厚労省・新着情報

厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和6年8月21日(水)13:00~15:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(オンライン開催)

議事

議事内容
○九十九課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第18回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
 私は事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の九十九と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず冒頭に事務局の異動について申し上げます。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長の鶴田と申します。7月5日付で着任しました。これから皆様方としっかりと取り組んでいければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○九十九課長補佐 また、改めまして、令和6年7月1日付でがん対策推進官を拝命いたしました九十九でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、健康・生活衛生局長は公務のため欠席とさせていただいております。
 引き続き、会長が選任されるまでの間、私が進行を務めさせていただきます。
 それでは、まず最初に委員の皆様方を御紹介させていただきます。お手元の委員名簿に沿って御名前を読み上げさせていただきますので、ウェブでの御出席の方はミュートを解除していただきまして、一言御挨拶をいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、川崎市立看護短期大学教授、荒木田美香子委員。一言御挨拶をお願いいたします。
○荒木田委員 川崎市立看護短期大学の荒木田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、奈良県立医科大学公衆衛生学講座教授、今村知明委員は、本日御欠席と伺っております。
 続きまして、北海道大学医学研究院社会医学系部門社会医学分野教授、上田佳代委員。本日は遅れて御出席と伺っております。
 続きまして、独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター長、海老澤元宏委員。一言御挨拶をお願いいたします。
○海老澤委員 国立病院機構相模原病院の海老澤です。現在日本アレルギー学会の理事長も拝命しておりまして、アレルギー疾患対策を厚生労働省とともにしっかり進めていきたいと思っております。本日、よろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、福井大学医学部附属病院病院長、大嶋勇成委員。一言御挨拶をお願いいたします。
○大嶋委員 福井大学附属病院の大嶋でございます。小児科教授も担当していまして、現在日本小児アレルギー学会の理事長も拝命しております。少しでもこの事業に貢献できればと願っております。よろしくお願いします。
○九十九課長補佐 続きまして、LFA食物アレルギーと共に生きる会代表、大森真友子委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○大森委員 初めまして。LFA食物アレルギーと共に生きる会、関西を中心に170世帯が参加している患者会の代表の大森と申します。よろしくお願いします。
○九十九課長補佐 続きまして、独立行政法人労働者健康安全機構千葉労災病院病院長、岡本美孝委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○岡本委員 千葉労災病院の岡本です。よろしくお願いします。耳鼻咽喉科学会からの推薦も受けております。よろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、千葉県九十九里町立片貝小学校養護教諭、木原薫委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○木原委員 初めまして。九十九里町立片貝小学校養護教諭をしております木原薫と申します。現在全国養護教諭連絡協議会のほうで常務理事をさせていただくとともに、千葉県養護教諭会のほうでも顧問をしております。よろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、三重県医療保健部医療政策総括監、栗原康輔委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○栗原委員 皆様、こんにちは。三重県医療保健部医療政策総括監の栗原でございます。全国衛生部長会のほうから参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、公益社団法人日本医師会常任理事、坂本泰三委員です。一言御挨拶をお願いいたします。
○坂本委員 初めまして。日本医師会常任理事の坂本でございます。初めてなのでよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○九十九課長補佐 続きまして、公益社団法人日本歯科医師会理事、佐藤真奈美委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○佐藤委員 皆様、こんにちは。佐藤真奈美と申します。私は日本歯科医師会から推薦を受けまして参画しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、公益社団法人日本栄養士会専務理事、下浦佳之委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○下浦委員 皆さん、こんにちは。日本栄養士会の下浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、アレルギーっ子の会ぽれぽれ代表、田辺理恵委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○田辺委員 初めまして。山口県でアレルギーっ子の会ぽれぽれという会の代表をしております田辺と申します。よろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、株主総会ベネッセクリエイティブワークス編集事業本部たまごクラブエキスパートエディター、中西和代委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○中西委員 妊婦さん向けの雑誌を編集しております。「たまごクラブ」に28年携わってまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科学教室教授、松本久子委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○松本委員 よろしくお願いします。近畿大学呼吸器・アレルギー内科の松本と申します。日本呼吸器学会からの推薦で参加させていただいています。本日、申し訳ないのですけれども、14時から少し発言がしにくい環境になりますので、御容赦ください。よろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、国立成育医療研究センター免疫アレルギー・感染研究部アレルギー研究室長、森田英明委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○森田委員 国立成育医療研究センターの森田英明と申します。中心拠点病院の一つであります成育医療センターで診療と研究に携わらせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、藤田医科大学医学部教授、矢上晶子委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○矢上委員 こんにちは。藤田医科大学の矢上でございます。日本皮膚科学会からの立場で参加させていただいております。よろしくお願いいたします。
○九十九課長補佐 続きまして、ひらつか食物アレルギーの会代表、山口かおり委員でございます。一言御挨拶をお願いいたします。
○山口委員 こんにちは。神奈川県平塚市の食物アレルギーの会の代表を務めます山口と申します。行政の子育て支援に携わりながら患者会活動をしております。どうぞよろしくお願いします。
○九十九課長補佐 委員の皆様、ありがとうございました。
 現時点で本日委員18名のうち16名の方に出席いただいておりまして、定数に達していることを御報告申し上げます。
 また、本日、参考人といたしまして、国立病院機構福岡病院名誉院長、西間三馨先生にも御出席いただいております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1から5及び参考資料1から9がございますので、御確認いただきますようよろしくお願いいたします。
 続きまして、ウェブ参加の委員を含めた本日の会議の進め方について御説明いたします。御発言については、ウェブ参加の委員におかれましては、Zoomの「手を挙げる」機能を御活用ください。カメラは常に映る状態にしていただきまして、発言をしていないときにはミュートにして、発言するときのみミュートを解除するようにお願いいたします。
 また、本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので、御了承いただければと思います。
 それでは、議事2「会長選任及び会長代理指名」に移ります。参考資料3のアレルギー疾患対策推進協議会令を御覧ください。本協議会の運用を定めた政令でございますが、「協議会に会長を置き、委員の互選により選任する。」こととされておりまして、また、「会長は、会務を総理し、協議会を代表する。」「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」と定められております。
 本日は委員の皆様方が新たに選任されて最初の協議会となりますので、本規定に基づきまして、委員の互選により会長を選任させていただきたいと思いますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。大嶋委員、よろしくお願いいたします。
○大嶋委員 アレルギー診療の専門家として、また、先ほど御紹介がありましたように、日本アレルギー学会の理事長と中心拠点病院である国立相模原病院の臨床研究センター長を兼ねておられます海老澤元宏委員が適任と考えます。
○九十九課長補佐 ありがとうございます。
 ただいま大嶋委員より御推薦がございましたが、そのほか御意見はいかがでしょうか。
 それでは、全員一致、妥当とのことでございますので、海老澤委員に本協議会の会長をお願いいたします。
 それでは、海老澤会長、御挨拶をよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ただいま大嶋委員から御推薦いただきました海老澤です。大役を務めさせていただきたいと思います。私も今期でたしか最後になるかと思いますので、今回10か年戦略に関しての議論と聞いておりますので、本日、どうかよろしくお願い申し上げます。
○九十九課長補佐 ありがとうございます。
 続きまして、海老澤会長より会長代理を御指名いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 それでは、会長代理の指名をさせていただきたいと思います。恐れ入りますが、大嶋委員にお引き受けいただくということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○海老澤会長 異議がございませんでしたので、大嶋委員に本協議会の会長代理をお願いしたいと思います。
○大嶋委員 了解いたしました。御推薦ありがとうございます。
○九十九課長補佐 ありがとうございます。
 それでは、以降の進行は海老澤会長にお願いいたします。
○海老澤会長 それでは、議事3「令和6年度のアレルギー疾患対策について」に移りたいと思います。資料1「令和6年度のアレルギー疾患対策について」の説明を事務局よりお願いいたします。
○九十九課長補佐 改めまして、事務局の九十九でございます。お手元の資料1「令和6年度のアレルギー疾患対策について」を御覧ください。
 1ページ目をめくっていただけますでしょうか。
 それでは、厚生労働省におけるリウマチ・アレルギー疾患に関するこれまでの取組を簡単に御紹介いたします。最初は昭和47年まで遡りまして、小児ぜんそく治療研究事業を実施してございます。平成12年になりまして、リウマチ・アレルギー疾患に関する診療、研修、情報などに関する高度専門医療施設として、国立相模原病院(現国立病院機構相模原病院)に臨床研究センターが開設されております。平成18年にはリウマチ・アレルギー特別対策事業を開始しております。平成26年にはアレルギー疾患対策基本法が成立し、平成27年12月に施行されております。翌平成29年にアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を制定しておりまして、こちらは令和4年に指針の改正を行っております。平成30年にアレルギー疾患医療提供体制整備事業が開始されまして、アレルギー疾患に係る医師への研修等を実施しております。また、本日の議題の内容になりますが、免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開催しまして、免疫アレルギー疾患に係る今後10年間で取り組むべき研究戦略について、「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の取りまとめを行っております。
 最近の動きといたしまして、令和5年に花粉症に関する関係閣僚会議が開催されておりまして、厚生労働省においては、発症・曝露対策の推進として対症療法及び舌下免疫療法についての普及啓発の取組を行っております。また、免疫アレルギー疾患患者に係る治療と仕事の両立支援モデル事業を開始しておりまして、都道府県拠点病院において、免疫アレルギー疾患患者においても治療と仕事の両立支援体制の確立を行っているところでございます。
 1ページおめくりください。
 こちらは皆様御存じかと思いますが、平成26年に制定されましたアレルギー疾患対策基本法でございます。本基本法におきましては、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーの6疾患を対象としてございます。
 基本的な施策としましては、重症化の予防及び症状の軽減、医療の均てん化の促進等、生活の質の維持向上、研究の推進等となりまして、この基本法に基づきましてアレルギー疾患対策基本指針や、また本協議会を設置しているところでございます。
 1ページおめくりください。
 こちらはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針でございます。こちらは参考資料2にもございますが、この指針は、この法にのっとりまして、アレルギー疾患対策の総合的な推進を図るために、厚生労働大臣が策定するものでございます。
 こちらの4本目の柱でございますが、調査及び研究に関する事項がございまして、「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」に基づいた疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究の推進をすることとなっております。
 1ページおめくりください。
 こちらは令和6年度のリウマチ・アレルギー疾患対策予算でございます。6年度当初予算額の合計が10億円となってございます。このアレルギー情報センター事業、アレルギー疾患医療提供体制整備事業等につきまして、これから順に御説明いたします。
 1ページおめくりください。
 まず、アレルギー情報センター事業でございます。こちらはアレルギー疾患の病態、診断に必要な検査、薬剤の使用方法等に係る最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウェブサイトの整備等を通じた情報提供の充実に資すること等を目的としておりまして、こちらは実施主体としまして日本アレルギー学会及び日本リウマチ学会に事業を実施していただいております。
 事業の内容としましては、アレルギー疾患に係る最新の知見に基づいた正しい情報等を提供するためのウェブサイトの作成。これはアレルギーポータルでございます。2つ目がアレルギー相談員養成研修会の実施。また、手引の作成を行っていただいております。
 1ページおめくりください。
 こちらはアレルギー疾患医療提供体制整備事業でございます。こちらは実施主体としまして、中心拠点病院であります国立成育医療研究センター及び国立病院機構相模原病院に行っていただいております。
 事業の概要・スキームのところを御覧ください。こちらは2つの中心拠点病院から全国拠点病院会議での情報共有・困難症例の診断支援ということで、都道府県拠点病院に対してそのような支援をいただいているというところでございます。
 また、この拠点病院、都道府県拠点病院に在籍する医師に対しまして研修の受講の機会を提供しております。また、令和5年度からの取組としまして、中心拠点病院と都道府県拠点病院間でのオンライン相談会というものを開催しております。
 1ページおめくりください。
 こちらのスライドはアレルギー疾患医療提供体制の全体のイメージということでございます。平成29年3月に策定されましたアレルギー疾患対策基本指針を踏まえまして、平成29年4月に「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」を設置し、同年7月に報告書をまとめていただいたものを記載しております。具体的には、中心拠点病院の役割や都道府県拠点病院の役割、また、かかりつけ医、薬局の役割について記載したものでございます。
 1ページおめくりください。
 こちらは令和6年3月時点の都道府県アレルギー疾患医療拠点病院でございます。47全都道府県に設置いただいておりまして、現在で合計78病院が拠点病院として位置づけられております。
 次のページを御覧ください。
 こちらはリウマチ・アレルギー特別対策事業でございます。この事業の目的でございますが、基本的指針に基づきまして、「国は、アレルギー疾患を有する者が居住する地域に関わらず、適切なアレルギー疾患医療や相談支援を受けられるよう体制を整備する必要がある」となってございます。
 この事業の概要ですが、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等の開催、リウマチ及びアレルギー系疾患の医療提供体制の整備、普及啓発、実態把握、人材育成が示されております。
 次のページをおめくりください。
 こちらは免疫アレルギー疾患患者に係る治療と仕事の両立支援モデル事業でございます。こちらは実施主体としまして、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等にやっていただいておりまして、令和6年度の採択病院数は8病院でございます。
 事業の概要でございますが、免疫アレルギー疾患患者またはその家族が安心して仕事の継続や復職に臨めるよう、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等に「両立支援コーディネーター」を配置いただくということでございます。また、両立支援コーディネーターが中心となりまして、免疫アレルギー疾患患者またはその家族の個々の治療、生活、勤務状況等に応じた治療と仕事の両立に係る計画を立て、支援を行うモデル事業を実施するものでございます。
 1ページおめくりください。
 こちらが具体的に採択して実施いただいている病院でございます。
 次のページをおめくりください。
 こちらは免疫アレルギー疾患政策研究事業、厚生労働科学研究事業の内容でございます。2ポツ目に書いておりますが、「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」を策定し、戦略に基づいて免疫アレルギー疾患の総合的な推進が必要であるということを事業概要としております。
 1ページおめくりください。
 こちらはAMED研究のほうでございますが、こちらも「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」が発出されたことに基づきまして、このスライドに書いてありますような研究を行っております。具体的には、この事業におきましては、エビデンスの創出から病態解明、また、医薬品・医療機器等開発まで幅広く実施している状況でございます。
 次のページを御覧ください。
 こちらは国立保健医療科学院における事業になりますが、こちらでアレルギー疾患対策従事者研修を行っていただいておりまして、事業の目的は、地方公共団体においてアレルギー疾患対策の中心的な役割を担う保健医療に関係する職種を対象とした人材育成ということでございまして、具体的に想定される職種としましては、保健師、医師、管理栄養士、行政職員等となっております。こちらは本年も9月19日・20日の2日間で行う予定でございます。
 次のページを御覧ください。
 これは先ほど近年の動きとしまして御説明しました花粉症対策の全体像でございまして、令和5年5月30日の関係閣僚会議のものでございます。花粉症対策としましては、発生源対策、飛散対策、発症・曝露対策の3本の柱となっておりまして、厚生労働省が担当しますのは赤枠、発症・曝露対策になります。具体的には、花粉症の治療としまして、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法等)の開始時期等について、医療機関等における適切な情報提供や集中的な広報を実施。また、治療法・治療薬の開発に資する大学や国立研究機関等での研究開発等を支援。予防行動に関しましては、花粉症予防行動について、自治体、関係学会等と連携して広く周知となってございます。
 次のページは、10月11日、同じく関係閣僚会議の決定事項でございますので、こちらも御参考いただければと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明について、何か御質問・御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○山口委員 ひらつか食物アレルギーの会の山口です。
 10ページ目の両立支援モデル事業に関してお伺いしたいです。令和5年度の実施施設ではどのような相談があったかお伺いしたいです。お願いいたします。
○海老澤会長 どうぞ。
○九十九課長補佐 御質問ありがとうございます。
 令和5年度の事業実施病院からは、例えばアトピー性皮膚炎の患者におきまして、マスク着用や発汗による症状増悪のリスクがあるところを、症状が出ていないか経過観察していくための相談であったり、食物アレルギーを有する乳児の健康免疫療法の継続のために、母親の就業条件調整ができるようにする相談などがございました。
 いずれにつきましても、両立支援の観点から、職場・就業条件の調整を進める必要性を患者・職場関係者・医療者の間で共有し、定期的な相談を実施できるように努めているとの報告でございました。
 以上でございます。
○山口委員 ありがとうございます。
 対象の患者さんや保護者さんだけでなく、青年期の患者さんたちは、アレルギーに限らず、なかなか相談や支援につながりにくいと体感しております。この両立支援の対象となる前から子供や保護者が助けを求める力を養って、助けを求めやすい環境、例えば両立支援などを知る機会を医療者の方々から伝えていただけると助かると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 青年期のお子さんたちは、学校等で診療の場面に実際に来ていただくこともなかなか難しかったりするかと思うのですけれども、そういったことも今後きちんと、例えば入院する場とかいろんなところで移行期の方々に対して直接的に働きかけていくようなことも非常に重要かなと考えています。ありがとうございました。
 矢上委員、お願いします。
○矢上委員 ありがとうございます。藤田医科大の矢上でございます。
 今、都道府県拠点病院は78施設だと思います。私は愛知県でそのお役割に沿って日々取り組んでおりますけれども、正しくその役割を実行できているかというのを自施設で評価することはとても難しいと感じております。中心拠点病院からは全国拠点病院連絡会であったり、もしくは先ほどの医療提供体制での取組であったり、もしくは育成プログラムを享受させていただいておりますけれども、願わくば中心拠点病院と都道府県拠点病院がより密に連携をする何らかの機会をつくっていただけると、拠点病院の役割がそれぞれの病院において明確になっていって、さらにそれぞれの地域によって特色のある取組などが進むのではないかと思い、そうすると、さらに全国でのアレルギー疾患医療体制の構築であったり、もしくは均てん化が進むと思いますけれども、何らかのそういう密な連携体制とか連携の機会を与えていただければと思っております。というふうな願いであります。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 事務局のほうから何かございますでしょうか。
○九十九課長補佐 矢上委員、御質問・御意見ありがとうございます。
 御指摘のような都道府県拠点病院と中心拠点病院の連携については、非常に重要なところだと認識しておりまして、先ほど御説明しましたアレルギー疾患医療提供体制整備事業におきまして、中心拠点病院が都道府県拠点病院に在籍する医師に対して研修を行ったり、また、拠点病院、全国拠点病院会議での困難症例の診断支援や情報共有を行っております。また、これも先ほど申し上げましたとおり、令和5年度からは中心拠点病院と都道府県拠点病院間でのオンライン相談会もありますので、こういった機会を通じてより密な連携が進むように努めてまいりたいと思っております。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 昨年度、大都市圏以外の拠点病院の先生方とは直接ウェブ面談をさせていただきまして、短時間だったのですけれども様々な意見交換をさせていただきました。南関東、中部、京阪神地区の拠点病院とは昨年は面談する時間がなかったのですが、今年度もそのようなことを企画していこうかなと考えていますので、またいろいろ御指導・御鞭撻のほうよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 岡本委員、お願いします。
○岡本委員 千葉労災病院の岡本です。
 今の話題と少し関係しますが、各地域のアレルギー疾患に対する医療体制の提供が実際どう改善したのかというのはいかがなのでしょうか。私がおります千葉県では比較的提供活動を行っている地域であるとは思うのですが、この基本指針が出てから、千葉県ではアレルギー対策推進5か年計画というのをつくって、千葉大を中心とした地域の拠点病院、その下に千葉県内の各地域で基幹病院を設定して、医療提供の連携を図り、それを基にいろいろな啓蒙活動、正確な情報提供、地域での医療の均てん化を目指す、重症化を防止していくという活動を、各年度目標を定めて行ってきてはいます。ただ、今、第二期目の5か年計画に入ったのですが、課題としては、依然として専門医が不足している、移行期医療はほとんど機能していない、啓蒙活動は、もちろん計画に従ってやってはいますが、まだ不十分です。そういったことから、均てん化、重症化防止がどの程度図られているかは、課題として残っていると捉えています。
 長期的な視野に立った体制の維持というのが不可欠だと考えているのですが、ほかの地方ではどういう取組をされているのか。その課題はどういうところにあるのかというのをもし検討されていれば、御教示をお願いしたいと思います。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 私のほうから簡単に説明させていただきたいと思います。厚労科研のほうで拠点病院のモデル事業を行っていただいた11都道府県に関しては、今から2年ほど前に、その地域の拠点病院と、その拠点病院と連携している総合病院との各アレルギー領域の診療、あるいは様々な活動の違いというのがどれぐらいあるのかという調査をさせていただきました。その結果、モデル事業をしていただいた都道府県におきましては、拠点病院と連携している病院とで、例えば難治性の気管支ぜん息、あるいは難治性のアトピー性皮膚炎などに関しての医療のクオリティーの差というのはあまりなくなってきています。違いがあるところは、成人あるいは移行期の食物アレルギー患者さんの管理、アナフィラキシーの原因の同定、そういったところにかなり違いがありました。舌下免疫療法を中心とした花粉症やアレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法については、クリニックレベルから結構幅広く行っていただいているということが明らかになってきましたので、ここ5年ぐらいでの疾病構造の変化ということもアレルギー領域にはかなり大きくいろいろ影響してきていると思います。
 ただ、診療費の問題で生物学的製剤を本当に困っている人が使えていないとか、あるいは重症なアトピー性皮膚炎でひきこもり状態になっているような方にそういうものが届けられていないなど解決しなければいけない問題は多々あると認識しています。
 モデル事業を行っていただいた11都道府県については、かなりいい状態になっているという評価をさせていただいたのですが、それ以外の36都道府県に関しては、モデル事業等での予算が国から行っていない状況があって、なかなか厳しい状況があるということが明らかになってきています。
 先生の御質問に対しての私からのお答えはこれぐらいになりますけれども、よろしいでしょうか。
○岡本委員 どうもありがとうございます。この法律のメインの目的であります均てん化・重症化防止について、評価も含めて検討の継続をお願いいたします。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 事務局のほうから何か追加することはありますか。
○九十九課長補佐 岡本先生、貴重な御指摘ありがとうございます。
 まさにアレルギー疾患に対する医療に関する均てん化というのは非常に重要な課題と認識しておりまして、都道府県間のばらつき、均てん化ということに関しましては、先ほど申し上げましたアレルギー疾患医療提供体制整備事業の中で、例えばアレルギー疾患医療全国拠点病院連絡会議がございますので、そういった中で好事例の横展開というのが仕組みとしてできるのかなと思いますので、この辺りは国立成育医療研究センター及び病院機構相模原病院様と少し御相談をさせていただきたいと思っております。
 また、都道府県内における研修や医療の均てん化に関しましては、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会を通じて地域の特性に応じた施策、また医療提供体制を構築いただきたいと思っております。貴重な御指摘ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 栗原委員、よろしくお願いします。
○栗原委員 三重県医療保健部の栗原でございます。
 先ほどの均てん化ということについて、地方自治体の立場から国への要望になるかと思うのですけれども、例えば各都道府県における取組といったものが現状ではあまり共有されていないと思いますので、可能であれば国において各自治体の好事例の横展開を図っていただきたいと考えております。
 例えば本県では拠点病院の監修の下で、県と企業と連携して啓発のリーフレットを作成したり、そういったことを行っております。
 また、少し話が変わってしまうかもしれないのですけれども、今回の能登半島地震等を受けまして、災害時の地方自治体の対応等について、特に石川県での気づきみたいなものがあれば、そういったものを国のほうで集約していただいて、全国に情報発信していただくといったことも御検討いただければと思います。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 今の御意見に関しては、中心拠点病院のほうでモデル事業の報告書は一応サイトにアップしてあるのです。ただ、それだけでは十分でないという御意見かなと思いますので、今度の連絡協議会、2月頃を予定していますが、モデル事業を行っていただいた地域での御発表もしていただいて、展開していきたいというふうには考えております。
 事務局のほうはいかがでしょう。よろしいですか。
○九十九課長補佐 はい。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 続きまして、荒木田委員、お願いします。
○荒木田委員 ありがとうございます。
 2つありまして、資料1の14枚目のところになるかと思うのですが、国立保健医療科学院においてアレルギー疾患対策従事者研修を令和4年度からしていただいているということで、恐らく保健師とかに関する母子保健事業とかに関しては、これは非常に有効な手だてだと思っております。ただ、30名と十分ではないというか、かなり少ないなと思うのですけれども、こちらについてどのような評価とか効果が出ているかというところは把握されているかどうかというのが1点目になります。
 もう一点は、ここで言っていいのかどうかよく分からないのですが、看護学教育のコア・カリキュラムというのが今、ちょうど改正・見直しのところで、そろそろパブリックコメントが出るかなというところではあるのですが、恐らく連携・調整は取っていただいていると思いますが、そういう看護基礎教育においてもアレルギー疾患に関する教育がしっかり位置づいていくようにぜひアドバイスといいますか、御意見を伝えていただければなと思っております。
 以上です。
○海老澤会長 事務局のほうからお願いいたします。
○九十九課長補佐 ありがとうございます。
 国立保健医療科学院におけるアレルギー疾患対策従事者研修に関しまして、科学院の事業にはなりますが、どのような評価を行うかについては引き続き我々も確認してまいりたいと思っております。
 また、モデル・コア・カリキュラムについて、いただいた御意見に関しましては関係部局に共有しておきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 そのほかはいかがでしょうか。大森委員、お願いします。
○大森委員 質問とお願いがありまして手を挙げさせていただきました。
 先ほど資料1、6ページ目のアレルギー情報センター事業のアレルギーポータルサイトについてですけれども、私たちは患者会をしておりまして、0歳から60代までの患者さんなどもいらっしゃるのですが、アレルギーポータルの使い方が分からないという声を非常に多く耳にしております。先日、災害とアレルギーについてのアンケートを592名の方に取った際に、アレルギーポータルサイトを知っていると言われた方が全体の13.2%で、複数回利用した方というのは26.4%。60%ぐらいの方がそもそもサイトを知らない、知っているけれども見たことがないというお声がありました。
 私は中をよく拝見させていただいているので、もっと正しい知識を私たちのような患者側も知る場所があったらいいと思っているのですけれども、構成的にたどり着けないことが多いのですが、こういう内容の変更、常時構成変更というのはお願いといいますか、そういった声で変更できたりするものでしょうか。
○海老澤会長 御質問ありがとうございます。
 日本アレルギー学会の理事長の立場でお答えさせていただきますが、毎年ポータルについては厚生労働省と一緒に見直しを図っていますし、また、今、検索エンジンで検索していただくと一番上に出てくるのは間違いないと思っております。使い方が分からないという趣旨がよく分からないのですけれども、具体的にはどういうことなのでしょうか。
○大森委員 アレルギーポータルサイトは、私たちの中で言うと図書館のような形で、今回アレルギーポータルサイトということで、例えば5階がアレルギーに関係するフロアになったというざっくりとしたもの、資料が全部集まったような状況でして、アレルギーで「よくある質問」というところに入っている卵アレルギーですけれども、「注射を打ってもいいですか」といったような質問を患者会では本当に多く受けるのですが、「よくある質問」というところをいきなり開いていく人がいないので、調べていく際の経路、ルートがちょっと分かりづらいなということ。
 もう一つ具体的に言うと、災害支援に関わる方がアレルギーについて知りたいとなって、「災害の対応」という項目に行くのですけれども、そこには内閣府の取組指針などのPDFにどんと飛べるようにはなっているのですが、具体的に災害時の炊き出しの表示を避難所ではするようにであるとか、ビブスとかで周知、告知をするようにといった大事なポイント、30ページであるとか100ページであるPDFを読み解く前に離脱してしまう方が多いというふうに実際の方々からのお声を聞いているので、中味の、その場所にたどり着ける工夫がいま一つないと、私たち側からするとちょっと使いづらいかな。せっかくいい情報なのにそこにたどり着けないかなというふうに患者会の中ではよく話が出るのですけれども。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 「一般の方へ」というサイトが日本アレルギー学会にありまして、広報委員会のほうで今日御出席の矢上委員が委員長としてその辺も分かりやすくしていただいております。そこはポータルとの連携とかも図りながら、Q&Aとか、学会としてはいろいろ取り組んでいるのですけれども、まだまだ使う人にフレンドリーでないのかなという御意見かなと思います。
 今、スマホでアプローチされる方が多いので、スマホで分かりやすくしていくような、そこら辺も、今、ちょうど予算をどういうふうに使っていくかということで、動画で分かりやすくアレルギー疾患を解説していこうとか、あるいは対策を動画で分かりやすく見ていただくものをつくっていこうということを日本アレルギー学会として取り組んでいます。先ほど御指摘のように、最近の方は読み込んでいくという作業がなかなか難しいので、そういう動画でリンクフリーで見ていただくというものをこれからどんどん増やしていこうかなと思っているので、非常に貴重な御意見だったなと思いますので、アレルギー学会に持ち帰って、より使っていただきやすくなるようにしていきたいなと思っております。ありがとうございました。
○大森委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 もう一件、災害対策に関しては、アレルギーを考える母の会のほうから今日、私と西間顧問のほうにメールが届いていまして、石川県で今回自治体がどういうふうに動いたかとか、いろんなことについて、今日ここに来る前に読んでまいりました。そこでポータルもアクセスはしていただいていたみたいで、災害時のというのも分かりやすく情報提供していくというのがなかなか難しいのですけれども、そこら辺も今後努力していきたいなと思います。
 事務局のほうはいかがでしょう。
○九十九課長補佐 貴重な御意見・御提案ありがとうございます。
 現時点でどのようにということまではお示しできないのですが、いただいた御意見を踏まえてどのように対応できるかを検討していきたいと思います。
○海老澤会長 石川県のその情報については、約半数の自治体で食物アレルギー用の備蓄ができていなかったという報告を今朝いただきました。そういうことも非常に重要な点かなと思いますので、対策として進めていきたいと思っております。
 大森委員、以上の返答でよろしいでしょうか。
○大森委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 佐藤委員から手が上がっておりますね。よろしくお願いします。
○佐藤委員 よろしくお願いします。
 私、歯科の立場から御意見ではないのですけれども、お聞きしたいのですが、資料1の7ページのアレルギー疾患医療提供体制の全体イメージの図ですが、歯科の先生方は、金属アレルギーとか、レジンアレルギーと言いまして、入れ歯とかプラスチックからもアレルギーがございまして、そのような形でアレルギーに悩んでいる患者さんを抱えてしまいますと、自分のところでパッチテストをできないかと思われている先生方がまだまだたくさんいらっしゃいまして、この説明を、今のところ確実な提供体制が確立されていないので、これから構築されるところなのですとお答えしても、どうしても自分のところで検査ができればという方々が多かったりするので、何とか地域レベルのところに、例えば矢印が2方向でなくてもいいので、歯科から地域の一般病院、診療所に相談するという形の矢印とか、拠点病院に相談するという形の矢印で入れていただけたら、歯科の先生方もこれを見ればより理解していただけるのではないかしらと思っています。まだその段階ではないのを分かっておりながらのコメントですが、その辺りはいかがでしょうか。すみません。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 事務局のほう、いかがでしょうか。
○九十九課長補佐 御指摘ありがとうございます。現在、厚生労働科学研究の金属アレルギーに関する研究班というものがございまして、どのような対応が必要か、どのような診療体制がよろしいかということについて検討いただいておりますので、そういった知見に基づきまして必要な対応を検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○海老澤会長 矢上先生が班長を務められているのですけれども、矢上先生、何かございますか。
○矢上委員 ありがとうございます。
 現在、佐藤真奈美先生(日本歯科学会理事)やその他の歯科の先生方にもご協力をいただき、『金属アレルギーの診療と管理の手引き』の作成に取り組んでいます。
多くの歯科の先生方は小児から成人に至る金属アレルギーの患者さんを日常的に診療されています。また、歯科治療で使用されるレジン(樹脂)もアレルギーの要因になります。よって、金属アレルギーの領域では歯科医の先生方も診療の一翼を担われていると認識しております。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 また、研究班の報告書等を受けて、歯科の先生方もうまく金属アレルギーの診療にたどり着けるようなスキームというのも必要ではないかなと思いました。ありがとうございました。
○佐藤委員 ありがとうございました。
 矢上先生、引き続きよろしくお願いします。
○海老澤会長 中西委員から手が挙がっています。よろしくお願いします。
○中西委員 よろしくお願いします。ここで提案する話なのか分からなかったのですが、先日、私、フェニルケトン尿症という病気のお子さんを育てているママとお話をする機会を得まして、そちらは一生特殊ミルクと低タンパク質のお米とかパンを食べる必要があるという病気なのですが、特殊ミルクは保険適用になるからいいけれども、食べなければ死んでしまう低タンパクのお米が、新潟在住の方でしたが、魚沼産こしひかりの3倍の値段がすると。でも、これを食べないといけないので、一生こういう食費がかかってしまうというのは結構つらいですというお話をされていたのですね。
 今回、こちらの事業は、医療とか薬剤とか保健体制の充実についてはとてもよく語られている、検討もなされていると思っているのですが、アレルギーというのは、薬未満だけどアレルギーの人々を支える、特殊な食品をつくっている業界などへのアプローチや補助なども世の中として考えていってあげないと。アレルギーの人たちが本当に生きやすい世界をつくるのにはこういう視点も必要なのではないかなと思ったので、意見をさせていただきました。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 アレルギー、特に食物アレルギー関係の方に対しての特別な食品の提供、例えば牛乳アレルギーの方に対しての加水分解乳とかアミノ酸乳とか、いろいろあると思うのですが、そういったところの企業に任せてしまっているというのが現状なのかなと思います。企業のほうでも例えばアレルギー物質を含まないような食品の開発とか、いろいろやってはくれているのですが、それを国のほうから何とかという形では今のところなかったと思うのですけれども、事務局のほうは何かございますか。
○九十九課長補佐 御意見ありがとうございます。
 現時点でそういった事業者に対する取組というのは、我々の所管の中ではなかなか答えづらいところがありますが、御意見として承りたいと思います。
○海老澤会長 あと、加工食品に関する食品表示は消費者庁が管轄なのですが、日本は加工食品に関しては患者さん向けに非常によくやっていると思います。現在、ナッツアレルギー、特にくるみとかカシューとかマカダミアとか、急に増えてきていますけれども、そういうのに対してもタイムリーに、全国モニタリング調査の結果を基にして、すぐに対応できるような体制というのは取っているので、企業が例えばアレルギー食品をつくっていくときにコストを下げていくときに、ほかの方も食べられるような、アレルギーの方だけが食べられるようなものでないものをつくっていくと値段が下がっていったりすることもあるのです。
 フェニルケトン尿症の場合というのはなかなか難しいなと思って聞いていたのですが、アレルギー疾患対策に関わる企業については、自分などもいろいろ相談を受けることがあるのですけれども、そういうお声を聞きながら、きちんとより進めていただけるようなことをお願いしていきたいなと思っています。
 それぐらいしか回答できないのですけれども、よろしいですか。
○中西委員 はい。ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 下浦委員、お願いします。
○下浦委員 ありがとうございます。
 本来私が発言するところの件ではなかったのですけれども、先ほどの中西委員の関係で、先にお伝えします。特に企業のそういった食物アレルギー関連の商品は、栄養士会としてもしっかりとつくっていただきたいということを企業のほうに要望はしているのですが、企業としても開発等にお金もかかるし、製造ライン等の費用もかかるのでなかなか難しいということです。とは言いながら、当会としてもアレルギー患者(児)さん、例えば先ほど大森委員からお話があった災害時において特殊なミルクやアレルギー用の液体ミルクなどもつくってほしいということを申し上げるのですが、企業としてはなかなか収支のこともあって難しいということで返事が返ってくるのが現状です。ただ、そうは言いながら、当会としても継続して発言をしていきたいと思っております。
 そもそも私の発言は先ほどの大森委員の災害のアレルギー体制係の話です。今回の能登半島地震で一部の病院と行政と日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)と石川県栄養士会がアレルギーの患者(児)さんに対して食物アレルギー関係の支援物資を供給するという形で動いたというのは把握しております。それが全体的に、例えば珠洲市の奥のほうまで十分に活動できたかというと、それはまだまだ体制としてはできておりませんので、今後、栄養士会も行政をはじめ、アレルギー学会の先生方等とも協力していきながらその体制をしっかりつくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。ウェブからはないようですけれども、西間先生、何かございますか。
○西間参考人 今、それぞれに起きていることのディスカッションがありましたが、もう一回元に戻って、岡本先生が最初に指摘された均てん化、重症化予防というところの観点をより強めて議論を進めないと、先生、時間がもうあまりないなと思いながら聞いておりました。
○海老澤会長 これから「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の中間評価について」というところに話を移していこうかなと思っていたのですけれども、その方向でよろしいでしょうか。
○西間参考人 はい。
○海老澤会長 国のアレルギー疾患対策について、今日御参加の委員の先生方からいろいろ貴重な意見をいただきましてありがとうございました。活発な御意見に感謝いたします。
 それでは、続きまして、議事4「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の中間評価について」に移りたいと思います。こちらについて、まず事務局より「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の策定経緯や概要等について説明をしてもらいます。次に、中間評価を担当した森田委員から報告書の案について御説明をいただきます。最後に、事務局から本件に関する議論の進め方について説明いただき、これらを踏まえて皆様に御議論いただくことを想定しております。
 なお、森田委員から説明いただいた報告書案及び概要案については、皆様に御議論いただいた内容を踏まえて、適宜追記・修正の上、本会議終了後にはクレジットを「アレルギー疾患対策推進協議会」に改めた上で報告書として確定させる予定です。
 それでは、まず資料2について、事務局よりお願いいたします。
○九十九課長補佐 事務局でございます。
 資料2「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の中間評価について」を御覧ください。
 1ページ目をおめくりいただきまして、アレルギー疾患対策における研究戦略の議論の始まりについて記載したものでございます。アレルギー疾患対策基本法には研究の推進等を定めた条文がございまして、これに対して基本指針においては研究の長期的かつ戦略的な推進が必要である旨が定められております。
 続きまして、1ページおめくりください。
 免疫アレルギー疾患研究戦略検討会の開催から戦略発出まででございますが、この検討会で3回にわたりまして議論をいただきまして、平成30年12月に免疫アレルギー疾患研究戦略検討会報告書を出していただきました。これを踏まえまして、翌1月23日に「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」について取りまとめてございます。
 1ページおめくりください。
 こちらは参考資料でございますが、免疫アレルギー疾患対策における研究10か年戦略の位置づけでございますが、ここに記載の3つの戦略を通しまして、発症予防、重症化予防及び症状の軽減、生活の質の維持向上につなげていきたいというところでございます。
 1ページおめくりください。
 この10か年戦略に関しましては、免疫アレルギー疾患が有する特徴としまして、「多くは慢性の経過をたどり、改善や悪化を繰り返すことがあるために、長期にわたり生活の質を著しく損なう。また、アナフィラキシーや一部の薬剤アレルギーなど、突然の増悪により、致死的な転機をたどる場合もある」と示されております。
 10年後に目指すビジョンとしましては、産学官民の連携と患者の参画に基づいて、免疫アレルギー疾患に対して「発症予防・重症化予防によるQOL改善」と「防ぎ得る死の根絶」のために、「疾患活動性や生活満足度の見える化」や「病態の『見える化』に基づく層別化医療及び予防的・先制的医療の実現」を通じて、ライフステージに応じて、安心して生活できる社会を構築すると書かれております。
 このビジョンを実現するためにこの3つの戦略が柱として立っておりまして、1つ目が本態解明、2つ目が社会の構築、3つ目が疾患特性となってございます。
 1ページおめくりください。
 こちらはこういった戦略が令和4年に改正された基本的指針にも位置づけられていることを示したものでございます。
 1ページおめくりください。
 「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」と免疫アレルギー疾患の研究事業との関わりでございます。戦略2に関しましては、主に厚生労働科学研究におきまして実施しておりまして、免疫アレルギー疾患領域における研究の現状を正確に把握し、研究者間の密接な連携体制を構築しながら、疫学研究、臨床研究等を長期的かつ戦略的に推進することがこの厚生労働科学研究の事業目標に掲げられております。
 また、戦略1と3に関しましてはAMED研究で主に行っていただいているところでございます。
 1ページおめくりください。
 この10か年戦略の観点から免疫アレルギー研究を評価する研究班としておりますけれども、この10か年戦略につきましては、中間評価と見直しについての記載がございまして、そのために、下に書かせていただいておりますが、平成30年から令和2年度に関しましては玉利班、令和3年以降は森田班によりこのモニタリング及び中間評価を行ってきていただいております。
 事務局からは以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料3、4、参考資料9について、森田委員より御説明をお願いします。
○森田委員 国立成育医療研究センターの森田でございます。
 それでは、中間評価の内容に関しまして、研究班を代表して御説明をさせていただきます。
 今回の中間評価報告書(案)として資料3、その概要として資料4を提出させていただいております。本協議会においてこの2つの資料の内容を御確認・御議論いただくものと承知しております。その上で、研究班において中間評価をどのように進めたか等を、中間評価報告書概要について、参考資料9に沿って御説明をさせていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 まず初めに、10か年戦略の評価、体制、方法につきまして御説明をさせていただきます。本戦略の評価は、私が代表を務めさせていただいております厚生労働省行政推進調査事業費補助金、免疫・アレルギー疾患政策研究事業の研究班を中心に行わせていただきました。
 同研究班では、関連7学会から推薦いただきました研究者を含むメンバーで構成されておりまして、各学会の視点に基づいて議論を進めてまいりました。
 評価方法は、真ん中中段にございます4つの点でございます。1つ目の研究インパクト解析ですが、こちらは研究発表された論文の数や、掲載された雑誌の格のようなものだけでなくて、学術界やメディア、患者、産業界へどれだけ影響を及ぼしたか、アウトリーチを加味した上での評価方法を用いております。
 2つ目は公的研究費。具体的にはAMEDの免疫・アレルギー疾患実用化研究事業及び厚労科研のアレルギー疾患政策研究事業を対象といたしまして採択された研究を戦略ごとに分類して評価いたしました。
 3つ目が主要国際雑誌に掲載された論文数ですが、こちらも同様に戦略ごとに分類し評価いたしました。
 一番右になりますのが関連7学会の有識者及びAMEDのPS・PO、厚労科研の評価委員の先生方からも意見を頂戴いたしまして、前半5年間の課題、短期的、中期的、長期的な課題抽出を行いまして、報告書原案を研究班で作成しております。
 報告書原案を基に、関連7学会の理事長及び関連委員会、そして患者会9団体、AMED、PS・PO、厚労科研評価委員の先生方を含む有識者の方に再度御意見をいただきまして改訂を重ね、現在お手元にございます中間評価報告書(案)を御提案させていただくに至りました。
 次のスライドをお願いいたします。
 まず、本戦略の目指すビジョンとしましては、産学官民の連携と患者参画を通じて、免疫アレルギー疾患に対して「発症予防・重症化予防、QOLの改善」と「防ぎ得る死の根絶」のため、「疾患活動性や生活満足度の見える化」「病態の『見える化』に基づく層別化医療及び予防的・先制的医療の実現」を通じて、ライフステージに応じて、安心して生活できる社会を構築するとされております。
 前半5年間の成果ですが、中段にございますように、戦略1では、様々な免疫疾患の発症に関与する細胞の種類や遺伝子の解明につながる基盤が出来上がったこと。あるいは外用JAK阻害剤、IL-31受容体を阻害する抗体製剤など開発がされたということが挙げられます。
 戦略2では、都道府県拠点病院を活用しましたアレルギー疾患の有病率調査や、カルテやアプリを活用しましたリアルワールドデータ。つまり、日常生活や医療現場で実際に得られたデータを用いた解析研究によりアレルギーの実態が明らかになっております。
 戦略3では、高齢者に多いアレルギー性気管支肺真菌症の診断基準を確立しまして、こちらは世界に先駆けて発信をしております。また、重症患者における生物学的製剤の特性も明らかにされています。
 このように数々の成果が上がっておりますが、一方で、それぞれの戦略における課題も出てきております。下段に挙げられています課題は、後半5年間の推進すべき研究というところにもつながってまいりますので、次のスライドにおいて説明をさせていただければと考えております。
 次のスライドをお願いいたします。
 この中間評価を踏まえて今後推進すべき研究を左から戦略1、2、3とさせていただきまして、一番下に戦略横断的につながる項目とさせていただいております。
 まず、戦略1からですが、1-1の部分、アレルギー疾患は非常に多様で、患者さん個々によって病態がかなり異なります。そのため、治療薬の選定あるいは開発において個々の患者さんの病態を詳細に理解する必要がございます。近年の技術革新によって1つの細胞のレベルで解析ができるような、そういう時代になってまいりましたので、そのような最新の技術を使った上で、個々の患者さんの病態を明らかにすることが必要であると考えております。また、動物モデル等の研究を用いることで個々の病態をより詳細に理解するという研究を推進いたします。
 1-2になりますが、アレルギー疾患の発症予防を含みます先制医療に関しては、これまでの成果で早期からの治療、予防介入することでアレルギー疾患発症を一部予防できる可能性が示唆されております。一方で、全員がその恩恵を受けられるわけではないということも事実です。そこで、1-2では予防介入すべき対象をより詳細に明らかにする研究を推進いたします。
 1-3になりますけれども、アレルギー疾患患者の増加には近代化に伴う環境が変化していることが関与しており、現在もまだ変化を続けています。そこで、新たな環境要因やそれらに対する対処法を明らかにすべく、環境整備につながる研究、環境に配慮する他分野との連携した研究を推進いたします。
 1-4、アレルギー疾患は複数の臓器に横断的に症状が出現する臓器横断的疾患でございますけれども、このメカニズムはいまだに不明な部分が多く残されております。臓器をつなぐものとしまして免疫はもちろんのこと、神経といった臓器間をつなぐ、連携をするものがだんだん明らかになってきておりますので、このような観点に着目した研究を推進いたします。
 2-1になります。研究での患者・市民参画においては、昨年度末に私ども研究班で調査を行ったところ、患者・市民、そして研究者両方において、患者・市民参画に対する共通認識を持つ必要性が明らかになりました。そこで、患者・市民参画に関して共通認識の醸成に資するような研究や、あるいは実際に患者・市民参画を推進するための研究協力体制の構築、あるいは事例集等の蓄積を推進いたします。
 2-2になりますが、時代とともに診療技術や新たな治療薬の登場によって診療・治療が変化してきております。それに伴いまして患者さんのニーズが劇的に変化してきております。そこで、この項目ではいまだに満たされていないニーズ、つまり、アンメットニーズをより継続的かつ広範囲に行えるような基盤の開発、そしてそれらの解決に資するような社会実装を目指した研究を推進いたします。
 2-3になりますが、拠点病院等の診療ネットワークを活用した研究が始まりつつありますが、いまだその研究の基盤は脆弱な状況ですので、引き続き診療ネットワークを活用した研究を推進していきます。
 2-4の人材育成になりますが、10年、20年先を見据えた人材育成も継続していく必要がございます。そこで、多様な人材と研究基盤の確立を行うような研究を推進してまいります。
 戦略3に移りまして、3-1になりますが、近年、木の実類のアレルギー患者さんをはじめとして、時代とともに患者数が急増する疾患群が存在することが明らかになってきております。これらの急増する疾患というのは非常にニーズが高く、不明なところもございますので、これらの急増する疾患の実態解明、そして病態解明を進める研究を推進いたします。
 3-2、成人発症するアレルギーの疾患、病態や実態はいまだに不明な部分が多く残されております。そこで本項目では加齢に伴う免疫の変化や疾患特性の変化のメカニズムを解明するような研究を推進いたします。
 3-3になりますが、治療抵抗性の患者さんはいまだに多く存在しておりまして、こういう患者さんの解決を図るために、免疫学的基礎研究による重症、あるいは難治性、抵抗性の病態解明研究は引き続き推進いたします。
 3-4になりますが、希少疾患と関連した免疫アレルギー疾患の患者さんは、いまだに未診断症例も多く、病態も不明な部分が残されております。他希少疾患領域と連携し、希少免疫アレルギー疾患研究を継続、推進いたします。
 最後に、戦略横断的な推進につながる項目といたしまして4点挙げております。1つ目は、1細胞レベルやゲノム解析、デジタル基盤、あるいは人工知能といった最新の科学技術を最大限活用して行う研究を推進してまいりたいと思います。
 右側に移りまして、レジストリーや既存のバイオバンク等、国内外のネットワーク、既存のものも含めましてこういうものを最大限活用して、オールジャパン、あるいは海外とのネットワークにつながったような研究基盤体制を充実させてまいりたいと思います。
 3つ目が左下になりますが、患者数が急増する疾患。先ほど木の実アレルギーということをお伝えしましたけれども、木の実アレルギーに限らず、急増しているアレルギー疾患や、あるいは類縁するような疾患の病態解明、実態解明を関連領域と連携して行うような研究を推進してまいりたいと思います。
 右下になりますが、研究成果を社会実装していくということを視野に入れていかなければいけないわけですけれども、社会実装するための研究開発インフラと連携して研究を進めていくということも推進項目として挙げさせていただきました。
 以上となります。御清聴ありがとうございました。
○海老澤会長 森田委員、ありがとうございました。
 続きまして、資料5について、事務局よりお願いいたします。
○九十九課長補佐 事務局でございます。
 お手元の資料5を御覧ください。こちらの1枚のスライドは「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の今後の議論の進め方について(案)」でございますが、中間評価や今後5年間で推進すべき研究として、研究班に先ほど御提示いただきました中間評価報告書案に追加すべき観点はないかということを御議論いただけないかと考えております。
 また、免疫アレルギー疾患研究の進捗状況や現在の課題の把握内容について、何か付け足すトピックはないかという観点についても御議論いただければと思います。
 また、今後のスケジュールを下に記載しておりますが、現在令和6年度の協議会での議論の状況のところですが、最終評価や新規戦略につきましては、令和10年度に議論を行うこととしてはどうかという御提案でございます。
 御議論のほどよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
 森田委員、事務局からの説明内容を踏まえて、委員の皆様の御意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。矢上委員、お願いします。
○矢上委員 藤田医科大学の矢上晶子でございます。
森田英明先生に、前半5年間の研究成果と後半5年間の研究の課題と方向性を示していただきました。前半5年間の到達目標もお示しいただきましたが、研究が適切に実行された、研究成果は国民に還元されている、もしくは研究の社会へのインパクトなどの評価基準はあるのでしょうか。有識者の先生方よりご意見をいただいておられますが、研究成果の評価基準、評価するなんらかの枠組みはあるのでしょうか。また、後半5年間の研究戦略もご提示されましたが、過去5年間を振り返り、後半5年間に活かせる研究の改良点などはあったのでしょうか。
○森田委員 矢上委員、御質問いただきましてありがとうございます。
 戦略の評価は非常に重要な部分だと認識しております。まず初めに、今回の研究班で行いました評価に関しましては、論文数の単純な総計ですとか、公的研究費の採択状況だけでなくて、研究インパクト評価という評価を加えております。いわゆる論文数だけでなくて、これがどれだけ社会にアウトリーチできたかという指標を用いて解析する新たな手法を研究班で確立して、こちらを用いて評価をしていきたいと考えております。一方で、これは新しい手法ですので、現段階でこの数値がどれぐらいになったから目標を達成するということを評価できるような指標にはなっていないのは事実でございます。
 まず、到達目標を設定していたか、あるいは設定する状況にあるかどうかということを御説明させていただきます。アレルギー疾患は多様な疾患であり、診療科、臓器、あるいは年齢によってもかなり異なってまいりますので、個別の部分に対して戦略を設定するというのは極めて難しい状況にございます。今回の各戦略に関しましては疾患横断的に関与するような部分を設定しております。個別の戦略に応じて細かい評価目標と設定をしていくことは可能なのではございますけれども、かなり細かく設定をしてしまいますと、逆に研究の評価目標を基にして研究の募集要項をかなり限定することにつながりかねないと考えております。研究は少し動的な部分がございますので、具体的に限定した細かい評価目標を設定していなかったというところはございます。
 後半に向けましても、戦略1、3といういわゆる病態解明研究というところは非常に細かい設定はしにくいだろうと考えておりますが、例えば戦略2、患者・市民参画の部分ですとか人材育成の部分とか、そういうところは比較的評価目標を設定しやすい領域の可能性もありますので、そういうことも含めまして今後検討させていただきたいなと考えております。
 御質問いただきましてありがとうございます。
○矢上委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 どうぞ。
○山口委員 患者保護者の立場で発言させていただきます。戦略2-1、患者・市民参画について必要性があると明確になったことは、とてもうれしく思っております。どうやって関わるのがよいかというのも含めて患者側も参画させていただけたらなと思っています。これは参加ではなく、参画なので、計画の段階から関わる参画を要望します。患者としては、専門職の皆様に時間や労力などを割いていただくのが最小限になるように、また客観的に手短に意見を述べられるように知識を学ぶ、そのような機会も設けていただきたいです。そのような要望です。よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 どうぞ。
○森田委員 御質問いただきましてありがとうございます。
 患者・市民参画は、戦略の中で重大な位置を占めていると認識しております。患者・市民参画に関しましては、御指摘いただいたとおり、学会等とも連携いたしまして患者・市民、あるいは研究者が学ぶ場の創出を目指していきたいと考えております。
 私どもの研究班では、昨年度末に患者団体、あるいは研究者を中心に、どういう状況にあるのかという免疫アレルギー疾患研究における患者・市民参画の実態に関して、アンケート及びヒアリング調査を行っております。その結果、患者・市民側、あるいは研究者側、両方で患者・市民参画への共通認識を明確にする必要があるということが分かりました。例えば患者さん側になりますと、患者・市民参画の説明の中で「臨床試験に患者が主体的に関与する」という言葉が、一見臨床研究に被験者として積極的に参加すべきだと捉えられてしまう可能性があるという御意見をいただきました。研究に関する患者・市民参画とは、患者さんが被験者として研究に参加するということとは意味が明確に異なっておりまして、患者さんや市民の皆さんが研究の内容に関して、研究段階、初期の段階から参画していただいて議論を深めて、研究をより意義のあるものにするということが目的であります。このような認識を患者・市民側、研究者側の両方で共有できていないと、誤解を招いてしまう可能性があると感じております。
 もう一つは研究者側ですが、現在AMEDの免疫アレルギー疾患実用化研究事業では、研究申請書の中に患者・市民参画への取組を記載する欄が既に存在しております。一方で、研究者側も患者・市民参画を積極的に取り入れたいと考えているのですが、正しい知識が欠如しているために、せっかく患者さんに参加していただいても、何をしていただいていいか分からないので名前だけ入ってしまうみたいな、まるでアリバイづくりのように患者さんが入ってしまっているような状況もあり得るということも分かってまいりました。先の実態調査では研究者側は、患者さんと研究者をつなぐコーディネーターのような必要性を感じると回答していた方が多くいらっしゃいましたので、このようなところを含めまして、研究班及び学会と連携しまして取り組んでまいりたいと考えております。
 ありがとうございます。
○海老澤会長 上田委員、お願いします。
○上田委員 上田です。
 環境保健の立場から2点ほど御質問がございます。1点目は戦略の1-3に関わるのではないかと思いますけれども、外的要因。アレルギーは内的要因だけではなくて、環境要因にも影響を受けるということで、こういった戦略の中にも含めていただいて、うれしく思うのですが、その中で先ほども出てきました食べ物や、それだけでなくて、日常使っているもの。例えばパーソナルケア製品に関する研究は毒性学的研究なども最近出てきているところです。そういったところの研究がどれぐらい進んでいるのか。今後進める方向性なのか。そして、その結果をどのように還元していくか。これは医療界だけではなくて、ほかの業界とも関わってくるところであるので、そういったところをどのように進めていくのかという点についてお尋ねしたいというのが1点。
 2点目は疫学研究に関してです。アレルギーのトレンドを見るためには、長期的にその有症率、有病率等を追うことが必要なのではないかと思うのです。実際今の研究の中では有病率調査を拠点病院の職員と家族を対象にしているということですが、できれば一般の全国を代表するような集団を対象として、継続的な疫学調査を引き続き行っていただきたい。国際的な共同研究をする上でも共通の診断基準をもってするということが、国際共同研究もしやすくなるということもありますので、ぜひともお願いしたいと思います。
 以上です。
○森田委員 御質問・コメントをいただきましてありがとうございます。
 御指摘いただきましたとおり、アレルギーというのは環境と深いつながりがございますので、環境がどのように変化をしてきたか、あるいはその環境にどういうふうに対処していったらいいかという研究は推進していく必要がございます。
 前半5年間は、環境の中でもどちらかというと外的環境としまして、腸内細菌ですとか、いわゆる外的の微生物に対するものが比較的多く研究をされておりました。微生物に限らず、食物とか、あるいは近代化に伴って使うようになったコスメティックなものですとか、今、御指摘いただいたようなものがどのような影響を及ぼすかということは非常に大事なことですので、今後も進めていく研究課題であろうと思っております。
 この部分に関しましては、アレルギーの領域のもの、あるいは医学界だけでなくて、環境、あるいは産業界の皆様とも会話を続けながら研究を進めていくべきところだろうと認識しております。一方で、社会にどうやって還元していくか、あるいはどのように広めていくかという部分に関しましては、1つの研究をもって、これが駄目だ、あれが駄目だということを判断するのは非常に危険だと思いますので、エビデンスを蓄積した上で、関係学会と連携しながらこれをどう社会に還元するかというのは検討してまいる必要があると認識しております。
 もう一つ御指摘いただきましたアレルギーのトレンドを調査していくというのも非常に重要な課題かと思っております。現在は拠点病院を中心とした職員の調査というのが厚生労働省の指定研究班として走っております。一方で、全国規模の疫学調査というのは、アレルギー疾患の患者さんの数が多いために、規模的が非常に大きくなってくるということもございますので、推進を検討していくところではございますけれども、現時点ではまだ走っていないという状況にございます。
 この戦略の中でも、ほかの項目でも入れさせていただいたのですが、データベースを使った研究などでも、例えばレセプト情報、NDBなどを使った研究とかでもアレルギー疾患のトレンドというところをつかめていく可能性もありますので、こういうところとも組み合わせながら研究を進めてまいりたいと考えております。
○海老澤会長 事務局、お願いします。
○九十九課長補佐 事務局でございます。
 少し似たような観点で、本日欠席されている今村委員から事前に御意見をいただいておりますので、事務局が代読いたします。
 「食物アレルギーは、近年有病率が高まっており、原因となる食品の種類もナッツ類が増えるなど、これまでと変化してきている。引き続き厚労科研やAMEDの研究において日本における食物アレルギーの現状を把握し、研究の成果が社会に還元されるような食物アレルギーの実態把握に関する研究もさらに推進することが望ましいのではないか」という御意見でございます。
 以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 AMEDでは疫学に対しての研究費というのは全く出ないことになっていますので、厚労科研で何とかしていくぐらいしか対策というのはないです。あと、全国規模の調査ということになっていくと、食物アレルギーとアナフィラキシーに関しては、文部科学省、日本学校保健会が中心となって行っている全国の児童生徒に関しての調査は2004年から始まって、2013年、2022年と9年ごとに報告が上がってきていまして、二次利用の依頼をしまして、きちんとそういうデータも学術的に報告したいなと今、準備を進めているところです。
 ただ、西日本で西間先生が行っているぜん息の調査とか、あるいは学校保健会がやっているそういう調査とか、続けていくことが非常に重要だということは認識しているのですけれども、そこにお金がついてくるかどうかというのは、そのときの状況によってなかなか厳しいものがあるので、そういうことも継続してやっていくことは非常に重要な点だと思いますので、アレルギー疾患対策の推進協議会のほうでも真摯に受け止めて、今後の対策に生かしていきたいなと思っております。御意見ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。大嶋先生、お願いします。
○大嶋委員 戦略1とか3のところでかなり基礎的な研究も入っているわけですが、ここに書かれているような最先端の技術は限られた施設でしか実施できないという印象を受けます。そのため、最先端の技術を持つ施設との連携でないと新たな研究に取り組みにくいという印象を研究者に与えないかという点と、最先端の研究で得られたデータは非常に貴重なものになりますが、その素データをどれくらい他の研究者が利用できるのか、また、その公開性に関してどういう条件を考えておられるかを御教示いただけませんでしょうか。限られた研究用の財源をどう有効に使うかということにつながると思うのですが。
○森田委員 大嶋委員、御指摘いただきましてありがとうございます。御指摘いただいた点は大変重要な点だと考えておりまして、いわゆる最先端の技術を使う研究というのはお金が結構かかります。あるいは専門的な技術が必要になってまいりますので、確かにおっしゃるとおり、技術的な専門機関に解析が集中するということはあり得ることかと思います。一方で、解析をする側というものが必ずしも臨床の患者さんのサンプルを持ち合わせていたりするわけではございませんので、臨床のサンプルを持っている施設との連携ということを強化することでより効果的に研究を発信できるようにさせていただきたいと思っております。
 この研究戦略は、AMEDや厚労科研などのように公的研究費のほうに反映されていく可能性があるわけですが、これまでのAMED研究を始めとした公的研究費の採択状況調査では、いわゆる単一の戦略だけを目指した研究というのはほとんどなくて、複数の戦略をまたがる形で公募課題を作成してくださっているように見受けられます。ですので、この最先端の研究も臨床研究基盤との組合せで、連携を強化するところも含めて公募していただけたりする可能性があるかと思います。
 公開性に関しましては、先生のおっしゃるとおり、公的研究費を使われて行われた研究成果はすべからくなるべく社会に還元するということが重要な観点かと思います。現在ですと、ゲノム解析データとかシークエンスのデータみたいなものは、論文投稿の際に公共のデータベースにデポジットするということが求められておりますので、そちらで公共性はある程度担保できるかなと考えておりますが、現状では公的研究費を使用して解析した結果は、全て情報公開するということはやっていないのが現状でございます。
 御質問ありがとうございます。
○海老澤会長 よろしいでしょうか。
○大嶋委員 はい。
○海老澤会長 事務局のほうから。
○九十九課長補佐 ただいま松本委員が少し発言が難しい状況ということで、代読をさせていただければと思います。先ほどの矢上委員と少し似たような観点かと思いますが、代読いたします。
 「資料4、戦略2の後半5年間での課題と今後の研究戦略の方向性に書かれているように、アウトプットの関連を評価する研究が求められると思いますが、具体的な目標値の設定が必要ではないでしょうか。例えばデジタル基盤を活用した社会実装について、いつまでどのぐらいの普及を目指すか、目標値が実現可能なデータ、どんなレベルかなどを検討いただければと思います。同様に、リカレント教育の有効性について、その判断の指標やどの程度であれば社会構築として有効と考えるかの設定も必要ではないでしょうか」という御意見・御質問でございました。
○森田委員 コメントいただきましてありがとうございます。
 先ほど矢上委員から御質問いただきました点と同様でございまして、確かにこの戦略をどのように評価していくか、あるいは評価指標の目標をつくるかというのが重大な課題であると認識しております。今、松本委員から御指摘いただきました部分は戦略2に関わる部分ですので、検討する評価基準というのを設定していくことを含めて検討してまいりたいと思っております。
 ありがとうございます。
○海老澤会長 ほかはいかがでしょうか。
 最初に研究戦略を立てたときに数値目標ということについても議論はしたのですけれども、具体的にアナフィラキシーで日本での人口動態統計で大体年間50~70名ぐらいの死亡者がいるわけですが、そういうものをいかに減らしていくかというのも一つの数値目標になり得るよねと。そういう議論もあったものですから、日本アレルギー学会としても、アナフィラキシーによる、特に医薬品とか、あるいは蜂毒、食物も少なからずありますけれども、そういったものを減らしていくということも重要な指標の一つになり得るかなと厚生労働省のほうとも今、話しているところです。
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。お願いします。
○木原委員 すみません。話の中にもしかしたらあったかもしれないのですが、質問というよりも、例えば戦略2-4のところに書いてあるような背景、多職種が免疫アレルギー疾患医療に携わるというところで、そういう多職種の中に私たち養護教諭も含まれてくるのかなと。例えば学校ですと、小学校、中学校、高等学校と幅広い年齢の子供たちが存在しているわけですけれども、そういった中で日々子供たちのアレルギー、いろんなアレルギーに携わっているわけですので、私たちもそういう多職種の中に含めていただいて、先ほどお話があったように、日本学校保健会とか文科省のほうと組んでいただいて情報提供いただいたり、研修できる機会といったものをつくっていただけると、より安全に子供たちが過ごしていけたり、今後事故なく過ごしていけるのではないかなと思うのです。意見というか、できたらそうしてほしいというような話です。
○森田委員 御意見いただきましてありがとうございます。
 2-4におけます人材育成というのは、医療従事者だけでなくて、免疫アレルギー疾患患者さんに関わる可能性のある方も含めまして教育をしていくということも含んでいる概念になっております。現在進行形で行われている遠隔的なものに関しましては、どちらかというと医療関係者の方が多く参加されておりますけれども、こういうものも含めまして今後拡大、検討していくことを考えたいと思います。ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
 厚生労働省のアレルギー疾患対策に関しては、各省庁も巻き込んでいきながら進めていくというのが基本になっておりますので、また文科省、学校保健会等にも働きかけていきたいと考えております。
 事務局のほうはよろしいですか。
○九十九課長補佐 御指摘のとおり、他省庁、他部局との連携も非常に重要な観点だと思いますので、研究の内容に応じて適切な関係者と協議を進めながら、我々としても研究をサポートしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○海老澤会長 そのほかはいかがでしょうか。
 ウェブからはないようですけれども、こちらのほうはよろしいですか。大丈夫ですか。
 ありがとうございます。
 それでは、大体議論も出尽くしたようです。活発な御議論ありがとうございました。
 今回いただいた意見を踏まえ、研究班から報告いただいた中間評価報告書(案)、中間評価報告書概要(案)の必要な修正については、私に御一任いただければと考えております。その上で、委員の皆様に改めて御確認いただいた上で、これらを本協議会として発出したいと考えていますが、皆様、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○海老澤会長 ありがとうございます。
 それでは、中間評価報告書等の修正については会長一任ということで進めさせていただき、皆様に改めて御確認いただきたいと思います。
 最後に、議事5「その他」について、何か委員から御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、御意見がないようでしたら、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。
 委員の皆様方におかれましては、精力的に御議論いただきましたこと、感謝申し上げます。
 それでは、進行を事務局にお返しします。
○九十九課長補佐 海老澤会長、御進行ありがとうございました。
 委員の皆様におかれましても活発な御議論をいただきまして、改めて感謝申し上げます。
 本日御協議いただきました10か年戦略の中間評価報告書、中間評価報告書概要につきましては、会長に本日議論いただいた内容を踏まえて必要であれば修正を行っていただいた後に、委員の皆様に対して事務局から送付させていただきますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
 引き続き国のアレルギー疾患対策への御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 以上で本日の協議会を終了いたします。委員の皆様、長時間にわたりましてありがとうございました。

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