厚労省・新着情報

(令和6年8月27日(火)10:31~10:47 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日の閣議において、令和7年4月1日に設立する国立健康危機管理研究機構の理事長となるべき者を本日付けで指名することについて了解が得られました。「Japan Institute for Health Security(JIHS)」という名称となりますが、そこの理事長です。國土典宏氏を本日付けで指名します。國土氏はこのパンデミックの初期対応の第一人者でもあり、またJIHSにおいて求められる国内外の幅広い経験というものをお持ちであるということをもって指名させていただいたということです。 
次に、本日の閣議で「令和6年版厚生労働白書」を報告しました。今年の白書は「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」と題して、現代社会のストレスの多様さについてライフステージに沿って考察した上で、こころの健康に関する取組の現状や今後の方向性をお示ししています。引き続き、誰もが健やかに暮らすことのできる社会を目指していきます。 
次に、今般の小林製薬の対応を受けて、食品衛生法施行規則を改正し、9月1日から機能性表示食品の届出者等に対して健康被害の情報提供を義務化します。小林製薬へ申出のあった死亡事案に係る大阪市等の調査について、調査対象97例のうち92例、約95%は医療機関への聞き取り調査等を終了しました。残りの5例も早期に調査を終えられるよう取り組んでいきます。来月には厚生労働省に集約された健康被害情報についてワーキンググループを設置し、医学・疫学的な分析・評価等を行うこととします。 
9月10日から16日までは「自殺予防週間」です。昨年の自殺者数は2万人を超え、小中高生は過去最多水準と深刻な状況が続いています。夏季休暇中から啓発活動に取り組んでいますが、国民の皆様へのメッセージを本日発出するとともに、相談体制の拡充などきめ細かな対応を行っていきます。お悩みをお持ちの方は1人で抱え込まずに、身近な人や相談窓口に相談していただきたいと思います。 
8月28日から30日までタイのバンコクに出張します。今回の出張ではタイの保健大臣や東南アジア諸国の薬事規制当局の長官級と面会し、昨日公表した「厚生労働省国際保健ビジョン」についての理解促進を図るとともに、バンコクに開設したPMDAアジア事務所の開所シンポジウムに出席するほか、タイを代表する医療機関であるシリラート病院等を訪問し意見交換を行う予定です。私からは以上です。 

質疑

記者:
長崎の被爆体験者についてお伺いします。岸田総理大臣は今月9日、被爆体験者の団体などと面会し、「早急に課題を合理的に解決できるよう、厚生労働大臣において具体的な対応策を調整するよう指示する」と述べました。まもなく長崎県や長崎市との調整も始まり、来月には裁判の判決も控えていますが、いつまでに具体的な解決策を示したいとお考えでしょうか。また具体策の検討を指示した岸田総理大臣が今回の総裁選挙への不出馬を表明したことから、被爆体験者の団体からは今後の対応を不安視する声も出ています。こうした声にどう答えますか。 
大臣:
8月9日(金)に総理から、早急に課題を合理的に解決できるよう、長崎県・長崎市を含め具体的な対応策を調整するようご指示がありました。長崎県・市とは、日頃から連携しているところでもあります。総理のご指示についてもその調整を現在進めているところです。現時点では、いつまでに結論を得るかについて明言することはできませんが、「早急に」との総理のご指示を踏まえ、早めに結論が得られるようできるだけの取組を進めていきたいと考えています。 
記者:
総裁選不出馬の影響はいかがでしょうか。 
大臣:
特にそれがあるとは思えません。これはやはり特に被爆者体験に基づく課題ということになるので、総理としても特に広島ご出身であるということから大変大きな関心を持っておられる課題であり、その中でも早急に合理的な解決方法を見い出せというご指示があったものと私は受け止めています。 
記者:
障害者の「就労継続支援A型事業所」について伺います。弊社が自治体に調査した結果、今年3月から7月に全国で約330か所のA型事業所が閉鎖し、働いていた障害者約5,000人が解雇や退職となったことがわかりました。6月の閣議後会見で大臣は「ハローワークが自治体と連携して、きめ細かな再就職支援を行っていく」ということでしたが、調査の結果、一部の自治体が厚労省の事務連絡に沿った対応をしていないことや、A型事業所の対応に問題があるケースを自治体が把握していないことなどが見受けられました。改めてA型事業所で大量の解雇者が出ていることの受け止めと、今後の対応についてお聞かせください。また厚労省の障害者の解雇数の公表は翌年度の6月ですが、それまで実態調査などをするお考えはないかも併せてお伺いします。 
大臣:
令和6年度報酬改定では、就労継続支援A型事業所の質の確保・向上を図るため、生産活動収支が賃金総額を上回った場合を高く評価するとともに、下回った場合の評価を厳しくする等の見直しを行っています。事業者が事業を廃止する場合には、引き続きサービスを希望する利用者に対し必要なサービスが継続的に提供されるよう、他の事業者との連絡調整等を行うことが義務付けられています。指定権者である地方自治体に対して、事業者に対する当該責務の徹底について依頼しているところです。またA型事業所も含め、廃止や事業の縮小により解雇・雇止め等が生じる場合、ハローワークが地方自治体と連携し、離職を余儀なくされる方の希望に応じたきめ細かな再就職の支援を行うこととしています。今般のA型事業所の廃止に伴い解雇された方については適切に支援に繋げていくため、労働局に対し、地方自治体とも連携して解雇届の提出状況を把握し対応するよう改めて指示したところです。引き続き、離職を余儀なくされる方の円滑な再就職を支援してまいりたい。 
記者:
実態調査をするお考えはないということでよろしいでしょうか。 
大臣:
現状では今申し上げたような、労働局に対して、地方自治体とも連携し解雇届の提出状況を把握し対応するよう改めて指示したところです。 
記者:
元日本兵の戦争トラウマの実態調査について伺います。厚労省は今年度から初の実態調査始めましたが、調査対象は戦時中に戦傷病者と認定された元兵士に限定しています。PTSDの元日本兵と暮らした家族で構成する市民グループは、2018年ごろから父親のアルコール依存や家庭内暴力など、戦争トラウマとみられる症状でうまく親子関係を築けなかった互いの身の上を語り合っています。ただ現時点では、戦争の影響を誰にも気づかれないまま戦後を生き、亡くなった彼らの父親たちのような元兵士は調査対象にはなっていません。家族からは戦後の影響にも目を向け、より実態に沿った調査を求める声が上がっていますが、戦時中に戦傷病者と認定されていない元兵士も調査対象に加えるお考えはありますか。 
大臣:
PTSDを含めて心の傷を負われた元兵士やそのご家族の実態を語り継いでいくことは、戦傷病者とその家族が戦中戦後に体験したご労苦を次の世代に伝えていくというためにも重要なことだと考えています。このため、戦傷病者の労苦を伝えるしょうけい館の展示を充実すべく、元兵士やそのご家族の体験、専門家による研究の成果などの資料収集等を行うこととしています。対象については、基本的には戦傷病者として認定された方を考えていますが、専門家のご意見等も踏まえ、どのような資料収集や展示方法が適切か今後検討していきたいと考えています。 
記者:
議論の検討には入るということでよろしいでしょうか。 
大臣:
検討するということです。 
記者:
武見大臣は8月23日全国薬害被害者団体連絡協議会主催の薬害根絶の誓いにおいて、「医薬品による悲惨な被害を再び発生させることがないようにする、その思いを一層強くした」とおっしゃいました。そこで薬害に関して2点質問いたします。これまでの数々の薬害があった中で、被害者数、死亡者数が最も多い薬害は厚生労働省としてどのように把握していますか。また薬害が起きるたびに、その都度国は再発防止を誓ってきたはずです。しかし薬害は繰り返されてきました。その原因はどこにあるのか、武見大臣はどのようにお考えでしょうか。 
大臣:
個々の事案の被害者数等については把握の仕方が非常に異なり複雑です。それによって状況が様々であり、一概に比較することは簡単なことではありません。また、その発生原因もそれぞれ異なり、人数の多寡に関わらず悲惨な被害を再び発生させないようにすることも大変重要なことだと思います。私も改めて先達ての薬害根絶の誓い、これはやはり非常に重く受け止めており、こうした薬害を起こさないための最大限の努力は常に厚生労働省としてもしなければならないと考えています。これまでもスモンやサリドマイド、HIVなどを教訓として、例えば医薬品副作用被害救済制度の創設をしたり、さらには承認制度の改善や副作用情報の収集等、医薬品等に係る様々な安全対策、さらには高等学校等における薬害教育の普及啓発なども、その時々で確実に講じてきたところです。引き続きこうした取組を通じて、医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう、医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を尽くしていきたいと考えています。 
記者:
新型コロナのワクチンは厚労省が認定しているだけで777人の死亡事例があります。これは医薬品による悲惨な被害ではないとお考えでしょうか。 
大臣:
今申し上げた通り、コロナの課題をも含め、こうした課題に対して厚生労働省としては真摯にこれに向かい、そしてこうした課題を解決するために最大限の努力をするということを今申し上げたわけであり、その点について、私は、やはり前回の医薬品による悲惨な被害を再び発生させることがないようにするその思いを一層強くしたということを申し述べましたが、その気持ちは一貫して持っています。 

(了)

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