「作業方法の決定」ですが、先ほど安全装置を無効にする場合があると申し上げました。そうした場合に、その事業場で、どう作業をするか、どう防護措置をとるかということも併せて、ここで決定していただくと。同時に、既存の装置で安全装置等を設けられないものについても、この中でしっかりと作業方法や防護措置の内容を決めていただくというのが大事だと考えていて、そういったところを示していこうと思っています。特に、既設で安全装置等が付けられないものについては、多重防護という基本的な考え方を示させていただいている以上は、ハードの部分で対応できない部分は、ソフトの面で多重防護になるように事業場内で何らかの措置を決めていただきたいというところも書かせていただいています。
 あと、変わる点については、5つ目の所です。自動警報装置と安全装置の設置を義務付けますが、こういったものの点検と、異常を認めたときには直ちに必要な措置をとることということです。論点(2)までの御説明は以上です。御検討をお願いいたします。
○飯本座長 ありがとうございました。前段の所では、これまでこの会議で出てきた意見や情報、宿題で我々が集められる範囲で、少しこの情報を広げていただいて、追加的に頂いたものをまとめていただき、それに基づいて、論点は5つありましたが、そのうちの1つ目と2つ目について、方針案について御説明いただいたということです。
 全体として多様性のある意見だったのですが、丁寧にまとめていただきました。皆様方、いかがでしょうか。まず、この資料に関して、ここまでの所で質問があれば頂きたいと思います。その後、御意見等あればと思います。最初に質問があれば伺いますが、いかがでしょうか。内容についてはよろしいですか。
 それでは、頂いた提案、検討結果について、御意見がある方は挙手をお願いします。ほかにいかがですか。お二方でよろしいですね。では、順番にまいります。釜田構成員と山脇構成員、順番にお願いします。
○釜田構成員 8ページ、見直し案の図表で、説明したほうがいいと思います。自動警報装置に関して、「操作室への設置義務はなし」ということで、電源供給に関しては「全ての装置」、その次に自動警報装置の設置は「義務なし」となっているのですが、これは「義務なし」にするのか。逆に言いますと、「推奨」にするのかというところがあると思うのです。現実の装置としては、ほぼほぼこの辺の所はできると踏んでいます。「義務なし」にしてしまうと、せっかくある機能が使われない可能性もあります。逆に、そのほうが有効だということであれば、「義務なし」にするのか「推奨」にするのか、義務にしてしまうのかということになると思うのですが、この辺のところは考慮いただければと思います。私からは以上です。
○飯本座長 ありがとうございました。次は山脇構成員、お願いします。
○山脇構成員 山脇です。今回示された報告書案は、この間の検討会の論議内容がおおむね反映されているものと受け止めます。先ほど、座長からもありましたが、この間の議論を丁寧に報告書案にまとめていただいた事務局に感謝を申し上げます。
 本検討会において、何度か発言してきました多重防護について、報告書5ページの基本的な考え方として取りまとめていただいたことを評価させていただきたいと思います。
 その上で、2点ほど発言します。1つ目は、安全文化の醸成についてです。この検討会が立ち上がる端緒となった事故を教訓とし、同種の事故を防止することが検討会の目的かと思いますが、それにとどまらず、エックス線業務に携わる全ての方に対して、安全文化を浸透させていくことが重要だと思います。その観点で、報告書の中に安全文化を醸成していく必要性について記載できないかと思います。
 2点目は、既存装置のうち改修の対象外とするものについてです。報告書9ページで示されているように、基本的に全ての装置に必要な改修を行うべきと考えます。そのため、9ページの○の1つ目に記載がある限定列挙で除外することが認められるものについて厳格に取り扱うことが必要であり、安易な自己解釈によりこれは改修にならないというように取扱われることがあってはならないと思います。
 先ほど釜田構成員から発言がありました自動警報装置の設置について、私も「義務なし」とするか、「推奨」とするか、検討会として議論したほうがいいのではないかと思います。以上です。
○飯本座長 ありがとうございました。幾つか重なる点もあったようですが、安全文化の点は、論点(2)に絡めての御発言ですか、それとも全体を通じてになりますか。
○山脇構成員 全体を通じての発言になります。報告書の最後の所で今回の事故を契機として、安全文化を全体として作り上げていかなければならないのような記載を検討いただけないかと思います。
○飯本座長 どこかにということですかね。承知しました。ありがとうございます。それでは頂いたコメント、意見、あるいは質問に対して事務局からいかがですか。
○福島補佐 お答えさせていただきます。釜田構成員から頂いた、どちらかと言いますと、設置しないほうの可搬式の装置になってくるかと思いますが、こちらについては現行の自動警報装置でも付いているものが多いのではないかというところで、どれぐらい付いているかというところもありますが、少なくとも付けることを推奨するようなことはさせていただきたいと思っております。
 義務化にするかというところになりますが、今回の議論の中で少し出てくる部分はありますが、義務化に十分かどうかというところは皆様方の御意見もございますし、また実際に、既存も含めてどのぐらい付いているかという現状もあります。また、今回はターゲットとして、左側の放射線照射室内のものがあって、事務局としては強く推奨させていただくような形を考えております。また見直す機会があれば、そのときはまた義務化を含めて検討ということかと思っているところです。こちらについては、追加で御意見があれば皆様方からいただければと思います。
 続きまして、山脇構成員からいただいた点です。まず1つ目の総論としての安全文化の醸成が必要ということで、そういったところを少し記載できないかということについては、事務局のほうで、最後に追記させていただく方向で検討したいと思います。
 2つ目は、限定列挙の件です。こちらは厳格に運用すべきという御意見を頂いたと思います。当然、我々としても、ただこれは古いからとか、そういったいい加減な形の運用はしないものと考えておりまして、しっかりと運用のほうで対応できるものについては改修していただくという方向でやっていきたいと思います。3点目は、先ほどの釜田構成員と同じですので。以上です。
○飯本座長 ありがとうございます。今の関連の件で、皆様から御意見があれば、いただきたいと思います。古渡構成員、お願いします。
○古渡構成員 ありがとうございます。量研機構の放医研の古渡です。資料をおまとめいただいてありがとうございました。先ほどの山脇構成員からの2番目の御意見ですが、資料3のスライドの7ページの(1)自動警報装置と安全装置についての4つ目の○と5つ目の○になるのですが、あまりに古いので改修が難しいというものについては、やはり多重防護の考え方が用いられるべきということですので、古いからと言ってそのままお使いになるのではなくて、きちんと安全に使えるように何かしら対策をお考えいただいた上で、継続的に安全に使ってほしいというメッセージが伝わればいいのかなと私も思いましたので、5つ目の〇の「以下の内容を示すべき」という所に、是非、「その他望ましい事項」という形でもいいと思いますので、是非、そういった古いものについては、除外規定を今回もお示しいただいて、除外された機器についてはこのようにお使いくださいという、望ましい対策の例みたいなものがあればいいのかなと思いました。
 それと、5つ目の○の2つ目のポツですが、「安全装置を無効にして作業を行う場合に講じることが望ましい対策の例」ということですが、非常にトリッキーですが、安全装置ではなくて、自動警報装置が解除されたときというのは、意図的に解除したときということもあり得ると思うのです。そういうときが本当に安全かどうかと言われると、ちょっと私も不明なのかなと思いますので、申し訳ありません、細かい所ですが、安全装置等ということで、両方いずれの場合に対しても危なくないように作業をしてくださいとか、こういうやり方をするとできるよというような対策の例をお示しいただければと思います。以上です。
○飯本座長 ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。
○福島補佐 ありがとうございます。まず1点目については、古いからということで改修しないということについては、併せて以下の内容を示すべきという所で、安全装置を無効にして作業を行う場合に講じることが望ましい対策の具体例を書くとおっしゃっていますが、付けられなかったときも同じだと思いますので、それについても具体的な内容については、措置の内容の例についてはここで望ましいものとして書かせていただきたいと思います。その上で、エックス線作業主任者の職務で、事業者が作業の方法の決定を作業主任者にさせなければならないとなっています。その作業の方法の決定の中で、必ずこれを付けていない場合の事業場内で、例えば、うちの事業場では保護眼鏡を付けるとか、警報付きのアラームを付けるとか、そういうことをしっかり決めていただくと。具体的な中身として何をするかまでは決めないのですが、とにかく事業場内でこういう対策を取りますよというところまでは決めていただくということまでは義務付けようと考えておりますので、そちらのほうでしっかりと対応していきたいと思います。
 2点目については、安全装置を無効にする中で、自動警報装置の無効というところがありました。我々として、この検討会の中でもいろいろ御意見を伺っておりまして、インターロックや安全装置を無効にしなければできない作業があると伺っておりますが、自動警報装置、装置に電源が入っていますよということをお知らせすることができない作業というのは、ないように聞いております。基本的には、これは無効にした瞬間に、現行の電離則17条でも義務づけられている周知することというのが、要は行われていないということで、直ちに違反というつもりで御提案をさせていただいております。もし、自動警報装置、今、電源が入っていますよというところを周知することも難しい作業ということが現にあって、どうしてもそういうケースを想定しなければいけないということがありましたら、併せて、補足等を頂ければと思います。よろしくお願いします。
○飯本座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。よろしいですか。田北構成員、どうぞ。
○田北構成員 IHI検査計測(株)の田北です。今のインターロックとかを切って、更にエックス線の装置の電源を入れたまま作業しなければいけないという事例を言いますと、マイクロフォーカス・エックス線装置のメンテナンスで、光軸合わせというのがあります。そのときは電子線を蛍光体の膜の所に合わせながら、上から覗きながら電子線を出して、光軸を合わせるという作業があります。その場合は、エックス線装置の電源を入れて作業するということが、過去にありました。1例です。
○飯本座長 事例をありがとうございます。事務局、いかがですか。
○福島補佐 今の事例はインターロックや安全装置を切って行う例ということでよろしいですか。
○田北構成員 そうです。
○福島補佐 分かりました。ありがとうございます。自動警報装置は安全装置とは別で、今、電源が入ってますよとお知らせする所なので、そこを切ることは多分ないのかなと思いますが、その理解でよろしいですか。
○飯本座長 よろしいかと思います。あとは自動装置なのか、一般の警報装置になるのかというところの仕分けさえ上手にできていればよろしいような気がいたしますので、その部分は最後に整理しておけばよいのではないかと感じました。
○福島補佐 ありがとうございます。
○飯本座長 ほかはいかがですか。よろしいですか。いろいろ頂きましたが、いずれもこの後の議論でも重要になります。追加的な文書と言いますか、解説を含めて、事例を集めながら細かく文字に落とし込む作業がこれからも続きます。そういうところで、うまく表現できていけば、我々が今議論したような内容が上手に反映できるのではないかと思ったりしていますが。皆さん、こんな感触でいかがですか。論点(1)と論点(2)です。では、私から1点よろしいですか。
 これまで皆さんのご意見をいただいた中で、私自身は教育機関、あるいは研究機関から参加していますが、お考えやおかれた状況が多様なのだなと感じています。これまでに3回の検討会があったわけですが、私の例でいきますと、私のところにはいわゆる教育研究機関の代表組織と言いますか、意見を届けてくださる組織としては日本保健物理学会であるとか、日本放射線安全管理学会とか、国立七大学安全衛生管理協議会などがあるのですが、そこからさまざまな情報を得て今回の資料にも意見が反映されています。全体として、いろいろな業界からのさまざまな情報をもっと集めて、ここに書かれている内容を具体的にどう落とし込んでいくかという点について、これから作業が本格化するのだろうなと思いながら、1番と2番についてみてみると、大筋としては様子が見えてきたような気もいたします。
 1点、私どもの近い所から非常に大きな声が上がっているのは、7ページの下のほうです。医療用のエックス線装置についての意見が結構多くて、ここは特出しで追加的にコメントさせていただきます。大学や大学院の講義、あるいは研究では、特に医学系の部門ですが、医療用の装置をそのまま講義あるいは研究で利用しているケースがあって、そのような装置には、ここにも書いてありますが、基本的には医療法の規則が別にあるのです。現場では、教育研究での利用、元来の目的が達成できる状況を維持しつつ、教員や研究者が個別に工夫をしていると聞いています。そのような医療用装置については、今回新たにここで話題に上ったような安全装置であるとか、自動警報装置の設置義務に関して、ここに書いてあるように、何らかの形での工夫があってもいいのではないか、という意見が強いですので、その辺りも含めて御検討いただきたいと思います。以上、飯本から1点コメントでしたが、事務局からお願いします。
○福島補佐 ありがとうございます。今、飯本構成員から頂きましたとおり、医療用エックス線で教育関係で使っているものについて、我々もどういったものなのかを関係部局にも聞きましたが、例えば、病院診療機関などに置かれているもので、例えば医療法の施行規則の届出をされているものは、基本的には医療法施行規則の範囲の中でやっているようですが、そうではないもの、多分、大学の学部棟とかにあるようなものがあるという話もあったかと思います。そういったところについては適用がないということを伺っています。ただ、今いただいた御意見とは言っても、実際には学生が卒業して現場に出るときには医療法施行規則が適用されるとか、研究の成果が使われる場が医療法施行規則の適用される場であるとか、そういったところも踏まえて、この点については事務局のほうでも確認をさせていただきたいと思います。
○飯本座長 ありがとうございます。本件のみならず、全てについてだと思いますが、このような装置を使うにあたって、まずは仲間を守ろうということで、我々はハードとソフトの両面で何ができるか、そのための仕組みを作り始めています。一方で、装置には本来の利用目的があって、その目的がしっかり達成できるように、ということも忘れずに、うまくハーモナイズできるような落とし所があるだろうとも思います。その辺りを、この後も具体例をどんどん集めながら解説書等々、整備していくプロセスになるでしょう。1例でしたが、是非また皆さんからも情報があれば都度ご協力をお願いします。いかがでしょうか。論点1番と2番ですが。
○黒島構成員 作業主任者について、発言してもよろしいでしょうか。
○飯本座長 作業主任者についても、どうぞ。
○黒島構成員 基幹労連の黒島です。エックス線作業主任者の論点(2)について一点、発言します。今回、作業主任者の職務に「作業の方法の決定」と「労働者の指揮」が追加されることについて、資料2の報告書12ページに、作業の方法の決定に安全装置を無効にする必要がある場合の作業方法、作業中の放射線防護措置の内容の決定も含む、また、既存装置であって、自動警報装置や安全装置の設置が困難であったものについて、その作業の方法、作業中の放射線防護措置の内容の決定を含むものとし、このような場合には複数の防護措置による多重防護がされるように留意する必要があると記載があります。
 この内容には賛成ですが、エックス線作業主任者に対し、新たに現場作業における安全衛生に関する重要な役割と責任が追加されるものであり、既に作業主任者資格を有する者に対して、職務が拡大されることとその内容が十分に認知されるよう周知の徹底をお願いしたいと思います。以上です。
○飯本座長 ありがとうございました。事務局、いかがですか。
○福島補佐 ありがとうございます。しっかりと周知させていただいて、現場で対応いただけるように努めていきたいと思います。ありがとうございます。
○飯本座長 ありがとうございました。恐らく、論点(5)にも関わりそうな内容です。ほかにいかがですか。よろしいですか。ひとまず、この段階では出尽くしたようですので、この後、その続きになりますが、事務局に、また御説明いただきたいと思います。お願いします。
○福島補佐 御説明させていただきます。資料3、12ページ~14ページになりますが、12ページの論点(3)特別教育等ユーザー教育についてです。こちらも構成としては、現行と検討結果ということで載せております。現行になりますが、皆さん御承知のとおり、「透過写真撮影の業務」は特別教育として、法令で4.5時間以上の特別教育を受けるものになりますので、これを実施しないといけないということになっています。
 一方で、それ以外でエックス線装置を取り扱う場合には、どういうようになっているかといいますと、一般の安全衛生教育というのがありまして、こちらで雇入れ時教育をやるということになります。時間等で4.5時間以上などの制約はないのですが、この中で装置の危険性等について教育がされているというところです。今回、「透過写真撮影の業務」ではない業務を行っていたというところもありまして、実際に作業をしていた方が、そういった特別教育等を受けていないような状態でも違反ではないということです。
 そういったところも踏まえて、今回、特別教育の範囲をもっと広げていこうということで、どういった範囲にしようかといったところで、「装置の外部に管理区域が発生するエックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務」とすべきということでまとめています。外側に発生するものはすべからく特別教育で、外側には発生しないもの、この検討会でも話題になりましたが、例えば食品工場で装置の内部だけにしか管理区域がなく、そこに人の体の一部や全体が入らないようなものとか、手荷物検査の装置でも同様のものがありますが、そういったものは引き続き安全衛生教育というところですが、外側に管理区域が発生すれば、それは特別教育ということで実施していただくというようにしております。
 続きまして、(4)管理区域の適用・運用についてです。こちらは現行ではどうなっているかといいますと、電離則の第3条で、1.3mSv/3月を超えるおそれがある区域というようにしています。これは何かといいますと、もともと特殊な状況下での公衆の年実効線量限度である「5ミリシーベルト」を3月間に割り振ったもので、国際的な基準に基づいて放射線審議会のほうで意見具申というものが出されていまして、我が国の斉一的な基準になっております。
 これを使っている上で、放射線の装置について、外側で実効線量が1.3mSv/3月を超えないものについては、装置の外側に管理区域が存在しないものとして取り扱って差し支えないということにしており、そういう場合には作業主任者の選任等が必要ではなくなるということです。
 一方で、漏洩線量が非常に大きくて、ボックス型といっても装置の外側に1.3mSv/3月を超えるようなものは、外側に管理区域があるので、そこは作業主任者の選任等、必要な対応をしていただく必要があると、これが現行です。この管理区域の設定というのは、ユーザーである事業者が実施することになっており、どういうように設定、算定していくかというところを通達等で示しているというところです。
 検討結果としましては、こうした現行の基準であるとか、運用について取扱いを見直すというところまではしないということです。ただ、一方でこの検討会の中でも装置の外側に漏洩線量がすごく大きな装置が出回っているのだというような御指摘があったということもあり、今回のこうした事故も起こったこともありますので、やはり現行の法令が適切に運用されるように、しっかりとユーザーの方が外側に管理区域が存在していないかどうかを確認するということが大事だと思っています。そうした周知啓発等をしっかりと行っていこうということで書いております。
 実際にユーザーの方に対しては、算定方法等を解説している運用通達には、フィルムバッチ等の古い情報があるので、情報のアップデートを合わせて行いたいと思っております。また、こうした情報のアップデート等が必要になってくるということもありますし、海外の規定があるというような御意見も頂いておりますので、そういったところについては、引き続き調査研究等を行ったり、技術革新等にあわせた見直しを継続的に行っていくべきということを書いております。
 最後の14ページですが、(5)事業者・業界団体が行う安全活動への支援についてです。こちらの検討結果ですが、装置の小型化や安全性能の向上ということで、現場で意識が低下している可能性があるというようなお話がありました。こういったこともあるので、ヒヤリハット事例をしっかり集めて、横展開などをして関係者間で共有していくこととか、エックス線装置を使用する事業者・労働者の安全意識を高めるためにも業界別のガイドラインの策定や、業界団体に実施していただいている教育・研修の活用等、そういったものによる関係者の継続的な能力向上の取組が進むように啓発等を行っていくべきであるということです。
 あとは、意見がありましたが、特に特別教育の対象となっていないところだと思います。エックス線装置を使用する労働者に向けて、装置の危険性等を簡単に学べるような動画やe-ラーニングなど、そういった安全衛生教育の教材を作成すべきだという御意見を頂いておりますので、そうした内容をまとめているところです。以上です。
○飯本座長 ありがとうございました。論点(3)から論点(5)までで、これで全てになります。まず、この資料に関しての御質問から頂きたいと思います。いかがでしょうか。では、順番にお願いします。
○釜田構成員 ポニー工業の釜田です。管理区域に関しての御発言の中で、1.3mSv/3か月を超えなければ管理区域は存在しないという形でしたが、現実に照射室でも、その適応例になりますので、1.3mSv、3か月を超えないという状態です。
 ということで、実際には、その中に身体若しくは身体の一部が入らないということを追記しておかないと、整合性がとれないのではないかと思いますので、御質問させていただきます。
○飯本座長 この文言の理解についてですね。
○釜田構成員 はい。
○飯本座長 では、田北構成員、どうぞ。
○田北構成員 特別教育ということで。RIの規制法では、「一時立入者」というものがございますが、これは外部から来た者、事業所で働く者以外の従事者として中に入ったり、見学者ということで入るのですが、これは名簿にきちんと記帳して、安全衛生教育を受けるということになっています。
 例えばエックス線装置の修理のためにメーカーの方が来て、事業所の従事者以外の方が管理区域に入るという状況のときは、「一時立入者」として、特別教育に含まれるということで考えてよろしいのでしょうか。何かしら、安衛法の電離則のほうに、一時立入者に関する特別な文言はございますか。同じようなことがあって、外部から来た技術者が中に入るというときには、特別な、こういった文言があるのかどうか、その辺が気になりました。
○飯本座長 2点の確認がありました。いかがでしょうか。
○福島補佐 まず、釜田構成員のほうからです。管理区域の関係です。1.3mSv/3か月を超えないというところで、そのほかにも身体の一部又は全部が入らないというところが入ってくるのではないかということです。説明を省略してしまったのですが、現行においても、「身体の一部又は全部が入らない」というのは当然含まれております。
 続きまして、田北構成員から頂いた、一時立入りの方が特別教育の対象になるかどうかということです。メーカーの方が修理で一時的に立ち入った場合に、修理等をする際に管理区域の中に入る、若しくは管理区域が外部に発生するような装置を取り扱うということであれば、今回の特別教育の範囲には含まれてくると考えております。
○飯本座長 ほかに質問はいかがでしょうか。古渡構成員、どうぞ。
○古渡構成員 量研機構の古渡です。先ほど御回答いただいた内容について少しお伺いいたします。先ほど、田北構成員からの御質問に対して事務局より御回答いただいたと思いますが、外部の方は、そもそもその事業所と雇用関係にないです。事業者が被雇用者を守るための法律がこれであって、その場合に特別教育を義務化することはできないのではないかと考えたのですが。
 例えばですが、点検する業者が、「あなたは、これからA社という会社に行って、Bという装置の点検をするので、A社のエックス線作業者に従って教育を受けてください」という命令を、装置のメーカーが行うという解釈でよろしいということでしょうか。
○飯本座長 事務局、いかがでしょうか。
○福島補佐 そこは、メーカーの被雇用者である労働者が作業をしますので、そのメーカーのほうが事業者として、その作業を行わせる労働者に対して特別教育をする必要があります。
○飯本座長 よろしいでしょうか。では、一旦質問は終えて、御意見があれば挙手をお願いしたいと思います。論点(3)から(5)までです。郡構成員、黒島構成員、山脇構成員、順にお願いします。
○郡構成員 三菱重工パワー検査の郡です。論点(3)の特別教育等ユーザー教育についてです。エックス線主任者のほうに、本文の内容などにも、「支援や周知」という文言が記載されています。こちらの論点(3)には、その文言がないので、是非そちらも追加いただければなと思います。以上です。
○黒島構成員 論点(5)事業者・業界団体が行う安全活動への支援について、発言します。工業用等エックス線装置を使用した業務に従事する労働者は、町工場などの中小零細企業にも存在します。そのような職場の中には、費用や人員不足などを理由に、研修・教育が満足に実施されなかったことで、誤った認識の下で装置を取り扱うなど、装置の適切な使用と管理・運用ができていない可能性もあり、安全対策の強化とそれに資する支援が求められます。そのため、資料2、報告書17ページに記載があるような各種教育、研修の推進案、ヒヤリハット事例の共有が重要と考えています。
 企業に対して、広く確実に周知することで、安全衛生対策が進み、ひいては安全文化の醸成につながるものと考えます。国と関係機関が連携し、安全活動への積極的な支援に取り組んでいただきたいと思います。最後に改めてお願いしたいと思います。
○山脇構成員 13ページの管理区域の適用・運用の関係です。今回、検討の結果として、現行の運用を含めて取扱いは見直さないということですが、その前提として、現行の法令が厳格に遵守されている必要があると思っています。
 この検討会の議論においても、現行法に適合できていないような機械の話も出ていましたので、改めて現行の法令・基準の周知徹底をお願いします。
 併せて、監督行政において、立ち入り検査等の機会を捉えて適切な監督指導が行われることが必要と考えています。この章に記載されているほかの内容も含めて、制度が正しく運用されるためには、監督行政が果たすべき役割は大きいと思っています。
 しかしながら、ILOが求めている労働基準監督官1人当たりの労働者を最大で1万人とする基準に対して、現在の日本は2万人弱に1人という状況ですので、実態改善のためにも体制強化が必要と考えます。
 この検討会の中で、労働基準監督官の体制強化まで記載するのは難しいとしても、少なくとも定期検査等の機会を通じて運用の適正化を図っていくことが必要という旨については、この報告書に記載いただきたいと思います。
○飯本座長 お三方から、ありがとうございました。事務局、順番にお願いいたします。
○福島補佐 まず、郡構成員から、特別教育についての周知ということで、今回かなり対象者が広がるということもあるので、ここについては、しっかりと周知を徹底していきたいと思います。報告書にも、そういった文言が入るようにしたいと思います。
 続いて、黒島構成員から頂いた御意見です。中小零細等、なかなか安全衛生活動が浸透していないのではないかと思われる所にも、たくさんこうしたエックス線作業に関わる方々がいらっしゃるということです。当然、これに基づいて、今回のエックス線に対する対策の強化をしたいと、事務局としても考えております。それも踏まえて、しっかりと周知、支援を行っていきたいと思います。
 最後に、山脇構成員から、監督体制の強化についての御意見を頂きました。「体制強化」とまで書くのは難しいかもしれないのですが、御提案いただいたとおり、しっかりとした監督を行いまして、運用で、現行法令が徹底されるように努めるべきといった内容を書かせていただく方向で検討したいと思っております。
○飯本座長 この後、報告書の内容がフィックスされて、この後改正法令であるとか、あるいはそれに続く解説書等が整備されると思うのですが、それぞれについて、よきタイミングで、それらを周知するような機会は必要でしょうし、何らかの形で、いろいろなチャンネルを使いながら隅々まで水平展開いただくことがあるのだろうなと思っております。よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。釜田構成員、どうぞ。
○釜田構成員 5番目の件ですが、これはどちらかと言うとお願い事項となります。工業会の中でも、e-ラーニングのような教育訓練、安全教育の講習会は実施しておりますが、費用を頂いて、やらなければいけないということになっています。
 それと、広がれば広がるだけ、受けていただける方が増えるというのは確かですけれども、丸ポツの3つ目に書いているとおり、e-ラーニングの資料や動画を作ったりと、非常に負担になってきます。逆に言うと、そういう費用負担が何かしらあることも、お願いしたいと思います。
 また、逆にそういうものを作ったけれども、なかなか受けていただけないとなると、改修もできてこないという格好になります。作成すべきであると。どこがするのですかというのは、事業者がやるのですかということになるのですけれども、収入がなければ支出ができないというところも現実問題としては出てきます。
 そういうところは安全文化というか、安全に使っていただくというのは、例えば装置メーカーであったり、我々は検査関係の団体ですので、安全に使っていくということに対する、そういう資料を作るということはボランタリーとしてはできるとは思うのですが、どこまでボランタリーでできるかというところがありますので、そこはいろいろと啓蒙していただく、受けてくださいねということ。それとも何か助成金を頂ければ有り難いということもお願いしたいということで、意見とさせていただきます。
○古渡構成員 古渡です。13ページの(4)の管理区域の適用・運用についての検討結果の3つ目の○ですが、情報のアップデートのことについてのお願いです。
 現行で、「サーベイメーターやフィルムバッチ等で測定する場合に分けて、照射中の線量を測定して」というようにあります。漏えい線量の測定の仕方について適切に行われているのかどうか、私も不勉強なもので分からないのですが、例えばメーカーによっては、個人を測るためのポケット線量計を装置に貼り付けてしまったりすると、それはまともに測っていることにはなりません。
 また、例えばガラス線量計であるとか、OSL線量計というものも、実はちょっとトリッキーなのですが、個人を測るものと環境を測るものと、両方が同じモデルで出ているのです。なので、勘違いをして、個人を測るものを貼り付けて測れば、出てきた線量を出せばいいのでしょというようになると、これは個人線量当量を測ってしまうことになるので、漏えい線量のための量にはならない。そういったところの御指導を適切に行えるように、情報のアップデートを頂ければと思います。
○飯本座長 お二方からありがとうございました。よろしくお願いします。
○福島補佐 まず、釜田構成員から5番目の件で頂いた点です。5番目の件は報告書に書かせていただきまして、事務局としても、今年から研究事業であれば、古渡構成員に研究事業を取っていただいて教育関連のところもやっていただいているというところもございます。この後も、そういった研究事業や予算事業ですとか、何らかの関連するようなことを考えていきたいと思っております。
 当然ながら、実際にやっていただいている、こうした研修を御活用くださいとか、そういった周知等も、併せてさせていただきたいと思っております。
 次に、古渡構成員から頂いた情報のアップデートの件です。今頂いた件も含めて、しっかりと現場で適切に測定等をしていただけるように、平成13年の通達ですので、今回しっかりと見直しをしていきたいと思います。また、この点については是非、御知見をお借りできればと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○飯本座長 論点(5)の教育については、ユーザー教育の強化はももちろんですけれども、管理者の教育、育成も非常に重要だという点、大きな流れになっていたと思います。
 古渡構成員にご指摘いただいたような、専門性の高い内容も、管理者たちはしっかりと理解していないといけないということなので、どのような形でそれをうまく教育に入れられるかという辺りも、重要な論点として扱っていただきたいところです。
 ほかにいかがでしょうか。全体を通してはいかがでしょうか。論点(1)から論点(5)までの全体を通して、何か御発言があれば挙手いただきたいと思います。夏原構成員、どうぞ。
○夏原構成員 島津製作所の夏原です。今、古渡構成員から出た話と同じことなのですが、今回、いろいろな調査をお金をかけてやるというお話を聞いているのですが、そのときに我々メーカーとか団体ではなくて、ユーザーの生の声を調べていただくときに、どういう形で安全を確認したのかを是非聞いていただいて、そのときに、今御指摘のあった個人被ばく線量計で安全を確認したという所が、それは当然、今で言う駄目なのですけれども、そういう所が実際にたくさんありますので、是非それを確認していただいて、「えっ」という答えになるかもしれませんけれども、きちんとそれを通達などに盛り込まなければ危ないという話です。
 再三、その件は何度か申し上げておりますけれども、それでけがをしたとか、放射線被ばくで障害者になった方というのは、今はまだおられないのですが、これがずっと続いていくと、必ずそういう方が現れると思いますので、是非、現段階できちんと漏えい測定を、正しい装置で正しく測っていただくということを今回はっきりと通達していく必要があると思います。よろしくお願いします。
○飯本座長 事務局、いかがでしょうか。
○福島補佐 夏原構成員、ありがとうございます。おっしゃるとおりで今後、調査研究、研究事業、委託事業等、そういったものを考えているという話もさせていただきました。実施する際には、今言った点も踏まえて、現場の実態も確認していきたいと思います。また、測定方法等について、しっかりと情報をアップデートさせていただいて、それを周知徹底していきたいと思います。ありがとうございました。
○飯本座長 ほかはいかがでしょうか。全体を通じてよろしいでしょうか。
 私から1点ございます。この場ではすべては紹介されてはいなかった気もしますが、我々が各構成員のチャンネルで集めた意見は大変広範囲で、多かったと思います。今回の改正法令には直接関わらないような細かい視点、幅広い視点でいろいろといただいたものは、そのままの形で事務局に届けられたと思います。それらの意見についての今後の扱いはどうなりますか。何か方針はありますか。
○福島補佐 今回の論点と異なる点については、現時点では公表しようということは特にないのですが、公表してほしいという強い御意向があるのであれば、検討したいと思います。
○飯本座長 私の発言の趣旨は、公表いただきたいということではなくて、いろいろな視点で、このタイミングで現場の意見が集まったのでどう活かすか、になります。今回の法令改正に関係のあるところはしっかりと共有していただけましたし、どういう議論があったというのもお伝えできたわけですが、非常に有意義だったと思います。
 そういう観点からすると、例えばこの報告書の内容を公開し、勉強会がどんどん開かれるようなタイミングでの意見交換などの場で、他にはこんな意見が出てきた、とか、将来にわたっては、こういうことも検討が要るのではないかという課題の整理などには使えるのではないかと思いまして。必ずしも、この検討会の範囲だけで終わらないように、より良いものを目指すための材料として使っていただければ、多くの方から協力を頂いたコメントが役に立つのではないかと思いますので、何らかの形で上手に利用いただくのが良いかなと思ったので発言させていただきました。
○福島補佐 頂いたご意見を今回は使う機会がなかったかもしれませんけれども、また別の議題のときに、そういったご意見を使わせていただくような機会もあるかと思いますので、御意見があったということは認識させていただきます。ありがとうございました。
○飯本座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 おおよそ、この範囲で意見は出尽くしたように思いますので、この報告書案、この後、最終的なまとめの作業に入りますが、皆さんからの大きな反対がなければ、座長に預からせていただいて、この後、事務局と調整をさせていただき、取りまとめを急いで進めたいと思います。皆さん、いかがでしょうか。お任せいただいてもよろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○飯本座長 ありがとうございます。では、論点(1)から論点(5)に絞った形で、この検討会でずっと議論させていただきましたが、できるだけ前向きな形で、良いものをまとめていきたいと思いますので、お待ちいただければと思います。
 それでは、本日の会については終了の流れに入ります。最後に事務局から何かございますか。
○平地専門官 今回が最終となりますので、安全衛生部長から一言御挨拶申し上げます。
○井内部長 先生方、お忙しい中お時間を割いていただきましてありがとうございました。私は、今回の最後の1回しか出られませんでしたが、2月から4回にわたって、御議論いただいたと思っております。専門性の高いところを十分に議論していただいたと思っております。
 本日、最後のところを聞かせていただきまして、安全装置の分野、あとは作業主任者、特別教育、管理区分の運用、事業者や業界団体が行う安全活動への支援という観点で、最後は座長預かりということではございますが、おおむね取りまとめていただいたというように考えております。
 我々としましては、この取りまとめ、また審議会を経てということにはなると思いますけれども、いわゆる電離則のほうに、どのように反映していくのかということが、具体的に検討を進めていくことになると思います。
 今回のこの会議の中で御議論いただいたことが、今後の日本の労働現場の安全につながるよう、我々も真摯に対応させていただきたいと思っております。
 先生方には、これからまた、こういった分野での課題というのがいろいろ出てきたときには、また御指導いただく機会もあるかもしれませんが、そのときも、よろしくお願いいたします。本日まで4回、どうもありがとうございました。
○平地専門官 それでは、これをもちまして検討会を終了させていただきます。お忙しい中、皆様、御参集いただきましてありがとうございました。

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