農林水産省・新着情報

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年9月3日(火曜日)10時51分~11時07分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)長野県出張について
  • 令和6年産米の価格について
  • 米の流通状況について
  • 台風第10号による米の収量等への影響について
  • 輸出用米の国内向けへの転用について
  • 有明海再生の加速化に係る必要な支援について
  • 令和5年新規就農者数が2年連続で過去最少となったことについて

冒頭発言

大臣

  私から1点、報告がございます。私は明日4日(水曜日)と明後日5日(木曜日)に、長野県下へ出張し、中山間地域等における農業水利施設の保全、農福連携や六次産業化等の農村活性化、有機農業推進等の取組について視察し、関係者の方々と意見交換を行います。詳細は、この後プレスリリースします。本日、私からは以上です。

質疑応答

記者

  米の価格について、令和6年産の新米の概算金が主要産地で相次いで決定し、大幅に上昇しているとの報道があります。また、相対取引価格についても、引き続き高値が続いています。需給が逼迫する中で、新米の価格については、今後も上昇が見込まれますが、受け止めをお願いします。

大臣

  令和6年産の概算金について、前年産に比べ、2割から4割程度高い価格で提示されていることは報道により承知しています。
  概算金等の米の取引価格の設定水準については、各産地における需給バランスなど民間の取引環境の中で決まっていくものであり、政府としてコメントすることは差し控えますが、引き続き米の流通の状況を適切に把握し、米の需給動向に関するより丁寧な情報発信に努めてまいります。

記者

  米関連について、台風10号でかなり雨の影響があったようですが、新米の収穫や今後の流通への影響はいかがでしょうか。
  また、昨日、大阪の吉村府知事が、改めて備蓄米放出するよう再要望されたとのことですが、考えは変わらないでしょうか。

大臣

  台風10号による被害状況は現在調査中です。現時点では河川の決壊等による大規模な水田への被害は報告されていません。6年産米の生産量に大きな影響が生じるような事態は想定されていませんが、引き続き被害状況の把握に努めてまいります。
  米の品薄状態に対して様々な意見が出ていますが、国が行う備蓄は、著しい不作や、2年連続の不作など、米穀の生産量の大幅な減少により、年間を通じて米の供給に不足が見込まれる場合に備えて行っているものです。
  今回の場合には、端境期に南海トラフ等の臨時情報による地震による買い込み等が発生したということで、今般の短期的な米の品薄状態などに対しては、備蓄の放出ではなく、産地や卸売業者からスーパー等に安定的に供給され、消費者の皆さんのお手元に届くよう取り組むことが重要と考えています。農水省のホームページにおいても逐次、様々な米の流通過程(における情報)を公表しているところです。

記者

  本日、午後に農林水産品の7月分の輸出実績が公表されます。すでに公表されている上期分でも米の輸出が好調な中、国内の需給が引き締まっており、在庫不足や価格高騰も起きている中、こうした輸出用の米をなぜ国内向けに回せないのかという疑問の声も上がっています。
  輸出米を国内流通できるようにするなど柔軟な対応を検討されないのでしょうか。今後の価格高騰などへの対応も含め、考えを聞かせてください。

大臣

  6月末の民間在庫が約156万トンとなっている中で、昨年の米の輸出実績は、年間3.7万トンとなっています。
  一方、令和6年産の新米の出荷はすでに先月から、九州、千葉、茨城等の早期米が出回り始め、今月末までには、産地から集荷業者や卸売業者への年間出荷数量の4割程度が産地から出荷されるなど流通が本格化します。
  各産地の情報によると、6年産米の生育は、全国的に順調に進んでいます。平年より1週間程度収穫が早まる産地もあり、あわせて出荷も前倒しで行われる見込みです。
  このため、米が品薄となっている状況は、順次回復していくと見込んでいますので、農水省としては、米の流通に対して、引き続き、出荷、在庫等の状況を把握し、関係団体への働きかけや丁寧な情報発信、ホームページ等も通じて発信していくことに努めてまいります。

記者

  米について、一部のスーパーではまだ並んでいないという声も上がっていますが、いつごろからスーパーに並ぶようになるのか、いつごろには期待できるか教えてください。

大臣

  いつごろという確定はなかなか答えられませんが、私は昨日、スーパーに行ってみて、店員さんの話では、水曜日には入る予定ということを言っておられました。そういうことを考えると、早晩この米不足状態は解消すると思っています。
  令和6年産水稲の8月15日現在の作柄概況は、良が1県、やや良が11県、平年並みが31都道府県、やや不良が3県の見込みとなっており、米の作柄は順調です。
  そして6年産の主食用米の作付意向においては、主産県を中心に16県が作付けを増やしたとしていますので、今回の作柄概況では、生産量まで見通すことはできませんが、このまま生育が順調に推移し、平年どおりの作柄となれば、生産量は昨年よりも増えることになりますので、順次解消していくと考えています。

 

記者

  店頭に並ぶ新米の価格はどのように見られていますか。

大臣

  米の価格については、この品薄状態ですので、平年よりも多少の割高感はあると思います。

記者

  令和7年度概算要求で事項要求となった有明海の加速化に関する必要な支援に関して、佐賀県が30日、必要な支援については全額国費負担で実施されるもので、県や市、町、漁業関係者などへの費用負担について生じないようにする照会する文書を農村振興局長宛に提出しました。
  佐賀県は、必要な支援が諫早湾干拓事業の責任を国が開門によらない方策として提示したものであることや、大臣談話への賛同の過程で漁業団体に対して地元負担の話が国からなかったことなどを理由に、地元負担に否定的な考えを示しています。県の認識に対する見解と、照会に対してどう回答する考えか、回答時期の見通しとあわせて伺えますか。

大臣

  現在、有明海再生の加速化のための必要な支援の具体化に向けて、調整を進めているところであり、佐賀県の認識について、この場でコメントすることは差し控えます。佐賀県からの問合せに対する回答については、事務方に検討を指示しています。
  いずれにしても、農水省としては有明沿岸4県や関係漁業団体などの御意見も踏まえながら、引き続き、調整を進めてまいります。

記者

  米の品薄に関連して、今年の6月末の米の民間在庫量で、業界としては180万トンが適正という感覚がある中、それを今年の6月は大幅に下回るような状況でした。一方で需要量が減っている中、農水省としては、民間在庫量は適正という認識ですが、業界で今まで示されてきた180万トンに比べて大分低いということで、適正と言いつつも低かったからこういう品薄感が起きたという気もするのですが、いかがでしょうか。
  また、先週金曜日に発表された新規就農者数について、2年連続で過去最少を更新したということで、受け止めと今後の対応方針について聞かせてください。

大臣

  米の需要量が、年間10万トンずつ減少している中、180万トンを多少割り込んだとしても、在庫率は平成の後半とあまり変わりませんので、180万トンから156万トンに下回ったからといって、品薄になったとは考えていません。
  あくまでも端境期の南海トラフ等や、インバウンドも含め、様々な要因が端境期に重なったと分析しているところです。
  新規就農者について、令和5年の新規就農者数は、前年調査に比べ減少傾向が緩和し、5.2%減の4万3,460人となりました。今回の結果を踏まえ、農業生産を支える担い手の確保に向けて、より一層しっかりと取り組んでいく必要があると受け止めています。
  具体的には、令和4年度から親元就農への支援などを拡充した新規就農対策を着実に実施するほか、令和5年度補正予算から新たに開始した、就労条件の改善を通じた魅力ある労働環境づくりへの支援を強力に進めていく必要があると考えています。
  今後、全ての地域で地域計画も策定されることを踏まえ、地域とも連携して、より円滑な新規就農者の確保につなげてまいります。

記者

  台風10号の影響の関連で、大雨が酷かった地域であれば乾燥させるなど、収穫時期にも影響があると思いますが、新米の流通面への影響はどのようにお考えでしょうか。
  そして、米の品薄感が広がっている状況について、これまでは減反とか、転作を促す政策があり、指摘の声が出ている点についてはどう受け止めているのか、また、対応や検討状況などを聞かせてください。

大臣

  台風10号の影響については、まだまだこれから様子を見なければいけないと思います。米はある程度、台風や豪雨には強い作物ですので、今後、情報を綿密に取ってまいります。
  主食用米の需要については、長期的に減少を続けており、最近では毎年10万トン程度減少しています。農業者や産地がみずからの経営判断により、主食用米や麦大豆など、需要に応じた生産を行っていただくことを推進しているところです。長期的には需要減の傾向にありますので、麦大豆等のブロックローテーションも含めて、これまでの政策を推進してまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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