経産省・新着情報

2024年8月30日(金曜日)
11時19分~11時39分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

初めに、私から3点申し上げます。

「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」と「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」の合同会議

まず1点目ですが、本日、「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」と「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」の合同会議を開催いたしました。
 会議では、ALPS処理水の処分に関する基本方針の実施状況と今後の対策の方向性を確認するとともに、東京電力福島第一原子力発電所における廃炉作業の進捗状況について確認いたしました。
 ALPS処理水の放出につきましては、「政府としてALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組む」という、昨年、同会議で示した方針を再確認いたしました。
 その上で、岸田総理からは、我が国水産業のなりわい継続支援や、国内消費拡大・海外販路開拓等の必要な対策について、「秋に策定を目指す経済対策も含め、こうした対策を着実に実施し、全国の水産業支援に万全を期す」との発言がありました。
 経済産業省といたしましても、「水産業を守る」政策パッケージ等からなる水産業のなりわい継続支援等に全力で取り組んでまいります。

価格交渉促進月間

続きまして、2点目です。来月9月は、「価格交渉促進月間」であります。高い賃上げ率が実現している今、サプライチェーン全体で価格転嫁を実現することこそが、日本経済を30年の停滞から、「新たな経済ステージ」へ転換させる、大事なカギとなります。
発注企業の皆様におかれましては、取引先企業の賃上げ実現・投資を後押しし、サプライチェーン全体を強くしていくためにも、取引先企業への価格転嫁に応じていただければと思います。
特に、サプライチェーンの先端まで、価格転嫁の波が伝わるよう、取引先に対して、更にその取引先と交渉・転嫁を行うよう、促していただければ幸いであります。
受注側の中小企業の皆様におかれましては、社会全体で価格転嫁を進める今こそ、思い切って価格交渉を申し出ていただきたいと思います。事業者の皆様へ価格交渉と転嫁をお願いする動画メッセージも発信いたしますので、御覧いただければと思います。
また、中小企業庁のホームページでは、受注者における価格交渉のポイントをまとめたリーフレットや、交渉の材料となる「労務費の指針」、これを公表しています。ぜひ、積極的に御活用いただければと思います。

中小M&Aガイドラインの改訂

3点目です。中小企業におけるM&Aの適切な推進を図る観点から、有識者会議における議論を経て、「中小M&Aガイドライン」を改訂し、本日公表いたします。改訂後のガイドラインでは、中小企業のM&Aの際に経営者保証に関する不適切な事案が発生していることを踏まえまして、仲介者、フィナンシャル・アドバイザーにおいてどのような対応を行うべきかを具体的に明記しています。
加えて、仲介者、フィナンシャル・アドバイザーの支援の質を確保する観点から、営業、広告に係る規律や仲介者において禁止される利益相反事項の具体化を図っております。
また、ガイドラインの遵守を要件とする「M&A支援機関制度」の登録機関につきまして、ガイドラインに反する行為があった場合、登録の取消しに加え、事案の性質によっては、社名公表もあり得ることとしており、これらによりガイドラインの実効性を担保してまいりたいと考えています。
さらに、ガイドラインの改訂に加えまして、仲介者、フィナンシャル・アドバイザーが利用者に求める手数料を透明化するために、「M&A支援機関登録制度」の各登録機関の手数料体系を本日公表いたします。
これによりまして、M&Aにかかる手数料を透明化し、支援機関間での競争を喚起したいと思っております。M&Aの実施を検討されている中小企業の皆様におかれましては、支援を受ける支援機関を選定する際のツールとして御活用いただければと思います。
改訂後のガイドラインの浸透等によって、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関の支援の質の向上を進めてまいります。
詳細はこの後、事務方から説明させます。
私からは以上になります。

質疑応答

原子力関係閣僚会議

Q:今週のGX実行会議で、岸田総理が、東日本の原発の再稼働がなかなか見通しが立たないということで、柏崎刈羽を進めるために来週にも原子力閣僚会議、ふだんプラスアルファの大臣を呼んだ会議を行うというお話をされていたと思います。その会議でどのような議論をするつもりかというのと、今内閣でどのレベルまでの道筋をつけるおつもりか、お聞かせ願えればと思います。

A:来週開催を予定しております原子力関係閣僚会議は、総理から御発言がありましたように、東日本の電力供給構造の災害リスクへの脆弱性、電気料金の東西格差、産業競争力や経済成長といった観点から重要となります柏崎刈羽原子力発電所の再稼働につきまして、原子力防災等に関する地元からの御要望にどう応えていくかを議論する場になると考えています。
会議は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関連する全ての大臣が参加するものとなると考えていますが、詳細は現在調整中と認識しています。
以上です。

中小M&Aガイドライン

Q:中小企業のM&Aのガイドラインの改訂についてお伺いします。今回の対策について、どれほど有効なものか大臣の所見をお伺いしたいのと、既に悪質な企業によって被害を被っている売手が既に存在していて、その一部では仲介会社と大なり小なりトラブルを抱えていて、一部は訴訟にも発展しているものがあるんですね。そういった企業に対して、ある意味、国が中小企業のM&Aを推進してきたという側面もあり、今回のガイドライン以外にも何か対策というのを打たれる予定があるのかお聞かせください。

A:改訂後のガイドラインでは、これまでに生じた課題を踏まえまして、仲介者、フィナンシャル・アドバイザーに対しまして、M&Aに伴うトラブルに関する適切な対応を求めて、悪質な買手企業の排除、これを図っています。まず、改訂後のガイドラインの周知徹底、これを行っていくことが大事だと思っています。
また、「M&A支援機関制度」の登録機関につきまして、ガイドラインに反する行為があった場合には、冒頭申し上げましたように、登録の取消しに加え、事案の性質によっては社名公表もあり得るということにしておりまして、こういったことにより、ガイドラインの実効性、これを担保していきたいと考えています。
御指摘のように、既に表面化しているトラブルに関しましては、登録機関がガイドラインに反する行為を行っていないかについて既に調査を開始しておりますので、仮にその調査において違反行為が確認された場合には、登録の取消しなど適切に対応していきたいと思います。
さらに、ガイドラインに関する取組に加えまして、M&A仲介協会において不適切な買手についての情報共有の仕組みが検討されておりまして、これら業界の取組も注視をしていきたいと思っています。
加えまして、M&Aに関するトラブルの注意喚起を行うチラシを作成いたしまして、本日から中小企業の方々への周知を図っていきたいと考えています。また、各都道府県に設置する「事業承継・引継ぎ支援センター」におきまして、トラブルを防止しつつ、M&Aの成立に向けた伴走支援、これを一層強力に行っていきたいと考えております。

令和7年度概算要求・税制要望

Q:本日締切りの来年度予算の概算要求と税制改正要望についてお伺いいたします。足下では金利が上昇局面に入っておりまして、現状は、昨年ですとか、それ以前とは大きく状況が異なっていると思われます。こうした環境の中で、特に力を入れた点や狙いについてお伺いできますでしょうか。

A:近年の大胆な産業政策・経済政策によりまして、前向きな「潮目の変化」が生まれてきています。一方、各国が自国産業ファーストで大きく舵を切って、産業政策の国際競争が激化しており、日本はこうした競争に負けるわけにはいかないと。こうした中で重要なことは、足下の国内投資や賃上げの動きを確実なものとして経済成長を加速させることでありまして、今般の概算要求や税制要望はこうした考え方の下で行っています。
具体的には、成長分野の革新的な技術開発に加えて、世界でEV競争が激化する中で重要視されます全固体蓄電池や、日本発のペロブスカイト太陽電池などについて、世界に先駆けた市場投入に向けて本格的な設備投資の支援を行いたいと考えています。
また、AI・半導体につきましては、経済対策を視野に事項要求にしていますが、複数年にわたり大規模かつ戦略的に研究開発投資や量産投資を行うべく、予算措置はもちろん、新たな法整備も進めていきたいと考えています。
さらに、雇用の7割を占める中小企業向けには、生産性向上に向けた設備投資支援、人材や技術を次世代に繋ぐ事業承継やM&A、輸出や海外展開などの支援をしたいと思っています。
加えて、福島第一原発の廃炉及び福島復興に取り組むとともに、大阪・関西万博の準備に万全を期すための要求も行っていきたいと思っています。
金利や物価の上昇局面の今だからこそ、国が前に出て賃上げや投資の動きを確実なものとするということが重要でありまして、今般の概算要求、税制要望のみならず、将来の経済対策や必要な法整備などを総合的に展開して、積極的な産業政策に取り組んでいきたいと思っています。

政府によるラピダスへの出資

Q:半導体企業のラピダスについてお伺いします。政府の出資を可能とする法案の提出について、昨日、大臣から、できるだけ早くとの御発言がありました。改めて、その法案提出の必要性などについてお伺いできますでしょうか。お願いいたします。

A:昨日も番組で申し上げたとおり、政府として、現時点でラピダスに対する出資を決定したという事実はありません。AI・半導体分野での国内投資を継続的に拡大していくために、骨太方針2024において、「これらの分野に、必要な財源を確保しながら、複数年度にわたり、大規模かつ計画的に量産投資や研究開発支援等の重点的投資支援を行うこととする。その際、次世代半導体の量産等に向けた必要な法制上の措置を検討するとともに、必要な出融資の活用拡大等、支援手法の多様化の検討を進める。」と、このようにされているところであります。
したがいまして、これに基づきまして検討しているわけでありますが、現時点において法案の内容・提出時期等について具体的にお答えをするところまで至っておりませんが、2027年の量産開始を目指すラピダスの取組に間に合うように、早期の国会提出に向けて検討をしていきたいと思っています。

台風10号

Q:台風に関してお伺いさせていただきます。昨日、経産省でも対策本部を行いましたが、一夜明けて、被害も台風本体から離れたところも含めて起きています。現在、経産省で把握している被害状況、停電や物流・小売への影響も発生していますが、対応や呼びかけについてお願いします。

A:まずは、台風10号の影響によりまして、各地で浸水被害や土砂災害が発生しているほか、人的被害の情報も寄せられています。まずは、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に対し、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
被害状況につきましては、今朝7時時点の停電状況については、九州地方を中心に約12万8、000戸が停電をしている状況であります。
一般送配電事業者におきましては、全国で約3万人の復旧要員を備えるなど、夜間を含めて迅速な復旧作業を行う体制を構築していただいています。雨風の状況を見ながら、作業員の安全を確保した上で、可能な箇所から順次、巡視・復旧作業が進んできています。
都市ガス、LPガス、製油所・油槽所、ガソリンスタンドなどについては、供給支障など現時点で特段の被害は報告をされていません。
昨日開催した経済産業省の非常災害対策本部では、私も出席をして九州の地方関係部局を含め被害状況などの報告を受けました。私からは事務方に対して、大雨や暴風の影響を注視しつつ、電気・ガス等のライフラインの早期復旧に取り組むこと。被害状況や復旧状況等に関する適切な情報発信に努めること。プッシュ型支援が開始された場合に備えて、迅速な物資支援の体制を構築することについて指示を行っています。
また、九州・四国・中国エリアでは、経済産業局及び産業保安監督部の職員を、地方自治体や電力会社へ派遣し、現在21名の職員が対応に当たっています。これは連携がよりスムーズにいくようにという目的であります。
影響の長期化も想定をしながら、引き続き、高い緊張感を持って、省を挙げて対応に当たっていきたいと思っています。

※ 実際の発言は「経済産業省及び産業保安監督部の職員」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

燃料デブリの試験的取り出し作業の中断

Q:福島第一原発の2号機における燃料デブリの取り出しの中断についてお伺いできればと思います。大臣は、今週中の報告を東電に求めていましたが、予定どおり行われますでしょうか。難しい場合、その理由をお伺いできればと思います。

A:まず、試験的取り出し作業の初日に中断、こういう事態に至ったことについて、私は大変重く受け止めています。何より重要なのは、今後の廃炉作業においてこうした事態を起こさないように、しっかりと要因分析と対策の検討を行うことであると思います。
東京電力の準備ができ次第、近日中に報告を受けたいと考えています。現在は、東京電力においてしっかりと検討を進めてもらっている状況だと思っています。いつということは、まだ私は聞いていません。

自民党総裁選

Q:齋藤大臣は、自民党総裁選出馬についてたびたび意欲を示しておりますけれども、推薦人の確保の状況、正式な出馬会見の日程調整の状況について、現時点で分かることを教えてください。

A:出馬会見の日程については、まだ決まっていません。
それから、前者の質問については、この話をすると膨らんだり、また、へっ込んだり、いろんな解釈が飛び交うので、ちょっと私、申し上げるのは常に控えていると思っていますので、御容赦いただけたらと思います。

以上

最終更新日:2024年8月30日

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