財務省・新着情報

 

日時 令和6年9月25日(水)16:00~16:55

場所 財務省 第3特別会議室

内容 
1. 令和6年10-12月期における物価連動債の発行額等について

〇令和6年10-12月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債の発行額等については、P.3のとおり、令和6年度発行計画において、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、買入消却についても、P.4のとおり、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。

・令和6年7-9月期の入札等の結果および流通市場の状況についてはP.5~P.8に記載している。P.8のとおり、この間、BEIは、8月初の相場混乱時に乱高下し、通して見れば水準を切り下げている。

・令和6年10-12月期の取り扱いについて、事前にご意見を伺ったところ、ほぼ全ての参加者から、需給や流動性等を踏まえると現状の取り扱いを維持することが適当とのご意見を頂いた。一方、一部の参加者からは、投資家の購入意欲の減退に十分留意すべき等のご意見を頂いた。

・これを受け、P.9に当局の案をお示ししている。令和6年10-12月期については、現状通り、2,500億円の発行入札を1回行いつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うことを想定している。

・物価連動債市場の育成は、国債管理政策上の重要な課題と考えており、引き続き、皆様のご意見等を踏まえつつ、国債発行計画上の取扱いを含めて、慎重に検討・判断していきたいと考えている。今後の市場への見方を含めて、改めて皆様のご意見を頂戴したい。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案を支持する。引き続き、物価連動債の価格ボラティリティは非常に高い状況だが、中期的な需給を見ると、償還再投資のニーズや流通市場での投資家の裾野の広がりは着実に進んでいる。その中で、発行額に対する日銀買入オペと買入消却の金額がほぼ均衡した現在の環境においては、需給が次第に引き締まっていくような状況にあると考えている。そのため、将来的には増額を議論する必要があるとも思っているが、まずはその前段階として、足元では第Ⅱ非価格競争入札の再開を議論してもよいと考えている。

・足元の物価連動債の市場環境について、8月初の大幅調整時には到底実勢とは言えない水準が引け値となり、それ以降、複数の投資家や証券会社の撤退も巻き込んで非常に厳しい状態が続いているという認識を持っている。その中で、8月債の入札はいつも以上に少数の参加者に落札が偏っており、投資家の購入意欲が一段と減退していることを表すものとなった。
・当社はこれまでオファーの持ち込みにも相応に対応してきたが、市場の雰囲気が一向に改善しないこと等も含めて、足元では一旦手を引いて静観をしている状況。この状況を鑑みるに、次回の11月債を増額できる地合いとは考えにくい。あくまでも一時的な措置ではあるが、当社としては11月債の発行減額、または、買入消却額の増額、もしくは日銀買入オペの臨時の増額等を含めて対応が必要だと考えている。
・そのような対応がない場合には、流通市場での流動性の薄さも相まって、大きな調整が発生する可能性も十分にある。したがって、提案した対応はここを起点とした円金利全体、ひいてはグローバルな混乱を防ぐための措置といえるのではないか。
・物価連動債市場に関わってきた者として、今回の提案というのは非常に心苦しいが、今後の市場の発展の芽を摘まないためにも、市場が落ち着くまでのあくまでも一時的な措置として検討いただきたい。
 
・買入消却額の一時的な増額を提案する。
・物価連動債は、8月初の大幅調整を受けて、相場の不安定さ及び流動性に対する懸念が急速に強まった結果、BEIの下落傾向が続いており、足元のCPIや日本銀行のインフレ見通しとの乖離が広がっている状況。
・また、他のマクロ・プロダクトである為替や株、原油価格、海外におけるインフレ期待等が一定の復調を見せる中で、物価連動債はその傾向がほとんど見られず、乖離が目立つようになってきている。これは相場の不安定さを背景としたリスク・リダクションの動きによるものと考えており、実際に当社でも海外勢を中心にロング・ポジションの手仕舞いが積極的に見られている。季節的にこれから年末にかけては、このような動きがさらに進む傾向があることを考えると、インフレ期待との乖離はさらに大きくなる可能性がある。
・これまでは、中長期的なインフレへの対応として物価連動債の購入を新規に検討するなど投資家勢の裾野が広がる兆しがあったが、足元の相場の不安定さに対する懸念からそのような話はほとんど聞こえなくなっており、逆に取り止めたというような話も聞く。このような状況を放置しておくと物価連動債市場の再活性化に大きな支障が出ると考えている。臨時措置として、買入消却を1月当たり100億円または200億円増額し、当局によるコミットメントを示すことで、物価連動債の不安定さに対する懸念の解消を図ることは、今後のこの市場の育成において重要であると考えている。

・当局の提案を支持する。物価連動債市場を長い目で見ると、日本銀行による持続的、安定的物価目標である2%を実現する確度の高まりと共に、BEIは上昇傾向で推移しており、こうした観点は物価連動債の需要の高まりと見てよいのではないかと捉えている。
・一方で、足元の8月初の大幅調整を受けて、特にBEIの面で非常にボラティリティが大きく、不安定になってしまった。投資家の裾野といった観点でも、徐々に広がっていく兆しはあると捉えているが、現状の不安定な状況の中では、今しばらくは現状の発行額、買入消却額を維持すべき。
・投資家層の裾野の広がりの観点で付け加えると、足元では特に流通市場において価格の振れ幅が大きく、流動性も薄い。証券会社としてもプライシングがワイドにならざるを得ないという状況が続いており、入札で購入しどこかのタイミングで一旦売却するような投資家から見れば、なかなか思ったところで売買できないことから取引を手控えるという者も出てくる。当社として、流通市場の流動性の低さに対する解決策を持っている訳ではないが、入札安定消化と非常に絡む要素と認識している。

2. 令和6年10-12月期における流動性供給入札の実施額等について

〇令和6年10-12月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.11のとおり、令和6年度発行計画において、最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされており、前回6月の本会合で皆様からご意見を伺ったうえで、8月以降、残存15.5年-39年ゾーンを減額し、残存5-15.5年ゾーンを増額している。

・令和6年7-9月期に実施した流動性供給入札の結果等についてはP.12~P.15のとおりである。

・令和6年10-12月期の取り扱いについて、事前にご意見を伺ったところ、ほぼ全ての参加者から、前回会合から顕著な変化はないことから、現状の取り扱いを維持することが適当とのご意見を頂いた。

・これを受け、P.16に当局の案をお示ししている。令和6年10-12月期については、現状通り、残存1-5年ゾーンは奇数月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンは毎月6,500億円、残存15.5-39年ゾーンは偶数月に4,000億円の発行とすることを想定しているが、改めて皆様のご意見を頂戴したい。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案を支持する。
・前回6月の本会合で変更したばかりであるほか、市場で特段問題なく消化されていると考えているため、現在の環境下では現状維持が好ましい。

・当初発行計画のゾーン毎の実施額に戻すことを希望。
・前回6月の本会合では反対意見は申し上げなかったが、当社に来ている投資家からのオーダーや8月の残存15.5-39年ゾーンの入札結果を踏まえると、同ゾーンの減額は良くなかったのではと考えている。最近は投資家からのオーダーが増加傾向にあるものの、入札が強く決まるために約定には至らないケースが増えている。同ゾーンの流動性供給入札の結果はカレントの20年債や30年債の入札に比べれば好調なので、どちらかといえばカレント債の発行減額には賛成だが、流動性供給入札の発行額は当初のゾーン毎の額に戻してほしい。
・将来的に流動性供給入札の有効性を高めるため、現在、残存15.5年で区分けされている年限を残存10年に変更してはどうか。流通市場で市中残高の少ない銘柄が確実に追加発行されるよう、来年4月以降は年限区分を変更して、残存5-10年というゾーンで流動性供給入札を行った方がよいのではないかと考えている。

・当局の提案に賛成する。発行額の変更後に実施した入札回数は少ないものの、大きな影響なく安定していると思われる。発行額の変更については前回6月の本会合で、ほとんどの参加者の意見が一致した案であり、変更するとしても半年から1年ほど推移を見てからではないかと考えている。

・先の発言にあった、流動性供給入札の年限の区分を残存15.5年から残存10年に変更する案に賛成する。
・今後、市場流通量の少ない10年債が国債先物のチーペスト銘柄となることで、需給の引き締まりや、投機的な動きを引き起こすリスクが想定される。
・流動性供給入札によって、チーペスト銘柄となりうるオフ・ザ・ランの10年債が発行されればいいのだが、残存5-15.5年というゾーンの幅が広いことから、残存5年や残存15.5年に近いところの発行が多くなってしまっている。
・今後、早めに区分を変更すれば、市場における不要なボラティリティの発生を未然に防げるのではないか。

・現状、日本銀行による買入額の減額がかなり段階的であり、市中残高が思うように戻らない中では、対策として年限の区分変更を行うのも一案であるが、日本銀行の買入減額がある程度進んだ際に、区分変更を暫定とするのか恒久とするのかについても考える必要がある。
・足元のチーペスト銘柄となりうるオフ・ザ・ランの10年債への需要が高いことは認識しているが、本来買うべきなら買っているはずの話であり、そこまで大きな問題なのか。
・年限区分の変更については、超長期ゾーンの発行額を変更することの影響も考えて検討すべきだと考えている。

3. 令和6年10月以降におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について

〇令和6年10月以降におけるクライメート・トランジション利付国債の入札発行について、理財局から以下のように説明を行った。

・まず、前回(6月)の本会合にて案内した「JGB・GXプロモーター」について、多くの証券会社に手を挙げていただき、感謝申し上げる。資料P.18に記載した12社をこのプロモーターとすることを7月末に決定し、既に公表もしている。既に投資家との面談は開始されており、来月以降海外を訪問しての投資家面談もご調整頂いている。今後とも、よろしくお願いしたい。

・クライメート・トランジション利付国債(CT債)について、昨年度は、10年債を約8,000億円、5年債を約8,000億円の総額約1.6兆円、今年度はこれまでに10年債を約3,500億円、5年債を約3,500億円、総額約7,000億円を発行。

・今年度のCT債の発行については、本年3月に資料P.19に記載のとおり公表している。10月以降についても、公表したとおり10月に10年債を3,500億円、令和7年1月に5年債を3,500億円、それぞれリオープン発行することで国債市場特別参加者全社から支持頂いているので、そのとおりに進めることとする。

・令和7年度以降の発行については、今後、令和7年度予算の状況や、市場環境等を勘案しながら、関係省庁等と検討した上で、改めて相談させてほしい。

・最後に、このCT債の流動性について、10月と1月の入札はリオープンであり、CT債の流通市場における水準がこれまで以上に入札結果にも影響し得るので、国債市場特別参加者として極力マーケット・メイクに努め、流動性を提供頂くようお願いしたい。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・現在のCT債については発行以降、4割程度日本銀行が保有しているが、日本銀行の保有、業者の在庫保有、投資家の保有の3つの中で大きなバランスの偏りは見られていないと考えており、下期のCT債の発行については3月に当局が公表した通り進めることに異論ない。
・日本銀行の買入オペの運営がCT債とその他の国債とで異なることが不確実性を生んでいるため、業者としても大きな在庫を抱えることが難しい状況となっており、マーケット・メイクへも影響を及ぼしている。
・証券会社サイドで出来ることも何かとあるかと思われるが、まずは当局と日本銀行が連携し、例えば日本銀行によるCT債の保有比率をその他の国債に近づけるような運用を行う等、日銀買入オペの運営について検討して頂きたい。

・今年度10月以降のCT債発行については、本年3月に公表した通りの発行額やスケジュールで問題ない。
・来年度以降の発行額については、現状程度の発行額であれば問題なくマーケットで消化されると考えている。
・これまで発行されたCT債4銘柄は、いずれも発行後速やかに日本銀行に売却されている点や、5年債・10年債ともに第1回債の入札は初物ということで最終投資家の参加が一定程度あった一方で、第2回債は証券会社中心の入札となった点を鑑みると、本当の意味で順調に消化されているのか疑問である。
・日本銀行は現在発行額の40%程度を買い入れた時点でCT債を買入対象から除外するという運営を行っており、これが今後の証券会社の応札意欲を低下させる原因となることを危惧している。
・将来的に、最終投資家の保有意欲を高めるためのインセンティブや発行形式の見直しを検討することも重要と考える。

4. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・円金利市場においては金利先高観が後退している状況。その背景として、1つ目は、ファンダメンタルズ対比でみれば円安水準ではあるものの、昨年との比較、若しくは一時期の水準と比較すると円安が修正され、日本銀行に対する利上げ圧力が低下してきた点があげられる。2つ目は、米国が利下げサイクル入りし、グローバルで金利低下方向に向かう中、円金利だけ上昇していくことは考えられないという見方が市場では意識されている点である。
・今後の見通しに関しては、米国の市場の利下げ織り込みが適切なのかという点がいずれ焦点となってくる。仮に米国経済が安定しており、市場で織り込まれているほどの利下げは不要ということであれば、円高圧力は後退し、日本銀行が利上げしやすいタイミングとなり、その場合は、短・中期ゾーン中心での金利水準修正となると考えている。
・超長期ゾーンについては、フォワード金利等でみると非常に安い水準であり、現時点でこれ以上の金利上昇が織り込まれる必要はないと思っているが、金利低下が織り込まれるには、需給の改善がないと難しい状況であり、今後の発行減額を通じて中長期的にいずれ落ち着いていくことが必要である。
・昨今、財政の問題もあり超長期ゾーンでは来年度の発行計画の内容が一番の焦点となり、他方で短・中期ゾーンではグローバルの金利状況を踏まえて利上げのタイミングを計るといった状況が当面続くという見方をしている。

・円安が修正されたことにより、日本銀行の植田総裁はインフレ見通しの上振れリスクが後退したと発言しており、国内での金利先高観は後退していると感じる。
・米国では9月に50bpsの利下げが実施されたが、市場の反応としては米長期金利が上昇したということから、どちらかといえばソフトランディングシナリオが強化されたという見方もできる。この点に関しては、日本銀行のシナリオ通りに動いているということであり、インフレの上振れリスクがないといっても、本来であれば利上げというものが意識されてしかるべき。
・その一方で、市場が利上げをなぜ織り込めないのかといった理由は2点ある。1点目は、純粋な需給の問題である。今月行われた日銀貸出増加支援オペでは、非常に巨額のロール・オーバーが行われていたことから、引き続き銀行勢から見た担保需要が、短期ゾーン若しくは2年債などの中期ゾーンまでの金利を抑えていると考えている。また、チーペスト銘柄の問題もあげられる。12月から日本銀行が大量に保有している、10年366回債がチーペスト銘柄となるため、長期ゾーンについてもなかなか金利が上がらないという状況が続いてしまうだろう。一方、この点については、来年以降、残存2年の日銀共通担保オペのロール・オーバーにより、担保需要も減少していく事を期待している。
・2点目は、今週末に自民党総裁選が実施されることによる政治リスクである。どの候補が総裁となるか、見通しが極めて難しい状況であり、また各候補の政策にかなりの差がある。一部候補が日本銀行の利上げを非難していることもあり、利上げが難しくなると思われる一方で、再び円安になった場合に支持を得られるのか、また、インフレリスクが上昇してしまった場合に、日本銀行が金融緩和的な政策を維持し続けるのかといった点は疑問。そういった点を踏まえると、政治リスクを過度に織り込んでしまっているという印象も受ける。新総裁の政策により、今後の見通しは変化しうるものではあるが、現状、金利が上がらないといった観測を織り込みすぎている状況であると考えている。

・リオープン方式について、10年債については、日本銀行による大規模な買入が継続するもとでは、可能な限りリオープンとなる現行のルールが望ましい。8月のような大きな相場変動時には、新回号となることもやむを得ないと考えている。
・5年債については、10年債と同様に日本銀行の買入比率が高いゾーンであり、レポ市場においてはタイト化しやすい傾向にある。8月以降、中期ゾーンのショートが大きく巻き戻されたことで需給は緩和された状態にあるが、例えば日本銀行の量的引き締めが十分に進展する前にボラティリティが高まる場合、5年債においても流動性が一段と悪化する可能性があるため、市場実勢との乖離が20bpsの範囲内である時はリオープンとする等の変更は検討に値するのではないか。
・ただ、内外情勢や金融政策の見通しに大きな変更がない限りは、現行のルールのままでいい。

・リオープン方式については投資家需要と流動性のバランスを考える必要がある。これまで日本銀行による金融緩和の中で、流動性向上のために議論した結果、現行のルールになった。特に預金取扱系金融機関の需要が高い中期から長期の年限については、金利急変時における投資家の需要喚起のため新回号発行の余地を残していると理解している。
・リオープン方式は10年債を区切りに異なる取扱いになっているが、金融緩和を巻き戻すなら、将来的に10年債、5年債を0.1%刻みのルールに戻していくこともあり得ると考える。ただ、日本銀行の時間軸は長いので、それに合わせ、拙速を避ける必要。自民党総裁選や米大統領選等のイベントによるインパクトがなければ、現行のリオープン方式を継続することが望ましい。

・5年債と10年債についても市場流動性確保の観点から原則リオープン方式とすることが望ましいと数年来考えている。現在の国債市場において最大の参加者である海外投資家にとっても、カレント銘柄の流動性が高まることが重要である。
・特に外資系の証券会社ではバランス・シート上の制約が大きく、ロングまたはショート・ポジションで取れるリスク総量が限られている。次の入札で発行される銘柄がリオープンで確約されているとショートがしやすくなり、マーケット・メイクの観点からもありがたい。

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700

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