厚労省・新着情報

日時

2024年(令和6年)7月24日(水) 13時00分~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

議題

  1. (1)集中的な指導監督結果等を踏まえた労働力需給調整機能強化のための追加的対応(案)等について(公開)
  2. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  3. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○山川部会長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、労働者代表の永井委員及び使用者代表の佐久間委員が、所用により御欠席とのことです。それから、小野委員、坂爪委員及び村田委員が、オンラインの参加となっておられます。
 本日、新しく委員になられた方を御紹介いたします。事前に新しい名簿をお配りしておりますので、そちらも御覧いただければと思います。使用者代表といたしまして、清水建設株式会社人事部採用グループ長の村田委員が任命されております。村田委員、一言御挨拶をお願いできますか。
○村田委員 清水建設の村田と申します。どうぞよろしくお願いします。
○山川部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。また、事務局のほうで青山審議官ほか、人事異動があったとのことですので、一言御挨拶をお願いします。
○青山審議官 7月5日付けで審議官を拝命しました、青山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○千原労働市場基盤整備室長 7月5日付けで労働市場基盤整備室長に着任いたしました、千原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川部会長 ありがとうございました。本日は、議題1「集中的な指導監督結果等を踏まえた労働力需給調整機能強化のための追加的対応(案)等について」、こちらは公開の議論がございます。その次に許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査につきましては、資産の状況等、個別の事業主に関する事項を扱いますことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」という場合に該当しますために非公開となっております。
それでは、議題に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。では、議題1「集中的な指導監督結果等を踏まえた労働力需給調整機能強化のための追加的対応(案)等について」、事務局から説明をお願いしたいと思います。
 5月の部会でこのテーマで議論した際には、労働力の需給調整に係る政策と相まって、人材確保のために行われている政策につきましても、医療・介護等の分野を所管する部局から説明を求めたいという御意見を委員の方から頂きました。そこで、本日は、まず最初に医師・看護師・介護士の人材確保の取組につきまして、それぞれの担当部局から御説明をお願いしたいと思います。では、医師、看護師、介護士の順に御説明をお願いいたします。
○佐々木医師養成等企画調整室長 それでは医政局医事課から、資料1-1の医師確保について御説明させていただきます。まず1ページめくっていただきまして、医師養成数についてです。日本全体で見た医師数あるいは医師の養成数についての御説明になります。医師の養成数につながる医学部入学定員あるいは地域枠というものについてですけれども、もともと昭和48年ぐらいまでは、各都道府県の大学に医学部が1つもないような時代もありまして、そういったことから、まず1つの県に1つの医学部を作るということで、「無医大県解消構想」というのが昭和48年に閣議決定されました。以降、順次、医学部の定員が増えてきたという状況があります。その後、昭和56~59年ぐらいにかけて、ある程度医師が増えてきて、過剰にならないようにということで、少し減ったのですけれども、平成20年頃にかけて、改めて地域における医師の不足感というものが表れ、その際に臨時定員というものを設け、医学部定員を改めて増やしてきたという状況があります。直近、令和6年度につきましては、医学部の定員は9,403名まで伸びてきている状況です。
 次のページです。こういったことから、医師の全体数自体は右肩上がりに増加しておりまして、直近、令和4年では34万人ということで、この10年間で4万人程度増えてきている状況です。
 次のページですが、一方で、18歳人口当たり医師養成数がどのような推移になっているのかを、ここでお示ししております。以前は、1970年頃を見ていただくと、18歳人口千人当たり2.29人、つまり、436人に1人が医学部に進学するような時代でしたけれども、現在、2024年は約116人に1人が医学部に進学していて、このままのペースでいくと、2050年には、18歳人口当たり85人に1人が医学部に進学するような定員の数になっています。
 次のページで、需給推計というものを行っております。医師の供給数を赤のグラフで表しておりまして、需要を3つのパターンに分けて推計しております。真ん中の需要ケース2、年間960時間程度医師が時間外労働を行った場合のケースで想定した場合、およそ2029年頃に医師の需要と供給が均衡して以降、供給が需要を上回ると推計されておりますので、こういった点から、医師の定員数については、今後、増加のペースの見直しが必要ではないかということを考えております。
 以上が、医師の日本全国の全体像ですけれども、一方で、次のページ以降ですが、医師の偏在については、8ページにお示ししておりますけれども、こちらは医師の多い少ないを医師偏在指標というもので表しておりまして、上位3分の1を医師多数県、下位3分の1を医師少数県というように呼んでおります。これを見ていただくと分かりますように、医師の数については西高東低の傾向があるというような状況で、全国的には先ほどお示ししたとおり、供給が需要を上回るだろうというように推計されていますけれども、各都道府県で見ると、やはりまだ偏在があります。こういった偏在に対応するために、どのような取組を行っているのかということを、次のページでお示ししております。
 大きく分けて、一番左上の医師養成過程を通じた偏在の取組、各都道府県ごとに行っていただいている取組、また、効率的な人材活用ということで、医師の働き方改革、この3つを組み合わせながら偏在の対策を行っております。特に左上と右上について、次のページで御説明させていただきます。
 まず、医師養成過程を通じた偏在対策です。医師というものは、左に書いてありますように、学部教育6年を経た後に、臨床研修を終えて、その後に専門研修を行うことが一般的に行われております。まず、医師が入る医学部教育、医学部に入る時点で地域枠というものを設置しておりまして、この地域枠というものは一番上の真ん中に記載しておりますけれども、大学が特定の地域や診療科で診療を行うことを条件とした選抜枠というようなことで、こういった枠に入っていただいた学生さんには、都道府県が学生さんに奨学金を貸与して、一定期間指定する区域で従事いただくということで、必要な区域あるいは県に留まって勤務していただく方をこういった枠で確保しています。学部教育の後、臨床研修、専門研修とあるのですが、それぞれ各都道府県に対して多くなりすぎないような配慮で、一定の臨床研修の採用数のキャップを設ける、あるいは専門研修であっても、その専門医になるための研修の各病院だとか都道府県の定員の枠のキャップをはめて、多数県あるいは都市部に集まりすぎないような配慮を行っているというのが、医師養成過程を通じた偏在対策になっております。
 次のページです。こちらは先ほど申し上げた、右上のほうにあった各都道府県が行っている対策になっております。先ほど申し上げましたように、医師多数県・少数県というように偏在指標を用いて分けておりまして、真ん中に書いてありますように、各都道府県で「医師確保計画」というものを策定いただいて、3年ごとに医師がどれぐらい必要で、どのように医師を確保したらいいのかということを計画として定めて、その計画に従って都道府県は頑張って医師を確保することを行っていただいています。これを3年ごとにPDCAサイクルを繰り返しながら、特に医師少数都道府県においては、下位3分の1の線の所まで医師が増えるようにと思いながら、この偏在対策及び確保計画というのを策定いただいております。
 次のページです。こういった取組を通じて、35歳未満の医師の数がどれぐらい増えてきたかということをお示ししております。それぞれ医師少数県・中程度県・多数県に分けて、35歳未満の医師数の伸び率を平成24年から示しておりますけれども、見ていただくと分かりますように、医師多数県は平成24年から比較すると、大体4%程度、令和4年時点で4.6%ぐらい増えている一方で、少数県は27.8%伸びているということで、こういった対策が一定程度、若手の医師少数県の数に効果が出てきているのかなと認識しております。医師確保策につきましては以上になります。
○山川部会長 ありがとうございました。次は看護師についてお願いいたします。
○櫻井看護職員確保対策官 医政局の総括調整官・看護職員確保対策官の櫻井でございます。資料1-2について説明させていただきます。看護師等の確保につきましては、労働関係者の皆様のお力もお借りして進めさせていただいておりますことに感謝申し上げますとともに、まず、これまで以上に業所管部局において、頑張っていく必要があるというように考えておりまして、今日、現状の取組等を御説明させていただければと思っております。
 資料1-2の1ページ目です。こちらは看護職員の就業者数の推移です。3年に一度の統計で、2020年で看護師と准看護師等を全部足して、約173万人という形になっています。
 2ページです。これは都道府県別の人口10万人当たりの就業者数です。青色の所が全国平均を超えている所で、オレンジ色の所が未満の所で、首都圏等の都市部において、全国平均よりも少ない傾向があります。
 3ページです。左側の2025年の需要推計について、就業者数、約180万人ぐらいの需要があると見込んでいます。今のところ、3年に一遍の統計の増えていっている割合を見ると、大体これぐらいは総数としては確保できるのかなと思っておりますけれども、今後は若い世代、入学する者も減ってきたりしますので、より一層確保に努めていかなければいけないと思っているところです。
 4ページ、5ページは、各都道府県別の供給数と需要数の比較です。4ページ目は、2016年の供給数を、2025年の需要数で割ったものということで、1を割っていたら不足気味という形になりまして、5ページ目は、それを更に新しいデータの2020年の供給数を、2025年の需要数で割っているものです。オレンジ色の県が足りている県で、青色が不足という形になっておりまして、4ページと5ページを比べていただきますと、青色の県のほうが少し減ってきて、看護師確保に努めている効果が一定程度出ております。
 6ページです。領域別の看護職員数となっています。全体の総数としては一定程度足りていまして、領域によっては不足気味の所があり、右上にありますように、訪問看護事業所などで、今後、より一層の需要が見込まれます。
 7ページです。こちらは領域別の看護職員の求人倍率です。訪問看護ステーションのほうが非常に高い倍率となっています。
 8ページです。第8次医療計画における見直しのポイントという資料です。関係者の連携の下で都道府県・二次医療圏ごとの課題を把握して、対策を実施という形で都道府県のほうでもいろいろやっていただいているところですが、先ほど説明した内容ですけれども、都道府県・二次医療圏ごとに需給の状況に差異があるということとか、訪問看護の需要の増大が大きいので、ここをしっかり確保していかなければいけない、そのようなことをまとめさせていただいております。
 9ページです。看護職員確保に向けた基本的な施策についてまとめたものになります。3つの大きな柱といたしまして、看護職員の新規養成、職員に対する復職支援、定着促進という形で進めています。また、処遇改善ということで、この6月からは診療報酬改定でベースアップの評価料を導入したりと、そうしたこともやっているところです。
 10ページ、11ページは、具体的に新規養成とか定着促進に際して、都道府県に設置した地域医療介護総合確保基金を使って様々な事業を行っていただいているところで、それについての具体的な事業の参考の資料です。
 12ページです。都道府県に置かれているナースセンター、こちらは実際、都道府県の看護協会のほうが、県から頼まれてやっているという形になっていまして、こちらにおきまして、就業とか資質向上支援といった取組をハローワーク様とも連携いただきながらやっております。中央ナースセンターは日本看護協会のほうにやっていただいております。
 13ページです。都道府県ナースセンターにおける無料職業紹介の実施状況です。おおむね1万2,000件程度で推移していましたが、コロナのときのワクチン業務の関係がありまして、2021年度は数が増えておりまして、最新の2022年度は、1万3,700件程度という形です。
 14ページです。昨年、厚労省のほうで都道府県ナースセンターにおける職業紹介のあり方についての勉強会的な調査事業をやっておりまして、厚生労働省と日本看護協会、職業安定局と、自治体や有識者、病院の看護管理者なども交えて意見交換を行ったものでして、ナースセンターやハローワーク、民間の事業者様もお呼びして、それぞれどのような取組をなさっているかというヒアリングなどをさせていただいて、今後の改善につなげていきたいということでまとめさせていただいたものです。やはりナースセンターやハローワーク、民間事業者がそれぞれの強みを踏まえまして、今ある資源を可能な限りいかして、役割分担して、全員で力を合わせて確保していかねばならないと考えているところです。
 15ページです。いろいろな効率化等も今後は図っていかなければいけないと思っておりまして、2年に一度提出する業務の従事者届につきまして、令和4年度からはオンラインで出せるようにしていたところですが、令和6年度からは医療関係資格でのマイナンバー制度の活用も開始されることになっておりますので、令和6年12月の届出以降については、マイナポータルを通じたオンライン届出も可能にできるようにということを考えておりまして、システム改修等を行っているところです。
 16ページです。その関係ですけれども、看護職のキャリアデータベースというものを作りまして、医療従事者届出を行っていただいた後、本人の同意を得た方については、そのキャリア情報を都道府県のナースセンターのほうに提供する形で考えておりまして、これに基づいてナースセンターのほうが復職支援ですとか、キャリアアップについての情報提供をして、就業につなげていく取組を行っていくことを考えております。看護師確保の関係は、以上でございます。
○山川部会長 ありがとうございました。では、介護士につきましてお願いいたします。
○𠮷田福祉人材確保対策室長 失礼いたします。福祉人材確保対策室長です。介護分野について、資料1-3に基づいて説明させていただきます。介護人材の現状と対応ということで、かいつまんで説明をさせていただきます。4ページを御覧ください。第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数ということで、都道府県がサービス見込み量に応じて、介護職員がどれだけ必要かというのを推計しております。それに基づきますと、足元の実数で215万人ということですが、2026年度には240万人、2040年度には272万人で必要数が増えていくというような形になっております。
 5ページ目、介護職員数の推移ということで、実際の働いていらっしゃる方々の数の推移を示させていただいています。介護保険が始まってから右肩上がりで増えてきているところですが、直近では人手不足感が強まっているという中で、3年間で1.6万人、直近でいうと1年間で5,000人ぐらい増えてきているというような状況です。
 6ページ目、有効求人倍率などを整理しています。左側を見ていただければと思いますが、介護分野の有効求人倍率が非常に高くなっているということです。
 7ページ目は、離職率・採用率の状況です。離職率につきましては現場の方々の御尽力もあり、従前は非常に高い離職率ということで、御指摘も多かったところですが、現時点では13.1%というようなところで、全産業並みになってきているというようなところです。
 10ページ目です。今のような状況も踏まえつつ、介護人材確保の目指す姿ということで、「まんじゅう型」から「富士山型」ということで、これまでも申し上げてきたところです。富士山型を目指していくということで、専門性の高い人材のレベルアップを図りつつ、介護人材の必要数が増えてきておりますので、裾野を広げるということで、多くの方々に介護の分野に関わっていただくように取組を進めています。
 11ページ目です。さらに、この富士山型から最近は山脈型というようなことも申し上げております。一人一人のキャリアパスを充実させていくということで、事業所のマネジメントも重要ですし、それだけではなくて認知症ケア、看取りケアなど、専門性を高めていく。また、地域包括ケアということで、地域の方々に介護の分野のことを知っていただく。いろいろなキャリアパス、キャリアアップしていくステップがあるのかなと思っており、お一人お一人が御事情、御意向を踏まえつつ、こういうキャリアを選んでいけるような仕組みを、研修なども含めて作っていかないといけないと考えています。
 具体的な対策として、12ページです。総合的な人材確保対策として、5本柱で取組を進めております。左側に項目が書いてありますが、処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止、定着促進、生産性向上、ICTなどはこちらのほうに含まれております。また、介護職の魅力向上、外国介護人材の受入れ環境整備ということです。
 個別施策については13ページ以降に記しています。例えば処遇改善については、逐次の改善を図っています。14ページ目で、令和6年の直近の報酬改定でも、処遇改善加算を一本化して加算率を引き上げるというような取組を進めています。
 16ページを御覧ください。裾野を広げる、多くの方々に介護に関わっていただくということで、介護福祉士の養成施設があります。そこで学ばれる方の学費などの貸付をし、右側にも書いてありますが、5年間、福祉・介護の現場で働いていただければ返済を免除するというような仕組みを設けています。
 17ページ目です。裾野を広げるという観点から、入門的研修、非常にハードルを下げた研修、介護の分野に関わっていただく第一歩として、こういう研修を都道府県、市町村のほうでやっていただくようなお願いをさせていただいています。
 関連する資料が続いていますが、21ページ目です。福祉人材センターについてです。有料職業紹介の様々な御指摘を頂いているところで、福祉人材センターについては、福祉に特化したような形で無料職業紹介を進めるということで、この役割は非常に大きいと思っています。
 具体例として22ページ目以降に付けていますが、福祉の裾野を広げる、施設体験をしていただいているケースもありますし、23ページでいうと、ハローワーク、介護労働安定センターとの連携をしています。24ページ、きめ細かな職業紹介という観点から、市町村との連携というようなところもやっていただいていまして、地域の実情に応じた特色のある取組をしていただいています。
 27~29ページの辺りには、福祉人材センター、今申し上げたような良い取組を横展開していくという、またしっかりと評価をしていくというようなことが必要かと考えていまして、都道府県、また中央の福祉人材センターにお願いする通知なども先般、発出しているところです。
 30ページです。生産性向上の観点です。ICTなどを導入して職員の方々の業務負担の軽減を図っていくということで、様々な観点から取組を進めているところです。
 31ページ目などに、我々が示しているガイドライン、いろいろな要素がございます。業務を切り出したり、記録の工夫をしたり、OJTの仕組みを作ったりというようなことで、いろいろなチェックポイントがありますので、こういうものにのっとりながら、現場で工夫をしていただけるようなサポートをしています。
 生産性向上の資料が続いていますが、39ページです。「介護の仕事魅力発信等事業」の取組強化というところで、介護の仕事のイメージがどうしてもネガティブなものが散見されるというようなこととか、社会的評価の向上を進めていかないといけないというところで、情報発信を進めていく。特に最近においては介護職御自身の言葉で発信していただくことの重要性というのもあるだろうということで、自らの仕事を言語化して情報発信していただくような取組を進めているところです。
 具体的に40ページに取組事例ということで、広島県の「カイゴのガッコウ」というので、小中学校への働き掛けなどもしつつ、イベントとして様々な介護に関わる方、ここには住職さんなどの写真がございますが、幅広い方々に関わっていただいて、介護の仕事の実情・実態を知っていただくような取組を、各都道府県で工夫等をしてやっていただいているところです。
 41ページ目です。ここからは外国人です。今、多くの外国人の方々が介護分野で活躍いただいております。今、4ルートありまして、特に最近、技能実習、特定技能で入ってきていただいている方が増えてきています。特に特定技能の方々が、3万5,000人ということで、コロナ以降、多くの方々に新たに入ってきていただいているところです。取組としましては、日本の介護は自立支援、尊厳などを大事にして取り組んできたものですが、介護の仕事の現場では多くの外国人の方々に働いていただいていますので、その生の声もお伝えしながら、日本の介護について、海外各地でしっかりとPRするといった取組や、43ページ目、日本語学習ということで、来ていただいた方に定着支援、長い期間働いていただけるようにということで、日本語学習を進めたり、また介護福祉士の国家試験に受験をしていただくように促すような対策講座も始めておりまして、日本に関心を持って来ていただいた方に、良い環境で長い期間働いていただけるような取組を、関係団体とともに進めているところです。
 44ページ目では、直近で検討会も開いておりまして、今までは施設などでの従事が認められていましたが、外国人の方々についても、一定の条件の下、訪問介護などに従事していただけるような方向で有識者の方々に取りまとめていただいているところです。
 45ページ目に介護福祉士の資格の概要なども付けさせていただいております。46ページ目が今の試験の状況です。合格率は8割を超えていますが、グラフを見ていただければ分かるとおり、受験者数が減ってきているところです。今後も介護ニーズは増えていきます。また認知症の方、一人暮らしの高齢者の方が増えていく中で、介護ニーズが高まっていく中で、専門性の高い介護福祉士の方々に多く働いていただく必要があるという状況は変わらないところです。
 その中で47、48ページ目ですが、働きながら試験を受けるという形の方々も多くございます。就労と学費の両立が難しいというお声も聞いておりますので、試験の仕組みを少し変えてはどうかというような御議論を、有識者の方々にしていただいています。具体的にはパート合格ということで、今は1つの試験なのですが、Aパート、Bパート、Cパートと3つぐらいのパートに分けて、それぞれのパートで合否判定をしていくというような工夫です。これで仕事と学習の両立を支援していく、学習しやすい、一人一人の状況に応じた学習を促すような取組につなげていきたいということで、検討を進めています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまのそれぞれの説明について、御質問等がありましたら、挙手をお願いします。Zoomで参加の皆様は、Zoom内の「手を挙げる」機能を使うか、画面に映るように挙手をお願いいたします。御質問、御意見等ございますか。
○原委員 ありがとうございます。資料1-1の6ページ、医師の需給推計についての表の見方なのですが、これはいずれ医師の需給が均衡するので、医師の供給をコントロールしていかなければいけない、そういった趣旨の資料でしょうか。
○佐々木医師養成等企画調整室長 御質問いただきありがとうございます。こちらは医学部の定員数を検討するに当たって、やはり需給がどうなっていくのかというのは非常に重要なポイントでしたので、そういった検討のために、この資料を作成したという経緯でございます。
○原委員 ありがとうございます。そうしましたら、この需給推計のケースの1~3まで、いずれも決して短くない時間外労働を前提にしていると思うのです。そうしますと、本来はもっともっと需要が大きいというように考える余地もあるわけで、つまり、この時間外労働折り込み済みの需要推計からいくと、比較的早くに(需給の)均衡が来るわけですけれども、そうでなければもっともっと均衡がこないということもあるわけなので、なぜ需要推計のケース1~3については、いずれもかなりの(短くない)時間外労働が前提になっているのでしょうか。
○佐々木医師養成等企画調整室長 御質問いただきありがとうございます。こちらは医師の働き方改革を行っていくに当たって、やはり最も労働時間が長いケースというのは、今の法律上は1,860時間となっている状況です。一方で、通常、都道府県に指定申請せずに時間外労働、働ける特別なルールとしては960時間まであって、一般的な医師の時間外の母集団を見てみますと、以前は1,860時間以上働いておられる方は1割ぐらいおられたような状況があって、それは徐々に少なくなってきてはいるのですが、医師の労働時間の実態を見ると、そういった適用のルール、1,860時間、あるいは960時間といったものを目安に、この推計を行ったというのがあります。ですので、先生の御指摘のとおり、より労働時間を短くするのであれば、それはそれだけの需要がもっと増えるというようなことはあり得るかと思います。
○原委員 ありがとうございます。実態に即した資料ということだと思うのですが、原点に立ち返ると、時間外労働は本来違法なわけなので、そういったことを考えますと、確かに実態として時間外労働を折り込むということはあり得ると思うのですが、長時間労働を前提とした推計で検討していくということだけではなくて、本来的な法定労働時間も考慮したような形の推計もあるといいのかな、と感じた次第です。
○山川部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等ございますでしょうか。
○冨髙委員 丁寧な御説明ありがとうございました。様々なお取組をされているということに、まず敬意を表したいと思います。
 連合の実施している労働相談において、医療・福祉分野からの相談件数は、ほかの分野と比較して多く、その内容は、労働時間や賃金、ハラスメントなど様々でございます。様々な人材確保策が講じられていると思いますが、そうした相談実態を踏まえますと、更なる待遇や職場環境の改善が重要なのだろうと改めて思いました。これは本部会だけで解決できるものではないですが、これらの分野に対して継続的な待遇改善等に向けた後押しと支援を政府全体として行っていただきたいと思います。
 それから、人材確保という点でいうと、スポットワークの利用ということもございます。安全・安心な医療・福祉の担保の観点、また労働安全衛生の面でいうと、こうした形態の広がりによる様々な影響もあるのではないかと思っております。厚労省におかれましてはトラブル事例の収集をはじめ、労働市場への影響も含めて注視していただきたいと思っております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。以上は御要望かと思いますが、何かございますか。よろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見等はございますか。
○奈良委員 ありがとうございます。医師の需給推計について私も2、3お伺いしたいのですが、これは医師に限らず、看護師の方も、あるいは場合によっては介護士の方もということになると思うのですけれども、こういった分野の需要というものを考えると、やはり今後の、例えば日本の社会的な高齢化が伸展していく、それから、場合によっては、先般のような新型感染症の拡大といったような、ある意味読めない事態、あるいはもう少し幅広で推計しなければいけないような事例というのがあると思うのです。であれば、取りあえず医師や看護師の担い手の確保については、もう少しこの需要推計に余裕を持たせた見方も必要になるのではないか。感染症のときなどがいい例でしたけれども、場合によっては本当に日本の医療が持たなくなるような、そういう事態にも立ち至る可能性があるわけで、そうしたことも見据えた従事者の確保、処遇の改善等を是非、関係機関にはお願いをしたいなと思っています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。何かございますか。医師に限らないというお話ではありましたが、よろしいでしょうか。では、御要望ということで、ほかに御質問、御意見等ございますか。それでは、ございませんでしたら、御説明、大変ありがとうございました。
 続いて、資料2-1、2-4の説明を事務局からお願いいたします。
○藤本需給調整事業課長補佐 それでは需給調整事業課から、資料2-1雇用仲介事業の現状について説明いたします。本資料では、人と仕事を結び付ける雇用仲介事業から見た労働市場の状況と、併せて雇用仲介にも幾つかの業態がありますので、それぞれに係る現行の規制内容を説明いたします。
 2ページ、入職経路を御覧ください。こちらのスライドでは、新卒以外の入職経路をルート別の割合で見たものを載せております。左側が全職種合計での数値、右側が医療及び福祉のみの数値であり、ハローワーク、民間の職業紹介、また募集情報等提供事業者による求人情報の提供や、その他広告によるものを契機に就職した割合などを示しております。
 次の3ページのスライドでは、雇用仲介事業について近年多様化している状況を視覚的に御覧いただくものを御用意しております。右側の絵のように、近年は職業紹介事業については取り扱う職種や年収帯が拡大していること。また、募集情報等提供事業については、ネット上のものが中心となったほか、業態としても人材データベース型、これは求職者の情報をデータベース化し、求人企業側がこれにアクセスして、「これは」と思う人材にスカウトメール等で直接アプローチしていく形態ですが、こうしたものも含めて業態の多様化が見られるところです。
 続く3枚のスライドは、雇用仲介の代表的な形態について簡単に特徴をまとめたものです。最初のスライドが職業紹介事業で、次のスライドが募集情報等提供事業のうち、比較的従来型の求人メディア型のものです。6ページが、先ほども述べました人材データベース型のもので、後ほど御覧いただければと思います。7ページ以降が、こうした雇用仲介事業に関する現行規制の内容です。直近の法改正は一昨年、令和4年の職業安定法の改正で、そのときの基本コンセプトをまとめたのがこの7ページのスライドです。先ほど申したような業態の多様化等の状況を踏まえ、新たな形態のサービスも含め、募集情報等提供事業の定義を拡大する。届出制を取り、事業概況報告もしていただく。そのほかにも、雇用仲介に関わる基本ルールとして、それまで職業紹介事業には適用されてきた幾つかの重要な規定について、募集情報等提供事業にも適用することとしたというものです。さらに具体的な内容としては、8、9ページに掲載しております。
 その上で10ページですが、雇用仲介事業全体に係る規制の状況をまとめております。雇用仲介事業の中には、職業紹介事業と募集情報等提供事業とそれぞれあるわけですが、私どもの基本的な考え方としては、人と仕事を結び付ける雇用仲介をする以上、共通して適用すべき基本ルールがあるという点。その上で、業態に応じたルールを設けていく。要すれば、労働市場において果たす役割や影響といった点に鑑みて、同じような役割、影響を及ぼす所については同じルールとしつつ、違いのある所は違いに応じたルールを設けていくという発想です。
 こうした考え方に立ちつつ、現行のルールとしてはどういった仕分けになっているかを整理したものが、こちらのスライドです。共通ルールとしては4点ほどあり、求人等に関する情報の的確な表示、個人情報の適切な取扱い、苦情への迅速・適切な対応、事業報告書の作成・提出といった点です。違いがあるルールとしては5点ほど記載しております。まず事業の監理面について、職業紹介事業は許可制、募集情報等提供事業は届出制という違いがあり、また帳簿書類の作成、業務責任者の選任といった点についても、法的義務のある、なしの違いがあります。それから事業運営面についても、紹介事業については求職者への金銭提供、いわゆるお祝い金の提供を指針で禁止し、また手数料に関する明示義務を法律で求めておりますが、募集情報等提供事業のほうには、こうした指針の規制や法的義務は課されておりません。
 最後に11ページですが、特定募集情報等提供事業者による求職者への金銭等の提供の状況について、主なタイプや実例をまとめたものを御紹介いたします。令和6年4月1日現在、人材サービス総合サイトにおいて掲載されている特定募集情報等提供事業者1,090事業者が運営する主なサービスを確認したところ、こちらに記載しています①~⑤の主なタイプに分けられ、このうち①~③に該当するサービスを運営する事業者の割合は約6%、数でいいますと65社でした。
 主なタイプ①として、就職後一定期間後又は継続勤務時に定着支援金として支払うものがありました。例としては、60日以上勤務した場合に3万円支給するものや、30日以上勤務した場合に最大3万円支給するものなどがありました。主なタイプ②として、求職者集めのため支払うものがありました。例としては、面接に参加した場合に1人1回、電子ギフト券1,000円を支給するもの、知り合いを紹介した場合に、紹介した方、された方の両者に電子ギフト券1,000円を支給するもの、サイトに登録した際に、抽選で高級肉が与えられるものなどがありました。主なタイプ③として、成功報酬確保のため支払うものがありました。例としては、3か月以上勤務で最大5万円が支給されるものや、就職が決まった際に1万円支給、更に口コミの投稿により抽選で5万円支給されるものなどがありました。主なタイプ④としては、満足度等のためのアンケート調査に支払うものがありました。例としては、テーマ別のアンケートに回答することで、抽選で電子ギフト券1万円又は500円が支給されるものや、サイトを通じて転職が決定した者にアンケート調査を行い、回答者全員に電子ギフト券5,000円が支給されるものなどがありました。主なタイプ⑤としては、就職フェアへの参加に支払うものがありました。例としては、転職フェアへの来場、ブース訪問及びアンケート調査回答などにより、ギフトカード500円分が支給されるものや、転職フェアに事前予約の上、初めて来場し、条件を満たした場合に、電子マネー5,000円分が支給されるものなどがありました。
 雇用仲介事業の現状としては今御説明したとおりですが、今後とも労働市場の状況や法の施行の状況等をよく検証しながら、よりよく機能する労働市場づくりを目指していきたいと考えておりますので、現在の状況として説明させていただきました。資料2-1は以上です。
○井上人材確保支援総合企画室長 続いて、資料2-2に基づき、ハローワークにおける人材確保の取組について、人材確保支援総合企画室より説明いたします。2ページを御覧ください。全国の主要なハローワーク117か所に、医療・介護・保育といった分野を対象とする人材確保対策コーナーを設置し、求人者に対する充足のためのコンサルティング、また求職者に対しては担当者制による相談・紹介といったものを実施しております。また、取組事例を御覧ください。病院など、施設見学と組み合わせたツアー型の面接会や、業界を知ってもらうための相談会、セミナーといったものも開催しており、関心を持つ求職者の掘り起こし、そしてマッチングにつなげるための取組を進めてきているところです。令和5年度は、コーナーを通じて約5.3万人、ハローワーク全体では約17.2万人の方がこの分野に就職をしております。3ページは実績ですので、説明を割愛いたします。
 4、5ページを御覧ください。先ほど申し上げた求人充足のためのコンサルティングの事例になります。4ページは、求人者への応募がない場合に、求人者の皆様に例えば転勤の範囲又は勤務時間といったものについて、少し要件を見直して応募できる求職者を増やすための条件緩和の提案をさせていただいたり、併せて事業所見学会や面接会をセットさせていただき、実際に充足に結び付いたものを紹介しております。今後とも、こういった取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
 少し飛びまして6ページを御覧ください。介護分野については、先ほど離職率全体は下がってきているというお話がありましたが、その一方でこの資料の上のほうにもありますように、まだまだ離職率が3割を超えるような事業所も一定数存在しております。こういった離職率が高くて従業員の定着に課題を抱えているような事業者に対して、ハローワークにおける求人充足の支援と、介護労働安定センターによる雇用管理をよくしてもらうといったサポートをセットにした取組も、昨年の10月から新たに開始したところです。
 もう1点、ハローワークの関係の取組として、7ページを御覧ください。若い層を中心としてスマホを利用して求職活動を行うことが一般的になっておりますが、ハローワークにおいても資料にありますように、令和2年1月からオンラインによる求人・求職の申込みを可能とし、また令和3年9月からはオンラインによる職業紹介、また求職者から求人者への直接応募、令和4年3月からは、求人者から求職者への直接のリクエストといったものを可能とするなど、段階的に拡充を進めてきたところです。直近では、求職者の約4割弱、そして求人者の8割の方々に、こういったオンラインのマイページサービスを御利用いただいておりますし、ハローワークインターネットサービスの求人検索の画面には1日約236万件のアクセスを頂いております。ただ、操作性の部分については課題があると認識しておりますので、そういったものを改善しつつ、こういった機能の拡充を図ってまいりたいと考えております。窓口での対応、そしてオンラインを含め、公的機関における人材確保支援に、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
○喜多見副主任需給調整事業指導官 続いて資料2-3、募集情報等提供事業者によるお祝い金等の提供事例について、需給調整事業課から説明いたします。先ほど、資料2-1の11ページにおいても紹介いたしましたが、募集情報等提供事業者による労働者になろうとする方への金銭等の提供については、趣旨・目的は様々ですが、金銭等の提供による離転職の誘引効果や、当該事業者を利用する施設や企業、募集をする事業者との報酬に関する請求のトラブルのきっかけとなる例など、国内の労働市場に与える影響、適正な労働力需給調整機能の観点からも問題が生じていると認識しております。これについて把握した主な事例を今般取りまとめましたので、紹介いたします。
 本資料は、令和5年の2月からで、この令和5年2月というのは、都道府県労働局に医療等3分野の特別相談窓口を設置して以降、今年の6月までに募集情報等提供事業者による金銭等の提供事例について、都道府県労働局に寄せられた、又は厚生労働本省において把握した相談事例のうち、主なものをまとめたものです。大まかなエリアや時期、相談者の主体、相談内容については、今般の資料で25の事例を掲載しておりますが、時間も限られておりますので、簡潔に紹介いたします。
 掲載している相談事例内容は、大きく4つの類型に分けることができます。まず1つ目の類型は、金銭等の支給が離転職の誘導につながっているのではないか、労働局において行政指導を行うべきではないかという御意見を、4事例掲載しております。そのうち2つを紹介いたします。2ページの連番1の事例です。これは募集者からの相談で、「薬局を経営しているが、お祝い金目当ての薬剤師の転職者が増え、人材確保と採用コストに苦しんでいる。同じ苦労を抱える薬局が多い。お祝い金による転職の撲滅に努めてほしい」との内容でした。また、4ページ、連番12の事例です。「募集サイトを通じて採用したけれども、採用後2か月経過後に退職してしまった。同サイトでは、就職後2か月経過後に採用者へお祝い金を支給している。同サイトに支払った手数料は返金してもらえないのか。同サイトの苦情窓口に電話したところ、採用後1か月以内の退職でないと返金できない等と言われた」との内容でした。
 2つ目の類型ですが、これは求職者への金銭等の提供が手数料や課金の高額化につながっているのではないかという御意見です。こちらについては3事例掲載しており、そのうち2つを紹介いたします。資料の3ページ、連番7の事例です。これは「複数の募集サイトにおいて、就職決定者に対してお祝い金を支払っているが、その原資は募集者が同サイトに支払う手数料であり、その高額化につながっている。そして、こうしたお祝い金は診療報酬から支払われることになることを労働局が認識してほしい」という御指摘でした。また、同じく3ページの連番8の事例ですが、これは「人材会社を利用した際、採用手数料を支払ったが、その後、人材会社が応募者に対し支度金として渡していた。こうした費用は、社員サービス、利用者のために使いたい」という御意見でした。
 続いて、類型の3つ目です。これは、利用料金や違約金に関するトラブルに至った事例について7事例、今般の資料に掲載しております。例えば、複数の募集サイトから料金を請求されたという事例で、資料の3ページの連番10の事例です。これは、複数の募集サイト、A社、B社と置いておりますが、これを利用している募集者からの相談で、「ある労働者を採用した際にB社に料金を支払ったけれども、その後A社からも同様に情報提供に係る料金請求を受けている。A社から、支払いがなければ違約金を請求することも示唆されている」という事案でした。これは、採用された労働者の方が、金銭等の誘因からA社、そしてB社両方に対して採用決定の報告をしていることが、このような複数の事業者からの請求の原因になるものとみられます。また同様の事例として、5ページに掲載の連番17の事例があります。
 また、ハローワーク経由で就職した労働者からも、金銭等が誘因となって募集サイトに対して採用決定の報告がされることがあり、募集者側が以前利用したことのある募集サイトから情報提供に係る請求や不払いへの違約金請求を受けた例として、こちらも5ページに掲載の連番18の事例、そして、6ページに掲載しております連番23の事例があります。このほか、直接採用したと認識する労働者について、それ以前に受けた情報提供への料金や違約金を請求されるというトラブルに、金銭等を誘因とする労働者からの採用結果報告が関係している例として、3ページに掲載しております連番9、4ページに掲載しております連番11、6ページに掲載しております連番24の事例があります。
 最後に類型の4つ目は、同じ事象が生じているのに、なぜ職業紹介事業しか労働局が指導しないのかという指摘があったという事例です。事業者による金銭等の支給に関して、職業紹介事業については安定法の指針の規制が及ぶところですが、募集情報等提供事業には及ばないということについての御意見がありました。また、労働局に対しての弁護士の方からのリーガルチェック的な照会で、これは顧問先の事業者が今後ビジネス展開を考える上での照会として、規制外であることの確認という内容です。これらは掲載事例中11事例ありますが、1例紹介いたします。4ページの連番14です。これは、ある募集サイトから仕事を請け負った方からの紹介で、「当該サイトに掲載されている就業応援金の提供は、職業安定法に抵触しないのか。当該事業は、特定募集情報等提供事業だとしても、当該サイトのホームページには運営主体である紹介会社の概要が出ている。それを見れば、職業紹介事業者がお祝い金の規制逃れのため兼業する事業の下で行っていることが明確であり、違法ではないか」という内容でした。
 以上が、本資料に掲載する事例の4類型についての説明です。これらの掲載事例について、相談いただいた方の分類、属性で申し上げますと、これはやはり募集者、具体的には求人施設や求人事業者からお寄せいただいた事例が最も多くて、25事例中14事例あります。続いて紹介事業者、そしてその他弁護士、あとは応募者個人からの順番になります。また地域別で申し上げますと、関東地方が25例中15事例あり、続いて近畿が4事例という内訳です。ブロック別で整理しておりますが、大都市での事案が特に顕著であるという内容です。資料2-3の説明は以上です。
○藤本需給調整事業課長補佐 続いて資料2-4、集中的な指導監督結果等を踏まえた労働力需給制度機能強化のための追加的対応(案)について説明いたします。これまで、有料職業紹介事業者の事業情報の見える化、集中的指導監督、ハローワークの機能強化などを進めてまいりましたが、今後の取組について、1.職業紹介事業のみならず、募集情報等提供事業も含めた上で、法令順守徹底のためのルールと施行の強化、2.雇用仲介事業の更なる見える化、3.ハローワーク等の公的職業紹介機能の強化の3つを柱とすること。また、その際、公的機能については医療等3分野を中心に強化をしつつ、民間の事業については労働市場全体の需給調整機能強化のため、3分野以外も含む事業全体について措置すること、というのを5月の本部会でお示しをし、御議論を頂きました。
 今回、これまで頂いた御意見も踏まえ、追加的対応の具体的な内容について案を作成いたしましたので、この資料でお示しをいたします。2ページ以降に具体的に記載しております。左の列には追加的対応の柱、中央の列には各事項について本部会においてこれまで頂いた主な御意見、右の列には追加的対応の具体的な措置の案を記載しております。
 それでは、具体的に説明いたします。「1 法令順守徹底のためのルールと施行の強化」のうち、①お祝い金・転職勧奨禁止の実効性確保です。法令順守徹底のための取組については、これまでも、「事業者を業務改善命令や指導のレベルで抑えていくことは非常に重要。」「集中的指導監督の結果、違反事業所の割合が約6割と非常に大きな懸念がある。違反内容を見ると、遵守して当然の部分での違反であり、引き続き指導監督など健全な市場環境の整備に向けて取り組むべき。」「今後も着実に取組を実行し、引き続き健全な市場環境の整備に向けて取り組んでいただきたい。」といった御意見を頂いております。
 これらを踏まえ、現在、職業安定法に基づく指針において規定しているお祝い金と転職勧奨の禁止について、職業紹介事業の許可条件に加えることとしたいと考えております。これにより、指導監督にもかかわらず、違反が継続・反復する場合は、許可取消の対象となります。
 続いて、②募集情報等提供事業に係る対応について、頂いた御意見を紹介いたします。「法令の周知徹底や監督指導はもちろん重要だが、現在の法制度で十分なのかについても検討が必要。」「特に、労働者の雇用の安定や雇用仲介事業全体の健全化を図る観点から、募集情報等提供事業者にもお祝い金の禁止といった職業紹介事業者と同程度の規制を検討してはどうか。」という御意見。また、一方で、「募集情報等提供事業は、職業紹介事業とは事業形態が明らかに異なっており、直ちに職業紹介事業と同様の規制を行うことは適切ではないのではないか。」という御意見。また、「ビジネスモデルや求職者、求人者へ及ぼしている影響等実態把握を図るべき。人手不足の中で募集情報等提供事業が果たす役割は大きくなっており、事業の健全な発展を目指すべき。」という御意見。また、「募集情報等提供事業者に同じルールを適用するのは少し違うかとも思うが、職業紹介事業と募集情報等提供事業を兼業する事業者には、同じようなルールを適用する等考えなければいけないことになるのだろう。」という御意見がありました。
 このように、募集情報等提供事業者にも、職業紹介事業者と同程度の規制を検討してはどうかという御意見があった一方で、直ちに職業紹介事業と同様の規制を行うことは適切ではないのではないかという御意見もありました。
 私どもとしては、現在及び今後における人手不足の状況や、その中でも進行する求人・求職のミスマッチを緩和・改善するためには、労働市場における需給調整機能の強化が重要であり、職業紹介事業、募集情報等提供事業などの雇用仲介機関が、それぞれの特性をいかしつつ、適正な労働力需給調整に果たす役割は大きいものと考えております。
 先ほど資料2-1でも少し触れましたが、令和4年の職業安定法改正においても、こうした考え方に立ち、適正な労働力需給調整を担う点に着目して、的確表示等、職業紹介か募集情報等提供事業かという業態の違いによらず、共通して適用することとするルールを設ける一方で、許可制と届出制の違いに代表されるように業態の違いを踏まえた各ルールを適用しているところです。
 このような基本設計にある中で、現在労働者になろうとする者に対して行われる金銭等の提供については、その趣旨・目的は様々なものがあるとしても、労働市場に与える影響という観点から見ると、労働者の行動選択に影響を与え、金銭等の誘因による離転職など、適正な労働力需給調整機能への望ましくない影響があると考えております。
 このほか、労働者が金銭等の提供を受けるため、その登録する複数の募集情報等提供事業者に対して、就職の報告をすることが原因となって、求人企業が複数の募集情報等提供事業者から成功報酬を請求されるといった違約金請求にも発展し得るような事案も増えるなど、業界の裾野が広がる中、トラブル等が生じており、業界の健全な中長期的発展という観点からも、懸念すべき事態となっております。
 このような状況を踏まえて、追加的対応としては、募集情報等提供事業の労働者の登録から就職、定着までの全ての過程において、金銭等の提供を原則禁止とする規定を、職業安定法指針に設けることとしたいと考えております。規定ぶりについては、職業紹介事業について設けている現行の規定と同様のものを想定しております。なお、今般の措置の趣旨である、金銭等の誘因により労働市場における適正な需給調整機能の発揮に支障が生じないようにすることという点に照らして、これに該当しないものとして、例えば次に申し上げるようなものを明確に示すこととしてはどうかと考えております。①提供するサービスの質の向上を図るため、サービスの利用者からアンケート等への回答を求める場合であって、回答者全てに対してではなくて、抽選による少数者に対して500円程度の電子ギフト券を提供するもの。②イベント来場者を確保するため、転職フェアの来場及びブース訪問者に対して、500円程度の電子ギフト券等を提供するもの。これは、求人サイトへの登録の対価として提供されるものを除きます。これらを明確に示すこととしてはどうかと考えております。
 続いて、4ページです。「2 雇用仲介事業の更なる見える化」のうち、①職種ごとの紹介手数料実績の見える化についてです。頂いた御意見を紹介します。まず、「有料職業紹介事業の更なる透明性の確保に向けて、継続的な取組を求めたい。」という御意見。「得られる効果と事業者の負担のバランスという観点を押さえること。」「紹介手数料の開示について、公正な競争を阻害することがないよう、例えば手数料率による表示を可能とするといった工夫があるとよい。」という御意見。また、「紹介手数料に一定の制限、あるいは支援策を設定するなどの検討。」「紹介手数料について、常勤・非常勤という点についても見える化すること。」といった御意見。「優良な職業紹介事業者の更なる推奨と、それによる悪質な事業者の淘汰。」「人材サービス総合サイトの更なる浸透と、記載の正確性を担保すること。」といった御意見を頂いております。
 これらを踏まえて、追加的対応としては、職業紹介事業者に手数料実績の公開を義務付けることとしたいと考えております。具体的には、職業安定法施行規則の改正により、職種ごとの常用就職に係る平均手数料率の実績を、人材サービス総合サイトに開示するよう規定したいと考えております。なお、手数料実績公開の対象としては、各事業者の取扱い上位5職種に限ることとし、紹介が年間10件以下にとどまる職種は対象外としたいと考えております。また、手数料は年収などに対する率ではなく、定額制で定めている職業紹介事業者もあると認識しているところ、そうした事業者については手数料率に代えて、当該定額を開示することとしてはどうかと考えております。
 続いて、②違約金等に係るトラブルへの対応です。違約金については、5月29日の本部会において、医療等3分野特別相談窓口に寄せられた主な相談内容を紹介する資料の中で記載し、また先ほど御覧いただきました金銭等の提供に関わる事例集の中にも入れております。募集情報等提供事業者について、「不採用後1年以内に直接採用した場合に違約金が適用された」。また、「利用規約が明確でなく、成功報酬のほか、職場見学にも料金を請求された」。「一定期間経過後に課金される募集広告について、無料と説明され契約したのだけれども、その後課金された」などのトラブルが報告されています。
 これらを踏まえ、追加的対応としては、募集情報等提供事業者の利用料金、違約金規約の明示を義務化することとしたいと考えております。具体的には、職業安定法に基づく指針を改正し、利用者に誤解が生じないよう、規約の内容を分かりやすく記載した書面や電子メールにより、正確・明瞭に提示することを規定することを考えております。なお、違約金規約の明示については、職業紹介事業者にも同様に求める旨、同じように指針に規定することを考えております。
 続いて6ページです。「3 公的部門における職業紹介機能の強化」です。こちらについては、本部会においても、「ハローワークの機能強化には強く期待。昨今の求職者の活動では、オンラインの活用が増加していることを踏まえ、システムの利便性や機能強化も含めて、具体的な策を示してほしい。」といった御意見を頂いておりました。追加的対応案としては、ハローワークの機能強化ということで、医療・介護・保育分野等での人材確保を支援する専門窓口の体制整備、ハローワークインターネットサービスの操作性の改善など、オンラインサービスの充実、求人充足と職場定着のための雇用管理体制等の支援の推進等を考えております。
 以上が追加的対応の案となりますが、欄外にも注を付しましたとおり、民間の事業に係る1及び2については、医療等3分野以外も含む事業全体について措置するもの、そして、3の公的部門については、医療等3分野を中心に強化するものとなります。
 続いて、次のページです。その他として、今挙げたもの以外に頂いた御意見の対応についても御紹介いたします。返戻金の問題について、「医療等だけではなく、職業紹介全般においても公平な負担の原則は必要であり、きちんと対応していくべき。」、認定制度については、「返戻金の期間に関する認定基準の追加が有効に機能するかの検証を行いながら、必要に応じて更なる見直しも検討していくことが重要。」との御意見を頂戴しております。
 厚生労働省の対応としては、早期離職に対する一定の抑止効果と求人側の安心や納得に資するものとなるよう、当該認定制度の認定基準を強化し、「6か月までの離職を対象とする返戻金制度を有すること」を新たに認定基準に追加し、令和6年度から適用したところです。また、業所管における対応についても御意見を頂戴しましたところ、現在行っている対応としては、先ほど医政局、社会・援護局から説明があったとおりです。今後とも、業所管部局と連携をしながら取組を進めてまいります。資料の説明は以上です。
○山川部会長 ただいまの説明について、御質問、御意見等がありましたら、挙手をお願いいたします。Zoomの参加の委員は、先ほど申しましたような方法でお願いいたします。平田委員、お願いします。
○平田委員 意見を申し上げます。まず、資料2-4のスライド2の、職業紹介事業に関する追加的対応案についてです。事業の健全な発展、労働市場の適切な機能発揮という観点から、現状の指針において規定されているお祝い金、転職勧奨禁止を職業紹介事業の許可条件に加えることで、お祝い金、転職勧奨禁止の実効性を高めるという意図は理解しました。ただし、最終的に許可取消につながり得るため、指導監督にもかかわらず、違反が継続・反復する場合の要件を明確にしていただいて、各都道府県の労働局において運用を統一していただきたいと思っております。
 次に、同じく資料2-4のスライド3の募集情報等提供事業に関する追加的対応案についてです。職業紹介事業と募集情報等提供事業の事業形態の違いを踏まえ、両者で異なる対応策を検討したこと、募集情報等提供事業において金銭等の提供に係る事例を整理し、その実態を明らかにしていただいたことは評価したいと思っています。その上で確認も含めて意見を申し上げます。募集情報等提供事業においては、求職者のニーズの多様化を踏まえて、デジタル技術を活用しながら様々なサービス・事業を展開していると理解しております。こうした中、今回の措置は、あくまで金銭等の提供によって、労働市場における適正な需給調整機能の発揮に支障を来すサービスあるいは事業が対象であると理解しましたが、そういう理解で間違いないでしょうか。
 もう1つ確認です。募集情報等提供事業において金銭等の提供を原則禁止とするに当たって、社会通念上相当と認められる程度を超えた金銭等の提供に該当するか否かは、金額の多寡に限らず、実態に応じて総合的に判断されていくものと理解しましたが、それでよいでしょうか。その上で確認ですが、今回の措置の趣旨は、金銭等の誘因によって、労働市場における適正な需給調整機能の発揮に支障が生じないようにすることだと理解しております。こうした趣旨に照らして、措置の対象外として明確化できる事例が、現時点で①と②と整理されており、すなわち2例あると理解しましたが、このような理解でよいでしょうか。以上です。
○山川部会長 まず御要望として、お祝い金禁止等について、許可取消につながるような違反の認定の運用に係るものが1点と、募集情報等提供事業の規定の趣旨、又は社会通念上とは何かについての御確認の要望がございました。事務局からいかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘ありがとうございます。最初に御指摘いただいた点ですが、今回の許可条件化の措置ですが、資料にも書きましたように、指導監督にもかかわらず違反が継続・反復する場合は、許可取消の対象になるということにより、履行確保や抑止力を高めていくためのものです。また、御指摘いただいた都道府県労働局における斉一的な運用については、本省においてしっかりと確保してまいります。
 それから、お尋ねと確認ということで頂戴した点についてです。まず、今回の募集情報等提供事業に関する規制の趣旨と対象ということです。御指摘のとおりで、労働市場への望ましくない影響に対処しようというのが、今回の趣旨と対象です。
 2点目としては社会通念の部分です。こちらは現行指針における職業紹介事業に係る規定においては、求職者への金銭等の提供は好ましくないとした上で、社会通念上相当と認められる程度を超えて行ってはならないとしております。募集情報等提供事業についても、この原則禁止規定と同様の規定ぶりとし、その中の「社会通念上相当と認められる程度」に係る判断についても現行どおり、提供される金銭などの趣旨だけでなく、その額や、その有する離転職誘引効果など、労働市場への影響について、個別具体に総合判断をすることとなります。
 3つ目については、明確化できる事例についての御指摘でした。こちらについても御理解のとおりであり、資料2-4、3ページですが、①②として記載したものは、今回の趣旨に照らして、今回の措置の対象にならないことを明確にできるものとして、現時点で2つあることを示したものです。
○山川部会長 平田委員、何かございますでしょうか。
○平田委員 募集情報等提供事業の社会通念の総合的判断というのも、本省で斉一的な判断をしていただきたいと思います。今回の趣旨はよく分かりましたので、経団連としても措置の趣旨が各事業者に伝わるように協力してまいりたいと思います。
○中嶋需給調整事業課長 (首肯)
○山川部会長 ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。田尻委員、お願いいたします。
○田尻委員 意見を申し上げます。はじめに、職業紹介事業者におけるお祝い金、転職勧奨禁止を許可条件として対応を強化していただくことに、異論はございません。一方、これまで違反事例が発生している主な原因は、指針内容の認知不足もあると思われます。職業紹介事業者は当然ですが、利用企業、あるいは特に求職者が人材紹介業をほとんど理解されていない状態、使っている認識もなく御利用になっているというケースも、現場では数多く見ております。幅広く認知していただくことが重要だと思われますので、引き続き周知の強化をお願いしたいと思います。
 また、募集情報等提供事業者に対してもお祝い金等の規制を適用することにつきまして、今回お示しいただいたような会社間のトラブルや早期退職などが発生している状況を鑑みますと、一定の対応が必要だと感じております。資料でもお示ししていただいておりますが、本当に多種多様な形で金銭提供が行われておりますので、禁止となる趣旨や項目が適切に理解されるよう、また、不適切な規制逃れが発生しないよう、これからも実効性の確保に取り組んでいただくとともに、指導監督なども丁寧に行っていただければと思います。
 また、職業紹介事業者の手数料実績について、これまでの平均額だと、実態との差異というところで違和感があったのですが、職種ごとの平均手数料率を公開していただけるということですので、更に適切な実態把握につながると感じております。また、御尽力いただいている人材サービス総合サイトについても、一般の事業者、あるいは求職者に対してのより一層の周知をお願いしたいと思います。
 最後に、ハローワークの機能強化について大変期待しておりますが、1点質問がございます。オンラインサービスの拡充について、具体的にどういった点の拡充をするのかなど、スケジュール的な部分で情報などがあれば、可能な範囲でお示しいただければと思います。現場としては、操作性の改善など、利便性の部分で、是非頑張っていただきたいと思っております。
○山川部会長 1点御質問がありまして、その前に御要望等もありましたので、事務局からいかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘と御意見、大変ありがとうございます。御指摘いただいたように、既存のルールにしても、今般新たに措置をするルールにしても、効果を上げていく上では、事業者の理解と自主的なコンプライアンスが大変重要になるので、その基礎となる周知などについて、御指摘を踏まえて力を入れてまいります。その際には、御指摘いただいた求職者も含めて、広く一般に周知されるようにという点をよく踏まえて、工夫しつつ取り組んでまいります。施行に当たっては指導監督もという御指摘もございました。指針で定めた上で周知をして、指導監督もセットで実効を上げていきたいと存じます。
 それから、見える化の部分です。率ということで掲示していただくということで、これは前回の部会の御指摘にもありましたが、きちんと周知されて、正しい数字が載って、それを見て利用者の選択に資することが大事だと思いますので、そういった履行、施行の点、周知の点にしっかり取り組んでまいります。
○井上人材確保支援総合企画室長 3点目のハローワークの部分についてお答えさせていただきます。まず、現行のハローワークインターネットサービスは、先ほど資料2-2、7ページで、いろいろ機能を拡充してきたということを申し上げました。この開発をしたときにベースとなっているのが、パソコンでの利用を前提に作成していまして、今、多くの求職者が使っているのはスマホということになりますので、まず、スマホをベースとした画面構成に大きく見直すという点があります。
 それに加えて、今、求人検索をするときに職種を選びにくいという声も聞いておりますし、検索結果に至るまでにプロセスがかなりかかるというお話も頂いております。そういったUIといったところを大幅に改善するという見直しを進めていまして、実際に開発に着手しております。リリースの時期は、現時点では令和8年度を予定しておりますので、少しお時間を頂くことになるのですが、いずれにしても、利用者が少しでも利用しやすい環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○山川部会長 田尻委員、何かございますか。
○田尻委員 ありがとうございました。
○山川部会長 ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 内容について、先般の部会での意見を踏まえた対応案を取りまとめていただきました。また、募集情報等提供事業者におけるお祝い金に関して、相談事例等を詳細にまとめていただきましたが、内容を見てみますと、職業紹介事業者とは異なる事業形態ではありますが、求職者に対しての雇用の安定には影響があるのだろうと思いますので、そういった観点では、今回のように募集情報等提供事業にお祝い金に係る規制を設けることは一定の意義があると考えます。
 それから、募集情報等提供事業について、前回の議論でもございましたが、ビジネスモデルやサービス内容の多様化が、早いスピードで進んでおります。今回の対応による影響や効果、それらを踏まえた上での追加的に必要な対応等については、引き続き検討していく必要があると考えておりますので、意見として申し上げたいと思います。
○山川部会長 事務局からは何かございますか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘ありがとうございます。最後の部分の新たな措置の施行後の影響や効果をしっかり把握してという点について、しっかり事務局として心得てまいりたいと存じます。
○山川部会長 冨髙委員、よろしいでしょうか。
○冨髙委員 ありがとうございました。
○山川部会長 ほかに御質問、御意見等はございますか。奈良委員、どうぞ。
○奈良委員 資料2-2のハローワークの人材確保の取組について、一言御要望を申し上げます。医療・介護・保育分野での人材確保対策コーナーは、非常に多彩な取組をされていることを改めて知らせていただきました。こうした有効な施策については、是非広げていただきたいと思っています。資料2-2の3ページに設置状況という表があるのですが、令和3年以降、年2か所ずつの増設にとどまっているような数字です。全体の予算とか、現場の人材の配置等、大変困難な状況というのはあると思うのですが、これだけ有効な施策で、実績としてもかなり多様なものがありますので、是非全国のハローワークに広げていく、そうした取組をお願いしたいと思っております。
○山川部会長 事務局から何かございますか。
○井上人材確保支援総合企画室長 コーナーの体制整備は、予算編成過程で適切に対応してまいりたいと思っております。このコーナーのないハローワークでも、職場の見学会など、そういったものをアレンジしながら様々に取り組んでおりますので、そういったものは好事例として共有しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○山川部会長 ほかはいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 まず、今回の追加的な対応については、特に募集事業が変化している中で必要な対応だと思っております。登録をするという行為がいろいろと波紋を広げており、普通に募集広告を出していた時代とは、大きくやり方が変わってきている。登録をすることによって、誰が自分のサイトを使って就職したかがつぶさに分かるような時代に入ってきていると思います。ですので、以前の募集事業と今やっている募集事業で大幅にやり方が変わってきている中で、今回御提示いただいたような取組というものは必要だと思っております。
 あと、資料2-1の最初の所の雇用動向調査の円グラフを見ていただくと、今の話の内容で、民間の募集事業や、職業紹介の事業者も増えてきている中で、どのように変遷してきているのかというのは個人的に興味があります。その中でも、医療・福祉はハローワークが25.8%と、かなり貢献していると思います。民間がかなり興隆している中で、ハローワークのシェアはどのぐらい保たれているのか。令和8年度にオンライン化が予定されていますが、それをやったときに、どのくらいシェアが変わっていくのかも興味のあるところです。ですので、変遷について、どのような状況になっているか、過去における変遷が厚労省で分かっていれば、教えていただきたいと思います。
○山川部会長 事務局から、今の段階でいかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘ありがとうございます。最後のお尋ねの調査の関係です。今、画面のものは令和4年のスナップショットですが、経年で構成比を見ると、ハローワークは少し前であれば3割を超えるような時期もございました。一方で、その後、比較的低い数字からスタートして、伸びも大きい民間の比率が高まりますので、ハローワークの構成比としては、依然、医療・福祉分野はトップですが、相対的には低下しているということがございます。ただ、これはデータというよりも、私の認識も交えてなのですが、どうしても今の労働市場におきましては、量的な確保が必要になります。そうした中で、公的機関では潜在的な方の再就業など、通常の労働移動支援以外の機能も担っておりますので、数だけでは評価は難しいのかなという認識も持っております。いずれにしましても、ここは官民相まってということだと思っております。それぞれの機能を強化しながら、全体として労働市場にサーブしていくというのが、需給調整機関の官民の役割だと認識しております。
○山川部会長 小野委員、何かございますか。
○小野委員 ありがとうございます。引き続き強化していただくことで、ハローワークについてはどうぞよろしくお願いいたします。
○山川部会長 では坂爪委員、お願いします。
○坂爪委員 現状を踏まえて必要な対応が取られていると感じております。一方で、募集情報等提供事業者の事業内容とか広がりというものが、年を追うごとに変わっているところがあって、その対応に我々は追われているのだと思います。今回お示しいただいた案ですと、職業紹介事業者と募集情報等提供事業者の間では、依然として情報の可視化の程度の差があると思います。事業者のビジネスモデルの変化の激しさを鑑みるならば、情報の可視化の差を埋めていくことが、健全な労働市場の醸成につながっていくのではないかと考えております。
○山川部会長 こちらについては事務局から何かございますか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘、大変ありがとうございます。委員の問題意識として、受け止めさせていただきました。利用料金の実態を、まず把握すると。把握するときに、事業者からの報告、職業紹介事業でやっているような、ルールに基づくようなやり方もあるのだと思いますが、一方で今、当面置かれた中において、我々としてよく勉強したり、調査をしたりというような手法もあると思いますので、現在において可能な手法をよく考えながら、実態把握に取り組んでまいりたいと存じます。
○山川部会長 坂爪委員、よろしいでしょうか。
○坂爪委員 ありがとうございました。
○山川部会長 ほかに御質問、御意見等はございますか。原委員、どうぞ。
○原委員 追加的対応案に賛成なのですが、2点ほど意見を述べたいと思います。
 1点目は、資料2-4のお祝い金に関することです。お祝い金目当てで比較的短期間の転職が繰り返されるということは、資料2-3でも御紹介いただいたように、たくさん求人者側の負担が生じることはもちろんなのですが、中長期的には求職者、労働者側の利益になっていないという部分があると思うのです。継続的に経験を積んで、自分のキャリアを作っていくといった貴重な機会が、正に目先の金銭の誘因によって歪められているという部分があります。様々な状況の変化で就職しにくくなってから後悔しても遅いという部分がありますので、求人者の負担、求人者に対する様々な問題はもちろんですけれども、求職者の利益にもならないのだということを明確にして、是非こういったお祝い金の交付は原則的な禁止の対応に進んでいただければと思います。
 その意味では、資料2-4の3ページにあるように、募集情報等提供事業に関して、原則的に金銭の提供は禁止であって、また、例外的に当てはまらない例として、例えば金額も含めて①②が示されているように、これが望ましい形であって、500円といった目安もあることによって、より分かりやすい形でルール作りが進むのではないかと思います。
 もう一点は、資料2-4の4ページにある違約金の規約の明示義務化に関係して気になる事例として、資料2-3の10番の事例を御覧ください。求人者が人材会社A社、B社を使っていて、B社に手数料を払って採用したのだけれども、A社からも手数料を払えと言われていて、これを見ていくと、弁護士が出てきて、数百万単位の違約金が請求されているという状況なわけです。
 もちろん個別のケースは分かりませんけれども、恐らく一般的に言えば、実際の損害よりも遥かに高額である可能性が高いわけです。もちろん、こういった違約金に関しては、規約などに基づく契約上のものであると思いますし、また、求人者は消費者ではありませんから、消費者契約法で保護されるわけでもありませんので、こういった高額の違約金が直ちに違法だとか不当とされることはないかもしれません。しかし、状況によっては違約金を盾に利用料・手数料を回収するということがあると、それは社会的に望ましいという状況とは言えないと思うのです。
 もちろん、こういったことは今回の追加的対応で、そもそもこういったお祝い金といったことがなくなっていき、また、資料2-4の4ページにあるような、違約金規約の明示義務化によって抑えられていくことは想定されますけれども、こういった多額の違約金を用いて手数料・利用料を請求するといったことが実際にあるということは、すぐに対応するといったことではないとは思うのですが、是非、事務局としても問題意識を持っておいていただければと感じました。
○山川部会長 こちらについても事務局からいかがでしょうか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘ありがとうございます。2点について、よく問題意識として共有してまいりたいと存じます。その上で、2点目のほうについてです。私どもとしても御指摘いただいたものと同じような思いを持っておりまして、こういう御指摘を賜り、また、資料にもあるような非常に高額の請求を受けるというトラブルを防ぎたいという思いで、対応策を検討したところです。
 これまで特段のルールがなかった中で、今回明示義務という形で、そこに踏み込んでいくわけですけれども、この明示義務については、厳しい内容を盛り込んでいく案でお諮りしているところです。資料2-4の4ページの所に、今回の明示義務について、キーワードを幾つか記載しております。具体的に申しますと、指針に、「利用者に誤解が生じないよう」というキーワード、「規約の内容を分かりやすく記載した書面や電子メール」、「正確・明瞭に提示するよう規定」するということで、ポイントを書きました。この中で、特に「利用者に誤解が生じないよう」という点がポイントだと思っております。これによりまして、施行後に労働局に相談に来る方がおられれば、その方には誤解が生じていたと言えるでしょうから、当該案件について調査をしたり、指導に入ることもできるという構成です。今回、明示義務の中でも、厳しい内容の明示義務ということだと思っておりますので、それに基づく調査とか、指導を通じて、適正化を図っていくという考えでございます。先生の問題意識はよく承知いたしました。ありがとうございます。
○山川部会長 原委員、よろしいでしょうか。
○原委員 ありがとうございました。
○山川部会長 ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。村田委員、よろしくお願いいたします。
○村田委員 意見を申し上げます。事務局からの御説明にもあったとおり、求職者に対する金銭等の提供には、様々な目的があるとしても、金銭等の誘因による離転職など、適正な労働需給調整機能に影響を与えかねない手法も一部見受けられることから、今回の追加的対応案の趣旨と必要性は理解できました。一方で、当社を含め求人企業としては、通年採用やキャリア採用といった、多様な採用方法の整備を通じて、人材の確保に努めているのが実態です。こうした取組を進める中で、雇用仲介事業者が果たす役割が非常に大きくなってきており、新たなサービスの提供も含め、今後も雇用仲介事業者の健全な発展を期待しているところです。今回の追加対応案と併せまして、引き続き雇用仲介事業者の円滑な事業遂行に資する環境を整備することによって、業界の健全な発展を図っていただき、労働市場のマッチング機能の強化につなげていただきたいと思います。
○山川部会長 事務局から何かございますか。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘、御意見、大変ありがとうございます。事務局としましても同じ考えでございまして、労働力需給調整機能を強化していく中で、募集情報等提供事業の役割というものもあるわけですので、適切な競争環境とか、そういったものを整えながら、需給調整のところで適切な機能発揮、活躍をしてもらうということを想定し、法律もそのような仕組みですので、よく心得えてまいりたいと存じます。
○山川部会長 村田委員、よろしいでしょうか。
○村田委員 ありがとうございました。
○山川部会長 ほかには御質問、御意見等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。様々な有益な御指摘、御意見を頂きまして、大変ありがとうございました。多くの委員の皆様からもお話がありましたように、今回、資料2-3に様々な相談事例が出てきまして、このように集中的に整理された事例は、本部会でも初めてではなかったかなと思います。以前、民事裁判例で債務不履行とか違約金の事例がだんだん出てきているということをお話しましたが、行政にも様々な相談が寄せられているということが分かりました。これは新たなビジネス形態、これも御指摘がありましたように、非常にいろいろなものが今後も出てくると思いますので、こういった形の実態把握は非常に重要かなと思った次第です。
 御議論いただきまして、労働力需給調整機能の強化のための追加的取組についてという事務局の案については、異論はなかったと感じております。それでよろしければ、事務局におかれましては、この御提案に沿って、追加的取組を実施するに当たって、必要な職業安定法施行規則や指針の改正の作業を進めていただきたいと思います。本日の公開の議題はここまでとさせていただきます。
 

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