農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年8月30日(金曜日)10時49分~11時09分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議について
  • (大臣から)こども食堂等への政府備蓄米の無償交付について
  • 令和7年度予算概算要求について
  • 新たな食料・農業・農村基本計画の策定について
  • 台風第10号への対応について
  • 米の流通状況について
  • 政府備蓄米の放出に関する要望について
  • 有明海再生の加速化に係る経費について予算編成過程で検討することについて

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、報告がございます。
  1点目は、本日、官邸で行われたALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚会議に出席しました。
  私からは、農水省として、水産事業者に寄り添いながら、対策の実施に万全を尽くしていく決意を述べるとともに、科学的根拠に基づかない日本産水産物等の輸入規制の即時撤廃について強く働きかけを行ってきていること、今月16日には私自ら香港の政府高官に申し入れを行ったことを報告したほか、東京電力等に対し、漁業者をはじめ国民は廃炉に向けた取組を不安と緊張感を持って注視しており、ALPS処理水の海洋放出や燃料デブリの取り出しなど廃炉全般の安全性の確保を徹底するよう改めて求めたところです。
  関係閣僚等からの報告を受けて、総理からは、国も引き続き前面に立って、福島復興の前提となる福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉に取り組んでいく旨のご発言がありました。
  2点目は、こども食堂等への政府備蓄米の無償交付についてです。先日27日に開催されました第8回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において、総理から食品アクセスの確保に向けて、こども食堂等への政府備蓄米の無償交付について、改善の指示がありました。
  これを踏まえ、来週9月2日(月曜日)から、これまでの本省及び9か所の地方農政局等に加え、都道府県の県庁所在地等にある農水省の地域拠点51か所全てに交付申請窓口を新規に開設するとともに、これまで4月、7月、10月、1月の各1か月間と交付申請時期が限定されていたところ、通年で交付申請ができるようにします。このことについては、この後プレスリリースしますので、詳細はそちらをご覧ください。私からは以上です。

質疑応答

記者

  来年度の概算要求について、本日締め切りで取りまとめられましたが、基本法が改正されて、今後5年間を集中期間として政策を進めていくとされる中の初年度となりますが、どのような点を重視して要求事項をとりまとめたのか、ポイントなどをお願いします。

大臣

  令和7年度概算要求については、改正基本法を踏まえ、地域計画実現総合対策をはじめとする地域計画を核とした施策の構築、スマート農業技術活用促進集中支援プログラムによるスマート農業技術の実装加速化、次期対策に向けた日本型直接支払の見直しなどに予算を重点化しているところです。
  その上で、農業の構造転換を初動の5年間で集中的に推進していくための食料安全保障の強化に向けた対応に係る経費等を事項要求とし、予算編成過程で検討してまいります。今後、年末に向けて必要な予算をしっかりと確保できるよう全力で対応してまいります。

記者

  食料・農業・農村基本計画について、昨日審議会に諮問されましたが、改正基本法下では初の改定ということで、どのような議論を期待されるのか聞かせてください。また、次の計画期間を5年間にするという考えを示されていますが、背景とねらいについてもお願いします。

大臣

  昨日(29日)開催された食料・農業・農村政策審議会・企画部会合同会議において、私から、新たな食料・農業・農村基本計画の策定にかかる諮問を行いました。
  今回の基本計画は、改正基本法に基づく最初の計画であり、基本理念の実現に向けて、具体的な施策を集中的に実施していくために、今後5年間の施策の方向性を示す、極めて重要な計画であります。
  今後、審議会による議論が開始されますが、国民各界各層のご理解、ご支持を得て、基本計画が実効性のあるものとなるよう、食料自給率を含む食料安全保障の確保に関する目標や具体的施策について、委員の皆様の専門性やご経験を踏まえて活発にご議論いただくことを期待しています。
  基本計画はこれまで、10年程度先までの施策の方向等を示し、5年ごとに見直しを行ってきたところです。基本法の検証、見直しに向けた審議会の答申において、基本計画については、平時からの食料安全保障を実現する観点から、PDCAを回して、定期的に現状を検証し、施策の見直しを行う仕組みとすべきとされたことを踏まえ、改正基本法において、少なくとも年1回、食料自給率その他食料安全保障の確保に関する事項の目標の達成状況を調査・公表することとしたところです。
  これを踏まえて、新たな基本計画では、今後5年間の施策の方向性を示し、PDCAを回しながら、改正基本法の実現に向けた具体的な施策を集中的に実施していく必要があると考えています。

記者

  台風10号で農作物への影響などが懸念されます。特に今、品薄となっている米の影響なども懸念されていますが、事前の対策含め農水省の対応をお伺いできますか。

大臣

  台風10号の影響により、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げるとともに、被害にあわれた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
  台風第10号により九州地方を中心に広い範囲で大荒れの天気となっており、農林水産業への大きな影響が懸念されます。 このため、農水省では、一昨日(28日)農林水産省緊急自然災害対策本部を設置し、省内の体制整備や情報収集の徹底を図っています。被害状況については、各農政局でしっかりと状況を把握することに努めたいと思います。
  米の消費については、消費者の皆さんには冷静な対応をとっていただければと考えています。

記者

  27日に岸田総理から、消費者の立場に立って米の流通不足の懸念に対処して、円滑な流通に取り組むよう指示を受けたと思いますが、農水省として具体的に何か対応されたのか聞かせてください。

大臣

  農水省としては、米の流通に対しては、これまでも出荷、在庫等の状況を把握し、関係団体への働きかけや情報発信などの対策を講じてきました。
  また、27日の総理からの指示を受けまして、同27日に、端境期における円滑な流通について、十全な対応を行うよう関係団体に対して通知を発出しました。今後、米の流通状況についてより丁寧にフォローアップするとともに、きめ細やかな情報発信を行っていく考えです。
  卸の皆さんには、スーパーにしっかり行き渡ることをお願いしたところですので、そこは消費者の立場に立っての、我々の姿勢とお受け取りいただきたいと思います。

 

記者

  概算要求に関連して、今回新たに事項要求となった諫早湾干拓潮受堤防排水門の非開門を前提とした有明海再生の加速化対策について伺います。今年2月の漁業団体による、大臣談話への賛同から半年が経つ中での概算要求となりましたが、所感として、事項要求に何とかこぎつけたというご認識か、それとも額を示せず事項要求にとどまったというご認識か伺います。
  加えて、地元の自治体や漁協からは、再生の加速化対策事業について、地元負担が生じる可能性への懸念が出ており、この点が協議進捗の妨げになっているという見方もあります。地元負担が伴わない形での事業実施が可能なのか、年末の予算編成を見据えて、農水省としてどう対応していくのかお伺いできますか。

大臣

 令和5年3月の大臣談話に基づく必要な支援の具体的な内容については、漁業団体などの御意見も踏まえながら、今後の予算編成過程で検討することとしていることから、事項要求を行いました。
  農水省としては、必要な支援の実現に向けて引き続き、調整を進めてまいります。
  地元負担について、佐賀県知事の発言についても承知をしていますが、昨年3月の大臣談話において提案した、必要な支援の具体的な内容については、国が漁業団体等と意見交換を行いながら検討を進めてまいります。県、漁業団体ともしっかりと話し合いをしながら、今後進めてまいります。

記者

  先ほどの質問でもあった米の関連について、先日、卸売業者に円滑な流通をという呼びかけがあったと承知していますが、小売業界からは、国としてもう少し早く対策すべきではなかったのかという声も上がっています。このことについて考えをお伺いできますか。

大臣

  全体の需給として、必要な在庫水準が確保されていると思っています。一部に政府備蓄米の主食用を放出というような意見もありますが、民間流通が基本となっていますので、米の需給や価格に影響を与える恐れがあるために、慎重に考えるべきと考えているところです。特に、新米の収穫が進む端境期として、本年度の新米の取引もこれから行われていく中で、民間流通に影響を与えることについては、一層慎重になる必要があると思います。
  私たちとしては、卸の皆さんに、しっかり末端に届けていただくよう申入れをしたということについては、遅きに失したとは思っていません。十分に状況を把握しながら、在庫状況をしっかりと得て、卸の皆さんにお願いをしたところですので、時期としては遅かったと思っていません。これからしっかりとスーパー、小売店に届くように、さらに努力を続けてまいります。

記者

  米について、水曜(28日)改めて大阪府の吉村知事が反論しましたが、政府備蓄米は本当に放出しないのか、改めて教えてください。

大臣

  改めて申し上げますと、国が行う備蓄というのは、不作などの米穀の生産量の減少によって、年間を通じて米の供給に不足が見込まれる場合に備えて行っているものです。知事から要望があったことは、それはそれとして受け止めますが、様々な流通上の混乱等も含めますと、慎重に考えながら卸の皆さんに協力を求め、そして小売の皆さんにも協力を求める。さらに、消費者の皆さんにも冷静な対応を求めるという対応をしていくことが適切であると考えています。

記者

  現状を不足とは考えていないということですか。

大臣

 現状におきましては、南海トラフ地震臨時情報とその後の地震等による買い込み需要などを背景とする、今般の短期的な米の品薄状況などに対しては、今後新米の出回りも踏まえれば、(備蓄米の放出には)慎重になるべきと考えています。一部店舗において米が棚にないということが見られますが、全体的に見て小売店あるいはスーパーに対して、米が並び始めたと考えています。

記者

  価格についてはどう思いますか。

大臣

  価格については、通常の価格でしっかりと取引をしていただきたいと思います。

 

記者

  この米の品薄感は、お盆が過ぎてから10日ぐらい経ち、物流も十分に回復している状況で、未だに店頭にないところもあるということは、農水省として食料安全保障を今年から前面に打ち出した点を踏まえて、どう見たらよろしいでしょうか。

大臣

  先ほど言いましたように、様々な要因、端境期の中で、南海トラフの問題とか、それによる消費者の皆さんの買い込みとか色んな要因が重なりました。その要因を少しでも解消するために、店頭に米が出回るというためには、まずは卸の皆さんにご協力を求める、小売のスーパーの皆さんにもご協力を求める、そして消費者の皆さんにも冷静な対応を求めるというのが、まず私たちがとるべきことだと思っています。くどいようですが、国が行う備蓄というのは、前年度の不作とか、そういったものに備えて米そのものの生産量の減少に、年間を通じて供給不足が生じないようにするものです。お盆から半月経っていますが、半月間の間にとるべき対応はとってきたと思っています。

記者

  民間在庫は十分にあるとおっしゃっており、数字上はその通りですが、なかなか出てこないため、卸の会社にお願いをしているけどもなかなか出てこないと。これは食料安全保障上の政策を変換するようなことにもなるのでしょうか。

大臣

  いえ、そこまではなりません。あくまでも私たちは卸の皆さんに協力を求める民間在庫というのは、150万トン前後まだ十分あるということをしっかりと訴えながら、消費者の皆さんの不安に応えていきたいと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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